説明

ビデオ信号出力制御回路

【課題】回路素子のばらつき等によるビデオ信号の出力レベルのばらつきを自動的に補正する機能を有するビデオ信号出力制御回路を提供する。
【解決手段】このビデオ信号出力制御回路は、ディジタルビデオ信号のレベルを調整して出力するエンコーダ回路と、エンコーダ回路から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換するDACと、DACから出力されるビデオ信号を増幅する増幅回路と、増幅回路によって増幅されたビデオ信号を外部装置に出力するためのビデオ信号出力端子と、増幅回路によって増幅されたビデオ信号をディジタルビデオ信号に変換するADCと、測定用のビデオ信号を出力するようにエンコーダ回路を制御すると共に、ADCから出力されるビデオ信号のレベルが規格範囲内に入っていない場合に、エンコーダ回路におけるゲインの設定を変更する制御手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換してテレビジョンモニタ等に出力するビデオ信号出力制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、PDA(personal digital assistance:個人用携帯情報端末)等の情報機器においては、画像情報をディジタル処理することが行われており、内蔵の液晶表示パネルに画像が表示される。さらに、大きな画面で画像を表示するために、ビデオ信号をテレビジョンモニタに出力することも考えられる。そのために、テレビジョンモニタ等の外部装置を接続するためのビデオ信号出力端子を有している機種がある。このような情報機器においては、ディジタルビデオ信号が、DAC(ディジタル/アナログ変換回路)によってアナログビデオ信号に変換され、テレビジョンモニタに出力される。
【0003】
また、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)レコーダ/プレーヤのように、画像情報をディジタル記録/再生する映像機器においても、ディジタルビデオ信号がDACによってアナログビデオ信号に変換され、テレビジョンモニタ等の外部装置に出力される。
【0004】
しかしながら、DACの特性は、ICの製造プロセスによってばらつきを生じる。また、ICが搭載される配線基板に実装される外付け部品のばらつきや、電源電圧のばらつきや、温度変化等によって、機器から出力されるビデオ信号の出力レベルが変化してしまう。
【0005】
一般に、ビデオ信号を出力する機器においては、一定の表示品質を維持するために、ビデオ信号の出力レベルに関する規格値が設定されており、製造工程において、ビデオ信号の出力レベルを規格値に合わせるために可変抵抗器等を調整する必要がある。そのために、工程数が増加して、製品のコストが上昇してしまうという問題があった。
【0006】
関連する技術として、下記の特許文献1には、ディジタルテレビジョン信号に対して有効な自動利得制御技術が記載されている。この自動利得制御技術によれば、テレビジョン信号を受信するシステムにおいて、ディジタルテレビジョン情報を表す信号が供給される入力と、出力とを有する入力信号処理手段と、上記入力信号処理手段からの出力信号に応答する、適応形等化器を含むディジタル信号処理手段と、上記ディジタル信号処理手段からの出力信号に応答して画像表示信号を供給するビデオ信号処理手段と、上記ディジタル信号処理手段に供給される信号の大きさを自動制御するための制御信号を生成する自動利得制御(AGC)手段とが備えられていて、上記AGC手段が上記適応形等化器の動作状態に応答する。
【0007】
しかしながら、この自動利得制御技術は、広範囲の受信信号レベルに渡って検波器段に供給されるRF信号の大きさを実質的に一定に維持するためのものであり、一方、ベースバンドビデオ信号においては、暗い画像は低い電圧で表され、明るい画像は高い電圧で表されるので、信号の大きさを一定に維持することは適切でない。従って、この自動利得制御技術を用いて、ビデオ信号を出力する機器における回路素子のばらつきを補正することはできない。
【特許文献1】特開平6−209440号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、回路素子のばらつき等によるビデオ信号の出力レベルのばらつきを自動的に補正する機能を有するビデオ信号出力制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、本発明の第1の観点に係るビデオ信号出力制御回路は、外部回路から供給されるディジタルビデオ信号を処理し、ディジタルビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを、設定されたゲインで調整して出力するエンコーダ回路と、エンコーダ回路から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換するディジタル/アナログ変換回路と、ディジタル/アナログ変換回路から出力されるアナログビデオ信号を増幅する増幅回路と、増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号を外部装置に出力するためのビデオ信号出力端子と、増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号をディジタルビデオ信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定し、輝度レベル又はカラーレベルが規格範囲内に入っていない場合に、エンコーダ回路におけるゲインの設定を変更する制御手段とを具備する。
