説明

ビアパターンで穿孔された基板を含む装置

【課題】貫通孔ビアを有する基板の強度および耐久性を実質的に低減することなく、基板すなわちパネルを薄くすることにより、光透過性およびレーザー穿孔スループットを向上させる。
【解決手段】第1の外部表面と反対側の第2の外部表面を有する基板であって、可視光不透過性材料からなる基板、前記パネルの少なくとも一部を貫通して穿孔されたマイクロビアの配列パターン、および前記マイクロビアを充填する可視光透過性材料を含む装置において、前記第2の外部表面に当てられる光が前記第1の外部表面上の前記配列パターンを照らすように前記マイクロビアの開口の大きさが決められ、かつ前記第2の外部表面に光が当てられないとき前記第1の外部表面は肉眼で連続した基板表面を形成することを特徴とする装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2006年6月2日に出願された米国仮特許出願60/810、380および2006年10月18日に出願された米国仮特許出願60/852、592の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、各々は参照によりその全文を本明細書に組み込まれるものとする。本出願は「光透過性ビア充填のための方法(PROCESS FOR OPTICALLY TRANSPARENT VIA FILLING)」Atty.Doc.No.ESI−160−B.と題する同時に出願され、同一譲受人に譲渡された米国特許出願に関連する。
本技術的主題の分野は、穿孔前に基板を薄くするため、および/または、穿孔後にビアパターンを有する薄くされた基板を構造的に補強するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を提供するためにハウジングを貫通して投光することは、一般的である。例には、「Caps Lock」または「Num Lock」のような機能のための表示灯を含むコンピュータのキーボード、「on/off」灯を含むコンピュータのモニタ、加熱されるシートが入もしくは切の状態であるかどうか、または、エアバッグが入もしくは切の状態であるかどうかを表示するための灯火を含む自動車、表示灯を有するテレビ、および、他の消費者向け電気製品の多くが含まれるが、これらに限定されない。
このような照明を提供するための一般的な方法は、灯火が切の状態の場合は可視で、それが入の状態の場合は明るく点灯する投光を提供することである。光の一群または光のための孔は、工業デザイナの目的物にとって破壊的な影響を与える場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
貫通孔ビアを有する基板の強度および耐久性を実質的に低減することなく、基板すなわちパネルを薄くすることにより、光透過性およびレーザー穿孔スループットを向上させるための方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に示される、光透過性材料で基板中のビアを充填する一方法は、基板中にくぼみを形成するステップを含み、そのくぼみは第2の厚さを有する。第2の厚さは基板の第1の厚さよりも小さい。この例での本方法は、くぼみ中に少なくとも1つのビアを穿孔するステップ、および、光透過性材料でビアを充填するステップをさらに含む。
本方法によって形成される生産物も本明細書に示す。このような生産物の一例、たとえばパネルは、第1の厚さを有し、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する部分を含む。パネルは、第2の厚さを有するパネルのその部分中に形成される光透過性の部分をさらに含み、この光透過性の部分は、光透過性材料で充填される少なくとも1つのビアによって形成される。
【発明の効果】
【0005】
貫通孔ビアを有する基板の強度および耐久性を実質的に低減することなく、基板すなわちパネルを薄くすることにより、光透過性およびレーザー穿孔スループットを向上した装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ビア形状の略図であり、図1Aは裏面すなわち穿孔表面から撮られたビアの配列の顕微鏡写真であり、図1Bは表面すなわち出口表面から撮られたビアの配列の顕微鏡写真である。
【図2】ビアが、約400μmの標準的な厚さを有する基板を貫通して穿孔された、適用の略図である。
【図3】ビアが、約100μmのより薄い厚さを有する基板を貫通して穿孔された、適用の略図である。
【図4】ビアが、基板の薄くされたくぼみ範囲の内側に穿孔された、適用の略図である。
【図5】固体の補強材料によって補強された、薄くされたくぼみ範囲を有する基板についての一連の方法ステップの略図である。
【図6】液体の補強材料によって補強された、薄くされたくぼみ範囲を有する基板についての一連の方法ステップの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示のこれらの態様の詳細、および、他の発明の特徴は、図面を参照にして以下に説明される。
