説明

ヒートポンプ式暖房装置

【課題】COPを充分に向上可能なヒートポンプ式暖房装置を提供する。
【解決手段】暖房ユニット(10)とヒートポンプユニット(20)とを備えたヒートポンプ式暖房装置において、熱媒を介し暖房ユニットの余熱のうち暖房に使用できるほど高い温度ではないものの外気温度よりも高い温度の熱の蓄熱を行う蓄熱手段(40)を備え、制御手段(27,50)が、少なくとも、蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、ヒートポンプユニットの蒸発器(28,32)の吸熱源を蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体と他の熱源とに切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式暖房装置に係り、詳しくは、ヒートポンプにより暖房を行う際のCOP向上を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒートポンプを用いた暖房装置が実用化されつつあり、CO冷媒を超臨界で使用するようなヒートポンプを備えた暖房装置も種々開発されている。
このようなCO冷媒を超臨界で使用するようなヒートポンプ式暖房装置では、一般に、暖房端末からの戻り水の水温が高い場合、冷水を高温にする場合に比べ、COP(成績係数)が悪いという問題がある。
そこで、暖房端末からの戻り水は暖房に使用できるほど高温ではないものの外気温よりも高温であることから、当該暖房端末からの戻り水の熱を利用することでCOPの向上を図ることが考えられている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
特許文献1では、ヒートポンプサイクルとしての冷媒回路と温水循環回路とを備え、温水循環回路に暖房端末として主放熱器と補助放熱器とを順に配列するようにしており、これにより温水循環回路を流れる温水の熱を二段階で放出することが可能である。
特許文献2では、ヒートポンプ回路と暖房回路を備えるとともに暖房回路の暖房端末の下流側に蓄熱部を備え、蓄熱部の蓄熱材に脱水反応を生じさせることで蓄熱しながら暖房を行う蓄熱運転と、脱水反応により生じた水に熱を加えて蒸発させ、この蒸発水及び蓄熱材の反応により蓄熱材から放熱しながら暖房を行う放熱運転とを切り換えるようにしており、これにより放熱運転時には暖房端末から出た熱媒の熱を暖房に利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−040627号公報
【特許文献2】特開2008−267793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記各特許文献によれば、暖房端末を出た熱媒の熱を直接的に或いは一旦蓄熱材に蓄熱した後に暖房に利用可能である。
しかしながら、上記特許文献1によれば、主放熱器を出た温水の熱を補助放熱器で室内中に放熱しているだけであるため、室温以下までは熱を利用することができないという問題があり、COPの向上には不充分である。
【0006】
また、上記特許文献2によれば、蓄熱材に脱水反応を生じさせることで蓄熱を行うとともに、脱水反応により生じた水に熱を加えて蒸発させ、この蒸発水と蓄熱材との反応により蓄熱材から放熱を行うようにしているが、蓄熱材に脱水反応を充分に生じさせるためには比較的高温の熱を必要とするという問題があり、やはりCOPの向上には不充分である。
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、COPを充分に向上可能なヒートポンプ式暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、請求項1のヒートポンプ式暖房装置は、暖房端末に熱媒を循環させる暖房ユニットと、冷媒が圧縮機、熱交換器、膨張弁及び蒸発器を順に循環して該熱交換器にて前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行うヒートポンプユニットとを備えたヒートポンプ式暖房装置において、熱媒を介し、前記暖房ユニットの余熱のうち暖房に使用できるほど高い温度ではないものの外気温度よりも高い温度の熱の蓄熱を行う蓄熱手段を備えたことを特徴とする。
請求項2のヒートポンプ式暖房装置は、請求項1において、前記蓄熱手段は、熱媒が前記暖房端末、該蓄熱手段及び前記熱交換器を順に循環するよう前記暖房ユニットに組み込まれて構成され、前記暖房端末を経た熱媒を直接介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする。
請求項3のヒートポンプ式暖房装置は、請求項2において、前記蓄熱手段は、熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うことを特徴とする。
請求項4のヒートポンプ式暖房装置は、請求項1において、前記ヒートポンプユニットの前記熱交換器は前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う第1の熱交換器及び該第1の熱交換器と前記膨張弁との間に直列に設けられた第2の熱交換器を備え、前記蓄熱手段は、該蓄熱手段及び前記第2の熱交換器を循環して該第2の熱交換器にて前記ヒートポンプユニットの冷媒と熱交換を行った第2の熱媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする。
請求項5のヒートポンプ式暖房装置は、請求項4において、前記蓄熱手段は、第2の熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うことを特徴とする。
請求項6のヒートポンプ式暖房装置は、請求項1において、前記ヒートポンプユニットの前記熱交換器は前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う第1の熱交換器及び該第1の熱交換器と前記膨張弁との間に直列に設けられて蓄熱体と熱交換を行う第3の熱交換器を備え、前記蓄熱手段は、前記第3の熱交換器にて前記ヒートポンプユニットの冷媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする。
請求項7のヒートポンプ式暖房装置では、請求項1において、少なくとも、前記蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、前記ヒートポンプユニットの前記蒸発器の吸熱源を前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体と他の熱源とに切り換える制御手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項8のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7において、前記蓄熱手段は、熱媒が前記暖房端末、該蓄熱手段及び前記熱交換器を順に循環するよう前記暖房ユニットに組み込まれて構成され、前記暖房端末を経た熱媒を直接介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする。
請求項9のヒートポンプ式暖房装置では、請求項8において、前記蓄熱手段は、熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項10のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7において、前記ヒートポンプユニットの前記熱交換器は前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う第1の熱交換器及び該第1の熱交換器と前記膨張弁との間に直列に設けられた第2の熱交換器を備え、前記蓄熱手段は、該蓄熱手段及び前記第2の熱交換器を循環して該第2の熱交換器にて前記ヒートポンプユニットの冷媒と熱交換を行った第2の熱媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする。
請求項11のヒートポンプ式暖房装置では、請求項10において、前記蓄熱手段は、第2の熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項12のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7において、前記ヒートポンプユニットの前記熱交換器は前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う第1の熱交換器及び該第1の熱交換器と前記膨張弁との間に直列に設けられて蓄熱体と熱交換を行う第3の熱交換器を備え、前記蓄熱手段は、前記第3の熱交換器にて前記ヒートポンプユニットの冷媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする。
請求項13のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7乃至12のいずれかにおいて、前記蒸発器は、前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体を吸熱源とする第1の蒸発器と他の熱源を吸熱源とする第2の蒸発器とを配設してなり、前記制御手段は、前記蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、前記ヒートポンプユニットの前記膨張弁を経た冷媒の流通を前記第1の蒸発器と前記第2の蒸発器とのいずれか一方に切り換えることで前記蒸発器の吸熱源を切り換えることを特徴とする。
【0011】
請求項14のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7乃至12のいずれかにおいて、前記蒸発器は一つの共用蒸発器からなり、前記制御手段は、前記蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、前記共用蒸発器の吸熱源を前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体と他の熱源とに切り換えることを特徴とする。
請求項15のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7乃至14のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記膨張弁の開度を調節可能であり、前記制御手段は、前記ヒートポンプユニットの前記蒸発器の吸熱源を前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体に切り換えた後、前記制御手段により前記膨張弁の開度が調節されて変化する前記蒸発器の蒸発温度が前記蒸発器の吸熱源を他の熱源としたときの前記蒸発器の蒸発温度以下になる前に前記蒸発器の吸熱源を他の熱源に切り換えることを特徴とする。
【0012】
