説明

ビデオドライバ

【課題】 デジタルカメラや携帯電話等の小型化の障害となり、またそのためにコストの低減も難しくなっている、大きな容量のコンデンサを必要としない小型で安価なビデオドライバを提供する。
【解決手段】 入力ビデオ信号を増幅して出力するビデオドライバ回路において、入力ビデオ信号から同期パルスを抽出する回路、マイナス電圧を発生するためのチャージポンピングコンデンサ、およびそのチャージポンピングコンデンサを切り換えるスイッチング手段を具え、前記抽出された同期パルス信号によって前記スイッチング手段をオンオフする信号を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオドライバ(IC)に係るもので、出力カプリングコンデンサとして容量の大きなコンデンサを必要としないビデオドライバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像信号は60Hzという低周波の垂直同期パルスやDC(直流)から数MHzの帯域を有する輝度信号の複合からなっており、これらの信号を波形歪みなく伝送するにはカプリングコンデンサとして容量の大きなコンデンサを使う必要がある。fc=1/(2×3.14×75Ω×220μF)=10Hzのカットオフを出力段で作る必要があるため、図3に示したように、220μFあるいは100μFの容量のコンデンサを使用している。あるいは、図4に示したように、33μF程度の容量のコンデンサを2個使うサグ補正回路などを使用している。
【特許文献1】特開平11−8781号公報
【特許文献2】特開平7−131677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように容量の大きなコンデンサを必要とする回路は大型化を免れず、デジタルカメラや携帯電話等の小型化の障害となっており、またそのためにコストの低減も難しい。本発明は、大きな容量のコンデンサを必要としない小型で安価なビデオドライバを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、チャージポンピングコンデンサを付加することによって、上記の課題を解決するものである。すなわち、入力ビデオ信号を増幅して出力するビデオドライバ回路において、入力ビデオ信号から同期パルスを抽出する回路、マイナス電圧を発生するためのチャージポンピングコンデンサ、およびそのチャージポンピングコンデンサを切り換えるスイッチング手段を具え、前記抽出された同期パルス信号によって前記スイッチング手段をオンオフする信号を得ることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば以下のような効果が得られる。
1.入力映像信号から同期パルスを抜き出してこの信号でチャージポンピングを行うので、内部にチャージポンプ用の発振回路が要らない。
2.このチャージポンプによりマイナス電源を作り、ビデオドライバの出力段の下側をGNDから分離し、このチャージポンプで発生したマイナス電圧に接続することができる。
3.これによって、出力ドライバはマイナス電圧からプラス電圧までスイングできるようになる。
4.NTSC規格の無入力時は0V(ペデスタル)、入力時はプラス方向へ輝度信号を、マイナス方向へ同期信号を作ることができる。
5.出力カプリングコンデンサがなくなることによって、サグといわれる出力信号歪がなくなる。
6.入力信号と同じ周波数でチャージポンプするので、ビートなどの干渉の問題が起こらない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の要素を抽出すると以下のとおりとなる。
1.入力映像信号から同期パルスを抜き出す回路を具える。
2.マイナス電圧を生成するためのチャージポンピングコンデンサを外付けする。
3.チャージポンピングコンデンサを切り換えるスイッチングトランジスタを具える。
4.同期パルスを用いてチャージポンプ用のスイッチをオン/オフする信号を発生する回路を具える。
5.ビデオドライバの信号の下端部分を、ドライブする回路の最低電位をGNDではなくチャージポンピング回路に接続してマイナス電位を発生するスイッチ回路を具える。
6.ビデオドライバ回路内で出力信号のペデストルを0Vに合わせる回路を具える。
【実施例】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明によるビデオドライバの主要部の回路図である。映像信号が入力されるオペアンプには1μF程度の容量の大きなコンデンサC1、C2が接続されている。コンデンサC1は外付けされてチャージポンピング用のコンデンサとして動作するものであり、コンデンサC2はそのスイッチング動作を行うスイッチングトランジスタに接続されるものである。出力は75Ωの整合がとられて負荷に接続される。この回路構成によって、出力側に大容量のカップリングコンデンサが不要のビデオドライバ用の回路が構成される。
