ヒンジ装置及びヒンジ装置用ブラケット
【課題】簡単な加工で短時間に加工することが可能なヒンジ装置を提供する。
【解決手段】ヒンジ装置は、第1部材と第2部材とを回動可能に連結する。相対回動可能となっており、前記第1部材及び第2部材のそれぞれに取り付けられる2つのブラケット2,3と、2つのブラケット2,3を直接又は間接に押し付けて摩擦トルクを発生させる摩擦トルク発生部材5とを備える。2つのブラケット2,3の内、一方のブラケット2は、他方のブラケット3を貫通して前記回動を支持する軸部22と、前記第1部材又は第2部材に取り付けられる取付部21とからなり、軸部22及び取付部21が板材を成形した一体構造物からなる。
【解決手段】ヒンジ装置は、第1部材と第2部材とを回動可能に連結する。相対回動可能となっており、前記第1部材及び第2部材のそれぞれに取り付けられる2つのブラケット2,3と、2つのブラケット2,3を直接又は間接に押し付けて摩擦トルクを発生させる摩擦トルク発生部材5とを備える。2つのブラケット2,3の内、一方のブラケット2は、他方のブラケット3を貫通して前記回動を支持する軸部22と、前記第1部材又は第2部材に取り付けられる取付部21とからなり、軸部22及び取付部21が板材を成形した一体構造物からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パソコン、携帯電話機などのOA機器や家電製品における開閉を行うため、一方の部材(本体等)に対して他方の部材(蓋体等)を回動可能に連結するヒンジ装置及びヒンジ装置に用いられるヒンジ装置用ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図25に示すノート型パソコン100においては、キーボード110、その他の操作キーが配置された第1部材(本体部)120と、液晶ディスプレイ130が配置された第2部材(蓋体部)140とを備えており、これらがヒンジ部150を介して連結されている。この構造では、ヒンジ部150を中心として第2部材140を矢印方向に沿って回動させることにより、第2部材140が開閉する。そして、第2部材140の開状態で第1部材120への操作が可能となる。このような機器において、ヒンジ部150は、第1部材120に対して第2部材140を開閉可能に連結すると共に、第2部材140を適宜の開角度で停止状態とする必要があり、そのためのヒンジ装置が従来より開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図26〜図28は、従来のヒンジ装置を示し、第1部材120に取り付けられるブラケット210と、第2部材140に取り付けられるシャフト220と、摩擦板230と、皿ばね240とを備えている。
【0004】
ブラケット210は、図26及び図29に示すように、第1部材120に固定される取付板部211と、取付板部211から起立した軸受板部212とを備えたプレス製の板状部材によって形成されている。軸受板部212は、シャフト220を支持するものであり、シャフト220が貫通する円形の軸孔214が形成されている。ブラケット210は、シャフト220に対して回動可能となっており、ブラケット210が回動することにより第2部材140が回動する。
【0005】
シャフト220は、図26及び図30に示すように、第2部材140に固定される取付部221と、取付部221から軸方向に延びた軸部222とを備えている。軸部222は、ブラケット210の軸孔214を貫通することにより、ブラケット210と相対回動可能に連結される。軸部222は、外形が平行カットなどの非円形に形成されており、摩擦板230、皿ばね240、ワッシャ250を回動拘束した状態で支持する。
【0006】
摩擦板230は、ブラケット210の軸受板部212と面接触するようにシャフト220に取り付けられる。図26及び図31に示すように、摩擦板230には、シャフト220の軸部222が貫通する軸孔231が形成されている。軸孔231は、シャフト220の軸部222に相応する非円形に形成されており、摩擦板230はシャフト220の軸部222に回動拘束された状態で支持される。
【0007】
皿ばね240は、摩擦板230と同様にシャフト220の軸部222に回動拘束状態で支持される。さらに、皿ばね240の後側には、ワッシャ250が配置され、ワッシャ250の後側のシャフト220の軸部222の端部を加締めて塑性変形させることにより、皿ばね240を圧縮する。この皿ばね240は、摩擦板230を軸方向に押し付けるため、摩擦板230とブラケット210の軸受板部212との間に回動方向の摩擦トルクTm(図27参照)が発生する。これにより、シャフト取付部221(第2部材140)を任意の角度で停止させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−20033号公報
【特許文献2】特許第3732619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のヒンジ装置において、シャフト220は、丸棒から切削加工等によって加工されるか、圧造によって加工するが、摩擦板230や皿ばね240、ワッシャ250を保持する軸部222を非円形とする必要がある。このため、形状が複雑になり、加工が面倒で機械加工時間が長く、加工費が増加する問題がある。又、シャフト220を圧造加工によって成形することができるが、ねじ孔等のアンダーカット部分は切削加工を行う必要があり、このため、同様に加工が面倒で加工時間が長くなっている。
【0010】
以上の従来のヒンジ装置では、形状が複雑なシャフト220の加工が面倒であり、加工が長時間となる問題がある。本発明は、このような問題点を考慮してなされたものであり、簡単な加工で短時間に加工することが可能なヒンジ装置及びヒンジ装置用ブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明のヒンジ装置は、第1部材と第2部材とを回動可能に連結するヒンジ装置であって、相対回動可能となっており、前記第1部材及び第2部材のそれぞれに取り付けられる2つのブラケットと、前記2つのブラケットを直接又は間接に押し付けて摩擦トルクを発生させる摩擦トルク発生部材とを備え、前記2つのブラケットの内、一方のブラケットは、他方のブラケットを貫通して前記回動を支持する軸部と、前記第1部材又は第2部材に取り付けられる取付部とからなり、前記軸部及び取付部が板材を成形した一体構造物からなることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のヒンジ装置であって、前記一方のブラケットは、前記板材をプレス成形した一体構造物であることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のヒンジ装置であって、前記軸部は、前記摩擦トルク発生部材を貫通していることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のヒンジ装置であって、前記ブラケットの相対回動の際に、自転トルクを発生させるカム面が前記他方のブラケットと摩擦トルク発生部材との間に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のヒンジ装置であって、前記摩擦トルク発生部材は、前記軸部の軸方向に沿って前記2つのブラケットを直接又は間接に押し付ける弾性部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のヒンジ装置であって、前記摩擦トルク発生部材は、前記2つのブラケットの間に配置されて2つのブラケットに重ね合わせられる摩擦板と、前記2つのブラケット及び前記摩擦板を前記軸部の軸方向に沿って相互に押し付ける弾性部材と