説明

ビデオディスク及びビデオ再生装置

【課題】ビデオ再生装置が用いられる環境に応じた適切な形態でビデオコンテンツを再生表示できる「ビデオディスク及びビデオ再生装置」を提供する。
【解決手段】HD DVD2に標準プレイヤ用のプレイリストに加え、車載のビデオ再生装置におけるプレゼンテーションに適した形態で、そのプレゼンテーションが行われるように作成した車載プレイヤ用プレイリストを記録する。車載のビデオ再生装置1は、HD DVD2の再生を開始したならば、HD DVD2に、車載プレイヤ用プレイリストが記録されているかどうかを調べ、記録されていれば、記録されている車載プレイヤ用プレイリストの内からイニシャルプレイリストを選択し、選択した、イニシャルプレイリストに従った各プレゼンテーションオブジェクトの再生制御を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されたビデオ再生装置においてビデオディスクを再生する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオディスクを再生するビデオ再生装置としては、HD DVD-Video規格でビデオコンテンツが記録されたHD DVDを再生するビデオ再生装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2007-318615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
HD DVD-Video規格やBD-Video規格は、多機能、高精細なビデオコンテンツのプレゼンテーションを指向しており、ビデオコンテンツの表示に比較的大型の表示装置が用いられることを前提として作成されていることが多い。
そして、このために、比較的小型の表示装置が用いられる車載のビデオ再生装置において、これらの規格でビデオコンテンツが記録されたビデオディスクを再生表示すると、ビデオコンテンツの定義に従って表示されるユーザ操作受け付け用のボタンなどが視認が困難なほどに小さく表示されてしまうことがある。
【0004】
一方、比較的小型の表示装置が用いられる車載のビデオ再生装置においても支障が生じないようにビデオコンテンツを製作すると、比較的大型の表示装置をビデオコンテンツの表示に用いる場合にも、これら規格が持つ本来のポテンシャルを発揮できなくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ビデオ再生装置において、ビデオ再生装置が用いられる環境に応じた適切な形態でビデオコンテンツを再生表示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、少なくともビデオオブジェクトを含むプレゼンテーションオブジェクトと、プレゼンテーションオブジェクトの再生制御の内容を規定するプレイリストとを記録したビデオディスクに、前記プレイリストとして、標準的なビデオ再生装置で当該ビデオディスクを再生する場合の再生制御の内容を規定した第1のプレイリストと、車載ビデオ再生装置で当該ビデオディスクを再生する場合の再生制御の内容を規定した第2のプレイリストとを記憶するようにしたものである。ここで、前記第2のプレイリストは、たとえば、車載ビデオ再生装置専用に定められた所定の規格に従って前記再生制御の内容を規定するものである。
【0007】
また、本発明は前記課題達成のために、上記第2のプレイリストを記録したビデオディスクを再生可能な車載ビデオ再生装置に、ビデオディスク再生開始時に、当該ビデオディスクに前記第2のプレイリストが記録されているかどうかを検出するプレイリスト検出手段と、前記プレイリスト検出手段が前記第2のプレイリストを検出した場合に、当該第2のプレイリストを、当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定し、前記プレイリスト検出手段が前記第2のプレイリストを検出できなかった場合に、当該ビデオディスクに記録されている第1のプレイリストを当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定するプレイリスト選択手段とを備えたものである。
【0008】
以上のようなビデオディスクや車載ビデオ再生装置によれば、同じビデオディスクについて、車載ビデオ再生装置では第2のプレイリストを用いた再生制御を行い、他のビデオ再生装置では第1のプレイリストを用いた再生制御を行うようにすることができるので、第1のプレイリストと第2のプレイリストとを適当に作成することにより、同じビデオディスクが、標準的なビデオ再生装置では、標準的なビデオ再生装置に適した形態のプレゼンテーションが行われるように再生され、車載ビデオ再生装置では、車載ビデオ再生装置に適した形態のプレゼンテーションが行われるように再生されるようにすることができる。
