説明

ヒューズ装置および回路基板

【課題】生産性を改善しつつ小型化を図ったヒューズ装置を提供すること。
【解決手段】ヒューズ装置は、セラミック基体1と、発熱抵抗体21および第1の温度ヒューズ素子22を含む発熱抵抗体付き温度ヒューズ部2と、第2の温度ヒューズ素子31とを含んでいる。発熱抵抗体21は、セラミック基体1の内部にセラミック基体1と一体的に設けられている。第1の温度ヒューズ素子22は、セラミック基体1の表面に設けられているとともに、発熱抵抗体21に熱的に結合されている。第2の温度ヒューズ素子31は、セラミック基体1の表面に設けられており、第1の温度ヒューズ素子22に電気的に直列接続されているとともに、保護対象に熱的に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電圧状態または過電流状態において電子回路等を保護するために用いられるヒューズ装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
保護対象である電子回路等に過電圧が印加されたときに、電子回路等を電子回路等から遮断するために用いられる保護装置として、発熱抵抗体付き温度ヒューズ装置がある。また、保護対象である電子回路等に過電流が流れて、この過電流によって電子回路等が発熱したときに、電子回路等を電子回路等から遮断するために用いられる保護装置として、温度ヒューズ装置がある。従来、これらの発熱抵抗体付き温度ヒューズ装置および温度ヒューズ装置は、各々個別に封入された装置として例えば実装基板等に設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−48849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、例えば携帯型電子機器等に用いられる電子モジュールは、小型化されることが求められているため、この電子モジュール等に用いられるヒューズ装置においても、実装に要する領域の縮小化が求められている。特に、電子モジュールに発熱抵抗体付き温度ヒューズ機能および温度ヒューズ機能の両方を付加するためには、生産性を改善しつつ発熱抵抗体付き温度ヒューズ部および温度ヒューズ部の占有領域を縮小させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様によれば、ヒューズ装置は、セラミック基体と、発熱抵抗体および第1の温度ヒューズ素子を含む発熱抵抗体付き温度ヒューズ部と、第2の温度ヒューズ素子とを含んでいる。発熱抵抗体は、セラミック基体の内部にセラミック基体と一体的に設けられている。第1の温度ヒューズ素子は、セラミック基体の表面に設けられているとともに、発熱抵抗体に熱的に結合されている。第2の温度ヒューズ素子は、セラミック基体の表面に設けられており、第1の温度ヒューズ素子に電気的に直列接続されているとともに、保護対象に熱的に結合される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、回路基板は、絶縁基体と、絶縁基体に設けられた回路導体と、絶縁基体に設けられたヒューズ部とを備えている。ヒューズ部は、セラミック層と、発熱抵抗体および第1の温度ヒューズ素子を含む発熱抵抗体付き温度ヒューズ部と、第2の温度ヒューズ素子とを含んでいる。発熱抵抗体は、セラミック層の内部にセラミック層と一体的に設けられている。第1の温度ヒューズ素子は、セラミック層の表面に設けられているとともに、発熱抵抗体に熱的に結合されている。第2の温度ヒューズ素子は、セラミック層の表面に設けられており、第1の温度ヒューズ素子に電気的に直列接続されているとともに、保護対象に熱的に結合される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、ヒューズ装置は、発熱抵抗体および第1の温度ヒューズ素子を含む発熱抵抗体付き温度ヒューズ部と、第1の温度ヒューズ素子に電気的に直列接続された第2の温度ヒューズ素子とを含んでおり、発熱抵抗体が、セラミック基体の内部に設けられていることによって、発熱抵抗体付き温度ヒューズ機能および温度ヒューズ機能を有することができるとともに、小型化を図りつつ生産性を向上させることができる。