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載のヒンジ装置用ブラケットは、相対回動可能に連結される第1部材及び第2部材のいずれか一方に取り付けられ、摩擦トルク発生部材が発生する摩擦トルクにより前記第1部材及び第2部材の間の回動角度を保持するブラケットであって、前記第1部材又は第2部材の内の一方の部材に取り付けられる取付部と、他方の部材に取り付けられるブラケットを貫通する軸部とからなり、前記軸部及び取付部が板材を成形した一体構造物であることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のヒンジ装置用ブラケットであって、前記板材をプレス成形した一体構造物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、軸部を有する第1ブラケットを板材のプレス加工によって形成するため、プレス抜き型の形状を変更するだけで軸部の断面形状を他の非円形断面とすることができ、設計の自由度が増大するばかりでなく、軸部の加工が簡単で短時間で加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態のヒンジ装置の全体を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施形態のヒンジ装置の断面図である。
【図3】第1実施形態のヒンジ装置の正面図である。
【図4】第1実施形態のヒンジ装置の作動を示す側面図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は第1実施形態の第1ブラケットを示す平面図、正面図、側面図である。
【図6】第1ブラケットを形成するためのブラケット原板の平面図である。
【図7】(a)、(b)、(c)は第1実施形態の第2ブラケットを示す平面図、正面図、側面図である。
【図8】(a)、(b)は、第1摩擦部材の側面図及び断面図である。
【図9】(a)、(b)は、第2摩擦部材の側面図及び断面図である。
【図10】(a)、(b)は、皿ばねの側面図及び断面図である。
【図11】(a)、(b)は、ワッシャの側面図及び断面図である。
【図12】(a)、(b)、(c)は、第1実施形態における第1ブラケットの変形形態を示す平面図、正面図、E−E線断面図ある。
【図13】(a)、(b)、(c)は、第1実施形態における第1ブラケットのさらに変形形態を示す平面図、正面図、F−F線断面図ある。
【図14】第2実施形態のヒンジ装置の全体を示す分解斜視図である。
【図15】第2実施形態のヒンジ装置の全体を示す断面図である。
【図16】第2実施形態のヒンジ装置の全体を示す正面図である。
【図17】第2実施形態のヒンジ装置の作動を示す側面図である。
【図18】第2実施形態の第2ブラケットを示す正面図である。
【図19】(a)、(b)は、第2実施形態の第2摩擦部材の側面図、断面図である。
【図20】第3実施形態のヒンジ装置を示す断面図である。
【図21】第3実施形態のヒンジ装置を示す正面図である。
【図22】第3実施形態のヒンジ装置を示す側面図である。
【図23】(a)、(b)、(c)は、第3実施形態の第2ブラケットを示す側面図、平面図、正面図である。
【図24】第3実施形態の第1ブラケットを示す正面図である。
【図25】ノート型パソコンの斜視図である。
【図26】従来のヒンジ装置を示す正面図である。
【図27】従来のヒンジ装置を示す平面図である。
【図28】従来のヒンジ装置の作動を示す側面図である。
【図29】(a)、(b)は、従来のヒンジ装置に用いられる第2ブラケットの正面図、側面図である。
【図30】(a)、(b)、(c)は、従来のヒンジ装置に用いられるシャフトの正面図、側面図、平面図である。
【図31】(a)、(b)は、従来のヒンジ装置に用いられる摩擦板の側面図、部分破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。なお、各実施形態において同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。
【0022】
(第1実施形態)
図1〜図11は、本発明の第1実施形態のヒンジ装置1を示し、図1は、全体の分解斜視図、図2は、全体の断面図、図3は、全体の正面図、図4は、作動を示す側面図である。
【0023】
図1〜図4に示すように、この実施形態のヒンジ装置1は、第1ブラケット2と、第2ブラケット3と、摩擦トルク発生部材5とを備えている。ヒンジ装置1は、例えば、図25に示すノート型パソコン100に適用されるものである。図25において、ノート型パソコン100は、キーボード110、その他の操作キーが配置された第1部材(本体部)120と、液晶ディスプレイ130が配置された第2部材(蓋体部)140とを備え、これらがヒンジ部150を介して連結されている。このノート型パソコン100においては、第2部材140を矢印方向に沿って回動させることにより、第2部材140がヒンジ部150を中心に開閉する。そして、第2部材140の開状態で第1部材120への操作が可能となる。本発明のヒンジ装置1は、ヒンジ部150に配置される。
【0024】
この実施形態のヒンジ装置1における第1ブラケット2は、上記第1部材120又は第2部材140のいずれか一方の部材に取り付けられ、第2ブラケット3は、第1部材120又は第2部材140の他方の部材に取り付けられる。これにより、ヒンジ装置1は、第1部材120と第2部材140とを相対回動可能に連結する。この実施形態では、第1ブラケット2が第1部材120に取り付けられ、第2ブラケット3が第2部材140に取り付けられることにより、第2部材140が回動可能となっている。このことにより第1部材に対する第2部材の角度調整を行うことができる。
【0025】
図5は、第1ブラケット2を示す。第1ブラケット2は、取付部21と、軸部22と、連結部23とを備えている。取付部21は、第1部材120又は第2部材140のいずれか一方の部材にねじ等により取り付けられるものであり、平板状となっていると共に固定用のねじが挿通するねじ孔21aが板厚方向に貫通している。連結部23は、取付部21及び軸部22を連結するものであり、平板状となって取付部21の一方の端部から直立状となって起立している。
【0026】
軸部22は、連結部23から直角状に屈曲することにより取付部21と略平行となっている。この実施形態において、軸部22は、取付部21と同じ方向に延びるように連結部23から屈曲している。軸部22は、丸軸ではなく、矩形平板状断面の軸体により構成されるものである(図1参照)。このような軸部22は、非円形断面となる。かかる軸部22は、幅が長さ方向に沿って変化する細長い平板状の軸体となっている。この場合、軸部22は、連結部23側の幅が最も大きく、先端部22aに向かって段階的に幅が小さくなる階段形状となっている。先端部22aには、略V字形の切欠部が形成されている。又、軸部22における連結部23側(根元側)には、段部22bが形成されている(図5(b)参照)。
【0027】
第1ブラケット2は、板材から成形されるものであり、板材をプレス成形することにより成形される。板材としては、SUS304やSAE1060等の金属材料を使用できる。金属材料の厚さとしては、1〜3mm等の薄板であることが良好であるが、これに限定されるものではない。このような板材を打ち抜き加工することにより、図6に示す平板状のブラケット原板6を形成し、このブラケット原板6をプレス型によってプレス成形し、鎖線で示す折曲線24を境にプレス折り曲げする。これにより、取付部21、軸部22、連結部23が一体となった一体構造物からなる第1ブラケット2を成形することができる。
【0028】