【0009】
ここで、このような車載ビデオ再生装置は、前記プレイリスト選択手段において、前記プレイリスト検出手段が前記第2のプレイリストを検出できなかった場合に、当該ビデオディスクに記録されている第1のプレイリストを、予め定めておいた車載ビデオ再生装置で用いられるべきプレイリストの制限事項を満たすプレイリストに変換した上で、当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定するように構成してもよい。
【0010】
このようにすることにより、第2のプレイリストが記録されていないビデオディスクについても、車載ビデオ再生装置に適した形態のプレゼンテーションが行われるように、その再生を行うことができる。
また、前記課題達成のために、本発明は、ビデオタイトルを記録したビデオディスクであって、当該ビデオディスク再生時に実行されるアプリケーションを前記ビデオタイトルと共に記録したビデオディスクに、前記アプリケーションとして、当該ビデオディスクを再生している装置が車載ビデオ装置であるかを判別し、当該ビデオディスクを再生している装置が車載ビデオ装置であるか否かに応じて、異なる処理を行うアプリケーションを記録するようにしたものである。
【0011】
このようにすることにより、たとえば、メニューを表示するアプリケーションにおいて、車載ビデオ再生装置で再生されている場合と他のビデオ再生装置で再生されている場合とにおいて、それぞれの場合に適する形態でメニューを表示したりすることができるようになる。よって、上記第2のプレイヤ用プレイリストを用いずに、同じビデオディスクを、標準的なビデオ再生装置では、標準的なビデオ再生装置に適した形態のプレゼンテーションが行われるように再生され、車載ビデオ再生装置では、車載ビデオ再生装置に適した形態のプレゼンテーションが行われるように再生されるようにすることができる。
【0012】
なお、以上のビデオディスクは、たとえば、HD DVD-Video規格に従ってビデオコンテンツを記憶したHD DVDであってもよいし、BDMV規格に従ってビデオコンテンツを記憶したBlu-ray Discであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、ビデオ再生装置において、ビデオ再生装置が用いられる環境に応じた適切な形態でビデオコンテンツを再生表示できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るビデオ再生装置を、HD DVD-Video規格によるビデオコンテンツを記録したHD DVDを再生するビデオ再生装置への適用を例にとり説明する。
図1に、本実施形態に係るビデオ再生装置の構成を示す。
本実施形態に係るビデオ再生装置は自動車に搭載されるビデオ再生装置であり、図示するように、ビデオ再生装置1は、データアクセスマネージャ11、データキャッシュ12、ナビゲーションマネージャ13、プレゼンテーションエンジン14、AVレンダラ15、メモリ16、入力装置17、液晶表示装置などの比較的小型の表示装置18、スピーカ19とを備えている。
【0015】
なお、このようなビデオ再生装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたコンピュータであって良く、この場合、以上に示したビデオ再生装置1の入力装置17、表示装置18、スピーカ19を除く各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、当該コンピュータに提供されるものであって良い。
【0016】
次に、図2に、本実施形態に係るHD DVDの記録内容について説明する。
図2aに示すように、HD DVDには、アドバンスドコンテンツが記録されており、アドバンスドコンテンツは、プライマリビデオセットと、セカンダリビデオセットと、アドバンスドサブタイトルと、アプリケーションとの4種類のプレゼンテーションオブジェクトと、これら4種類のプレゼンテーションオブジェクトの再生制御情報であるプレイリストとが記録されている。また、このプレイリストとして、車載プレイヤ用プレイリストと、標準プレイヤ用プレイリストとの2種類のプレイリストが、各々ファイルとして記録されている。
【0017】