【0008】
本発明の他の態様によれば、回路基板は、発熱抵抗体および第1の温度ヒューズ素子を含む発熱抵抗体付き温度ヒューズ部と、第1の温度ヒューズ素子に電気的に直列接続された第2の温度ヒューズ素子とを含んでおり、発熱抵抗体が、セラミック層の内部に設けられていることによって、発熱抵抗体付き温度ヒューズ機能および温度ヒューズ機能を有するとともに、ヒューズ部の占有部分を縮小させつつ生産性を向上させた回路基板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるヒューズ装置の斜視図を示している。
【図2】図1に示されたヒューズ装置の分解斜視図を示している。
【図3】図2に示されたヒューズ装置のA−Aにおける縦断面図を示している。
【図4】図3に示されたヒューズ装置における熱伝導を模式的に示している。
【図5】図1に示されたヒューズ装置の使用例を示す回路図である。
【図6】本発明の第2の実施形態におけるヒューズ装置の縦断面図を示している。
【図7】図6に示されたヒューズ装置における熱伝導を模式的に示している。
【図8】本発明の第3の実施形態におけるヒューズ装置の斜視図を示している。
【図9】本発明の第4の実施形態における回路基板を含む電子モジュールの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1から図3までに示されているように、本発明の第1の実施形態におけるヒューズ装置は、セラミック基体1と、セラミック基体1に設けられた発熱抵抗体付き温度ヒューズ部2と、温度ヒューズ部3とを含んでいる。
【0012】
図1において、ヒューズ装置は、仮想のxyz空間におけるxy平面に実装されている。図1において、上方向とは、仮想のz軸の正方向のことをいう。図1において、セラミック基体1は、ヒューズ装置の内部構造および下面構造を示すことを目的に、部分的に透視された状態で示されている。図1において、ヒューズ装置の内部構造および下面構造の一部が、点線によって示されている。
【0013】
セラミック基体1は、各々平板形状を有している第1のセラミック層11から第3のセラミック層13までを含んでいる。第2のセラミック層12は、第1のセラミック層11の上に設けられており、第3のセラミック層13は、第2のセラミック層12の上に設けられている。第1のセラミック層11、第2のセラミック層12、および第3のセラミック層13は、焼成によって一体的に形成されている。セラミック基体1は、発熱抵抗体付き温度ヒューズ部2に対応して設けられた中空部14を有している。セラミック基体1は、例えば、実質的にアルミナからなる。
【0014】
発熱抵抗体付き温度ヒューズ部2は、セラミック基体1に設けられており、発熱抵抗体21および第1の温度ヒューズ素子22を含んでいる。
【0015】
発熱抵抗体21は、例えば電子回路に過電圧が印加されたときに、第1の温度ヒューズ素子22を溶断させるためのジュール熱を発生するものである。発熱抵抗体21は、セラミック基体1の内部に設けられているとともに、焼成によってセラミック基体1と一体的に形成されている。発熱抵抗体21は、第2のセラミック層12および第3のセラミック層13の間に設けられている。発熱抵抗体21は、第3のセラミック層13の下面に設けられており、セラミック基体1の下面に設けられた端子4および5に電気的に接続されている。発熱抵抗体21は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、またはマンガン(Mn)などの導電材料を含んでいる。発熱抵抗体21は、第1の温度ヒューズ素子22および中空部14の間に設けられており、少なくとも部分的に中空部14に露出されている。
【0016】