請求項16のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7乃至14のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記膨張弁の開度を調節可能であり、前記制御手段は、前記蒸発器の吸熱源が前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、前記蒸発器の蒸発温度が吸熱源を他の熱源としたときの蒸発温度よりも高い所定温度以下になる前に前記蒸発器の吸熱源を他の熱源に切り換えることを特徴とする。
請求項17のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7乃至16のいずれかにおいて、前記蒸発器を経た冷媒と前記蓄熱手段に蓄熱される直前の熱媒と熱交換を行い加熱を行う冷媒過熱手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項18のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7乃至16のいずれかにおいて、前記蒸発器を経た冷媒と前記圧縮機から前記膨張弁間の一部の冷媒と熱交換を行い加熱を行う冷媒過熱手段を備えることを特徴とする。
請求項19のヒートポンプ式暖房装置では、請求項17または18において、前記制御手段は、前記蒸発器を経た冷媒の前記冷媒過熱手段での熱交換の度合いを調節可能であることを特徴とする。
【0014】
請求項20のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7乃至19のいずれかにおいて、前記ヒートポンプユニットは、前記圧縮機として低段側圧縮機と高段側圧縮機とを直列に有して二段圧縮可能に構成されてなり、前記制御手段は、前記蒸発器の吸熱源が前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、前記蒸発器の蒸発温度が所定温度以上であると、前記蒸発器を経た冷媒を前記高段側圧縮機に返戻するとともに、前記低段側圧縮機を停止させることを特徴とする。
【0015】
請求項21のヒートポンプ式暖房装置では、請求項7乃至19のいずれかにおいて、前記ヒートポンプユニットは、低元側ヒートポンプユニットと高元側ヒートポンプユニットからなり、前記圧縮機として低元側圧縮機と高元側圧縮機とを有し、カスケード熱交換器を介装して二元圧縮可能に構成されてなり、前記高元側ヒートポンプユニットの蒸発器の他の熱源は該蒸発器としての前記カスケード熱交換器を流れる前記低元側ヒートポンプユニットの高温の冷媒であって、前記制御手段は、前記蒸発器の吸熱源が前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、前記蒸発器の蒸発温度が所定温度以上であると、前記低元側ヒートポンプユニットの前記低元側圧縮機を停止させることを特徴とする。
【0016】
請求項22のヒートポンプ式暖房装置では、請求項1乃至21のいずれかにおいて、前記蓄熱手段は、前記暖房ユニットの余熱以外に蓄熱体に蓄熱を行う複数の熱源を含むことを特徴とする。
請求項23のヒートポンプ式暖房装置では、請求項1乃至22のいずれかにおいて、前記ヒートポンプユニットを循環する冷媒は二酸化炭素であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1のヒートポンプ式暖房装置によれば、熱媒を介し、暖房ユニットの余熱のうち暖房に使用できるほど高い温度ではないものの外気温度よりも高い温度の熱の蓄熱を行う蓄熱手段を備えるようにしている。
従って、暖房ユニットの余熱のうち暖房に使用できるほど高い温度ではないものの外気温度よりも高い温度の熱は熱量的には必要吸熱量には満たないのであるが、当該外気温度よりも高い温度の熱を一旦蓄熱手段に回収して蓄熱しておくことができる。
【0018】
請求項2のヒートポンプ式暖房装置によれば、暖房ユニットの暖房端末を経た熱媒を直接介して蓄熱体に蓄熱を行うようにしているので、暖房ユニットの余熱のうち外気温度よりも高い温度の熱を暖房ユニットの熱媒を直接介して蓄熱手段に良好に回収し蓄熱するようにできる。
請求項3のヒートポンプ式暖房装置によれば、蓄熱手段は熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うので、別途蓄熱剤等の蓄熱体を設ける必要がなく、熱媒と蓄熱体との熱交換ロスを防止することができる。
【0019】
請求項4のヒートポンプ式暖房装置によれば、第2の熱交換器にてヒートポンプユニットの冷媒と熱交換を行った第2の熱媒を介して蓄熱手段に蓄熱を行うようにしているので、暖房ユニットの余熱のうち外気温度よりも高い温度の熱をヒートポンプユニットの冷媒と熱交換を行った第2の熱媒を介して蓄熱手段に良好に回収し蓄熱するようにできる。
また、このような構成により、例えば第2の熱媒として暖房ユニットに使用する熱媒と異なる粘度であって蓄熱温度に最適化した熱媒を使用することができるし、ポンプの流量を蓄熱手段で蓄熱を行うのに見合った低流量とすることもできる。
【0020】
請求項5のヒートポンプ式暖房装置によれば、蓄熱手段は第2の熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うので、別途蓄熱剤等の蓄熱体を設ける必要がなく、第2の熱媒と蓄熱体との熱交換ロスを防止することができる。
請求項6のヒートポンプ式暖房装置によれば、第3の熱交換器にてヒートポンプユニットの冷媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うので、暖房ユニットの余熱のうち外気温度よりも高い温度の熱をヒートポンプユニットの冷媒を介して蓄熱手段に廉価にして良好に回収し蓄熱するようにできる。
請求項7のヒートポンプ式暖房装置によれば、蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、ヒートポンプユニットの蒸発器の吸熱源を蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体と他の熱源とに切り換えるようにしている。
従って、暖房ユニットの余熱のうち外気温度よりも高い温度の熱を一旦蓄熱手段に回収して蓄熱しておくことで、効率よく暖房の吸熱源に利用することができる。これにより、暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
【0021】
請求項8のヒートポンプ式暖房装置によれば、暖房ユニットの暖房端末を経た熱媒を直接介して蓄熱体に蓄熱を行うようにしているので、暖房ユニットの余熱のうち外気温度よりも高い温度の熱を暖房ユニットの熱媒を直接介して蓄熱手段に良好に回収し蓄熱するようにできる。
請求項9のヒートポンプ式暖房装置によれば、蓄熱手段は熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うので、別途蓄熱剤等の蓄熱体を設ける必要がなく、熱媒と蓄熱体との熱交換ロスを防止することができる。
【0022】
請求項10のヒートポンプ式暖房装置によれば、第2の熱交換器にてヒートポンプユニットの冷媒と熱交換を行った第2の熱媒を介して蓄熱手段に蓄熱を行うようにしているので、暖房ユニットの余熱のうち外気温度よりも高い温度の熱をヒートポンプユニットの冷媒と熱交換を行った第2の熱媒を介して蓄熱手段に良好に回収し蓄熱するようにできる。
また、このような構成により、例えば第2の熱媒として暖房ユニットに使用する熱媒と異なる粘度であって蓄熱温度に最適化した熱媒を使用することができるし、ポンプの流量を蓄熱手段で蓄熱を行うのに見合った低流量とすることもできる。
【0023】
請求項11のヒートポンプ式暖房装置によれば、蓄熱手段は第2の熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うので、別途蓄熱剤等の蓄熱体を設ける必要がなく、第2の熱媒と蓄熱体との熱交換ロスを防止することができる。
請求項12のヒートポンプ式暖房装置によれば、第3の熱交換器にてヒートポンプユニットの冷媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うので、暖房ユニットの余熱のうち外気温度よりも高い温度の熱をヒートポンプユニットの冷媒を介して蓄熱手段に廉価にして良好に回収し蓄熱するようにできる。
請求項13のヒートポンプ式暖房装置によれば、蒸発器として蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体を吸熱源とする第1の蒸発器と他の熱源を吸熱源とする第2の蒸発器とを有し、蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、ヒートポンプユニットの膨張弁を経た冷媒の流通を第1の蒸発器と第2の蒸発器とのいずれか一方に切り換えるようにしている。
従って、ヒートポンプユニットの冷媒の流れを第1の蒸発器と第2の蒸発器とに切り換える方式によって、容易に暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
また、このように熱源別に蒸発器を設けることにより、それぞれ熱源に最適化された蒸発器にでき、暖房ユニット10の余熱をさらに効率よく吸熱源に利用することができる。
【0024】
請求項14のヒートポンプ式暖房装置によれば、蒸発器として一つの共用蒸発器を有し、蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、共用蒸発器の吸熱源を蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体と他の熱源とに切り換えるようにしている。
従って、共用蒸発器の吸熱源を切り換える方式によって、一つの蒸発器で低コストにして容易に暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
例えば、蓄熱手段が蓄熱体として液媒体(不凍液等)を貯留して蓄熱を行う蓄熱タンクであるような場合において、蓄熱タンクに蓄熱した液媒体を吸熱源とするときには、当該液媒体を共用蒸発器に流通させるように切り換えるようにし、これにより容易に暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
【0025】
請求項15のヒートポンプ式暖房装置によれば、ヒートポンプユニットの蒸発器の吸熱源を蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体に切り換えた後には、蒸発器の蒸発温度が蒸発器の吸熱源を他の熱源としたときの蒸発器の蒸発温度以下になる前に蒸発器の吸熱源を他の熱源に切り換えるようにしている。
即ち、ヒートポンプユニットの蒸発器の吸熱源が蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体である場合、蒸発器の蒸発温度が蒸発器の吸熱源を他の熱源としたときの蒸発器の蒸発温度以下になるまで吸熱を行うと却って効率が悪いことから、蒸発器の吸熱源を他の熱源としたときの蒸発器の蒸発温度以下になる前に蒸発器の吸熱源を他の熱源に切り換えるようにする。これにより、暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
【0026】
請求項16のヒートポンプ式暖房装置によれば、蒸発器の吸熱源が蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるときにおいて、蒸発器の蒸発温度が吸熱源を他の熱源としたときの蒸発温度よりも高い所定温度以下になる前に蒸発器の吸熱源を他の熱源に切り換えるようにしている。
従って、例えば、蓄熱手段の蓄熱に要する時間を短くし、COPの良い、なるべく高い蒸発温度での使用時間を多くすることができ、装置全体としてCOPを高くすることができる。
請求項17のヒートポンプ式暖房装置によれば、冷媒過熱手段により、蒸発器を経た冷媒と蓄熱手段に蓄熱される直前の熱媒と熱交換を行い加熱を行うので、例えば蒸発器の吸熱源が蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、蓄熱体の温度が比較的高いような場合に、蒸発温度が高く蒸発器出口のエンタルピが低いときでも、加熱によりエンタルピを増加させることができ、圧縮機出口のエンタルピひいては圧縮機から吐出されるガス冷媒の温度を暖房に見合う温度まで上昇させることができる。
【0027】
請求項18のヒートポンプ式暖房装置によれば、冷媒過熱手段により、蒸発器を経た冷媒と圧縮機から膨張弁間の一部の冷媒と熱交換を行い加熱を行うので、例えば蒸発器の吸熱源が蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、蓄熱体の温度が比較的高いような場合に、蒸発温度が高く蒸発器出口のエンタルピが低いときでも、加熱によりエンタルピをより一層増加させることができ、圧縮機出口のエンタルピひいては圧縮機から吐出されるガス冷媒の温度を暖房に見合う温度まで上昇させることができる。
請求項19のヒートポンプ式暖房装置によれば、蒸発器を経た冷媒の冷媒過熱手段での熱交換の度合いを調節可能であるので、必要に応じて冷媒過熱手段を利用でき、圧縮機から吐出されるガス冷媒の温度を暖房に見合う温度に上昇させることができる。
【0028】
請求項20のヒートポンプ式暖房装置によれば、ヒートポンプユニットが、圧縮機として低段側圧縮機と高段側圧縮機とを直列に有して二段圧縮可能に構成されている場合には、蒸発器の吸熱源が蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、蒸発器の蒸発温度が所定温度以上であると、蒸発器を経た冷媒を高段側圧縮機に返戻するとともに低段側圧縮機を停止させるようにしている。
従って、二段圧縮可能なヒートポンプユニットを有する場合であっても、暖房ユニットとの間で熱交換を行った後の冷媒の熱を一旦蓄熱手段に回収して蓄熱しておくことで、効率よく暖房の吸熱源に利用することができ、暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
【0029】
請求項21のヒートポンプ式暖房装置によれば、ヒートポンプユニットが、低元側ヒートポンプユニットと高元側ヒートポンプユニットからなり、圧縮機として低元側圧縮機と高元側圧縮機とを有し、カスケード熱交換器を介装して二元圧縮可能に構成されている場合には、蒸発器の吸熱源が蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、蒸発器の蒸発温度が所定温度以上であると、低元側ヒートポンプユニットの低元側圧縮機を停止させるようにしている。
従って、二元圧縮可能なヒートポンプユニットを有する場合であっても、暖房ユニットとの間で熱交換を行った後の冷媒の熱を一旦蓄熱手段に回収して蓄熱しておくことで、効率よく暖房の吸熱源に利用することができ、暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
【0030】
請求項22のヒートポンプ式暖房装置によれば、蓄熱手段は暖房ユニットの余熱以外に蓄熱体に蓄熱を行う複数の熱源を含むので、暖房効率ひいてはCOPをより一層向上させることができる。
請求項23のヒートポンプ式暖房装置によれば、ヒートポンプユニットを循環する冷媒は二酸化炭素であるので、二酸化炭素を超臨界で用いることで良好に暖房に見合う高温を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
【図2】第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蓄熱中の状態を示す図である。
【図3】第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蓄熱が完了し蓄熱を利用している状態を示す図である。
【図4】第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蓄熱の利用が完了した状態を示す図である。
【図5】第1実施例におけるモリエル線図である。
【図6】第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の変形例を示す概略構成図である。
【図7】本発明の第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
【図8】第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蓄熱中の状態を示す図である。
【図9】第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蓄熱が完了し蓄熱を利用している状態を示す図である。
【図10】第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蓄熱の利用が完了した状態を示す図である。
【図11】第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の変形例を示す概略構成図である。
【図12】第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の他の変形例を示す概略構成図である。
【図13】本発明の第3実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
【図14】本発明の第4実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
【図15】第4実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の変形例を示す概略構成図である。
【図16】本発明の第5実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
【図17】第5実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蓄熱中の状態を示す図である。
【図18】第5実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蓄熱が完了し蓄熱を利用している状態を示す図である。
【図19】第5実施例におけるモリエル線図である。
【図20】本発明の第6実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
【図21】第6実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蓄熱中の状態を示す図である。
【図22】第6実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蒸発温度が高い場合の蓄熱利用状態を示す図である。
【図23】第6実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の蒸発温度が低い場合の蓄熱利用状態を示す図である。
【図24】第6実施例におけるモリエル線図である。
【図25】蓄熱ユニットにおける熱源として太陽光採熱パネルを用いる場合を示す図である。
【図26】蓄熱ユニットに蓄熱剤を用いる場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係るヒートポンプ式暖房装置の実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1実施例]
図1は、本発明の第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット10、ヒートポンプユニット20及び蓄熱ユニット(蓄熱手段)40から構成されている。
暖房ユニット10は、熱媒が循環する熱媒循環路12に、実線矢印で示す熱媒の流れ方向で視て順に、ヒートポンプユニット20との間で熱交換を行う高温熱交換器(熱交換器)14、暖房端末16及び熱媒を循環させるポンプ18が介装されて構成されている。
【0033】
ヒートポンプユニット20は、CO冷媒(以下、冷媒)が循環する冷媒循環路22に、実線矢印で示す冷媒の流れ方向で視て順に、圧縮機24、上記高温熱交換器14、膨張弁26、蒸発器(第2の蒸発器)28が介装されて構成されている。蒸発器28には送風用のファン29が設けられている。
これより、ヒートポンプユニット20は、膨張弁26及び蒸発器28を経て断熱膨張された冷媒に外気(他の熱源)から吸熱を行った後、当該冷媒を圧縮機24によって超臨界状態まで圧縮させて高温高圧とし、高温高圧となった冷媒を高温熱交換器14にて暖房ユニット10の熱媒と熱交換させるよう機能する。
【0034】
蓄熱ユニット40は、第1実施例では上記暖房ユニット10と一体に構成されており、詳しくは、熱媒が循環する熱媒循環路12に、暖房端末16とポンプ18との間に位置して、熱媒を蓄熱体として貯留して熱を蓄える蓄熱タンク44が介装されて構成されている。なお、熱媒循環路12は熱媒が蓄熱タンク44に上部から流入し、蓄熱タンク44の下部から流出するように蓄熱タンク44に接続されている。
【0035】
さらに、ヒートポンプユニット20には、冷媒循環路22の膨張弁26の下流に位置して三方弁(制御手段)27が介装されており、三方弁27から分岐するとともに蒸発器28をバイパスし再び冷媒循環路22に合流するようにして冷媒分岐路30が設けられている。三方弁27は、冷媒の膨張弁26から蒸発器28へ向かう冷媒循環路22の流れと膨張弁26から冷媒分岐路30へ向かう流れとを切り換えるものである。そして、冷媒分岐路30には、蓄熱タンク44内に位置し、蓄熱タンク44内に貯留された熱媒の上部層部分と冷媒との間で熱交換を行う蓄熱利用蒸発器(第1の蒸発器)32が介装されている。
【0036】
蓄熱タンク44には、蓄熱タンク44内に貯留された熱媒の蓄熱利用蒸発器32付近の温度T1を測定する温度センサ52が設けられており、また冷媒分岐路30の蓄熱利用蒸発器32よりも下流位置には蓄熱利用蒸発器32を通過した冷媒の温度T2を測定する温度センサ54が設けられており、蓄熱タンク44の出口には蓄熱タンク44を出た熱媒の温度T3を測定する温度センサ56が設けられている。
そして、ヒートポンプ式暖房装置には、暖房ユニット10、ヒートポンプユニット20及び蓄熱ユニット40を総合的に制御する電子制御ユニット(ECU)(制御手段)50が設けられ、その入力側には温度センサ52、54、56等の各種センサ類が電気的に接続され、その出力側には、暖房ユニット10のポンプ18、ヒートポンプユニット20の圧縮機24、膨張弁26、三方弁27、ファン29等の各種デバイス類が電気的に接続されている。
【0037】
これにより、例えば、膨張弁26は、ECU50からの出力信号に応じて吐出開度を可変可能であり、三方弁27は、ECU50からの出力信号に応じて冷媒の膨張弁26から蒸発器28へ向かう冷媒循環路22の流れと膨張弁26から冷媒分岐路30へ向かう流れとを適宜切り換え可能である。
以下、このように構成された第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の作動について説明する。
図2〜図4を参照すると、第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の作動が時系列で示されており、以下図2〜図4に基づき説明する。なお、図中実線が流通状態、破線が非流通状態を示す。
図2は蓄熱中の状態を示し、ヒートポンプユニット20が通常に作動して暖房ユニット10が作動するときには、蓄熱ユニット40は蓄熱状態とされ、暖房ユニット10の余熱による蓄熱タンク44への蓄熱が行われる。
【0038】
蓄熱タンク44への蓄熱が行われる場合、ECU50からの切換信号により、冷媒が膨張弁26から蒸発器28へ向かう冷媒循環路22の流れとなるように三方弁27を切り換える。
ヒートポンプユニット20が通常に作動して暖房ユニット10が作動するときには、図2に各部位の温度を示すように、暖房ユニット10の暖房端末16に流入する熱媒の温度が例えば60℃とすると暖房装置16から返戻される熱媒の温度は比較的高い40℃であり、この40℃の熱媒が蓄熱タンク44へ流れる。一方、圧縮機24で圧縮した冷媒の温度が約100℃とすると高温熱交換器14で熱媒循環路12の熱媒と熱交換した後の冷媒の温度は例えば10℃となり、膨張弁26及び蒸発器28を経て外気の熱を吸熱して循環する。ここでは、外気温度が例えば0℃であるとして、蒸発器28の蒸発温度は例えば−10℃となる。なお、この場合、膨張弁26については圧縮機24の吐出冷媒温度が100℃となるように開度を設定している。
【0039】
このようにして、暖房ユニット10の余熱を含んだ熱媒が徐々に蓄熱タンク44に蓄えられ、蓄熱が行われる。
図3は蓄熱が完了し蓄熱を利用している状態を示し、温度センサ56からの温度情報により蓄熱タンク44から流出する熱媒の温度T3が蓄熱タンク44に流入する熱媒の温度と同じ約40℃となったときには、蓄熱タンク44への蓄熱が完了したとみなし、蓄熱の利用を開始する。
蓄熱タンク44への蓄熱が完了した場合には、ECU50からの切換信号により、冷媒が膨張弁26から冷媒分岐路30へ向かう流れとなるように三方弁27を切り換える。
【0040】
冷媒が膨張弁26から冷媒分岐路30へ向かう流れになると、蓄熱利用蒸発器32により蓄熱タンク44内の熱媒と冷媒分岐路30の冷媒との間で熱交換が行われ、蓄熱タンク44内の熱媒の熱が冷媒分岐路30の冷媒に伝達され、冷媒が吸熱して蒸発する。そして、冷媒が蒸発器28を経ることなくそのまま圧縮機24に流入する。
【0041】
このように、冷媒が蓄熱タンク44に蓄熱した熱により蒸発して圧縮機24に流入することにより、圧縮機24の圧縮率をそれほど高くしなくても冷媒の温度を約100℃まで上昇させて冷媒の熱を暖房ユニット10に供給することができ、蓄熱タンク44に蓄熱しておいた熱を暖房の吸熱源として有効に利用することができる。
図4は蓄熱の利用が完了した状態を示し、温度センサ54により検出される蓄熱利用蒸発器32を通過し吸熱した冷媒の温度T2、即ち蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度が−10℃になると、この温度は上記の如くヒートポンプユニット20が通常に作動して暖房ユニット10が作動する場合の蒸発器28の蒸発温度と同じになることから、蓄熱タンク44の蓄熱の利用を終了する。つまり、蓄熱タンク44内の熱媒の温度T1が外気温度である0℃未満になるような場合には、外気から熱を吸収する方が効率がよいことから、蓄熱タンク44の蓄熱の利用を終了し、ヒートポンプユニット20を蒸発器28を用いた通常の作動に戻すようにする。
【0042】
また、蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度が蒸発器28の蒸発温度よりも高い所定温度(例えば、10℃)以下になる前に通常の作動に戻すようにしてもよく、これにより、蓄熱タンク44の蓄熱に要する時間を短くし、COPの良い、なるべく高い蒸発温度での使用時間を多くするようにでき、装置全体のCOPを高くすることができる。
ここで、図5を参照すると本実施例におけるモリエル線図がされており、a→b→c→dはヒートポンプユニット20が通常に作動した場合の熱サイクルを示し、e→f→g→hは蓄熱を利用した場合の熱サイクルを示している。同図に示すように、蓄熱を利用している場合、温度センサ54により検出される冷媒の温度T2、即ち蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度が低下するにつれてe→f→g→hは矢印で示すようにa→b→c→dに近づき、冷媒の温度T2、即ち蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度が−10℃になると、e→f→g→hはa→b→c→dに一致することとなるため、この時点でヒートポンプユニット20を蒸発器28を用いた通常の作動に戻すようにする。
【0043】
このように、本発明の第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置によれば、ヒートポンプユニット20が通常に作動して暖房ユニット10が作動する際における暖房ユニット10の余熱を、暖房に使用できるほど高温ではなく外気温よりも高温であるものの熱量的には必要吸熱量には満たないのであるが、暖房ユニット10の熱媒を介して一旦蓄熱タンク44に回収して蓄熱しておくことで、効率よく暖房の吸熱源に利用することができる。これにより、暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
なお、ここでは蒸発器28は他の熱源として外気と熱交換するようにしているが、他の熱源は地中や下水等であってもよい。
【0044】
図6は、第1実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の変形例を示す概略構成図である。
図6の第1実施例の変形例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット10、ヒートポンプユニット20’及び蓄熱ユニット40’から構成されている。
この変形例では、蓄熱ユニット40’において、熱媒が蓄熱タンク44の上部から流出し、熱媒循環路12に合流するよう構成された液循環路43を備えており、液循環路43にポンプ47及びヒートポンプユニット20’の冷媒分岐路30’の冷媒と熱媒との熱交換を行う蓄熱利用蒸発器(第1の蒸発器)32’を介装するようにしている。この場合、蓄熱利用蒸発器32’を通過した冷媒の温度T2を測定する温度センサ54は、冷媒分岐路30’の蓄熱利用蒸発器32’よりも下流位置に設けられている。そして、ECU50にはさらにポンプ47が電気的に接続されている。
【0045】
当該変形例によっても、上記同様の効果を得ることができる。特に熱源別に蒸発器を設けているため、それぞれ熱源に最適化された蒸発器にでき、暖房ユニット10の余熱をさらに効率よく吸熱源に利用することができる。
[第2実施例]
図7は、本発明の第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット110、ヒートポンプユニット120及び蓄熱ユニット140からなり、暖房ユニット110と蓄熱ユニット140とはそれぞれ独立して構成されている。
暖房ユニット110は、熱媒が循環する熱媒循環路112に、実線矢印で示す熱媒の流れ方向で視て順に、ヒートポンプユニット120との間で熱交換を行う高温熱交換器(熱交換器)14、暖房端末16及び熱媒を循環させるポンプ18が介装されて構成されている。
【0046】
ヒートポンプユニット120は、上記第1実施例の場合と同様、冷媒が循環する冷媒循環路122に、実線矢印で示す冷媒の流れ方向で視て順に、圧縮機24、上記高温熱交換器14、膨張弁26、蒸発器(第2の蒸発器)28が介装されて構成されている。蒸発器28には送風用のファン29が設けられている。
また、ヒートポンプユニット120には、高温熱交換器(第1の熱交換器)14と膨張弁26の間に位置して蓄熱ユニット140との間で熱交換を行う低温熱交換器(第2の熱交換器)25が介装されている。
【0047】
蓄熱ユニット140は、不凍液(第2の熱媒)が循環する液循環路42に、実線矢印で示す不凍液の流れ方向で視て順に、上記低温熱交換器25、不凍液を蓄熱体として貯留して熱を蓄える蓄熱タンク44及び不凍液を循環させるポンプ46が介装されて構成されている。なお、液循環路42は不凍液が蓄熱タンク44に上部から流入し、蓄熱タンク44の下部から流出するように蓄熱タンク44に接続されている。
さらに、ヒートポンプユニット120には、上記第1実施例の場合と同様、冷媒循環路122の膨張弁26の下流に位置して三方弁(制御手段)27が介装されており、三方弁27から分岐するとともに蒸発器28をバイパスし再び冷媒循環路122に合流するようにして冷媒分岐路30が設けられている。そして、冷媒分岐路30には、蓄熱タンク44内に位置し、蓄熱タンク44内に貯留された不凍液の上部層部分と冷媒との間で熱交換を行う蓄熱利用蒸発器32が介装されている。
【0048】
蓄熱タンク44には、上記第1実施例の場合と同様、蓄熱タンク44内に貯留された不凍液の蓄熱利用蒸発器32付近の温度T1を測定する温度センサ52が設けられており、また冷媒分岐路30の蓄熱利用蒸発器32よりも下流位置には蓄熱利用蒸発器32を通過した冷媒の温度T2を測定する温度センサ54が設けられており、蓄熱タンク44の出口には蓄熱タンク44を出た不凍液の温度T3を測定する温度センサ56が設けられている。
そして、ヒートポンプ式暖房装置には、暖房ユニット110、ヒートポンプユニット120及び蓄熱ユニット140を総合的に制御する電子制御ユニット(ECU)(制御手段)50が設けられ、その入力側には温度センサ52、54、56等の各種センサ類が電気的に接続され、その出力側には、暖房ユニット110のポンプ18、ヒートポンプユニット120の圧縮機24、膨張弁26、三方弁27、ファン29、蓄熱ユニット140のポンプ46等の各種デバイス類が電気的に接続されている。
【0049】
以下、このように構成された第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の作動について説明する。
