説明

ビタミンDの含量均一性が改善された薬剤剤形

改善された含量均一性を有するビタミンD及び炭酸カルシウムの新規剤形が望ましい。改善は、処方、原材料の規格、及び製造プロセスの改良を通して認識される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された含量均一性を有するビタミンDの新規剤形を目的とする。改善点は、処方、原材料の規格及び製造プロセスの改良を通じて実現される。
【背景技術】
【0002】
含量均一性は、全ての完成した薬剤製品に関わる規制である。これは特に、錠剤及びカプセルのような固体経口剤形に当てはまる。典型的な規制基準はビタミンのような栄養補助食品に対しては厳密ではない場合があるが、ビタミンが別の薬剤製品とともにパッケージ化される場合、含量均一性の基準要件が全ての構成成分に対して厳密になる。
【0003】
ビタミンを任意の薬剤処方に加えるときはいつでも、非常に少ない重量(典型的には、0.001〜0.05パーセント)存在する。それゆえ、相対標準偏差(RSD)<6%という含量均一性の基準規制を満たすことは大きな課題である。今日市場に出回っている混合ビタミン製品の大部分は、含量均一性の基準を有さなくても栄養標準のみを満たせばよい。現在市場に出回っている典型的なカルシウムとビタミンDの栄養製品は、RSD7〜15%という、ビタミンDの含量均一性を有する。FDAは、任意の薬剤製品又は別の薬剤製品とともにパッケージ化された栄養製品は、全ての薬剤規格を満たさなければならないことを承認している。炭酸カルシウム及びビタミンDの製剤は、許容可能な含量均一性の観点で問題がある。
【0004】
ビタミンDを含む剤形については、先行技術で論じられてきた。先行技術の多くは、ビタミンD剤形の安定性に取り組んでいた。マキノ(Makino)らによる、米国特許第4,729,895号は、有機溶媒にわずかに可溶性である賦形剤を含む内層の回りに、ビタミンD3及び有機溶媒に容易に可溶性である賦形剤を含む外層を形成することにより調製されたビタミンD3の固体医薬品を教示している。マキノ(Makino)は、このようなビタミンD3の固体医薬品の安定性が著しく改善されたことを教示している。
【0005】
米国特許第5,328,903号(イシイ(Ishii)ら)は、ビタミンDが組成物中に均一に分布したビタミンDの固体薬剤剤形のための組成物を教示している。組成物は、マンニトール及び/若しくは糖を含む賦形剤;ヒドロキシプロピルセルロースを含む崩壊剤;並びに/又はポリビニルピロリドン及び/若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む結合剤を含む。
【0006】
国際公開第92/09271号(ウォツニー(Wozny)ら)は、有意に安定化したビタミンD3を含有する固体医薬品を教示している。組成物は、活性ビタミンD3に付着したヒドロキシプロピルメチルセルロース及び有機溶媒に容易に可溶性であるポリマーを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,729,895号
【特許文献2】米国特許第5,328,903号
【特許文献3】国際公開第92/09271号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明者らは、処方、原材料の規格及びプロセスを改良することにより、含量均一性を改善し、薬剤の規格を満たすことができることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、標準的な公定書(すなわち、米国薬局方(USP))の含量均一性試験により測定したとき、含量均一性に関する薬剤規格を満たすビタミンDの改善された製剤を目的とする。第2の効果は、含量均一性をより厳しくすることにより、貯蔵寿命を増加させる及び/及び過剰供給(overage)を減少させることができる、安定性試験における変動を低減することである。
【0010】
本発明の1つの態様では、ビタミンD顆粒及び二酸化ケイ素の混合物を含むプレミックスを形成する工程と;少なくとも約1.4、好ましくは少なくとも約1.5のビタミンD構成成分に対する寸法比を有する第2の栄養又は薬剤活性成分(「第2構成成分」)を該プレミックスに添加して、第1ビタミンD/第2構成成分顆粒混合物を形成する工程と;第1ビタミンD/第2構成成分顆粒混合物を混合及び篩い分けする工程と;第1ビタミンD/第2構成成分顆粒混合物をVブレンダー内でブレンドする工程と;第1ビタミンD/第2構成成分顆粒混合物を4等分し、第2構成成分を各部に添加して、第2ビタミンD/第2構成成分顆粒混合物を形成する工程と;第2ビタミンD/第2構成成分顆粒混合物をVブレンダー内でブレンドする工程と;第2ビタミンD/第2構成成分顆粒混合物を含む組成物から錠剤を形成する工程と;を含む、ビタミンD含有錠剤を製造する方法が存在する。いくつかの実施形態では、ビタミンD及び二酸化ケイ素のプレミックスの、ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比は約25:9である。