図7は、第2ブラケット3を示す。第2ブラケット3は、取付部31と、軸受部32と、連結部33とを有している。取付部31は、第1部材120又は第2部材140における他方の部材にねじ等により取り付けられるものであり、第1ブラケット2の取り付け側と反対側の部材に取り付けられる。この取付部31は、平板状となっていると共に固定用のねじが挿通するねじ孔31aが板厚方向に貫通している。連結部33は、取付部31及び軸受部32を連結するものであり、平板状となって取付部31の一方の端部から直角状に屈曲している。
【0029】
軸受部32は、連結部33における取付部31との反対側の端部に設けられている。軸受部32には、第1ブラケット2の軸部22が貫通する軸孔34が厚さ方向に貫通している。軸孔34は、軸部22が貫通可能な径を有した円形孔となっており、軸部22が軸孔34を貫通した状態となることにより、第2ブラケット3は第1ブラケット2の軸部22を中心にして第1ブラケット2に対して相対回動する。これにより、第2ブラケット3は、図4に示すように、第1ブラケット2に対して0°〜180°の範囲で相対回動することができる。以上の第2ブラケット3は、第1ブラケット2と同様に、板材を打ち抜きした後、プレス型でプレス成形することにより形成することができる。板材からなる第2ブラケット3の材料としては、SUS304やSAE1060等の金属材料が使用でき。厚さとしては、1〜3mm程度の薄板が適当である。
【0030】
摩擦トルク発生部材5は、第1摩擦部材51と、第2摩擦部材52と、弾性部材5Aとしての複数の皿ばね53とを備えている。摩擦トルク発生部材5における各部材には、第1ブラケット2の軸部22が貫通する。この貫通により摩擦トルク発生部材5の全体が第1ブラケット2に取り付けられる。摩擦トルク発生部材5における第1摩擦部材51は、第1ブラケット2と第2ブラケット3との間に配置され、第2摩擦部材52は第1摩擦部材51との間で第2ブラケット3の軸受部32を挟むように配置される。
【0031】
図8は、第1摩擦部材51を示し、左右の外面が平面で且つ外形が円形となっており、中央部分には、第1ブラケット2の軸部22が貫通する軸孔51aが厚さ方向に形成されている。軸孔51aは、軸部22に相応した矩形孔となっている。すなわち、軸孔51aは非円形となっている。第1ブラケット2の軸部22は、この軸孔51aに嵌合状態で貫通し、この貫通により第1摩擦部材51が軸部22に回動拘束状態で取り付けられる。このとき、第1摩擦部材51は、軸部22の段部22bに当接して軸部22の長さ方向に対する固定が行われる。この第1摩擦部材51は、回動拘束状態でその外面が第2ブラケット3の軸受部32と面接触する。
【0032】
図9は、第2摩擦部材52を示し、左右の外面が平面で且つ外形が円形となっており、第1ブラケット2の軸部22が貫通する軸孔52aが厚さ方向に形成されている。軸孔52aは、軸部22に相応した矩形孔となっている。すなわち、軸孔52aは、第1摩擦部材51の軸孔51aと同様に非円形に形成されるものである。第2摩擦部材52は、第1ブラケット2の軸部22に第1摩擦部材51及び第2ブラケット3を取り付けた後、その軸孔52aに軸部22が嵌合状態で貫通することにより第1ブラケット2に取り付けられる。この第2摩擦部材52は、外面が第2ブラケット3の軸受部32に面接触した状態となって軸部22に回動拘束状態で取り付けられる。
【0033】
図10は、弾性部材5Aを構成する複数の皿ばね53を示し、いずれも第1ブラケット2の軸部22に相応した非円形の矩形孔からなる軸孔53aが中央部分に形成されている。これらの皿ばね53は、第2摩擦部材52の後側から相互に重なった状態で配置され、軸孔53aに第1ブラケット2の軸部22が貫通することにより軸部22に回動拘束状態で取り付けられる。複数の皿ばね53の重ね合わせ数及び重ね合わせ向きは、適宜設定することができる。
【0034】
重ね合わせられた皿ばね53に対し、ワッシャ55が設けられる。図11は、ワッシャ55を示し、外形が円形となっており、中央部分には、第1ブラケット2の軸部22に相応した非円形の矩形孔からなる軸孔55aが形成されている。ワッシャ55は、複数の皿ばね53を軸部22に配置した後、軸部22に回動拘束状態で取り付けられる。これにより、皿ばね53の抜け止めが行われる。又、ワッシャ55を配置した後、第1ブラケット2の軸部22の先端部における切欠部を広げるように塑性変形させる。この塑性変形により複数の皿ばね53が撓むため、軸部22に沿った軸力が発生する。軸力が発生することにより、第2ブラケット3の軸受部と接触している摩擦部材51、52と第2ブラケット3の軸受部32との間に摩擦トルクTm(図4参照)が発生する。従って、第2ブラケット3を第1ブラケット2に対して0°〜180°の範囲内で相対回動させた後、回動力を解除すると、第2ブラケット3は摩擦トルクTmによりその回動角度の位置で停止する。これにより、第2ブラケット3が連結されている部材(この実施形態では、第2部材140)を所定の角度で停止させることができる。
【0035】
以上の実施形態によれば、取付部21及び軸部22を含む第1ブラケット2の全体が板材をプレス成形した一体構造物により形成されているため、第1部材120又は第2部材140への取り付け、第2ブラケット3の保持、第1及び第2摩擦部材51,52、皿ばね53及びワッシャ55の回動拘束状態での保持、第1及び第2摩擦部材51,52、皿ばね53及びワッシャ55への軸力付与、摩擦トルクの発生を第1ブラケット2だけで行うことができる。このため、部品点数を削減することができる。
【0036】
第1ブラケット2の軸部22が矩形平板状の断面となっているが、第1ブラケット2を板材のプレス加工によって形成しているため、プレス抜き型の形状を変更するだけで軸部22の断面形状を他の非円形断面とすることができ、設計の自由度が増大するばかりでなく、軸部22の加工が簡単で短時間で終了することができる。同様に、軸部22の長さの変更も容易に可能である。さらには、第1ブラケット2はプレス型を用いたプレス加工によって形成されるため、切削加工に比べて生産数量を多く確保することができ、コストを低減することができる。
【0037】
図12及び図13は、第1実施形態の変形々態を示す。図12の形態における第1ブラケット2の軸部22には、リブ26が形成されている。リブ26は、軸部22の軸方向に沿って形成されている。このリブ26は、軸部部分に対して一方向へのプレスを行うことにより第1ブラケット2のプレス成形と同時に形成することができ、その形成が簡単である。このようなリブ26を形成することにより、軸部22に強度を付与することができ、軸部22の変形を防止することが可能となる。
【0038】
図13の形態では、軸部22に丸みを付与するものである。軸部22は矩形断面に形成されるが、その4隅部分の丸みを形成することにより、第2ブラケット3と円滑に接触できるため、第2ブラケット3の回動を円滑に行うことができる。これにより、角度調整をスムーズに行うことができる。
【0039】
(第2実施形態)
図14〜図19は、本発明の第2実施形態のヒンジ装置1Aを示し、図14は、全体の分解斜視図、図15は、全体の断面図、図16は、全体の正面図、図17は、作動を示す側面図である。
【0040】
この第2実施形態のヒンジ装置1Aでは、カム面11が第2ブラケット3に形成され、カム面11に対応したカム面12が第2摩擦部材52に形成されている。その他の構造は、第1実施形態のヒンジ装置1と同様である。
【0041】
カム面11は、第2ブラケット3の軸受部32における軸孔34周囲に設けられている。図18に示すように、カム面11は、軸孔34の周囲における軸受部32の面よりも低くなる凹部11aと、軸受部32と同じ高さである凸部11cと、凹部11aと凸部11cとの間でこれらを連設する斜面部11bとによって形成されている。
【0042】