図8〜図10を参照すると、第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の作動が時系列で示されており、以下図8〜図10に基づき説明する。なお、図中実線が流通状態、破線が非流通状態を示す。
図8は蓄熱中の状態を示し、ヒートポンプユニット120が通常に作動して暖房ユニット110が作動するときには、蓄熱ユニット140は蓄熱状態とされ、蓄熱タンク44への蓄熱が行われる。
【0050】
蓄熱タンク44への蓄熱が行われる場合、ECU50からの切換信号により、冷媒が膨張弁26から蒸発器28へ向かう冷媒循環路122の流れとなるように三方弁27を切り換える。
ヒートポンプユニット120が通常に作動して暖房ユニット110が作動するときには、図8に各部位の温度を示すように、暖房ユニット110の暖房端末16に流入する熱媒の温度が例えば60℃とすると暖房装置16から返戻される熱媒の温度は比較的高い40℃であり、圧縮機24で圧縮した冷媒の温度が約100℃とすると高温熱交換器14で熱媒循環路112の熱媒と熱交換した後の冷媒の温度は例えば50℃となる。この例えば50℃の冷媒と液循環路42の不凍液とが低温熱交換器25で熱交換され、液循環路42の不凍液が例えば40℃に昇温して蓄熱タンク44へ流れ、冷媒については例えば10℃に冷却された後、膨張弁26及び蒸発器28を経て外気の熱を吸熱して循環する。なお、この場合、膨張弁26については圧縮機24の吐出冷媒温度が100℃となるように開度を設定している。
【0051】
これにより、蓄熱タンク44に昇温した不凍液が徐々に蓄えられ、蓄熱が行われる。
図9は蓄熱が完了し蓄熱を利用している状態を示し、温度センサ56からの温度情報により蓄熱タンク44から流出する不凍液の温度T3が蓄熱タンク44に流入する不凍液の温度と同じ約40℃となったときには、蓄熱タンク44への蓄熱が完了したとみなし、蓄熱の利用を開始する。
蓄熱タンク44への蓄熱が完了した場合には、ECU50からの切換信号により、冷媒が膨張弁26から冷媒分岐路30へ向かう流れとなるように三方弁27を切り換える。
【0052】
冷媒が膨張弁26から冷媒分岐路30へ向かう流れになると、蓄熱利用蒸発器32により蓄熱タンク44内の不凍液と冷媒分岐路30の冷媒との間で熱交換が行われ、蓄熱タンク44内の不凍液の熱が冷媒分岐路30の冷媒に伝達され、冷媒が吸熱して蒸発する。そして、冷媒が蒸発器28を経ることなくそのまま圧縮機24に流入する。
【0053】
このように、冷媒が蓄熱タンク44に蓄熱した熱により蒸発して圧縮機24に流入することにより、圧縮機24の圧縮率をそれほど高くしなくても冷媒の温度を約100℃まで上昇させて冷媒の熱を暖房ユニット110に供給することができ、蓄熱タンク44に蓄熱しておいた熱を暖房の吸熱源として有効に利用することができる。
図10は蓄熱の利用が完了した状態を示し、温度センサ54により検出される蓄熱利用蒸発器32を通過し吸熱した冷媒の温度T2、即ち蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度が−10℃になると、この温度は上記の如くヒートポンプユニット120が通常に作動して暖房ユニット110が作動する場合の蒸発器28の蒸発温度と同じになることから、蓄熱タンク44の蓄熱の利用を終了する。つまり、蓄熱タンク44内の不凍液の温度T1が外気温度である0℃未満になるような場合には、外気から熱を吸収する方が効率がよいことから、蓄熱タンク44の蓄熱の利用を終了し、ヒートポンプユニット120を蒸発器28を用いた通常の作動に戻すようにする。
【0054】
ここに、当該第2実施例におけるモリエル線図は、上記第1実施例における図5に示すモリエル線図と同様のものとなる。
このように、本発明の第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置によれば、ヒートポンプユニット120が通常に作動して暖房ユニット110が作動する際に高温熱交換器14を経て例えば50℃となった冷媒の熱を、暖房に使用できるほど高温ではなく外気温よりも高温であるものの熱量的には必要吸熱量には満たないのであるが、ヒートポンプユニット120の冷媒及び蓄熱ユニット140の不凍液を介して一旦蓄熱タンク44に回収して蓄熱しておくことで、効率よく暖房の吸熱源に利用することができる。これにより、暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
なお、ここでは蓄熱ユニット140の第2の熱媒ひいては蓄熱体として不凍液を用いているが、第2実施例によれば、第2の熱媒ひいては蓄熱体として暖房ユニット110に使用する熱媒とは異なる熱媒、例えば粘度を蓄熱温度に最適化した熱媒を使用することができる。また、ポンプ46の流量を蓄熱タンク44に蓄熱を行うのに見合った低流量とすることもできる。
【0055】
また、この場合においても、他の熱源は外気に限らず地中や下水等であってもよい。
図11は、第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の変形例を示す概略構成図である。
図11の第2実施例の変形例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット110、ヒートポンプユニット120’及び蓄熱ユニット140’から構成されている。
この変形例では、蓄熱ユニット140’は蓄熱タンク44のみからなり、液循環路42やポンプ46を設けることなく、ヒートポンプユニット120’において、低温熱交換器25に代えて低温熱交換器(第3の熱交換器)25’を直接に蓄熱タンク44内に設けるようにしている。
当該変形例によれば、液循環路42やポンプ46を排して廉価にヒートポンプ式暖房装置を構成しつつ、上記同様の効果を得ることができる。
【0056】
図12は、第2実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の他の変形例を示す概略構成図である。
図12の第2実施例の他の変形例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット110、ヒートポンプユニット120”及び蓄熱ユニット140”から構成されている。
この他の変形例では、蓄熱ユニット140”において、不凍液が蓄熱タンク44の上部から流出し、液循環路42に合流するよう構成された液循環路43を備えており、液循環路43にポンプ47及びヒートポンプユニット120”の冷媒分岐路30’の冷媒と不凍液との熱交換を行う蓄熱利用蒸発器(第1の蒸発器)32’を介装するようにしている。この場合、蓄熱利用蒸発器32’を通過した冷媒の温度T2を測定する温度センサ54は、冷媒分岐路30’の蓄熱利用蒸発器32’よりも下流位置に設けられている。そして、ECU50にはさらにポンプ47が電気的に接続されている。
当該他の変形例によっても、上記同様の効果を得ることができる。
【0057】
[第3実施例]
図13は、本発明の第3実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
第3実施例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット110、ヒートポンプユニット220及び蓄熱ユニット240から構成されている。
第3実施例では、ヒートポンプユニット220は、冷媒が循環する冷媒循環路222に、実線矢印で示す冷媒の流れ方向で視て順に、圧縮機24、高温熱交換器14、膨張弁26、蒸発器(共用蒸発器)232が介装されて構成されている。
また、蓄熱ユニット240は、不凍液が循環する液循環路42に、実線矢印で示す不凍液の流れ方向で視て順に、上記同様、低温熱交換器25、不凍液を貯留して熱を蓄える蓄熱タンク44及び不凍液を循環させるポンプ46が介装されて構成される一方、不凍液が蓄熱タンク44の上部から流出し、液循環路42に合流するよう構成された液循環路243を備え、液循環路243に、ポンプ47、蒸発器232、三方弁48及び三方弁48から分岐し蒸発器232の上流で合流するよう熱交換装置49が介装されて構成されている。
【0058】
ここに、蒸発器232を通過した冷媒の温度T2を測定する温度センサ54は、冷媒循環路222の蒸発器232よりも下流位置に設けられている。そして、ECU50にはさらにポンプ47とともに三方弁48が電気的に接続されている。
以下、このように構成された第3実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の作動について説明する。
先ず、ヒートポンプユニット220が通常に作動して暖房ユニット110が作動するときには、ECU50からの切換信号により、不凍液が熱交換装置49から蒸発器232を循環するように三方弁48を切り換える。
このように不凍液が熱交換装置49から蒸発器232を循環するように流れることで、冷媒循環路222を流れる冷媒は、膨張弁26及び蒸発器232を経て熱交換装置49から不凍液に吸収した熱を吸熱して循環する。
【0059】
これにより、上記第2実施例の場合と同様に、蓄熱タンク44に昇温した不凍液が徐々に蓄えられ、蓄熱が行われる。
次に、温度センサ56からの温度情報により蓄熱タンク44から流出する不凍液の温度T3が例えば蓄熱タンク44に流入する不凍液の温度と同じ約40℃となったときには、蓄熱タンク44への蓄熱が完了したとみなし、蓄熱の利用を開始する。具体的には、ECU50からの切換信号により、不凍液が蓄熱タンク44の上部から蒸発器232を循環するように三方弁48を切り換える。
不凍液が蓄熱タンク44の上部から蒸発器232を循環するように流れると、蒸発器232により不凍液と冷媒循環路222の冷媒との間で熱交換が行われ、蓄熱タンク44からの不凍液の熱が冷媒循環路222の冷媒に伝達され、冷媒が吸熱して蒸発する。そして、蒸発した冷媒がそのまま圧縮機24に流入する。
【0060】
これにより、上記第2実施例の場合と同様、ヒートポンプユニット220が通常に作動して暖房ユニット110が作動する場合に高温熱交換器14を経て例えば50℃となった冷媒の熱を蓄熱タンク44に回収して効率よく暖房の吸熱源に利用することができる。
ここに、熱交換装置49としては、図示するような地中熱熱交換器であってもよいし、空気熱交換器や下水熱交換器等であってもよい。
温度センサ54により検出される蒸発器232を通過し吸熱した冷媒の温度T2、即ち蒸発器232の蒸発温度が0℃になると、この温度は上記の如くヒートポンプユニット220が通常に作動して暖房ユニット110が作動する場合の蒸発器232の蒸発温度と同じになることから、蓄熱タンク44の蓄熱の利用を終了する。つまり、蓄熱タンク44内の不凍液の温度T1が地中温度である10℃未満になるような場合には、地中から熱を吸収する方がよいことから、蓄熱タンク44の蓄熱の利用を終了し、ヒートポンプユニット220を通常の作動に戻すようにする。
【0061】
このように、本発明の第3実施例に係るヒートポンプ式暖房装置によれば、冷媒循環路222に蒸発器232を一つ設け、ヒートポンプユニット220を通常に作動させて暖房を行う場合にも蓄熱タンク44の蓄熱を利用して暖房を行う場合にも一つの蒸発器232を共用して低コストにして効率よく暖房を行うことができる。
