説明

ヒータ用防湿キャップ

【課題】ヒータの吸湿により絶縁抵抗値が低下することを防止するヒータ用防湿キャップを提供する。
【解決手段】本発明によると、筒状部材と、吸湿性を有する多孔質体と、前記多孔質体の径よりも小さい網目を有するネット状部材と、前記筒状部材の径よりも大きな開口部を有する袋状部材と、を具備し、前記筒状部材の側壁面周りに前記袋状部材の開口部を密着させたことを特徴とするヒータ用防湿キャップが提供される。また、前記筒状部材と前記開口部の端部とを接着剤によって固定してもよく、前記多孔質体は吸湿により変色する物質であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒータの吸湿を防止するキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
シースヒータやカートリッジヒータ等は電熱線と放熱管の間に粉末状の絶縁材を詰めた構造をしており、吸湿により絶縁抵抗値が低下するのを防ぐため除湿室内で保管したり、シリコンキャップを嵌めたり等してヒータによる吸湿を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−247210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除湿室内での保管やシリコンキャップを嵌める等の措置では十分にヒータを防湿することができず、絶縁抵抗値が低下してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ヒータの吸湿により絶縁抵抗値が低下することを防止するヒータ用防湿キャップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によると、筒状部材と、吸湿性を有する多孔質体と、前記多孔質体の径よりも小さい網目を有するネット状部材と、前記筒状部材の径よりも大きな開口部を有する袋状部材と、を具備し、前記筒状部材の側壁面周りに前記袋状部材の開口部を密着させたことを特徴とするヒータ用防湿キャップが提供される。
【0007】
前記筒状部材と前記開口部の端部とを接着剤によって固定してもよい。
【0008】
前記筒状部材の側壁面周りに前記袋状部材の開口部を、接着剤を介して密着させてもよい。
【0009】
前記多孔質体は吸湿により変色する物質であってもよい。
【0010】
前記袋状部材は光透過性の物質であってもよい。
【0011】
前記多孔質体は水分を蒸発させることにより吸湿性が復活する物質であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のヒータ用防湿キャップをヒータに取り付けることによりヒータの吸湿を抑え、ヒータの絶縁抵抗値の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の一実施形態に係るヒータ用防湿キャップ
【図1B】本発明の一実施形態に係るヒータ用防湿キャップの構成図
【図2A】本発明の一実施形態に係るヒータ用防湿キャップのヒータへの取付け図
【図2B】本発明の一実施形態に係るヒータ用防湿キャップを取付けたヒータ
【図3A】本発明の一実施形態に係るねじきり溝を設けたヒータ用防湿キャップ
【図3B】本発明の一実施形態に係るヒータ用防湿キャップを回転嵌合によって取付けたヒータ
【図4A】本発明の一実施形態に係るヒータ用防湿キャップを半導体用ヒータユニットに装着した断面図
【図4B】本発明の一実施形態に係るヒータ用防湿キャップを半導体用ヒータユニットに装着した断面図
【図4C】半導体用ヒータユニットの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に一実施形態に係る本発明のヒータ用防湿キャップについて、図を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明のヒータ用防湿キャップの例であり、本発明のヒータ用防湿キャップは以下の実施形態に限定されるわけではない。
【0015】
(実施形態1)
図1(A)は、本実施形態に係る本発明のヒータ用防湿キャップ100の構成を示している。図1(B)は、本実施形態に係る本発明のヒータ用防湿キャップ100の分解構成図である。ヒータ用防湿キャップ100は、袋状部材102、多孔質体104、ネット状部材106及び筒状部材108を有している。
【0016】
ヒータ用防湿キャップ100においては、筒状部材108の側壁面周りに袋状部材102の開口部102aが密着している。なお、図1Aに示すように、袋状部材102の側壁面周りに袋状部材の開口部102aが密着する状態で、開口部102a端部と筒状部材108とを接着剤110によって固定するようにしてもよい。また、筒状部材100の側壁面周りに袋状部材102の開口部が接着剤を介して密着するようにしてもよい。
【0017】
袋状部材102には例えばシリコンが用いられる。筒状部材108には例えばシリコンが用いられる。袋状部材102と筒状部材108が例えばシリコン等の接着材110によって密閉されている。
【0018】
袋状部材102と筒状部材108とで囲まれた領域は、筒状部材108の開口部がネット状部材106で覆われている。当該領域の内部には、例えばシリカゲル等の多孔質体104が存在する。
【0019】
本実施形態においては、袋状部材102には半透明色の材料を用いている。多孔質体104には吸湿によって無色から有色へ変化するものを用いるようにしてもよい。例えば、多孔質体104にシリカゲルを用いた場合、シリカゲルは吸湿によって無色から赤色に変化する。よって、多孔質体104の変色を視覚的に認識し、ヒータ用防湿キャップ100の防湿能力を判断することができる。
【0020】
多孔質体104には水分を蒸発させることにより再利用が可能なものを用いてもよい。例えば、多孔質体104にシリカゲルを用いた場合、ヒータ用防湿キャップ100を加熱することにより、シリカゲル中の水分を蒸発させ、吸湿性を復活させることができる。吸湿性を復活させることにより、ヒータ用防湿キャップ100を取替て再利用することが可能になる。
【0021】
図2(A)はヒータ用防湿キャップ100を取り付けたヒータを説明した図である。図2(B)とはヒータ用防湿キャップ100をヒータへ取り付けた構成を示している。ヒータ200は電極202と、封止材206と、放熱管204と、電熱線210とを有する。