図4に模式的に示されているように、セラミック基体1が中空部14を有していることによって、発熱抵抗体21によって発生されたジュール熱は、セラミック基体1の下面へ伝導されることに関して低減されており、第1の温度ヒューズ素子22へ伝導されることに関して向上されている。従って、ヒューズ装置は、発熱抵抗体21によって発生されるジュール熱の損失に関して低減されている。中空部14は、真空状態を含む減圧状態であることが好ましい。中空部14が、減圧状態であることによって、発熱抵抗体21からセラミック基体1の下面へのジュール熱の伝導が低減されている。図4において、実線によるブロック矢印が、発熱抵抗体21から第1の温度ヒューズ素子22へのジュール熱の伝導を模式的に示しており、破線によるブロック矢印が、発熱抵抗体21からセラミック基体1の下面へのジュール熱の伝導を模式的に示している。
【0017】
再び図1から図3までを参照して、第1の温度ヒューズ素子22は、セラミック基体1の表面に設けられているとともに、発熱抵抗体21に熱的に結合されている。“発熱抵抗体21に熱的に結合されている”とは、発熱抵抗体21および第1の温度ヒューズ素子22が、発熱抵抗体付き温度ヒューズとして一体的に機能するために、発熱抵抗体21によって発生されたジュール熱によって第1の温度ヒューズ素子22が溶断されるように、発熱抵抗体21から第1の温度ヒューズ素子22への伝熱経路が設けられていることをいう。第1の温度ヒューズ素子22は、第3のセラミック層13の上面に設けられているとともに、発熱抵抗体21の直上に位置している。第1の温度ヒューズ素子22は、セラミック基体1の上面に設けられた導体パターン71を介して端子4に電気的に接続されている。第1の温度ヒューズ素子22の材料例は、低融点可溶合金などである。
【0018】
温度ヒューズ部3は、第2の温度ヒューズ素子31を含んでいる。第2の温度ヒューズ素子31は、セラミック基体1の表面に設けられており、第1の温度ヒューズ素子22に電気的に直列接続されている。第2の温度ヒューズ素子31は、第3のセラミック層13の上面に設けられている。第2の温度ヒューズ素子31は、セラミック基体1の上面に設けられた導体パターン72を介して第1の温度ヒューズ素子22に電気的に接続されているとともに、セラミック基体1の上面に設けられた導体パターン73を介してセラミック基体1の下面に設けられた端子6に電気的に接続されている。第2の温度ヒューズ素子31の材料例は、低融点可溶合金などである。
【0019】
第2の温度ヒューズ素子31は、セラミック基体1の上面に設けられた凹部17によって、発熱抵抗体21との熱的な結合に関して低減されている。凹部17は、発熱抵抗体21が設けられている高さ位置より深いことが好ましい。
【0020】
ヒューズ装置は、第1の温度ヒューズ素子22および第2の温度ヒューズ素子31の各々を覆っているフラックス部材81と、フラックス部材81を覆っている封入部材82とをさらに含んでいる。図1および図2において、セラミック基体1の上面における構造を示すことを目的に、フラックス部材81および封入部材82は、省略されている。封入部材82は、例えば、樹脂材料またはセラミック材料を含んでいる。
【0021】
図5を参照して、本実施形態におけるヒューズ装置の使用例について説明する。図5において、本実施形態におけるヒューズ装置は、ヒューズ回路53として示されている。ヒューズ回路53は、電源51、保護対象である電子回路52、および過電圧検出回路54に電気的に接続されている。図5において、点線による矢印は、熱的な結合を示している。
【0022】
ヒューズ回路53は、発熱抵抗体付き温度ヒューズ部2と、温度ヒューズ部3とを含んでいる。発熱抵抗体付き温度ヒューズ部2は、発熱抵抗体21と、第1の温度ヒューズ素子2とを含んでいる。温度ヒューズ部3は、第2の温度ヒューズ素子31を含んでいる。第1の温度ヒューズ素子22は、発熱抵抗体21に熱的に結合されている。第2の温度ヒューズ素子31は、保護対象である電子回路52に熱的に結合されている。発熱抵抗体21は、端子4および5に電気的に接続されている。端子4は、電源51に電気的に接続されている。第1の温度ヒューズ素子22は、端子4に電気的に接続されているとともに、第2の温度ヒューズ素子31に直列接続されている。第2の温度ヒューズ素子31は、端子6に電気的に接続されている。端子6は、ノード501に電気的に接続されている。
【0023】