いくつかの実施形態では、第1混合物の、第2構成成分:ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比は約1000:25:9である。いくつかの実施形態では、混合及び篩い分け工程は、US20メッシュの篩いを通して篩い分けすることを含む。いくつかの実施形態では、16クオートのVブレンダー内で第1混合物をブレンドする工程は、約2分間ブレンドすることを含む。第1混合物を4等分し第2構成成分を添加する工程は、2.0kgの第2構成成分を添加することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法は、第2構成成分顆粒を粉砕及び篩い分けして、互いの±40%内の中央粒径を有する第2構成成分及びビタミンD顆粒を生産する工程を更に含む。中央粒径は、より好ましくは互いの±25%内である。中央粒径は、最も好ましくは互いの±15%内である。好ましい実施形態では、方法は、第2構成成分顆粒が110マイクロメートル未満のD20値を有するように粉砕及び篩い分けする工程を更に含む。好ましい実施形態では、方法は、第2構成成分顆粒が95マイクロメートル未満のD16値を有するように粉砕及び篩い分けする工程を更に含む。
【0011】
本発明の別の態様では、ビタミンD顆粒及び二酸化ケイ素の混合物を含むプレミックスを形成する工程と;炭酸カルシウム顆粒を該プレミックスに添加して、第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を混合及び篩い分けする工程と;第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物をVブレンダー内でブレンドする工程と;第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を4等分し、炭酸カルシウムを各部に添加して、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物をVブレンダー内でブレンドする工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を含む組成物から錠剤を形成する工程と;を含む、炭酸カルシウム/ビタミンD錠剤を製造する方法が存在する。いくつかの実施形態では、ビタミンD及び二酸化ケイ素のプレミックスの、ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比は約25:9である。いくつかの実施形態では、第1混合物の、炭酸カルシウム:ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比は約1000:25:9である。いくつかの実施形態では、混合及び篩い分けの工程は、US20メッシュの篩いを通して篩い分けすることを含む。いくつかの実施形態では、15リットル(16クオート)のVブレンダー内で第1混合物をブレンドする工程は、約2分間ブレンドすることを含む。第1混合物を4等分し、炭酸カルシウムを添加する工程は、約2.0kgの炭酸カルシウムを添加する工程を含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法は、炭酸カルシウム顆粒を粉砕及び篩い分けして、互いの±40%以内の中央粒径を有する炭酸カルシウム及びビタミンD顆粒を生産する工程を更に含む。中央粒径は、より好ましくは互いの±25%以内である。中央粒径は、最も好ましくは互いの±15%以内である。好ましい実施形態では、方法は、炭酸カルシウム顆粒を、110マイクロメートル未満のD20値を有するように粉砕及び篩い分けする工程を更に含む。好ましい実施形態では、方法は、炭酸カルシウム顆粒を、95マイクロメートル未満のD16値を有するように粉砕及び篩い分けする工程を更に含む。
【0012】
本発明の別の態様では、炭酸カルシウムの層、ビタミンD/二酸化ケイ素の層及び炭酸カルシウムの別の層を含むプレミックスを形成する工程と;プレミックスを篩い分け及びブレンドして、第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;炭酸カルシウム顆粒の層、第1顆粒混合物の層、及び炭酸カルシウムの別の層が存在するように、炭酸カルシウムを第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物に添加して、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を篩い分け及びブレンドする工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を含む組成物から錠剤を形成する工程と;を含む、炭酸カルシウム/ビタミンD錠剤を製造する方法が存在する。