【0022】
本実施形態においては、放熱管204の内部には電熱線210が配置されており、電熱線210の周りには絶縁剤208が充填されている。電熱線210の先端には電極202が取付けられている。放熱管204の先端は封止材206によって封止されている。封止材には例えばシリコンが用いられる。絶縁剤には例えば酸化マグネシウム等が用いられる。
【0023】
ヒータ用防湿キャップ100はヒータ200の放熱管204の外側に嵌めこまれ、電極202とヒータ用防湿キャップ100とは接触しない。ヒータ用防湿キャップ100が内部に強い吸湿作用を持つため、ヒータ200の吸湿を防止することができる。
【0024】
本実施形態においては、ヒータ端部を封止材206により封止したものを用いているが、封止材206を有しないヒータに対しても本発明の防湿効果は発揮される。
【0025】
対象ヒータは、外気と接することにより外気に含まれる水分を吸収し、その抵抗率が変化する性質がある。本発明のヒータ用防湿キャップ100は、対象ヒータの外気からの吸湿を防ぎ、袋状部材102と筒状部材108の開口部のネット状部材106とにより形成された空間に吸湿性を有する多孔質体104を有することにより、筒状部材108側の湿気を、ネット状部材106を通して多孔質体104に吸収する。
【0026】
本発明のヒータ用防湿キャップ100を対象ヒータ200に装着することによって、対象ヒータ200の吸湿を防ぐことができ、対象ヒータ200の絶縁抵抗値が低下することを防ぐことができる。また、吸湿により絶縁抵抗値が低下したヒータに対して本発明を用いることにより、絶縁抵抗値を回復させることができる。
【0027】
ヒータ用防湿キャップ100の筒状部材108に例えばシリコンを用いるとき、開口部が伸縮性を持つためヒータ200との密着性が高くなり、吸湿効果を向上することができる。
【0028】
(実施形態2)
図3(A)は、本発明の一実施形態に係るヒータ用防湿キャップ350を示した図である。ヒータ用防湿キャップ350は筒状部材の内側にねじきり溝を設けている。ヒータ300は放熱管の外側にねじきり溝を設けたものを示している。図3(B)には、上記ヒータ用防湿キャップ350とヒータ300とを回転嵌合したものが示されている。
【0029】
図3(B)のような回転嵌合を用いることで、ヒータ用防湿キャップ350とヒータ300との密着性が増し、外れにくくなる。
【0030】
(実施形態3)
図4(A)、図4(B)は本発明の一実施形態に係るヒータ用防湿キャップを半導体ヒータユニット400に適応した断面図を示している。また、図4(C)は半導体ヒータユニットの斜視図である。半導体ヒータユニット400は内部にヒータ402を具備している。ヒータの各電極408の先端部に本発明のヒータ用防湿キャップ410をそれぞれ装着し、ヒータ402の吸湿を抑えることができる。
【0031】
また、半導体ヒータユニット400に本発明に係るヒータ用防湿キャップを用いる場合、図4(B)に示すようにヒータユニット400の終端部418に対して本発明に係るヒータ用防湿キャップ420を用いてもよい。ヒータユニット終端部418にヒータ用防湿キャップ420を用いることにより、ヒータの複数の電極に対して本発明に係るヒータ用防湿キャップ420を一部材のみを用いることができ、部品数の削減になる。
【符号の説明】
【0032】
100・・・ヒータ用防湿キャップ
102・・・袋状部材
104・・・多孔質体
106・・・ネット状部材
108・・・筒状部材
110・・・接着剤
200・・・ヒータ管
202・・・電極
204・・・放熱管
206・・・封止材
208・・・絶縁剤
210・・・電熱線
212・・・電極
214・・・放熱管
216・・・封止材
218・・・絶縁剤
220・・・電熱線
300・・・ねじきり溝が設けられたヒータ
302・・・電極
304・・・放熱管
306・・・封止材
308・・・電極
310・・・放熱管
350・・・ねじきり溝が設けられたヒータ用防湿キャップ
400・・・半導体用ヒータユニット
402・・・放熱管
404・・・電熱線
406・・・封止材
408・・・電極
410・・・ヒータ用防湿キャップ
412・・・絶縁剤
414・・・電熱線
416・・・電極
418・・・ヒータユニット終端部
420・・・ヒータ用防湿キャップ
422・・・放熱管
424・・・絶縁剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部材と、
吸湿性を有する多孔質体と、
前記多孔質体の径よりも小さい網目を有するネット状部材と、
前記筒状部材の径よりも大きな開口部を有する袋状部材と、
を具備し、前記筒状部材の側壁面周りに前記袋状部材の開口部を密着させたことを特徴とするヒータ用防湿キャップ。
【請求項2】
前記筒状部材と前記袋状部材の開口部の端部とを接着剤によって固定したことを特徴とする請求項1に記載のヒータ用防湿キャップ。
【請求項3】
前記筒状部材の側壁面周りに前記袋状部材の開口部を、接着剤を介して密着させたことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒータ用防湿キャップ。
【請求項4】
前記多孔質体は吸湿により変色する物質であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のヒータ用防湿キャップ。
【請求項5】
前記袋状部材は光透過性の物質であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のヒータ用防湿キャップ。
【請求項6】
前記多孔質体は、前記多孔質体に吸着している水分を蒸発させることにより吸湿性が復活することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のヒータ用防湿キャップ。


【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2010−182437(P2010−182437A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22358(P2009−22358)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】