ここで、車載プレイヤ用プレイリストと、標準プレイヤ用プレイリストとは、図2bに車載プレイヤ用プレイリストの内容を、図2cに標準プレイヤ用プレイリストの内容を示すように、プレイリスト中に含まれるdescriptionの記述内容によって、その識別が行えるようになっている。すなわち、車載プレイヤ用プレイリストには、description = CarProfileが記述されており、標準プレイヤ用プレイリストには、description = StandardProfileが記述されている。
【0018】
さて、図1に戻り、ビデオ再生装置1において、ナビゲーションマネージャ13は、後述する再生制御処理において、アクティブプレイリストとされたプレイリストを、データアクセスマネージャ11やデータキャッシュ12を介してHD DVD2より読み出し、呼び出したアクティブプレイリストに基づいて、タイトルを単位として、プライマリビデオセットやセカンダリビデオセットやアプリケーションやアドバンスドサブタイトルの再生を制御する。
【0019】
プレゼンテーションエンジン14は、ナビゲーションマネージャ13の制御下で、HD DVD2やパーシスタントストレージ3やネットワーク上のネットワークサーバ4から取得したデータから、プライマリビデオセットやセカンダリビデオセットやアプリケーションやアドバンスドサブタイトルの出力映像と出力音声をデコードする。そして、AVレンダラ15は、プレゼンテーションエンジン14でデコードされた各出力映像を描画、合成し、表示装置18に表示し、プレゼンテーションエンジン14でデコードされた各出力音声を合成し、スピーカ19に出力する。
【0020】
ここで、プライマリビデオセットとセカンダリビデオセットはビデオオブジェクトであり、アドバンスドサブタイトルは字幕オブジェクトである。
一方、アプリケーションは、マニュフェスト、マークアップ、スクリプトより成り、マニュフェストは、アプリケーションの初期化情報を表すものである。
また、マークアップは、ボタン、画像、音声、アニメーション、フォントなどを用いて構築されるアプリケーションの出力映像/音声を定義するものであり、このマークアップを用いて、メニューなどのインタアクティブなユーザインタフェースを定義することができる。
そして、スクリプトは、各アプリケーションやビデオ再生装置の各種再生動作を制御するプログラムであり、当該スクリプトには、入力装置17のキー操作の発生に応答して所定の処理を行うスクリプトや、マークアップの定義に従って表示されるアプリケーションの出力映像であるメニュー上のボタン等の表示オブジェクトの選択操作によって起動されるスクリプトなどを含めることができる。
【0021】
以下、このようなビデオ再生装置1において、ナビゲーションマネージャ13が行う再生制御処理について説明する。
この再生制御処理は、HD DVD2の再生開始時に実行される処理であり、図示するようにこの処理では、まず、HD DVD2に、車載プレイヤ用プレイリストが記録されているかどうかを調べ(ステップ302)、記録されていれば、記録されている車載プレイヤ用プレイリストの内の、プレイリストのファイル名の後尾に含まれる番号が最も大きいプレイリストを、イニシャルプレイリストとして選択する(ステップ304)。ただし、車載プレイヤ用プレイリストとして、オーディオのみのプレゼンテーションのプレイリストであるAPLSTと、ビデオとオーディオのプレゼンテーションのプレイリストVPLSTの双方が含まれる場合には、車載プレイヤ用プレイリストであるAPLSTと車載プレイヤ用プレイリストであるVPLSTとのうちの、ビデオ再生装置1で採用するポリシーに従って定まる一方であるところのプレイリストのうちで、ファイル名の後尾に含まれる番号が最も大きいプレイリストをイニシャルプレイリストとして選択する。ここで、このポリシーは、たとえば、車載プレイヤ用プレイリストとしてAPLSTとVPLSTの双方が含まれる場合には常にAPLSTをイニシャルプレイリストとして選択するといったものとしてもよいし、逆に、車載プレイヤ用プレイリストとしてAPLSTとVPLSTの双方が含まれる場合には常にVPLSTをイニシャルプレイリストとして選択するといったものとしてもよい。または、このポリシーは、車載プレイヤ用プレイリストとしてAPLSTとVPLSTの双方が含まれる場合において、ビデオ再生装置1が搭載された自動車が走行中である場合にはAPLSTをイニシャルプレイリストとして選択し、自動車が駐車中である場合にはVPLSTをイニシャルプレイリストとして選択するといった、自動車の状態に応じてイニシャルプレイリストとして選択するプレイリストを切り替えるものとしてもよい。なお、車載プレイヤ用プレイリストとしてAPLSTとVPLSTのうちの一方のみが含まれる場合には、その含まれる方の車載プレイヤ用プレイリストがイニシャルプレイリストとして選択されることになる。
【0022】
そして、イニシャルプレイリストをアクティブプレイリストに設定し、アクティブプレイリストに従った各プレゼンテーションオブジェクトの再生制御を開始する(ステップ306)。そして、以降は、アプリケーション等によるアクティブプレイリストとするプレイリストの切り替え要求の発生を監視し(ステップ308)、切り替え要求が発生したならばアクティブプレイリストとするプレイリストを要求された切り替え先のプレイリストに切り替え、切り替え後のアクティブプレイリストに従った各プレゼンテーションオブジェクトの再生制御を開始する(ステップ310)。そして、プレイリストの切り替え要求の発生の監視(ステップ308)に戻る。
【0023】
一方、HD DVD2に、車載プレイヤ用プレイリストが記録されていない場合には(ステップ302)、HD DVD2に、記録されているプレイリストの内の、プレイリストのファイル名の後尾に含まれる番号が最も大きいプレイリストを、イニシャルプレイリストとして選択する(ステップ310)。
【0024】
ただし、プレイリストとして、APLSTとVPLSTの双方が含まれる場合には、APLSTとVPLSTとのうちの、ビデオ再生装置1が採用するポリシーに従って定まる一方であるところのプレイリストのうちで、ファイル名の後尾に含まれる番号が最も大きいプレイリストをイニシャルプレイリストとして選択する。なお、このポリシーは、APLSTとVPLSTの双方が含まれている場合には、前述したポリシーと同様に、常にAPLSTをイニシャルプレイリストとして選択する/常にVPLSTをイニシャルプレイリストとして選択する、自動車が走行中である場合にはAPLSTをイニシャルプレイリストとして選択し、自動車が駐車である場合にはVPLSTをイニシャルプレイリストとして選択するといったようなものであってよい。
そして、このように選択したイニシャルプレイリストをカレントプレイリストに設定する(ステップ314)。
【0025】
また、次に、カレントプレイリストを、carprofileに適合するように編集してローカライズプレイリストを作成し(ステップ316)、作成したローカライズプレイリストを、アクティブプレイリストに設定し、設定したアクティブプレイリストに従った各プレゼンテーションオブジェクトの再生制御を開始する(ステップ318)。
ここで、このカレントプレイリストからのローカライズプレイリストへの、carprofileに適合するように行う編集の内容については後述する。
そして、このようにしてアクティブプレイリストに従った各プレゼンテーションオブジェクトの再生制御を開始したならば、以降、アプリケーション等によるプレイリストの切り替え要求の発生を監視し(ステップ320)、プレイリストの切り替え要求が発生したならば要求された切り替え先のプレイリストをカレントプレイリストに設定し(ステップ322)、ステップ316に戻って、設定したカレントプレイリストをローカライズプレイリストに編集した上で、この編集したローカライズプレイリストに、アクティブプレイリストとするプレイリストを切り替え、切り替え後のアクティブプレイリストに従った各プレゼンテーションオブジェクトの再生制御を開始する(ステップ318)、そして、プレイリストの切り替え要求の発生の監視(ステップ320)に戻る。
【0026】
以上、ナビゲーションマネージャ13が行う再生制御処理について説明した。
ここで、図2b、cに示した車載プレイヤ用プレイリストと標準プレイヤ用プレイリストについて説明する。
標準プレイヤ用プレイリストは、従来のHD DVD-Video規格に従ったプレイリストと同様のプレイリストであり、HD DVD2の制作者は、この標準プレイヤ用プレイリストや標準プレイヤ用プレイリストで再生される各プレゼンテーションオブジェクトを、ユーザが自由に各種操作を行うことが可能かつ比較的大型の表示装置18が表示に用いられる環境下でのプレゼンテーションに適した形態のプレゼンテーションが行われるように作成することができる。
【0027】
一方、HD DVD2の制作者は、車載プレイヤ用プレイリストや車載プレイヤ用プレイリストで再生される各プレゼンテーションオブジェクトは、車載のビデオ再生装置が再生に利用される環境下、すなわち、運転者であるユーザになるべく操作を行わせないことが好ましく、かつ、比較的小型の表示装置18が表示に用いられる環境下でのプレゼンテーションに適した形態のプレゼンテーションが行われるように作成する。
【0028】
すなわち、たとえば、HD DVD2の制作者は、標準プレイヤ用プレイリストによって、あるタイトル#mを再生する場合には、図4a1に示すように、当該タイトル#mのプライマリビデオセットの再生と共に、アドバンスドサブタイトル、アプリケーション1、アプリケーション2が実行されて、図4a2に示すように、主映像401と共に字幕402や子画面を用いたサブビデオ403や小さなボタンを用いたメニュー404が表示されるように、標準プレイヤ用プレイリストや標準プレイヤ用プレイリストで再生される各プレゼンテーションオブジェクトを作成しつつ、車載プレイヤ用プレイリストによって、当該タイトル#mを再生する場合には、図4b1に示すように、当該タイトル#mのプライマリビデオセットと共にアプリケーション3のみが再生され、図4b2に示すように、主映像401と共に、大きなボタンを用いたメニュー405のみが表示されるように、車載プレイヤ用プレイリストや車載プレイヤ用プレイリストで再生される各プレゼンテーションオブジェクトを作成する。
【0029】
なお、HD DVD2の制作者は、各プレイリストのファイル名を、APLSTについてはAPLST+番号、VPLSTについてはVPLST+番号とすると共に、標準プレイヤ用プレイリストであるAPLST、標準プレイヤ用プレイリストであるVPLST、車載プレイヤ用プレイリストであるAPLST、車載プレイヤ用プレイリストであるVPLSTのそれぞれのグループについて、当該グループ内のプレイリストがイニシャルプレイリストとして選択されるときにイニシャルプレイリストとしたいプレイリストのファイル名の後尾の番号が当該グループ内で最も大きい番号となるように、各プレイリストのファイル名を設定する。ただし、APLST、VPLSTそれぞれについて、イニシャルプレイリストとしたい標準プレイヤ用プレイリストのファイル名の後尾の番号が、必ず、車載プレイヤ用プレイリストのファイル名の後尾の番号の最大値より大きくなるようにしてもよい。このようにすることにより、車載のビデオ再生装置1以外のビデオ再生装置では、ファイル名の後尾の番号が最も大きいプレイリストをイニシャルプレイリストと選択するだけで、標準プレイヤ用プレイリストをイニシャルプレイリストとして選択できるようになる。
【0030】
また、車載プレイヤ用プレイリストは、予め定めた規格であるcarprofileに従ってHD DVD2の制作者によって作成されたものであり、このcarprofileでは、車載プレイヤ用プレイリスト及び車載プレイヤ用プレイリストで再生される各プレゼンテーションオブジェクトに、従来のHD DVD-Video規格を超えて加重的に課す制限を規定する。
【0031】
この制限としては、たとえば、
HD DVD2の再生開始後、タイトルが自動的に再生されなければならない。
各タイトルは自動的に順次再生され、最後タイトルの再生後は先頭のタイトルからの再生に戻らなければならない。
スチル状態で、再生を停止させてはならない。
プレイ、ポーズ、前方/後方チャプタサーチ、前方/後方早送り、音声切り替え以外のユーザ操作に応答する処理は行ってはならない。
VPLSTで再生されるタイトルは有意なビデオ、オーディオを含むプライマリビデオセットを再生するものでなければならない。
などの制限を課す。
次に、図3に示した再生制御処理のステップ316で行う、カレントプレイリストからのローカライズプレイリストへの、carprofileに適合するように行う編集の内容について説明する。
この編集では、カレントプレイリストの、上記したcarprofileの制限を違反する箇所を削除もしくは、carprofileの制限を満足するように変更する修正を行う。具体的には、Titleエレメントのid属性やonEnd属性を各タイトルが順次自動再生するように書き換えたり、ScheduledControlListエレメントが使用されないようにしてスチル状態の再生停止が行われないようにしたり、プレイ、ポーズ、前方/後方チャプタサーチ、前方/後方早送り、音声切り替えのユーザ操作以外のユーザ操作の発生に応答して処理を行うUIイベントハンドラを削除したりする処理を行う。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように本実施形態によれば、同じビデオディスクを、標準的なビデオ再生装置では、標準的なビデオ再生装置に適した形態のプレゼンテーションが行われるように再生すると共に、車載のビデオ再生装置1では、車載のビデオ再生装置1に適した形態のプレゼンテーションが行われるように再生することができるようになる。
【0033】
なお、以上では、HD DVD-Video規格に従ってビデオコンテンツを記憶したHD DVDやこれを再生するビデオ再生装置1への適用を例にとり説明したが、本実施形態は、BDMV規格に従ってビデオコンテンツを記憶したBlu-ray Discや、これを再生するビデオ再生装置などにも同様に適用することができる。
【0034】
ところで、以上の実施形態における再生制御処理は、HD DVD2に、車載プレイヤ用プレイリストが記録されていない場合には(ステップ302)、HD DVD2に記録されているプレイリストの内の、プレイリストのファイル名の後尾に含まれる番号が最も大きいプレイリストを、イニシャルプレイリストとして選択し、そのまま選択したイニシャルプレイリストをアクティブプレイリストに設定し、設定したアクティブプレイリストに従ったプレゼンテーションオブジェクトの再生制御を開始し、以降は、プレイリストの切り替え要求が発生する度に、アクティブプレイリストとするプレイリストを要求された切り替え先のプレイリストに切り替え、切り替え後のアクティブプレイリストに従った各プレゼンテーションオブジェクトの再生制御を開始する処理としてもよい。
【0035】
また、以上の実施形態は、車載のビデオ再生装置1において、HD DVD2に記録されているアプリケーションによらずに、HD DVD2に記録されているタイトル名を表示したタイトルメニューを構成して表示して、ユーザよりタイトル名の選択を受け付けて選択されたタイトル名のタイトルの再生を開始するようにしてもよい。
【0036】
また、以上の実施形態は、ビデオ再生装置1側において、車載プレイヤ用プレイリストをイニシャルプレイリストとして選択する処理を行わずに、HD DVD2を再生している装置が車載のビデオ再生装置であるかどうかを調査し、車載のビデオ再生装置1である場合に、再生するプレイリストの車載プレイヤ用プレイリストへの切り替えや、車載プレイヤ用プレイリストが記録されていない場合における再生するプレイリストのcarprofileに適合するプレイリストへの変換を行うアプリケーションを、HD DVD2にHD DVD再生開始直後に起動されるアプリケーションとして記録するようにしてもよい。ただし、この場合には、車載のビデオ再生装置1に、自身が車載のビデオ再生装置1であることをアプリケーションに通知する機能をAPI等として備えるようにする。
【0037】
また、HD DVD2に記録されるアプリケーションを、HD DVD2を再生している装置が車載のビデオ再生装置1であるかどうかを調査し、車載のビデオ再生装置1である場合と他の場合で異なる動作を行うアプリケーションとして構成するようにしてもよい。このようにすることにより、たとえば、メニューを表示するアプリケーションにおいて、車載のビデオ再生装置1で再生されている場合と他の場合において、それぞれに適する形態のメニューを表示したりするなど、車載プレイヤ用プレイリストを用いることなく、車載のビデオ再生装置1におけるプレゼンテーションに適した形態で、各車載のビデオ再生装置1においてHD DVD2の再生が行われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係るビデオ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る続きHD DVDの記録内容を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る再生制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る再生動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1…ビデオ再生装置、2…HD DVD、3…パーシスタントストレージ、4…ネットワークサーバ、11…データアクセスマネージャ、12…データキャッシュ、13…ナビゲーションマネージャ、14…プレゼンテーションエンジン、15…AVレンダラ、16…メモリ、17…入力装置、18…表示装置、19…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともビデオオブジェクトを含むプレゼンテーションオブジェクトと、プレゼンテーションオブジェクトの再生制御の内容を規定するプレイリストとを記録したビデオディスクであって、
前記プレイリストとして、
標準的なビデオ再生装置で当該ビデオディスクを再生する場合の再生制御の内容を規定した第1のプレイリストと、
車載ビデオ再生装置で当該ビデオディスクを再生する場合の再生制御の内容を規定した第2のプレイリストとを記憶していることを特徴とするビデオディスク。
【請求項2】
請求項1記載のビデオディスクであって、
前記第2のプレイリストは、車載ビデオ再生装置専用に定められた所定の規格に従って前記再生制御の内容を規定するものであることを特徴とするビデオディスク。
【請求項3】