【0010】
本発明の第2の観点に係るビデオ信号出力制御回路は、外部回路から供給されるディジタルビデオ信号を処理するエンコーダ回路と、エンコーダ回路から出力されるディジタルビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを、設定されたゲインで調整して出力するレベル調整回路と、レベル調整回路から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換するディジタル/アナログ変換回路と、ディジタル/アナログ変換回路から出力されるアナログビデオ信号を増幅する増幅回路と、増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号を外部装置に出力するためのビデオ信号出力端子と、増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号をディジタルビデオ信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定し、輝度レベル又はカラーレベルが規格範囲内に入っていない場合に、レベル調整回路におけるゲインの設定を変更する制御手段とを具備する。
【0011】
本発明の第3の観点に係るビデオ信号出力制御回路は、外部回路から供給されるディジタルビデオ信号を処理するエンコーダ回路と、エンコーダ回路から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換するディジタル/アナログ変換回路と、ディジタル/アナログ変換回路から出力されるアナログビデオ信号のレベルを、設定されたゲインで調整するレベル調整回路と、レベル調整回路によってレベルが調整されたアナログビデオ信号を増幅する増幅回路と、増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号を外部装置に出力するためのビデオ信号出力端子と、増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号をディジタルビデオ信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定し、輝度レベル又はカラーレベルが規格範囲内に入っていない場合に、レベル調整回路におけるゲインの設定を変更する制御手段とを具備する。
【0012】
以上において、エンコーダ回路が、測定用のビデオ信号を生成する機能を有し、制御手段が、外部から指定された期間又は所定の期間において、測定用のビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを調整して出力するようにエンコーダ回路を制御するようにしても良い。あるいは、制御手段が、外部から指定された期間又は所定の期間において、測定用のビデオ信号をエンコーダ回路に供給するように外部回路を制御し、エンコーダ回路が、外部回路から供給される測定用のビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを調整して出力するようにしても良い。
【0013】
さらに、制御手段が、測定用のビデオ信号としてカラーバー信号を出力するようにエンコーダ回路又は外部回路を制御するようにしても良い。例えば、制御手段は、アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号の水平同期レベルと白レベルとの差に基づいて輝度レベルが規格範囲内に入っているか否かを判定し、アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号のカラーバースト及び/又はカラー領域における色副搬送波の振幅に基づいてカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定する。
【0014】
また、ビデオ信号出力制御回路が、増幅回路の出力端子とビデオ信号出力端子との間に設けられた出力抵抗をさらに含み、アナログ/ディジタル変換回路が、増幅回路の出力端子から出力抵抗を介して入力されたアナログビデオ信号をディジタルビデオ信号に変換するようにしても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アナログ/ディジタル変換回路から出力される測定用のビデオ信号のレベルが規格範囲内に入っていない場合にエンコーダ回路又はレベル調整回路におけるゲインの設定を変更することにより、回路素子のばらつき等によるビデオ信号の出力レベルのばらつきを自動的に補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路を含む構成を示す図である。本実施形態に係るビデオ信号出力制御回路は、上記のPDAやDVDレコーダ/プレーヤのように、ディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換してテレビジョンモニタ等の外部装置に出力することが可能な機器において用いられるものである。ビデオ信号出力制御回路から出力されるビデオ信号は、NTSC方式、PAL方式、又は、SECAM方式等のコンポジットビデオ信号である。
