説明

ヒンジ装置

【課題】薄型表示装置などの支持対象物をスイベル方向とチルト方向とに回動可能な小型なヒンジ装置を提供する。
【解決手段】スイベルヒンジ機構20を介してスイベル方向に回動自在にベース板13の上側に可動板21を設け、チルトヒンジ機構30を介してチルト方向に回動自在に可動板21の上側に可動ブラケット31を設け、チルトヒンジ機構30として、1対の縦壁部33aを背中合わせにして可動板21上に固定される固定ブラケット33と、固定ブラケット33の縦壁部33aの両側に配置される1対の縦壁部31aを有する可動ブラケット31と、固定ブラケット33の縦壁部33aと可動ブラケット31の縦壁部31aとを挿通するチルト軸35と、可動ブラケット31の回動操作に操作抵抗を付与する第2バネ部材37とを備えたものを用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビやプラズマテレビなどの薄型表示装置を支持するのに好適なヒンジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビやプラズマテレビなどの薄型表示装置をチルト方向及びスイベル方向に回動自在に支持するヒンジ装置として、水平板部と該水平板部の両端からそれぞれ上方に延設された右側板部および左側板部とからなる断面コ字形の回動子を備え、前記水平板部と設置台の上端とをスイベルヒンジ機構により接続し、前記右側板部および左側板部と前記薄型表示装置の本体部とをチルトヒンジ機構により接続したヒンジ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−275183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1記載のヒンジ装置では、断面コ字形の回転子の左板部及び右板部にチルトヒンジ機構をそれぞれ設ける関係上、ヒンジ装置が左右方向に大型になり、薄型表示装置のデザイン上の自由度が低下したり、部品点数が増えてヒンジ装置の製作コストが高くなったりするという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、薄型表示装置などの支持対象物をスイベル方向とチルト方向とに回動可能な小型なヒンジ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るヒンジ装置は、スイベルヒンジ機構を介してスイベル方向に回動自在にベース板の上側に可動板を設け、チルトヒンジ機構を介してチルト方向に回動自在に前記可動板の上側に可動ブラケットを設けたものである。
【0007】
このヒンジ装置では、ベース板を台座等に固定し、可動ブラケットを薄型表示装置などの支持対象物に固定して、該支持対象物をスイベル方向とチルト方向とに回動可能に支持することになるが、チルトヒンジ機構とスイベルヒンジ機構とが可動板を挟んで上下に配置されているので、ヒンジ装置を小型な横断面の柱状に構成することが可能となる。
【0008】
ここで、前記スイベルヒンジ機構として、前記ベース板を貫通して下方へ延びる、可動板に設けたスイベル軸と、前記スイベル軸の下端のフランジ部と可動板間に介装され、前記スイベル軸を中心とした可動板の回動操作に操作抵抗を付与する第1バネ部材とを備えたものを用い、前記チルトヒンジ機構として、1対の縦壁部を背中合わせにして可動板上に固定される固定ブラケットと、前記固定ブラケットの縦壁部の両側に配置される1対の縦壁部を有する可動ブラケットと、前記固定ブラケットの縦壁部と前記可動ブラケットの縦壁部とを挿通するチルト軸と、前記チルト軸の少なくとも一端のフランジ部と可動ブラケットの縦壁部間に介装され、前記可動ブラケットの回動操作に操作抵抗を付与する第2バネ部材とを備えたものを用いることが好ましい実施の形態である。この場合には、第1バネ部材により可動板のスイベル方向への回動操作に操作抵抗が付与されて、スイベル方向に回動操作した位置に支持対象物を保持でき、また第2バネ部材により可動ブラケットのチルト方向への回動操作に操作抵抗が付与されて、チルト方向に回動操作した位置に支持対象物を保持できることになる。また、スイベルヒンジ機構では、可動板に作用する荷重の大部分をベース板で受圧できるので、比較的容易に機械的強度を確保でき、しかも可動板と、上下方向のスイベル軸と、スイベル軸に外装された第1バネ部材とを主体として構成できるので、水平方向に小型に構成でき、またチルトヒンジ機構は、背中合わせに配置した固定ブラケットの1対の縦壁部の両側に、可動ブラケットの1対の縦壁部を配置させて、両縦壁部をチルト軸で連結しているので、機械的強度を十分に確保しつつ水平方向に小型に構成できる。このため、このヒンジ装置では、機械的強度を十分に確保しつつ、ヒンジ装置全体を小型な横断面の柱状に構成することができる。
