説明

ヒータ付き貯湯タンク

【課題】部品点数を削減しタンクユニットの組立時の作業性向上と部品交換時のメンテナンス性の向上を図るとともに、センサの動作検知を安定化させるヒータ付き貯湯タンクを提供すること。
【解決手段】本発明のヒータ付き貯湯タンクは、貯湯タンクと、貯湯タンクに内蔵したヒータと、ヒータの取り付け部を保護する防滴カバーと、貯湯タンクの温度を感知する温度センサとを備え、防滴カバー内部に温度センサを収納するセンサ保持部を設け、温度センサを貯湯タンクの外周面と防滴カバーとで閉塞固定したことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータを内蔵する貯湯タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の温水暖房装置として、室外にヒートポンプユニットを配置し、室内に熱交換ユニットとタンクユニットとを設置した温水暖房装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、いわゆるヒートポンプ給湯機の付加機能として知られる床暖房では、ヒートポンプユニットとタンクユニットとを室外に設置し、室内の床暖房と室外のタンクユニットとは温水配管で接続されているため、寒冷地に設置した場合、温水配管が凍結してしまう恐れがある。そのため特許文献1に開示されているような温水暖房装置は、室内と室外とが冷媒配管にて接続されるため、凍結しにくいものであり、主に寒冷地等で設置されることが多く、非常に暖房装置としては有効なものである。
【0004】
また、熱交換ユニットで生成された温水を貯めるタンクユニットの内部に具備された貯湯タンクは、低外気温時に補助的に温水温度を維持するヒータが内蔵されており、そのヒータフランジにタンク内温度を感知するセンサが取付けられている。図7、図8、図9、図10に示すように従来の貯湯タンクaへのセンサbの取付け固定は、センサ本体に形成される固定板cが、ヒータdのフランジeへ取付ける据付金具fにビスで締結固定され、さらに据付金具fがヒータフランジgにビスで締結固定されることによってセンサbがヒータフランジgと接触し貯湯タンク内部の温度検知を行なう構成となっている。
【0005】
さらにセンサbが固定されているヒータフランジgは機器内部で漏水した場合を想定してヒータdの取り付け部に水が浸入しないように防滴カバーhで覆われているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/106346号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記従来の構成では、貯湯タンク内の温度を感知するセンサ固定には複数の部品を用いての固定が必要であり、組立時の工数の増大やメンテナンス時の部品交換に時間を費やすという課題を有していた。
【0008】
またセンサより引き出されたリード線に外力(張力)が加わった場合、センサ本体に形成される固定板は外力(張力)方向に対して位置規制がされていないため、固定板が変形しヒータフランジとセンサに隙間が生じた場合、誤検知してしまう恐れがあった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、部品点数を削減しタンクユニットの組立時の作業性向上と部品交換時のメンテナンス性の向上を図るとともに、センサの動作検知を安定化させるヒータ付き貯湯タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒータ付き貯湯タンクは、貯湯タンクと、貯湯タンクに内蔵したヒータと、ヒータの取り付け部を保護する防滴カバーと、貯湯タン
クの温度を感知する温度センサとを備え、防滴カバー内部に温度センサを収納するセンサ保持部を設け、温度センサを貯湯タンクの外周面と防滴カバーとで閉塞固定したことにより、温度センサの固定に必要な部品点数と工数の削減を図り、組立て時の作業性向上と部品交換時のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0011】
また、温度センサは防滴カバーとセンサの接触するタンク外周面によって全周を強固に位置決めされているため、温度センサより引き出されたリード線へ外力(張力)が加わっても、温度センサが浮くことを防ぎ、誤検知を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、部品点数を削減しタンクユニットの組立時の作業性向上と部品交換時のメンテナンス性の向上を図るとともに、センサの動作検知を安定化させるヒータ付き貯湯タンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ式温水暖房装置の構成図
【図2】同実施の形態1における熱交換ユニットの構成図
【図3】同実施の形態1におけるタンクユニットの構成図