[第4実施例]
図14は、本発明の第4実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
第4実施例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット110、ヒートポンプユニット320及び蓄熱ユニット340から構成されている。
第4実施例では、ヒートポンプユニット320は、上記第2実施例の構成に加え、冷媒循環路122に、冷媒循環路122の冷媒分岐路330の合流点よりも下流に位置してリニア三方弁(制御手段)34を備え、リニア三方弁34から分岐し再び冷媒循環路122に合流するようにして過熱循環路36が設けられ、過熱循環路36には過熱器(冷媒過熱手段)38が介装されて構成されている。
【0062】
そして、蓄熱ユニット340は、上記第2実施例の構成に加え、液循環路342に、不凍液が蓄熱タンク44に流入する直前部分に位置して上記過熱器38が介装されて構成されている。
また、ここでは、冷媒循環路122の冷媒分岐路330の合流点とリニア三方弁34との間に冷媒の温度T2を測定する温度センサ54’が設けられており、さらに冷媒循環路122の過熱循環路36の合流点よりも下流位置には冷媒の温度T4を測定する温度センサ57が設けられている。
このように構成された第4実施例に係るヒートポンプ式暖房装置では、蓄熱を利用する場合には、蓄熱利用蒸発器32から流出し温度センサ54’により検出される冷媒の温度T2及び温度センサ57により検出される冷媒の温度T4に応じてリニア三方弁34を制御し、過熱循環路36を流れる冷媒の量を可変させる。具体的には、冷媒の温度T2が25℃の場合、過熱器38での不凍液と冷媒との熱交換によって温度センサ57により検出される冷媒の温度T4が例えば35℃となるようにリニア三方弁34を制御する。つまり、冷媒の温度T2、即ち蓄熱利用蒸発器32における蒸発温度が高ければ高いほど、過熱器38によって冷媒を加熱させて過熱温度を増加させるようにする。
【0063】
このように過熱器38によって冷媒の温度を上昇させるようにすると、上記図5のモリエル線図に破線で示すように、蒸発温度が高く蓄熱利用蒸発器32出口のエンタルピが低いときでも、蓄熱を利用する場合における熱サイクルを過熱によりエンタルピを増加させて変更するようにでき、圧縮機24出口のエンタルピひいては圧縮機24から吐出されるガス冷媒の温度を暖房に見合う温度まで上昇させるようにでき、暖房効率を向上させることができる。
一方、冷媒の温度T2が上記所定温度未満であるような場合には、過熱器38を使用しなくても圧縮機24で圧縮した後の冷媒の温度は充分高くなる状況とみなすことができ、リニア三方弁34を制御して冷媒が冷媒循環路122を流れて過熱循環路36を流れないようにする。
また、蓄熱を利用して暖房ユニット110を作動させる場合に限られず、ヒートポンプユニット320が通常に作動して暖房ユニット110を作動させる場合においても、適宜リニア三方弁34を制御して過熱循環路36を流れる冷媒の量を可変させ、過熱器38によって冷媒の温度を上昇させるようにしてもよく、これによりヒートポンプユニット320が通常に作動する場合であっても圧縮機24で圧縮した後の冷媒の温度を充分に高めることができる。
【0064】
図15は、第4実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の変形例を示す概略構成図である。
図15の当該変形例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット110、ヒートポンプユニット420及び蓄熱ユニット140から構成されている。
この変形例では、ヒートポンプユニット420は、上記第2実施例の構成に加え、冷媒循環路422の高温熱交換器14と低温熱交換器25との間に位置して過熱器(冷媒過熱手段)38’が介装されて構成されている。そして、冷媒循環路422の冷媒分岐路30の合流点よりも下流に位置してリニア三方弁(制御手段)34が介装され、リニア三方弁34から分岐し再び冷媒循環路422に合流するようにして内部循環路23が設けられ、内部循環路23に上記過熱器38’が介装されている。
また、ここでは、冷媒の温度T2を測定する温度センサ54’は、冷媒循環路422の冷媒分岐路30の合流点とリニア三方弁34との間に設けられており、冷媒の温度T4を測定する温度センサ57は、冷媒循環路422の内部循環路23の合流点よりも下流位置に設けられている。
【0065】
このように構成された第4実施例の変形例係るヒートポンプ式暖房装置では、蓄熱を利用する場合には、上記第4実施例の場合と同様、蓄熱利用蒸発器32から流出し温度センサ54’により検出される冷媒の温度T2及び温度センサ57により検出される冷媒の温度T4に応じてリニア三方弁34を制御し、内部循環路23を流れる冷媒の量を可変させ、冷媒の温度T2、即ち蓄熱利用蒸発器32における蒸発温度が高ければ高いほど、過熱器38’によって冷媒を加熱させて過熱温度を増加させるようにする。
これにより、高温熱交換器14と低温熱交換器25との間において冷媒循環路422を流れる冷媒の温度は例えば50℃であるため、蓄熱を利用する場合における熱サイクルにおいてエンタルピを増加させて変更するようにでき、圧縮機24出口のエンタルピひいては圧縮機24から吐出されるガス冷媒の温度を暖房に見合う温度まで充分上昇させるようにでき、暖房効率を向上させることができる。
【0066】
また、上記第4実施例の場合と同様、蓄熱を利用して暖房ユニット110を作動させる場合に限られず、ヒートポンプユニット420が通常に作動して暖房ユニット110を作動させる場合においても、適宜リニア三方弁34を制御して内部循環路23を流れる冷媒の量を可変させ、過熱器38’によって冷媒の温度を上昇させるようにしてもよく、これによりヒートポンプユニット420が通常に作動する場合であっても圧縮機24で圧縮した後の冷媒の温度を充分に高めることができる。
[第5実施例]
図16は、本発明の第5実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
第5実施例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット210、ヒートポンプユニット520及び蓄熱ユニット140から構成されている。
【0067】
第5実施例は、ヒートポンプユニット520において、上記第4実施例の変形例の圧縮機24に代えて二段圧縮可能なように低段圧縮機524と高段圧縮機525の2つの圧縮機を直列に配設した点が第4実施例の変形例と大きく相違している。
詳しくは、ヒートポンプユニット520は、冷媒循環路522に、実線矢印で示す冷媒の流れ方向で視て順に、低段圧縮機524と高段圧縮機525とが介装され、低段圧縮機524と高段圧縮機525との間に中圧熱交換器514が介装され、高段圧縮機525の下流に高圧熱交換器515が介装されて構成されている。そして、ヒートポンプユニット520では、第4実施例の変形例と同様に、冷媒循環路522の高圧熱交換器515と低温熱交換器25との間に位置して過熱器38’が介装され、冷媒循環路522の冷媒分岐路30の合流点よりも下流に位置してリニア三方弁34が介装され、リニア三方弁34から分岐し再び冷媒循環路522に合流するようにして内部循環路23が設けられ、内部循環路23に上記過熱器38’が介装されている。
【0068】
また、冷媒循環路522の内部循環路23との合流点と低段圧縮機524との間には三方弁60が介装され、三方弁60から分岐し冷媒循環路522の中圧熱交換器514と高段圧縮機525との間の部分に合流するようにして連通路62が配設されている。
そして、上記のようにヒートポンプユニット520に中圧熱交換器514と高圧熱交換器515とが配設されていることに伴い、暖房ユニット210は、高圧側熱媒循環路213と中圧側熱媒循環路215とが熱媒循環路212にそれぞれ互いに並列に配設されて構成されている。また、熱媒循環路212には、高圧側熱媒循環路213及び中圧側熱媒循環路215を流れる熱媒の流量を調整する流量調整弁19が設けられている。
以下、このように構成された第5実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の作動について説明する。
【0069】
図17、図18を参照すると、第5実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の作動が時系列で示されており、以下図17、図18に基づき説明する。なお、図中実線が流通状態、破線が非流通状態を示す。
図17は蓄熱中の状態を示し、同図に示すように、ヒートポンプユニット520が通常に作動して暖房ユニット210が作動するときには、ECU50からの切換信号により、冷媒が膨張弁26から蒸発器28へ向かう冷媒循環路522の流れとなるように三方弁27を切り換える。
三方弁60については、冷媒が低段圧縮機524に向けて冷媒循環路522を流れるように切り換える。つまり、ヒートポンプユニット520が通常に作動する場合には、冷媒が低段圧縮機524及び高段圧縮機525により二段圧縮されるように三方弁60を切り換える。
流量調整弁19については中圧熱交換器514及び高圧熱交換器515の能力に応じて適宜調整し、リニア三方弁34については上記第4実施例の変形例と同様に適宜制御する。
【0070】
図18は蓄熱が完了し蓄熱を利用している状態を示し、同図に示すように、蓄熱を利用する場合には、ECU50からの切換信号により、冷媒が膨張弁26から冷媒分岐路30へ向かう流れとなるように三方弁27を切り換える。
三方弁60については、温度センサ54’により検出される蓄熱利用蒸発器32を通過し吸熱した冷媒の温度T2、即ち蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度に応じ、蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度が所定温度以上であれば、冷媒が高段圧縮機525に向けて連通路62を流れるように切り換えるとともに低段圧縮機524を停止し、蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度が所定温度未満になれば、冷媒が低段圧縮機524に向けて冷媒循環路522を流れるように切り換える。つまり、蓄熱を利用する場合には、蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度が所定温度以上であれば、高段圧縮機525だけで足りることから、高段圧縮機525のみ作動させ、蓄熱利用蒸発器32の蒸発温度が所定温度未満であれば、冷媒を充分に圧縮する必要があることから、低段圧縮機524及び高段圧縮機525をともに作動させ、二段圧縮を行うようにする。
【0071】