説明は、本明細書で添付の図面を参照しており、複数の図面を通して、同じ参照符号は同じ部分を参照している。
【0008】
本明細書に示す方法に従って製作される貫通孔ビア(それらの比較的小さい大きさのため本明細書においてマイクロ−ビアとも称される)を有する薄くされた基板すなわちパネルを図1に示す。基板は標準的な機械加工を使用して薄くでき、または、減少した厚さを含む部分を有する基板が用意されてもよい。基板は、図2に示すように基板表面にマイクロ−ビアのパターン配列10を含むことができる。マイクロ−ビアのパターン配列10が基板12に穿孔された後に、透明または半透明の材料の充填材32が穿孔されたマイクロ−ビアに塗布できる。そして、透明または半透明の、および、強化する特性を有する材料が、図3および図4に示すように薄くされた基板の強度を補強するために、穿孔されたマイクロ−ビアの基板表面に塗布できる。補強材料36は、穿孔された表面に接合される固
体、または、硬化して固体を形成する液体もしくは粘質物のいずれでもよい。マイクロ−ビアを用いて、作り出されることを意図する用途において、補強材料は、着色、拡散、または、レンズ効果もしくは他の芸術的照明効果のために使用することもできる。
【0009】
図3から図6を参照して、光透過性材料を伴うビア10を有する薄い基板12を補強するための方法、および、その方法を用いて製造される生産物を以下に示し説明する。光透過性材料を伴うビアを有する薄い基板を、構造的に補強するための方法およびステップは図5および図6に例示される。パネルすなわち基板12が用意される。基板12は、陽極酸化アルミニウムのような材料の比較的薄い連続したシートである。基板12は、第1の表面すなわち穿孔表面14、および、対向する第2の表面すなわち出口表面18を含み、それらは基板の厚さ20を画定する。典型的には、基板がアルミニウムである場合、基板の穿孔表面14にビア配列10が穿孔された後に、基板12が構造的完全性を保持するために、この基板12は、厚さ約400マイクロメートル(μm)であるべきである。本発明の一例では、図3に示すように、用意されたアルミニウム基板12は薄い厚さ20aを有し、それは400マイクロメートル(μm)よりも小さい厚さである。あるいは、約400マイクロメートル(μm)の厚さ20を有するアルミニウム基板12が用意された場合、図4に示すように、基板12の一部分は、穿孔表面14上において、より薄い厚さ20aまで薄くすることができる。
【0010】
400マイクロメートル(μm)の厚さを有するアルミニウム基板12が用意される適用において、本方法は、穿孔表面14上のくぼみ範囲22を、約100マイクロメートル(μm)のより薄い厚さ20aまで薄くするステップを含む。図4に示すように、薄くされたくぼみ範囲22は、穴あけ機または他の機械加工の装置を使用して機械加工することができる。薄くされたくぼみ範囲22の大きさは、要求されるビア配列パターン10を収容するように十分に大きくなくてはならない。薄くされたくぼみ範囲22は、円形の形状を有する状態で図4に示されるが、薄くされたくぼみ範囲22は他の形状および形態であってよいことは理解される。基板12の薄くされた範囲22は光透過性を向上させ、ビアのレーザー穿孔時間を削減する。
【0011】
図5に示す本方法の一適用において、操作(以下ではSと称する)1は、薄くされた基板12を貫通して、1つまたは複数のマイクロ−ビアすなわち孔24を穿孔するステップを含む。図1に示すように、一態様では、ビア24は、側壁26、ならびに、基板の穿孔表面14中の第1の開口28、および、基板の出口表面18上の対向する第2の開口30を有する円錐形である。第1のビア開口28は、直径について、第2のビア開口30を超える大きさである。たとえば基板12がアルミニウムである場合、図1Aおよび図1Bに示すように、第1のビア開口28は、直径について約90マイクロメートルから100マイクロメートル(μm)であり、第2のビア開口30は、直径について約30マイクロメートルから40マイクロメートル(μm)である。より大きい開口またはより小さい開口、ならびに、他のビア形状および形態が使用できることが理解される。図1Aおよび図1Bのビア24は、ダイオード励起固体パルスレーザー40のようなレーザーを使用して、円形またはらせん状のパターンに基板から穿孔または機械加工される。
【0012】
任意選択で、機械加工方法中に形成される任意のデブリまたは付着物を取り除くために、穿孔されたビア24を洗浄することができる。二酸化炭素スノージェット洗浄およびイソプロピルはビアの洗浄において効果があることが示されている。当業者に既知の他のビア洗浄技術も使用できる。たとえば超音波槽を使用する、超音波洗浄が使用できる。また、スノージェットのように、ビアを洗浄するために、穿孔機40と同様な方法で移動可能に配置される吹出しから、高圧空気を適用することができる。
【0013】