一方、カム面12は、軸受部32のカム面11に対応するように、第2摩擦部材52の対向面に形成されている。図19に示すように、カム面12は、第2摩擦部材52における軸孔52aの周囲に形成されるものであり、軸孔52aの周囲における面よりも低くなる凹部12aと、凹部12aよりも高くなる凸部12cと、凹部12aと凸部12cとの間でこれらを連設する斜面部12bとによって形成されている。
【0043】
カム面11,12は、相互に嵌合するようになっており、第1ブラケット2に対する第2ブラケット3の相対回動により、凹凸面が係脱する。この係脱によって第2ブラケット3(第2部材140)が自転することができる。かかる自転トルクT0は、図17に示すように、第2部材140の全閉角度付近(25°〜0°)お呼び全開角度付近(155°〜180°)で作用するように設定される。これにより、第2部材は、全閉手前から全閉状態になるまで、及び全開手前から全開状態となるまで自力で回動して開閉動作することができる。
【0044】
この実施形態では、自転トルクT0を発生するカム面11,12を形成することにより、蓋体部である第2部材140が所定の角度範囲で自動的に開閉動作するため、操作性が向上する。又、この実施形態では、所定角度範囲を外れた155°〜25°までの角度においては、第1実施形態と同様に摩擦トルク発生部材5が発生する摩擦トルクTmによって第2部材(第2ブラケット3)を任意の角度で保持することができる。その他の作用及び効果は第1実施形態と同様である。なお、カム面12としては、第2摩擦部材52に形成することなく、第1摩擦部材51における第2ブラケット3との対向面に形成することも可能である。
【0045】
(第3実施形態)
図20〜図24は、本発明の第3実施形態のヒンジ装置1Bを示し、図20は、全体の断面図、図21は、全体の平面図、図22は、全体の側面図である。
【0046】
この実施形態では、第2ブラケット3の両側にカム面が形成されると共に、第2ブラケット3を挟んだ摩擦部材にカム面が形成されている。
【0047】
図20〜図22及び図23に示すように、第2ブラケット3には、取付部31に連設した軸受筒部36が形成されている。軸受筒部36は、円形筒となっており、第1ブラケット2の非円形の軸部22が貫通する。この貫通により、第2ブラケット3が第1ブラケット2に対して相対回動可能となる。軸受筒部36の左右の端面には、凹部37a、凸部37c及びこれらを連設する斜面部37bとからなるカム面37が形成されている。なお、この実施形態においては、第1ブラケット2は、図24に示すように、矩形の非円形断面の軸部22と、軸部22の長さ方向に連設している平板状の取付部21とを有しており、これにより第1ブラケット2の全体は平面形状となっている。
【0048】
第2ブラケット3の左右両側には、板状の摩擦部材38,39が第2ブラケット3を挟むように配置されている。左右のそれぞれの摩擦部材38,39の外側には、弾性部材5Aとしての複数の皿ばね53が配置されている。そして、図20における左側の皿ばね53の外側には、第1実施形態におけると同様の第1摩擦部材51が配置され、右側の皿ばね53の外側には、第1実施形態と同様のワッシャ55が配置され、第1ブラケット2の軸部22の先端部22aを加締めて塑性変形させることにより皿ばね53を撓ませて第1ブラケット2の軸部22に沿った軸力を発生させる。この軸力は、軸部22の左右両側で発生する。従って、第2ブラケット3(第2部材140)を回動させて任意の角度で保持することができる。なお、以上の摩擦部材38,39、皿ばね53、ワッシャ55及び第1摩擦部材51には、第1ブラケット2の軸部22が貫通するものである。
【0049】
この実施形態において、図示を省略するが、軸受筒部36の両側に配置されている摩擦部材38,39の対向面には、軸受筒部36に形成されたカム面37と同様な凹部、凸部及び斜面部からなるカム面が形成されるものである。軸受筒部36の左右のカム面37及び軸受筒部36の両側にカム面は、相互に嵌合するようになっており、第1ブラケット2に対する第2ブラケット3の相対回動により、凹凸面が係脱する。この係脱によって第2ブラケット3(第2部材140)が自転することができる。かかる自転トルクT0は、図17に示すと同様に、第2部材140の全閉角度付近(25°〜0°)及び/又は全開角度付近(155°〜180°)で作用するように設定される。これにより、第2部材は、全閉手前から全閉状態になるまで及び/又は全開手前から全開状態となるまで自力で回動して開閉動作することができる。
【0050】
このような実施形態では、自転トルクT0を発生するカム面が軸受筒部36の左右両面に設けられているため、強力な自転トルクを発生することができる。このため、第2部材をさらに強力に全閉させることができる。
【0051】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、種々変形が可能である。例えば、弾性部材5Aとしては、皿ばねを用いることなく、コイルばねを用いてもよい。さらに、第1ブラケット2及び第2ブラケット3は、第1摩擦部材51を介して相互に押し付けられているが、第1ブラケット2及び第2ブラケット3を直接に押し付ける構造としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1A,1B…ヒンジ装置、2…第1ブラケット、3…第2ブラケット、5…摩擦トルク発生部材、5A…弾性部材、51…第1摩擦部材、52…第2摩擦部材、21…取付部、22…軸部、23…連結部、31…取付部、32…軸受部、33…軸受部、11、12、37…カム面 120…第1部材、140…第2部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パソコン、携帯電話機などのOA機器や家電製品における開閉を行うため、一方の部材(本体等)に対して他方の部材(蓋体等)を回動可能に連結するヒンジ装置及びヒンジ装置に用いられるヒンジ装置用ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図25に示すノート型パソコン100においては、キーボード110、その他の操作キーが配置された第1部材(本体部)120と、液晶ディスプレイ130が配置された第2部材(蓋体部)140とを備えており、これらがヒンジ部150を介して連結されている。この構造では、ヒンジ部150を中心として第2部材140を矢印方向に沿って回動させることにより、第2部材140が開閉する。そして、第2部材140の開状態で第1部材120への操作が可能となる。このような機器において、ヒンジ部150は、第1部材120に対して第2部材140を開閉可能に連結すると共に、第2部材140を適宜の開角度で停止状態とする必要があり、そのためのヒンジ装置が従来より開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図26〜図28は、従来のヒンジ装置を示し、第1部材120に取り付けられるブラケット210と、第2部材140に取り付けられるシャフト220と、摩擦板230と、皿ばね240とを備えている。
【0004】
ブラケット210は、図26及び図29に示すように、第1部材120に固定される取付板部211と、取付板部211から起立した軸受板部212とを備えたプレス製の板状部材によって形成されている。軸受板部212は、シャフト220を支持するものであり、シャフト220が貫通する円形の軸孔214が形成されている。ブラケット210は、シャフト220に対して回動可能となっており、ブラケット210が回動することにより第2部材140が回動する。
【0005】
シャフト220は、図26及び図30に示すように、第2部材140に固定される取付部221と、取付部221から軸方向に延びた軸部222とを備えている。軸部222は、ブラケット210の軸孔214を貫通することにより、ブラケット210と相対回動可能に連結される。軸部222は、外形が平行カットなどの非円形に形成されており、摩擦板230、皿ばね240、ワッシャ250を回動拘束した状態で支持する。
