説明

ヒドロキノンの新規な形態、および、ヒドロキノンの新規な形態を得るための方法

本発明は、フレーク形態でのヒドロキノンの新規な形態、および、フレーク形態でのヒドロキノンの新規な形態を得るための方法に関連する。ヒドロキノンのフレークを調製するための本発明の方法は、下記の工程を含むことを特徴とする:必要ならば、ヒドロキノンの粉末を融解する工程、液体状態のヒドロキノンを、熱を伝える材料から作製されるか、または、熱を伝える材料により被覆される支持体上に薄膜として堆積させる工程、支持体を適切な温度にすることによってヒドロキノンを固化させる工程、固化した生成物を、任意の適切な手段を使用してフレークの形態で回収する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題はヒドロキノンの新規な形態である。
【0002】
より詳細には、本発明の主題はヒドロキノンのフレークである。本発明はまた、前記フレークの調製に関連する。
【背景技術】
【0003】
ヒドロキノンは、エラストマーにおける重合禁止剤または酸化防止剤として数多くの適用分野において広く使用される生成物である。別の適用分野が写真である。従って、ヒドロキノンは重要な製品である。
【0004】
ヒドロキノンは現在、小さくて、脆い針状物から形成される粉末の形態で市販されている。そのことから生じる様々な不都合な点は、粉塵形成の問題を前記粉末の貯蔵時および取り扱い時において生じさせる微細物が存在することである。
【0005】
実際には、ヒドロキノンの粉塵は、環境に関しては爆発の危険性のために、また、ヒトに関しては、この物質が目および気道に対して刺激性であり、ヒドロキノンの粉塵がヒトと接触するときはまた、皮膚に対する刺激作用を引き起こし得るので、危険がなくはない。
【0006】
JP−A−2002−302716によれば、ヒドロキノンを造粒技術に従って顆粒の形態で配合することが提供されている。この場合、この造粒技術は、ヒドロキノンの粉末を2つのロールの間に通し、これにより、ブロック物を得ることを可能にすること、および、次いで、これらのブロック物を、前記顆粒を得るように破砕することである。
【0007】
EP−A1556322に記載される別の形成法には、ヒドロキノンを、ビーズ体として、すなわち、粉塵を有さず、また、良好な耐摩耗性を固体粒子に与える物理的形態を有する非常に球状の固体粒子として形成することが存在する。
【0008】
粒子のサイズは、メジアン直径(d50)によって表されるとき、300μmから2000μmの間であり、好ましくは、500μmから1500μmの間である。メジアン直径は、粒子の50重量%が、メジアン直径を越える直径、または、メジアン直径よりも小さい直径を有するようであるとして定義される。
【0009】
前記ビーズ体を調製するための方法は本質的に、ヒドロキノンの高濃度の水溶液を高温条件下で調製すること、次いで、この溶液を、ノズルを通過させることによって液滴にすること、および、得られた液滴を、液滴が固化して、続いて回収および乾燥されるビーズ体を与えるように気流中で冷却することからなる。
【0010】
前記方法はプリル形成技術に関するが、通常的に用いられる方法に反して、この方法には、ヒドロキノンを融解すること、および、続いて、ヒドロキノンを、ノズルに通すことによってばらばらにすることが存在しない。
【0011】
これは、当業者が直面した困難として、ヒドロキノンは172℃の高い温度で融解すること、さらには、ヒドロキノンは非常に大きい蒸気圧(この温度では25mbarを越える蒸気圧)を有し、このことがノズルの出口において現象的蒸発をもたらし、これにより、産業的観点からは絶対に受け入れることができない粉塵問題および汚染除去問題がもたらされることであったためである。
【0012】
従って、EP−A1556322によって提供される方法は、ヒドロキノンのビーズ体を、ヒドロキノンの水溶液から出発することによるプリル形成技術によって調製することである。
【0013】
EP−A1556322によって従って得られるビーズ体は、粉塵がないことおよび流動性の点で、高品質の生成物である。
【0014】
