説明

ヒート・シンク・アセンブリ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気部品及び電子部品冷却用のヒート・シンク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】放熱は大部分の電気回路にとって必要不可欠であり、電子デバイスから発生する熱量を放散するのに空気だけでは不十分な場合、ヒート・シンクを使って放熱を促進する。ヒート・シンク装置を用いて放熱する方法には様々なものがあり、比較的よく使われている装置のあるものは、冷却すべきデバイスと接触させた剛板につないだ一連のフィンを用いている。フィンは周囲空気に触れる表面積を増加させ、加熱されるデバイス自体の表面積を利用する場合よりも放熱速度を増大させる。液体を用いて電気デバイスを冷却する方法も知られているが、これは自動車でラジエータを使ってエンジンを比較的低温に保つのと類似の原理で働く。
【0003】しかし、現在使用されているタイプのヒート・シンク装置は、組立てと製造がやや厄介になり勝ちである。大部分のシステムで使用しているヒート・シンクは、冷却される電気デバイスと一体型になるように製造され、したがって大量生産環境で効率よく取り扱うのが難しい。
【0004】可撓性基板に装着した半導体デバイスと共にヒート・シンクを使用することは、従来技術で知られている。米国特許第4914551号明細書はそのような方法を開示しており、ヒート・シンクを電気デバイスと一体型にする方法を示している。上記特許では、ヒート・シンクを電気デバイス・キャリアにはんだ付けする。
【0005】可撓性基板に装着した半導体デバイスにではなくて、電力デバイスへのヒート・シンクの取付けを改善する他の方法では、米国意匠特許第307540号に開示されているようにクリップを使用する。上記特許では、やはり電力デバイスをヒート・シンクに物理的に取り付け、クリップで電力デバイスの第2の表面領域を同じヒート・シンクのフィンに取り付ける。
【0006】従来技術では、可撓性基板に取り付けた半導体デバイスを含む既存の電子アセンブリに容易に取り付けられるヒート・シンク装置を対象としてこなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の一目的は、改良されたヒート・シンク装置を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、可撓性基板に取り付けた電子デバイスと共に使用される、改良されたヒート・シンク装置を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、製造しやすいように設計された、改良されたヒート・シンク装置を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、電子キャリアに装着しやすい、改良されたヒート・シンク装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、電気回路及び電子回路の冷却用のヒート・シンク・アセンブリを提供するものである。冷却を必要とする電気/電子回路に隣接する位置にスナップ式にはまるヒート・シンクを含むピボット式アセンブリによって、低コストの組立て方法が実現される。このスナップ式ヒート・シンク・アセンブリは、弾性伝熱材を含み、この伝熱材は、伝熱材とスナップ式フレームの間に配置されたプレート内の窓または開口を介して、熱の除去を必要とするデバイスに露出する。キャリアには、電子デバイス・キャリアへの取付け用にスロット付きのベース・プレートが設けられており、スナップ式ヒート・シンク・アセンブリをスロットに挿入して回転すると、スナップ式フレーム上のキャッチが電気デバイス・キャリアにラッチされる。
【0012】
【実施例】図1に、キャリア/スチフナ18を示す。キャリア18には基板25が取り付けられており、好ましい実施例では、この基板は可撓性の銅/インヴァー/銅材料から構成される。インヴァーは、ニッケルと鉄の合金である。この基板25には、直接C−4チップまたは他の電気部品24が装着され、キャリア・アセンブリ16を形成している。
【0013】図2には、ベース12に据え付ける前の、位置決めされた縦型ヒート・シンク・アセンブリ10を示す。この縦型ヒート・シンク・アセンブリ10は、フレーム30を備え、フレーム30の底縁部に沿ってリップ38が延びている。さらにフレーム30の頂縁部に沿ってキャッチ40が延びている。ベース12には、ヒート・シンク・アセンブリのリップ38を受けるスロット32がついている。
【0014】図3には、ベース12に据え付けた後の縦型ヒート・シンク・アセンブリ10を示す。チップ24を冷却するため、ヒート・シンク・アセンブリ10を、次のようにして、キャリア・アセンブリ16の近くに取り付ける。アセンブリ10を(図2に示すように)ベース12のスロット32に挿入し、全チップが順応性伝熱素子26と接触するまで回転する。次にクリップ28を使ってキャッチ40をキャリア18にラッチする。このヒート・シンク・アセンブリ10には、冷却すべき各チップ位置に、個別の流体バッグまたは圧縮性伝熱媒体を取り付ける。
【0015】図3にはさらに、米国特許第4943242号明細書に開示されているようなバックル・ビーム・ストリップによって回路板14に取り付けられたキャリア・アセンブリ16を示す。上記特許を引用により本明細書に合体する。ベース12が回路板14の上に載っており、好ましい実施例では、回路板の縁部に沿って延び、ねじまたは接着剤で回路板に取り付けられる。ベースを回路板に取り付ける他の手段も当技術分野で知られているが、ここには好ましい実施例だけを示したことを理解されたい。ベース12は、上記の引用特許にさらに詳しく記述されているように、キャリア18のエッジ・コネクタ20と接触する領域で、バックル・ビーム・ストリップを保持する。
【0016】図4には、組立て前のヒート・シンク・アセンブリの詳細図を示す。フレーム30が窓34の周囲にある。この好ましい実施例では、保持コーナ36を除き、この窓はほぼ方形である。フレーム30の底縁部に沿って横方向にリップ38が延びている。さらにフレーム30の頂部に沿ってキャッチ40が横方向に延びている。代替実施例では、このキャッチを2つの端部にのみ設けても、またフレーム30の頂部に沿って不連続に隔置してもよい。保持窓44と外縁部39を有する保持板42がフレーム30の近くにあり、外縁部39のコーナがフレーム30の保持コーナ36の大体近くにくるように窓34を覆う。
【0017】図5には、保持板アセンブリ13の特定の実施例を示す。この保持板アセンブリ13の保持板42の裏面27には、ヒート・シンク面56が取り付けてある。このヒート・シンク面56には流体で満たされた順応性素子が取り付けられ、冷却すべき集積回路チップまたはモジュールとの順応性界面を形成する。ヒート・シンク面56はさらに、保持板42から放射状に広がるヒート・シンク・フィン54を備えている。