【0006】
摩擦板230は、ブラケット210の軸受板部212と面接触するようにシャフト220に取り付けられる。図26及び図31に示すように、摩擦板230には、シャフト220の軸部222が貫通する軸孔231が形成されている。軸孔231は、シャフト220の軸部222に相応する非円形に形成されており、摩擦板230はシャフト220の軸部222に回動拘束された状態で支持される。
【0007】
皿ばね240は、摩擦板230と同様にシャフト220の軸部222に回動拘束状態で支持される。さらに、皿ばね240の後側には、ワッシャ250が配置され、ワッシャ250の後側のシャフト220の軸部222の端部を加締めて塑性変形させることにより、皿ばね240を圧縮する。この皿ばね240は、摩擦板230を軸方向に押し付けるため、摩擦板230とブラケット210の軸受板部212との間に回動方向の摩擦トルクTm(図27参照)が発生する。これにより、シャフト取付部221(第2部材140)を任意の角度で停止させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−20033号公報
【特許文献2】特許第3732619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のヒンジ装置において、シャフト220は、丸棒から切削加工等によって加工されるか、圧造によって加工するが、摩擦板230や皿ばね240、ワッシャ250を保持する軸部222を非円形とする必要がある。このため、形状が複雑になり、加工が面倒で機械加工時間が長く、加工費が増加する問題がある。又、シャフト220を圧造加工によって成形することができるが、ねじ孔等のアンダーカット部分は切削加工を行う必要があり、このため、同様に加工が面倒で加工時間が長くなっている。
【0010】
以上の従来のヒンジ装置では、形状が複雑なシャフト220の加工が面倒であり、加工が長時間となる問題がある。本発明は、このような問題点を考慮してなされたものであり、簡単な加工で短時間に加工することが可能なヒンジ装置及びヒンジ装置用ブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明のヒンジ装置は、第1部材と第2部材とを回動可能に連結するヒンジ装置であって、相対回動可能となっており、前記第1部材及び第2部材のそれぞれに取り付けられる2つのブラケットと、前記2つのブラケットを直接又は間接に押し付けて摩擦トルクを発生させる摩擦トルク発生部材とを備え、前記2つのブラケットの内、一方のブラケットは、他方のブラケットを貫通して前記回動を支持する軸部と、前記第1部材又は第2部材に取り付けられる取付部とからなり、前記軸部及び取付部が板材を成形した一体構造物からなることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のヒンジ装置であって、前記一方のブラケットは、前記板材をプレス成形した一体構造物であることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のヒンジ装置であって、前記軸部は、前記摩擦トルク発生部材を貫通していることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のヒンジ装置であって、前記ブラケットの相対回動の際に、自転トルクを発生させるカム面が前記他方のブラケットと摩擦トルク発生部材との間に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のヒンジ装置であって、前記摩擦トルク発生部材は、前記軸部の軸方向に沿って前記2つのブラケットを直接又は間接に押し付ける弾性部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のヒンジ装置であって、前記摩擦トルク発生部材は、前記2つのブラケットの間に配置されて2つのブラケットに重ね合わせられる摩擦板と、前記2つのブラケット及び前記摩擦板を前記軸部の軸方向に沿って相互に押し付ける弾性部材と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載のヒンジ装置用ブラケットは、相対回動可能に連結される第1部材及び第2部材のいずれか一方に取り付けられ、摩擦トルク発生部材が発生する摩擦トルクにより前記第1部材及び第2部材の間の回動角度を保持するブラケットであって、前記第1部材又は第2部材の内の一方の部材に取り付けられる取付部と、他方の部材に取り付けられるブラケットを貫通する軸部とからなり、前記軸部及び取付部が板材を成形した一体構造物であることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のヒンジ装置用ブラケットであって、前記板材をプレス成形した一体構造物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、軸部を有する第1ブラケットを板材のプレス加工によって形成するため、プレス抜き型の形状を変更するだけで軸部の断面形状を他の非円形断面とすることができ、設計の自由度が増大するばかりでなく、軸部の加工が簡単で短時間で加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態のヒンジ装置の全体を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施形態のヒンジ装置の断面図である。
【図3】第1実施形態のヒンジ装置の正面図である。
【図4】第1実施形態のヒンジ装置の作動を示す側面図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は第1実施形態の第1ブラケットを示す平面図、正面図、側面図である。
【図6】第1ブラケットを形成するためのブラケット原板の平面図である。
【図7】(a)、(b)、(c)は第1実施形態の第2ブラケットを示す平面図、正面図、側面図である。
【図8】(a)、(b)は、第1摩擦部材の側面図及び断面図である。
【図9】(a)、(b)は、第2摩擦部材の側面図及び断面図である。
【図10】(a)、(b)は、皿ばねの側面図及び断面図である。
【図11】(a)、(b)は、ワッシャの側面図及び断面図である。
【図12】(a)、(b)、(c)は、第1実施形態における第1ブラケットの変形形態を示す平面図、正面図、E−E線断面図ある。
【図13】(a)、(b)、(c)は、第1実施形態における第1ブラケットのさらに変形形態を示す平面図、正面図、F−F線断面図ある。
【図14】第2実施形態のヒンジ装置の全体を示す分解斜視図である。
【図15】第2実施形態のヒンジ装置の全体を示す断面図である。
【図16】第2実施形態のヒンジ装置の全体を示す正面図である。
【図17】第2実施形態のヒンジ装置の作動を示す側面図である。
【図18】第2実施形態の第2ブラケットを示す正面図である。
【図19】(a)、(b)は、第2実施形態の第2摩擦部材の側面図、断面図である。
【図20】第3実施形態のヒンジ装置を示す断面図である。
【図21】第3実施形態のヒンジ装置を示す正面図である。
【図22】第3実施形態のヒンジ装置を示す側面図である。
【図23】(a)、(b)、(c)は、第3実施形態の第2ブラケットを示す側面図、平面図、正面図である。
【図24】第3実施形態の第1ブラケットを示す正面図である。
【図25】ノート型パソコンの斜視図である。
【図26】従来のヒンジ装置を示す正面図である。
【図27】従来のヒンジ装置を示す平面図である。
【図28】従来のヒンジ装置の作動を示す側面図である。