【0017】
図1に示すように、ビデオ信号出力制御回路は、外部回路1から供給されるディジタルビデオ信号に対して各種の処理を施し、ディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換して出力する半導体集積回路10と、半導体集積回路10の出力電流を電圧に変換する外付けの変換抵抗R0と、半導体集積回路10から出力されるアナログビデオ信号を増幅する増幅回路20と、増幅回路20の出力端子に直列に接続された出力抵抗R1及びカップリングコンデンサC1と、テレビジョンモニタ等の外部装置を接続するためのビデオ信号出力端子とを有している。
【0018】
図1において、負荷となるテレビジョンモニタ等の外部装置の入力インピーダンスが負荷抵抗R2として示されている。一般に、ビデオ信号伝送用ケーブルの特性インピーダンスは75Ωであるので、インピーダンスマッチングを図るために、出力抵抗R1と負荷抵抗R2の値も75Ωとなっている。あるいは、増幅回路20の出力インピーダンスが無視できない大きさである場合には、増幅回路20の出力インピーダンスの値と出力抵抗R1の値との和が75Ωとなるように、出力抵抗R1の値が設定される。これにより、負荷抵抗R2が接続されているときのビデオ信号出力端子におけるビデオ信号の出力レベルは、負荷抵抗R2が接続されていないときの半分となる。
【0019】
半導体集積回路10は、各種の制御を行う制御手段としてのCPU11と、CPU11に動作を行わせるためのソフトウェア(制御プログラム)を格納するプログラムROM12と、外部回路1から供給されるディジタルビデオ信号に対してCPU11の制御の下でディジタル信号処理を施すエンコーダ回路13と、エンコーダ回路13から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換するDAC(ディジタル/アナログ変換回路)14と、増幅回路20から出力抵抗R1を介して出力されるアナログビデオ信号を入力してディジタルビデオ信号に変換するADC(アナログ/ディジタル変換回路)15とを内蔵している。
【0020】
外部回路1は、光ディスクやハードディスク等の記録媒体の記録/再生処理回路、及び/又は、メモリを含んでいる。例えば、外部から入力されるディジタルビデオ信号が記録媒体又はメモリに一旦格納され、その後、格納されたディジタルビデオ信号が読み出されて処理される。あるいは、既に画像情報が記録されている光ディスクから、ディジタルビデオ信号が読み出されて処理される。なお、本実施形態においては、ディジタルビデオ信号のビット長を10ビットとしている。
【0021】
読み出されたディジタルビデオ信号は、エンコーダ回路13に入力される。エンコーダ回路13は、基準となるクロック信号に同期して、水平同期や垂直同期等の各種のタイミング信号を生成すると共に、入力されたビデオ信号に対してズーム処理、色の変換処理、又は、色のフォーマット変換処理等を施し、さらに、設定されたゲインでビデオ信号の輝度レベル及び/又は色レベルを調整して出力する。
【0022】
例えば、ビデオ信号のレベル調整は、少なくとも1つの係数と輝度レベル及び/又は色レベルとの乗算、除算、加算、減算等によって行われる。ここで、輝度レベル及びカラーレベルの調整のために同一の係数を用いても良いし、別々の係数を用いても良い。あるいは、輝度レベル及びカラーレベルの内の一方のみを1つの係数を用いて調節するようにしても良い。本実施形態においては、係数Kと輝度レベルとの乗算によって輝度レベルの調整が行われ、係数Kと色レベルとの乗算によって色レベルの調整が行われるものとする。係数K及び係数Kは、CPU11内のレジスタに保持されており、さらに、記録媒体に格納される。
【0023】
エンコーダ回路13から出力されるディジタルビデオ信号は、DAC14に入力され、DAC14によってアナログビデオ信号に変換される。DAC14は、電流出力型のD/A変換回路であり、ディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換して、ビデオ信号のレベルに応じた電流を出力し、変換抵抗R0によって出力電流が電圧に変換される。あるいは、DAC14として電圧出力型のD/A変換回路を用いても良く、その場合には、変換抵抗R0が不要となる。増幅回路20は、DAC14から出力されるビデオ信号を増幅及びインピーダンス変換するためのものであり、その増幅率はDAC14の出力レベルに応じて設定される。従って、増幅率が「1」となったり、あるいは、「1」より小さくなる場合もある。