図5に示すS2では、本開示される方法は、ビア24内に充填材料の被覆32を塗布するステップを含むことができる。充填材料32は可視光透過性材料であってよい。例示的なUV硬化性充填材料32は、硬化されると実質的に透明である。図1に最良に示すように、充填材料32は、ビア24の第2の開口すなわちより小さい開口30の上部を覆って基板の第2の表面18に塗布され、図5に示すようにビア24を充填する。図示のように、充填材料32はシリンジ型の装置34を用いて塗布される。マイクロ−ビアを充填するステップが図5に示されるが、本方法は、充填材料32でマイクロ−ビアを充填することなく、S3に進むことができる。
【0014】
図5を参照すると、S3では、補強材料36が薄い基板12に塗布される。透明または半透明の特性を有する補強材料36は、薄くされた基板12の強度を補強するために、穿孔されたマイクロ−ビアの基板表面14に塗布される。図5に示すように、補強材料36は、プラスチックまたはガラスのような透明または半透明の特性を有する、予備形成された固体および/または予備硬化された材料であってよい。適切な大きさの固体の透明な補強材料36が、図3に示すように薄い基板に、または、図4および図5に示すように基板の薄くされたくぼみ範囲22に塗布される。補強材料36は、アルミニウムでは400マイクロメートル(μm)の厚さである、通常の厚さを有する基板の構造的支持の完全性を基板12にもたらす。
【0015】
S2においてビアが充填された場合、および/または、補強材料36が予備硬化されなかった場合、本方法はS4に進んでよく、そして、好ましくは、UVに透明な充填材32および/または補強材料36は、透明な補強材料36を貫通するUV光に充填材料32を露光することによって硬化される。硬化された場合、充填材料32は、充填材料32、補強材料36、および、ビア24を通って基板12を貫通する可視光の、光学的に透明な許容経路である。UVに透明な充填材料32を硬化することで、補強材料36は基板12に接合する。
【0016】
他の例では、図6に示す本方法は、S11において、薄くされた基板12を貫通して、1つまたは複数のマイクロ−ビア24を穿孔するステップを含む。図1に示すように、ビア24は、上記の説明のように、側壁26、ならびに、基板の第1の表面14中の第1の開口28、および、基板の第2の表面18上の対向する第2の開口30を有する円錐形である。より大きい開口またはより小さい開口、ならびに、他のビア形状および形態を使用できることが理解される。機械加工方法中に形成される任意のデブリまたは付着物を取り除くために、穿孔されたビア24は洗浄することができる。
【0017】
充填材料32は可視光に透過な材料であってよい。例示的なUV硬化性充填材料32は、硬化された場合、実質的に透明である。また、充填材料32は、基板12の厚さ20を通過する可聴音の透過性より、より良好な充填材料32を通過する可聴音の透過性を有することができる。図1に最良に示すように、充填材料32は、ビア24の第2の開口すなわちより小さい開口30の上部を覆って基板の第2の表面18に塗布され、図5に示すようにビア24を充填する。図示されるように、充填材料32は、シリンジ型の装置34を用いて塗布される。マイクロ−ビアを充填するステップが図5に示されるが、本方法は、充填材料32でマイクロ−ビアを充填することなく、S3に進むことができる。
【0018】
図6に示すS12では、本開示される方法は、ビア24に、透明なUV硬化性エポキシのような液体の充填材料の被覆32を塗布するステップを含むことができる。図6に示すように、充填材料32は、シリンジ型の装置34を用いて、ビア24の第2の開口すなわちより小さい開口30の上部を覆って基板の第2の表面18に塗布される。当業者に既知の他の、充填材料32の塗布装置および技術が利用できる。たとえば、硬化性液体充填材料よりもむしろ、薄い材料の膜がアルミニウム基板12の穿孔表面12に塗布でき、その結果として実質的に非充填のビアが生じる。
【0019】
液体の硬化性充填材料32がマイクロ−ビア24に塗布された場合、本方法はS13に進み、そして、充填材料32は、UV光に充填材料32を露光することによって硬化される。任意の過剰なまたは硬化されない充填材料が基板12から取り除かれる。必要ならば、本方法は、たとえば、簡単なイソプロパノール拭取りによって過剰な充填材料が取り除かれた後に、追加的な硬化するステップを含んでよい。
【0020】
S14では、図4および図6に示すように、補強材料36は基板の薄くされたくぼみ範囲22に塗布される。補強材料36は、硬化して固体材料を形成する液体または粘質材料であってよい。透明なエポキシのような液体の透明な補強材料、または、他の補強材料は薄くされた基板範囲に構造的支持をもたらす。図示されるように、充填材料36はシリンジ型の装置38を用いて塗布される。当業者に既知の他の塗布装置および技術が利用できる。補強材料36は、硬化されると、従来の厚さを有する基板の構造的完全性と同様な、一様な構造的完全性を基板にもたらす。
【0021】