【図29】(a)、(b)は、従来のヒンジ装置に用いられる第2ブラケットの正面図、側面図である。
【図30】(a)、(b)、(c)は、従来のヒンジ装置に用いられるシャフトの正面図、側面図、平面図である。
【図31】(a)、(b)は、従来のヒンジ装置に用いられる摩擦板の側面図、部分破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。なお、各実施形態において同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。
【0022】
(第1実施形態)
図1〜図11は、本発明の第1実施形態のヒンジ装置1を示し、図1は、全体の分解斜視図、図2は、全体の断面図、図3は、全体の正面図、図4は、作動を示す側面図である。
【0023】
図1〜図4に示すように、この実施形態のヒンジ装置1は、第1ブラケット2と、第2ブラケット3と、摩擦トルク発生部材5とを備えている。ヒンジ装置1は、例えば、図25に示すノート型パソコン100に適用されるものである。図25において、ノート型パソコン100は、キーボード110、その他の操作キーが配置された第1部材(本体部)120と、液晶ディスプレイ130が配置された第2部材(蓋体部)140とを備え、これらがヒンジ部150を介して連結されている。このノート型パソコン100においては、第2部材140を矢印方向に沿って回動させることにより、第2部材140がヒンジ部150を中心に開閉する。そして、第2部材140の開状態で第1部材120への操作が可能となる。本発明のヒンジ装置1は、ヒンジ部150に配置される。
【0024】
この実施形態のヒンジ装置1における第1ブラケット2は、上記第1部材120又は第2部材140のいずれか一方の部材に取り付けられ、第2ブラケット3は、第1部材120又は第2部材140の他方の部材に取り付けられる。これにより、ヒンジ装置1は、第1部材120と第2部材140とを相対回動可能に連結する。この実施形態では、第1ブラケット2が第1部材120に取り付けられ、第2ブラケット3が第2部材140に取り付けられることにより、第2部材140が回動可能となっている。このことにより第1部材に対する第2部材の角度調整を行うことができる。
【0025】
図5は、第1ブラケット2を示す。第1ブラケット2は、取付部21と、軸部22と、連結部23とを備えている。取付部21は、第1部材120又は第2部材140のいずれか一方の部材にねじ等により取り付けられるものであり、平板状となっていると共に固定用のねじが挿通するねじ孔21aが板厚方向に貫通している。連結部23は、取付部21及び軸部22を連結するものであり、平板状となって取付部21の一方の端部から直立状となって起立している。
【0026】
軸部22は、連結部23から直角状に屈曲することにより取付部21と略平行となっている。この実施形態において、軸部22は、取付部21と同じ方向に延びるように連結部23から屈曲している。軸部22は、丸軸ではなく、矩形平板状断面の軸体により構成されるものである(図1参照)。このような軸部22は、非円形断面となる。かかる軸部22は、幅が長さ方向に沿って変化する細長い平板状の軸体となっている。この場合、軸部22は、連結部23側の幅が最も大きく、先端部22aに向かって段階的に幅が小さくなる階段形状となっている。先端部22aには、略V字形の切欠部が形成されている。又、軸部22における連結部23側(根元側)には、段部22bが形成されている(図5(b)参照)。
【0027】
第1ブラケット2は、板材から成形されるものであり、板材をプレス成形することにより成形される。板材としては、SUS304やSAE1060等の金属材料を使用できる。金属材料の厚さとしては、1〜3mm等の薄板であることが良好であるが、これに限定されるものではない。このような板材を打ち抜き加工することにより、図6に示す平板状のブラケット原板6を形成し、このブラケット原板6をプレス型によってプレス成形し、鎖線で示す折曲線24を境にプレス折り曲げする。これにより、取付部21、軸部22、連結部23が一体となった一体構造物からなる第1ブラケット2を成形することができる。
【0028】
図7は、第2ブラケット3を示す。第2ブラケット3は、取付部31と、軸受部32と、連結部33とを有している。取付部31は、第1部材120又は第2部材140における他方の部材にねじ等により取り付けられるものであり、第1ブラケット2の取り付け側と反対側の部材に取り付けられる。この取付部31は、平板状となっていると共に固定用のねじが挿通するねじ孔31aが板厚方向に貫通している。連結部33は、取付部31及び軸受部32を連結するものであり、平板状となって取付部31の一方の端部から直角状に屈曲している。
【0029】
軸受部32は、連結部33における取付部31との反対側の端部に設けられている。軸受部32には、第1ブラケット2の軸部22が貫通する軸孔34が厚さ方向に貫通している。軸孔34は、軸部22が貫通可能な径を有した円形孔となっており、軸部22が軸孔34を貫通した状態となることにより、第2ブラケット3は第1ブラケット2の軸部22を中心にして第1ブラケット2に対して相対回動する。これにより、第2ブラケット3は、図4に示すように、第1ブラケット2に対して0°〜180°の範囲で相対回動することができる。以上の第2ブラケット3は、第1ブラケット2と同様に、板材を打ち抜きした後、プレス型でプレス成形することにより形成することができる。板材からなる第2ブラケット3の材料としては、SUS304やSAE1060等の金属材料が使用でき。厚さとしては、1〜3mm程度の薄板が適当である。
【0030】
摩擦トルク発生部材5は、第1摩擦部材51と、第2摩擦部材52と、弾性部材5Aとしての複数の皿ばね53とを備えている。摩擦トルク発生部材5における各部材には、第1ブラケット2の軸部22が貫通する。この貫通により摩擦トルク発生部材5の全体が第1ブラケット2に取り付けられる。摩擦トルク発生部材5における第1摩擦部材51は、第1ブラケット2と第2ブラケット3との間に配置され、第2摩擦部材52は第1摩擦部材51との間で第2ブラケット3の軸受部32を挟むように配置される。
【0031】
図8は、第1摩擦部材51を示し、左右の外面が平面で且つ外形が円形となっており、中央部分には、第1ブラケット2の軸部22が貫通する軸孔51aが厚さ方向に形成されている。軸孔51aは、軸部22に相応した矩形孔となっている。すなわち、軸孔51aは非円形となっている。第1ブラケット2の軸部22は、この軸孔51aに嵌合状態で貫通し、この貫通により第1摩擦部材51が軸部22に回動拘束状態で取り付けられる。このとき、第1摩擦部材51は、軸部22の段部22bに当接して軸部22の長さ方向に対する固定が行われる。この第1摩擦部材51は、回動拘束状態でその外面が第2ブラケット3の軸受部32と面接触する。
【0032】
図9は、第2摩擦部材52を示し、左右の外面が平面で且つ外形が円形となっており、第1ブラケット2の軸部22が貫通する軸孔52aが厚さ方向に形成されている。軸孔52aは、軸部22に相応した矩形孔となっている。すなわち、軸孔52aは、第1摩擦部材51の軸孔51aと同様に非円形に形成されるものである。第2摩擦部材52は、第1ブラケット2の軸部22に第1摩擦部材51及び第2ブラケット3を取り付けた後、その軸孔52aに軸部22が嵌合状態で貫通することにより第1ブラケット2に取り付けられる。この第2摩擦部材52は、外面が第2ブラケット3の軸受部32に面接触した状態となって軸部22に回動拘束状態で取り付けられる。
【0033】
図10は、弾性部材5Aを構成する複数の皿ばね53を示し、いずれも第1ブラケット2の軸部22に相応した非円形の矩形孔からなる軸孔53aが中央部分に形成されている。これらの皿ばね53は、第2摩擦部材52の後側から相互に重なった状態で配置され、軸孔53aに第1ブラケット2の軸部22が貫通することにより軸部22に回動拘束状態で取り付けられる。複数の皿ばね53の重ね合わせ数及び重ね合わせ向きは、適宜設定することができる。