【0024】
このD/A変換において、DAC14の内部素子や変換抵抗R0や増幅回路20の増幅率のばらつき等によって、ビデオ信号の輝度レベルや色レベルがばらついてしまう。そこで、本実施形態においては、レベル測定用のビデオ信号を生成する機能をエンコーダ回路13に持たせ、増幅回路20から出力されるアナログビデオ信号を再度ディジタルビデオ信号に変換するADC15を設け、ADC15から出力される測定用のビデオ信号に基づいて、CPU11がエンコーダ回路13におけるゲインの設定を変更することにより、ビデオ信号の出力レベルを自動的に補正するようにしている。
【0025】
ビデオ信号の出力レベルの補正は、ビデオ信号出力制御回路が搭載される配線基板の製造工程において、外部から制御信号によって指定された期間に行われる。あるいは、ビデオ信号の出力レベルの補正は、ビデオ信号を出力する機器の実使用時における所定の期間、例えば、定期的に、又は、電源投入後の所定の期間に行われる。その際に、ビデオ信号出力端子を開放状態にしておいても良いが、製造工程においてはビデオ信号出力端子を75Ωの基準抵抗で終端することが望ましく、また、実使用時においてはビデオ信号出力端子にテレビジョンモニタ等を接続してビデオ信号出力端子を75Ωで終端することが望ましい。ビデオ信号出力端子を75Ωで終端することにより、増幅回路20の出力インピーダンスや出力抵抗R1のばらつきも補正することができる。
【0026】
図1においては、増幅回路20から出力されるビデオ信号が、出力抵抗R1のみを介してADC15に入力されているが、出力抵抗R1及びカップリングコンデンサC1を介してADC15に入力されるようにしても良いし、さらに、出力抵抗R1とカップリングコンデンサC1との位置を逆にしても良い。ただし、その場合には、ADC15に入力されるビデオ信号の直流レベルが負荷によって変動するので、ADC15の入力にカップリングコンデンサを設けると共に、カップリングコンデンサを通過したビデオ信号にバイアス電圧を印加する必要がある。
【0027】
次に、本発明の第1の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路の出力レベル調整動作について、図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、図1に示すビデオ信号出力制御回路の出力レベル調整動作を示すフローチャートである。
【0028】
ステップS1において、外部から指定された期間又は所定の期間において、測定用のビデオ信号を出力するように、CPU11がエンコーダ回路13を制御する。測定用のビデオ信号としては、カラーバー信号やその他のテスト信号を用いることができる。また、輝度レベルの測定とカラーレベルの測定とにおいて、別々のビデオ信号を用いるようにしても良い。以下においては、測定用のビデオ信号としてカラーバー信号が用いられる場合について説明する。
【0029】
あるいは、エンコーダ回路13が測定用のビデオ信号を生成する替わりに、外部回路1が、予め記録媒体又はプログラムROM12に格納されている測定用のビデオ信号をエンコーダ回路13に供給するようにしても良い。その場合には、外部から指定された期間又は所定の期間において、CPU11が、測定用のビデオ信号をエンコーダ回路13に供給するように外部回路1を制御し、エンコーダ回路13が、設定されたゲインで測定用のビデオ信号の輝度レベル及び/又は色レベルを調整して出力する。さらに、出力レベルの補正が配線基板の製造工程において行われる場合には、テスト信号発生器から測定用のビデオ信号を供給しても良い。
【0030】
ステップS2において、CPU11が、エンコーダ回路13におけるゲインの初期値を設定する。例えば、CPU11は、予め設定されている係数のデフォルト値を用いて、K=K=1とすることにより、ゲインの初期値を設定する。
【0031】
ステップS3において、エンコーダ回路13が、CPU11によって設定されたゲインで、ディジタルビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを調整する。例えば、係数Kと輝度レベルとの乗算によって輝度レベルの調整が行われ、係数Kと色レベルとの乗算によって色レベルの調整が行われる。
【0032】
エンコーダ回路13から出力されるディジタルビデオ信号は、DAC14によってアナログビデオ信号に変換され、増幅回路20によって増幅されてビデオ信号出力端子に供給される。また、増幅回路20によって増幅されたアナログビデオ信号は、ADC15によってディジタルビデオ信号に変換され、CPU11に入力される。
【0033】
ステップS4において、CPU11が、ADC15から出力されるディジタルビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定する。規格範囲及び/又は規格中心値は、記録媒体又はプログラムROM12等に予め格納されている。なお、ビデオ信号出力端子が終端されている状態で測定を行うか、又は、ビデオ信号出力端子が終端されていない状態で測定を行うかに応じて、異なる規格値が用いられる。
【0034】