好ましい実施形態では、プレミックスの篩い分け及びブレンド工程と、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物の篩い分け及びブレンド工程の一方又は両方は、コミル(Comil)でブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、プレミックスの篩い分け及びブレンド工程と、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物の篩い分け及びブレンド工程の一方又は両方は、Vブレンダーでブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、Vブレンダーでブレンドすることを含む、プレミックスの篩い分け及びブレンド工程は、約8分間ブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、Vブレンダーでブレンドすることを含む、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物の篩い分け及びブレンド工程は、約50分間ブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、炭酸カルシウムの層、ビタミンD/二酸化ケイ素の層、及び炭酸カルシウムの別の層を含む、プレミックスを形成する工程は、それぞれ約500kgの炭酸カルシウムの2つの層を添加することを含む。いくつかの実施形態では、第1混合物の、炭酸カルシウム:ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比は約1600:20:7である。
【0013】
本発明の別の態様では、ビタミンD顆粒及び二酸化ケイ素の混合物を含むプレミックスを形成する工程と;炭酸カルシウム顆粒を該プレミックスに添加して、第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を混合及び篩い分けする工程と;第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物をVブレンダー内でブレンドする工程と;第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を4等分し、炭酸カルシウムを各部に添加して、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物をVブレンダー内でブレンドする工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を含む組成物を錠剤に圧縮成形する工程と;を含むプロセスにより生産される炭酸カルシウム及びビタミンDの薬剤錠剤が存在する。いくつかの実施形態では、ビタミンD及び二酸化ケイ素のプレミックスの、ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比は約25:9である。いくつかの実施形態では、第1混合物の、炭酸カルシウム:ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比は約1000:25:9である。いくつかの実施形態では、混合及び篩い分け工程は、US20メッシュの篩いを通して篩い分けすることを含む。いくつかの実施形態では、Vブレンダー内で第1混合物をブレンドする工程は、約2分間ブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、第1混合物を4等分し、炭酸カルシウムを添加する工程は、約2.0kgの炭酸カルシウムを添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、炭酸カルシウム顆粒を粉砕及び篩い分けして、互いの±40%以内の中央粒径を有する炭酸カルシウム及びビタミンD顆粒を生産する工程を更に含む。より好ましくは、中央粒径は互いの±25%以内である。最も好ましくは、中央粒径は互いの±15%以内である。好ましい実施形態では、方法は、炭酸カルシウム顆粒を、110マイクロメートル未満のD20値を有するように粉砕及び篩い分けする工程を更に含む。好ましい実施形態では、方法は、炭酸カルシウム顆粒を、95マイクロメートル未満のD16値を有するように粉砕及び篩い分けする工程を更に含む。
【0014】
本発明の別の態様では、炭酸カルシウムの層、ビタミンD/二酸化ケイ素の層及び炭酸カルシウムの別の層を含むプレミックスを形成する工程と;プレミックスを篩い分け及びブレンドして、第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;炭酸カルシウム顆粒の層、第1顆粒混合物の層、及び炭酸カルシウムの別の層が存在するように、炭酸カルシウムを第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物に添加して、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を篩い分け及びブレンドする工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を含む組成物から錠剤を形成する工程と;を含むプロセスにより生産される炭酸カルシウム及びビタミンDの薬剤錠剤が存在する。