この方法の欠点は、運用可能な生産能力に関する大きい資本費用を依然として必要とし、また、得られたビーズ体を乾燥するというさらなる工程をその後に伴うプリル形成に関連することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】JP−A−2002−302716
【特許文献2】EP−A1556322
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上記の欠点を克服することを可能にする、ヒドロキノンの新しい形態または新しい体裁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の主題は、フレークの外観のもとで存在するヒドロキノンの新しい形態である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従って得られたヒドロキノンのフレークタイプの形態を示す。
【図2】市販されているヒドロキノン粉末の結晶物の針状物として形態を示す。
【図3】本発明の方法を実施する設備の概略を示す。
【図4】本発明の生成物のより良好な全体像を写真上に示される小さくした倍率によって示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
より詳細には、ヒドロキノンの新しい形態が、小板体形状を有する大きい粒子の外観のもとで提供される(これらの粒子は「フレーク」として知られている。)。
【0020】
この小板体粒子は、程度の差はあるが、正方形、矩形、円形または楕円形であり得る非常に変化に富んだ外形によって平面において定義される全体的形状要素に対応する。
【0021】
変化に富む形状の様々なフレークが、下記に指定される大きさを示す平行六面体に分類される。
【0022】
長さが一般には0.5cmから6cmの間で変化し、好ましくは、1cmから3cmの間で変化する。
【0023】
その部分に関しては、幅は0.5cmから3cmの間で変動し、好ましくは、0.5cmから1.5cmの間で変動する。
【0024】
これらの測定は、無作為に抜き取られた20個のフレークからなるサンプルに対して行われる。
【0025】
長さおよび幅は、目盛り付きの定規を使用する測定によって求められる。
【0026】
上記の平行六面体は、その3つの大きさのうちの1つ(厚さ)がそれ以外の2つ(幅および長さ)よりもはるかに小さい。
【0027】
厚さに関しては、厚さは400μmから1500μmの間であり、好ましくは、500μmから750μmの間である。
【0028】
厚さは、スライド式カリパスまたはPalmerデバイスを使用して測定される。
【0029】
一部の粒子が、上記で示された限界から外れる大きさを示すことは問題とならないことに留意しなければならない。
【0030】
図1は、本発明に従って得られたヒドロキノンのフレークタイプの形態を示す、デジタルカメラを使用して撮影された写真を表す。
【0031】
これらの大きい粒子は明確な縁を示すことが強調されなければならない。
【0032】
図2は、市販されているヒドロキノン粉末の結晶物の針状物として形態を示す、デジタルカメラを使用して撮影された写真を表す。
【0033】
図4は、本発明の生成物のより良好な全体像を写真上に示される小さくした倍率によって示す、デジタルカメラを使用して同様に撮影された写真を表す。
【0034】
本発明の生成物の1つの特徴は、粉末形態での物との比較において、非常に低い微細粒子の量である。
【0035】
微細粒子の量は、100μm未満の大きさを有する粒子の重量百分率として定義される。
【0036】
メッシュサイズが100μmであるふるいを通過する粒子が、本発明に従って、微細粒子とみなされる。
【0037】
微細粒子の量は3重量%未満であり、好ましくは、0.7重量%から1.5重量%の間であり、より好ましくは、0.7重量%から1重量%の間である。
【0038】
目安として、微細粒子のサイズは1μmから100μmの間で変動し、メジアン直径は20μmから30μmの間にあることが明記される。
【0039】
メジアン直径は、粒子の50重量%が、メジアン直径を越える直径、または、メジアン直径よりも小さい直径を有するようであるとして定義される。
【0040】
比較として、粉末形態でのヒドロキノンの微細粒子の量は20重量%の程度であることが述べられ、このことは、微細粒子(または粉塵)の含有量が10分の1であり、実際には20分の1でさえあることを意味する。