過電圧検出回路54は、ノード501,502と、端子5とに電気的に接続されている。過電圧検出回路54は、電子回路52に定格より大きい電圧が印加されたときに作動する。過電圧検出回路54は、ツェナーダイオード541と、トランジスタ542とを含んでいる。ツェナーダイオード541は、ノード501に電気的に接続されたカソードと、抵抗を介してトランジスタ542に電気的に接続されたアノードとを有している。トランジスタ542は、抵抗を介してツェナーダイオードに電気的に接続されたベースと、端子5に電気的に接続されたエミッタと、ノード502に電気的に接続されたコレクタとを有している。
【0024】
電子回路52に印加される電圧が、ツェナーダイオード541の降伏電圧以上になったとき、トランジスタ542にベース電流が流れ、ベース電流に応じて、トランジスタ542にコレクタ電流が流れる。コレクタ電流が流れることによって、発熱抵抗体21においてジュール熱が発生して、ジュール熱によって第1の温度ヒューズ素子22が溶断される。第1の温度ヒューズ素子22が溶断されることによって、電子回路52が電源51から遮断される。電子回路52に過電流が流れることによって、電子回路が規定以上に発熱した場合、電子回路52に熱的に結合されている第2の温度ヒューズ素子31が溶断される。第2の温度ヒューズ素子31が溶断されることによって、電子回路52が電源51から遮断される。
【0025】
本実施形態におけるヒューズ装置は、発熱抵抗体21および第1の温度ヒューズ素子22を含む発熱抵抗体付き温度ヒューズ部2と、第1の温度ヒューズ素子22に電気的に直列接続された第2の温度ヒューズ素子31とを含んでおり、発熱抵抗体21が、セラミック基体1に埋設されていることによって、発熱抵抗体付き温度ヒューズ機能および温度ヒューズ機能を有することができるとともに、小型化を図りつつ生産性を向上させることができる。
【0026】
本実施形態のヒューズ装置において、セラミック基体1が、中空部14を有しており、発熱抵抗体21が、中空部14および第1の温度ヒューズ素子22の間に設けられていることによって、本実施形態におけるヒューズ装置は、発熱抵抗体21によって発生されるジュール熱の損失に関して低減されている。従って、本実施形態におけるヒューズ装置は、過電圧状態における第1の温度ヒューズ素子22の溶断特性に関して向上されている。
【0027】
本実施形態のヒューズ装置において、発熱抵抗体21が、中空部14に露出されていることによって、本実施形態におけるヒューズ装置は、発熱抵抗体21の下面からセラミック基体1へのジュール熱の伝導に関して低減されており、過電圧状態における第1の温度ヒューズ素子22の溶断特性に関して向上されている。
【0028】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態におけるヒューズ装置について図6を参照して説明する。第2の実施形態のヒューズ装置において、第1の実施形態におけるヒューズ装置と異なる構成は、セラミック基体1において中空部14が設けられている位置である。その他の構成については、第1の実施形態におけるヒューズ装置と同様である。
【0029】
中空部14は、第1の温度ヒューズ素子22および中空部14によって発熱抵抗体21を挟むように発熱抵抗体21の下方に設けられているとともに、発熱抵抗体21から離間している。
【0030】
図7に模式的に示されているように、中空部14が発熱抵抗体21の下方に設けられていることによって、発熱抵抗体21によって発生されたジュール熱は、セラミック基体1の下面へ伝導されることに関して低減されており、第1の温度ヒューズ素子22へ伝導されることに関して向上されている。従って、ヒューズ装置は、発熱抵抗体21によって発生されるジュール熱の損失に関して低減されている。図7において、実線によるブロック矢印が、発熱抵抗体21から第1の温度ヒューズ素子22へのジュール熱の伝導を模式的に示しており、破線によるブロック矢印が、発熱抵抗体21からセラミック基体1の下面へのジュール熱の伝導を模式的に示している。
【0031】
中空部14は、真空状態を含む減圧状態であることが好ましい。中空部14が、減圧状態であることによって、発熱抵抗体21からセラミック基体1の下面へのジュール熱の伝導が低減されている。