【0009】
前記ベース板と可動板とを略同径の円板状に形成し、前記可動板に対する固定ブラケットの取付部を可動板と略同径或いはやや小径の半円板状に形成することも好ましい実施の形態である。この場合には、ヒンジ装置を小径な円柱状に構成することができる。例えば、40〜55インチの液晶テレビを直径43mmの小径な円柱状のヒンジ装置で支持することが可能となる。
【0010】
前記可動ブラケットの縦壁部の下端部に、前記可動板に対する固定ブラケットの取付部の上面に当接して、前記チルト軸を中心とした可動ブラケットの回動範囲を規制する規制部を形成することも好ましい実施の形態である。この場合には、可動ブラケットのチルト方向への回動範囲を、簡単な構成の規制部を設けることで、容易に且つ精度良く設定することが可能となる。
【0011】
前記可動板とベース板の一方にスイベル軸を中心とした一定角度の範囲にわたる規制孔を形成し、他方に規制孔に挿入される係止突起を形成することもできる。この場合には、可動板及びベース板のプレス成形時に規制孔及び係止突部を同時成形することで、製作コストの上昇を招くことなく、支持対象物のスイベル方向に対する回動可能な角度範囲を適正に設定できる。
【0012】
前記チルト軸を固定ブラケットの縦壁部に相対回転不能に挿通するとともに、前記可動ブラケットの縦壁部に相対回転自在に挿通し、前記チルト軸の両端部のフランジ部と可動ブラケット間に、前記チルト軸に対して相対回転不能に座金をそれぞれ介装することもできる。この場合には、可動ブラケットの縦壁部の両側にチルト軸を介して相対回転不能な固定ブラケットと座金が配置されるので、可動ブラケットのチルト方向に対する操作抵抗を大きく設定して、大型な大重量の支持対象物でもチルト操作した位置に安定性良く保持できる。
【0013】
前記固定ブラケットの縦壁部と可動ブラケットの縦壁部とに、相互に凹凸嵌合する環状突部と環状凹部をチルト軸と同心状にプレス成形により形成することが好ましい実施の形態である。この場合には、固定ブラケット及び可動ブラケットの製作コストの上昇を招くことなく、環状突部と環状凹部との凹凸嵌合により、両者の組付け精度を格段に向上できる。
【0014】
前記固定ブラケット及び可動ブラケットを縦壁部と取付部とを有するL字状に形成し、前記固定ブラケットの取付部と、前記可動ブラケットの取付部間に、前記チルト軸の端部を覆うように合成樹脂材料からなるガタ防止用のホルダ部材を設けることもできる。この場合には、可動ブラケットの左右方向への倒れをホルダ部材により受け止めて、支持対象物の左右両側の上下方向へのガタを効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るヒンジ装置によれば、ベース板を台座等に固定し、可動ブラケットを薄型表示装置などの支持対象物に固定して、該支持対象物をスイベル方向とチルト方向とに回動可能に支持することになるが、チルトヒンジ機構とスイベルヒンジ機構とが可動板を挟んで上下に配置されているので、ヒンジ装置を小型な横断面の柱状に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】表示装置の斜視図
【図2】ヒンジ装置の分解斜視図
【図3】ヒンジ装置のチルトヒンジ機構の分解斜視図
【図4】ヒンジ装置の縦断面図
【図5】チルト方向の作動説明図
【図6】(a)(b)はスイベル方向の作動説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。本実施例は、液晶テレビをチルト方向及びスイベル方向に回動自在に支持するためのヒンジ装置に本発明を適用した場合のものである。