流量調整弁19については中圧熱交換器514及び高圧熱交換器515の能力に応じて適宜調整し、低段圧縮機524の停止中は高圧側熱媒循環路213にのみ熱媒が流れるようにする。リニア三方弁34については、上記第4実施例の変形例と同様、蓄熱利用蒸発器32から流出し温度センサ54’により検出される冷媒の温度T2及び温度センサ57により検出される冷媒の温度T4に応じて制御し、冷媒の温度T2、即ち蓄熱利用蒸発器32における蒸発温度が高ければ高いほど、過熱器38’によって冷媒を加熱させて増加を上昇させるようにする。
ここで、図19を参照すると本実施例におけるモリエル線図がされており、a→b→c→d→e→fはヒートポンプユニット520が通常に作動した場合の熱サイクルを示し、g→d→h→iは蓄熱を利用した場合の熱サイクルを示している。同図に示すように、蓄熱を利用している場合、温度センサ54’により検出される冷媒の温度T2が低下するにつれてg→d→h→iは矢印の方向に図中破線で示すように変化することとなる。
これにより、ヒートポンプユニット520が二段圧縮可能に構成されている場合においても、暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
なお、ここではヒートポンプユニット520に中圧熱交換器514と高圧熱交換器515とを配設するようにしているが、中圧熱交換器514については設けなくてもよい。
【0072】
[第6実施例]
図20は、本発明の第6実施例に係るヒートポンプ式暖房装置を示す概略構成図である。
第6実施例に係るヒートポンプ式暖房装置は、大きくは暖房ユニット210、低元側ヒートポンプユニット620、高元側ヒートポンプユニット720及び蓄熱ユニット140から構成されている。
第6実施例は、低元側ヒートポンプユニット620と高元側ヒートポンプユニット720によって二元圧縮可能なように構成した点が第5実施例と相違している。
詳しくは、低元側ヒートポンプユニット620は、冷媒循環路622に、実線矢印で示す冷媒の流れ方向で視て順に、低元圧縮機624、中圧熱交換器614、膨張弁626、蒸発器28が介装されて構成されている。そして、低元側ヒートポンプユニット620では、中圧熱交換器614と膨張弁626との間にカスケード熱交換器70が介装されている。カスケード熱交換器70と膨張弁626との間には、過熱器(冷媒過熱手段)638が介装されており、冷媒循環路622の冷媒分岐路630の合流点よりも下流に位置してリニア三方弁634が介装され、リニア三方弁634から分岐し再び冷媒循環路622に合流するようにして内部循環路623が設けられ、内部循環路623に上記過熱器638が介装されている。低元側ヒートポンプユニット620において、冷媒分岐路630には蓄熱利用蒸発器632が介装されており、蓄熱利用蒸発器632は蓄熱タンク44の下部に位置している。
【0073】
また、高元側ヒートポンプユニット720は、冷媒循環路722に、実線矢印で示す冷媒の流れ方向で視て順に、高元圧縮機725、高圧熱交換器715、膨張弁726及び上記カスケード熱交換器70が介装されて構成されている。そして、高元側ヒートポンプユニット720では、高圧熱交換器715と膨張弁726との間に低温熱交換器25が介装されている。高圧熱交換器715と低温熱交換器25との間には、過熱器(冷媒過熱手段)738が介装されており、冷媒循環路722の冷媒分岐路730の合流点よりも下流に位置してリニア三方弁734が介装され、リニア三方弁734から分岐し再び冷媒循環路722に合流するようにして内部循環路723が設けられ、内部循環路723に上記過熱器738が介装されている。高元側ヒートポンプユニット720において、冷媒分岐路730には蓄熱利用蒸発器732が介装されており、蓄熱利用蒸発器732は蓄熱タンク44の上部に位置している。
そして、上記のように低元側ヒートポンプユニット620に中圧熱交換器614が、高元側ヒートポンプユニット720に高圧熱交換器715が配設されていることに伴い、暖房ユニット210は、上記第5実施例の場合と同様、高圧側熱媒循環路213と中圧側熱媒循環路215とが熱媒循環路212にそれぞれ互いに並列に配設され、熱媒循環路212に高圧側熱媒循環路213及び中圧側熱媒循環路215を流れる熱媒の流量を調整する流量調整弁19が設けられて構成されている。
【0074】
第6実施例では、冷媒循環路622の冷媒分岐路630の合流点とリニア三方弁634との間に低元側ヒートポンプユニット620における冷媒の温度T2を測定する温度センサ154が設けられ、冷媒循環路622の内部循環路623の合流点よりも下流位置に低元側ヒートポンプユニット620における冷媒の温度T4を測定する温度センサ157が設けられている。また、冷媒循環路722の冷媒分岐路730の合流点とリニア三方弁734との間に高元側ヒートポンプユニット720における冷媒の温度T2を測定する温度センサ254が設けられ、冷媒循環路722の内部循環路723の合流点よりも下流位置に高元側ヒートポンプユニット720における冷媒の温度T4を測定する温度センサ257が設けられている。
以下、このように構成された第6実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の作動について説明する。
【0075】
図21〜図23を参照すると、第6実施例に係るヒートポンプ式暖房装置の作動が時系列で示されており、以下図21〜図23に基づき説明する。なお、図中実線が流通状態、破線が非流通状態を示す。
図21は蓄熱中の状態を示し、同図に示すように、低元側ヒートポンプユニット620及び高元側ヒートポンプユニット720が通常に作動して暖房ユニット210が作動するときには、ECU50からの切換信号により、低元側ヒートポンプユニット620においては、冷媒が膨張弁626から蒸発器28へ向かう冷媒循環路622の流れとなるように三方弁627を切り換える。高元側ヒートポンプユニット720においては、冷媒が膨張弁726からカスケード熱交換器70へ向かう冷媒循環路722の流れとなるように三方弁727を切り換える。
【0076】
流量調整弁19については中圧熱交換器614及び高圧熱交換器715の能力に応じて適宜調整し、リニア三方弁634、734については上記第5実施例と同様に適宜制御する。
図22は、蓄熱が完了し、蓄熱利用蒸発器732の蒸発温度が高く、温度センサ154により検出される冷媒の温度T2が所定温度以上である場合の蓄熱利用状態を示している。
同図に示すように、蓄熱利用蒸発器732の蒸発温度が所定温度以上である場合には、ECU50からの切換信号により、高元側ヒートポンプユニット720において、冷媒が膨張弁726から冷媒分岐路730へ向かう流れとなるように三方弁727を切り換えるとともに低元圧縮機624を停止する。即ち、蓄熱利用蒸発器732の蒸発温度が所定温度以上である場合には、高元側ヒートポンプユニット720の高元圧縮機725のみを作動させるようにする。
【0077】
図23は、温度センサ154により検出される冷媒の温度T2、即ち蓄熱利用蒸発器732の蒸発温度が所定温度未満である場合の蓄熱利用状態を示している。
同図に示すように、蓄熱利用蒸発器732の蒸発温度が所定温度未満である場合には、ECU50からの切換信号により、低元側ヒートポンプユニット620において、冷媒が膨張弁626から冷媒分岐路630へ向かう流れとなるように三方弁627を切り換える。即ち、蓄熱利用蒸発器732の蒸発温度が所定温度未満である場合には、冷媒を充分に圧縮する必要があることから、低元圧縮機624及び高元圧縮機625をともに作動させ、二元圧縮を行うようにする。
蓄熱を利用する場合においても、流量調整弁19については中圧熱交換器614及び高圧熱交換器715の能力に応じて適宜調整し、リニア三方弁634、734については上記第5実施例と同様に適宜制御する。
ここで、図24を参照すると本実施例におけるモリエル線図がされており、a→b→c→dは低元側の熱サイクルを示し、e→f→g→hは高元側ヒートポンプユニット720が通常に作動した場合の熱サイクルを示し、高元側のi→f→j→kは蓄熱を利用した場合の熱サイクルを示している。同図に示すように、蓄熱を利用している場合、温度センサ154により検出される冷媒の温度T2が低下するにつれてi→f→j→kは矢印で示すようにe→f→g→hに近づくように変化することとなる。
【0078】
これにより、ヒートポンプユニットが二元圧縮可能に構成されている場合においても、上記第5実施例の場合と同様、暖房効率ひいてはCOPを向上させることができる。
なお、ここではヒートポンプユニット620に中圧熱交換器614を配設し、高元側ヒートポンプユニット720に高圧熱交換器715を配設するようにしているが、中圧熱交換器614については設けなくてもよい。
以上、本発明に係るヒートポンプ式暖房装置の実施の形態を第1実施例乃至第6実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、暖房ユニット10の熱媒の熱、或いは暖房ユニット110、210との間で熱交換をした後の冷媒の熱を蓄熱タンク44に貯めるようにしているが、蓄熱タンク44に貯める熱の熱源はこれに限られるものではなく、例えば図25に示すように、蓄熱ユニット440において太陽光採熱パネル100を熱源に用いて太陽熱をも併せて回収し蓄熱するようにしてもよい。具体的には、上記第2実施例に沿い説明すると、液循環路42にバイパス路102を配設してこのバイパス路102に太陽光採熱パネル100を介装し、液循環路42を循環する不凍液を太陽光採熱パネル100内に循環させるようにしてもよい。なお、熱源としては太陽熱の他、排水する風呂の湯等が有効である。これにより、暖房効率ひいてはCOPをさらに向上させることが可能である。
【0079】
また、上記実施形態では、蓄熱ユニット40、140、140’、140”、240、340、440において、蓄熱手段として蓄熱体である熱媒を貯めるべく蓄熱タンク44を用いるようにしているが、図26に示すように、蓄熱タンク44に代えて、蓄熱体として蓄熱剤44’を用いるようにしてもよい。具体的には、上記第2実施例に沿い説明すると、液循環路42に例えばゲル状或いはジェル状の蓄熱剤44’を内装し、この蓄熱剤44’と熱交換可能に蓄熱利用蒸発器32を配設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 暖房ユニット
14 高温熱交換器(第1の熱交換器)
16 暖房端末
20、20’ ヒートポンプユニット
24 圧縮機
25 低温熱交換器(第2の熱交換器)
25’ 低温熱交換器(第3の熱交換器)
26 膨張弁
27 三方弁(制御手段)
28 蒸発器(第2の蒸発器)
32、32’ 蓄熱利用蒸発器(第1の蒸発器)
34 リニア三方弁(制御手段)
38、38’ 過熱器(冷媒過熱手段)
40、40’ 蓄熱ユニット(蓄熱手段)
44 蓄熱タンク
50 電子制御ユニット(ECU)
52、54、54’、56、57 温度センサ
70 カスケード熱交換器
100 太陽光採熱パネル
110、210 暖房ユニット
120、120’、120” ヒートポンプユニット
140、140’、140” 蓄熱ユニット(蓄熱手段)
154、157 温度センサ
220、220’ ヒートポンプユニット
232 蒸発器(共用蒸発器)
240、340 蓄熱ユニット(蓄熱手段)
320、420、520、620、720 ヒートポンプユニット
638、738 過熱器(冷媒過熱手段)