好ましい実施形態では、プレミックスの篩い分け及びブレンド工程と、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物の篩い分け及びブレンド工程の一方又は両方は、コミル(Comil)でブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、プレミックスの篩い分け及びブレンド工程と、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物の篩い分け及びブレンド工程の一方又は両方は、Vブレンダーでブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、Vブレンダーでブレンドすることを含む、プレミックスの篩い分け及びブレンド工程は、約8分間ブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、Vブレンダーでブレンドすることを含む、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物の篩い分け及びブレンド工程は、約50分間ブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、炭酸カルシウムの層、ビタミンD/二酸化ケイ素の層、及び炭酸カルシウムの別の層を含む、プレミックスを形成する工程は、それぞれ約500kgの炭酸カルシウムの2つの層を添加することを含む。いくつかの実施形態では、第1混合物の、炭酸カルシウム:ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比は約1600:20:7である。
【0015】
上記は以下の発明の詳細な説明の理解を助けるために本発明の特徴及び技術的利点を幾分概略的に述べたものである。特許請求の範囲の主題をなす本発明の更なる特徴及び利点を以下に述べる。開示される概念及び特定の実施形態は、本発明と同様の目的を実施する上で他の構成を改変又は設計するための基礎として直ちに利用することが可能である点は当業者には認識されるはずである。こうした同等の構成は添付の特許請求の範囲に記載される発明の趣旨及び範囲から逸脱しないものであることも当業者によれば認識されるはずである。発明に特有であると考えられる、発明の構成及び実施方法の双方における新規な特徴は、添付図面と併せて考えることで更なる目的及び利点とともに以下の説明文からより深く理解されるであろう。ただし、各図面はあくまで例示及び説明を目的としたものであって本発明の範囲を規定することを目的としたものではない点は明確に理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明をより完全に理解するため、添付図面とともに以下の説明文を参照する。
【図1】炭酸カルシウム/ビタミンD錠剤用の標準的プロセス(試行1)のブロックフローチャート。
【図2】標準的プロセス用の炭酸カルシウム及びビタミンDの粒径特性を示す。
【図3】改良したプロセスのブロックフローチャート。
【図4】改良したプロセス用の炭酸カルシウム及びビタミンDの粒径特性を示す。
【図5】ブレンド時間の関数として、標準的及び改良したプロセスの回収率(コンポジットアッセイ)。
【図6】ブレンド時間の関数として、標準的及び改良したプロセスの含量均一性。
【図7】改良したプロセスの大規模プロセスのブロックフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用するとき、「a」又は「an」は、1つ又はそれ以上を意味する。特に断らない限り、単数形は複数を含み、複数形は単数を含むものとする。
【0018】
理論的に最善の含量均一性は、精査の尺度(この場合錠剤)あたりの、粒子の数に基づいて算出することができる。一般に、頑健な(robust)薬剤錠剤は、尺度の単位あたり10,000個を超える粒子を有し、実際の含量均一性のRSDは1〜2%になる。標準的なビタミン錠剤製剤は、尺度の単位あたり150〜200個のビタミン顆粒を有し、理論的に最善のRSDは5〜7%になる。実際には、ビタミン錠剤の含量均一性は、7〜15%のRSDを有する。グラムあたりのビタミン粒子の数を増加させるものは全て、含量均一性のRSDを改善する(例えば、ビタミンプレミックスから大きなビタミン粒子を選別して除く、ビタミンプレミックスの効力を低下させる、錠剤あたりのビタミン定量値(assay)を増加させる(例えば400IUから800IU))。
【0019】
ビタミンをラクトース、マルトデキストリン等のような担体と湿式又は乾燥粒状化し、次いで顆粒を粉砕する場合、ビタミン粒子の数を増加させ、理論的な含量均一性のRSDを改善することができる。プレミックス1グラムあたりに、より多くの粒子が存在するように、ビタミンプレミックスを粉砕する場合、含量均一性のRSDが低下し得ることも見出されている。更に、低強度(IU/グラム)のビタミンプレミックスでは、グラムあたりの粒子数が増加し、含量均一性のRSDが低下する。
【0020】
理論計算により、混合プロセスが完璧であり、その上粉末が混合された後の分離がないことが推測される。ビタミンプレミックスが混合を阻害する静電気を有することが見出されている。二酸化ケイ素を添加することにより、静電気を低減し、完全な混合を促進する。更に、第2構成成分とビタミンプレミックス粉末の粒径分布(PSD)を一致させることにより、粉末ブレンドの分離の可能性を最低限に抑えることができる。
【0021】
ビタミンD3は任意のビタミンD3源であってもよいが、本明細書の実施例で用いられるとき、100IU/mg又は50IU/mgの効力を有するビーズレット(beadlet)としてBASFにより供給されている。炭酸カルシウム/ビタミンDの小規模製造のための標準的プロセス(試行1)を、図1のフローチャートに示す。21.1gのビタミンD及び1.0kgの炭酸カルシウムを混合し、US20メッシュを通して篩い分けする。得られる混合物を16クオートのVブレンダーに導入し、2分間ブレンドする。次いで、ブレンドした混合物を4等分し、各部を2.0kgの炭酸カルシウムと混合する。それらの部を組み合わせ、Vブレンダーに導入する。ブレンド時間を変動させ、結果を本明細書に報告する。5種のブレンド時間:15、20、25及び30分間で錠剤の均一性を評価する。得られたブレンドを圧縮及びコーティングすることにより錠剤を製造する。
【0022】
本明細書の薬剤剤形の第2構成成分は、ビタミンD3の粒径に対する粒径比が少なくとも1.4、好ましくは少なくとも1.5である、栄養成分及び/又は薬剤活性成分であってもよい。このような構成成分としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はクエン酸マレイン酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
炭酸カルシウム、リン酸カルシウム及びクエン酸マレイン酸カルシウムが挙げられるがこれらに限定されない第2構成成分顆粒、並びにビタミンDについて、粒径分析を実施する。100gのサンプルをロータップ(ro-tap)装置で試験する。材料を、40、70、80、100、120、140及び200USメッシュ篩いを通して、篩い分けする。データを表形式で以下に提供し、図2にグラフで提供する。粒径分布の測定値は、粉末サンプルの平均粒径である。粒径分布の別の好ましい測定値は、D50と表記される中央粒径である。粒径分布の別の好ましい測定値は、粒径分布の最小16%(D16)及び20%(D20)の寸法である。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
炭酸カルシウムのD50(306マイクロメートル)とビタミンDのD50(199マイクロメートル)との比は、1.54である。ブレンド均一性研究を、ビタミンDの20%過剰供給及び15、20、25及び30分間のブレンド時間で製造した錠剤で実施した。
【0027】
【表3】

【0028】
【表4】

*結果を検証するために実施した重複分析
【0029】
【表5】

【0030】
【表6】

【0031】
この標準的手順に従うと、ビタミンDの回収率が低下する場合があり、ビタミンDが、製造で用いられ得るプラスチック袋のようなプラスチック材料に対する親和性を有するとき変動性が高い場合がある。改良した製造プロセス(試行2)を用いて、回収率及びビタミンD/炭酸カルシウム錠剤の含量均一性を改善する。炭酸カルシウム/ビタミンD錠剤の小規模製造のための改良したプロセスを、図3のフローチャートに示す。改良したプロセスでは、ビタミンD(25.1g)及び二酸化ケイ素(8.8g)のプレミックスを製造し、これを1.0kgの炭酸カルシウム顆粒に添加した。ビタミンD錠剤の製造プロセスで接触する表面と、ビタミンDとの静電相互作用を最低限に抑える又はなくすために、二酸化ケイ素を添加する。次いで、混合物を混合し、USメッシュを通して篩い分けする。得られた混合物を、15リットル(16クオート)のVブレンダーに導入し、2分間ブレンドする。ブレンドした混合物を、次いで4等分し、各部を2.0kgの炭酸カルシウムと混合する。その部分を組み合わせ、Vブレンダーに導入する。ブレンド時間を変更し、結果を本明細書に報告する。20%過剰供給のビタミンD及び同じブレンド時間:15、20、25及び30分間で錠剤の均一性を評価する。得られたブレンドを圧縮及びコーティングすることにより錠剤を製造する。
【0032】
良好な含量均一性を実現するために、D50値の一致は、好ましくは約±40%、より好ましくは約±25%、最も好ましくは約±15%である。例えば炭酸カルシウム等の構成成分の1種が、200マイクロメートルのD50を有する場合、ビタミンD成分は、120〜280マイクロメートル、より好ましくは150〜250マイクロメートル、最も好ましくは170〜230マイクロメートルのD50を有するべきである。
【0033】
炭酸カルシウムの粒径特性は、適切に粉砕及び篩い分けすることによりビタミンDの粒径特性に更に厳密に一致させるために改良される。粒径データを以下に提供し、炭酸カルシウム及びビタミンDについて図4でグラフ形式で提供する。
【0034】
【表7】

【0035】
【表8】

【0036】
改良したプロセスでは、ビタミンDの粒径分布により厳密に一致する粒径分布にするような方法で、炭酸カルシウム顆粒を粉砕及び篩い分けする。これは、図2(試行1)と図4(試行2)を比較するとき、見ることができる。炭酸カルシウム及びビタミンDの粒径特性は、改良したプロセスでは互いにより厳密に一致する。炭酸カルシウムのD50(254マイクロメートル)及びビタミンDとD50(193マイクロメートル)との比は、ここでは1.32である。
【0037】
改良したプロセスの回収率の改善は図5に見ることができ、これは試行1及び試行2の両方について、ラベルの主張(%)に対する回収率と15、20、25及び30分のブレンド時間をグラフで表したものである。結果は目標を下回り続けているが、標準的プロセスに見られるより一定であり、かつ目標に近づいている。
【0038】
同様の改善が含量均一性についても観察される。図6は、標準的プロセス(試行1)と比較した、15、20、25及び30分のブレンド時間について、ブレンド時間の関数として、改良したプロセス(試行2)で得た含量均一性での向上を示したものである。対応するデータを以下の表10に示す。
【0039】
【表9】

【0040】
炭酸カルシウム/ビタミンD錠剤の大規模製造方法は、炭酸カルシウムの層、ビタミンD/二酸化ケイ素の層、及び炭酸カルシウムの別の層を含むプレミックスを形成する工程と;第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を1.7立方メートル(60立法フィート)のVブレンダーで篩い分け及びブレンドして、第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;炭酸カルシウム顆粒の層、第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物の層、及び炭酸カルシウム顆粒の別の層が存在するように、炭酸カルシウム顆粒を前記プレミックスに添加して、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を、Vブレンダーで篩い分け及びブレンドする工程と;第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を含む組成物から錠剤を形成する工程と;により開発される。第1混合物の、炭酸カルシウム:ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比は約1600:20:7である。篩い分けの工程は、コミル(Comil)を通して篩い分けすることを含む。1.7立方メートル(60立法フィート)のVブレンダー内で第1混合物をブレンドする工程は、約8分間ブレンドすることを含む。炭酸カルシウム顆粒を第1混合物に添加する工程は、それぞれ約500kgの炭酸カルシウム顆粒の2つの層を添加することを含んでもよい。このプロセスのフローチャートを図7に示す。
【0041】
大規模方法は、炭酸カルシウム顆粒を粉砕及び篩い分けする工程を更に使用して、所望の粒径特徴を有する炭酸カルシウム及びビタミンD顆粒を生産する。炭酸カルシウムの粉砕及び篩い分けは、分布に小さな粒径の尾(tail)を残す。換言すれば、それは、より小さな粒径に向かって分布を広げる数種の微粉を生成する。これは、粒径の下端での、炭酸カルシウムの実際の粒径分布の観点で最もよく記載されている。
【0042】
表10のデータは、セグメントごとの粒径分布を報告する。本発明の試行例に対する比較試行例を強調する。それは、粉砕によりそのセグメントの粒径を低下させる場合、下端(例えば、D16及びD20)に見ることができる。よって例えば、比較試行例では20%の粒子が149マイクロメートル未満の粒径を有するが、一方本発明の試行ではD20は92〜106マイクロメートルである。好ましい炭酸カルシウム顆粒は、微粉の特徴的生成物を有するものである、又は、より小さな粒子を増加させる。好ましくは、炭酸カルシウムは、110マイクロメートル未満のD20値及び/又は95マイクロメートル未満のD16値を有する。
【0043】
【表10】

【0044】
得られたブレンドの含量均一性を評価し、結果を表11に示す。
【0045】
【表11】

【0046】
1)処方への二酸化ケイ素の添加と、2)ビタミンD顆粒及び炭酸カルシウム顆粒の粒子特性の一致との組み合わせにより、錠剤中のビタミンDの回収率及び含量均一性が改善すると推測される。コンポジットアッセイ及び投与量均一性が非限定的に挙げられる、全ての薬剤規格が満たさなければならない、ビタミンのような栄養製品として、薬剤製品と一緒にパッケージ化する際に、これは品質及び規制の両方の観点から重要である。
【0047】
以上、本発明及びその利点を詳細に述べたが、添付の特許請求の範囲によって規定される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換及び改良を行うことが可能であることは理解されなければならない。更に、本願の範囲は明細書に述べられるプロセス、機器、製造法、組成物、手段、方法、及び工程の特定の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば本発明の開示から直ちに認識されるように、既存の、又は将来開発されるであろう、本明細書中に述べた対応する実施形態と実質上同等の機能を行うか、又は実質上同等の結果を実現する、プロセス、機器、製造法、組成物、手段、方法、又は工程は、本発明に基づいて利用することが可能である。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内にこうしたプロセス、機器、製造法、組成物、手段、方法、又は工程を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンD顆粒及び二酸化ケイ素の混合物を含むプレミックスを形成する工程と;
炭酸カルシウム顆粒を前記プレミックスに添加して、第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;
前記第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を混合及び篩い分けする工程と;
前記第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物をVブレンダーでブレンドする工程と;
前記第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を4等分し、炭酸カルシウムを各部に添加して、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;
前記第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物をVブレンダーでブレンドする工程と;
前記第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を含む組成物から錠剤を形成する工程と;を特徴とする、炭酸カルシウム/ビタミンD錠剤の製造方法。
【請求項2】
ビタミンD及び二酸化ケイ素の前記プレミックスの、ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比が25:9である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合及び篩い分けする工程が、US20メッシュ篩を通して篩い分けすることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭酸カルシウム顆粒及び前記ビタミンD顆粒を粉砕及び篩い分けして、互いの±40%以内の中央粒径を有する炭酸カルシウム及びビタミンD顆粒を生産する工程を更に特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法により生産される、炭酸カルシウム及びビタミンDの薬剤錠剤。
【請求項6】
炭酸カルシウムの層、ビタミンD/二酸化ケイ素の層、及び炭酸カルシウムの別の層を含むプレミックスを形成する工程と;前記プレミックスを篩い分け及びブレンドして、第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;
炭酸カルシウム顆粒の層、前記第1顆粒混合物の層、及び炭酸カルシウムの別の層が存在するように、炭酸カルシウムを前記第1ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物に添加して、第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を形成する工程と;前記第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を篩い分け及びブレンドする工程と;
前記第2ビタミンD/炭酸カルシウム顆粒混合物を含む組成物から錠剤を形成する工程と;を含む、炭酸カルシウム/ビタミンD錠剤の製造方法。
【請求項7】
前記第1混合物の、炭酸カルシウム:ビタミンD:二酸化ケイ素の質量比が1600:20:7である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の方法により生産される、炭酸カルシウム及びビタミンDの薬剤錠剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−525052(P2010−525052A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504961(P2010−504961)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051612
【国際公開番号】WO2008/132682
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】