ここで、輝度レベルとカラーレベルとの内の一方を測定することにより、その一方のレベルを調整するようにしたり、輝度レベルとカラーレベルとの両方を調整するようにしても良いが、以下においては、輝度レベルとカラーレベルとの両方を測定することにより、それぞれのレベルを調整するものとする。これにより、変換抵抗R0の値を調整することによっては不可能な輝度レベルとカラーレベルとの比率の調節も行うことができる。
【0035】
例えば、CPU11は、エンコーダ回路13から出力されるタイミング信号に基づいて、ADC15から出力されるカラーバー信号の水平同期位置と、75%又は100%白レベル領域の位置とを認識し、カラーバー信号の水平同期レベルと白レベルとの差に基づいて、輝度レベルが規格範囲内に入っているか否かを判定する。
【0036】
さらに、CPU11は、エンコーダ回路13から出力されるタイミング信号に基づいて、ADC15から出力されるカラーバー信号のカラーバーストの位置、及び/又は、黄、シアン、緑、マゼンタ、赤、青の内の少なくとも1つのカラー領域の位置を認識し、カラーバースト及び/又はカラー領域における色副搬送波の振幅に基づいて、カラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定する。
【0037】
輝度レベル又はカラーレベルが規格範囲内に入っていないと判定された場合には、ステップS5において、CPU11が、エンコーダ回路13におけるゲインの設定を変更する。例えば、輝度レベルが規格中心値の80%である場合に、CPU11は、K=1.25とすることにより輝度レベルを補正する。また、カラーレベルが規格中心値の75%である場合に、CPU11は、K=1.33とすることによりカラーレベルを補正する。その後、処理はステップS3に戻る。
【0038】
ステップS4において、輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っていると判定された場合には、レベル補正動作が終了する。これにより、回路素子のばらつき等によるビデオ信号の出力レベルのばらつきを自動的に補正して、良好な表示品質を得ることができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態について、図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路を含む構成を示す図である。第2の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路は、増幅回路20の出力端子から出力されるアナログビデオ信号を、出力抵抗R1を介さずにADC15に入力するようにしたものであり、その他の点に関しては、図1に示す第1の実施形態と同様である。
【0040】
第2の実施形態によれば、増幅回路20の出力インピーダンスが無視できるほど小さい場合には、ビデオ信号出力端子に負荷抵抗R2が接続されていても接続されていなくても、ADC15に入力されるビデオ信号のレベルは同一となる。なお、増幅回路20の出力インピーダンスが無視できない大きさである場合には、ビデオ信号出力端子に負荷抵抗R2が接続されると、増幅回路20の出力インピーダンスと出力抵抗R1及び負荷抵抗R2とによって分圧された電圧がADC15に入力されるので、ビデオ信号出力端子を終端する際の規格値をそれに合わせて設定する必要がある。
【0041】
さらに、増幅回路20の出力端子から出力されるアナログビデオ信号を、カップリングコンデンサC1を介してADC15に入力するようにしても良い。ただし、その場合には、ADC15に入力されるビデオ信号の直流レベルが負荷によって変動するので、ADC15の入力にカップリングコンデンサを設けると共に、カップリングコンデンサを通過したビデオ信号にバイアス電圧を印加する必要がある。
【0042】
次に、本発明の第3の実施形態について、図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路を含む構成を示す図である。第3の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路は、エンコーダ回路13においてビデオ信号の出力レベルの調整を行わずに、エンコーダ回路13とDAC14との間にレベル調整回路16を設けたものであり、その他の点に関しては、図1に示す第1の実施形態と同様である。
【0043】
レベル調整回路16は、エンコーダ回路13から入力されるディジタルビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを、CPU11によって設定されたゲインで調整して出力する。レベル調整回路16の詳細な動作は、第1の実施形態において説明した出力レベル調整動作と同様である。DAC14は、レベル調整回路16から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換する。
【0044】
CPU11は、ADC15から出力されるディジタルビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定する。輝度レベル又はカラーレベルが規格範囲内に入っていないと判定された場合には、CPU11が、レベル調整回路16における輝度レベル及び/又はカラーレベルのゲインの設定を変更する。