【0018】図6には、この保持板アセンブリ13の代替実施例を示す。この保持板アセンブリ13にも、保持板42の裏面にヒート・シンク面56が取り付けてある。しかし、ヒート・シンク・フィンを用いて放熱する代わりに、伝熱バッグ60がヒート・シンク面56の一部となっている。この伝熱バッグ60には、通常の強制流体冷却法で使用される流体の導入口と排出口62がついている。
【0019】図5または図6に関して、保持板アセンブリの保持板42は、図4に示した取付け方法でフレーム30に取り付けられる。この取付けでは、ヒート・シンク・フィン54または伝熱バッグ60は、図4のフレーム30の窓を通って延び、フレーム30の裏面に突き出す。この突き出したヒート・シンクは、図2と同様の外観である。
【0020】
【発明の効果】本発明により、製造しやすく電子部品キャリアに取付けやすいヒート・シンク装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】装着前のキャリア・アセンブリの透視図である。
【図2】装着前のヒート・シンク・アセンブリの透視図である。
【図3】装着後のヒート・シンク・アセンブリの側面図である。
【図4】組立て前の保持板アセンブリの分解図である。
【図5】組立て後の保持板アセンブリの1実施例を示す図である。
【図6】組立て後の保持板アセンブリの1実施例を示す図である。
【符号の説明】
10 ヒート・シンク・アセンブリ
12 ベース
14 回路板
16 キャリア・アセンブリ
18 キャリア
20 エッジ・コネクタ
24 電子部品
25 基板
26 順応性伝熱素子
28 クリップ
30 フレーム
32 スロット
34 窓
38 リップ
40 キャッチ
42 保持板
44 保持窓
54 ヒート・シンク・フィン
56 ヒート・シンク面
60 伝熱バッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】キャリアに解除可能に相互接続するための手段を備えたフレームであって、該フレーム中を貫通するフレーム窓を画定するフレームと、上記フレーム窓内に配置され、上記フレーム窓を通して熱を伝熱する伝熱手段とを含む、複数の熱源が取り付けられたキャリアから、熱を除去する装置。
【請求項2】上記伝熱手段がさらに、保持板アセンブリと、上記保持板アセンブリに取り付けられた弾性伝熱材とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】上記保持板アセンブリがさらに、保持板中を貫通する複数の保持窓を画定する保持板を含むことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】上記保持窓が、上記フレーム窓と水平に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】上記弾性伝熱材の少なくとも一部分が上記保持窓内に配置されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】上記保持板アセンブリが、上記保持板から延びて離れる複数のヒート・シンク・フィンを含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
【請求項7】上記保持板アセンブリが、その中を循環する流体によって熱を除去する流体タンク手段を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
【請求項8】上記フィンが、上記保持板アセンブリの外表面上に担持され、上記フレーム窓を貫通して延びることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項9】上記流体タンク手段が、上記保持板アセンブリの外表面上に担持され、上記フレーム窓を貫通して延びることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項10】上記流体タンク手段が、上記タンク中で上記伝熱流体を循環させるための複数のポートを含むことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項11】解除可能に相互接続するキャッチを備えた、ヒート・シンク内のスナップを含む、製造据付けの容易な改良されたヒート・シンク。
【請求項12】解除可能に相互接続するキャッチを備えたヒート・シンク・アセンブリと、上記ヒート・シンク・アセンブリを位置決めし旋回させるためのスロット手段を備えたハウジングとを含む、電気/電子デバイス冷却装置。
【請求項13】上記ハウジングがさらに、少なくとも1個のバックル・ビーム・コネクタ・ストリップを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】複数のチップが取り付けられたチップ・キャリアと、上記チップ・キャリアに解除可能に相互接続され、フレーム中を貫通するフレーム窓を画定するフレームと、上記フレーム窓内に上記チップと接触して配置され、上記フレーム窓を通して上記チップから熱を伝達する伝熱手段とを含む、チップ・キャリアとヒート・シンク・アセンブリの組合せ。
【請求項15】上記フレームがさらに、保持板アセンブリと、上記保持板アセンブリに取り付けられた弾性伝熱材とを含むことを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】上記保持板アセンブリがさらに、保持板中を貫通する複数の保持窓を画定する保持板を含むことを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】上記保持窓が、それぞれ上記チップの対応する1つと水平に配置されていることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】上記保持窓が、上記弾性伝熱材と上記チップをずっと保持することを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項19】上記チップ・キャリアが可撓性基板を含むことを特徴とする、請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公告番号】特公平6−52764
【公告日】平成6年(1994)7月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−189605
【出願日】平成3年(1991)7月4日
【公開番号】特開平4−234154
【公開日】平成4年(1992)8月21日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION