ビデオゲーム装置及び表示モード切替制御方法
【課題】2D表示と3D立体視表示との間の切替をスムースにして、プレイヤの眼への刺激乃至はプレイヤの脳に与える急激な立体感の有無変化に起因する刺激を抑制する。
【解決手段】本装置は、3D立体視が可能なモニタ11と、画像を写す仮想カメラ60L,60R位置等が一致した2D表示モードと2台の仮想カメラを所定の離間した位置関係とする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御部161dと、2台の仮想カメラで写された左右の画像データから3D立体視画像をモニタ11へ表示させる画像表示制御部161cと、表示モード指示部161jによって他方の表示モードが指示されると、2台の仮想カメラを一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理部161kとを備えた。
【解決手段】本装置は、3D立体視が可能なモニタ11と、画像を写す仮想カメラ60L,60R位置等が一致した2D表示モードと2台の仮想カメラを所定の離間した位置関係とする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御部161dと、2台の仮想カメラで写された左右の画像データから3D立体視画像をモニタ11へ表示させる画像表示制御部161cと、表示モード指示部161jによって他方の表示モードが指示されると、2台の仮想カメラを一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理部161kとを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム画像を2次元表示と3次元(立体視)表示とに選択的に切替えて画面に表示するビデオゲーム装置及び表示モード切替制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示画面上に、3D画像を表示する技術が種々提案されている。3D画像の表示方式としては、視差バリア方式が一般的であり、偏光材や液晶シャッターとめがねとを用いた、いわゆるめがね式や、非めがね式の一例としてのパララックスパノラマグラム方式やレンチキュラ方式等が特に周知である。更に、近年では、2D画像と3D画像とを切替可能にした表示技術が提案されている。すなわち、特許文献1には、視差バリア方式を実現する液晶パネルのモニタを有する携帯電話機が記載されている。この特許文献1には、2次元表示が選択された時には液晶パネルによるバリアを作用させず、一方、3次元表示が選択された時には液晶パネルによるバリアを作用させるようにし、かつ、この時、ネットワークを経て外部記録媒体から受信した画像データに基づいて生成された3次元画像である、左目用画像と右目用画像とをモニタ画面に導いて、3次元画像を表示するようにした携帯パソコンや携帯電話機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3973525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、Webサイトやメールから予め作成された3Dイメージデータのコンテンツであって、特殊な携帯電話機で受信される3D立体視用のイメージデータであることが必要である。また、既に作成済みの1枚の2D画像を3D立体視用画像データに変換する処理部を内蔵することも記載されているが、1枚の2D画像を3D立体視用に変換しても、疑似的な3D画像しか得られない。さらに、特許文献1では、外部から3Dイメージデータを取得したり、1枚の2D画像から擬似的な3D画像を形成したりするものが記載されているのみであり、2台のカメラ配置との関係については何等記載されていない。特に、2D表示と3D立体視表示との間の切替に伴う課題に関しては提起もなされていない。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、2台の仮想カメラ位置の関係を過渡的に変更することで2D表示と3D立体視表示との間の切替をスムースにして、プレイヤの眼への刺激、乃至はプレイヤの脳に与える急激な立体感の有無変化に起因する刺激を抑制するビデオゲーム装置及び表示モード切替制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で移動する仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像をプレイヤに提示するビデオゲーム装置において、表示画面に3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置された表示部と、前記仮想ゲーム空間内で画像を写す第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御手段と、前記第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データを第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶し、前記第1、第2の画像記憶部の画像データをライン毎に用いることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像を生成し、前記表示部に出力する画像表示制御手段と、前記2D表示モードと前記3D立体視表示モードとを選択的に指示する表示モード指示手段と、前記表示モード指示手段の指示に基づいて、第1、第2の仮想カメラ位置を一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項10記載の発明は、表示画面に3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置された表示部を備え、プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で移動する仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像を前記表示部に表示するビデオゲーム装置の表示モード切替制御方法において、前記仮想ゲーム空間内で画像を写す第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御ステップと、前記第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データを第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶し、前記第1、第2の画像記憶部の画像データをライン毎に用いることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像を生成し、前記表示部に出力する画像表示制御ステップと、前記2D表示モードと前記3D立体視表示モードとを選択的に指示する表示モード指示ステップと、前記表示モード指示ステップでの指示に基づいて、前記第1、第2の仮想カメラ位置を一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
これらの発明によれば、表示部の表示画面には3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置され、プレイヤはゲーム画像を3D立体視で見ることが可能となる。プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で仮想カメラが移動する。仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像は表示部に表示され、プレイヤに提供される。プレイヤはこのゲーム画像を見ながら操作部材を操作する。そして、仮想カメラ制御手段によって、プレイヤからの操作部材への操作に応じ、仮想ゲーム空間内で第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとが選択的に実行される。この結果、画像表示制御手段によって、第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データが第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶され、前記第1、第2の画像記憶部の画素データがライン毎に用いられることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像が生成され、前記表示部に出力される。
【0009】
表示モード指示手段によって、2D表示モードと3D立体視表示モードとが選択的に指示されると、表示モード切替処理手段によって、第1、第2の仮想カメラ位置が一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更されることになる。従って、この過渡的な変更に対応して、仮想カメラ制御手段及び画像表示制御手段によって、表示モードが一方から他方へ移りかわっていく。このように、表示モードの変更が過渡的に行われるので、プレイヤの脳に与える急激な立体感の有無変化に起因する刺激が抑制される。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のビデオゲーム装置において、仮想カメラ制御手段は、3D立体視表示モードの設定において前記第1、第2の仮想カメラを互いに交叉する所定の視線方向に設定することを特徴とする。この構成によれば、仮想ゲーム空間内の所定のオブジェクト乃至は所定の前方距離に対して立体感が付与されるので、より自然に近い3D立体視表示が提供される。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のビデオゲーム装置において、表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更に伴う第1、第2の仮想カメラの変位速度を、経時方向に変化させることを特徴とする。この構成によれば、表示モードを切り替える際に、第1、第2の仮想カメラの変位速度を経時方向に変化させることで、プレイヤの眼乃至脳への刺激を緩和する態様での変位速度の設定が可能となる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のビデオゲーム装置において、前記変位速度は、初期が後期に比して高速であることを特徴とする。この構成によれば、後半の変位速度が緩やかになり、特に最終的に3D立体視表示モードに切り替わるような場合、刺激が緩和される。なお、この構成は、変位速度が漸減する態様を含む。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項3に記載のビデオゲーム装置において、前記変位速度は、初期が後期に比して低速であることを特徴とする。この構成によれば、切り替わり開始辺りの変位速度が緩やかであるので、特に最終的に2D表示モードに切り替わるような場合、刺激が緩和される。なお、この構成は、変位速度が漸増する態様を含む。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項3に記載のビデオゲーム装置において、前記変位速度は、中期が初期及び後期に比して低速であることを特徴とする。この構成によれば、中間域で眼が変位に慣れるようにしたので、刺激が緩和される。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項3に記載のビデオゲーム装置において、前記変位速度の変化状況は、前記2D表示モードから前記3D立体視表示モードへの表示モードの変更と、その逆における変更とで、異なることを特徴とすることを特徴とする。この構成によれば、切り替え方向のそれぞれついて適切な変位速度が設定可能となる。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のビデオゲーム装置において、表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更中、前記第1、第2の仮想カメラの視線方向を互いに平行に設定していることを特徴とする。この構成によれば、奥行き方向全般について、略均一の立体感が付与される。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のビデオゲーム装置において、表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更中、前記第1、第2の仮想カメラの視線方向を前記仮想ゲーム空間内の所定位置を指向させていることを特徴とする。この構成によれば、仮想ゲーム空間内の所定のオブジェクト乃至は所定位置を中心にして立体視画面が形成されるので、注視対象が存在し、その分刺激が緩和される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2D表示と3D立体視表示との間の切替をスムースにして、プレイヤの眼への刺激、乃至はプレイヤの脳に与える急激な立体感の有無変化(形成、及び消滅)に起因する刺激を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るゲームシステムの一実施形態を示す構成図である。
【図2】ゲーム端末の一実施形態の外観を示す斜視図である。
【図3】ゲーム端末の一実施形態を示すハードウェア構成図である。
【図4】ゲーム端末の制御部の機能構成図である。
【図5】サーバの一実施形態を示すハードウェア構成図である。
【図6】サーバの制御部の機能構成図である。
【図7】仮想カメラ60の移動及び自己キャラクタの移動を説明するための図である。
【図8】構え(攻撃態勢)を取った状態を説明するための図である。
【図9】ゲーム画像の3D立体視表示モードの原理を説明する図で、図9(a)は2台の仮想カメラと被写体との関係を示す模擬図であり、図9(b)は2台の仮想カメラで撮影された画像とモニタ画像との関係を示す模擬図である。
【図10】ゲーム画像を3D立体視表示モードで表示するための構成図である。
【図11】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図12】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図13】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図14】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図15】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図16】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図17】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図18】2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更を説明する図で、図(a)は2台の仮想カメラの位置関係、すなわち離間距離の関係を示し、図(b)はプレイヤに与える立体感の大きさの違いを示し、図(c)は、立体感の大きさの違いのイメージ図である。
【図19】2台の仮想カメラの位置関係の変化の他の実施形態を示す図である。
【図20】2台の仮想カメラの位置関係の変化の他の実施形態を示す図である。
【図21】2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更における変更速度の一態様を説明する図である。
【図22】2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更における変更速度の他の態様を説明する図である。
【図23】2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更における変更速度の他の態様を説明する図である。
【図24】ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行されるゲーム処理の手順を説明するフローチャートである。
【図25】ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行される、ゲーム開始からゲーム終了までの2D表示モードと3D立体視表示モードとの間での切り替え処理の割込の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明に係るビデオゲーム装置が適用される対戦ゲームシステムの一実施形態を示す構成図である。対戦ゲームシステムは、それぞれ識別情報が対応付けされたクライアント端末装置(ゲーム端末)1と、複数の(ここでは8台の)ゲーム端末1と通信可能に接続され、これらの間の中継・接続及び各ゲーム端末1とネットワーク(インターネット)を介して他の店舗のゲーム端末1との間での接続を行う通信機器であるルーター2と、各ルーター2を介して通信可能に接続され、複数のプレイヤがゲーム端末1を用いて行うためのプレイヤ認証、プレイヤ選択及びゲーム履歴に関する情報を管理するサーバ3とを備えている。
【0021】
ゲーム端末1は、プレイヤがモニタに表示されるゲーム画面に基づいて所定の操作を行うことによって、ゲームを進行するものである。なお、ゲーム端末1に対応付けされる識別情報は、ゲーム端末1が接続されているルーター2毎の識別情報(又はゲーム端末1が配設されている店舗の識別情報)とゲーム端末1が配設されている店舗内でのゲーム端末1毎の識別情報(端末番号という)とを含んでいる。例えば、店舗Aの識別情報がAであって、店舗A内でのゲーム端末1の識別情報が4である場合には、当該ゲーム端末1の識別情報はA4である。
【0022】
ルーター2は、それぞれ複数のゲーム端末1及びサーバ3と通信可能に接続され、ゲーム端末1とサーバ3との間でデータの送受信を行うものである。
【0023】
サーバ3は、各ルーター2と通信可能に接続され、プレイヤ個人を特定するためのユーザIDに対応付けて前記プレイヤ情報を格納すると共に、ルーター2を介してゲーム端末1とデータの送受信を行うことによってプレイヤと同一ゲーム空間上でゲームを行うプレイヤ(対戦者という)を選択するものである。
【0024】
図2は、ゲーム端末1の一実施形態の外観を示す斜視図である。なお、ゲーム端末1を用いて行われる対戦ゲームとして、本実施形態では対戦ゲームのうち、射撃ゲームを想定している。射撃ゲームは、1人対1人の対戦モードやグループ対戦モードが設定されている。グループ対戦モードは、所定人数、例えば4名ずつの敵、味方プレイヤが対戦するものである。対戦モード、グループ対戦モードでは、後述するネットワーク通信部18、ルーター2を介してお互いの操作データの送受信が行われる。
【0025】
ゲーム端末1は、モニタ部10と、モニタ部10の前面に設置されるコントローラ部20とを有し、両者間にマット部材1Aが備えられている。モニタ部10は、ゲーム画像を表示する液晶やプラズマディスプレイ等からなるモニタ11、個人カードの内容を読み取るカードリーダ13、ゲーム料金を投入するコイン受付部14、及び後述する表示モード指定用の操作部材、例えば押込式のボタン15を備える。個人カードは、プレイヤの識別情報がユーザIDとして記録された磁気カードやICカードである。また、図2には示していないが、攻撃時(射撃等)の効果音等を発生させるスピーカ12が配置されている。
【0026】
コントローラ部20は、本実施形態では椅子型の着座部21を備えている。着座部21は左右に肘掛け部22,23を有する。右肘掛け部22及び左肘掛け部23の先端部には、人手で把持し得る程度の大きさを有する第1の操作部材30、第2の操作部材40が置かれている。詳細には、右肘掛け部22の先端上面は平面形状に形成されており、この上に第1の操作部材30が置かれている。左肘掛け部23の先端上面には、第2の操作部材40が置かれている。
【0027】
第1の操作部材30は、内部底面側に光学式マウス31を備え、さらに、外部上面に押し込み式スイッチであるトリガボタン32が、側面上段側に押し込みスイッチである姿勢変更ボタン33が、その下段にジョグダイアル34が設けられている。光学式マウス31は、公知の構造を有し、スライド量検出部として機能するものである。より詳細には、第1の操作部材30は、その底板の一部に形成された透光部を介して外部を写す照射光を投光する投光器と、さらに外部からの反射光を受光して撮像する撮像素子とを内蔵している。撮像素子で撮像された外部の画像の変化を検出することで、第1の操作部材30の移動量を求めるものである。撮像画像の変化を検出可能とするために、右肘掛け部22の先端上面は、所定の粗さに形成されている。第1の操作部材30を右肘掛け部22の上面でスライド操作することで、前後左右方向のスライド量が計測可能にされている。
【0028】
トリガボタン32は、可動部321を本体側に押し込むことで、内部の図略の可動する金属切片が他方の固定金属切片と接する等して電気信号を生成して、押し込み操作を検出するものである。押し込み操作は、モニタ11の画面に表示されている自己キャラクタに対して射撃動作を指示するものである。
【0029】
姿勢変更ボタン33は、水平面上で揺動可能な構造を有し、一端側が外方に付勢されている。この一端側を付勢力に抗して押し込む毎にしゃがむ姿勢が実行される。ジョグダイアル34は、仮想カメラ60の旋回速度を設定するもので、ダイヤルの回転量に応じた速度で仮想カメラが旋回する。
【0030】
第2の操作部材40は、自己キャラクタの移動を指示するためのジョイスティック41を備え、さらに、外部前側にはいずれも押し込み式スイッチである構えボタン42,アイテムボタン43,アクションボタン44が配設されている。各ボタン42,43,44はトリガボタン32と同一構造をしているものである。ジョイスティック41は、公知の構造を有し、水平面上で所望する方向に傾倒可能な操作桿を有し、操作桿の傾倒方向及び傾倒角度に応じた信号を出力するものである。傾倒方向及び傾倒角度に応じた信号はモニタ11の画面に表示される自己キャラクタの仮想ゲーム画面内における移動を指示するものである。傾倒角度は移動速度を指示し、傾倒方向は移動方向を示す。移動方向は、360度でもよいが、信号処理上、前後左右を含む所定方向に設定されている。例えば8方向である。なお、移動速度は傾倒角度に関わりなく停止と移動のみの切り替えとして移動速度を一定とする態様としてもよく、あるいは移動速度を所定段階、例えば2段階に設定する態様としてもよい。
【0031】
構えボタン42は、攻撃準備指示部材として機能するもので、押し込み操作によって、自己キャラクタが所持する武器に本来の働きを行わせるための準備動作を指示するものである。アイテムボタン43は、アイテムを変更するためのボタンで、押し込み操作によって予め設定されている複数種類のアイテム(ここでは武器)をサイクリックに変更設定するものである。武器としては、ゲームに対応したものが準備されており、ここでは、仮想銃としてのライフル銃やハンドガン、その他にナイフや手榴弾等がある。武器が指定されると、モニタ11の画面上の自己キャラクタの手に武器画像が仮想的に所持される。アクションボタン44は、アクションを指示する部材として機能するもので、例えば接近戦で格闘技を出すものである。
【0032】
ゲーム端末1の適所には、検出信号や、各部への制御信号を出力するマイクロコンピュータなどで構成される制御部16(図3参照)が配設されている。
【0033】
図3は、ゲーム端末1の一実施形態を示すハードウェア構成図である。制御部16はゲーム端末1の全体の動作を制御するもので、ゲームの進行全般に関する処理、画像表示処理の他、種々の情報処理を行う情報処理部(CPU)161と、処理途中の情報等を一時的に格納するRAM162と、所定の画像情報及びゲームプログラム等が予め記憶されたROM163とを備える。
【0034】
外部入出力制御部171は、制御部16とカードリーダ13及びコイン受付部14を含む検出部の間で、検出信号を処理用のディジタル信号に変換し、また指令情報を検出部の各機器に対して制御信号に変換して出力するもので、かかる信号処理と入出力処理とを例えば時分割的に行うものである。また、外部入出力制御部171は、ボタン15、第1、第2の操作部材30,40に対する各操作に応じた指令情報を制御部16に出力するものである。外部機器制御部172は、それぞれの時分割期間内に検出部の各機器への制御信号の出力動作と、検出部の各機器からの検出信号の入力動作とを行うものである。
【0035】
描画処理部111は制御部16からの画像表示指示に従って所要の画像をモニタ11に表示させるもので、ビデオRAM等を備える。音声再生部121は制御部16からの指示に従って所定のメッセージやBGM等をスピーカ12に出力するものである。
【0036】
ROM163には、所定数(例えば4名ずつ)の味方、敵キャラクタの画像、アイテム(武器)画像、背景画像、各種画面の画像等が記憶されている。各画像は3次元描画が可能なように、それを構成する所要数のポリゴンで構成されており、描画処理部111はCPU161からの描画指示に基づいて、3次元空間(仮想ゲーム空間)でのワールド座標系から仮想カメラを基準としたローカル座標系へ、さらに擬似3次元空間上での位置への変換のための計算、光源計算処理等を行うと共に、上記計算結果に基づいてビデオRAMに対して描画すべき画像データの書き込み処理、例えば、ポリゴンで指定されるビデオRAMのエリアに対するテクスチャデータの書き込み(貼り付け)処理を行う。背景としては、射撃ゲームが演出できるような、例えば廃工場跡とか、屋外(市街地や森林内等)が各種オブジェクトで形成されている。
【0037】
ここで、CPU161の動作と描画処理部111の動作との関係を説明する。CPU161は、内蔵のあるいは外部からモニタ11への画像情報の出力とその表示を行う画像表処理部との装着脱式としてのROM163に記録されているオペレーティングシステム(OS)に基づいて、ROM163から画像、音声及び制御プログラムデータ、ゲームルールに基づくゲームプログラムデータを読み出す。読み出された画像、音声及び制御プログラムデータ等の一部若しくは全部は、RAM162上に保持される。以降、CPU161は、RAM162上に記憶されている制御プログラム、各種データ(表示物体のポリゴンやテクスチャ等その他の文字画像を含む画像データ、音声データ)、並びに検出部からの検出信号等に基づいて、処理が進行される。
【0038】
ROM163に記憶された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に記憶され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
【0039】
ネットワーク通信部18は、射撃ゲームの実行中に発生するプレイヤの操作情報等をルーター2を介して、さらにはネットワークを介して味方プレイヤや敵のプレイヤが操作しているゲーム端末1と送受信するためのものである。さらに、ネットワーク通信部18は、プレイヤ受け付け処理時の情報、ゲーム終了時点でのゲーム成績情報をルーター2等を介してサーバ3との間で送受信するためのものである。
【0040】
図4は、ゲーム端末1の制御部16の機能構成図である。制御部16のCPU161は、RAM162上に保持されたゲームプログラム、制御プログラムを実行することによって、プレイヤからのゲームへの参加を受け付ける受付処理部161aと、ゲームの開始から終了までの一連の進行を制御して射撃ゲームを進行させるゲーム進行制御部161bと、モニタ11に受付画像やゲーム画像等を表示する画像表示制御部161cとして機能する。また、CPU161は、RAM162上に保持されたゲームプログラム、制御プログラムを実行することによって、仮想ゲーム空間に配置される仮想カメラ60の位置及び視線方向を制御する仮想カメラ制御部161d、自己キャラクタの仮想ゲーム空間内での移動動作を処理するキャラクタ移動処理部161eと、自己キャラクタが仮想的に所持する武器を用いて行う攻撃動作の処理する攻撃処理部161fと、攻撃動作に先立って行われる攻撃準備としての構え動作を行う構え処理部161gと、構え動作の実行と共に行われる攻撃方向を示す照準を表示する照準表示部161hと、自己キャラクタの敵キャラクタへの攻撃が成功したとき、例えば銃による射撃において命中したとき所定のポイントの付与を行うポイント処理部161iと、後述するように2D(次元)表示モードと3D(次元)立体視表示モードとの切り替えを指示する表示モード指示部161jと、2D表示モードと3D立体視表示モードとの間でのモード変更における、後述する2台の仮想カメラの位置関係の変更制御を行う表示モード切替処理部161kと、各種情報の通信制御を行う通信制御部161mとして機能する。
【0041】
受付処理部161aは、個人カードがゲーム端末1のカードリーダ13に差し込まれることで受け付けを行い、個人カードからユーザIDを読み取り、読み取ったユーザIDをサーバ装置3に送信するものである。対戦モードが複数ある態様では、例えばジョイスティック41や他の所定のボタン乃至はスイッチを押し込むことで設定可能にされている。
【0042】
仮想カメラ制御部161dは、光学式マウス31が操作された場合に、操作内容に応じて仮想カメラ60の視点及び視線方向を調整するものである。仮想カメラ制御部161dは、自己キャラクタと相対的な位置関係を有して仮想カメラ60の位置を設定するものである。なお、本発明においては、3D立体視表示を実現するべく仮想カメラは仮想カメラ60L,60Rの2台が設けられているが、詳細は後述する。また、光学式マウス31による仮想カメラ60の移動は、図7の説明において行う。
【0043】
キャラクタ移動処理部161eは、ジョイスティック41が操作された場合に、操作内容に応じて自己キャラクタの移動方向及び移動速度を調整するものである。仮想カメラ制御部161dは、自己キャラクタが移動する場合、相対位置関係を維持するべく、自己キャラクタの移動と平行移動するように制御する。これによって、自己キャラクタを中心としたゲーム画像の表示が維持される。仮想カメラ制御部161d及びキャラクタ移動処理部161eの処理内容は画像表示制御部161cによってモニタ11に表示される画像に反映される。
【0044】
図7は、仮想カメラ60の移動及び自己キャラクタの移動を説明するための図である。図7において、光学式マウス31が前後(上下)方向の所定距離だけスライドされると、このスライド量が計測され、計測されたスライド量に相当する角度だけ、仮想カメラ60が旋回させられる。光学式マウス31が前側に移動された場合、カメラは、仮に現在「A」位置にあるとすると、「B」位置側にスライド量に対応した角度だけ旋回する。逆に、光学式マウス31が後ろ側に移動された場合、カメラは「A」位置から、「C」位置側にスライド量に対応した角度だけ旋回する。また、光学式マウス31が左右側に移動された場合、カメラは仮に現在「A」位置にあるとすると、水平面上の左右方向にスライド量に対応した角度だけ旋回する。仮想カメラ制御部161dは、入力されたスライド方向及びスライド量に対応して仮想カメラ60を移動させ、この結果、画像表示制御部161cは、仮想カメラ60の視線方向の所定の画角内に写る画像をモニタ11に表示する。従って、ゲーム画像は、同一の仮想ゲーム空間で行うグループ射撃ゲームであっても、各プレイヤの操作するゲーム端末1のモニタ11には各プレイヤ中心のゲーム画像が表示される。
【0045】
さらに、ジョイスティック41の操作桿が前後左右方向の所定角度だけ傾倒されると、この傾倒方向及び傾倒角度に対応する電気信号がキャラクタ移動処理部161eに出力される。キャラクタ移動処理部161eは電気信号から、傾倒方向に、傾倒角度に応じた速度で自己キャラクタを移動させる。移動方向は、現に自己キャラクタが向いている方向を基準として、前後左右が設定される。図7は、前方向に移動させるものである。自己キャラクタを所望する方向に移動させることで、敵キャラクタに近づいたり、退避したりすることで、ゲームを有利に進めることが可能となる。また、自己キャラクタの移動中に、光学式マウス31を操作することで、自己キャラクタの周囲を確認しながら、的確な移動が可能となる。
【0046】
攻撃処理部161fは、トリガボタン32の操作を受け付けて、自己キャラクタに対して、所持する武器で敵キャラクタに攻撃を行わせるものである。構え処理部161gは、構えボタン42が押されたとき、自己キャラクタの向きを仮想カメラ60の視線方向に向けるものである。具体的には、自己キャラクタが所持する武器、例えば銃の銃口の向きを仮想カメラ60の視線方向に一致乃至は平行にするものである。ところで、仮想カメラ60の視点については、自己キャラクタの一部(例えば上半身部分)の斜め後方位置に設定する三人称視点位置(TPS:Third person shooter)表示モードと、自己キャラクタの顔位置、あるいは武器位置に設定される一人称視点位置(FPS:First person shooter)表示モードとがある。仮想カメラ60は、構えボタン42が押されたとき、三人称位視点位置表示モードで位置が制御され、仮想カメラ制御部161dは、仮想カメラ60の視線方向を自己キャラクタに略一致(肩越し位置に)させており、従って、モニタ11の中心は自己キャラクタの肩越し位置となる(例えば図15参照)。
【0047】
図8は、構え(攻撃態勢)を取った状態を説明するための図である。図8では、仮想カメラ60がほぼ前方に向けてあり、この状態で、構えボタン42が押し込まれると、自己キャラクタの向きには関係なく、仮想銃の銃口の向きが仮想カメラ60の視線方向である前方に向けられる。図8の左側には、銃オブジェクトを構えたときの画面図A,Bが記載されている。画面図A,Bは、ここでは一人称視点位置表示モードで表示している。画面図Aのように、画面中央には銃口の向きを示す照準11aが表示されている。照準表示部161hは、構え処理部161gの動作に連動して照準11aを表示するものである。画面図Aでは、照準11aと敵キャラクタ110との位置とは一致しておらず、この状態でトリガボタン32を押し込んでも、敵キャラクタ110には命中しない。そこで、画面図Bのように、すなわち、画面図Aに対して光学式マウス31を左方向に所与量だけスライドすることで、照準11aを敵キャラクタ110に重ねるようにすることができる。具体的には、敵キャラクタ110がモニタ11の画面中心に移動する(照準11aに対して)ように相対的に移動して両者が重なる。従って、この状態で、トリガボタン32が押し込まれると、敵キャラクタ110に命中することとなる。
【0048】
攻撃処理部161fは、銃口から発射された銃弾の弾道計算を行い、計算結果に従って弾道を表示するようにしてもよいし、あるいは、本実施形態にように、十字状の照準11aの中心に対して所定の径を有する円形内(所定領域)を仮想的に銃弾が通過するようにしてもよい。このようにすると、この所定領域内に敵キャラクタ110の一部が重畳していると、命中ということになる。なお、銃弾は必ずしも十字状の照準11aの中心に進むとは限らず、例えば機関銃等での銃口が不規則にぶれる処理を行ったり、あるいは自己キャラクタの移動中における射撃の方向がぶれる処理を行ったりしてもよい。
【0049】
ポイント処理部161iは、敵キャラクタへの攻撃が成功した場合に、例えば狙撃の命中毎に所定のポイントを蓄積するようにしている。ゲーム終了時点で、味方、敵側毎にポイントの総和を求め、その大小で勝敗を決定するようにしてもよい。なお、被弾した場合、演出として所定時間だけ倒れる動作を行わせ、その間、移動や攻撃の指示が禁止されるようにしてもよい。また、ポイント処理部161iによってゲーム開始時に所定のライフ値が付与され、被弾する毎に、このライフ値が所定値ずつ減少し、ライフが値0になった時点で、ゲームへの復帰が禁止される、すなわち当該プレイヤのみ強制的にゲーム終了としてもよい。
【0050】
表示モード指示部161jは、プレイヤによるボタン15への操作に応じて、乃至はゲーム進行が予め設定されている所定の状況に達した場合、あるいは元に戻った場合に、かかる状況を判断して、自動的に2D表示モードと3D立体視表示モードとの間で表示方法の切り替えを指示するものである。2D表示モードとは、3次元画像をそのままの方法で表示するもので、3D立体視表示モードとは、3次元画像を左右の眼で見たときの視差のある左右の画像を対応する側の眼にのみ導くようにして立体感を付与するようにしたものである。
【0051】
図9は、ゲーム画像の3D立体視表示モードの原理を説明する図で、図9(a)は2台の仮想カメラと被写体との関係を示す模擬図であり、図9(b)は2台の仮想カメラで撮影された画像とモニタ画像との関係を示す模擬図である。図10は、ゲーム画像を3D立体視表示モードで表示するための構成図である。
【0052】
仮想ゲーム空間には、左目用に相当する仮想カメラ60Lと右目用に相当する仮想カメラ60Rの2台が準備されている。両仮想カメラ60L,60Rは所定の位置関係を有しており、視線方向は奥行き方向の所定位置、代表的には、仮想ゲーム空間内の被写体としての、キャラクタやオブジェクトの位置で交叉している。画像記憶部162Lは、RAM162内の一部のメモリ領域を示しており、仮想カメラ60Lで撮影された仮想ゲーム空間内の1シーンの画像データが書き込まれる。画像記憶部162Rは、RAM162内の一部のメモリ領域を示しており、仮想カメラ60Rで撮影された仮想ゲーム空間内の1シーンの画像データが書き込まれる。図9(a)に示すオブジェクトOB1、OB2はシーン内に含まれている被写体の画像である。仮想カメラ60L,60Rは、ここではオブジェクトOB1の方に視線が設定されている。なお、説明の便宜上、仮想カメラ60Lで撮影された画像は縦線で表現され、仮想カメラ60Rで撮影された画像は横線で表現されている。
【0053】
画像記憶部162L,162Rの各画像は、合成されて、モニタ11で表示されている。後述するように、モニタ11の画面上には、シート体の視差バリア部材71(例えば、商品名Xpol(登録商標)、株式会社有沢製作所製)が貼付されている。視差バリア部材71は、微細偏光素子を規則正しく配列して形成したもので、縦方向に所定間隔(水平走査1本のライン幅に相当)毎に交互に、縦方向スリットが形成された縦偏光域と横方向スリットが形成された横偏光域とを有する。この結果、モニタ11からの画像光のうち、縦偏光域では縦偏光のみの光が通過し、横偏光域では横偏光のみの光が通過する(図9(b)参照)。めがね72は、左右側で縦偏光、横偏光のための微細偏光素子(偏光材)が貼付されており、左目側が縦偏光光のみを通過させ、右目側が横偏光光のみを通過させる。従って、モニタ11からの偏光された光の画像をめがね72を掛けて(使用して)、見ることで、左右の目に視差画像が提供され、3D立体視表示された画像を見ることが可能(立体感を得ること)となる。
【0054】
より詳細には、図10において、仮想カメラ60L,60Rは、所定周期、例えば1/60(秒)毎に撮影動作を繰り返し、各タイミングで撮影された画像は画像記憶部162L,162Rに一時的に書き込まれる。画像記憶部162L,162Rの記憶容量を縦方向n行、横方向m列とし、ビデオRAM162Cの記憶容量を縦方向2n行、横方向m列とする。
【0055】
画像表示制御部161cのR/Wアドレス制御部161c−1は、画像記憶部162Lの各行の画像データを順次読み出して、ビデオRAM162Cの奇数行(ライン)に順番に書き込む。1ラインの書込が終了する毎に、続いて、R/Wアドレス制御部161c−1は、画像記憶部162Rの各行の画像データを順次読み出して、ビデオRAM162Cの偶数行(ライン)に順番に書き込む。R/Wアドレス制御部161c−1は、そのための読出アドレス、書込アドレスの作成、及びチップセレクト信号を生成する。かかる一連の書込処理によって、ビデオRAM162Cに左右両目用の画像データが作成されたことになる。
【0056】
ビデオRAM162Cの画像データは所定の高速で繰り返しモニタ11に読み出される。モニタ11のピクセル数(画素数)は、ビデオRAM162Cに対応した2n×mである。視差バリア部材71は、図10にイメージ(縦線、横線が交互に付されている)で示しているように、縦方向のピクセル1行毎に、前述した縦偏光、横偏光のための微細偏光素子が交互に配列されている。
【0057】
なお、仮想カメラ60L,60Rで写される画像を記憶する画像記憶部162L,162Rの記憶容量を縦方向2n行にして、モニタ11の縦方向のピクセル数に対応させることで、3D立体視表示において2D表示の場合と同様の解像度を維持するようにしてもよい。また、画像記憶部162L,162Rの記憶内容をビデオRAM162Cへ読み出すのと同様にして、すなわち同期させて直接モニタ11へ出力するようにしてもよい。このようにすることで、ビデオRAM162Cを用いない態様が可能となる。
【0058】
上記の説明は、仮想カメラ60L,60Rが所定の位置関係を有した、互いに異なる位置に設定されている場合である。続いて、2D表示モードについて説明する。
【0059】
表示モード指示部161jから3D立体視表示モードを2D表示モードへ切り替える指示信号が出力されると、仮想カメラ制御部161dは、仮想カメラ60L,60Rの位置を一致させ、かつ視線方向も一致するように、仮想カメラ60L,60Rの位置制御を行う。この結果、仮想カメラ60L,60Rには、同一の画像が撮影されることになり、画像記憶部161L,162Rの画像データも同一となる。この結果、ビデオRAM162Cには、3D立体視表示の場合と同様な処理で画像データが各行に埋められることとなる。すなわち、左目用の画像と右目用の画像に視差が発生しなくなるため、めがね72を掛けたプレイヤに立体感を与えることができず、その結果、3次元画像を2D表示モードで表示するという、通常の表示態様となる。なお、表示モード指示部161jから2D表示モードを3D立体視表示モードへ切り替える指示信号が出力される場合には、逆に仮想カメラ60L,60Rの位置が離間した所定の位置関係に設定される結果、左右両目の間に視差が発生して立体視表示可能な画像となる。このようにすることで、仮想カメラ60L,60Rの配置位置を変更する処理のみで、2D表示モードと3D立体視表示モードとの切り替えが可能となる。かかる表示モードの変更のための制御プログラムは、ROM163に予め格納されている。
【0060】
仮想カメラ制御部161dは、3D立体視表示モードでの仮想カメラ60L,60Rの位置関係について、以下のようにして位置設定を行っている。すなわち仮想カメラが1台と仮定した時に制御される位置情報を基準位置(中心位置)とし、その左右側に所定距離だけ離間した位置に左右側に対応する仮想カメラを配置するようにしている。仮想カメラ60L,60Rの離間距離は人間の両目の間の距離に相当するものとするのが自然であり、好ましい。なお、この場合において、仮想カメラ60L,60Rのいずれか一方の位置を基準として位置処理してもよい。
【0061】
図4に戻って、制御部16のRAM162は、同じ仮想ゲーム空間での射撃ゲーム中のゲーム途中経過情報が、逐次プレイヤ毎に、すなわち自己及びネットワーク通信部18を介して得られる味方、敵側の全プレイヤについて更新的に記憶される途中経過情報記憶部162aと、各種スイッチ、ボタンで設定された設定情報及びポイント情報を記憶する設定情報記憶部162bとを備える。ゲームが終了する毎に、通信制御部161mは、ポイント情報をプレイヤのユーザID、ゲーム端末1及び店舗の各識別情報と共にサーバ装置3に送信する。
【0062】
図5は、サーバ装置3の一実施形態を示すハードウェア構成図である。制御部36はサーバ装置3の全体の動作を制御するもので、情報処理部(CPU)361と、プレイヤの個人情報、各プレイヤのゲームに関する情報等を一時的に格納するRAM362と、管理用の所定の画像情報、管理用のプログラムが予め記憶されたROM363とを備える。
【0063】
ROM363に記憶された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に記憶され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
【0064】
ネットワーク通信部38は、各種データをWWW等からなるネットワークを介して複数のルーター2のいずれかを経て端末識別情報に従って対応するゲーム端末1との間で情報の送受信を行うものである。
【0065】
なお、管理プログラムは、ROM363上に記録されており、RAM362上にロードされ、CPU361によりRAM362上のゲーム進行プログラムが順次実行されることによってそれぞれの機能が実現される。
【0066】
図6は、サーバ装置3の制御部36の機能構成図である。RAM362は、ユーザID等の個人情報を格納するプレイヤ情報記憶部362aと、プレイヤ毎のゲーム成績を含むゲーム履歴を更新的に記憶する履歴記憶部362bとを備えている。
【0067】
制御部36のCPU361は、プレイヤ情報記憶部362a及び履歴記憶部362bへの各情報の記録を行う記憶制御部361aと、各ゲーム端末1でのプレイヤのゲーム参加受付に応答して一連の受付管理処理を実行する受付部361bと、受付部361bによって受け付けられたプレイヤの中から、同一仮想ゲーム空間内でプレイする所定数(例えば味方、敵側の各4名ずつ)のプレイヤの組合せを、後述するルールに則って選定する選定部361cと、各ゲーム端末1との間で情報の授受を行う通信制御部361dとを備えている。
【0068】
受付部361bは、ゲーム端末1から送信されたプレイヤのユーザIDの個人情報、ゲーム端末1及び店舗の各識別情報を受け付けて、ゲームへの参加を受け付けるものである。
【0069】
また、受付部361bは、プレイヤから対戦ゲームへの参加が指定されている場合、選定部361cに対戦相手の組み合わせのための選定処理の指示を行う。選定部361cは、同一のゲーム空間に位置付けさせる条件が設定されており、例えば、参加受付順が一般的である。また、同一店舗からの参加を優先的に同一ゲーム空間に割り振るようにすることが好ましい。例えば、統一店舗からのほぼ同時的な参加は仲間のプレイヤであるとして、同一ゲーム空間で味方プレイヤとして設定される。味方プレイヤがメンバー数、ここでは4名に達しない場合には、他の店舗からの参加希望者を充当するようにすればよい。敵側のグループも同様にして決定される。
【0070】
あるいは、複数プレイヤの射撃ゲームに参加する場合に、同一店舗のゲーム端末1(最初に受付したマスター機)を指定して仲間であることをモニタ11の画面を利用して指定可能にすることで、同時参加の仲間を確実にメンバーとすることができる。
【0071】
通信制御部361dは、選定部361cによって、プレイヤと仮想ゲーム空間との紐付けが決定すると、該プレイヤが参加受付を行ったゲーム端末1に、その旨の情報を送信するようにしている。また、通信制御部361dは、仮想ゲーム空間に全てのプレイヤが紐付けられると、各プレイヤ情報(少なくとも各プレイヤが操作するゲーム端末1及び当該ゲーム端末1が設置されている店舗の識別情報)を互いのゲーム端末1に送信するようにしている。これにより、各ゲーム端末1間で、操作情報を授受することが可能となる。
【0072】
次に、図11〜図17により、射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する。図4の表示モード指示部161jから出力される、2D表示モードを3D立体視表示モードへ切り替える指示信号は、以下のゲーム進行状況に達するときに生成される。なお、ボタン15を押下することで、例えば交互に表示モードの変更指示が可能であるが、他の条件によって、2D表示モードから3D立体視表示モードに切り替わってもよい。そして、所定のゲーム状況が終了した時点で2D表示モードに自動的に戻るようにしてもよいし、ボタン15が押下されるまで3D立体視表示モードのままとしてもよい。
【0073】
図11は、戦闘画像で自己キャラクタP11の他に、仲間キャラクタP12が表示されているが、特に、モニタ11画面に敵キャラクタP21が出現した場合を想定したシーンである。このようなシーンでは、迫力ある表示が好ましいことから、敵キャラクタの出現という状況が判断されて、3D立体視表示モードに切り替えられる。
【0074】
図12は、自己キャラクタP11と敵キャラクタP21とが格闘する場合を想定したシーンである。このシーンにおいても、迫力ある表示が好ましいことから、3D立体視表示モードとされる。格闘開始の状況が判断されると、3D立体視表示モードに切り替えられる。
【0075】
図13,図14は爆発を想定したシーンで、図13は、手榴弾による攻撃シーンであり、図14は、オブジェクトの爆発シーンである。これらのシーンは、攻撃の迫力さを演出する上で、3D立体視表示モードとされる。手榴弾が投擲された状況が判断され、また爆発発生が判断されると、3D立体視表示モードに切り替えられる。
【0076】
図15,図16は、銃を構えた状況を想定したシーンで、図15は肩越し(TPS)表示であり、図16は、銃口位置(FPS)表示である。銃を構える場合は射撃直前であるから、遠近感に対して迫力が求められる。そこで、トリガボタン32の押下が判断されると、3D立体視表示モードに切り替えられる。なお、遠近の迫力という点から、図16の場合のみ、3D立体視表示モードに切り替えられるようにしてもよい。
【0077】
図17は、自己キャラクタP11が飛んでいる場合を想定したシーンである。同様に、ヘリコプター等の乗り物に搭乗している場合も同様に、空中での遠近感の迫力を演出する必要から、飛行中であることが判断されると、3D立体視表示モードで表示される。
【0078】
図18は、2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更を説明する図で、図(a)は2台の仮想カメラの位置関係、すなわち離間距離の関係を示し、図(b)はプレイヤに与える立体感の大きさの違いを示し、図(c)は、立体感の大きさの違いのイメージ図である。
【0079】
図18(a)の左側の図に示すように、仮想カメラ60L,60Rを重ねる(離間距離がゼロ、かつ視線方向が一致)と、同図(b)、(c)の左側の図に示すように、画像は2D表示モードで表示される。一方、3D立体視表示モードでは仮想カメラ60L,60Rの離間距離は、所定の位置関係P1に設定される。そして、図18の例では、仮想カメラ60L,60Rが重なる位置関係P4にある状態と位置関係P1になる状態との間に、過渡的に2段階の位置関係P2,P3が設定されている。位置関係P2は仮想カメラ60L,60Rの離間距離が位置関係P1の離間距離より短い所定距離に設定され、位置関係P3は仮想カメラ60L,60Rの離間距離が位置関係P2に比して短い所定距離である。位置関係P1に対して位置関係P2,P3は、この順で3D立体視表示の立体感が小さくなる。この実施形態では、仮想カメラ60L,60Rの視線方向は、所定の被写体(あるいは所定の前方距離)を想定して交差するように設定されている。なお、図18(b)、(c)では、表示スペースの関係上、位置関係P1とP3とが示されている。また、過渡的表示における途中の位置関係は、P2、P3の2段階に限定されず、任意の段数が採用可能である。
【0080】
図19、図20は、2台の仮想カメラの位置関係の変化の他の実施形態を示す図である。図19は、仮想カメラ60L,60Rの視線方向が互いに平行で、離間距離のみが変更される場合である。図20は、仮想カメラ60L,60Rの離間距離を一定とし、視線方向を近距離(立体感が大きい状態)から遠距離(立体感が小さい状態)に変更する場合である。なお、図19、図20には、2D表示モードは示されていない。
【0081】
図21〜図23は、2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更における変位速度の各態様を説明する図である。図21〜図23における表示モードの過渡的な変更は、図示の通り多数段で行われ、実質的に連続的に近い状態である。図21では、3D立体視表示モードから2D表示モードへの変位速度は、仮想カメラ60L,60Rが最も離間した位置関係にある位置から重なる位置に変更する方向に対して、初期及び後期の速度が速く、中期の速度が遅いように設定されている。図22では、初期の速度が遅く、後期の速度が速くなるように設定されている。より詳細には、速度が徐々に加速するように設定されている。図23では、図22とは逆に、初期の速度が速く、後期の速度が遅くなるように設定されている。より詳細には、速度が徐々に減速するように設定されている。速度変更は、例えば、一定時間毎に設定される離間距離の変化量の大小によって実現される。なお、視線方向は全て平行となっているが、所定のオブジェクトOBで、あるいは所定の前方距離で交差する向きとしてもよい。また、2D表示モードから3D立体視表示モードへの変位速度は、図21〜図23に示されているように前記の逆となるが、これに限定されず、3D立体視表示モードから2D表示モードへの変位速度の変化状況と同一になるようにしてもよい。
【0082】
2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更を実現するべく、ROM163には、2D表示モードから3D立体視表示モードへの過渡的変更を実現するための仮想カメラ60L,60Rの複数段の離間距離情報が記憶されている。同様に、3D立体視表示モードから2D表示モードへの過渡的変更を実現するための仮想カメラ60L,60Rの複数段の離間距離情報が記憶されている。表示モード切替処理部161kは表示モードの変更が指示されると、ROM163から仮想カメラ60L,60Rの複数段の離間距離情報を順次読み出すことで表示モードの変更を行うようにしている。
【0083】
続いて、図24は、ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行されるゲーム処理の手順を説明するフローチャートである。先ず、受付終了か否かが判断され(ステップS1)、終了していなければ、本フローを抜ける。一方、受付終了であれば、モニタ11に対戦ゲームモードの選択用ボタンが表示される等によって、対戦ゲームモード選択処理が実行される(ステップS3)。なお、ステップS3における画面の表示は、3D立体視表示モードで行われてもよい。例えば、2台の仮想カメラが重なった状態(2D表示モード)から予め設定された立体感を付与する離間距離に過渡的に変更されて3D立体視表示モードに切り替えられるように設定される。
【0084】
対戦ゲームモード等の選択が終わると、対戦開始となるので、この時点で、2D表示モードと3D立体視表示モードの指示信号の割込許可が設定される(ステップS5)。続いて、対戦開始とされる(ステップS7)。
【0085】
対戦では、以下の処理が繰り返されることで、対戦が進行する。すなわち、本実施形態では、ジョイスティック41が操作されたか否かが判断され(ステップS9)、この判断が否定されると、光学式マウス31が操作されたか否かが判断され(ステップS13)、この判断が否定されると、構えボタン42が操作されたか否かが判断され(ステップS17)、この判断が否定されると、トリガボタン32が操作されたか否かが判断され(ステップS21)、この判断が否定されると、アクションボタン44が操作されたか否かが判断され(ステップS25)、この判断が否定されると、姿勢変更ボタン33が操作されたか否かが判断され(ステップS29)、この判断が否定されると、ポイントの計算処理が実行される(ステップS33)。ステップS33は、全ての判断が否定された場合、計算処理はスルーされることとなる。
【0086】
上記各判断に対して、それぞれ対応する処理が実行される。すなわち、ジョイスティック41が操作されると、自己キャラクタの移動処理が実行され(ステップS11)、光学式マウス31が操作されると、仮想カメラ60L,60Rが移動処理が実行され(ステップS15)、構えボタン42が操作されると、仮想カメラ60L,60Rが図15の肩越し(TPS)表示、又は図16の銃口位置(FPS)表示のいずれかに設定される(ステップS19)。さらに、トリガボタン32が操作されると、射撃処理が実行され(ステップS23)、アクションボタン44が操作されると、格闘で技を繰り出し(ステップS27)、姿勢変更ボタン33が操作されると、自己キャラクタの姿勢が変更される(ステップS31)。そして、各処理が終了する毎に、ポイントの加算計算の処理が行われる(ステップS33)。以上の各処理によって、プレイヤの操作に応じて、さらにはゲームプログラムに従ったゲーム進行が行われる。
【0087】
次いで、所定のゲーム時間が経過して、タイムアップに達したか否かが内部タイマ(図略)で判断され(ステップS35)、タイムアップでなければ、ステップS9に戻る。一方、タイムアップであれば、表示モードが3D立体視表示モードであれば、3D立体視表示モードから2D表示モードへ過渡的に切り替えられた後、ゲーム終了時の結果処理、例えばポイントの取得状況、勝敗、結果表示のための各処理が実行され(ステップS37)、本フローが終了する。
【0088】
図25は、ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行される、ゲーム開始からゲーム終了までの2D表示モードと3D立体視表示モードとの間での切り替え処理の割込の手順を説明するフローチャートである。まず、2D表示モードから3D立体視表示モードへの切り換えの指示信号か否かが判断され、肯定されると、現在の表示モードが3D立体視表示モードか否かが判断される(ステップS53)。現在の表示モードが3D立体視表示モードであると、本フローを抜ける。一方、現在の表示モードが3D立体視表示モードでなければ、仮想カメラ60L,60Rの位置が、重なった状態から順次離間距離が大きくなる方向に過渡的に変更されて所定の離間した位置関係に設定される(ステップS55)。
【0089】
一方、ステップS51で、2D表示モードから3D立体視表示モードへの切り換えの指示信号でなければ、現在の表示モードが2D表示モードか否かが判断される(ステップS57)。現在の表示モードが2D表示モードであると、本フローを抜ける。一方、現在の表示モードが2D表示モードでなければ、仮想カメラ60L,60Rの位置が、所定の離間した位置関係から、順次離間距離が小さくなる方向に過渡的に変更されて、最終的に位置及び視線方向が一致するように設定される(ステップS59)。
【0090】
なお、図24、図25で示した、2D表示モードと3D立体視表示モードとの間での過渡的な表示モードの切り替え処理(仮想カメラ60L,60Rの変位処理)は、例えば以下のようにして実行される。表示モードの切り替えの指示信号の入力を受け付けると、2D表示モードから3D立体視表示モードか、その逆かによって、予めROM163に予め記憶されている複数段の離間距離情報の読み出し内容が相違するものの、2台の仮想カメラ60L,60Rに設定される位置変更を行う処理を、前記複数段の処理が終了するまで(内部タイマで計時される)所定の一定時間毎に各段について行うようにすればよい。この時、互いに隣接する各段間の離間距離の差を、図21〜図23の例に示すように予め大小設定してROM163に格納しておくことで、変位速度を調整することが可能となる。あるいは、逆に、互いに隣接する各段間の離間距離の差を一定にしておき、1段毎の時間間隔を長短変更するようにして変位速度を調整するようにしてもよい。
【0091】
なお、上記において、2D表示モードから3D立体視表示モードへ切り替えの指示信号の割込は、押し込み式ボタン15が押下された場合の他、ゲーム進行が、図11〜図17の状況に移行したことを条件とする場合も含めてもよい。
【0092】
なお、本発明は、以下の態様が採用可能である。
【0093】
(1)本実施形態では、第1、第2の操作部30,40を採用した対戦ゲームとしたが、本発明は種々のゲームに適用可能であり、第1、第2の操作部30,40は一例である。ゲームとしては、仮想ゲーム空間でゲームが実行され、かつ仮想カメラが仮想ゲーム空間内をゲーム進行等に応じて、またプレイヤの操作に応じて移動可能な態様であればよい。また、ゲームの種類としては、格闘ゲーム、野球やサッカーを模擬した対戦ゲーム、タイムトライアル等の競争ゲーム、麻雀ゲーム、キャラクタを育成する育成ゲーム等にも適用可能である。
【0094】
(2)また、本実施形態では、めがねを必須の要素としたが、以下の態様を採用する場合は、めがねを採用しない態様でもよい。すなわち、非めがね式の一例としてのパララックスパノラマグラム方式やレンチキュラ方式を採用してもよい。
【0095】
(3)本実施形態では、2D表示モードでの描画を、3D立体視表示モードの場合と同一方法で画像記憶部162L,162Rを動作させたが、これに代えて、2D表示モードでは、画像記憶部162L,162Rの一方を用いて、各ラインの画像を読み出して、モニタ11へ出力する態様でもよい。これによれば、2D表示を、一方の画像記憶部のみで得ることができる。
【0096】
(4)本実施形態では、2台の仮想カメラ60L,60Rで撮影された各ゲーム画像を画像記憶部162L,162Rに一旦書き込むようにしたが、画像メモリ162L,162Rを採用せず、直接ビデオRAM162Cにライン毎に交互に書き込むようにしてもよい。この場合、ビデオRAM162Cが画像記憶部162L,162Rとして機能する。なお、左右画像を行方向に交互に配置したが、行列の一方、すなわち列方向でもよい。
【0097】
また、画像記憶部162L,162Rの記憶容量をモニタ11のピクセル数の1/2とする一方、仮想カメラ60L,60Rは、それぞれモニタ11のピクセル数に対応する画素数で仮想ゲーム空間内を写す態様としてもよい。具体的には、仮想カメラ60Lで写された画像のうち奇数行目の画像を画像記憶部162Lの1行目からn行目に書き込み、仮想カメラ60Rで写された画像のうち偶数行目の画像を画像記憶部162Rの1行目からn行目に書き込むようにし、さらに、画像記憶部162Lの画像データをビデオRAM162C(行方向に2n)の奇数行目に書き込ませ、画像記憶部162Rの画像データをビデオRAM162Cの偶数行目に書き込ませるようにすればよい。このように、3D立体視表示において2D表示と等しい解像度を得る場合、画像記憶部162L,162Rの記憶容量をモニタ11のピクセル数に合わせる必要は必ずしもなく、仮想カメラで写される画素データがピクセルス数に合っていれば、信号処理によって同一の解像度を実現することが可能である。
【0098】
(5)本実施形態では、2D表示モードと3D立体視表示モードの双方の切り替えにおいて過渡的な表示を行ったが、表示モードの変更に起因する眼乃至は脳の受ける刺激の大きさからして、過渡的な表示は、2D表示モードから3D立体視表示モードへの変更において実施するようにしてもよい。
【0099】
(6)また、仮想カメラ60としては1台であって、仮想カメラ60Lは、仮想カメラ60が第1の仮想カメラ位置に配置されて第1の画像データを写すものであり、仮想カメラ60Rは、仮想カメラ60が第2の仮想カメラ位置に配置されて第2の画像データを写すものであるように、位置を連続的に、好ましくは交互に移動して、各位置で画像を写すようにしてもよい。この時、一方の仮想カメラ位置が特定された後に他方のカメラ位置を特定する方法でも良いし、2つの仮想カメラ位置の中間位置を特定した後に2つの仮想カメラ位置の所定距離からの差分で左右カメラ位置を特定して画像を作成する。これによれば、カメラが1台で済むので、処理が簡易になる。
【符号の説明】
【0100】
1 ゲーム端末(ビデオゲーム装置)
10 モニタ部
11 モニタ(表示部)
15 押込式ボタン(表示モード指示手段)
161c 画像表示制御部(画像表示制御手段)
161d 仮想カメラ制御部(仮想カメラ制御手段)
161j 表示モード指示部(表示モード指示手段)
161k 表示モード切替処理部(表示モード切替処理手段)
162L,162R 画像記憶部
162C ビデオRAM
60L,60R 仮想カメラ(第1、第2の仮想カメラ)
71 視差バリア部材
72 めがね
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム画像を2次元表示と3次元(立体視)表示とに選択的に切替えて画面に表示するビデオゲーム装置及び表示モード切替制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示画面上に、3D画像を表示する技術が種々提案されている。3D画像の表示方式としては、視差バリア方式が一般的であり、偏光材や液晶シャッターとめがねとを用いた、いわゆるめがね式や、非めがね式の一例としてのパララックスパノラマグラム方式やレンチキュラ方式等が特に周知である。更に、近年では、2D画像と3D画像とを切替可能にした表示技術が提案されている。すなわち、特許文献1には、視差バリア方式を実現する液晶パネルのモニタを有する携帯電話機が記載されている。この特許文献1には、2次元表示が選択された時には液晶パネルによるバリアを作用させず、一方、3次元表示が選択された時には液晶パネルによるバリアを作用させるようにし、かつ、この時、ネットワークを経て外部記録媒体から受信した画像データに基づいて生成された3次元画像である、左目用画像と右目用画像とをモニタ画面に導いて、3次元画像を表示するようにした携帯パソコンや携帯電話機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3973525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、Webサイトやメールから予め作成された3Dイメージデータのコンテンツであって、特殊な携帯電話機で受信される3D立体視用のイメージデータであることが必要である。また、既に作成済みの1枚の2D画像を3D立体視用画像データに変換する処理部を内蔵することも記載されているが、1枚の2D画像を3D立体視用に変換しても、疑似的な3D画像しか得られない。さらに、特許文献1では、外部から3Dイメージデータを取得したり、1枚の2D画像から擬似的な3D画像を形成したりするものが記載されているのみであり、2台のカメラ配置との関係については何等記載されていない。特に、2D表示と3D立体視表示との間の切替に伴う課題に関しては提起もなされていない。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、2台の仮想カメラ位置の関係を過渡的に変更することで2D表示と3D立体視表示との間の切替をスムースにして、プレイヤの眼への刺激、乃至はプレイヤの脳に与える急激な立体感の有無変化に起因する刺激を抑制するビデオゲーム装置及び表示モード切替制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で移動する仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像をプレイヤに提示するビデオゲーム装置において、表示画面に3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置された表示部と、前記仮想ゲーム空間内で画像を写す第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御手段と、前記第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データを第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶し、前記第1、第2の画像記憶部の画像データをライン毎に用いることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像を生成し、前記表示部に出力する画像表示制御手段と、前記2D表示モードと前記3D立体視表示モードとを選択的に指示する表示モード指示手段と、前記表示モード指示手段の指示に基づいて、第1、第2の仮想カメラ位置を一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項10記載の発明は、表示画面に3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置された表示部を備え、プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で移動する仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像を前記表示部に表示するビデオゲーム装置の表示モード切替制御方法において、前記仮想ゲーム空間内で画像を写す第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御ステップと、前記第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データを第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶し、前記第1、第2の画像記憶部の画像データをライン毎に用いることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像を生成し、前記表示部に出力する画像表示制御ステップと、前記2D表示モードと前記3D立体視表示モードとを選択的に指示する表示モード指示ステップと、前記表示モード指示ステップでの指示に基づいて、前記第1、第2の仮想カメラ位置を一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
これらの発明によれば、表示部の表示画面には3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置され、プレイヤはゲーム画像を3D立体視で見ることが可能となる。プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で仮想カメラが移動する。仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像は表示部に表示され、プレイヤに提供される。プレイヤはこのゲーム画像を見ながら操作部材を操作する。そして、仮想カメラ制御手段によって、プレイヤからの操作部材への操作に応じ、仮想ゲーム空間内で第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとが選択的に実行される。この結果、画像表示制御手段によって、第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データが第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶され、前記第1、第2の画像記憶部の画素データがライン毎に用いられることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像が生成され、前記表示部に出力される。
【0009】
表示モード指示手段によって、2D表示モードと3D立体視表示モードとが選択的に指示されると、表示モード切替処理手段によって、第1、第2の仮想カメラ位置が一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更されることになる。従って、この過渡的な変更に対応して、仮想カメラ制御手段及び画像表示制御手段によって、表示モードが一方から他方へ移りかわっていく。このように、表示モードの変更が過渡的に行われるので、プレイヤの脳に与える急激な立体感の有無変化に起因する刺激が抑制される。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のビデオゲーム装置において、仮想カメラ制御手段は、3D立体視表示モードの設定において前記第1、第2の仮想カメラを互いに交叉する所定の視線方向に設定することを特徴とする。この構成によれば、仮想ゲーム空間内の所定のオブジェクト乃至は所定の前方距離に対して立体感が付与されるので、より自然に近い3D立体視表示が提供される。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のビデオゲーム装置において、表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更に伴う第1、第2の仮想カメラの変位速度を、経時方向に変化させることを特徴とする。この構成によれば、表示モードを切り替える際に、第1、第2の仮想カメラの変位速度を経時方向に変化させることで、プレイヤの眼乃至脳への刺激を緩和する態様での変位速度の設定が可能となる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のビデオゲーム装置において、前記変位速度は、初期が後期に比して高速であることを特徴とする。この構成によれば、後半の変位速度が緩やかになり、特に最終的に3D立体視表示モードに切り替わるような場合、刺激が緩和される。なお、この構成は、変位速度が漸減する態様を含む。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項3に記載のビデオゲーム装置において、前記変位速度は、初期が後期に比して低速であることを特徴とする。この構成によれば、切り替わり開始辺りの変位速度が緩やかであるので、特に最終的に2D表示モードに切り替わるような場合、刺激が緩和される。なお、この構成は、変位速度が漸増する態様を含む。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項3に記載のビデオゲーム装置において、前記変位速度は、中期が初期及び後期に比して低速であることを特徴とする。この構成によれば、中間域で眼が変位に慣れるようにしたので、刺激が緩和される。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項3に記載のビデオゲーム装置において、前記変位速度の変化状況は、前記2D表示モードから前記3D立体視表示モードへの表示モードの変更と、その逆における変更とで、異なることを特徴とすることを特徴とする。この構成によれば、切り替え方向のそれぞれついて適切な変位速度が設定可能となる。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のビデオゲーム装置において、表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更中、前記第1、第2の仮想カメラの視線方向を互いに平行に設定していることを特徴とする。この構成によれば、奥行き方向全般について、略均一の立体感が付与される。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のビデオゲーム装置において、表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更中、前記第1、第2の仮想カメラの視線方向を前記仮想ゲーム空間内の所定位置を指向させていることを特徴とする。この構成によれば、仮想ゲーム空間内の所定のオブジェクト乃至は所定位置を中心にして立体視画面が形成されるので、注視対象が存在し、その分刺激が緩和される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2D表示と3D立体視表示との間の切替をスムースにして、プレイヤの眼への刺激、乃至はプレイヤの脳に与える急激な立体感の有無変化(形成、及び消滅)に起因する刺激を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るゲームシステムの一実施形態を示す構成図である。
【図2】ゲーム端末の一実施形態の外観を示す斜視図である。
【図3】ゲーム端末の一実施形態を示すハードウェア構成図である。
【図4】ゲーム端末の制御部の機能構成図である。
【図5】サーバの一実施形態を示すハードウェア構成図である。
【図6】サーバの制御部の機能構成図である。
【図7】仮想カメラ60の移動及び自己キャラクタの移動を説明するための図である。
【図8】構え(攻撃態勢)を取った状態を説明するための図である。
【図9】ゲーム画像の3D立体視表示モードの原理を説明する図で、図9(a)は2台の仮想カメラと被写体との関係を示す模擬図であり、図9(b)は2台の仮想カメラで撮影された画像とモニタ画像との関係を示す模擬図である。
【図10】ゲーム画像を3D立体視表示モードで表示するための構成図である。
【図11】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図12】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図13】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図14】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図15】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図16】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図17】射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する画面図である。
【図18】2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更を説明する図で、図(a)は2台の仮想カメラの位置関係、すなわち離間距離の関係を示し、図(b)はプレイヤに与える立体感の大きさの違いを示し、図(c)は、立体感の大きさの違いのイメージ図である。
【図19】2台の仮想カメラの位置関係の変化の他の実施形態を示す図である。
【図20】2台の仮想カメラの位置関係の変化の他の実施形態を示す図である。
【図21】2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更における変更速度の一態様を説明する図である。
【図22】2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更における変更速度の他の態様を説明する図である。
【図23】2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更における変更速度の他の態様を説明する図である。
【図24】ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行されるゲーム処理の手順を説明するフローチャートである。
【図25】ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行される、ゲーム開始からゲーム終了までの2D表示モードと3D立体視表示モードとの間での切り替え処理の割込の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明に係るビデオゲーム装置が適用される対戦ゲームシステムの一実施形態を示す構成図である。対戦ゲームシステムは、それぞれ識別情報が対応付けされたクライアント端末装置(ゲーム端末)1と、複数の(ここでは8台の)ゲーム端末1と通信可能に接続され、これらの間の中継・接続及び各ゲーム端末1とネットワーク(インターネット)を介して他の店舗のゲーム端末1との間での接続を行う通信機器であるルーター2と、各ルーター2を介して通信可能に接続され、複数のプレイヤがゲーム端末1を用いて行うためのプレイヤ認証、プレイヤ選択及びゲーム履歴に関する情報を管理するサーバ3とを備えている。
【0021】
ゲーム端末1は、プレイヤがモニタに表示されるゲーム画面に基づいて所定の操作を行うことによって、ゲームを進行するものである。なお、ゲーム端末1に対応付けされる識別情報は、ゲーム端末1が接続されているルーター2毎の識別情報(又はゲーム端末1が配設されている店舗の識別情報)とゲーム端末1が配設されている店舗内でのゲーム端末1毎の識別情報(端末番号という)とを含んでいる。例えば、店舗Aの識別情報がAであって、店舗A内でのゲーム端末1の識別情報が4である場合には、当該ゲーム端末1の識別情報はA4である。
【0022】
ルーター2は、それぞれ複数のゲーム端末1及びサーバ3と通信可能に接続され、ゲーム端末1とサーバ3との間でデータの送受信を行うものである。
【0023】
サーバ3は、各ルーター2と通信可能に接続され、プレイヤ個人を特定するためのユーザIDに対応付けて前記プレイヤ情報を格納すると共に、ルーター2を介してゲーム端末1とデータの送受信を行うことによってプレイヤと同一ゲーム空間上でゲームを行うプレイヤ(対戦者という)を選択するものである。
【0024】
図2は、ゲーム端末1の一実施形態の外観を示す斜視図である。なお、ゲーム端末1を用いて行われる対戦ゲームとして、本実施形態では対戦ゲームのうち、射撃ゲームを想定している。射撃ゲームは、1人対1人の対戦モードやグループ対戦モードが設定されている。グループ対戦モードは、所定人数、例えば4名ずつの敵、味方プレイヤが対戦するものである。対戦モード、グループ対戦モードでは、後述するネットワーク通信部18、ルーター2を介してお互いの操作データの送受信が行われる。
【0025】
ゲーム端末1は、モニタ部10と、モニタ部10の前面に設置されるコントローラ部20とを有し、両者間にマット部材1Aが備えられている。モニタ部10は、ゲーム画像を表示する液晶やプラズマディスプレイ等からなるモニタ11、個人カードの内容を読み取るカードリーダ13、ゲーム料金を投入するコイン受付部14、及び後述する表示モード指定用の操作部材、例えば押込式のボタン15を備える。個人カードは、プレイヤの識別情報がユーザIDとして記録された磁気カードやICカードである。また、図2には示していないが、攻撃時(射撃等)の効果音等を発生させるスピーカ12が配置されている。
【0026】
コントローラ部20は、本実施形態では椅子型の着座部21を備えている。着座部21は左右に肘掛け部22,23を有する。右肘掛け部22及び左肘掛け部23の先端部には、人手で把持し得る程度の大きさを有する第1の操作部材30、第2の操作部材40が置かれている。詳細には、右肘掛け部22の先端上面は平面形状に形成されており、この上に第1の操作部材30が置かれている。左肘掛け部23の先端上面には、第2の操作部材40が置かれている。
【0027】
第1の操作部材30は、内部底面側に光学式マウス31を備え、さらに、外部上面に押し込み式スイッチであるトリガボタン32が、側面上段側に押し込みスイッチである姿勢変更ボタン33が、その下段にジョグダイアル34が設けられている。光学式マウス31は、公知の構造を有し、スライド量検出部として機能するものである。より詳細には、第1の操作部材30は、その底板の一部に形成された透光部を介して外部を写す照射光を投光する投光器と、さらに外部からの反射光を受光して撮像する撮像素子とを内蔵している。撮像素子で撮像された外部の画像の変化を検出することで、第1の操作部材30の移動量を求めるものである。撮像画像の変化を検出可能とするために、右肘掛け部22の先端上面は、所定の粗さに形成されている。第1の操作部材30を右肘掛け部22の上面でスライド操作することで、前後左右方向のスライド量が計測可能にされている。
【0028】
トリガボタン32は、可動部321を本体側に押し込むことで、内部の図略の可動する金属切片が他方の固定金属切片と接する等して電気信号を生成して、押し込み操作を検出するものである。押し込み操作は、モニタ11の画面に表示されている自己キャラクタに対して射撃動作を指示するものである。
【0029】
姿勢変更ボタン33は、水平面上で揺動可能な構造を有し、一端側が外方に付勢されている。この一端側を付勢力に抗して押し込む毎にしゃがむ姿勢が実行される。ジョグダイアル34は、仮想カメラ60の旋回速度を設定するもので、ダイヤルの回転量に応じた速度で仮想カメラが旋回する。
【0030】
第2の操作部材40は、自己キャラクタの移動を指示するためのジョイスティック41を備え、さらに、外部前側にはいずれも押し込み式スイッチである構えボタン42,アイテムボタン43,アクションボタン44が配設されている。各ボタン42,43,44はトリガボタン32と同一構造をしているものである。ジョイスティック41は、公知の構造を有し、水平面上で所望する方向に傾倒可能な操作桿を有し、操作桿の傾倒方向及び傾倒角度に応じた信号を出力するものである。傾倒方向及び傾倒角度に応じた信号はモニタ11の画面に表示される自己キャラクタの仮想ゲーム画面内における移動を指示するものである。傾倒角度は移動速度を指示し、傾倒方向は移動方向を示す。移動方向は、360度でもよいが、信号処理上、前後左右を含む所定方向に設定されている。例えば8方向である。なお、移動速度は傾倒角度に関わりなく停止と移動のみの切り替えとして移動速度を一定とする態様としてもよく、あるいは移動速度を所定段階、例えば2段階に設定する態様としてもよい。
【0031】
構えボタン42は、攻撃準備指示部材として機能するもので、押し込み操作によって、自己キャラクタが所持する武器に本来の働きを行わせるための準備動作を指示するものである。アイテムボタン43は、アイテムを変更するためのボタンで、押し込み操作によって予め設定されている複数種類のアイテム(ここでは武器)をサイクリックに変更設定するものである。武器としては、ゲームに対応したものが準備されており、ここでは、仮想銃としてのライフル銃やハンドガン、その他にナイフや手榴弾等がある。武器が指定されると、モニタ11の画面上の自己キャラクタの手に武器画像が仮想的に所持される。アクションボタン44は、アクションを指示する部材として機能するもので、例えば接近戦で格闘技を出すものである。
【0032】
ゲーム端末1の適所には、検出信号や、各部への制御信号を出力するマイクロコンピュータなどで構成される制御部16(図3参照)が配設されている。
【0033】
図3は、ゲーム端末1の一実施形態を示すハードウェア構成図である。制御部16はゲーム端末1の全体の動作を制御するもので、ゲームの進行全般に関する処理、画像表示処理の他、種々の情報処理を行う情報処理部(CPU)161と、処理途中の情報等を一時的に格納するRAM162と、所定の画像情報及びゲームプログラム等が予め記憶されたROM163とを備える。
【0034】
外部入出力制御部171は、制御部16とカードリーダ13及びコイン受付部14を含む検出部の間で、検出信号を処理用のディジタル信号に変換し、また指令情報を検出部の各機器に対して制御信号に変換して出力するもので、かかる信号処理と入出力処理とを例えば時分割的に行うものである。また、外部入出力制御部171は、ボタン15、第1、第2の操作部材30,40に対する各操作に応じた指令情報を制御部16に出力するものである。外部機器制御部172は、それぞれの時分割期間内に検出部の各機器への制御信号の出力動作と、検出部の各機器からの検出信号の入力動作とを行うものである。
【0035】
描画処理部111は制御部16からの画像表示指示に従って所要の画像をモニタ11に表示させるもので、ビデオRAM等を備える。音声再生部121は制御部16からの指示に従って所定のメッセージやBGM等をスピーカ12に出力するものである。
【0036】
ROM163には、所定数(例えば4名ずつ)の味方、敵キャラクタの画像、アイテム(武器)画像、背景画像、各種画面の画像等が記憶されている。各画像は3次元描画が可能なように、それを構成する所要数のポリゴンで構成されており、描画処理部111はCPU161からの描画指示に基づいて、3次元空間(仮想ゲーム空間)でのワールド座標系から仮想カメラを基準としたローカル座標系へ、さらに擬似3次元空間上での位置への変換のための計算、光源計算処理等を行うと共に、上記計算結果に基づいてビデオRAMに対して描画すべき画像データの書き込み処理、例えば、ポリゴンで指定されるビデオRAMのエリアに対するテクスチャデータの書き込み(貼り付け)処理を行う。背景としては、射撃ゲームが演出できるような、例えば廃工場跡とか、屋外(市街地や森林内等)が各種オブジェクトで形成されている。
【0037】
ここで、CPU161の動作と描画処理部111の動作との関係を説明する。CPU161は、内蔵のあるいは外部からモニタ11への画像情報の出力とその表示を行う画像表処理部との装着脱式としてのROM163に記録されているオペレーティングシステム(OS)に基づいて、ROM163から画像、音声及び制御プログラムデータ、ゲームルールに基づくゲームプログラムデータを読み出す。読み出された画像、音声及び制御プログラムデータ等の一部若しくは全部は、RAM162上に保持される。以降、CPU161は、RAM162上に記憶されている制御プログラム、各種データ(表示物体のポリゴンやテクスチャ等その他の文字画像を含む画像データ、音声データ)、並びに検出部からの検出信号等に基づいて、処理が進行される。
【0038】
ROM163に記憶された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に記憶され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
【0039】
ネットワーク通信部18は、射撃ゲームの実行中に発生するプレイヤの操作情報等をルーター2を介して、さらにはネットワークを介して味方プレイヤや敵のプレイヤが操作しているゲーム端末1と送受信するためのものである。さらに、ネットワーク通信部18は、プレイヤ受け付け処理時の情報、ゲーム終了時点でのゲーム成績情報をルーター2等を介してサーバ3との間で送受信するためのものである。
【0040】
図4は、ゲーム端末1の制御部16の機能構成図である。制御部16のCPU161は、RAM162上に保持されたゲームプログラム、制御プログラムを実行することによって、プレイヤからのゲームへの参加を受け付ける受付処理部161aと、ゲームの開始から終了までの一連の進行を制御して射撃ゲームを進行させるゲーム進行制御部161bと、モニタ11に受付画像やゲーム画像等を表示する画像表示制御部161cとして機能する。また、CPU161は、RAM162上に保持されたゲームプログラム、制御プログラムを実行することによって、仮想ゲーム空間に配置される仮想カメラ60の位置及び視線方向を制御する仮想カメラ制御部161d、自己キャラクタの仮想ゲーム空間内での移動動作を処理するキャラクタ移動処理部161eと、自己キャラクタが仮想的に所持する武器を用いて行う攻撃動作の処理する攻撃処理部161fと、攻撃動作に先立って行われる攻撃準備としての構え動作を行う構え処理部161gと、構え動作の実行と共に行われる攻撃方向を示す照準を表示する照準表示部161hと、自己キャラクタの敵キャラクタへの攻撃が成功したとき、例えば銃による射撃において命中したとき所定のポイントの付与を行うポイント処理部161iと、後述するように2D(次元)表示モードと3D(次元)立体視表示モードとの切り替えを指示する表示モード指示部161jと、2D表示モードと3D立体視表示モードとの間でのモード変更における、後述する2台の仮想カメラの位置関係の変更制御を行う表示モード切替処理部161kと、各種情報の通信制御を行う通信制御部161mとして機能する。
【0041】
受付処理部161aは、個人カードがゲーム端末1のカードリーダ13に差し込まれることで受け付けを行い、個人カードからユーザIDを読み取り、読み取ったユーザIDをサーバ装置3に送信するものである。対戦モードが複数ある態様では、例えばジョイスティック41や他の所定のボタン乃至はスイッチを押し込むことで設定可能にされている。
【0042】
仮想カメラ制御部161dは、光学式マウス31が操作された場合に、操作内容に応じて仮想カメラ60の視点及び視線方向を調整するものである。仮想カメラ制御部161dは、自己キャラクタと相対的な位置関係を有して仮想カメラ60の位置を設定するものである。なお、本発明においては、3D立体視表示を実現するべく仮想カメラは仮想カメラ60L,60Rの2台が設けられているが、詳細は後述する。また、光学式マウス31による仮想カメラ60の移動は、図7の説明において行う。
【0043】
キャラクタ移動処理部161eは、ジョイスティック41が操作された場合に、操作内容に応じて自己キャラクタの移動方向及び移動速度を調整するものである。仮想カメラ制御部161dは、自己キャラクタが移動する場合、相対位置関係を維持するべく、自己キャラクタの移動と平行移動するように制御する。これによって、自己キャラクタを中心としたゲーム画像の表示が維持される。仮想カメラ制御部161d及びキャラクタ移動処理部161eの処理内容は画像表示制御部161cによってモニタ11に表示される画像に反映される。
【0044】
図7は、仮想カメラ60の移動及び自己キャラクタの移動を説明するための図である。図7において、光学式マウス31が前後(上下)方向の所定距離だけスライドされると、このスライド量が計測され、計測されたスライド量に相当する角度だけ、仮想カメラ60が旋回させられる。光学式マウス31が前側に移動された場合、カメラは、仮に現在「A」位置にあるとすると、「B」位置側にスライド量に対応した角度だけ旋回する。逆に、光学式マウス31が後ろ側に移動された場合、カメラは「A」位置から、「C」位置側にスライド量に対応した角度だけ旋回する。また、光学式マウス31が左右側に移動された場合、カメラは仮に現在「A」位置にあるとすると、水平面上の左右方向にスライド量に対応した角度だけ旋回する。仮想カメラ制御部161dは、入力されたスライド方向及びスライド量に対応して仮想カメラ60を移動させ、この結果、画像表示制御部161cは、仮想カメラ60の視線方向の所定の画角内に写る画像をモニタ11に表示する。従って、ゲーム画像は、同一の仮想ゲーム空間で行うグループ射撃ゲームであっても、各プレイヤの操作するゲーム端末1のモニタ11には各プレイヤ中心のゲーム画像が表示される。
【0045】
さらに、ジョイスティック41の操作桿が前後左右方向の所定角度だけ傾倒されると、この傾倒方向及び傾倒角度に対応する電気信号がキャラクタ移動処理部161eに出力される。キャラクタ移動処理部161eは電気信号から、傾倒方向に、傾倒角度に応じた速度で自己キャラクタを移動させる。移動方向は、現に自己キャラクタが向いている方向を基準として、前後左右が設定される。図7は、前方向に移動させるものである。自己キャラクタを所望する方向に移動させることで、敵キャラクタに近づいたり、退避したりすることで、ゲームを有利に進めることが可能となる。また、自己キャラクタの移動中に、光学式マウス31を操作することで、自己キャラクタの周囲を確認しながら、的確な移動が可能となる。
【0046】
攻撃処理部161fは、トリガボタン32の操作を受け付けて、自己キャラクタに対して、所持する武器で敵キャラクタに攻撃を行わせるものである。構え処理部161gは、構えボタン42が押されたとき、自己キャラクタの向きを仮想カメラ60の視線方向に向けるものである。具体的には、自己キャラクタが所持する武器、例えば銃の銃口の向きを仮想カメラ60の視線方向に一致乃至は平行にするものである。ところで、仮想カメラ60の視点については、自己キャラクタの一部(例えば上半身部分)の斜め後方位置に設定する三人称視点位置(TPS:Third person shooter)表示モードと、自己キャラクタの顔位置、あるいは武器位置に設定される一人称視点位置(FPS:First person shooter)表示モードとがある。仮想カメラ60は、構えボタン42が押されたとき、三人称位視点位置表示モードで位置が制御され、仮想カメラ制御部161dは、仮想カメラ60の視線方向を自己キャラクタに略一致(肩越し位置に)させており、従って、モニタ11の中心は自己キャラクタの肩越し位置となる(例えば図15参照)。
【0047】
図8は、構え(攻撃態勢)を取った状態を説明するための図である。図8では、仮想カメラ60がほぼ前方に向けてあり、この状態で、構えボタン42が押し込まれると、自己キャラクタの向きには関係なく、仮想銃の銃口の向きが仮想カメラ60の視線方向である前方に向けられる。図8の左側には、銃オブジェクトを構えたときの画面図A,Bが記載されている。画面図A,Bは、ここでは一人称視点位置表示モードで表示している。画面図Aのように、画面中央には銃口の向きを示す照準11aが表示されている。照準表示部161hは、構え処理部161gの動作に連動して照準11aを表示するものである。画面図Aでは、照準11aと敵キャラクタ110との位置とは一致しておらず、この状態でトリガボタン32を押し込んでも、敵キャラクタ110には命中しない。そこで、画面図Bのように、すなわち、画面図Aに対して光学式マウス31を左方向に所与量だけスライドすることで、照準11aを敵キャラクタ110に重ねるようにすることができる。具体的には、敵キャラクタ110がモニタ11の画面中心に移動する(照準11aに対して)ように相対的に移動して両者が重なる。従って、この状態で、トリガボタン32が押し込まれると、敵キャラクタ110に命中することとなる。
【0048】
攻撃処理部161fは、銃口から発射された銃弾の弾道計算を行い、計算結果に従って弾道を表示するようにしてもよいし、あるいは、本実施形態にように、十字状の照準11aの中心に対して所定の径を有する円形内(所定領域)を仮想的に銃弾が通過するようにしてもよい。このようにすると、この所定領域内に敵キャラクタ110の一部が重畳していると、命中ということになる。なお、銃弾は必ずしも十字状の照準11aの中心に進むとは限らず、例えば機関銃等での銃口が不規則にぶれる処理を行ったり、あるいは自己キャラクタの移動中における射撃の方向がぶれる処理を行ったりしてもよい。
【0049】
ポイント処理部161iは、敵キャラクタへの攻撃が成功した場合に、例えば狙撃の命中毎に所定のポイントを蓄積するようにしている。ゲーム終了時点で、味方、敵側毎にポイントの総和を求め、その大小で勝敗を決定するようにしてもよい。なお、被弾した場合、演出として所定時間だけ倒れる動作を行わせ、その間、移動や攻撃の指示が禁止されるようにしてもよい。また、ポイント処理部161iによってゲーム開始時に所定のライフ値が付与され、被弾する毎に、このライフ値が所定値ずつ減少し、ライフが値0になった時点で、ゲームへの復帰が禁止される、すなわち当該プレイヤのみ強制的にゲーム終了としてもよい。
【0050】
表示モード指示部161jは、プレイヤによるボタン15への操作に応じて、乃至はゲーム進行が予め設定されている所定の状況に達した場合、あるいは元に戻った場合に、かかる状況を判断して、自動的に2D表示モードと3D立体視表示モードとの間で表示方法の切り替えを指示するものである。2D表示モードとは、3次元画像をそのままの方法で表示するもので、3D立体視表示モードとは、3次元画像を左右の眼で見たときの視差のある左右の画像を対応する側の眼にのみ導くようにして立体感を付与するようにしたものである。
【0051】
図9は、ゲーム画像の3D立体視表示モードの原理を説明する図で、図9(a)は2台の仮想カメラと被写体との関係を示す模擬図であり、図9(b)は2台の仮想カメラで撮影された画像とモニタ画像との関係を示す模擬図である。図10は、ゲーム画像を3D立体視表示モードで表示するための構成図である。
【0052】
仮想ゲーム空間には、左目用に相当する仮想カメラ60Lと右目用に相当する仮想カメラ60Rの2台が準備されている。両仮想カメラ60L,60Rは所定の位置関係を有しており、視線方向は奥行き方向の所定位置、代表的には、仮想ゲーム空間内の被写体としての、キャラクタやオブジェクトの位置で交叉している。画像記憶部162Lは、RAM162内の一部のメモリ領域を示しており、仮想カメラ60Lで撮影された仮想ゲーム空間内の1シーンの画像データが書き込まれる。画像記憶部162Rは、RAM162内の一部のメモリ領域を示しており、仮想カメラ60Rで撮影された仮想ゲーム空間内の1シーンの画像データが書き込まれる。図9(a)に示すオブジェクトOB1、OB2はシーン内に含まれている被写体の画像である。仮想カメラ60L,60Rは、ここではオブジェクトOB1の方に視線が設定されている。なお、説明の便宜上、仮想カメラ60Lで撮影された画像は縦線で表現され、仮想カメラ60Rで撮影された画像は横線で表現されている。
【0053】
画像記憶部162L,162Rの各画像は、合成されて、モニタ11で表示されている。後述するように、モニタ11の画面上には、シート体の視差バリア部材71(例えば、商品名Xpol(登録商標)、株式会社有沢製作所製)が貼付されている。視差バリア部材71は、微細偏光素子を規則正しく配列して形成したもので、縦方向に所定間隔(水平走査1本のライン幅に相当)毎に交互に、縦方向スリットが形成された縦偏光域と横方向スリットが形成された横偏光域とを有する。この結果、モニタ11からの画像光のうち、縦偏光域では縦偏光のみの光が通過し、横偏光域では横偏光のみの光が通過する(図9(b)参照)。めがね72は、左右側で縦偏光、横偏光のための微細偏光素子(偏光材)が貼付されており、左目側が縦偏光光のみを通過させ、右目側が横偏光光のみを通過させる。従って、モニタ11からの偏光された光の画像をめがね72を掛けて(使用して)、見ることで、左右の目に視差画像が提供され、3D立体視表示された画像を見ることが可能(立体感を得ること)となる。
【0054】
より詳細には、図10において、仮想カメラ60L,60Rは、所定周期、例えば1/60(秒)毎に撮影動作を繰り返し、各タイミングで撮影された画像は画像記憶部162L,162Rに一時的に書き込まれる。画像記憶部162L,162Rの記憶容量を縦方向n行、横方向m列とし、ビデオRAM162Cの記憶容量を縦方向2n行、横方向m列とする。
【0055】
画像表示制御部161cのR/Wアドレス制御部161c−1は、画像記憶部162Lの各行の画像データを順次読み出して、ビデオRAM162Cの奇数行(ライン)に順番に書き込む。1ラインの書込が終了する毎に、続いて、R/Wアドレス制御部161c−1は、画像記憶部162Rの各行の画像データを順次読み出して、ビデオRAM162Cの偶数行(ライン)に順番に書き込む。R/Wアドレス制御部161c−1は、そのための読出アドレス、書込アドレスの作成、及びチップセレクト信号を生成する。かかる一連の書込処理によって、ビデオRAM162Cに左右両目用の画像データが作成されたことになる。
【0056】
ビデオRAM162Cの画像データは所定の高速で繰り返しモニタ11に読み出される。モニタ11のピクセル数(画素数)は、ビデオRAM162Cに対応した2n×mである。視差バリア部材71は、図10にイメージ(縦線、横線が交互に付されている)で示しているように、縦方向のピクセル1行毎に、前述した縦偏光、横偏光のための微細偏光素子が交互に配列されている。
【0057】
なお、仮想カメラ60L,60Rで写される画像を記憶する画像記憶部162L,162Rの記憶容量を縦方向2n行にして、モニタ11の縦方向のピクセル数に対応させることで、3D立体視表示において2D表示の場合と同様の解像度を維持するようにしてもよい。また、画像記憶部162L,162Rの記憶内容をビデオRAM162Cへ読み出すのと同様にして、すなわち同期させて直接モニタ11へ出力するようにしてもよい。このようにすることで、ビデオRAM162Cを用いない態様が可能となる。
【0058】
上記の説明は、仮想カメラ60L,60Rが所定の位置関係を有した、互いに異なる位置に設定されている場合である。続いて、2D表示モードについて説明する。
【0059】
表示モード指示部161jから3D立体視表示モードを2D表示モードへ切り替える指示信号が出力されると、仮想カメラ制御部161dは、仮想カメラ60L,60Rの位置を一致させ、かつ視線方向も一致するように、仮想カメラ60L,60Rの位置制御を行う。この結果、仮想カメラ60L,60Rには、同一の画像が撮影されることになり、画像記憶部161L,162Rの画像データも同一となる。この結果、ビデオRAM162Cには、3D立体視表示の場合と同様な処理で画像データが各行に埋められることとなる。すなわち、左目用の画像と右目用の画像に視差が発生しなくなるため、めがね72を掛けたプレイヤに立体感を与えることができず、その結果、3次元画像を2D表示モードで表示するという、通常の表示態様となる。なお、表示モード指示部161jから2D表示モードを3D立体視表示モードへ切り替える指示信号が出力される場合には、逆に仮想カメラ60L,60Rの位置が離間した所定の位置関係に設定される結果、左右両目の間に視差が発生して立体視表示可能な画像となる。このようにすることで、仮想カメラ60L,60Rの配置位置を変更する処理のみで、2D表示モードと3D立体視表示モードとの切り替えが可能となる。かかる表示モードの変更のための制御プログラムは、ROM163に予め格納されている。
【0060】
仮想カメラ制御部161dは、3D立体視表示モードでの仮想カメラ60L,60Rの位置関係について、以下のようにして位置設定を行っている。すなわち仮想カメラが1台と仮定した時に制御される位置情報を基準位置(中心位置)とし、その左右側に所定距離だけ離間した位置に左右側に対応する仮想カメラを配置するようにしている。仮想カメラ60L,60Rの離間距離は人間の両目の間の距離に相当するものとするのが自然であり、好ましい。なお、この場合において、仮想カメラ60L,60Rのいずれか一方の位置を基準として位置処理してもよい。
【0061】
図4に戻って、制御部16のRAM162は、同じ仮想ゲーム空間での射撃ゲーム中のゲーム途中経過情報が、逐次プレイヤ毎に、すなわち自己及びネットワーク通信部18を介して得られる味方、敵側の全プレイヤについて更新的に記憶される途中経過情報記憶部162aと、各種スイッチ、ボタンで設定された設定情報及びポイント情報を記憶する設定情報記憶部162bとを備える。ゲームが終了する毎に、通信制御部161mは、ポイント情報をプレイヤのユーザID、ゲーム端末1及び店舗の各識別情報と共にサーバ装置3に送信する。
【0062】
図5は、サーバ装置3の一実施形態を示すハードウェア構成図である。制御部36はサーバ装置3の全体の動作を制御するもので、情報処理部(CPU)361と、プレイヤの個人情報、各プレイヤのゲームに関する情報等を一時的に格納するRAM362と、管理用の所定の画像情報、管理用のプログラムが予め記憶されたROM363とを備える。
【0063】
ROM363に記憶された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に記憶され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
【0064】
ネットワーク通信部38は、各種データをWWW等からなるネットワークを介して複数のルーター2のいずれかを経て端末識別情報に従って対応するゲーム端末1との間で情報の送受信を行うものである。
【0065】
なお、管理プログラムは、ROM363上に記録されており、RAM362上にロードされ、CPU361によりRAM362上のゲーム進行プログラムが順次実行されることによってそれぞれの機能が実現される。
【0066】
図6は、サーバ装置3の制御部36の機能構成図である。RAM362は、ユーザID等の個人情報を格納するプレイヤ情報記憶部362aと、プレイヤ毎のゲーム成績を含むゲーム履歴を更新的に記憶する履歴記憶部362bとを備えている。
【0067】
制御部36のCPU361は、プレイヤ情報記憶部362a及び履歴記憶部362bへの各情報の記録を行う記憶制御部361aと、各ゲーム端末1でのプレイヤのゲーム参加受付に応答して一連の受付管理処理を実行する受付部361bと、受付部361bによって受け付けられたプレイヤの中から、同一仮想ゲーム空間内でプレイする所定数(例えば味方、敵側の各4名ずつ)のプレイヤの組合せを、後述するルールに則って選定する選定部361cと、各ゲーム端末1との間で情報の授受を行う通信制御部361dとを備えている。
【0068】
受付部361bは、ゲーム端末1から送信されたプレイヤのユーザIDの個人情報、ゲーム端末1及び店舗の各識別情報を受け付けて、ゲームへの参加を受け付けるものである。
【0069】
また、受付部361bは、プレイヤから対戦ゲームへの参加が指定されている場合、選定部361cに対戦相手の組み合わせのための選定処理の指示を行う。選定部361cは、同一のゲーム空間に位置付けさせる条件が設定されており、例えば、参加受付順が一般的である。また、同一店舗からの参加を優先的に同一ゲーム空間に割り振るようにすることが好ましい。例えば、統一店舗からのほぼ同時的な参加は仲間のプレイヤであるとして、同一ゲーム空間で味方プレイヤとして設定される。味方プレイヤがメンバー数、ここでは4名に達しない場合には、他の店舗からの参加希望者を充当するようにすればよい。敵側のグループも同様にして決定される。
【0070】
あるいは、複数プレイヤの射撃ゲームに参加する場合に、同一店舗のゲーム端末1(最初に受付したマスター機)を指定して仲間であることをモニタ11の画面を利用して指定可能にすることで、同時参加の仲間を確実にメンバーとすることができる。
【0071】
通信制御部361dは、選定部361cによって、プレイヤと仮想ゲーム空間との紐付けが決定すると、該プレイヤが参加受付を行ったゲーム端末1に、その旨の情報を送信するようにしている。また、通信制御部361dは、仮想ゲーム空間に全てのプレイヤが紐付けられると、各プレイヤ情報(少なくとも各プレイヤが操作するゲーム端末1及び当該ゲーム端末1が設置されている店舗の識別情報)を互いのゲーム端末1に送信するようにしている。これにより、各ゲーム端末1間で、操作情報を授受することが可能となる。
【0072】
次に、図11〜図17により、射撃ゲームのゲーム画面の例を説明する。図4の表示モード指示部161jから出力される、2D表示モードを3D立体視表示モードへ切り替える指示信号は、以下のゲーム進行状況に達するときに生成される。なお、ボタン15を押下することで、例えば交互に表示モードの変更指示が可能であるが、他の条件によって、2D表示モードから3D立体視表示モードに切り替わってもよい。そして、所定のゲーム状況が終了した時点で2D表示モードに自動的に戻るようにしてもよいし、ボタン15が押下されるまで3D立体視表示モードのままとしてもよい。
【0073】
図11は、戦闘画像で自己キャラクタP11の他に、仲間キャラクタP12が表示されているが、特に、モニタ11画面に敵キャラクタP21が出現した場合を想定したシーンである。このようなシーンでは、迫力ある表示が好ましいことから、敵キャラクタの出現という状況が判断されて、3D立体視表示モードに切り替えられる。
【0074】
図12は、自己キャラクタP11と敵キャラクタP21とが格闘する場合を想定したシーンである。このシーンにおいても、迫力ある表示が好ましいことから、3D立体視表示モードとされる。格闘開始の状況が判断されると、3D立体視表示モードに切り替えられる。
【0075】
図13,図14は爆発を想定したシーンで、図13は、手榴弾による攻撃シーンであり、図14は、オブジェクトの爆発シーンである。これらのシーンは、攻撃の迫力さを演出する上で、3D立体視表示モードとされる。手榴弾が投擲された状況が判断され、また爆発発生が判断されると、3D立体視表示モードに切り替えられる。
【0076】
図15,図16は、銃を構えた状況を想定したシーンで、図15は肩越し(TPS)表示であり、図16は、銃口位置(FPS)表示である。銃を構える場合は射撃直前であるから、遠近感に対して迫力が求められる。そこで、トリガボタン32の押下が判断されると、3D立体視表示モードに切り替えられる。なお、遠近の迫力という点から、図16の場合のみ、3D立体視表示モードに切り替えられるようにしてもよい。
【0077】
図17は、自己キャラクタP11が飛んでいる場合を想定したシーンである。同様に、ヘリコプター等の乗り物に搭乗している場合も同様に、空中での遠近感の迫力を演出する必要から、飛行中であることが判断されると、3D立体視表示モードで表示される。
【0078】
図18は、2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更を説明する図で、図(a)は2台の仮想カメラの位置関係、すなわち離間距離の関係を示し、図(b)はプレイヤに与える立体感の大きさの違いを示し、図(c)は、立体感の大きさの違いのイメージ図である。
【0079】
図18(a)の左側の図に示すように、仮想カメラ60L,60Rを重ねる(離間距離がゼロ、かつ視線方向が一致)と、同図(b)、(c)の左側の図に示すように、画像は2D表示モードで表示される。一方、3D立体視表示モードでは仮想カメラ60L,60Rの離間距離は、所定の位置関係P1に設定される。そして、図18の例では、仮想カメラ60L,60Rが重なる位置関係P4にある状態と位置関係P1になる状態との間に、過渡的に2段階の位置関係P2,P3が設定されている。位置関係P2は仮想カメラ60L,60Rの離間距離が位置関係P1の離間距離より短い所定距離に設定され、位置関係P3は仮想カメラ60L,60Rの離間距離が位置関係P2に比して短い所定距離である。位置関係P1に対して位置関係P2,P3は、この順で3D立体視表示の立体感が小さくなる。この実施形態では、仮想カメラ60L,60Rの視線方向は、所定の被写体(あるいは所定の前方距離)を想定して交差するように設定されている。なお、図18(b)、(c)では、表示スペースの関係上、位置関係P1とP3とが示されている。また、過渡的表示における途中の位置関係は、P2、P3の2段階に限定されず、任意の段数が採用可能である。
【0080】
図19、図20は、2台の仮想カメラの位置関係の変化の他の実施形態を示す図である。図19は、仮想カメラ60L,60Rの視線方向が互いに平行で、離間距離のみが変更される場合である。図20は、仮想カメラ60L,60Rの離間距離を一定とし、視線方向を近距離(立体感が大きい状態)から遠距離(立体感が小さい状態)に変更する場合である。なお、図19、図20には、2D表示モードは示されていない。
【0081】
図21〜図23は、2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更における変位速度の各態様を説明する図である。図21〜図23における表示モードの過渡的な変更は、図示の通り多数段で行われ、実質的に連続的に近い状態である。図21では、3D立体視表示モードから2D表示モードへの変位速度は、仮想カメラ60L,60Rが最も離間した位置関係にある位置から重なる位置に変更する方向に対して、初期及び後期の速度が速く、中期の速度が遅いように設定されている。図22では、初期の速度が遅く、後期の速度が速くなるように設定されている。より詳細には、速度が徐々に加速するように設定されている。図23では、図22とは逆に、初期の速度が速く、後期の速度が遅くなるように設定されている。より詳細には、速度が徐々に減速するように設定されている。速度変更は、例えば、一定時間毎に設定される離間距離の変化量の大小によって実現される。なお、視線方向は全て平行となっているが、所定のオブジェクトOBで、あるいは所定の前方距離で交差する向きとしてもよい。また、2D表示モードから3D立体視表示モードへの変位速度は、図21〜図23に示されているように前記の逆となるが、これに限定されず、3D立体視表示モードから2D表示モードへの変位速度の変化状況と同一になるようにしてもよい。
【0082】
2D表示モードと3D立体視表示モードとの間の過渡的な変更を実現するべく、ROM163には、2D表示モードから3D立体視表示モードへの過渡的変更を実現するための仮想カメラ60L,60Rの複数段の離間距離情報が記憶されている。同様に、3D立体視表示モードから2D表示モードへの過渡的変更を実現するための仮想カメラ60L,60Rの複数段の離間距離情報が記憶されている。表示モード切替処理部161kは表示モードの変更が指示されると、ROM163から仮想カメラ60L,60Rの複数段の離間距離情報を順次読み出すことで表示モードの変更を行うようにしている。
【0083】
続いて、図24は、ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行されるゲーム処理の手順を説明するフローチャートである。先ず、受付終了か否かが判断され(ステップS1)、終了していなければ、本フローを抜ける。一方、受付終了であれば、モニタ11に対戦ゲームモードの選択用ボタンが表示される等によって、対戦ゲームモード選択処理が実行される(ステップS3)。なお、ステップS3における画面の表示は、3D立体視表示モードで行われてもよい。例えば、2台の仮想カメラが重なった状態(2D表示モード)から予め設定された立体感を付与する離間距離に過渡的に変更されて3D立体視表示モードに切り替えられるように設定される。
【0084】
対戦ゲームモード等の選択が終わると、対戦開始となるので、この時点で、2D表示モードと3D立体視表示モードの指示信号の割込許可が設定される(ステップS5)。続いて、対戦開始とされる(ステップS7)。
【0085】
対戦では、以下の処理が繰り返されることで、対戦が進行する。すなわち、本実施形態では、ジョイスティック41が操作されたか否かが判断され(ステップS9)、この判断が否定されると、光学式マウス31が操作されたか否かが判断され(ステップS13)、この判断が否定されると、構えボタン42が操作されたか否かが判断され(ステップS17)、この判断が否定されると、トリガボタン32が操作されたか否かが判断され(ステップS21)、この判断が否定されると、アクションボタン44が操作されたか否かが判断され(ステップS25)、この判断が否定されると、姿勢変更ボタン33が操作されたか否かが判断され(ステップS29)、この判断が否定されると、ポイントの計算処理が実行される(ステップS33)。ステップS33は、全ての判断が否定された場合、計算処理はスルーされることとなる。
【0086】
上記各判断に対して、それぞれ対応する処理が実行される。すなわち、ジョイスティック41が操作されると、自己キャラクタの移動処理が実行され(ステップS11)、光学式マウス31が操作されると、仮想カメラ60L,60Rが移動処理が実行され(ステップS15)、構えボタン42が操作されると、仮想カメラ60L,60Rが図15の肩越し(TPS)表示、又は図16の銃口位置(FPS)表示のいずれかに設定される(ステップS19)。さらに、トリガボタン32が操作されると、射撃処理が実行され(ステップS23)、アクションボタン44が操作されると、格闘で技を繰り出し(ステップS27)、姿勢変更ボタン33が操作されると、自己キャラクタの姿勢が変更される(ステップS31)。そして、各処理が終了する毎に、ポイントの加算計算の処理が行われる(ステップS33)。以上の各処理によって、プレイヤの操作に応じて、さらにはゲームプログラムに従ったゲーム進行が行われる。
【0087】
次いで、所定のゲーム時間が経過して、タイムアップに達したか否かが内部タイマ(図略)で判断され(ステップS35)、タイムアップでなければ、ステップS9に戻る。一方、タイムアップであれば、表示モードが3D立体視表示モードであれば、3D立体視表示モードから2D表示モードへ過渡的に切り替えられた後、ゲーム終了時の結果処理、例えばポイントの取得状況、勝敗、結果表示のための各処理が実行され(ステップS37)、本フローが終了する。
【0088】
図25は、ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行される、ゲーム開始からゲーム終了までの2D表示モードと3D立体視表示モードとの間での切り替え処理の割込の手順を説明するフローチャートである。まず、2D表示モードから3D立体視表示モードへの切り換えの指示信号か否かが判断され、肯定されると、現在の表示モードが3D立体視表示モードか否かが判断される(ステップS53)。現在の表示モードが3D立体視表示モードであると、本フローを抜ける。一方、現在の表示モードが3D立体視表示モードでなければ、仮想カメラ60L,60Rの位置が、重なった状態から順次離間距離が大きくなる方向に過渡的に変更されて所定の離間した位置関係に設定される(ステップS55)。
【0089】
一方、ステップS51で、2D表示モードから3D立体視表示モードへの切り換えの指示信号でなければ、現在の表示モードが2D表示モードか否かが判断される(ステップS57)。現在の表示モードが2D表示モードであると、本フローを抜ける。一方、現在の表示モードが2D表示モードでなければ、仮想カメラ60L,60Rの位置が、所定の離間した位置関係から、順次離間距離が小さくなる方向に過渡的に変更されて、最終的に位置及び視線方向が一致するように設定される(ステップS59)。
【0090】
なお、図24、図25で示した、2D表示モードと3D立体視表示モードとの間での過渡的な表示モードの切り替え処理(仮想カメラ60L,60Rの変位処理)は、例えば以下のようにして実行される。表示モードの切り替えの指示信号の入力を受け付けると、2D表示モードから3D立体視表示モードか、その逆かによって、予めROM163に予め記憶されている複数段の離間距離情報の読み出し内容が相違するものの、2台の仮想カメラ60L,60Rに設定される位置変更を行う処理を、前記複数段の処理が終了するまで(内部タイマで計時される)所定の一定時間毎に各段について行うようにすればよい。この時、互いに隣接する各段間の離間距離の差を、図21〜図23の例に示すように予め大小設定してROM163に格納しておくことで、変位速度を調整することが可能となる。あるいは、逆に、互いに隣接する各段間の離間距離の差を一定にしておき、1段毎の時間間隔を長短変更するようにして変位速度を調整するようにしてもよい。
【0091】
なお、上記において、2D表示モードから3D立体視表示モードへ切り替えの指示信号の割込は、押し込み式ボタン15が押下された場合の他、ゲーム進行が、図11〜図17の状況に移行したことを条件とする場合も含めてもよい。
【0092】
なお、本発明は、以下の態様が採用可能である。
【0093】
(1)本実施形態では、第1、第2の操作部30,40を採用した対戦ゲームとしたが、本発明は種々のゲームに適用可能であり、第1、第2の操作部30,40は一例である。ゲームとしては、仮想ゲーム空間でゲームが実行され、かつ仮想カメラが仮想ゲーム空間内をゲーム進行等に応じて、またプレイヤの操作に応じて移動可能な態様であればよい。また、ゲームの種類としては、格闘ゲーム、野球やサッカーを模擬した対戦ゲーム、タイムトライアル等の競争ゲーム、麻雀ゲーム、キャラクタを育成する育成ゲーム等にも適用可能である。
【0094】
(2)また、本実施形態では、めがねを必須の要素としたが、以下の態様を採用する場合は、めがねを採用しない態様でもよい。すなわち、非めがね式の一例としてのパララックスパノラマグラム方式やレンチキュラ方式を採用してもよい。
【0095】
(3)本実施形態では、2D表示モードでの描画を、3D立体視表示モードの場合と同一方法で画像記憶部162L,162Rを動作させたが、これに代えて、2D表示モードでは、画像記憶部162L,162Rの一方を用いて、各ラインの画像を読み出して、モニタ11へ出力する態様でもよい。これによれば、2D表示を、一方の画像記憶部のみで得ることができる。
【0096】
(4)本実施形態では、2台の仮想カメラ60L,60Rで撮影された各ゲーム画像を画像記憶部162L,162Rに一旦書き込むようにしたが、画像メモリ162L,162Rを採用せず、直接ビデオRAM162Cにライン毎に交互に書き込むようにしてもよい。この場合、ビデオRAM162Cが画像記憶部162L,162Rとして機能する。なお、左右画像を行方向に交互に配置したが、行列の一方、すなわち列方向でもよい。
【0097】
また、画像記憶部162L,162Rの記憶容量をモニタ11のピクセル数の1/2とする一方、仮想カメラ60L,60Rは、それぞれモニタ11のピクセル数に対応する画素数で仮想ゲーム空間内を写す態様としてもよい。具体的には、仮想カメラ60Lで写された画像のうち奇数行目の画像を画像記憶部162Lの1行目からn行目に書き込み、仮想カメラ60Rで写された画像のうち偶数行目の画像を画像記憶部162Rの1行目からn行目に書き込むようにし、さらに、画像記憶部162Lの画像データをビデオRAM162C(行方向に2n)の奇数行目に書き込ませ、画像記憶部162Rの画像データをビデオRAM162Cの偶数行目に書き込ませるようにすればよい。このように、3D立体視表示において2D表示と等しい解像度を得る場合、画像記憶部162L,162Rの記憶容量をモニタ11のピクセル数に合わせる必要は必ずしもなく、仮想カメラで写される画素データがピクセルス数に合っていれば、信号処理によって同一の解像度を実現することが可能である。
【0098】
(5)本実施形態では、2D表示モードと3D立体視表示モードの双方の切り替えにおいて過渡的な表示を行ったが、表示モードの変更に起因する眼乃至は脳の受ける刺激の大きさからして、過渡的な表示は、2D表示モードから3D立体視表示モードへの変更において実施するようにしてもよい。
【0099】
(6)また、仮想カメラ60としては1台であって、仮想カメラ60Lは、仮想カメラ60が第1の仮想カメラ位置に配置されて第1の画像データを写すものであり、仮想カメラ60Rは、仮想カメラ60が第2の仮想カメラ位置に配置されて第2の画像データを写すものであるように、位置を連続的に、好ましくは交互に移動して、各位置で画像を写すようにしてもよい。この時、一方の仮想カメラ位置が特定された後に他方のカメラ位置を特定する方法でも良いし、2つの仮想カメラ位置の中間位置を特定した後に2つの仮想カメラ位置の所定距離からの差分で左右カメラ位置を特定して画像を作成する。これによれば、カメラが1台で済むので、処理が簡易になる。
【符号の説明】
【0100】
1 ゲーム端末(ビデオゲーム装置)
10 モニタ部
11 モニタ(表示部)
15 押込式ボタン(表示モード指示手段)
161c 画像表示制御部(画像表示制御手段)
161d 仮想カメラ制御部(仮想カメラ制御手段)
161j 表示モード指示部(表示モード指示手段)
161k 表示モード切替処理部(表示モード切替処理手段)
162L,162R 画像記憶部
162C ビデオRAM
60L,60R 仮想カメラ(第1、第2の仮想カメラ)
71 視差バリア部材
72 めがね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で移動する仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像をプレイヤに提示するビデオゲーム装置において、
表示画面に3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置された表示部と、
前記仮想ゲーム空間内で画像を写す第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御手段と、
前記第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データを第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶し、前記第1、第2の画像記憶部の画像データをライン毎に用いることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像を生成し、前記表示部に出力する画像表示制御手段と、
前記2D表示モードと前記3D立体視表示モードとを選択的に指示する表示モード指示手段と、
前記表示モード指示手段の指示に基づいて、第1、第2の仮想カメラ位置を一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理手段とを備えたことを特徴とするビデオゲーム装置。
【請求項2】
仮想カメラ制御手段は、3D立体視表示モードの設定において前記第1、第2の仮想カメラを互いに交叉する所定の視線方向に設定することを特徴とする請求項1に記載のビデオゲーム装置。
【請求項3】
表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更に伴う第1、第2の仮想カメラの変位速度を、経時方向に変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載のビデオゲーム装置。
【請求項4】
前記変位速度は、初期が後期に比して高速であることを特徴とする請求項3に記載のビデオゲーム装置。
【請求項5】
前記変位速度は、初期が後期に比して低速であることを特徴とする請求項3に記載のビデオゲーム装置。
【請求項6】
前記変位速度は、中期が初期及び後期に比して低速であることを特徴とする請求項3に記載のビデオゲーム装置。
【請求項7】
前記変位速度の変化状況は、前記2D表示モードから前記3D立体視表示モードへの表示モードの変更と、その逆における変更とで、異なることを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載のビデオゲーム装置。
【請求項8】
表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更中、前記第1、第2の仮想カメラの視線方向を互いに平行に設定していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のビデオゲーム装置。
【請求項9】
表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更中、前記第1、第2の仮想カメラの視線方向を前記仮想ゲーム空間内の所定位置を指向させていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のビデオゲーム装置。
【請求項10】
表示画面に3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置された表示部を備え、プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で移動する仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像を前記表示部に表示するビデオゲーム装置の表示モード切替制御方法において、
前記仮想ゲーム空間内で画像を写す第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御ステップと、
前記第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データを第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶し、前記第1、第2の画像記憶部の画像データをライン毎に用いることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像を生成し、前記表示部に出力する画像表示制御ステップと、
前記2D表示モードと前記3D立体視表示モードとを選択的に指示する表示モード指示ステップと、
前記表示モード指示ステップでの指示に基づいて、前記第1、第2の仮想カメラ位置を一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理ステップとを備えたことを特徴とする表示モード切替制御方法。
【請求項1】
プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で移動する仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像をプレイヤに提示するビデオゲーム装置において、
表示画面に3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置された表示部と、
前記仮想ゲーム空間内で画像を写す第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御手段と、
前記第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データを第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶し、前記第1、第2の画像記憶部の画像データをライン毎に用いることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像を生成し、前記表示部に出力する画像表示制御手段と、
前記2D表示モードと前記3D立体視表示モードとを選択的に指示する表示モード指示手段と、
前記表示モード指示手段の指示に基づいて、第1、第2の仮想カメラ位置を一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理手段とを備えたことを特徴とするビデオゲーム装置。
【請求項2】
仮想カメラ制御手段は、3D立体視表示モードの設定において前記第1、第2の仮想カメラを互いに交叉する所定の視線方向に設定することを特徴とする請求項1に記載のビデオゲーム装置。
【請求項3】
表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更に伴う第1、第2の仮想カメラの変位速度を、経時方向に変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載のビデオゲーム装置。
【請求項4】
前記変位速度は、初期が後期に比して高速であることを特徴とする請求項3に記載のビデオゲーム装置。
【請求項5】
前記変位速度は、初期が後期に比して低速であることを特徴とする請求項3に記載のビデオゲーム装置。
【請求項6】
前記変位速度は、中期が初期及び後期に比して低速であることを特徴とする請求項3に記載のビデオゲーム装置。
【請求項7】
前記変位速度の変化状況は、前記2D表示モードから前記3D立体視表示モードへの表示モードの変更と、その逆における変更とで、異なることを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載のビデオゲーム装置。
【請求項8】
表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更中、前記第1、第2の仮想カメラの視線方向を互いに平行に設定していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のビデオゲーム装置。
【請求項9】
表示モード切替処理手段は、前記位置関係の過渡的な変更中、前記第1、第2の仮想カメラの視線方向を前記仮想ゲーム空間内の所定位置を指向させていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のビデオゲーム装置。
【請求項10】
表示画面に3D立体視を可能にする視差バリア部材が配置された表示部を備え、プレイヤからの操作部材への操作に応じて仮想ゲーム空間内で移動する仮想カメラの視線方向の画角内に写るゲーム画像を前記表示部に表示するビデオゲーム装置の表示モード切替制御方法において、
前記仮想ゲーム空間内で画像を写す第1、第2の仮想カメラ位置及び視線を一致させる位置関係を有する2D表示モードと前記仮想ゲーム空間内で前記第1、第2の仮想カメラを所定の離間した位置関係にする3D立体視表示モードとを選択的に実行する仮想カメラ制御ステップと、
前記第1、第2の仮想カメラで写された第1、第2の画像データを第1、第2の画像記憶部に一時的に記憶し、前記第1、第2の画像記憶部の画像データをライン毎に用いることにより前記第1、第2の仮想カメラによって撮影されたゲーム画像を生成し、前記表示部に出力する画像表示制御ステップと、
前記2D表示モードと前記3D立体視表示モードとを選択的に指示する表示モード指示ステップと、
前記表示モード指示ステップでの指示に基づいて、前記第1、第2の仮想カメラ位置を一方の表示モードにおける位置関係から他方の表示モードにおける位置関係に向けて過渡的に変更する表示モード切替処理ステップとを備えたことを特徴とする表示モード切替制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−24636(P2011−24636A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170650(P2009−170650)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】
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