632、732 蓄熱利用蒸発器(第1の蒸発器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房端末に熱媒を循環させる暖房ユニットと、冷媒が圧縮機、熱交換器、膨張弁及び蒸発器を順に循環して該熱交換器にて前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行うヒートポンプユニットとを備えたヒートポンプ式暖房装置において、
熱媒を介し、前記暖房ユニットの余熱のうち暖房に使用できるほど高い温度ではないものの外気温度よりも高い温度の熱の蓄熱を行う蓄熱手段を備えたことを特徴とするヒートポンプ式暖房装置。
【請求項2】
前記蓄熱手段は、熱媒が前記暖房端末、該蓄熱手段及び前記熱交換器を順に循環するよう前記暖房ユニットに組み込まれて構成され、前記暖房端末を経た熱媒を直接介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする、請求項1記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項3】
前記蓄熱手段は、熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うことを特徴とする、請求項2記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項4】
前記ヒートポンプユニットの前記熱交換器は前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う第1の熱交換器及び該第1の熱交換器と前記膨張弁との間に直列に設けられた第2の熱交換器を備え、
前記蓄熱手段は、該蓄熱手段及び前記第2の熱交換器を循環して該第2の熱交換器にて前記ヒートポンプユニットの冷媒と熱交換を行った第2の熱媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする、請求項1記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項5】
前記蓄熱手段は、第2の熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うことを特徴とする、請求項4記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項6】
前記ヒートポンプユニットの前記熱交換器は前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う第1の熱交換器及び該第1の熱交換器と前記膨張弁との間に直列に設けられて蓄熱体と熱交換を行う第3の熱交換器を備え、
前記蓄熱手段は、前記第3の熱交換器にて前記ヒートポンプユニットの冷媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする、請求項1記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項7】
少なくとも、前記蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、前記ヒートポンプユニットの前記蒸発器の吸熱源を前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体と他の熱源とに切り換える制御手段を備えたことを特徴とする、請求項1記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項8】
前記蓄熱手段は、熱媒が前記暖房端末、該蓄熱手段及び前記熱交換器を順に循環するよう前記暖房ユニットに組み込まれて構成され、前記暖房端末を経た熱媒を直接介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする、請求項7記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項9】
前記蓄熱手段は、熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うことを特徴とする、請求項8記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項10】
前記ヒートポンプユニットの前記熱交換器は前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う第1の熱交換器及び該第1の熱交換器と前記膨張弁との間に直列に設けられた第2の熱交換器を備え、
前記蓄熱手段は、該蓄熱手段及び前記第2の熱交換器を循環して該第2の熱交換器にて前記ヒートポンプユニットの冷媒と熱交換を行った第2の熱媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする、請求項7記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項11】
前記蓄熱手段は、第2の熱媒を蓄熱体として蓄熱を行うことを特徴とする、請求項10記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項12】
前記ヒートポンプユニットの前記熱交換器は前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う第1の熱交換器及び該第1の熱交換器と前記膨張弁との間に直列に設けられて蓄熱体と熱交換を行う第3の熱交換器を備え、
前記蓄熱手段は、前記第3の熱交換器にて前記ヒートポンプユニットの冷媒を介して蓄熱体に蓄熱を行うことを特徴とする、請求項7記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項13】
前記蒸発器は、前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体を吸熱源とする第1の蒸発器と他の熱源を吸熱源とする第2の蒸発器とを配設してなり、
前記制御手段は、前記蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、前記ヒートポンプユニットの前記膨張弁を経た冷媒の流通を前記第1の蒸発器と前記第2の蒸発器とのいずれか一方に切り換えることで前記蒸発器の吸熱源を切り換えることを特徴とする、請求項7乃至12のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項14】
前記蒸発器は一つの共用蒸発器からなり、
前記制御手段は、前記蓄熱手段の蓄熱状況に応じて、前記共用蒸発器の吸熱源を前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体と他の熱源とに切り換えることを特徴とする、請求項7乃至12のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記膨張弁の開度を調節可能であり、
前記制御手段は、前記ヒートポンプユニットの前記蒸発器の吸熱源を前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体に切り換えた後、前記制御手段により前記膨張弁の開度が調節されて変化する前記蒸発器の蒸発温度が前記蒸発器の吸熱源を他の熱源としたときの前記蒸発器の蒸発温度以下になる前に前記蒸発器の吸熱源を他の熱源に切り換えることを特徴とする、請求項7乃至14のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記膨張弁の開度を調節可能であり、
前記制御手段は、前記蒸発器の吸熱源が前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、前記蒸発器の蒸発温度が吸熱源を他の熱源としたときの蒸発温度よりも高い所定温度以下になる前に前記蒸発器の吸熱源を他の熱源に切り換えることを特徴とする、請求項7乃至14のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項17】
前記蒸発器を経た冷媒と前記蓄熱手段に蓄熱される直前の熱媒と熱交換を行い加熱を行う冷媒過熱手段を備えることを特徴とする、請求項7乃至16のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項18】
前記蒸発器を経た冷媒と前記圧縮機から前記膨張弁間の一部の冷媒と熱交換を行い加熱を行う冷媒過熱手段を備えることを特徴とする、請求項7乃至16のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記蒸発器を経た冷媒の前記冷媒過熱手段での熱交換の度合いを調節可能であることを特徴とする、請求項17または18記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項20】
前記ヒートポンプユニットは、前記圧縮機として低段側圧縮機と高段側圧縮機とを直列に有して二段圧縮可能に構成されてなり、
前記制御手段は、前記蒸発器の吸熱源が前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、前記蒸発器の蒸発温度が所定温度以上であると、前記蒸発器を経た冷媒を前記高段側圧縮機に返戻するとともに、前記低段側圧縮機を停止させることを特徴とする、請求項7乃至19のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項21】
前記ヒートポンプユニットは、低元側ヒートポンプユニットと高元側ヒートポンプユニットからなり、前記圧縮機として低元側圧縮機と高元側圧縮機とを有し、カスケード熱交換器を介装して二元圧縮可能に構成されてなり、
前記高元側ヒートポンプユニットの蒸発器の他の熱源は該蒸発器としての前記カスケード熱交換器を流れる前記低元側ヒートポンプユニットの高温の冷媒であって、
前記制御手段は、前記蒸発器の吸熱源が前記蓄熱手段の蓄熱した蓄熱体であるとき、前記蒸発器の蒸発温度が所定温度以上であると、前記低元側ヒートポンプユニットの前記低元側圧縮機を停止させることを特徴とする、請求項7乃至19のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項22】
前記蓄熱手段は、前記暖房ユニットの余熱以外に蓄熱体に蓄熱を行う複数の熱源を含むことを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。
【請求項23】
前記ヒートポンプユニットを循環する冷媒は二酸化炭素であることを特徴とする、請求項1乃至22のいずれか記載のヒートポンプ式暖房装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2012−78073(P2012−78073A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226586(P2010−226586)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】