【0018】
図1〜図6に示すように、液晶テレビ1は、テレビ本体2と、平板状の脚部プレート3と、脚部プレート3の略中央部に立設固定したテレビ本体2の脚部を兼ねる円柱状のヒンジ装置4とを備えている。ヒンジ装置4の上部にはチルトヒンジ機構30とスイベルヒンジ機構20とが上下に設けられ、テレビ本体2は、ヒンジ装置4のチルトヒンジ機構30を介してチルト方向Tに対して一定角度の範囲内で回動自在に支持されるとともに、ヒンジ装置4のスイベルヒンジ機構20を介してスイベル方向Sに対して一定角度の範囲内で回動自在に支持されている。
【0019】
テレビ本体2は、通常の構成の例えば40〜55インチの大画面の大型液晶テレビで構成されている。但し、本発明のヒンジ装置4は、任意の大きさの液晶テレビに対しても適用できるし、液晶テレビ1以外に、プラズマテレビなどの薄型表示装置や掲示板や白板や鏡等を支持するためのヒンジ装置に対しても適用できる。
【0020】
ヒンジ装置4について説明すると、ヒンジ装置4の下半部には略円筒状のスペーサ部材10が設けられ、スペーサ部材10の下端部には略円板状の下面板11が複数のビス12で固定され、下面板11には下方へ突出する1対のフック部11aが設けられ、ヒンジ装置4は、その下端部を脚部プレート3の中央部に凹設した下部取付孔3aに嵌合させて、フック部11aを下部取付孔3aの底壁に形成した図示外の凹部に係合させ、ヒンジ装置4の下面板11を脚部プレート3の底板にビス止めすることで、脚部プレート3に立設固定されている。なお、符号11bは、下面板11をスペーサ部材10に対して周方向に位置決めするために、下面板11の上面に突出形成した位置決め突起である。
【0021】
スペーサ部材10の上面にはスペーサ部材10よりもやや小径の円板状のベース板13が複数のビス14で固定されている。ベース板13にはスペーサ部材10よりもやや小径の略円筒状のカバー部材15が外嵌され、カバー部材15の下端部には内側へ延びるリング部15aが形成され、カバー部材15は、リング部15aをベース板13とスペーサ部材10間に挟持することでベース板13及びスペーサ部材10に固定されている。なお、符号13aは、ベース板13をスペーサ部材10に対して周方向に位置決めするために、ベース板13の下面に突出形成した位置決め突起である。
【0022】
下面板11とスペーサ部材10とカバー部材15には意匠性を向上するための下部装飾カバー16が外装され、カバー部材15の上端部には外方へ突出する鍔部15bが形成され、下面板11とスペーサ部材10とカバー部材15とは鍔部15bを下部装飾カバー16の上端部に係合させることで、下部装飾カバー16に対して軸方向(上下方向)に位置決めされている。
【0023】
ベース板13の上側にはスイベルヒンジ機構20を介してスイベル方向Sに回動自在な円板状の可動板21が設けられ、可動板21の上側にはチルトヒンジ機構30を介して可動ブラケット31がチルト方向Tに回動自在に設けられている。可動ブラケット31の上端部には円板状の上面板32が固定され、ヒンジ装置4の上部には、上面板32とチルトヒンジ機構30とスイベルヒンジ機構20の上部を覆うように上面を有する円筒状の上部装飾カバー17が下部装飾カバー16に連なって外装されている。図1に示すように、液晶テレビ1の後面下部には取付部材5が後方へ突出状に設けられ、取付部材5には下側へ向けて開口する上部取付孔5aが形成され、テレビ本体2は、上部取付孔5aにヒンジ装置4の上端部を嵌合して、上部取付孔5aの上板に上面板32をビス止めすることで、ヒンジ装置4に縦向きに支持されている。
【0024】
スイベルヒンジ機構20について説明すると、ベース板13の中央部には貫通孔13bが形成され、ベース板13の上側には可動板21が回動自在に設けられ、可動板21の中央部にはベース板13の貫通孔13bを挿通して下方へ延びるスイベル軸22が固着されている。スイベル軸22の上端近傍部にはベース板13の貫通孔13bに回転自在に内嵌される鍔部22aが一体的に形成され、スイベル軸22は、可動板21の中央部に形成した貫通孔21aにスイベル軸22の上端部を嵌合させた状態で、スイベル軸22の上端部をかしめることで、可動板21に相対回転不能に固定されている。