請求項1または2記載のビデオディスクであって、
当該ビデオディスクは、HD DVD-Video規格に従ってビデオコンテンツを記憶したHD DVDであることを特徴とするビデオ再生装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のビデオディスクであって、
当該ビデオディスクは、BDMV規格に従ってビデオコンテンツを記憶したBlu-ray Discであることを特徴とするビデオ再生装置。
【請求項5】
自動車に搭載され、請求項1、2、3または4記載のビデオディスクを再生可能な車載ビデオ再生装置であって、
ビデオディスク再生開始時に、当該ビデオディスクに前記第2のプレイリストが記録されているかどうかを検出するプレイリスト検出手段と、
前記プレイリスト検出手段が前記第2のプレイリストを検出した場合に、当該第2のプレイリストを、当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定し、前記プレイリスト検出手段が前記第2のプレイリストを検出できなかった場合に、当該ビデオディスクに記録されている第1のプレイリストを当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定するプレイリスト選択手段とを有することを特徴とする車載ビデオ再生装置。
【請求項6】
請求項5記載の車載ビデオ再生装置であって、
前記プレイリスト選択手段は、前記プレイリスト検出手段が前記第2のプレイリストを検出できなかった場合に、当該ビデオディスクに記録されている第1のプレイリストを、予め定めておいた車載ビデオ再生装置で用いられるべきプレイリストの制限事項を満たすプレイリストに変換した上で、当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定することを特徴とする車載ビデオ再生装置。
【請求項7】
ビデオタイトルを記録したビデオディスクであって、当該ビデオディスク再生時に実行されるアプリケーションを前記ビデオタイトルと共に記録したビデオディスクであって、
前記アプリケーションとして、当該ビデオディスクを再生している装置が車載ビデオ装置であるか否かを判別し、当該ビデオディスクを再生している装置が車載ビデオ装置であるか否かに応じて、異なる処理を行うアプリケーションを記録していることを特徴とするビデオディスク。
【請求項8】
コンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、請求項1、2、3または4記載のビデオディスクを再生可能な車載ビデオ再生装置として機能させ、
当該車載ビデオ再生装置は、
ビデオディスク再生開始時に、当該ビデオディスクに前記第2のプレイリストが記録されているかどうかを検出するプレイリスト検出手段と、
前記プレイリスト検出手段が前記第2のプレイリストを検出した場合に、当該第2のプレイリストを、当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定し、前記プレイリスト検出手段が前記第2のプレイリストを検出できなかった場合に、当該ビデオディスクに記録されている第1のプレイリストを当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定するプレイリスト選択手段とを有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項1、2、3または4記載のビデオディスクを再生可能な車載ビデオ再生装置においてビデオディスクの再生を制御する再生制御方法であって、
ビデオディスク再生開始時に、当該ビデオディスクに前記第2のプレイリストが記録されているかどうかを検出するステップと、
前記第2のプレイリストを検出した場合に、当該第2のプレイリストを、当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定し、前記第2のプレイリストを検出できなかった場合に、当該ビデオディスクに記録されている第1のプレイリストを当該ビデオディスクの再生制御に用いるプレイリストとして設定するステップとを有する再生制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−159362(P2009−159362A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335755(P2007−335755)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】