【0041】
本発明の生成物の粒子サイズを規定するために、2.5mm未満の大きさを有する粒子(すなわち、メッシュサイズが2.5mmであるふるいを通過する粒子)の重量百分率もまた定義される。
【0042】
この含有量は一般に、20重量%から40重量%の間である。
【0043】
比較として、粉末形態でのヒドロキノンの粒子の100%が2.5mm未満であることが述べられる。
【0044】
本発明のヒドロキノンフレークは、概ね高い密度を有する。フレークの(ルーズ)嵩密度は好ましくは少なくとも0.4g/cmであり、より好ましくは0.4g/cmから0.6g/cmの間であり、一般には0.45g/cmから0.55g/cmの間である。
【0045】
フレークの(充填)嵩密度は好ましくは少なくとも0.5g/cmであり、より好ましくはそれでもなお、0.5g/cmから0.8g/cmの間であり、一般には0.6g/cmから0.7g/cmの間である。
【0046】
これらの密度は、250mlの試験試料が1リットルの試験試料によって置き換えられるという唯一の違いを伴って、欧州薬局方基準[第1巻、256頁(2004年)、第5版]に記載される試験に従って非乾燥の生成物に対して測定される。
【0047】
従って、本発明は、摩耗に耐えることを可能にする物理的形態を有するが、その後の使用と適合し得る溶解速度を保持するそのようなヒドロキノンを新しく形成することにある。
【0048】
従って、フレークの溶解速度は前記フレークの厚さに従って変化する。
【0049】
4.8重量%の溶液におけるヒドロキノンの最終濃度を得るために必要な量のフレークの水における溶解時間が、フレークの厚さに依存して、10分から30分の間で変化する。
【0050】
これらの測定値は、前記量を、周囲温度(20℃)で維持され、また、例えば、4枚の傾いたブレードを有するプロペラ攪拌機を使用して撹拌され続けられる水に溶解させるために必要な時間を測定することにある試験に対応する。
【0051】
類似する試験が、アクリル酸におけるフレークの溶解速度を求めるために行われる。
【0052】
この試験には、2重量%の、アクリル酸におけるヒドロキノンの最終濃度を得るために必要な量のフレークを溶解させるために必要な時間を規定することが存在する。
【0053】
この速度は、フレークの厚さに依存して、30分から1時間の間で変化する。
【0054】
同じ条件のもとで測定される場合、水およびアクリル酸におけるヒドロキノン粉末の溶解速度はそれぞれ、9分および20分である。
【0055】
本発明に従って形成されるヒドロキノンの溶解時間はわずかに増大し、しかし、この増大は、別途得られる利点を考慮すると、使用者には受け入れられ得ることに留意しなければならない。
【0056】
本発明の生成物の新規な構造が、完全に適合化された製造方法によって得られる。
【0057】
このようなヒドロキノンフレークを調製するための本発明の方法は、下記の工程:
必要ならば、ヒドロキノンの粉末を融解する工程、
液体状態のヒドロキノンを、熱伝導性材料から作製されるか、または、熱伝導性材料により被覆される支持体上に薄膜として堆積させる工程、
支持体を適切な温度にすることによってヒドロキノンを固化させる工程、
固化した生成物を、任意の適切な手段を使用してフレークの形態で回収する工程
を含む。
【0058】
本発明の好ましい実施形態によれば、酸素が、形成操作が行われるチャンバーから事前に除かれる。
【0059】
従って、液体状態のヒドロキノンを形成することが、酸素を含まない雰囲気で行われる。本発明の一実施形態によれば、不活性ガスの雰囲気がチャンバーにおいて確立される。希ガス(好ましくは、アルゴン)に頼らなければならないことがあり、しかし、一般には、そのより低い費用のために、窒素を使用することが好ましい。
【0060】
不活性な雰囲気が確立されると、液体状態のヒドロキノンは、適切な支持体上に薄膜として堆積させられる。
【0061】
製造ラインに由来する液体状態のヒドロキノンを直接に供給することを想定することが可能である。
【0062】
