説明

ビスホスホネートを含む医薬組成物

本発明は、1つまたはそれ以上の生体適合性ポリマーと共に形成される、ビスホスホネートの水難溶性塩を含むデポ剤、そのようなビスホスホネートの水難溶性塩、その遊離化合物およびその塩の結晶形、並びに他の関連態様に関し、ここで、該化合物は、式(I):


[式中、RおよびRは、明細書中に記載した通りである。]
のものである。開示中に述べた式(I)の化合物およびそれらの形態は、骨関連障害および癌の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、1つまたはそれ以上の生体適合性ポリマーと共に形成される、ビスホスホネートの水難溶性塩(以下、難溶性塩ともまた呼ばれ、水に溶解し難いことを意味する。)を含むデポ剤に関する。そのデポ剤は、微粒子またはインプラントの形態であり得る。そのデポ剤は、様々な、例えば、骨関連および/または増殖性疾患、とりわけ変性疾患並びに関節リウマチおよび変形性関節症の処置および予防に有用である。
【0002】
さらなる態様において、本発明は、ある種のビスホスホネートの新規塩(該塩の新規結晶形を含む)、ならびに、遊離(例えば、双性イオン)型でのビスホスホネートの新規結晶形に関する。
【0003】
さらに、様々な他の態様(使用、方法、製造に関する工程または方法、および関連事項)は、本発明の態様である。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ビスホスホネートは、骨吸収が増加する様々な良性および悪性疾患の両方において、破骨細胞活性を阻害するために広く使用されている。これまでのところ、水溶性ビスホスホネート(例えば、ナトリウム塩)のみが医薬組成物において使用されてきた。注入用溶液を形成する場合には、これが合理的な方法である。しかしながら、デポ剤の場合には、ビスホスホネートの高い水溶性が高い初期放出をもたらして、重篤な局所組織刺激を引き起こすであろう。
【0005】
例えば、ゾレドロン酸薬物は、骨に関係する進行悪性腫瘍といったような、例えば、骨およびカルシウム代謝に関係する、様々な疾患または障害をもつ患者での、とりわけ、病的骨折、脊椎圧迫、骨に対する放射線照射もしくは手術、または腫瘍誘発性高カルシウム血症といったような、骨格関連事象の予防、腫瘍誘発性高カルシウム血症、パジェット病の処置、股関節骨折の手術および予防等において使用される。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明により、驚いたことに、新規クラスのビスホスホネートである水難溶性ビスホスホネートが、薬物放出が非常に上手く制御されるよう、大変効率良くカプセル化され得ることが見い出された。
【0007】
水難溶性塩の利点の1つは、一般的に使用されるエマルジョン−溶媒蒸発/抽出法によって微粒子を製造する間、高水溶性塩が水相へと溶解され得ることから、一般に、原体のカプセル化が改善されることである。さらなる利点は、もしその原体が高水溶性塩に比べて限られた水溶性を有するならば、得られるデポ剤からの薬物放出が、一般に、より良く制御されることである。
【0008】
原体の微粒子化の利点は、マトリックスにおいて部分的にしかカプセル化され得ずに、原体の無制御放出をもたらす大きな原体粒子と比べた、ポリマーマトリックスにおける原体粒子のより完全なカプセル化である。
【0009】
加えて、新たな塩は、前述の製剤の製造を可能にすることが見い出された。
【0010】
さらに、幾つかのビスホスホネートおよびそれらの塩(水和物または他の溶媒和物が含まれる。)の新規結晶形が見い出され、そして本発明の一態様である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、結晶性双性イオン(内部)塩である[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸(化合物A)のX線回折図(diffractogram)を示す(詳細に関しては、実施例6を参照。)。
【図2】図2は、結晶性Ca塩である化合物A(1:2)のX線回折図(diffractogram)を示す(詳細に関しては、実施例7を参照。)。
【図3】図3は、結晶性Mg塩である化合物A(1:2)のX線回折図(diffractogram)を示す(詳細に関しては、実施例8を参照。)。
【図4】図4は、結晶性Zn塩である化合物A(1:2)のX線回折図(diffractogram)を示す(詳細に関しては、実施例9を参照。)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
次の発明の詳細な説明では、ある態様において一般用語を規定するより具体的な定義がまた、他の態様において一般用語をより具体的に定義するのに使用されてもよく、このことは、本発明のより具体的な態様を成す。ただし、各々の用語は、本発明の態様を定義する他の一般用語とは独立して置き換えられ得る。
【0013】
本発明は、第一態様において、式Iのビスホスホネートの水難溶性塩を生体適合性ポリマーと共に含むデポ剤に関する。
【0014】
本発明は、このことに関して、とりわけ、1つまたはそれ以上の生体適合性ポリマーと共に形成される、ビスホスホネートの水難溶性塩を含むデポ剤に関し、ここで、該ビスホスホネート化合物は、式I:
【化1】

[式中、RおよびRの一方は水素であって、他方は、水難溶性塩の形態である分岐しているまたは分岐していないC−C−アルキル(好ましくは、C−C−アルキル)である。]
の化合物から選択される化合物である。
【0015】
およびRの一方が水素であって、他方がメチルであり、水難溶性塩の形態である、式Iのビスホスホネートのデポ剤が好ましい。あるいはまた、RおよびRの一方が水素であって、他方がエチルであり、水難溶性塩の形態である、式Iのビスホスホネートのデポ剤が非常に好ましい。
【0016】
[2−(5−メチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸、またはさらに好ましくは、水難溶性塩の形態での[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸という名称をもつ、式Iのビスホスホネートのデポ剤が最も好ましい。
【0017】
式Iの化合物の水難溶性塩、とりわけ、前段落で定義した式Iの好ましい化合物での塩もまた、それ自体が、とりわけ、以下により詳細に記載する具体的な多形(結晶形または結晶変態)の形態で、本発明の一態様である。
【0018】
“難溶性の”という語は、本明細書中で使用するときはいつでも、溶解度が21〜24℃の温度で水に2mg/ml、さらに好ましくは、該温度で1mg/ml(水)未満であることを意味する。
【0019】
本発明は、とりわけ、式Iのビスホスホネートの水難溶性塩を、1つまたは好ましくはそれ以上の生体適合性ポリマー、好ましくは生分解性ポリマーと共に含む、微粒子の形態でのデポ剤に関する。
【0020】
本発明はまた、式Iのビスホスホネートの水難溶性塩を、1つまたは好ましくはそれ以上の生体適合性ポリマー、好ましくは生分解性ポリマーと共に含むインプラントにも関する。
【0021】
本発明は、以下により詳細に提示するような、骨代謝回転異常が見られる疾患または障害の処置および予防のための方法であって、そのような処置を必要とする患者に、式Iの化合物の遊離型(またはその内部塩、例えば、双性イオン塩)のデポ剤または難溶性塩もしくは結晶形を治療上有効な投薬量で投与することを含む方法、さらにはまた、そのような疾患または障害の処置のための薬物の製造における、式Iの化合物の遊離型(またはその内部塩、例えば、双性イオン塩)のデポ剤または難溶性塩もしくは結晶形の使用、並びに該障害または疾患の処置におけるそれらの使用、さらにはまた、そのような処置における使用のための、式Iの化合物の遊離型(またはその内部塩、例えば、双性イオン塩)のデポ剤または難溶性塩もしくは結晶形に関する。
【0022】
本発明の一態様である、または本発明によるデポ剤の一部である、式Iの化合物の水難溶性塩は、カルシウム、マグネシウムおよび亜鉛塩、または好ましくは、1:1もしくはとりわけ1:2塩(本明細書中で述べる場合はいつでも、(金属イオン):(式Iの化合物)のモル比を記しており、ここで、“金属”は、カルシウム、マグネシウムおよび/または(とりわけ、“または”)亜鉛を示す。)としての、これらの塩の2つもしくは全ての混合物から選択される。これらの塩は、水溶性が低く、言い換えれば、水難溶性とは、その水溶性が、対応するナトリウム塩の25%以下であることを意味する。
【0023】
好ましくは、本発明のデポ剤は、活性成分として、式Iの化合物、好ましくは、[2−(5−メチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸、もしくはとりわけ、[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸のみを、その水難溶性塩の形態で、または[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸と名付けられた式Iの化合物の結晶形を遊離(例えば、とりわけ双性イオン)型で含む。
【0024】
本発明による製剤において、カルシウム塩は、亜鉛塩より良くポリマー−カプセル化されることが見い出されている − 従って、式Iの化合物のカルシウム塩は、一般に、とりわけデポ剤に関して、より好ましい。
【0025】
加えて、式Iの化合物の遊離化合物、さらにはまた、その塩の両方の定義された結晶形は、各々、付加的利点、例えば、それらの成分と、水和物といったような溶媒和物が形成される場合には、溶媒分子との間の一定の化学量論的(stochiometric)関係、マイクロメートル範囲の粒子を得るための良好な粉砕性(millability)、良好な流動性、そしてまた改善された貯蔵性(storability)も含め、そのような物質の医薬品製剤への加工を容易にする無定形(amorphic)物質に勝る他の有利な結晶特性を示す。
【0026】
好ましくは、本発明の微粒子は、式Iの化合物を、カルシウム塩、なおさらに好ましくは、[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸のカルシウム塩の形態で含む。
【0027】
式Iのビスホスホネートは、微粒子製剤のデポ乾燥重量の重量で、約1%〜約60%、より通常は約2%〜約20%、好ましくは約5%〜約10%の量で存在するのがよい。
【0028】
本発明のビスホスホネートは、本発明のデポ剤から、また本発明の組成物から、数週間、例えば、約2週間〜18ヶ月(例えば、3週間〜12ヶ月)にわたり放出される。
【0029】
好ましくは、デポ剤を製造するのに使用される、その水難溶性塩の形態での式Iのビスホスホネートは、約0.1ミクロン〜約15ミクロン、好ましく約5ミクロン未満、なおさらに好ましくは約3ミクロン未満の粒径を(例えば、その範囲内の粒子重量の90%、好ましくは98%で)有する、微粒子化技術(例えば、ジェット粉砕または高圧均質化)のいずれかの手法により製造される、非常に微細な粉末である。原体を微粒子化することで、カプセル化効率が改善されることが見い出されている。
【0030】
一態様により、本発明は、とりわけ、1つのカルシウムに対し2分子の式Iの化合物(1:2塩)という化学量論をもつ式Iの化合物のカルシウム塩、とりわけ、化合物A(=[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸)のカルシウム塩を提供する。
【0031】
別の態様により、本発明は、とりわけ、1つの亜鉛に対し2分子の式Iの化合物(1:2塩)または1つの亜鉛に対し1分子(two molecules)の式Iの化合物(1:1塩)という化学量論をもつ式Iの化合物の亜鉛塩、とりわけ、化合物A(=[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸)の亜鉛塩を提供する。
【0032】
またさらに別の態様により、本発明は、とりわけ、1つのマグネシウムに対し2分子の式Iの化合物(1:2塩)という化学量論をもつ式Iの化合物のマグネシウム塩、とりわけ、化合物A(=[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸)のマグネシウム塩を提供する。
【0033】
さらにまた、驚いたことに、遊離型(この用語には、常に、双性イオン型といったような内部塩が含まれる。)での式Iの化合物、さらにはまた、式Iの化合物の塩は、多形型(種々の結晶変態)で存在し得ることが見い出されている。
【0034】
従って、さらなる態様において、本発明は、式Iの化合物またはそれらの遊離(例えば、双性イオン)型の、とりわけ、[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸(以下、化合物A)の、低水溶性塩の新規結晶形、これらの結晶形の製造方法、これらの結晶形を含む組成物、および温血動物、とりわけヒトの診断法または治療処置におけるこれらの結晶形の使用に関する。
【0035】
遊離型並びに塩形態は両方とも、各々、結晶形で、溶媒を含まないか、または(とりわけ、塩の場合には)溶媒和物、例えば、水和物の形態(例えば、二水和物として)であるのがよい。
【0036】
結晶形に関して、本発明は、第一態様において、式Iの化合物の遊離型の結晶形または塩形態(とりわけ、水和物の形態での塩)の結晶形を提供する。
【0037】
さらに焦点を絞った態様において、本発明は、化合物Aの遊離双性イオン型の結晶形を提供し、これは、さらに好ましくは、とりわけ、図1に示すように、屈折角2シータ(θ)で、次のピーク:10.5、13.1、14.7、17.2、23.5、25.2および29.2(各々、±0.2)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ、最も好ましくは全てを含むX線粉末回折パターンを有するか;あるいはまた、遊離双性イオン型での化合物Aの少なくとも80重量%は、そのようなX線粉末回折パターンを示す。
【0038】
別のさらに焦点を絞った態様において、本発明は、1つのカルシウムに対し2分子の化合物Aという化学量論をもつ(とりわけ、二水和物といったような水和物の形態での)化合物Aのカルシウム塩の結晶形を提供し、これは、さらに好ましくは、とりわけ、図2に示すように、屈折角2シータ(θ)で、次のピーク:7.9、10.6、12.1、25.7、27.4および29.2(各々、±0.2)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ、最も好ましくは全てを含むX線粉末回折パターンを有するか;あるいはまた、カルシウム1:2塩である化合物Aの少なくとも80重量%は、そのようなX線粉末回折パターンを示す。
【0039】
またさらに別のさらに焦点を絞った態様において、本発明は、1つの亜鉛に対し2分子の化合物Aという化学量論をもつ(とりわけ、二水和物といったような水和物の形態での)化合物Aの亜鉛塩の結晶形を提供し、これは、さらに好ましくは、とりわけ、図3に示すように、屈折角2シータ(θ)で、次のピーク:6.7、9.5、12.5、17.7および27.3(各々、±0.2)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ、最も好ましくは全てを含むX線粉末回折パターンを有するか;あるいはまた、亜鉛1:2塩である化合物Aの少なくとも80重量%は、そのようなX線粉末回折パターンを示す。
【0040】
またさらに別のさらに焦点を絞った態様において、本発明は、1つのマグネシウムに対し2分子の化合物Aという化学量論をもつ(とりわけ、二水和物といったような水和物の形態での)化合物Aのマグネシウム塩の結晶形を提供し、これは、さらに好ましくは、とりわけ、図4に示すように、屈折角2シータ(θ)で、次のピーク:6.7、12.5、20.0および27.3(各々、±0.2)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ、最も好ましくは全てを含むX線粉末回折パターンを有するか;あるいはまた、マグネシウム1:2塩である化合物Aの少なくとも80重量%は、そのようなX線粉末回折パターンを示す。
【0041】
上述の、また特許請求の範囲で述べるX線データ検索のためのパラメーターおよび装置は、好ましくは、以下に実施例で述べるものと一致する。
【0042】
本発明の別の態様により、本発明は、とりわけ、上述の本発明の焦点を絞った態様のいずれかに記載した、式Iの化合物またはその難溶性塩、とりわけカルシウム塩(カルシウム:化合物A=1:2であるのがとりわけ好ましく、とりわけ、水和物、例えば、二水和物の形態での)の結晶形、またとりわけ非経口投与のための、少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体が含まれる医薬品製剤(とりわけ、本明細書中に記載するデポ剤)を提供する。
【0043】
またさらに別の態様において、本発明は、とりわけ、骨代謝回転異常が見られる、1つまたはそれ以上の疾患または障害の処置(“処置”という用語には、本開示中で使用するときはいつでも、予防的および治療的(例えば、対症的または治癒的)処置の両方が含まれる。)において使用するための、亜鉛、(とりわけ)マグネシウムおよび(さらにとりわけ)カルシウム塩から選択される難溶性塩の形態での、式Iの化合物、とりわけ化合物Aの非晶形または結晶形(とりわけ、ここで、金属イオンに対する式Iの化合物の化学量論は1:2である。);あるいはとりわけ、その遊離(例えば、内部双性イオン)型での、または(とりわけ1:1、またはさらにとりわけ1:2)亜鉛、(とりわけ)マグネシウムもしくは(さらにとりわけ)カルシウム塩の形態での、各々、とりわけ水和物の形態での(例えば、二水和物の形態での)、または2つもしくはそれ以上のそのような形態の混合物での、式Iの化合物の結晶形に関する。
【0044】
“約”という語は、本明細書中で使用する場合、とりわけ、“約”の後に述べた数字がその絶対値の±10%まで変動し得ることを意味する。
【0045】
式Iのビスホスホネートの水難溶性塩の粒径分布は、薬物の放出特性に影響し得る。典型的には、粒径が小さければ小さいほど、初期拡散段階の間(例えば、最初の20日間)のバーストおよび放出は低い。好ましくは、粒径分布は、例えば、×10<2ミクロン(すなわち、10%の粒子が2ミクロンより小さい。);×50<5ミクロン(すなわち、50%の粒子が5ミクロンより小さい。);または×90<10ミクロン(すなわち、90%の粒子が10ミクロンより小さい。)である。
【0046】
II.微粒子
適当な媒体に懸濁させた、生体適合性の薬理学的に許容され得るポリマー、好ましくは生分解性の薬理学的に許容され得るポリマーに組み込まれた式Iのビスホスホネートの低溶性塩を含む微粒子の投与は、長期間、例えば、1週間〜18ヶ月、好ましくは約3週間〜約12ヶ月にわたり、活性薬剤の放出を与えることが見い出されている。
【0047】
別の態様において、本発明は、
(i)次のことを含む内部有機相の製造:
(ia)ポリマーまたはポリマー類を適当な有機溶媒または溶媒混合物に溶解して、場合により、空隙率影響物質(porosity-influencing agent)を段階(ia)で得られた溶液に溶解する/分散させること、または
−塩基性塩を段階(ia)で得られた溶液に加えること、
−界面活性剤を段階(ia)で得られた溶液に加えること;
(ib)式Iの化合物の水難溶性塩を段階(ia)で得られたポリマー溶液に懸濁させるか、または式Iの化合物の水難溶性塩を段階(ia)で使用する溶媒と混合できる溶媒に溶解して、該溶液をポリマー溶液と混合するか、または式Iの化合物の水難溶性塩をポリマー溶液に直接溶解すること;
(ii)次のことを含む外部水相の製造:
(iia)緩衝液を調製して、そのpHを3.0−8.0(例えば、pH 3.0−5.0)に調節すること;例えば、酢酸緩衝液、および
(iib)安定剤を段階(iia)で得られた溶液に溶解すること;
(iii)例えば、高い剪断力を発生させる装置で(例えば、タービンまたは静的ミキサーで)内部有機相を外部水相と混合して、エマルジョンを形成させること;そして
(iv)微粒子を溶媒蒸発または溶媒抽出により硬化させ、場合により、加えて、その微粒子を、例えば、水で洗浄して、その微粒子を集めて、例えば、凍結乾燥または減圧下での乾燥により乾燥させること;
を含む、本発明の微粒子の製造方法を提供する。
【0048】
ポリマーのために適当な有機溶媒には、例えば、酢酸エチルもしくはハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム)、または例えば、それらの2つもしくはそれ以上の混合物が含まれる。
【0049】
段階(iib)に関して適当な安定剤の例には、次のものが含まれる:
a)好ましくは、約10,000Da〜約150,000Da(例えば、約30,000Da)の重量平均分子量を有するポリビニルアルコール(PVA)。便宜上、ポリビニルアルコールは、20℃で4% 水溶液として、またはDIN 53015により測定した場合、約3mPa s〜約9mPa sの動粘性計数をもつ低粘性を有する。適当には、ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解することから得ることができる。好ましくは、ポリ酢酸ビニルの含量は、ポリビニルアルコールの約10%〜約90%である。便宜上、加水分解度は、約85%〜約89%である。典型的には、残留アセチル含量は、約10−12%である。好ましいブランドには、Kuraray Specialities Europe, GmbHから入手可能なMowiol(商標)4−88、8−88および18−88が含まれる。
【0050】
好ましくは、ポリビニルアルコールは、外部水相の体積の重量で、約0.1%〜約5%(例えば、約0.5%)の量で存在する。
【0051】
b)例えば、各々、セルロースのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとの反応により形成されるヒドロキシエチルセルロース(HEC)および/またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)。HECおよびHPCは、広範囲の粘性タイプにおいて利用可能であり;好ましくは、粘性が中程度である。好ましいブランドには、Hercules Inc.製のNatrosol(商標)、例えば、Hercules Inc.製のNatrosol(商標)250MRおよびKlucel(商標)が含まれる。
【0052】
好ましくは、HECおよび/またはHPCは、外部水相の体積の重量で、約0.01%〜約5%(例えば、約0.5%)の総量で存在する。
【0053】
c)例えば、適当には、約2,000Da〜20,000Daの間の分子量をもつポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrolidone)。適当な例には、約2,500Daの平均分子量をもつポビドン K12F、約8,000Daの平均分子量をもつポビドン K15、または約10,000Daの平均分子量をもつポビドン K17として一般に知られているものが含まれる。好ましくは、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrolidone)は、外部水相の体積の重量で、約0.1%〜約50%(例えば、10%)の量で存在する。
【0054】
d)ゼラチン、好ましくは、豚または魚ゼラチン。便宜上、ゼラチンは、20℃で10% 溶液に関して、約25cps〜約35cpsの粘度を有する。典型的には、10% 溶液のpHは、約6〜約7である。適当なブランドは、高分子量、例えば、Norland Products Inc、クランブリー、ニュージャージー州、アメリカ合衆国から入手可能なNorland高分子量魚ゼラチンを有する。
【0055】
好ましくは、ゼラチンは、外部水相の体積の重量で、約0.01%〜約5%(例えば、約0.5%)の量で存在する。
【0056】
好ましくは、ポリビニルアルコールを使用する。好ましくは、ゼラチンは使用しない。好ましくは、微粒子はゼラチンを含まない。
【0057】
得られる微粒子は、数サブミクロン〜数ミリメートルの直径を有するのがよく;例えば、注射針の通過を容易とするために、例えば、最大で、例えば、5−200ミクロン、好ましくは5−130ミクロン、さらに好ましくは5−100ミクロンの直径となるよう努める。狭い粒径分布が好ましい。例えば、粒径分布は、例えば、10%<20ミクロン、50%<50ミクロンまたは90%<80ミクロンであるのがよい。
【0058】
微粒子および単位用量の含量均一性は優れている。単位用量は、理論的用量の約20%〜約125%、例えば、約70%〜約115%、例えば、約90%〜約110%、または約95%〜約105%と様々に製造され得る。
【0059】
乾燥状態での微粒子は、抗凝集剤を用いて、例えば、混合され、例えば、コーティングされ得るか、または例えば、予め充填されたシリンジもしくはバイアルにおいて、抗凝集剤の層で覆われ得る。
【0060】
適当な抗凝集剤には、例えば、マンニトール、グルコース、デキストロース、スクロース、塩化ナトリウム、または例えば、先に記載した特性をもつ、ポリビニルピロリドンもしくはポリエチレングリコールといったような水溶性ポリマーが含まれる。
【0061】
好ましくは、抗凝集剤は、微粒子の重量で、約0.1%〜約10%(例えば、約4%)の量で存在する。
【0062】
(通常、皮下(s.c.)または筋肉内(i.m))投与前、微粒子を注射に適当な媒体に懸濁させる。
【0063】
従って、本発明はさらに、本発明の微粒子を媒体中に含む医薬組成物を提供する。その媒体は、場合により、
a)1つまたはそれ以上の湿潤剤;および/または
b)1つまたはそれ以上の等張化剤;および/または
c)1つまたはそれ以上の粘度増加物質;
をさらに含み得る。
【0064】
好ましくは、その媒体は水性であり、例えば、それは、水(例えば、脱イオン水)、また場合により、pHを7−7.5に調節するための緩衝液(例えば、NaHPOおよびKHPOの混合物といったようなリン酸緩衝液)、並びに先に示したような1つまたはそれ以上の薬剤a)、b)および/またはc)を含み得る。
【0065】
しかしながら、水を媒体として使用する場合、本発明の微粒子を懸濁させてはならず、また水相上部に浮遊させるのがよい。水性媒体に懸濁させるべき本発明の微粒子の能力を改善するために、その媒体は、好ましくは、湿潤剤a)を含む。湿潤剤は、媒体中の微粒子の迅速かつ適当な懸濁性(suspendibility)を与えるよう選択される。好ましくは、その微粒子が媒体により迅速に湿潤されて、その中で懸濁液を迅速に形成する。
【0066】
本発明の微粒子を水性媒体に懸濁させるのに適当な湿潤剤には、ポロクサマー、またはポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルといったような、非イオン性界面活性剤が含まれ、この特徴は、先に記載されている。湿潤剤の混合物を使用するのがよい。好ましくは、その湿潤剤は、Pluronic F68、Tween 20および/またはTween 80を含む。
【0067】
湿潤剤または湿潤剤類は、投与すべき組成物の重量で、約0.01%〜約1%、好ましくは0.01−0.5%にて存在するのがよく、また約0.01−5mg/mL(媒体)(例えば、約2mg/mL)にて存在するのがよい。
【0068】
好ましくは、その媒体は、マンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、デキストロース、スクロースまたはグリセリンといったような、等張化剤b)をさらに含む。好ましくは、等張化剤はマンニトールである。
【0069】
等張化剤の量は、投与すべき組成物の等張性を調節するよう選択される。例えば、上述の凝集を減少させるよう、等張化剤が微粒子内に含まれる場合、等張化剤の量は、両方の合計として理解されるべきである。例えば、マンニトールは、好ましくは、投与すべき組成物の重量で、約1%〜約5%、好ましくは約4.5%であるのがよい。
【0070】
好ましくは、その媒体は、粘度増加物質c)をさらに含む。適当な粘度増加物質には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ソルビトール、ポリビニルピロリドン、またはモノステアリン酸アルミニウムが含まれる。
【0071】
便宜上、低粘性をもつCMC−Naが使用され得る。態様は、先に記載した通りであり得る。典型的には、低分子量をもつCMC−Naが使用される。その粘度は、スピンドル1を60rpmで備えたBrookfield LVT 粘度計において、1%(w/v)水溶液として25℃で測定した場合、約1mPa s〜約30mPa s(例えば、約10mPa s〜約15mPa s)であるのがよく、またはNaCMC 7LF(低分子量)の溶液に関しては、0.1−1% 水溶液として、1−15mPa*sの粘度であるのがよい。
先に記載した特性を有するポリビニルピロリドンが使用され得る。
【0072】
粘度増加物質、例えば、CMC−Naは、例えば、媒体中、約1mg/mL〜約30mg/mL(例えば、約7mg/mLまたは約17.5mg/mL)の濃度にて、媒体の(体積で)約0.1%〜約2%(例えば、約0.7%または約1.75%)の量で存在するのがよい。
【0073】
さらなる態様において、本発明は、本発明の微粒子および本発明の媒体を含むキットを提供する。例えば、そのキットは、例えば、以下に記載する、正確な量の、投与すべき本発明の化合物を含有する微粒子、および約1mL〜約5mL(例えば、約2mL)の本発明の媒体を含むのがよい。
【0074】
一態様において、場合により、抗凝集剤と混合した乾燥微粒子を、容器、例えば、バイアルまたはシリンジへと充填して、例えば、γ線照射を使用して、滅菌するのがよい。(通常、皮下(s.c.)または筋肉内(i.m))投与前、適当な媒体、例えば、先に記載した媒体を加えることにより、その微粒子を容器内で懸濁させるのがよい。例えば、場合により、抗凝集剤、粘度増加物質および/または等張化剤と混合した微粒子、並びに懸濁液用媒体を、ダブルチャンバーシリンジにて別々に収容するのがよい。微粒子の、抗凝集剤および/または粘度増加物質および/または等張化剤との混合物もまた、本発明の一部を成す。
【0075】
別の態様において、無菌条件下、場合により、抗凝集剤と混合した乾燥滅菌微粒子を、適当な媒体、例えば、先に記載した媒体に懸濁させて、容器、例えば、バイアルまたはシリンジへと充填するのがよい。次いで、媒体である溶媒、例えば、水を、例えば、凍結乾燥または減圧下での蒸発により除去して、容器内に微粒子および媒体の固形成分の混合物をもたらすのがよい。投与前、適当な媒体、例えば、水、例えば、注入用水、または好ましくは低モル濃度のリン酸緩衝溶液を加えることにより、その微粒子および媒体の固形成分の混合物を容器内で懸濁させるのがよい。例えば、微粒子、場合により、抗凝集剤、および媒体の固形成分の混合物、並びに懸濁液用媒体(例えば、水)を、ダブルチャンバーシリンジにて別々に収容するのがよい。
【0076】
III.インプラント
生体適合性の薬理学的に許容され得るポリマーに組み込まれた式Iのビスホスホネートの難溶性塩を含むインプラントの投与は、長期間、例えば、1週間〜18ヶ月、とりわけ約3週間〜約12ヶ月(例えば、3ヶ月〜約12ヶ月)にわたり、全てのまたは実質的には全ての活性薬剤の放出を与えることが見い出されている。従って、本発明の開示中、“デポ剤”という用語はまた、そのようなインプラントも示す。
【0077】
別の態様において、本発明は、
(i)両方の成分を一緒に液体窒素で凍結粉砕すること(cryo-milling)、および/または造粒段階のための有機溶媒を使用して、この溶媒を乾燥工程により再び除去することによる、水難溶性DSおよび生分解性ポリマーの粉末混合物の製造;
(ii)RAM押出機を、その粉末混合物で充填すること(あるいはまた、単軸または2軸スクリュー押出機を使用する。);
(iii)その押出機の壁を、50−120℃、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)をポリマーマトリックスとして使用する場合には、好ましくは60−90℃の範囲内の温度まで加熱すること;
(iv)溶融した粉末混合物を、直径1−4mmのピンホールに低速で、好ましくは、1.5mmのピンホールに5mm/分の速度で押し通すこと;そして
(v)その結果得られる棒状物質を、予想用量に応じて、より短い長さ(例えば、20mm)へと切断すること;
を含む、本発明のインプラントの製造方法を提供する。
【0078】
適用のために、そのインプラントをアプリケーターまたはトロカールに入れ、アルミ箔で密封して、γ線照射を最小線量25kGyで使用することにより滅菌する。これらのアプリケーターは、例えば、Rexam Pharma、Sueddeutsche Feinmechanik GmbH(SFM)またはBecton Dickersonにより市販されている。
【0079】
IV.生体適合性ポリマー
デポ剤のポリマーマトリックスは、合成または天然ポリマーであり得る。そのポリマーは、生分解性もしくは非生分解性、または生分解性および非生分解性ポリマーの組み合わせのいずれかであり、好ましくは生分解性であるのがよい。
“ポリマー”という語は、ホモポリマーまたはコポリマーを意味する。
【0080】
適当なポリマーには、
(a)ポリオール部分(例えば、グルコース)から放射状に伸びる直鎖である直鎖状または分岐鎖状のポリエステル、例えば、D−、L−またはラセミポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリアルキレンオキサレートといったようなポリエステル、クレブス回路(例えば、クエン酸回路)の酸のポリアルキレングリコールエステル等、またはその組み合わせ;
(b)1,3−ビス−(p−カルボキシフェノキシ)−プロパンおよび二塩基酸(例えば、セバシン酸)のコポリマー、もしくはエルカ酸二量体のセバシン酸とのコポリマー;オルト−エステルのトリオール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール)との反応、もしくはジケテンアセタール(例えば、3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウン−デカン)のジオール(例えば、1,6−ジヘキサンジオール、トリエチレングリコールもしくは1,10−デカンジオール)との反応から結果的に生ずるポリオルトエステル;またはアミド−ジオールモノマーで得られるポリエステルアミド(例えば、1,2−ジ−(ヒドロキシアセトアミド)−エタンもしくは1,10−ジ−(ヒドロキシアセトアミド)デカン)といったような、他のモノマーとのそのようなコポリマー(例えば、ポリ酸無水物)を含め、有機エーテル、無水物、アミドおよびオルトエステルのポリマーまたはコポリマー;
(c)ポリビニルアルコール;
が含まれる。
【0081】
そのポリマーは、架橋結合していても、または架橋結合していなくてもよく、通常、5%以下、典型的には、1%未満であるのがよい。
【0082】
ポリラクチド−コ−グリコリドポリマー(PLGAともまた名付けられている。)が好ましい。
【0083】
表IIは、本発明のポリマーの例を記載する。
【表1】

【表2】

【0084】
本発明の好ましいポリマーは、直鎖状のポリエステルおよび分岐鎖状のポリエステルである。直鎖状のポリエステルは、ラクトン二量体の縮合により、α−ヒドロキシカルボン酸(例えば、乳酸および/またはグリコール酸)から製造され得る。直鎖状または分岐鎖状(星形)のポリマーにおける好ましいポリエステル鎖は、α−カルボン酸部分、乳酸およびグリコール酸のコポリマー、またはラクトン二量体のコポリマーであり、本明細書中、PLGAともまた呼ばれる。直鎖状または分岐鎖状のポリエステルにおけるポリラクチド−コ−グリコリドのラクチド:グリコリドのモル比は、好ましくは約100:0〜40:60、さらに好ましくは95:5〜50:50、最も好ましくは95:5〜55:45である。
【0085】
本発明により使用されるのが好ましい直鎖状のポリエステル、例えば、直鎖状のポリラクチド−コ−グリコリドは、約10,000Da〜約500,000Daの間(例えば、約50,000Da)の重量平均分子量(Mw)を有する。そのようなポリマーは、例えば、1.2〜2の間の多分散度M/Mを有する。適当な例には、例えば、一般式 −[(C)(C)]−(x、yおよびnは各々、総合計が先に示したMwを与えるような値を有する。)を有する、例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、直鎖状のポリ(D,L−ラクチド)および直鎖状のポリ(D,L−ラクチド)遊離カルボン酸末端基、例えば、市販のもの、例えば、Boehringer Ingelheim製のResomer(商標)、Durect製のLactel(商標)、Purac製のPurasorb(商標)およびLakeshore製のMedisorb(商標)が含まれる。
【0086】
本発明によりまた使用される分岐鎖状のポリエステル、例えば、分岐鎖状のポリラクチド−コ−グリコリドは、開始剤として、ポリヒドロキシ化合物、例えば、ポリオール(例えば、グルコースまたはマンニトール)を使用して製造され得る。ポリオールのこれらのエステルは既知であって、例えば、GB 2,145,422 B(この内容は、参照することにより本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。ポリオールは、少なくとも3つのヒドロキシ基を含み、また20,000Daまでの分子量を有し、ポリオールの、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、例えば、平均として3つのヒドロキシ基は、エステル基の形態であって、これは、ポリ−ラクチドまたはコ−ポリ−ラクチド鎖を含む。典型的には、0.2%のグルコースを使用して、重合を開始する。分岐鎖状のポリエステル(Glu−PLG)は、直鎖状のポリラクチド鎖の放射状構造をもつ中心グルコース部分を有し、例えば、それらは、星形構造を有する。
【0087】
直鎖状のポリラクチド−コ−グリコリド鎖の放射状構造をもつ中心グルコース部分を有する分岐鎖状のポリエステル(Glu−PLG)は、触媒の存在下、ポリオールを高温でラクチドおよび好ましくはグリコリドともまた反応させることにより製造され得て、これは、開環重合を実行可能にする。
【0088】
直鎖状のポリラクチド−コ−グリコリド鎖の放射状構造をもつ中心グルコース部分を有する分岐鎖状のポリエステル(Glu−PLG)は、好ましくは、約10,000−200,000、好ましくは25,000−100,000、とりわけ35,000−60,000の範囲内(例えば、約50,000Da)の重量平均分子量 Mw、また1.7〜3.0(例えば、2.0−2.5)の多分散度を有する。Mw 35,000またはMw 60,000の星形ポリマーの固有粘度は、クロロホルム中、各々、0.36dL/gまたは0.51dL/gである。Mw 52,000を有する星形ポリマーは、クロロホルム中、0.475dl/gの粘度を有する。
【0089】
本発明の化合物に関するポリマーの所望の分解速度および所望の放出特性は、モノマーの種類、ホモポリマーもしくはコポリマーかどうか、またはポリマーの混合物を使用するかどうかに応じて変化し得る。
【0090】
V.処置方法
本発明の使用および方法は、骨代謝回転異常(とりわけ、異常に増加する)が見られる疾患または障害、また、骨転移または過剰な骨吸収の発生を予防するまたは阻害するためにビスホスホネートを使用する悪性疾患も含め、様々な疾患の現存する治療法に対する改善、そしてまた、とりわけ、関節リウマチおよび変形性関節症といったような炎症性疾患の治療に関する改善を表す。新生血管を閉塞するためのビスホスホネートの使用は、適当な処置期間後、腫瘍(例えば、固形腫瘍)および転移(metastastes)(例えば、骨転移)の抑制、またなお、腫瘍(例えば、固形腫瘍)の大きさおよび転移(例えば、骨転移)の縮小をもたらすことが見い出されている。血管造影を使用して、新生血管は、ビスホスホネート処置後に消失するが、正常血管は、無傷のまま残存することが観察されている。さらに、閉塞された血管は、ビスホスホネート処置中止後に復元しないことが観察されている。そしてまた、骨転移、関節リウマチおよび変形性関節症の患者は、ビスホスホネート処置後に疼痛の減少を経験することも観察されている。
【0091】
本発明により処置され得る骨代謝回転異常(例えば、異常に増加する)の状態には、(例えば、骨)癌に関連した骨代謝回転異常の処置、例えば、骨粗鬆症性骨折の危険性を低下させるための閉経後骨粗鬆症の処置;閉経後骨粗鬆症の予防、例えば、閉経後骨量減少の予防;男性骨粗鬆症の処置または予防;コルチコステロイド誘発性骨粗鬆症、および薬物療法(例えば、ジフェニルヒダントイン、甲状腺ホルモン補充療法)に続発するまたはそれによる他の形態の骨量減少の処置または予防;固定化および宇宙飛行と関連した骨量減少の処置または予防;関節リウマチ、骨形成不全症、甲状腺機能亢進症、神経性食欲不振症、臓器移植、人工関節の緩み、および他の医学的状態と関連した骨量減少の処置または予防が含まれる。例えば、そのような他の医学的状態には、関節リウマチにおける関節周囲骨びらんの処置または予防;変形性関節症の処置、例えば、肋軟骨下骨硬化症、肋軟骨下骨嚢胞、骨棘形成の予防/処置、また例えば、骨内圧の低下による変形性関節症疼痛の予防/処置;副甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症、サルコイドーシス、またはビタミンD過剰症に続発する過剰な骨吸収から結果的に生ずる高カルシウム血症、歯吸収性病変、先の状態のいずれかと関連した疼痛、特に骨減少症、パジェット病、骨粗鬆症、関節リウマチ、変形性関節症の処置または予防が含まれ得る。
【0092】
(ヒトおよび家畜への使用に)とりわけ有用であるのは、骨および関節の疾患と関連した骨代謝回転異常に関係する、1つまたはそれ以上の疾患(この用語には、状態または障害が含まれる。)、例えば、
−骨粗鬆症、骨減少症、骨髄炎、変形性関節症、関節リウマチ、骨髄浮腫、骨痛、反射性交感神経性ジストロフィー、強直性脊椎炎(別名 モルブス・ベヒテレフ(Morbus Bechterev))、骨パジェット病もしくは歯周病といったような良性状態;
−悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、固形腫瘍および血液悪性腫瘍と関連した骨転移といったような悪性状態;
−人工関節の緩み、人工関節の移動、インプラント固定、インプラントコーティング、骨折治癒、仮骨延長、脊椎固定、無血管性骨壊死、骨移植、骨代用材といったような整形外科的状態;
または2つもしくはそれ以上のそのような状態のいずれかの組み合わせの処置である。
【0093】
本発明のデポ剤の適当な投薬量は、勿論、例えば、処置すべき状態(例えば、疾患の種類または耐性の性質)、使用する薬物、所望の効果、および投与方法に応じて変化するであろう。
【0094】
具体的には、本発明によるデポ剤を用いて、満足のいく結果は、1ヶ月あたり注射1回につき、本発明の式Iの化合物(その遊離型に基づいて計算した。)のおよそ約0.2mg〜約100mg、例えば、0.2mg〜約35mg、好ましくは約3mg〜約100mg、または1ヶ月あたり動物の体重1kgにつき、約0.03mg〜約1.2mg、例えば、0.03−0.3mgの投薬量での投与(例えば、非経口投与)で得られる。従って、患者に適当な月々の投薬量は、式Iの化合物(その遊離型に基づいて計算し、そしてまた、ここでは、その形態または塩および/もしくは結晶で使用する。)のおよそ約0.3mg〜約100mgである。
【0095】
遊離(例えば、双性イオン)型の結晶形としての式Iの化合物、または式Iの化合物の難溶性塩、またはとりわけ、本明細書中、先に記載した、また以下に記載する、そのような塩(そのような塩の溶媒和物、例えば、水和物、とりわけ二水和物が含まれる。)の結晶形を含む、さらに一般的な形態での医薬組成物は、温血動物への、経口といったような経腸、または直腸および非経口投与のためのものであり、その薬理学的活性成分は、単独で、または薬学的に適当な担体と共に存在する。
【0096】
これらのさらなる新規医薬組成物は、例えば、約0.0001〜80%、好ましくは約0.001〜10%の活性成分を含む。経腸または非経口投与のための医薬組成物は、例えば、糖衣錠剤、錠剤、カプセル剤または坐剤、さらにはまた、アンプル、バイアル、予め充填されたシリンジといったような投薬単位形態でのものである。これらの医薬組成物は、それ自体が既知の方法で、例えば、従来の混合、造粒、調製(confectioning)、溶解または凍結乾燥法により製造される。例えば、経口投与のための医薬組成物は、活性成分を固形担体と合わせ、場合により、その結果得られる混合物を造粒して、その混合物を加工するか、または粒状とし、所望または必要ならば、適当な賦形剤の添加後、錠剤または糖衣錠コアとすることにより得ることができる。
【0097】
適当な担体は、特に、糖(例えば、ラクトース、サッカロース、マンニトールまたはソルビトール)、セルロース製剤および/またはリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたは重リン酸カルシウム)といったような充填剤、そしてまた、デンプンペースト(例えば、トウモロコシ、コーン、コメまたはジャガイモデンプン)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドンといったような結合剤、および/または、所望により、上述のデンプン、そしてまたカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)といったような崩壊剤である。賦形剤は、特に、流動促進剤および滑沢剤、例えば、シリカ、タルカム、ステアリン酸もしくはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、および/またはポリエチレングリコールである。糖衣錠コアには、とりわけ、アラビアゴム、タルカム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、適当な有機溶媒または溶媒の混合物中のセラック溶液を含んでいるのがよい濃縮糖溶液、胃液に抵抗性があるコーティングの製造に関しては、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースといったような適当なセルロース製剤の溶液を使用して、胃液に抵抗性があり得る適当なコーティングが施される。例えば、活性成分の種々の用量を同定するまたは示すために、着色料または色素を錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
【0098】
経口投与のためのさらなる医薬組成物は、ゼラチンまたはヒプロメロースから作られた乾燥充填カプセル剤、さらにはまた、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)からなる軟密閉カプセル剤である。乾燥充填カプセル剤は、顆粒の形態での活性成分を、例えば、ラクトースといったような充填剤、デンプンといったような結合剤、および/またはタルカムもしくはステアリン酸マグネシウムといったような流動促進剤、また場合により、安定剤と混合して含み得る。軟カプセル剤では、活性成分を、脂肪油、パラフィンオイルまたは液体ポリエチレングリコールといったような適当な液体に溶解するかまたは懸濁させるのが好ましく、これにまた、安定剤を加えることもできる。
【0099】
直腸投与に適当な医薬組成物は、例えば、活性成分の坐剤基剤との組み合わせからなる坐剤である。適当な坐剤基剤の例は、天然または合成トリグリセリド、パラフィン炭化水素、ポリエチレングリコールおよび高級アルカノールである。活性成分の基剤物質との組み合わせを含む、ゼラチン直腸カプセル剤を使用することもまた可能である。適当な基剤物質は、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコールおよびパラフィン炭化水素である。
【0100】
非経口投与に特に適当な(とりわけ好ましい)投薬形態は、水溶性型、例えば、水溶性塩での活性成分の水溶液である。その溶液は、無機もしくは有機酸または塩基で、pH 約4−9、または最も好ましくは約5.5−7.5の生理学的に許容され得るpH値に調節するのがよい。その溶液はさらに、塩化ナトリウムのような無機塩、または糖、糖アルコールもしくはアミノ酸のような有機化合物で、最も好ましくはマンニトールまたはグリセロールで等張化され得る。適当な組成物はまた、脂肪油(例えば、ゴマ油)もしくは合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)といったような適当な親油性溶媒もしくは媒体が使用される、対応する油状注射懸濁液、または粘度を増加させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストラン)、また場合により、安定剤もまた含む水性注射懸濁液といったような、活性成分の懸濁液でもある。
【0101】
本発明はまた、好ましくは、炎症状態、主にカルシウム代謝障害と関連した疾患(例えば、リウマチ性疾患、また特に骨粗鬆症)の処置のための、式Iの化合物の形態(塩、結晶形、および/またはデポ剤が含まれる。)にも関する。
【0102】
0.1μg/kg(体重)以下の非経口用量は、硬組織代謝に僅かだけ影響を及ぼす。長期毒性副作用は、1000μg/kg(体重)以上の用量で起こり得る。本発明による式Iの化合物の形態は、等張液または高張液で、経口的に、さらにはまた、皮下に、筋肉内にまたは静脈内に投与することができる。好ましい一日用量は、経口投与に関しては約1〜100mg/kgの範囲内、静脈内、皮下および筋肉内投与に関しては約20〜500μg/kgの範囲内である。
【0103】
しかしながら、式Iの化合物の形態の投薬量(式Iの化合物自体としての重量に基づく。)は変更可能であって、病気の性質および重症度といったような各々の状態、処置期間に、また各々の化合物に左右される。非経口(例えば、静脈内)投与のための投薬単位形態は、例えば、10〜300μg/kg(体重)、好ましくは15〜150μg/kg(体重)含み;また経口投薬単位形態は、0.1〜5mg、好ましくは0.15〜3mg/kg(体重)含む。経口投与に関して好ましい単回用量は10〜200mgであり、また静脈内投与に関しては1〜10mgである。経口投与に関する高用量は、吸収が制限されるという理由から必要である。長期にわたる処置において、投薬量は、通常、所望の効果を維持するために、最初は高投薬量とした後、低レベルまで減少させることができる。非経口(例えば、静脈内または皮下)用量は、1〜52回/年の一定間隔で断続的に投与するのがよい。経口用量は、毎日、週1回、月1回または年4回の投与計画で定期的に投与するのがよい。本発明によるデポ剤に関して、上述の投薬量が好ましい。
【0104】
本発明のデポ剤、塩、結晶形および医薬組成物の特性は、例えば、次のような標準動物試験または臨床治験で試験され得る:
次の出版物(これらは各々、とりわけ、本明細書中、以下に述べるアッセイまたは方法の記述に関して、参照することにより本明細書中に組み込まれる。)は、式Iの化合物の有利な生物学的特徴を確認するために使用することができる、様々なアッセイおよび方法を記載する。
【0105】
(1)骨代謝回転および大腿骨ミネラル密度(BMD)の生化学的マーカーにおける経時変化を解明するための、(2)静的および動的な組織形態計測的パラメーター、骨微細構造および機械的強度の変化を測定するための、そして(3)これらのパラメーターに対する式Iの化合物での慢性処置の予防効果を評価するための、閉経後骨粗鬆症に関するモデルとしての成熟卵巣切除(OVX)ラットへの単回静脈内投与の効果は、Calcif. Tissue Int. (2003) 72, 519-527に記載されている通りに実証することができる。ここで、高活性を見い出すことができる。
【0106】
コラーゲン誘導関節炎(CIA)のエフェクター段階の間のラットにおける、滑膜炎、構造的関節損傷、および骨代謝に対する式Iの化合物の効果(次の可能な生物学的アッセイの説明の記述において、これには、本明細書中に記載する、一方または両方の塩形態、さらにはまた、結晶形が含まれる。)は、ARTHRITIS & RHEUMATISM (2004), 50(7), 2338-2346において示されている通りに実証することができる。
【0107】
骨内部成長に対する式Iの化合物の効果は、J. Bone Joint Surg. (2005), 87-B, 416-420に記載されている通りに、多孔質タンタルインプラントがイヌの尺骨内に両側的に埋め込まれた動物モデルにおいて調べることができる。
【0108】
マウスモデルにおける骨格腫瘍増殖の阻害は、J. Natl. Cancer. Inst. (2007), 99, 322-30に記載されている方法により実証することができる。
【0109】
ファルネシルピロリン酸合成酵素に結合した場合の式Iの化合物のX線構造は、Chem. Med. Chem. (2006), 1, 267-273に記載されている方法により、またはその方法と類似して得ることができる。41kDaのサブユニットのホモ二量体酵素であるヒトFPPSは、C5 イソプレノイドであるジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)およびイソペンテニルピロリン酸からの、C15 代謝物であるファルネシルピロリン酸(FPP)の二段階合成を触媒する。FPPは、RasおよびRhoといったような必須GTPアーゼシグナルタンパク質の翻訳後プレニル化に必要であり、そしてまた、コレステロール、ドリコール、およびユビキノンの合成に関する前駆体でもある。
【0110】
例えば、無細胞のインビトロアッセイにおいて、既知の化合物に対する式Iの化合物の優位性を示すことができる。簡単に言えば、その反応は、酵素および式Iの阻害剤の存在下に進行して、その反応生成物(ファルネシルピロリン酸)をLC/MS/MSにより定量化する。
詳細には、基質を加える前に、阻害剤および酵素を予めインキュベートしておく。
【0111】
そのアッセイは、LC/MS/MSに基づいたファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)に関する無標識アッセイである。この方法は、インビトロでのタグ無し(untagged)ファルネシルピロリン酸(FPP)を定量化し、そしてFPPSの阻害剤を見い出すためのハイスループットスクリーニング(HTS)に、また候補化合物のIC50値の決定に適当である。分析時間は、2.5分の総サイクル時間で2.0分である。その分析は、結果的に16時間の分析時間/プレートとなる384ウェルのプレートに関してフォーマットすることができる。
【0112】
試薬:
ペンタノール、メタノール、およびイソプロピルアルコールは、HPLCグレードであって、フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)から得られる。DMIPAは、シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)から得られる。水は、イン−ハウス(in-house)ミリ−Qシステムから得られる。アッセイ緩衝液(20mM ヘペス(HEPES)、5mM MgClおよび1mM CaCl)は、シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)から得られる1mM 原液からの希釈により調製される。ゲラニルピロリン酸(GPP)、イソプレニルピロリン酸(FPP)、およびファルネシル S−チオロピロリン酸(farnesyl S-thiolopyrophosphate)(FSPP)の標準品は、Echelon Biosciences(ソルトレークシティー、ユタ州)から得られる。ヒトファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS、Swissprot) ID:P14324)(13.8mg/mL)は、Rondeauら(ChemMedChem 2006, 1, 267-273)により記載されている通りに製造される。
【0113】
アッセイ:
LC/MS/MS分析は、Agilent 1100 バイナリーLCポンプ(Agilent Technologies, Inc.、サンタクララ、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)に接続したMicromass Quattro Microタンデム四重極質量分析器(Waters Corp、ミルフォード、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)で行われる。注入は、2.5μLの注入ループサイズを使用して、CTC 分析用オートサンプラー(Leap Technologies Inc.、カーボロ、ノースカロライナ州、アメリカ合衆国)で行われる。クロマトグラフィーは、0.1% DMIPA/メタノールを溶媒Aとして、また0.1% DMIPA/水を溶媒Bとして(DMIPAは、ジメチルイソプロピルアミンである。)使用して、ガードカラムホルダー(P/N 186000262)に含まれるWaters 2.1×20mm エクステラ(Xterra) MS C18 5μmのガードカラム(P/N 186000652)(Waters Corp、ミルフォード、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)で行われる。その勾配は、0.00〜0.30分は5% A、0.31分で50% A、1.00分で80% A、そして1.01〜2.00分で5% Aである。その流速は、0.3mL/分であり、またその流量は、0.00〜0.50分、そして再び1.20〜2.00分まで廃棄に転用される。
【0114】
モニターした多重反応モニタリング(MRM)遷移は、22eVの衝突エネルギーおよび2.1×10−3ミリバール(mbar)のArの衝突セル圧で、FPPに関して381−>79−、またFSPPに関して397−>159−である。1遷移あたりの滞留時間は、0.4Daのスパンで400ミリ秒(msec)である。チャネル間遅延およびスキャン間遅延は両方とも0.02秒(sec)である。他の質量分析操作パラメーターは、キャピラリー 2.0kV;コーン 35V;抽出器 2.0V;源温 100℃;脱溶媒和ガス温度 250℃;脱溶媒和ガス流量 650L/時間;コーンガス流量 25L/時間;増倍管 650Vである。
【0115】
1試料あたりの総サイクル時間は2.5分である。その分析は、384ウェルのプレートに関してフォーマットされることから、1枚のプレートは16時間で分析される。クロマトグラムは、クアンリンクス(Quanlynx)ソフトウェアを使用して処理され、これは、個々のFPPピークの領域をFSPPピーク(内部標準)の領域で割る。その結果得られる値は、対応する試料ウェルに関する相対感度として報告される。
【0116】
FPPSアッセイ手順
384ウェルのプレートの各々のウェルに、20% DMSO/水中の化合物5μLを入れる。FPPS(アッセイ緩衝液で1〜80000に希釈した。)10μLを各々のウェルに加えて、化合物と共に5分間予めインキュベートしておく。次いで、その時点で、GPP/IPP(アッセイ緩衝液中、各々、5μM)25μLを加えて、反応を開始させる。30分後、その反応を2% DMIPA/IPA中の2μM FSPP 10μLの添加により停止させる。次いで、ボルテックス混合を使用して、その反応混合物をn−ペンタノール50μLで抽出する。相分離後、上(n−ペンタノール)層25μLを新たな384ウェルのプレートに移して、真空遠心分離機を使用して、ペンタノールを蒸発させる。LC/MS/MS法による分析のために、その乾燥残渣を0.1% DMIPA/水50μLでもどす。
【0117】
FSPPは、質量スペクトルに関する内部標準として使用される。リン酸部分は、スペクトルにおいて(M−H)−イオンを基準ピークとして発生させる。
【0118】
この試験システムにおいて、本発明の化合物は、好ましくは、0.8〜10nM、好ましいものは、好ましくは、0.9〜3.3nMの範囲内(例えば、[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸での実験の場合には、2.4〜3.1nMの範囲内)のIC50を有する。とりわけ、それら、例えば、[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸は、先行技術での化合物に対して驚くべき優位性を示す。IC50測定に関するアッセイの有用性は、FPPSの既知のビスホスホネート阻害剤であるゾレドロン酸を使用して確認される。
【0119】
本発明のデポ剤、塩および結晶形、さらにはまた、組成物は、十分に耐容性である。
本発明はまた、特許請求の範囲が参照することにより本明細書中に組み込まれることから、該特許請求の範囲、とりわけ従属クレームに記す態様、さらにはまた、とりわけ、次の実施例に与える本発明の態様にも関する。
【0120】
要約書もまた、参照することにより本明細書中に組み込まれ、そしてまた、本発明の態様を開示している。
【0121】
式Iの化合物の一般的な製造:
式Iの化合物は、種々の化合物に関して、当業界で知られている方法により製造することができる。例えば、少なくとも得られる新規生成物および/または使用する新規遊離体(educt)に基づき、新規工程は、式II:
【化2】

[式中、RおよびRは、式Iの化合物に関して定義した通りである。]
のカルボン酸化合物をオキシハロゲン化リンと反応させて、式Iの化合物またはその塩を得ること、また所望により、得られる式Iの遊離化合物をその塩へと変換すること、得られる式Iの化合物の塩を遊離化合物へと変換すること、および/または得られる式Iの化合物の塩をその種々の塩へと変換することを含むのが好ましい。
【0122】
オキシハロゲン化リンとして、オキシ塩化リン(POCl)がとりわけ好ましい。その反応は、好ましくは、通常の溶媒または溶媒混合物中、例えば、トルエンといったような芳香族炭化水素中、好ましくは、例えば、50℃〜反応混合物の還流温度(例えば、(約)80〜(約)120℃)の範囲内の高温で行う。
【0123】
式IIの出発物質は、例えば、好ましくは、適当な酸、例えば、塩酸といったようなハロゲン化水素酸の存在下、好ましくは、水といったような水性溶媒の存在下、式III:
【化3】

[式中、RおよびRは、式Iの化合物に関して定義した通りであり、またRは、非置換または置換アルキル、とりわけ低級アルキルまたはフェニル−低級アルキルである。]
の化合物を、好ましくは、例えば、(約)50〜(約)100℃(例えば、80〜100℃)の範囲内の高温でケン化することにより得ることができ、式IIの化合物またはその塩を与える。
【0124】
式IIIの化合物は、例えば、好ましくは、適当な溶媒または溶媒混合物、例えば、テトラヒドロフラン(tetrahydrofurane)といったような環状エーテル中、好ましくは、アルカリ金属アルコラート、とりわけカリウム tert−ブチレートといったような強塩基の存在下、式IV:
【化4】

[式中、RおよびRは、式Iの化合物に関して定義した通りである。]
のイミダゾール化合物を、好ましくは、(約)−10〜(約)80℃(例えば、20〜30℃)の範囲内の温度で、式V:
【化5】

[式中、Rは、式IIIの化合物に関して定義した通りであり、またXはハロゲン、とりわけ、フルオロ、クロロ、ヨード、またはとりわけ、ブロモ、低級アルカンスルホニルオキシもしくはトルエンスルホニルオキシである。]
のエステルと反応させることにより得ることができる。必要ならば、その結果得られる式IIIの化合物の混合物(ここで、一方の化合物では、RがC−C−アルキルであって、Rが水素であり、他方では、RがC−C−アルキルであって、Rが水素である。)は、例えば、クロマトグラフ法、分画(differential)結晶化等により分離することができる。
【0125】
式IVおよびVの出発物質、さらにはまた、これまでのところ記載していない使用する他のいずれかの出発物質は、当業界で知られている方法、またはそれに類似した方法により得ることができ、市販されており、および/または本明細書中に記載する方法と同様に製造することができる。
【0126】
次の実施例は、その範囲を限定することなく、本発明を説明するのに役立つ。
次の式Iの化合物は、次の参考例に記載するようにして得られる。
特に言及されなければ、温度はセ氏温度(℃)で記す。温度が言及されていないとき、その反応または他の方法段階は室温で行う。
【0127】
略語:
【表3】

【0128】
4−および5−エチルイミダゾールおよび他の全てのイミダゾール誘導体は、D. Horneら, Heterocycles, 1994, Vol. 39, No. 1, p.139-153により製造される。
【0129】
参考例1:[2−(4−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸(以下、化合物Aまたは化合物Aともまた名付けられている。)
窒素下、(4−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸650mg(3.38mmol)を室温でトルエン15mlに溶解する。HPO 852mg(3mmol)を加えて、その混合物を80℃まで加熱する。POCl 0.936ml(3mmol)を滴加する。その結果得られる混合物を120℃まで加熱して、一晩撹拌する。溶媒を傾捨し、6N HCl 15mlを加えて、その混合物を還流温度で3時間加熱する。
【0130】
その結果得られる淡黄色の溶液を真空下に濃縮する。アセトン(25ml)で希釈した後、灰色の固形物質が形成されるまで、その混合物をアセトン(5×25ml)と共にしっかり撹拌する。その灰色の固形物質を高真空下に乾燥させて、EtOH/水から結晶化させて、標記化合物を得る。
HPLC-MS:t=0.31分, (M-H)-=299;1H-NMR(D2O/NaOD):δ=1.07(t, 3H), 2.53(q,2H), 4.45(t, 2H), 7.08(s, 1H), 8.40(s, 1H), 31P-NMR(D2O/NaOD):δ=15.04 ppm。
【0131】
合成概要:
【化6】

【0132】
HPLC−MS条件:
【表4】

【0133】
出発物質は、次のようにして製造される。
段階1:(4−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステルおよび(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステル
窒素下、4−エチルイミダゾール5.02g(50mmol)を室温でTHF 100mlに溶解する。KOtBu 5.9g(52mmol)を加えて、その反応物を室温で2時間撹拌する。ブロモ酢酸エチル6.3ml(55mmol)を30分間かけて滴加して、その結果得られる混合物を室温で2.5時間撹拌する。HO 20mlおよびAcOEt 130mlを加え、有機層を分離して、水層を再びAcOEt 100mlで2回洗浄する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空下に濃縮する。その反応物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH/塩化メチレン)により精製して、(4−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステルおよび(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステルを各々得る。
(4−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステル:HPLC−MS:t=0.60分;100面積%、MH+=183;1H-NMR(d6-DMSO)δ=1.09(t, 3H), 1.18(t, 3H), 2.43(q,2H), 4.13(q,2H), 4.83(s, 2H), 6.78(s, 1H), 7.43(s, 1H)。
(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステル:HPLC−MS:t=0.72分、100面積%、MH+=183;1H-NMR(d6-DMSO):δ=1.12(t, 3H), 1.18(t, 3H), 2.40(q,2H), 4.14(q,2H), 4.85(s, 2H), 6.61(s, 1H), 7.48(s, 1H)。
【0134】
段階2:(4−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸
(4−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステル1.7g(9.5mmol)を4N HCl 47ml(190mmol)に溶解して、その混合物を還流温度まで加熱する。2時間後、その混合物を室温まで冷却して、溶媒を真空下に除去する。その結果得られる生成物をさらに精製することなく使用する。
MS:MH+=155、1H-NMR(DMSO):δ=1.18(t, 3H), 2.65(q,2H), 5.07(s, 2H), 7.43(d,1H), 9.0(d,1H)。
【0135】
参考例2:[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸は、先に概要を述べた合成により、実施例1における段階1の第二生成物である、対応する(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステルから合成される。
【化7】

HPLC−MS:t=0.32分、(M−H)−=299;1H-NMR(D2O/NaOD):δ=1.10(t, 3H), 2.63(q,2H), 4.43(t, 2H), 6.95(s, 1H), 8.54(s, 1H), 31P-NMR(D2O/NaOD):δ=14.96ppm。
先に記載した手順と同様に、次の化合物を製造する。
【0136】
参考例3:[2−(4−プロピル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
【化8】

HPLC−MS:t=0.44分、(M−H)−=313.1;1H-NMR(D2O/NaOD):δ=0.78(t, 3H), 1.52(m, 2H), 2.52(t, 2H), 4.50(t, 2H), 7.13(s, 1H), 8.45(s, 1H);31P-NMR(D2O/NaOD)δ=15.25ppm。
【0137】
参考例4:[2−(5−プロピル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
【化9】

HPLC−MS:t=0.46分、(M−H)−=313.1;1H-NMR(D2O/NaOD):δ=0.81(t, 3H), 1.51(m, 2H), 2.60(t, 2H), 4.44(t, 2H), 6.96(s, 1H), 8.54(s, 1H);31P-NMR(D2O/NaOD)δ=15.06ppm。
【0138】
参考例5:[2−(4−ブチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
【化10】