【0034】
重ね合わせられた皿ばね53に対し、ワッシャ55が設けられる。図11は、ワッシャ55を示し、外形が円形となっており、中央部分には、第1ブラケット2の軸部22に相応した非円形の矩形孔からなる軸孔55aが形成されている。ワッシャ55は、複数の皿ばね53を軸部22に配置した後、軸部22に回動拘束状態で取り付けられる。これにより、皿ばね53の抜け止めが行われる。又、ワッシャ55を配置した後、第1ブラケット2の軸部22の先端部における切欠部を広げるように塑性変形させる。この塑性変形により複数の皿ばね53が撓むため、軸部22に沿った軸力が発生する。軸力が発生することにより、第2ブラケット3の軸受部と接触している摩擦部材51、52と第2ブラケット3の軸受部32との間に摩擦トルクTm(図4参照)が発生する。従って、第2ブラケット3を第1ブラケット2に対して0°〜180°の範囲内で相対回動させた後、回動力を解除すると、第2ブラケット3は摩擦トルクTmによりその回動角度の位置で停止する。これにより、第2ブラケット3が連結されている部材(この実施形態では、第2部材140)を所定の角度で停止させることができる。
【0035】
以上の実施形態によれば、取付部21及び軸部22を含む第1ブラケット2の全体が板材をプレス成形した一体構造物により形成されているため、第1部材120又は第2部材140への取り付け、第2ブラケット3の保持、第1及び第2摩擦部材51,52、皿ばね53及びワッシャ55の回動拘束状態での保持、第1及び第2摩擦部材51,52、皿ばね53及びワッシャ55への軸力付与、摩擦トルクの発生を第1ブラケット2だけで行うことができる。このため、部品点数を削減することができる。
【0036】
第1ブラケット2の軸部22が矩形平板状の断面となっているが、第1ブラケット2を板材のプレス加工によって形成しているため、プレス抜き型の形状を変更するだけで軸部22の断面形状を他の非円形断面とすることができ、設計の自由度が増大するばかりでなく、軸部22の加工が簡単で短時間で終了することができる。同様に、軸部22の長さの変更も容易に可能である。さらには、第1ブラケット2はプレス型を用いたプレス加工によって形成されるため、切削加工に比べて生産数量を多く確保することができ、コストを低減することができる。
【0037】
図12及び図13は、第1実施形態の変形々態を示す。図12の形態における第1ブラケット2の軸部22には、リブ26が形成されている。リブ26は、軸部22の軸方向に沿って形成されている。このリブ26は、軸部部分に対して一方向へのプレスを行うことにより第1ブラケット2のプレス成形と同時に形成することができ、その形成が簡単である。このようなリブ26を形成することにより、軸部22に強度を付与することができ、軸部22の変形を防止することが可能となる。
【0038】
図13の形態では、軸部22に丸みを付与するものである。軸部22は矩形断面に形成されるが、その4隅部分の丸みを形成することにより、第2ブラケット3と円滑に接触できるため、第2ブラケット3の回動を円滑に行うことができる。これにより、角度調整をスムーズに行うことができる。
【0039】
(第2実施形態)
図14〜図19は、本発明の第2実施形態のヒンジ装置1Aを示し、図14は、全体の分解斜視図、図15は、全体の断面図、図16は、全体の正面図、図17は、作動を示す側面図である。
【0040】
この第2実施形態のヒンジ装置1Aでは、カム面11が第2ブラケット3に形成され、カム面11に対応したカム面12が第2摩擦部材52に形成されている。その他の構造は、第1実施形態のヒンジ装置1と同様である。
【0041】
カム面11は、第2ブラケット3の軸受部32における軸孔34周囲に設けられている。図18に示すように、カム面11は、軸孔34の周囲における軸受部32の面よりも低くなる凹部11aと、軸受部32と同じ高さである凸部11cと、凹部11aと凸部11cとの間でこれらを連設する斜面部11bとによって形成されている。
【0042】
一方、カム面12は、軸受部32のカム面11に対応するように、第2摩擦部材52の対向面に形成されている。図19に示すように、カム面12は、第2摩擦部材52における軸孔52aの周囲に形成されるものであり、軸孔52aの周囲における面よりも低くなる凹部12aと、凹部12aよりも高くなる凸部12cと、凹部12aと凸部12cとの間でこれらを連設する斜面部12bとによって形成されている。
【0043】
カム面11,12は、相互に嵌合するようになっており、第1ブラケット2に対する第2ブラケット3の相対回動により、凹凸面が係脱する。この係脱によって第2ブラケット3(第2部材140)が自転することができる。かかる自転トルクT0は、図17に示すように、第2部材140の全閉角度付近(25°〜0°)お呼び全開角度付近(155°〜180°)で作用するように設定される。これにより、第2部材は、全閉手前から全閉状態になるまで、及び全開手前から全開状態となるまで自力で回動して開閉動作することができる。
【0044】
この実施形態では、自転トルクT0を発生するカム面11,12を形成することにより、蓋体部である第2部材140が所定の角度範囲で自動的に開閉動作するため、操作性が向上する。又、この実施形態では、所定角度範囲を外れた155°〜25°までの角度においては、第1実施形態と同様に摩擦トルク発生部材5が発生する摩擦トルクTmによって第2部材(第2ブラケット3)を任意の角度で保持することができる。その他の作用及び効果は第1実施形態と同様である。なお、カム面12としては、第2摩擦部材52に形成することなく、第1摩擦部材51における第2ブラケット3との対向面に形成することも可能である。
【0045】
(第3実施形態)
図20〜図24は、本発明の第3実施形態のヒンジ装置1Bを示し、図20は、全体の断面図、図21は、全体の平面図、図22は、全体の側面図である。
【0046】
この実施形態では、第2ブラケット3の両側にカム面が形成されると共に、第2ブラケット3を挟んだ摩擦部材にカム面が形成されている。
【0047】
図20〜図22及び図23に示すように、第2ブラケット3には、取付部31に連設した軸受筒部36が形成されている。軸受筒部36は、円形筒となっており、第1ブラケット2の非円形の軸部22が貫通する。この貫通により、第2ブラケット3が第1ブラケット2に対して相対回動可能となる。軸受筒部36の左右の端面には、凹部37a、凸部37c及びこれらを連設する斜面部37bとからなるカム面37が形成されている。なお、この実施形態においては、第1ブラケット2は、図24に示すように、矩形の非円形断面の軸部22と、軸部22の長さ方向に連設している平板状の取付部21とを有しており、これにより第1ブラケット2の全体は平面形状となっている。
【0048】
第2ブラケット3の左右両側には、板状の摩擦部材38,39が第2ブラケット3を挟むように配置されている。左右のそれぞれの摩擦部材38,39の外側には、弾性部材5Aとしての複数の皿ばね53が配置されている。そして、図20における左側の皿ばね53の外側には、第1実施形態におけると同様の第1摩擦部材51が配置され、右側の皿ばね53の外側には、第1実施形態と同様のワッシャ55が配置され、第1ブラケット2の軸部22の先端部22aを加締めて塑性変形させることにより皿ばね53を撓ませて第1ブラケット2の軸部22に沿った軸力を発生させる。この軸力は、軸部22の左右両側で発生する。従って、第2ブラケット3(第2部材140)を回動させて任意の角度で保持することができる。なお、以上の摩擦部材38,39、皿ばね53、ワッシャ55及び第1摩擦部材51には、第1ブラケット2の軸部22が貫通するものである。
【0049】