【0008】
ビデオ入力信号は、垂直同期信号をペデスタルからマイナス側に、輝度信号をプラス側に有する複合信号である。この信号を集積回路の電源の+5〜+3Vの範囲内で動作させなければならない。そこで、本発明においては、チャージポンプを用いることによってマイナス電圧を発生させ、垂直同期信号をマイナス電圧として得ることとし、ペデスタルを0Vに設定してここから+5Vまでを輝度信号用に使えるようにした。
【0009】
図2は、本発明によるビデオドライバを集積回路化したときのブロック図を示すものである。入力ビデオ信号は垂直同期信号を抜き出す同期分離回路11と通常用いられているクランプ回路12に入力される。クランプ回路でレベル設定をされたビデオ信号はドライバを経て出力レベル設定回路(出力ドライブ回路)14に入力される。この出力レベル設定回路14は外付けされるチャージポンピング用コンデンサC1に接続されている。このチャージポンピング用コンデンサは接地される側が+となり、集積回路の端子に接続される側が−となるようにしてあり、マイナスの電圧を発生する動作を行う。
【0010】
同期分離回路11で抜き出された同期信号のパルスは、ロジック13によって2つの出力が形成される。それぞれの出力は通常はスイッチングトランジスタで構成されるスイッチング素子SW1、SW2のスイッチング動作を制御し、スイッチング素子を交互にオン・オフさせる。このスイッチング素子SW1、SW2のオン・オフによってコンデンサC1の充電状態が切り替えられ、これによってコンデンサC1から間欠的にマイナス電圧が発生される。このマイナス電圧を垂直同期信号のマイナス側の電圧として出力する。一方、出力レベル設定回路14において、ペデスタルを0Vに設定し、輝度信号はそこからプラス側の信号として出力される。なお、図2のコンデンサC2は図1のコンデンサC2に該当するものである。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、集積回路化されるビデオドライバ全般に利用でき、デジタルカメラや携帯電話等のビデオ信号を処理する小型の装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例を示す回路図
【図2】本発明の実施例を示すブロック図
【図3】従来のビデオドライバの回路図
【図4】従来のビデオドライバの回路図
【符号の説明】
【0013】
11:同期分離回路
12:クランプ回路
13:ロジック
14:出力ドライブ回路(出力レベル設定回路)
C1:チャージポンピング用コンデンサ
C2:コンデンサ
SW1、SW2:スイッチングトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ビデオ信号を増幅して出力するビデオドライバ回路において、
入力ビデオ信号から同期パルスを抽出する回路、マイナス電圧を発生するためのチャージポンピングコンデンサ、およびそのチャージポンピングコンデンサを切り換えるスイッチング手段を具え、
前記抽出された同期パルス信号によって前記スイッチング手段をオンオフする信号を得ることを特徴とするビデオドライバ回路。
【請求項2】
入力ビデオ信号を増幅して出力するビデオドライバ回路において、
入力ビデオ信号から同期パルスを抽出する回路、マイナス電圧を発生するためのチャージポンピングコンデンサ、およびそのチャージポンピングコンデンサを切り換えるスイッチング手段を具え、
前記抽出された同期パルス信号によって前記スイッチング手段をオンオフする信号を得るとともにビデオ信号の同期信号パルスをマイナス電位として得ることを特徴とするビデオドライバ回路。
【請求項3】
入力ビデオ信号を増幅して出力するビデオドライバ回路において、
入力ビデオ信号から同期パルスを抽出する回路、マイナス電圧を発生するためのチャージポンピングコンデンサ、およびそのチャージポンピングコンデンサを切り換えるスイッチング手段を具え、
前記抽出された同期パルス信号によって前記スイッチング手段をオンオフする信号を得るとともにビデオ信号のペデスタルを0Vに設定し、ビデオ信号の同期信号パルスをマイナス電位として得ることを特徴とするビデオドライバ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−157522(P2006−157522A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345624(P2004−345624)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)
【Fターム(参考)】