【0045】
次に、本発明の第4の実施形態について、図5を参照しながら説明する。
図5は、本発明の第4の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路を含む構成を示す図である。第4の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路は、エンコーダ回路13においてビデオ信号の出力レベルの調整を行わずに、DAC14と増幅回路20との間にレベル調整回路17を設けたものであり、その他の点に関しては、図1に示す第1の実施形態と同様である。レベル調整回路17は、半導体集積回路10に内蔵しても良いし、配線基板に外付け部品として実装しても良い。
【0046】
本実施形態において、DAC14は、電流出力型のディジタル/アナログ変換回路であり、エンコーダ回路13から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換して、ビデオ信号のレベルに応じた電流を出力する。レベル調整回路17は、DAC14の出力電流を電圧に変換する変換抵抗R0を構成する抵抗回路網を含んでいる。
【0047】
図6は、図5におけるレベル調整回路に含まれている抵抗回路網の例を示す図である。この抵抗回路網は、直列に接続された抵抗R01〜R05と、その内の抵抗R01〜R04にそれぞれ並列に接続されたスイッチ回路SW1〜SW4とを有しており、スイッチ回路SW1〜SW4は、CPU11から供給される制御信号A〜Dによって制御される。抵抗R01〜R04の値を互いに異なるようにすることにより、抵抗回路網によって実現される変換抵抗R0の値を16通りに変化させることができる。
【0048】
レベル調整回路17は、制御信号A〜Dに従って変換抵抗R0の値を変化させることにより、DAC14から出力されるアナログビデオ信号のレベルを、CPU11によって設定されたゲインで調整する。増幅回路20は、レベル調整回路17によってレベルが調整されたビデオ信号を増幅して出力する。
【0049】
CPU11は、ADC15から出力されるディジタルビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定する。輝度レベル又はカラーレベルが規格範囲内に入っていないと判定された場合には、CPU11が、レベル調整回路16におけるビデオ信号のゲインの設定を変更する。なお、本実施形態においては、輝度レベルとカラーレベルとを別々に調整することはできない。
【0050】
以上の第3及び第4の実施形態において、第2の実施形態と同様に、増幅回路20の出力端子から出力されるアナログビデオ信号を、出力抵抗R1を介さずにADC15に入力するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路を含む構成を示す図。
【図2】図1に示すビデオ信号出力制御回路のレベル補正動作を示すフローチャート。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路を含む構成を示す図。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路を含む構成を示す図。
【図5】本発明の第4の実施形態に係るビデオ信号出力制御回路を含む構成を示す図。
【図6】図5におけるレベル調整回路に含まれている抵抗回路網の例を示す図。
【符号の説明】
【0052】
1 外部回路、 10 半導体集積回路、 11 CPU、 12 プログラムROM、 13 エンコーダ回路、 14 DAC、 15 ADC、 16、17 レベル調整回路、 20 増幅回路、 R0 変換抵抗、 R01〜R05 抵抗回路網の抵抗、 R1 出力抵抗、 R2 負荷抵抗、 C1 カップリングコンデンサ、 SW1〜SW4 スイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部回路から供給されるディジタルビデオ信号を処理し、ディジタルビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを、設定されたゲインで調整して出力するエンコーダ回路と、
前記エンコーダ回路から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換するディジタル/アナログ変換回路と、
前記ディジタル/アナログ変換回路から出力されるアナログビデオ信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号を外部装置に出力するためのビデオ信号出力端子と、
前記増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号をディジタルビデオ信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、