HPLC−MS:t=0.56分、(M−H)−=327.2;1H-NMR(D2O/NaOD):δ=0.73(t, 3H), 1.17(m, 2H), 1.46(m, 2H), 2.51(t, 2H), 4.44(t, 2H), 7.09(s, 1H), 8.40(s, 1H);31P-NMR(D2O/NaOD):δ=14.98ppm。
【0139】
参考例6:[2−(5−ブチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
【化11】

HPLC−MS:t=0.44分、(M−H)−=327.2;1H-NMR(D2O/NaOD):δ=0.79(t, 3H), 1.27(m, 2H), 1.51(m, 2H), 2.67(t, 2H), 4.49(t, 2H), 6.99(s, 1H), 8.58(s, 1H);31P-NMR(D2O/NaOD):δ=15.16ppm。
【0140】
参考例7:[1−ヒドロキシ−2−(4−イソプロピル−イミダゾール−1−イル)−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
【化12】

HPLC−MS:t=0.42分、(M−H)−=313;1H-NMR(d6-DMSO):δ=1.13, 1.15(d,6H), 2.86-2.95(m, 1H), 4.49(t, 2H), 7.12(s, 1H), 8.46(s, 1H);31P-NMR(d6-DMSO):δ=15.35ppm。
【0141】
参考例8:[1−ヒドロキシ−2−(5−イソプロピル−イミダゾール−1−イル)−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
【化13】

HPLC−MS:t=0.40分、(M−H)−=313;1H-NMR(d6-DMSO):δ=1.10, 1.12(d,6H), 3.12-3.19(m, 1H), 4.52(t, 2H), 7.01(s, 1H), 8.56(s, 1H);31P-NMR(d6-DMSO):δ=15.24ppm。
【0142】
参考例9:{2−[4−(1−エチル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル}−ホスホン酸
【化14】

HPLC−MS:t=0.55分、(M−H)−=341;1H-NMR(d6-DMSO):d=0.80(m, 6H), 1.50-1.75(m, 4H), 2.49-2.60(m, 1H), 4.52(bs, 2H), 7.40(s, 1H), 8.90(s, 1H)。
【0143】
参考例10:{2−[5−(1−エチル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル}−ホスホン酸
【化15】

1H-NMR(d6-DMSO):d=0.77(m, 6H), 1.40-1.60(m, 4H), 2.97(t, 1H), 4.44(t, 2H), 6.60(s, 1H), 7.92(s, 1H)。
【実施例】
【0144】
実施例1
Ca−[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸塩(1:2)に関する製造方法
[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸3.5g(11.67mmol)を90℃で脱イオン水540mlに溶解する。この溶液に、水10ml中の塩化カルシウム667mg(5.83mmol)の90℃の熱溶液を1分以内に加える。その反応混合物を14時間かけて20℃まで冷却して、その懸濁液を濾過する。固形物質を氷水2×50mlで洗浄して、60℃および5ミリバール(mbar)で乾燥させる。カルシウム−[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸塩(1:2)を得る。
【0145】
実施例2
Zn−[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸塩(1:2)に関する製造方法
[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸3.5g(11.67mmol)を90℃で脱イオン水540mlに溶解する。この溶液に、水10ml中の塩化亜鉛811mg(5.83mmol)の90℃の熱溶液を1分以内に加える。その反応混合物を20℃まで冷却して、60℃で乾燥させて、亜鉛−[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸塩(1:2)を得る。
【0146】
実施例3
実施例1および2から得られる塩の微粒子化、またその微粒子化塩を用いての本発明による微粒子の製造
a)微粒子化
(i)粉砕
実施例1の乾燥カルシウム塩および実施例2の乾燥亜鉛塩をセラミック製エアージェットミル(5バールの粉砕ガス圧)で粉砕する。
(ii)得られる粒子
カルシウム塩の粉砕前、その粒子は約150μmまでの粒径を有する。粉砕後、顕微鏡検査により、その粒子は10μmより小さい粒径を有する。
亜鉛塩の場合、粉砕前、その粒子は約100μmまでの粒径を有する。粉砕後、その粒子は5μm以下の粒径を示す。
【0147】
b)微粒子の製造
0.38dL/gの固有粘度をもつPLGA 50:50(ラクテル(Lactel)(商標))3.1gをジクロロメタン15.5mLに溶解すると、透明な20%(m/V)PLGA溶液を形成する。氷水浴中で冷却しながら、高剪断力ミキサー(ウルトラ−タラックス(Ultra Turrax)、S25N−10G)を20,000rpmで4分間使用して、実施例1から得られるCa−[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸(1:2)塩0.9g(遊離酸のアッセイ 89.0%)をPLGA溶液へと分散させる。その結果得られる懸濁液を有機相と呼ぶ。
【0148】
ポリビニルアルコール 18−88(以下、PVA)25g、酢酸ナトリウム三水和物11.3gおよび氷酢酸25.0gを水5Lに溶解する。この0.5% PVA−100mM 緩衝酢酸溶液(pH 4)を水相と呼ぶ。
2つの流入口と1つの流出口をもつインライン高剪断力装置によって、30:600mL/分の流速比で、また3800rpmで、有機相を水相と混合する。その結果得られる乳濁液を、プロペラ撹拌機を用いて400rpmで撹拌しながら、開始容量170mLの水相が既に入っている二重壁反応器に集める。
【0149】
ジクロロメタンを蒸発により除去するが、これは、バッチを400rpmで連続的に撹拌すること、そのバッチを5時間以内に50℃まで徐々に加熱すること、この温度をさらに2時間維持することにより促進される。この時間中ずっと、真空を使用して、乳濁液の表面付近のガス相を交換する。
【0150】
再び室温まで冷却した後、形成された微粒子は12時間で沈降する。上澄みを除去して、大きく広げる。その微粒子を再び残りの上澄みに再懸濁させて、5μm以上を濾過により単離する。その微粒子を水約50mLで4回洗浄して、真空下に3日間乾燥させる。最後に、140μmのメッシュサイズを通して篩にかけることにより、乾燥させた微粒子を脱凝集する。微粒子2.32gを微細な白色粉末として得る。電子顕微鏡像は、滑らかな表面の完全に球形の粒子を示した。微粒子径分布は、レーザー光回折により次のように見い出された:×10:15.6μm、×50:35.8μm、×90:53.7μm。14.7%の原体アッセイは、HPLCにより見い出され、これは、74%のカプセル化効率に対応する。24時間後、37℃でpH 7.4の緩衝液中、原体の1.9%だけがインビトロでの放出試験において放出されるが、これは、この製剤が早過ぎる放出を有利に回避することを示す。
【0151】
次の表は、実施例1の重要な製剤、工程および分析データ、並びに実施例1と同様にして製造される[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸塩(組成は表を参照。)微粒子のさらなる実施例2−4に関する重要な製剤、工程および分析データを要約する。
【0152】
【表5】

【0153】
DSは原体を表し、L:Gは、コモノマーにおける乳酸:グリコリドのモル比を表す。実施例1および3では、Lactel(商標)をPLGAとして使用し、実施例2および4では、Resomer(商標)RG 753 Sを使用する(先の表IIを参照。)。
【0154】
これは、この場合、実施例3AのCa塩微粒子製剤が、式Iの化合物を、1日目には非常に低くしか放出せず、また21日目までは60%未満しか放出しないという、最も有利な放出動態を示すことを明確に示す。
【0155】
走査型電子顕微鏡像(その試料を金−白金でスパッタして、実施例3A、3B、3Cおよび3Dの製剤の微粒子を走査型電子顕微鏡法により調査する。)を使用して、Zn塩粒子(実施例3Cおよび3D)の場合、原体は、どうやら全くまたはごく僅かな程度にしかカプセル化されないようであることが明らかとなる:原体粒子は、その粒子の表面上で観察され得て、原体は、ポリマーマトリックスの断面では全く見られ得ない。表面表現に関しては、その微粒子を適当なオブジェクトホルダーに移し、20nmの金でスパッタして、走査型電子顕微鏡(Camscan CS 24/EO、Id. G.16.MIK.S008)で調べる。断面図に関しては、その粒子をAraldite F(Ciba Specialty Chemicals、バーゼル、スイスの商標;エポキシ樹脂)に包埋して、半薄切片(厚さ約1μm)を切断することにより、断面を作成する。その切片を金でスパッタして、SEMでもまた調べる。
【0156】
対照的に、Ca塩微粒子(実施例3A、3B)の像は、Zn塩と比べて、より有効な(efficous)カプセル化を実証する。しかしながら、幾つかの原体粒子はまだなお、PLGA 75:25の製剤(実施例3B)の表面で見られ得て、これは、高いバースト効果(最初の24時間放出が高いこと)を説明する。対照的に、PLGA 50:50であるCa塩製剤は、その表面に原体を全く示さない。粒子の断面において、その原体粒子が観察され得る。
【0157】
実施例4
皮下投与後のラットにおける化合物A微粒子のカルシウム塩の耐容試験
実施例3Aの微粒子を、カルボキシメチルセルロースナトリウム、D−マンニトール、Pluronic F68(商標)(ポロクサマー 188、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、BASF社、ルートウィヒスハーフェン、ドイツ)および注射用水を含む媒体に懸濁させる。これらの懸濁液200マイクロリットルを8週齢の雌の処女ウィスター系ラット(体重約220g)の左背面の剪毛した皮膚に皮下注射した。この方法では、カルシウム−化合物A微粒子(実施例3A)の1mg用量(動物あたり)および2mg用量(動物あたり)を1グループ6匹の動物に適用する。皮膚の厚さは、注射面および反対側の非注射面でマイクロキャリパーにより測定されるであろう。参照として、非カプセル化原体の懸濁液を60マイクログラムの用量で注射する。加えて、PLGA 50:50から作られたプラセボ微粒子もまた対照として注射する。
【0158】
本発明による微粒子製剤により、刺激が全く引き起こされないかどうかが示され得る。
【0159】
実施例5
化合物A−カルシウム塩を用いてのインプラントの製造
微粒子化カルシウム塩である化合物A(1:2塩)1.5gおよびPLGA 50:50(IV 0.65dL/g)10.7gを液体窒素中で凍結粉砕すること(cryo-milling)によって完全に混合する。その結果得られる微細な粉末をラム押出機によって5mm/分の速度で90℃にて押し出す。直径1.5mmのインプラントを長さ2cmに切断する。そのインプラントをアプリケーターに入れ、アルミ箔で密封して、最後に、γ線照射を30kGyの用量で使用することにより滅菌する。
【0160】
次の実施例において、X線粉末回折パターンは、ブルカー(Bruker) D8 アドバンスト・シリーズ(Advanced Series) 2 回折計、検出器:Cu Kα(1.54Å)の放射線照射を用いてのPSD バンテック(Vantec)−1で測定する。パラメーターは、各々、実施例に記載する通りである。
【0161】
実施例6
遊離型(内部双性イオン塩の形態)での化合物Aの結晶
(参考例1でのようにして得ることができる)化合物Aの双性イオン塩のX線回折図(diffractogram)を得て(元素分析 C 27.9%(28.0)、H 4.6%(4.7)、N 9.4%(9.3%)、P 20.5%(20.6%)(括弧内は理論値))、次のピークを与える(図1もまた参照。)。
【表6】

タイプ:2Th 固定 −開始:2.000°−終了:40.030°−ステップ:0.017°−ステップ時間:107.秒 −温度:25℃(室温)−開始した時間:0秒 −2シータ:2.000°。
双性イオン型の融点(m.p.)は237℃である。
【0162】
実施例7
Ca塩(1:2)の形態での化合物Aの結晶
a)1:2 カルシウム塩である化合物A(1当量のCa:2当量の化合物A)の結晶形を製造するための方法:
機械式撹拌機を備えた1000mLの三つ口フラスコ中、化合物A 3.5gおよび水540mLを加える。全てが溶液となるまで、この混合物を約90℃に加熱する。この透明な溶液に、水10mL中の塩化カルシウム二水和物667mgの溶液を加える。白色の沈殿物が現れた後、その混合物を室温まで冷却して、一晩撹拌する。次いで、沈澱したCa塩を濾過により単離し、冷水で洗浄して、真空オーブン中、60℃で一晩乾燥させる。これは、二水和物に対応する組成物のCa塩である(m.p.>230℃)。その塩のCa含量は5.8%(理論的には5.9%)である。
【0163】
ここで、化合物Aのカルシウム塩は、1つのカルシウムに対し2つの化合物A分子という化学量論を有する。
【0164】
b)a)の下に得ることができるような化合物AのCa塩のX線回折図(diffractogram)は、次のピークを与える(図2もまた参照。)。
【表7】

タイプ:2Th 固定 −開始:2.000°−終了:40.030°−ステップ:0.017°−ステップ時間:107.秒 −温度:25℃(室温)−開始した時間:0秒 −2シータ:2.000°。
【0165】
実施例8
Zn塩(1:2)の形態での化合物Aの結晶
a)1:2 亜鉛塩である化合物A(1当量のZn:2当量の化合物A)の結晶形を製造するための方法:
機械式撹拌機を備えた1000mLの三つ口フラスコ中、化合物A 3.5gおよび水540mLを加える。全てが溶液となるまで、この混合物を約90℃に加熱する。この透明な溶液に、水10mL中の塩化亜鉛811mgの溶液を加える。白色の沈殿物が現れた後、その混合物を室温まで冷却して、一晩撹拌する。次いで、沈澱したZn塩を濾過により単離し、冷水で洗浄して、真空オーブン中、60℃で一晩乾燥させる。これは、二水和物に対応する組成物でのZn塩である(m.p.>230℃)。その塩のZn含量は約9.0%(理論的には9.3%)である。
ここで、化合物Aの亜鉛塩は、1つの亜鉛に対し2つの化合物A分子という化学量論を有する。
【0166】
b)a)の下に得ることができるような化合物AのZn塩のX線回折図(diffractogram)は、次のピークを与える(図3もまた参照。)。
【表8】

タイプ:2Th 固定 −開始:2.000°−終了:40.030°−ステップ:0.017°−ステップ時間:107.秒 −温度:25℃(室温)−開始した時間:0秒 −2シータ:2.000°。
【0167】
実施例9
Mg塩(1:2)の形態での化合物Aの結晶
a)1:2 マグネシウム塩である化合物A(1当量のMg:2当量の化合物A)の結晶形を製造するための方法:
磁気式撹拌機を備えた20mLのバイアル中、化合物A 74.20mgおよび水15mLを加える。全てが溶液となるまで、この混合物を約90℃に加熱する。この透明な溶液に、水24mL中の塩化マグネシウム11.8mgの溶液を加える。白色の沈殿物が現れた後、その混合物を室温まで冷却して、一晩撹拌する。次いで、沈澱したMg塩を遠心分離により単離して、真空オーブン中、40℃で一晩乾燥させる。これは、二水和物に対応する組成物のMg塩を与える(m.p.>230℃)。その塩のMg含量は約3.4%(理論的には3.7%)である。
ここで、化合物Aのマグネシウム塩は、1つのマグネシウムに対し2つの化合物A分子という化学量論を有する。
【0168】
b)a)の下に得ることができる化合物AのMg塩のX線回折図(diffractogram)は、次のピークを与える(図4もまた参照。)。
【表9】

タイプ:2Th 単独 −開始:2.000°−終了:40.030°−ステップ:0.017°−ステップ時間:0.3秒 −温度:25℃(室温)−開始した時間:0秒 −2シータ:2.000°。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、RおよびRの一方は水素であって、他方は、水難溶性塩の形態である分岐しているまたは分岐していないC−C−アルキル(好ましくは、C−C−アルキル)である。]
のビスホスホネート化合物の水難溶性塩、およびポリマーマトリックスを含むデポ剤(この用語には、インプラントが含まれる。)。
【請求項2】
微粒子の形態での、請求項1に記載のデポ剤。
【請求項3】
式Iの化合物が[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸である、請求項1に記載のデポ剤。
【請求項4】
水難溶性塩が、亜鉛、マグネシウム、またはとりわけカルシウム塩である、請求項1〜3のいずれかに記載のデポ剤。
【請求項5】
ポリマーマトリックスが直鎖状または分岐鎖状のポリラクチド−コ−グリコリドを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のデポ剤。
【請求項6】
界面活性剤、空隙率影響物質(porosity influencing agent)および/または塩基性塩をさらに含む、請求項5に記載のデポ剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のデポ剤、並びに湿潤剤、とりわけポロクサマーおよび/またはポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルを含有する水性媒体を含む医薬組成物。
【請求項8】
媒体が等張化剤を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
媒体が粘度増加物質を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のデポ剤および水性媒体を含むキット。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の微粒子。
【請求項12】
遊離または溶媒和物の形態での、式I:
【化2】

[式中、RおよびRの一方は水素であって、他方は、水難溶性塩、とりわけ、亜鉛、マグネシウム、またはさらにとりわけカルシウム塩の形態である分岐しているまたは分岐していないC−C−アルキル(好ましくは、C−C−アルキル)である。]
の化合物の水難溶性塩。
【請求項13】
カルシウム塩であり、とりわけ、Ca:式Iの化合物の化学量論が1:2である、式Iの[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸の請求項12に記載の塩。
【請求項14】
遊離または溶媒和物の形態での、式I:
【化3】

[式中、RおよびRの一方は水素であって、他方は、遊離型であるか、または水難溶性塩、とりわけ、亜鉛、マグネシウム、もしくはさらにとりわけカルシウム塩の形態である分岐しているまたは分岐していないC−C−アルキル(好ましくは、C−C−アルキル)である。]
の化合物の結晶形であって、さらにとりわけ、次のように定義される結晶形のグループ:
[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸の遊離双性イオン型の結晶形、これは、とりわけ、図1に示すように、屈折角2シータ(θ)で、次のピーク:10.5、13.1、14.7、17.2、23.5、25.2、34.4(各々、±0.2)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ、最も好ましくは全てを含むX線粉末回折パターンを有するか;あるいはまた、遊離双性イオン型での化合物Aの少なくとも80重量%は、そのようなX線粉末回折パターンを示す;
1つのカルシウムに対し2分子の化合物Aという化学量論をもつ(とりわけ、二水和物といったような水和物の形態での)[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸のカルシウム塩の結晶形、これは、さらに好ましくは、とりわけ、図2に示すように、屈折角2シータ(θ)で、次のピーク:7.9、10.6、12.1、25.7、27.4、29.2(各々、±0.2)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ、最も好ましくは全てを含むX線粉末回折パターンを有するか;あるいはまた、カルシウム1:2塩である化合物Aの少なくとも80重量%は、そのようなX線粉末回折パターンを示す;
1つの亜鉛に対し2分子の化合物Aという化学量論をもつ(とりわけ、二水和物といったような水和物の形態での)[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸の亜鉛塩の結晶形、これは、さらに好ましくは、とりわけ、図3に示すように、屈折角2シータ(θ)で、次のピーク:6.7、9.5、12.5、17.7、27.3(各々、±0.2)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ、最も好ましくは全てを含むX線粉末回折パターンを有するか;あるいはまた、亜鉛1:2塩である化合物Aの少なくとも80重量%は、そのようなX線粉末回折パターンを示す;および
1つのマグネシウムに対し2分子の化合物Aという化学量論をもつ(とりわけ、二水和物といったような水和物の形態での)[2−(5−エチル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸のマグネシウム塩の結晶形、これは、さらに好ましくは、とりわけ、図4に示すように、屈折角2シータ(θ)で、次のピーク:6.7、12.5、20.0、27.3(各々、±0.2)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ、最も好ましくは全てを含むX線粉末回折パターンを有するか;あるいはまた、マグネシウム1:2塩である化合物Aの少なくとも80重量%は、そのようなX線粉末回折パターンを示す;
から選択される結晶形。
【請求項15】
骨代謝回転異常が見られる疾患または障害の処置および予防の方法であって、そのような処置を必要とする患者に、請求項1〜6のいずれかに記載のデポ剤、請求項7〜9のいずれかに記載の組成物、請求項10に記載のキット、請求項12もしくは請求項13に記載の微粒子、または請求項14に記載の結晶形を治療上有効な投薬量で投与することを含む方法;そのような疾患または障害の処置のための薬物の製造における、請求項1〜6のいずれかに記載のデポ剤、請求項7〜9のいずれかに記載の組成物、請求項10に記載のキット、請求項12もしくは請求項13に記載の微粒子、または請求項14に記載の結晶形の使用;該障害または疾患の処置における、請求項1〜6のいずれかに記載のデポ剤、請求項7〜9のいずれかに記載の組成物、請求項10に記載のキット、請求項12もしくは請求項13に記載の微粒子、または請求項14に記載の結晶形、あるいはそのような処置における使用のための、請求項1〜6のいずれかに記載のデポ剤、請求項7〜9のいずれかに記載の組成物、請求項10に記載のキット、請求項12もしくは請求項13に記載の微粒子、または請求項14に記載の結晶形を含む医薬品製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−516455(P2011−516455A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502387(P2011−502387)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053965
【国際公開番号】WO2009/121935
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】