【図4】同実施の形態1における防滴カバーの斜視図
【図5】同実施の形態1におけるセンサ保持部の構成斜視図
【図6】同実施の形態1における温度センサ取付け断面図
【図7】従来のセンサ保持部の構成斜視図
【図8】従来のセンサ保持部の構成拡大斜視図
【図9】従来の温度センサ詳細形状図
【図10】従来の温度センサ取り付け断面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明のヒータ付き貯湯タンクは、貯湯タンクと、貯湯タンクに内蔵したヒータと、ヒータの取り付け部を保護する防滴カバーと、貯湯タンクの温度を感知する温度センサとを備え、防滴カバー内部に温度センサを収納するセンサ保持部を設け、温度センサを貯湯タンクの外周面と防滴カバーとで閉塞固定したことにより、温度センサの固定に必要な部品点数と工数の削減を図り、組立て時の作業性向上と部品交換時のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0015】
また、温度センサは防滴カバーとセンサの接触するタンク外周面によって全周を強固に位置決めされているため、温度センサより引き出されたリード線へ外力(張力)が加わっても、温度センサが浮くことを防ぎ、誤検知を防止することができる。
【0016】
第2の発明のヒータ付き貯湯タンクは、特に第1の発明において、センサ保持部の高さ寸法Hを温度センサの直径Dよりも小さくしたことにより、温度センサの外周がセンサ保持部から突出した状態となり防滴カバーの仕上がりバラツキを発生した状態においても、防滴カバーをヒータフランジに取付けた状態で、貯湯タンクの外周面に強制的に接触する構成を形成することが可能となり、周囲から外力が加わった場合においてもセンサを確実に貯湯タンク外周面に接触させて、安定した温度検知をおこなうことができる。
【0017】
第3の発明のヒータ付き貯湯タンクは、特に第1または第2の発明において、ヒータ取り付け部から区画するセンサ保持部の壁面に貫通穴を設けたことにより、閉塞されたセンサの異常な温度上昇の防止と周辺部との温度差を均一化し温度検知の向上を図るとができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態におけるヒータ付き貯湯タンクを用いた温水暖房装置の構成図である。図1において、本実施の形態の温水暖房装置は、冷凍サイクルを有するヒートポンプユニット1、冷媒と水とが熱交換を行うプレート型の熱交換器を有する熱交換ユニット2、熱交換ユニットで生成された温水を貯める貯湯タンクを有したタンクユニット3、内部に温水が流れて居住空間を暖める温水暖房端末4を有している。熱交換ユニット2、タンクユニット3と温水暖房端末4は室内に設置され、ヒートポンプユニット1は室外に設置されており、室内と室外とは冷媒配管で接続されている。そのため、低外気温度の状況下においても冷媒配管が凍結しにくく、特に外気温度が低くなる寒冷地などにおいては、水配管が屋外に設置されるヒートポンプ給湯機などに比べて暖房装置として適している。
【0020】
また、ヒートポンプユニット1には、空気と冷媒とで熱交換を行う蒸発器5、冷媒を高温高圧に圧縮する圧縮機6、熱交換ユニット2の水冷媒熱交換器7で放熱した後の冷媒を減圧する減圧装置8が配設されており、水冷媒熱交換器7と減圧装置8と蒸発器5と圧縮機6とを順次冷媒配管にて環状に接続して冷凍サイクルを構成している。なお冷凍サイクル内を流れる冷媒には、R410Aや二酸化炭素などを用いる。
【0021】
また、図2は熱交換ユニット2の構成を示す構成図である。図2に示すように、熱交換ユニット2には冷媒と水とが熱交換を行うプレート型の水冷媒熱交換器7、水冷媒熱交換器7を加熱手段として生成された温水を貯める貯湯タンク9を有したタンクユニット3に送るためのポンプ10、管内の圧力を下げることを目的とする圧力逃がし弁11、閉回路内に噛みこんだエアー逃がしを目的とする空気抜き弁12、閉回路内の温水往き・戻りが流れているかを判断する流量計(フロースイッチ)13、閉回路内の水圧を正常に保ち、破裂を防止することを目的とする膨張タンク14が配設されており、ポンプ10が駆動することによって、タンクユニット3に温水を送りこまれる。
【0022】
また、図3はタンクユニット3の構成を示す構成図である。図3に示すように熱交換ユニット2で生成された温水は、タンクユニット3内部に配された水と水が熱交換を行うプレート型の水−水熱交換器15の片側に入り、タンク下部にポンプ16の駆動によってタンクを介して、熱交換ユニットに戻る構成となっている。水−水熱交換器15の他方を流れる経路には、一次側より供給された水が循環し、水―水熱交換器15を加熱手段として熱源ユニット2から供給された温水との熱交換によって温水が生成され、別途加熱手段として配設された水―水熱交換器17によって熱交換を行い間接的にシャワーなどの給湯手段18として使用される。また貯湯タンク9内部の温水は暖房ポンプ19を駆動させることにより暖房端末4内に温水を循環させて、居住内を暖める構成となっている。