この実施形態において、図示を省略するが、軸受筒部36の両側に配置されている摩擦部材38,39の対向面には、軸受筒部36に形成されたカム面37と同様な凹部、凸部及び斜面部からなるカム面が形成されるものである。軸受筒部36の左右のカム面37及び軸受筒部36の両側にカム面は、相互に嵌合するようになっており、第1ブラケット2に対する第2ブラケット3の相対回動により、凹凸面が係脱する。この係脱によって第2ブラケット3(第2部材140)が自転することができる。かかる自転トルクT0は、図17に示すと同様に、第2部材140の全閉角度付近(25°〜0°)及び/又は全開角度付近(155°〜180°)で作用するように設定される。これにより、第2部材は、全閉手前から全閉状態になるまで及び/又は全開手前から全開状態となるまで自力で回動して開閉動作することができる。
【0050】
このような実施形態では、自転トルクT0を発生するカム面が軸受筒部36の左右両面に設けられているため、強力な自転トルクを発生することができる。このため、第2部材をさらに強力に全閉させることができる。
【0051】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、種々変形が可能である。例えば、弾性部材5Aとしては、皿ばねを用いることなく、コイルばねを用いてもよい。さらに、第1ブラケット2及び第2ブラケット3は、第1摩擦部材51を介して相互に押し付けられているが、第1ブラケット2及び第2ブラケット3を直接に押し付ける構造としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1A,1B…ヒンジ装置、2…第1ブラケット、3…第2ブラケット、5…摩擦トルク発生部材、5A…弾性部材、51…第1摩擦部材、52…第2摩擦部材、21…取付部、22…軸部、23…連結部、31…取付部、32…軸受部、33…軸受部、11、12、37…カム面 120…第1部材、140…第2部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材とを回動可能に連結するヒンジ装置であって、
相対回動可能となっており、前記第1部材及び第2部材のそれぞれに取り付けられる2つのブラケットと、
前記2つのブラケットを直接又は間接に押し付けて摩擦トルクを発生させる摩擦トルク発生部材とを備え、
前記2つのブラケットの内、一方のブラケットは、他方のブラケットを貫通して前記回動を支持する軸部と、前記第1部材又は第2部材に取り付けられる取付部とからなり、前記軸部及び取付部が板材を成形した一体構造物からなることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
前記一方のブラケットは、前記板材をプレス成形した一体構造物であることを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
【請求項3】
前記軸部は、前記摩擦トルク発生部材を貫通していることを特徴とする請求項1又は2記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記ブラケットの相対回動の際に、自転トルクを発生させるカム面が前記他方のブラケットと摩擦トルク発生部材との間に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のヒンジ装置。
【請求項5】
前記摩擦トルク発生部材は、前記軸部の軸方向に沿って前記2つのブラケットを直接又は間接に押し付ける弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のヒンジ装置。
【請求項6】
前記摩擦トルク発生部材は、前記2つのブラケットの間に配置されて2つのブラケットに重ね合わせられる摩擦板と、前記2つのブラケット及び前記摩擦板を前記軸部の軸方向に沿って相互に押し付ける弾性部材と、を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のヒンジ装置。
【請求項7】
相対回動可能に連結される第1部材及び第2部材のいずれか一方に取り付けられ、摩擦トルク発生部材が発生する摩擦トルクにより前記第1部材及び第2部材の間の回動角度を保持するブラケットであって、
前記第1部材又は第2部材の内の一方の部材に取り付けられる取付部と、他方の部材に取り付けられるブラケットを貫通する軸部とからなり、前記軸部及び取付部が板材を成形した一体構造物であることを特徴とするヒンジ装置用ブラケット。
【請求項8】
前記板材をプレス成形した一体構造物であることを特徴とする請求項7記載のヒンジ装置用ブラケット。
【請求項1】
第1部材と第2部材とを回動可能に連結するヒンジ装置であって、
相対回動可能となっており、前記第1部材及び第2部材のそれぞれに取り付けられる2つのブラケットと、
前記2つのブラケットを直接又は間接に押し付けて摩擦トルクを発生させる摩擦トルク発生部材とを備え、
前記2つのブラケットの内、一方のブラケットは、他方のブラケットを貫通して前記回動を支持する軸部と、前記第1部材又は第2部材に取り付けられる取付部とからなり、前記軸部及び取付部が板材を成形した一体構造物からなることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
前記一方のブラケットは、前記板材をプレス成形した一体構造物であることを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
【請求項3】
前記軸部は、前記摩擦トルク発生部材を貫通していることを特徴とする請求項1又は2記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記ブラケットの相対回動の際に、自転トルクを発生させるカム面が前記他方のブラケットと摩擦トルク発生部材との間に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のヒンジ装置。
【請求項5】
前記摩擦トルク発生部材は、前記軸部の軸方向に沿って前記2つのブラケットを直接又は間接に押し付ける弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のヒンジ装置。
【請求項6】
前記摩擦トルク発生部材は、前記2つのブラケットの間に配置されて2つのブラケットに重ね合わせられる摩擦板と、前記2つのブラケット及び前記摩擦板を前記軸部の軸方向に沿って相互に押し付ける弾性部材と、を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のヒンジ装置。
【請求項7】
相対回動可能に連結される第1部材及び第2部材のいずれか一方に取り付けられ、摩擦トルク発生部材が発生する摩擦トルクにより前記第1部材及び第2部材の間の回動角度を保持するブラケットであって、
前記第1部材又は第2部材の内の一方の部材に取り付けられる取付部と、他方の部材に取り付けられるブラケットを貫通する軸部とからなり、前記軸部及び取付部が板材を成形した一体構造物であることを特徴とするヒンジ装置用ブラケット。
【請求項8】
前記板材をプレス成形した一体構造物であることを特徴とする請求項7記載のヒンジ装置用ブラケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2010−276138(P2010−276138A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130278(P2009−130278)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
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