ビア24ならびに光学的に透明な補強材料36および/または充填材料32を使用することで、肉眼に滑らかで連続した基板表面が生じ、それは内部の照明からビアを貫通する制御された像を表示することができる。結果として得られる基板12は、あらゆる適法方法で使用できる。本開示された方法および結果として得られる基板は、視覚的に連続した途切れない基板表面が、利用者のために点灯したメッセージ、像または他の知覚可能な特質を生じさせる性能を有することを要求される、実質的にあらゆる用途に適応可能である。
【0022】
たとえば、図3および図4の基板12はパネルの形状をしている。パネル12は、上記に述べたように従来のハウジング内に取り込むことができ、または、ハウジングと一体化することができる。パネル12が、ハウジングの一部として、LED、蛍光灯、白熱灯または他の照明装置を用いて背後から照明される場合、ビアから放出される光は、観察者に視覚可能なパターンを形成する。
【0023】
他の例では、基板は、補強材料を薄くされた範囲に塗布することなく、小さい範囲で薄くすることができる。この例では、基板の小さい範囲を薄くすることで、基板の構造的強度を低減させてはならず、補強材料の必要性を排除する。一体として基板の構造的完全性を保持するために、基板中で可能な、薄くされる範囲の大きさは、穿孔されるマイクロ−ビア配列の密集度、基板材料の強度および/または穿孔されるビアの形状等によって決まる。
【0024】
本方法は、現在最も実現的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されたが、本方法が、開示された実施形態に限られるのではなく、むしろそれとは反対に、本発明および添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる様々な改良および等価なステップおよび配置を網羅することを意図することを理解するべきである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
貫通孔ビアを有する基板の強度および耐久性を実質的に低減することなく、基板すなわちパネルを薄くすることにより、光透過性およびレーザー穿孔スループットを向上した装置を提供することができ、産業上の利用可能性が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部表面と反対側の第2の外部表面を有する基板であって、可視光不透過性材料からなる基板、
前記パネルの少なくとも一部を貫通して穿孔されたマイクロビアの配列パターン、および
前記マイクロビアを充填する可視光透過性材料を含む装置において、
前記第2の外部表面に当てられる光が前記第1の外部表面上の前記配列パターンを照らすように前記マイクロビアの開口の大きさが決められ、かつ前記第2の外部表面に光が当てられないとき前記第1の外部表面は肉眼で連続した基板表面を形成することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記基板の少なくとも一部に隣接し、かつ前記第1の外部表面の反対に位置する補強材料をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基板は前記第2外部表面が前記1の外部表面対するより前記第1の外部表面に近い第1の表面を有する減厚された領域を有し、前記マイクロビアの配列パターンは前記第1の表面から前記第1の外部表面に延長されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記マイクロビアはそれぞれ第1の外部表面においてより狭い開口部を有する円錐状の形状である請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記減厚された領域は、前記減圧された領域の前記第1の表面から前記第2の外部表面の減圧された領域まで可視光透過性材料で充填されている請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記基板はハウジングの一部を形成し、前記装置は、
ハウジング内に位置する光源であって、可視光を前記第1外部表面から反対側の前記マイクロビアに開口に透過するように配置された光源をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−101389(P2013−101389A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−22632(P2013−22632)
【出願日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【分割の表示】特願2009−513199(P2009−513199)の分割
【原出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(593141632)エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド (161)
【Fターム(参考)】