【0023】
また、温度検知手段である温度センサ20によって、特に低外気温時など貯湯タンク内部の温度が低いと判断すると、ヒートポンプユニット1の運転を補助するために、貯湯タンク9内部に具備されたヒータ21を動作させる信号を送り、貯湯タンク9内部の温度を所定の温度まで上昇させるものである。温水暖房端末4は、パネルヒータや床暖房パネルなどを指し、熱交換器を有して、熱交換器内に水冷媒熱交換器で暖められた温水を流すことによって、居室内を暖める構成となっている。
【0024】
以上のように構成された温水暖房装置において、以下、タンクユニットの貯湯タンク内部の温度検知手段であるセンサの取付け構成について説明する。
【0025】
図4は、ヒータ取り付け部を漏水から保護する防滴カバー22の斜視図である。防滴カ
バーに貯湯タンク9の温度検知を行う温度センサ20のセンサ保持部23を設け、その部分に温度検知手段である温度センサ20を嵌め込み、センサ保持部23に設けたツメ24にて防滴カバー22に固定されている。
【0026】
さらに図5のように防滴カバー22をヒータ21のフランジ部25に取付け固定されると同時に貯湯タンク9の外周面に温度センサ20が接触し温度検知することが可能となり、温度センサ20の固定に必要な部品点数及び工数を削減し、組立て時の作業性及び、部品交換時のメンテナス性が向上することができる。さらにセンサの周囲は、防滴カバーと貯湯タンク外周面で覆われた構成となっており、センサリード線に外力(張力)が加わっても、センサの浮き上がりなどの移動を防ぎ、温度検知の誤動作を防止することができる。
【0027】
また図6に示すように防滴カバー22のセンサ保持部23の高さ寸法Hを、温度センサの直径Dより小さく設定することにより、温度センサ20は防滴カバー22の貯湯タンク9接触面より常に突出した状態となるため、貯湯タンク9外周に強制的に接触する構成となり、取付け時または防滴カバー22の仕上がりバラツキが発生した場合でも、温度センサ20を安定的に貯湯タンク9外周面に接触させることが可能となり、温度センサ20の温度検知の安定化を図ることができる。
【0028】
また図5の防滴カバー22の温度センサ20とヒータ21のフランジ部25を区画する壁面に貫通穴26を設けることによって、周囲を閉塞されたセンサ内の雰囲気温はヒータ取り付け部及び外部と往還することが可能となり、センサ周囲の異常な温度上昇の防止と周辺部との温度差を均一化し動作検知の向上をすることができる。
【0029】
以上のように、本発明のヒータ付き貯湯タンクは、タンクユニット内部に具備した貯湯タンクへのセンサ取り付け構成を上述したような構成とすることで、安定した温度検知を保持し、かつ部品交換時のメンテナンス性に優れたタンクユニットを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明のヒータ付き貯湯タンクを用いたヒートポンプ式温水暖房装置は、本発明は、タンクユニットを屋内に配設した温水暖房装置としたが、これに限定されることはなく、例えば、屋外にタンクユニットを配設する温水暖房装置でもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 ヒ−トポンプユニット
2 熱交換ユニット
3 タンクユニット
4 温水暖房端末
5 蒸発器
6 圧縮機
7 水冷媒熱交換器
8 減圧装置
9 貯湯タンク
10 ポンプ
11 圧力逃がし弁
12 空気抜き弁
13 フロースイッチ
14 膨張タンク
15 水−水熱交換器
16 ポンプ
17 水−水熱交換器
18 給湯手段
19 暖房ポンプ
20 温度センサ
21 ヒータ
22 防滴カバー
23 センサ保持部
24 ツメ
25 フランジ部
26 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、前記貯湯タンクに内蔵したヒータと、前記ヒータの取り付け部を保護する防滴カバーと、前記貯湯タンクの温度を感知する温度センサとを備え、前記防滴カバー内部に前記温度センサを収納するセンサ保持部を設け、前記温度センサを前記貯湯タンクの外周面と前記防滴カバーとで閉塞固定したことを特徴とするヒータ付き貯湯タンク。
【請求項2】
センサ保持部の高さ寸法Hを前記温度センサの直径Dよりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載のヒータ付き貯湯タンク。
【請求項3】
前記ヒータ取り付け部から区画する前記センサ保持部の壁面に貫通穴を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のヒータ付き貯湯タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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