【0025】
可動板21にはスイベル軸22を中心とした一定角度の範囲にわたって1対の規制孔21bが形成され、ベース板13には規制孔21bに沿って移動自在な1対の係止突起13cが形成され、可動板21は、スイベル軸22を中心としたスイベル方向Sに対して一定角度の範囲にわたって相対回転自在にベース板13に組み付けられている。
【0026】
鍔部22aはベース板13よりもやや薄肉に構成され、ベース板13とスイベル軸22の下端のかしめ部22b間においてスイベル軸22には2枚の座金23とウェブスプリングからなる1枚の第1バネ部材24とが交互に外装されている。スイベル軸22は断面略小判型に形成され、座金23には小判型の貫通孔23aが形成され、第1バネ部材24の中央部には丸孔からなる貫通孔24aが形成され、スイベル軸22は座金23に相対回転不能に挿通されるとともに、第1バネ部材24に相対回転自在に挿通されている。
【0027】
スイベルヒンジ機構20は、ベース板13及びカバー部材15を複数のビス14でスペーサ部材10の上端部に固定してから、スイベル軸22を上側からベース板13に挿通させて、ベース板13上に可動板21を載置し、この状態で、2枚の座金23と第1バネ部材24とを下側からスイベル軸22に外嵌させて、スイベル軸22の下端部をかしめることで、ベース板13に組み付けられている。そして、このようにスイベルヒンジ機構20を組み付けた状態で、上側の座金23と可動板21間に第1バネ部材24の付勢力でベース板13が挟持され、可動板21に対してスイベル方向Sへの一定の操作抵抗が付与されるように構成されている。
【0028】
チルトヒンジ機構30について説明すると、可動板21の上側には縦壁部33aと取付部33bとを有する略L字状の1対の固定ブラケット33が設けられている。固定ブラケット33の取付部33bには下方へ突出する位置決め突部33cが形成され、可動板21の上面には1対の位置決め凹部21cが形成され、固定ブラケット33は、位置決め突部33cを可動板21の位置決め凹部21cに嵌合させるとともに、縦壁部33aを背中合わせに重ね合わせた状態で、取付部33bを2本のリベット34により可動板21の上面にそれぞれ固定することで、可動板21の上側に固定されている。
【0029】
固定ブラケット33の縦壁部33aの両側には、縦壁部31aと取付部31bとを有する略L字状の1対の可動ブラケット31が、縦壁部31aを固定ブラケット33の縦壁部33aの両側に重ね合わせて設けられている。固定ブラケット33の縦壁部33aの中央部には小判型の固定挿通孔33dが形成され、可動ブラケット31の縦壁部31aの中央部には丸孔からなる可動挿通孔31cが形成され、固定挿通孔33dを相対回転不能に挿通するとともに可動挿通孔31cを相対回転自在に挿通するようにチルト軸35が設けられている。チルト軸35の右端部にはフランジ部35aが一体的に形成され、フランジ部35aと右側の可動ブラケット31の縦壁部31a間においてチルト軸35には座金36とウェブワッシャからなる第2バネ部材37が外嵌され、チルト軸35の左端部に鍔状のかしめ部35bが一体的に形成され、かしめ部35bと左側の可動ブラケット31の縦壁部31a間においてチルト軸35には2枚の座金36が外嵌されている。座金36には小判型の貫通孔36aが形成され、第1バネ部材24の中央部には丸孔からなる貫通孔37aが形成され、チルト軸35は、座金36に相対回転不能に挿通されるとともに、第1バネ部材24に相対回転自在に挿通されている。左右の可動ブラケット31は、その縦壁部31aが、第2バネ部材37により、座金36と固定ブラケット33の縦壁部33a間に挟持されることによって、可動ブラケット31に対してチルト方向Tへの一定の操作抵抗が付与されるように構成されている。
【0030】
3枚の座金36と両可動ブラケット31の縦壁部31aと両固定ブラケット33の縦壁部33aの一方の面には環状突部36b、31d、33eがチルト軸35と同心状に突出形成され、他方の面には位置決め突部に嵌合する環状凹部36c、31e、33fが凹設されている。3枚の座金36と2枚の固定ブラケット33と2枚の可動ブラケット31とは、環状突部36b、31d、33eを環状凹部36c、31e、33fに嵌合させることで、精度良くチルト軸35に組み付けられている。