ヒドロキノンを融解することを含む本発明の方法の工程を提供することもまた可能である。これを達成するために、生成物がその融点に加熱される。好ましくは、生成物は172.5℃のその融点よりもわずかに高い温度にされ、好ましくは、その融点に関して、最大でも10℃高い温度にされる。ヒドロキノンにもたらされる温度は178℃から185℃の間で選ばれる。
【0063】
この操作は一般には、撹拌を伴って行われる。
【0064】
この操作を、撹拌および加熱されたタンクにおいて行うことができる。加熱が好都合には、蒸気または適切な熱交換流体をジャケットに循環させることによって行われる。
【0065】
本発明のために好適な熱交換流体として、具体的には、カルボン酸の高沸点エステル(例えば、フタル酸オクチル)、芳香族エーテル(例えば、ジフェニルエーテルおよび/またはベンジルエーテルなど)、ビフェニル、ターフェニル類、場合により一部が水素化されたその他のポリフェニル類、パラフィン系オイルおよび/またはナフテン系オイル、石油蒸留残渣、ならびに、シリコーンオイルなどを挙げることができる。
【0066】
本発明の方法によれば、液体状態のヒドロキノンが、熱伝導性材料から作製されるか、または、熱伝導性材料により被覆される支持体上に薄膜として堆積させられる。
【0067】
そのような材料を選ぶためには、ヒドロキノンと反応しない任意の材料によらなければならない。
【0068】
さらには、この材料は、熱を伝えるという性質を有するので、好都合には、少なくとも10W/m.Kの熱伝導率を有する金属、好ましくは、15W/m.Kから400W/m.Kの間の熱伝導率を有する金属が選ばれる。上限は何ら決定的な意味を示さないことに留意しなければならない。
【0069】
本発明の方法の実行に完全に十分に適する上記特徴に対応する材料の例として、とりわけ、ステンレス鋼を挙げることができる。
【0070】
好都合には、様々なステンレス鋼が選ばれ、例えば、オーステナイト鋼、より具体的には、304、304L、316または316Lのステンレス鋼などが選ばれる。
【0071】
多くても22重量%のニッケル(一般には6重量%から20重量%の間、好ましくは8重量%から14重量%の間)を有する鋼が使用される。
【0072】
304鋼および304L鋼は、8重量%から12重量%の間で変化するニッケル含有量を有し、316鋼および316L鋼は、10重量%から14重量%の間で変化するニッケル含有量を有する。
【0073】
そのような鋼は工業用に広く使用される。
【0074】
オーステナイト鋼の定義については、Robert H.Perry他による著作[Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、第6版(1984年)、23頁−44頁]を参照することができる。
【0075】
本発明の方法は、液体状態のヒドロキノンを、コンベヤーベルトの形態、または、1つ以上の回転台の形態、または、そうでなければ、回転する円筒体の形態であり得る、熱伝導性材料からなるか、または、熱伝導性材料により被覆される冷却された表面において固化させることを可能にする装置を使用して行われる。
【0076】
この設備の調整は当業者の能力の範囲内である。
【0077】
コンベヤーベルトの特性は広範囲に変化し得る。従って、長さを、例えば、50cmから2mの間で変動させることができ、幅を1mから5mの間で変動させることができる。ベルトの前方への進行速度に関しては、速度を好都合には、1m/分から20m/分の間で変化させることができる。
【0078】
フレークの厚さが、ヒドロキノンの供給速度およびベルトの前方への進行速度を制御することによって決定される。
【0079】
回転台に関して、その直径は一般に、150mmから400mmの間である。
【0080】
その回転速度は好ましくは、5回転/分から50回転/分の間で選ばれる。
【0081】
本発明の第1の代替形態によれば、液体状態のヒドロキノンが、ノズルを介した噴霧によって、より一般には、ヒドロキノンをあふれさせるように液体状態のヒドロキノンにより連続的に満たされる供給槽を含むオーバフローシステムによってベルトまたは1つ以上の回転台に堆積させられる。この場合、そのようなヒドロキノンは重力によってベルトまたは回転台に落下する。
【0082】
ヒドロキノンは、好都合には20℃から80℃の間の温度で冷却することによって固化させられる。
【0083】
冷却が一般には、冷水を、ヒドロキノンにより覆われないベルトの内側面に噴霧することによって提供される。
【0084】
回転台に関して、回転台は一般には、冷却用の液体(好ましくは、適切な温度で導入される水)が循環するジャケットから構成される。
【0085】
ヒドロキノンがスクレーパーブレードによってフレークの形態で回収される。
【0086】
好ましい本方法の別の代替形態によれば、液体状態のヒドロキノンが、回転する円筒体に堆積させられる。
【0087】
この円筒体は、広範囲に変化し得る大きさを有する。
【0088】
従って、直径は0.15mから2.5mにまで及ぶことができ、好ましくは、1mから1.5mにまで及ぶことができ、また、長さは、例えば、0.25mから5mの間で変化させることができ、好ましくは、0.5mから2mの間で変化させることができる。
【0089】
円筒体には多数の様式で供給することができる。
【0090】
円筒体は、例えば、供給槽に入れられた液体状態のヒドロキノンの1cmから10cmに置かれるので、円筒体における堆積が滴下によって行われる。
【0091】
円筒体は回転し、冷却によって円筒体上に固化する生成物の薄い層を運び去る。
【0092】
円筒体は、フレークの所望される厚さおよび供給物の温度に従って選ばれる速度で回転する。
【0093】
層は、回転速度が大きくなるにつれ、より薄くなる。
【0094】
液体状態のヒドロキノンの供給を、アプリケーターロール(この場合、アプリケーターロール自体に、液体状態のヒドロキノンが供給される。)を介して円筒体に対して行うことができる。
【0095】
供給はまた、重力により、または、ポンプを介して注ぐことによって円筒体に対して行うことができる。
【0096】
円筒体は、水をジャケットに循環させることによって、または、水を円筒体の内部に噴霧することによって冷却される。
【0097】
本発明の方法の1つの特徴によれば、円筒体は、好ましくは、20℃から80℃の間の温度で維持され、より好ましくは、30℃から80の間の温度で維持される。
【0098】
円筒体の回転速度は、好都合には、0.5回転/分から20回転/分の間で変化し、好ましくは、3回転/分から6回転/分の間で変化する。
【0099】
ヒドロキノンは、ヒドロキノンが固化するための十分な長さの時間にわたって円筒体上に維持される。
【0100】
続いて、形成されたヒドロキノンが、任意の適切な手段を使用して、より具体的には、円筒体をこすり、任意の知られている手段によって、例えば、重力によって、回収タンクに回収される生成物の層を剥離させるブレードを使用して回収される。
【0101】
従って、ヒドロキノンのフレークを調製するための本発明の方法の好ましい実施形態は、下記の工程:
形成操作が行われるチャンバーから酸素を除く工程、
必要ならば、ヒドロキノンの粉末を融解する工程、
液体状態のヒドロキノンを、20℃から80℃の間の温度で維持される円筒体上に薄膜として堆積させる工程、
円筒体上のヒドロキノンを、ヒドロキノンが固化するための十分な長さの時間にわたって維持する工程、
固化した生成物を、任意の適切な手段を使用して回収する工程
を含む。
【0102】
ヒドロキノンが、上記で示された特徴に対応するフレークの形態で得られる。
【0103】
本発明は、得られた生成物を分粒することを可能にするさらなる工程を排除しない。
【0104】
従って、フレークを、例えば、より均一な分布を3つの大きさにおいて有するために、従って、ヒドロキノンを等方性粒子の形態で得るために、粒子のサイズを小さくすることを可能にするブレードグラニュレーターまたはバーグラニュレーターに導入することができる。
【0105】
用語「等方性粒子」は、3つの同等な大きさを有する粒子を意味することが理解される。
【0106】
得られた粒子は立方体形状に近く、400μmから1500μmの間(好ましくは、500μmから750μmの間)で変化し得るサイズを示す。
【0107】
従って、このフレークは、ヒドロキノンを等方性粒子の形態で製造するための中間体として使用することができる。
【0108】
このようにして得られたヒドロキノンは、増大した密度を示す。
【0109】
下記の実施例は本発明を例示し、しかしながら、本発明を限定しない。
【実施例】
【0110】
本発明の方法は、下記に記載され、また、図3によって概略的に表される設備において行うことができる。
【0111】
ヒドロキノンのフレークが、液体状態のヒドロキノンを、酸素が除かれた雰囲気が窒素3の導入によって確立されるチャンバー2において、ステンレス鋼(316)から作製された回転する円筒体1の表面に固化させることによって得られる。ヒドロキノンの蒸気を含むガスがガス処理装置4の方向でチャンバーから排出される。
【0112】
円筒体の温度が、水をその内側面5の全面に噴霧することによって調節される。冷却水と、生成物との間における直接的な接触がない。
【0113】
液体状態のヒドロキノンが供給タンク6に導入される。この場合、供給タンク6の温度は、熱交換流体が循環するジャケットによって調節される。円筒体が溶融ヒドロキノンの中に浸かり、その回転のために、その外側表面において、溶融した生成物の薄膜7を運び去る。
【0114】
冷たい金属と接触したとき、生成物のこの薄膜は徐々に固化して、薄膜をフレーク9の形態で円筒体から剥がすかき取り用ブレード8に固形状態で到達する。
【0115】
このようにして得られたフレークは、フレークをチャンバーから取り出すスクリューコンベヤーの槽10に集められる。
【0116】
製造されるフレークの生産量および厚さに影響を及ぼす主なパラメーターは、
円筒体の回転速度S、
冷却水の温度Tw、
溶融生成物における円筒体の浸漬深さD、
溶融生成物の温度Tp
である。
【0117】
例として、表面積が0.75mである円筒体(長さ=0.48m;直径=0.50m)を用いて、下記の表(I)にまとめられる結果が得られる。
【0118】
得られたフレークの物理化学的特徴もまた、表(I)に示される。
【0119】
【表1】

【0120】
図1における写真は、実施例5に従って得られた生成物の形態を例示する。実施例5の生成物の全体像が図4によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小板体形状を有する大きい粒子、フレークの外観で提供される、ヒドロキノンの新しい形態。
【請求項2】
フレークが、0.5cmから6cmの間、好ましくは、1cmから3cmの間で変化する長さを有する、請求項1に記載のヒドロキノンの新しい形態。
【請求項3】
フレークが、0.5cmから3cmの間、好ましくは、0.5cmから1.5cmの間で変化する幅を有する、請求項1または請求項2に記載のヒドロキノンの新しい形態。
【請求項4】
フレークが、400μmから1500μmの間、好ましくは、500μmから750μmの間で変化する厚さを有する、請求項1から3の一項に記載のヒドロキノンの新しい形態。
【請求項5】
図1または図4によって例示される形態を示す、請求項1から4の一項に記載のヒドロキノンの新しい形態。
【請求項6】
微細粒子の量が3重量%未満、好ましくは、0.7重量%から1.5重量%の間、およびより好ましくは、0.7重量%から1重量%の間である、請求項1から5の一項に記載のヒドロキノンの新しい形態。
【請求項7】
2.5mm未満の粒子の含有量が20重量%から40重量%の間である、請求項1から6の一項に記載のヒドロキノンの新しい形態。
【請求項8】
フレークの(ルーズ)嵩密度が少なくとも0.4g/cm、好ましくは、0.4g/cmから0.6g/cmの間、およびより好ましくは、0.45g/cmから0.55g/cmの間である、請求項1から7の一項に記載のヒドロキノンの新しい形態。
【請求項9】
フレークの(充填)嵩密度が少なくとも0.5g/cm、好ましくは、0.5g/cmから0.8g/cmの間、およびより好ましくは、0.6g/cmから0.7g/cmの間である、請求項1から8の一項に記載のヒドロキノンの新しい形態。
【請求項10】
請求項1から9の一項に記載のヒドロキノンフレークを調製するための方法であり、下記の工程:
必要に応じてヒドロキノンの粉末を融解する工程、
液体状態のヒドロキノンを、熱伝導性材料から作製されるか、または、熱伝導性材料により被覆される支持体上に薄膜として堆積させる工程、
支持体を適切な温度にすることによってヒドロキノンを固化させる工程、
固化した生成物を、任意の適切な手段を使用してフレークの形態で回収する工程
を含む、方法。
【請求項11】