前記アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定し、輝度レベル又はカラーレベルが規格範囲内に入っていない場合に、前記エンコーダ回路におけるゲインの設定を変更する制御手段と、
を具備するビデオ信号出力制御回路。
【請求項2】
外部回路から供給されるディジタルビデオ信号を処理するエンコーダ回路と、
前記エンコーダ回路から出力されるディジタルビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを、設定されたゲインで調整して出力するレベル調整回路と、
前記レベル調整回路から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換するディジタル/アナログ変換回路と、
前記ディジタル/アナログ変換回路から出力されるアナログビデオ信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号を外部装置に出力するためのビデオ信号出力端子と、
前記増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号をディジタルビデオ信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、
前記アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定し、輝度レベル又はカラーレベルが規格範囲内に入っていない場合に、前記レベル調整回路におけるゲインの設定を変更する制御手段と、
を具備するビデオ信号出力制御回路。
【請求項3】
外部回路から供給されるディジタルビデオ信号を処理するエンコーダ回路と、
前記エンコーダ回路から出力されるディジタルビデオ信号をアナログビデオ信号に変換するディジタル/アナログ変換回路と、
前記ディジタル/アナログ変換回路から出力されるアナログビデオ信号のレベルを、設定されたゲインで調整するレベル調整回路と、
前記レベル調整回路によってレベルが調整されたアナログビデオ信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号を外部装置に出力するためのビデオ信号出力端子と、
前記増幅回路によって増幅されたアナログビデオ信号をディジタルビデオ信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、
前記アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定し、輝度レベル又はカラーレベルが規格範囲内に入っていない場合に、前記レベル調整回路におけるゲインの設定を変更する制御手段と、
を具備するビデオ信号出力制御回路。
【請求項4】
前記エンコーダ回路が、測定用のビデオ信号を生成する機能を有し、前記制御手段が、外部から指定された期間又は所定の期間において、測定用のビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを調整して出力するように前記エンコーダ回路を制御する、請求項1〜3のいずれか1項記載のビデオ信号出力制御回路。
【請求項5】
前記制御手段が、外部から指定された期間又は所定の期間において、測定用のビデオ信号を前記エンコーダ回路に供給するように前記外部回路を制御し、前記エンコーダ回路が、外部回路から供給される測定用のビデオ信号の輝度レベル及び/又はカラーレベルを調整して出力する、請求項1〜3のいずれか1項記載のビデオ信号出力制御回路。
【請求項6】
前記制御手段が、測定用のビデオ信号としてカラーバー信号を出力するように前記エンコーダ回路又は前記外部回路を制御する、請求項1〜5のいずれか1項記載のビデオ信号出力制御回路。
【請求項7】
前記制御手段が、前記アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号の水平同期レベルと白レベルとの差に基づいて輝度レベルが規格範囲内に入っているか否かを判定する、請求項1〜6のいずれか1項記載のビデオ信号出力制御回路。
【請求項8】
前記制御手段が、前記アナログ/ディジタル変換回路から出力されるビデオ信号のカラーバースト及び/又はカラー領域における色副搬送波の振幅に基づいてカラーレベルが規格範囲内に入っているか否かを判定する、請求項1〜7のいずれか1項記載のビデオ信号出力制御回路。
【請求項9】
前記増幅回路の出力端子と前記ビデオ信号出力端子との間に設けられた出力抵抗をさらに具備し、
前記アナログ/ディジタル変換回路が、前記増幅回路の出力端子から前記出力抵抗を介して入力されたアナログビデオ信号をディジタルビデオ信号に変換する、請求項1〜8のいずれか1項記載のビデオ信号出力制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−66954(P2008−66954A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241413(P2006−241413)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】