【0031】
可動ブラケット31の縦壁部31aの下端部には、固定ブラケット33の取付部33bの上面に係合して、チルト軸35を中心とした可動ブラケット31の回動を規制する前部規制部31fと後部規制部31gとが形成されている。
【0032】
可動ブラケット31の上側には略円板状の上面板32が設けられ、可動ブラケット31の取付部31bの上面には位置決め凹部31hが形成され、上面板32の下面には下方へ突出する1対の位置決め突部(図示略)が形成され、上面板32は、位置決め突部を可動ブラケット31の位置決め凹部31hに嵌合させて、4本のビス38により可動ブラケット31の取付部31bに位置決め固定されている。
【0033】
このチルトヒンジ機構30を組み立てる際には、可動板21に固定ブラケット33をリベット34で固定した後、固定ブラケット33の縦壁部33aに可動ブラケット31の縦壁部31aを重ね合わせるとともに、座金36及び第2バネ部材37を重ね合わせ、この状態でチルト軸35を縦壁部31a、33aと座金36と第2バネ部材37に挿通させて、チルト軸35の端部をかしめて、これらの部材を一体化させ、その後可動ブラケット31の取付部31bに上面板32を載置して、チルト機構30及び上面板32を覆うように上部装飾カバー17が外嵌させた状態で、上部装飾カバー17及び上面板32を4本のビス38で可動ブラケット31の取付部31bに固定して組み立てることになる。
【0034】
固定ブラケット33の取付部33bと可動ブラケット31の取付部31b間には、チルト軸35の端部を覆うように合成樹脂材料からなるガタ防止用の左右1対のホルダ部材39が設けられている。ホルダ部材39の下面中央部には固定ブラケット33の取付部33bに圧接される突起39aが形成され、ホルダ部材39の素材の弾性により可動ブラケット31の取付部31bを上側に押すことで、可動ブラケット31の左右方向への倒れ、即ちテレビ本体2の左右両端部の上下方向へのガタを防止することができる。ただし、このホルダ部材39は省略することも可能である。
【0035】
このヒンジ装置4では、テレビ本体2をスイベル方向Sに手で操作すると、チルトヒンジ機構30とともに可動板21がスイベル軸22を中心として回動して、テレビ本体2がスイベル方向Sに回動し、所望のスイベル位置で手を放すと、座金23及び可動板21と、その間に挟持されるベース板13との摩擦抵抗により、該所望のスイベル位置にテレビ本体2が保持されることになる。一方、テレビ本体2をチルト方向Tに手で操作すると、上面板32とともに可動ブラケット31がチルト軸35を中心として回動して、テレビ本体2がチルト方向Tに回動し、所望のチルト位置で手を放すと、座金36及び固定ブラケット33の縦壁部33aと、その間に挟持される可動ブラケット31の縦壁部31aとの摩擦抵抗により、該所望のチルト位置にテレビ本体2が保持されることになる。
【0036】
このヒンジ装置4では、チルトヒンジ機構30とスイベルヒンジ機構20とが可動板21を挟んで上下に配置されているので、ヒンジ装置4を小型な横断面の円柱状に構成することが可能となる。具体的には、40〜55インチの大画面の大型液晶テレビ1を直径43mmの小径な円柱状のヒンジ装置4で支持することが可能となる。特に、チルトヒンジ機構30の1対の固定ブラケット33をL字状に形成し、縦壁部33aを背中合わせに重ね合わせて可動板21に組み付け、固定ブラケット33の縦壁部33aの両側に縦壁部31aを重ね合わせて可動ブラケット31を設けることで、チルトヒンジ機構30を左右方向に小型に構成しつつ、その強度剛性を十分に確保できる。
【符号の説明】
【0037】
1 液晶テレビ 2 テレビ本体
3 脚部プレート 3a 下部取付孔
4 ヒンジ装置 5 取付部材
5a 上部取付孔
10 スペーサ部材 11 下面板
11a フック部 11b 位置決め突起
12 ビス 13 ベース板
13a 位置決め突起 13b 貫通孔
13c 係止突起 14 ビス
15 カバー部材 15a リング部
15b 鍔部 16 下部装飾カバー
17 上部装飾カバー
20 スイベルヒンジ機構 21 可動板
21a 貫通孔 21b 規制孔
21c 位置決め凹部 22 スイベル軸
22a 鍔部 22b かしめ部
23 座金 23a 貫通孔
24 第1バネ部材 24a 貫通孔
30 チルトヒンジ機構 31 可動ブラケット
31a 縦壁部 31b 取付部
31c 可動挿通孔 31d 環状突部
31e 環状凹部 31f 前部規制部
31g 後部規制部 31h 位置決め凹部
32 上面板
33 固定ブラケット 33a 縦壁部
33b 取付部 33c 位置決め突部
33d 固定挿通孔 33e 環状突部
33f 環状凹部
34 リベット 35 チルト軸
35a フランジ部 35b かしめ部
36 座金 36a 貫通孔
36b 環状突部 36c 環状凹部
37 第2バネ部材 37a 貫通孔
38 ビス 39 ホルダ部材
39a 突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイベルヒンジ機構を介してスイベル方向に回動自在にベース板の上側に可動板を設け、
チルトヒンジ機構を介してチルト方向に回動自在に前記可動板の上側に可動ブラケットを設けた、
ことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
前記スイベルヒンジ機構として、前記ベース板を貫通して下方へ延びる、可動板に設けたスイベル軸と、前記スイベル軸の下端のフランジ部と可動板間に介装され、前記スイベル軸を中心とした可動板の回動操作に操作抵抗を付与する第1バネ部材とを備えたものを用い、
前記チルトヒンジ機構として、1対の縦壁部を背中合わせにして可動板上に固定される固定ブラケットと、前記固定ブラケットの縦壁部の両側に配置される1対の縦壁部を有する可動ブラケットと、前記固定ブラケットの縦壁部と前記可動ブラケットの縦壁部とを挿通するチルト軸と、前記チルト軸の少なくとも一端のフランジ部と可動ブラケットの縦壁部間に介装され、前記可動ブラケットの回動操作に操作抵抗を付与する第2バネ部材とを備えたものを用いた、
請求項1記載のヒンジ装置。
【請求項3】
前記ベース板と可動板とを略同径の円板状に形成し、前記可動板に対する固定ブラケットの取付部を可動板と略同径或いはやや小径の半円板状に形成した請求項2記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記可動ブラケットの縦壁部の下端部に、前記可動板に対する固定ブラケットの取付部の上面に当接して、前記チルト軸を中心とした可動ブラケットの回動範囲を規制する規制部を形成した請求項2又は3記載のヒンジ装置。
【請求項5】
前記可動板とベース板の一方にスイベル軸を中心とした一定角度の範囲にわたる規制孔を形成し、他方に規制孔に挿入される係止突起を形成した請求項2〜4のいずれか1項記載のヒンジ装置。
【請求項6】
前記チルト軸を固定ブラケットの縦壁部に相対回転不能に挿通するとともに、前記可動ブラケットの縦壁部に相対回転自在に挿通し、前記チルト軸の両端部のフランジ部と可動ブラケット間に、前記チルト軸に対して相対回転不能に座金をそれぞれ介装した請求項2〜5のいずれか1項記載のヒンジ装置。
【請求項7】
前記固定ブラケットの縦壁部と可動ブラケットの縦壁部とに、相互に凹凸嵌合する環状突部と環状凹部をチルト軸と同心状にプレス成形により形成した請求項2〜6のいずれか1項記載のヒンジ装置。
【請求項8】
前記固定ブラケット及び可動ブラケットを縦壁部と取付部とを有するL字状に形成し、前記固定ブラケットの取付部と、前記可動ブラケットの取付部間に、前記チルト軸の端部を覆うように合成樹脂材料からなるガタ防止用のホルダ部材を設けた請求項2〜7のいずれか1項記載のヒンジ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−18251(P2012−18251A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154701(P2010−154701)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(390007951)双葉金属工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】