不活性ガス、好ましくはアルゴンまたは窒素、より好ましくは、窒素雰囲気が、ヒドロキノンが形成されるチャンバーにおいて確立される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヒドロキノンを上に堆積させる材料が少なくとも10W/m.K、好ましくは、15W/m.Kから400W/m.Kの間の熱伝導率を有する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
支持体がステンレス鋼、好ましくはオーステナイト鋼、より好ましくは、304、304L、316または316Lのステンレス鋼であるか、または、ステンレス鋼、好ましくはオーステナイト鋼、より好ましくは、304、304L、316または316Lのステンレス鋼により被覆される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
液体状態のヒドロキノンが、コンベヤーベルトの形態、または、1つ以上の回転台の形態、あるいは、回転する円筒体の形態であり得る、伝導性材料からなるか、または、伝導性材料により被覆されている冷却された表面に堆積させられる、請求項10から13の一項に記載の方法。
【請求項15】
円筒体が、例えば、供給槽に入れられた液体状態のヒドロキノンの1cmから10cmに置かれ、円筒体への堆積がディッピングによって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
液体状態のヒドロキノンを供給することが、アプリケーターロール(アプリケーターロール自体に、液体状態のヒドロキノンが供給される。)を介して、または、重力により、もしくはポンプを介して注ぐことによって円筒体に対して行われ得る、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
円筒体の回転速度が、0.5回転/分から20回転/分の間、好ましくは、3回転/分から6回転/分の間で変化する、請求項14から16の一項に記載の方法。
【請求項18】
円筒体が20℃から80℃、好ましくは、30℃から80℃の間の温度で維持される、請求項14から17の一項に記載の方法。
【請求項19】
円筒体が、水をジャケットに循環させることによって、または、水を円筒体の内部に噴霧することによって冷却される、請求項14から18の一項に記載の方法。
【請求項20】
形成されたヒドロキノンが、円筒体をこすり、任意の知られている手段によって、例えば、重力によって、回収タンクに回収される生成物の層を剥離させるブレードを使用して回収される、請求項14から19の一項に記載の方法。
【請求項21】
下記の工程:
形成操作が行われるチャンバーから酸素を除く工程、
必要に応じ、ヒドロキノンの粉末を融解する工程、
液体状態のヒドロキノンを、20℃から80℃の間の温度で維持される円筒体上に薄膜として堆積させる工程、
円筒体上のヒドロキノンを、ヒドロキノンが固化するための十分な長さの時間にわたって維持する工程、
固化したヒドロキノンを、任意の適切な手段を使用して回収する工程
を含む、請求項14から20の一項に記載の方法。
【請求項22】
得られたフレークが、粒子サイズのより均一な分布を得ることを可能にする分粒操作に供される、請求項1から21の一項に記載の方法。
【請求項23】
操作がブレードグラニュレーターまたはバーグラニュレーターにおいて行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ヒドロキノンを等方性粒子の形態で製造するための、中間体としての、請求項1から9の一項に記載のヒドロキノンフレークの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−541467(P2009−541467A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517322(P2009−517322)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001080
【国際公開番号】WO2008/000956
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(508183151)ロデイア・オペラシヨン (70)
【Fターム(参考)】