【0032】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態におけるヒューズ装置について図8を参照して説明する。第3の実施形態のヒューズ装置において、第1の実施形態におけるヒューズ装置と異なる構成は、セラミック基体1の表面の構造である。セラミック基体1は、複数の凹部15,16を含む上面を有している。その他の構成については、第1の実施形態におけるヒューズ装置と同様である。
【0033】
第1の温度ヒューズ素子22は、凹部15内に設けられており、第2の温度ヒューズ素子31は、凹部16内に設けられている。図8において、封入部材82は、セラミック基体1の上面における構造を示すことを目的に、透視された状態で破線によって示されている。
【0034】
本実施形態のヒューズ装置において、第1の温度ヒューズ素子22が、凹部15内に設けられており、第2の温度ヒューズ素子31が、凹部16内に設けられていることによって、本実施形態におけるヒューズ装置は、第1の温度ヒューズ素子22または第2の温度ヒューズ素子31に伝導された熱の損失に関して低減されており、第1の温度ヒューズ素子22または第2の温度ヒューズ素子31の溶断特性に関して改善されている。
【0035】
本実施形態のヒューズ装置において、図6を参照して説明した第2の実施形態のヒューズ装置における中空部14に関する技術を適用することも可能である。
【0036】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態における回路基板について図9を参照して説明する。本実施形態における回路基板は、電子部品81および82を含む電子モジュールに用いられるものである。
【0037】
回路基板は、絶縁基体83に設けられた回路導体と、絶縁基体83に埋設されたヒューズ部90とを有している。例示的な絶縁基体83は、実質的にセラミックスからなる。回路導体は、電子部品81および82を電気的に接続している。ヒューズ部90は、回路導体を介して電子部品81および82を含む電子回路に電気的に接続されている。図9において、絶縁基体83の構造を示すことを目的に、電子部品81が、部分的に省略されて示されている。
【0038】
ヒューズ部90は、電子部品81の下方に設けられている。ヒューズ部90は、セラミック層91と、セラミック層91に設けられた発熱抵抗体付き温度ヒューズ部92と、温度ヒューズ部93とを含んでいる。図9において、ヒューズ部90は、内部構造を示すことを目的に、部分的に透視された状態で示されており、内部構造の一部が、点線によって示されている。
【0039】
発熱抵抗体付き温度ヒューズ部92は、セラミック層91に設けられており、発熱抵抗体921および第1の温度ヒューズ素子922を含んでいる。
【0040】
発熱抵抗体921は、セラミック層91に埋設されているとともに、焼成によってセラミック層91と一体的に形成されている。
【0041】
第1の温度ヒューズ素子922は、セラミック層91の表面に設けられているとともに、発熱抵抗体921に熱的に結合されている。“発熱抵抗体22に熱的に結合されている”とは、発熱抵抗体921および第1の温度ヒューズ素子922が、発熱抵抗体付き温度ヒューズとして一体的に機能するために、発熱抵抗体921によって発生されたジュール熱によって第1の温度ヒューズ素子922が溶断されるように、発熱抵抗体921から第1の温度ヒューズ素子922への伝熱経路が設けられていることをいう。第1の温度ヒューズ素子922は、発熱抵抗体921の直上に位置している。第1の温度ヒューズ素子922は、セラミック層91の上面に設けられた導体パターン971に電気的に接続されている。第1の温度ヒューズ素子922の材料例は、低融点可溶合金などである。
【0042】
温度ヒューズ部93は、第2の温度ヒューズ素子931を含んでいる。第2の温度ヒューズ素子931は、セラミック層91の表面に設けられており、第1の温度ヒューズ素子922に電気的に直列接続されている。第2の温度ヒューズ素子931は、セラミック層91の上面に設けられた導体パターン972を介して第1の温度ヒューズ素子922に電気的に接続されているとともに、セラミック層91の上面に設けられた導体パターン973に電気的に接続されている。第2の温度ヒューズ素子931の材料例は、低融点可溶合金などである。
【0043】
本実施形態における回路基板は、発熱抵抗体921および第1の温度ヒューズ素子922を含む発熱抵抗体付き温度ヒューズ部92と、第1の温度ヒューズ素子922に電気的に直列接続された第2の温度ヒューズ素子931とを含んでおり、発熱抵抗体921が、セラミック層91に埋設されていることによって、発熱抵抗体付き温度ヒューズ機能および温度ヒューズ機能を有するとともに、ヒューズ部90の占有部分を縮小させつつ生産性を向上させた回路基板を実現することができる。
【0044】
本実施形態の回路基板において、図1から図3までを参照して説明した第1の実施形態のヒューズ装置における中空部14に関する技術を適用することも可能である。
【0045】
本実施形態の回路基板において、図6を参照して説明した第2の実施形態のヒューズ装置における中空部14に関する技術を適用することも可能である。
【0046】
本実施形態の回路基板において、図8を参照して説明した第3の実施形態のヒューズ装置における凹部15,16に関する技術を適用することも可能である。
【0047】
上述のように実質的にセラミックスからなる回路基板について説明したが、本実施形態において、回路基板は、実質的に有機材料からなる絶縁基体の内部または表面に、第1の実施形態から第3の実施形態までのいずれかに示されたヒューズ装置が設けられたものを含む。
【符号の説明】
【0048】
1 セラミック基体
14 凹部
2 発熱抵抗体付き温度ヒューズ部
21 発熱抵抗体
22 第1の温度ヒューズ素子
3 温度ヒューズ部
31 第2の温度ヒューズ素子
4 端子
5 端子
6 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基体と、
発熱抵抗体および第1の温度ヒューズ素子を含んでおり、前記発熱抵抗体が前記セラミック基体の内部に該セラミック基体と一体的に設けられ、前記第1の温度ヒューズ素子が前記セラミック基体の表面に設けられているとともに前記発熱抵抗体に熱的に結合されている発熱抵抗体付き温度ヒューズ部と、
前記セラミック基体の表面に設けられ、前記第1の温度ヒューズ素子に電気的に直列接続された、保護対象に熱的に結合される第2の温度ヒューズ素子とを備えたことを特徴とするヒューズ装置。
【請求項2】
前記セラミック基体が中空部を有しており、前記発熱抵抗体が前記中空部および前記第1の温度ヒューズ素子の間に配置されていることを特徴とする請求項1記載のヒューズ装置。
【請求項3】
前記発熱抵抗体が前記中空部に露出されていることを特徴とする請求項2記載のヒューズ装置。
【請求項4】
前記中空部が減圧状態であることを特徴とする請求項2記載のヒューズ装置。
【請求項5】
前記第1の温度ヒューズ素子および前記第2の温度ヒューズ素子が、それぞれ前記セラミック基体の表面に設けられた凹部内に配置されていることを特徴とする請求項1記載のヒューズ装置。
【請求項6】
絶縁基体と、
該絶縁基体に設けられた回路導体と、
前記絶縁基体に設けられたヒューズ部とを備えており、
該ヒューズ部は、
セラミック層と、
発熱抵抗体および第1の温度ヒューズ素子を含んでおり、前記発熱抵抗体が前記セラミック層の内部に該セラミック層と一体的に設けられ、前記第1の温度ヒューズ素子が前記セラミック層の表面に設けられているとともに前記発熱抵抗体に熱的に結合されている発熱抵抗体付き温度ヒューズ部と、
前記セラミック層の表面に設けられ、前記第1の温度ヒューズ素子に電気的に直列接続された、保護対象に熱的に結合される第2の温度ヒューズ素子とを含んでいることを特徴とする回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−249177(P2011−249177A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122235(P2010−122235)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】