説明

ビデオ式シューティングゲーム装置用の弓矢及びその弓矢を用いたビデオ式シューティングゲーム装置

【課題】
弦で手指を傷つける恐れがなく、プレイヤが身長の如何にかかわらず、各自の膂力にあった射撃ができ、実際の弓を引き絞るときの擬似感覚が得られる弓矢、及びその弓矢を用いるビデオ式シューティングゲーム装置を提供することにある。
【解決手段】
ビデオ式シューティングゲーム装置で用いられる弓矢を、下記の構成要素、即ち、
弦の張られていない弓と、
テレスコピックに結合された複数の円筒体と矢筈とから成る主体部の内部に主体部を収縮する方向に弾性力を作用する弾性体を設け、主体部の先端部に照準器を設けて成り、弓に番えられる矢の位置に取り付けられる矢と、
から成るビデオ式シューティングゲーム装置で用いられる弓矢と、
により構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弓矢を用いるビデオ式シューティングゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弓矢を用いるビデオ式シューティングゲーム装置は、ゲーム入力装置である弓矢を操作し、仮想矢を発射して、モニタ画面に現れる敵のキャラクタを攻撃するゲームや、矢が当れば景品が取得できる標的などを射る射的ゲームなどである。
このシューティングゲーム装置は広く用いられており、その弓矢についても下記の特許文献に示されているような提案がなされている。
【特許文献1】特開2000−189670
【特許文献2】特開2003−181137
【0003】
これらの弓には、弦を張ったものが用いられている。
然しながら、弦を張った弓は、取り扱いが難しく、矢を放つ際に手指を傷つける恐れがある。
特許文献1に記載のゲーム装置では、弓がゲーム装置本体に取り付けられており、プレイヤの身長によっては、狙いをつけることが難しくなると言う問題もあった。
特許文献2に記載のゲーム装置の弓は、引くときの矢の移動時範囲が狭く、かつ、弓自体が弱く、何ら力が加えられていない状態から、弓を引き絞るときの擬似感覚が得られないと言う問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、叙上の問題を解決するためなされたものであり、その目的とするところは、強弓でありながら、弦で手指を傷つける恐れがなく、全てのプレイヤが身長の如何にかかわらず好適にゲームができ、各自の膂力にあった射撃が可能であり、実際の弓を引き絞るときの擬似感覚が得られる弓矢、及びその弓矢を用いるビデオシューティングゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明においては、ビデオ式シューティングゲーム装置で用いられる弓矢を、下記の構成要素、即ち、
弦の張られていない弓と、
テレスコピックに結合された複数の円筒体と矢筈とから成る主体部の内部に主体部を収縮する方向に弾性力を作用する弾性体を設け、主体部の先端部に照準器を設けて成り、弓に番えられる矢の位置に取り付けられる矢と、
から成るビデオ式シューティングゲーム装置で用いられる弓矢と、
により構成する。
【0006】
照準器としては、標的が表示されるディスプレイ画面の画像を撮影する装置と、主体部の中心軸がディスプレイ画面と交わる照準位置を、ディスプレイ画面撮影装置の出力信号に基づいて算出する照準演算装置と、照準演算装置により算出された照準位置をシューティングゲーム装置のゲーム演算装置に送信する送信機とから成るものが推奨される。
【0007】
照準器としては又、主体部の主軸方向にレーザー光を発射し得るレーザー発振器と、矢が放たれたことを検知するショット検知器とから成るものを採用することができる。
又このときは、矢が放たれたとき、レーザー発振器の放射光を変化させる手段を設けることが望ましい。
又、照準器には、更に、ショット検知器の信号をシューティングゲーム装置のゲーム演算装置に送信する送信機を設けることが推奨される。
弓には、ヤング率の低い飾り弦を張ることもある。
飾り弦としては、ゴムひもや細いコイルスプリングなど、又は、巻き戻し装置付きのリールに巻いた糸などを用いることがある。
【0008】
更に叙上の課題は、上記のごとく構成された弓矢を用いることを特徴とする、ビデオ式シューティングゲーム装置によって解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、叙上の如く構成されるから、本発明によるときは、プレイヤが体格や膂力に関係なくプレイでき、実際の弓を引くのと同様な擬似感覚が得られるビデオ式シューティングゲーム装置を提供し得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面により本発明の一実施例を説明する。
図1は、本発明にかかるビデオ式シューティングゲーム装置の外観を示す説明図、図2は、図1に示したビデオ式シューティングゲーム装置で用いられる弓矢の、弓が引かれていないときの状態を示す説明図、図3は、弓を引き絞ったときの状態を示す説明図である。
又、図4、図5及び図6は、照準器の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1において、100はビデオ式シューティングゲーム装置、110はそのゲーム操作盤、120は標的などが表示されるディスプレイであり、10は、弓1、矢2、照準器3から成る弓矢、4はケーブルである。
ゲーム操作盤120は、図示されていない料金徴収装置、プレイヤにより操作されるゲーム選択装置、ゲーム演算装置その他を具備している。
ゲーム演算装置は、予めインストールされているゲームプログラムに従い、料金徴収装置及びゲーム選択装置からの入力信号に応動して、所定の画像をディスプレイ120のスクリーンに表示させると共に、弓1が引かれ、矢2が放たれたとき、弓矢10に設けられている標準器3からの信号に基づいて、矢2の主軸延長線上を飛翔する仮想矢がスクリーンに表示された標的に命中したかどうか判定し、その判定結果に応じて適宜の画像をスクリーンに表示する。
【0012】
図2及び3は弓矢10の一構成例を示す説明図である。
弓1は、剛体又は弾性体で作成され、弦が張られておらず、矢2と一体に弓矢10として構成されている。
矢2の主体部20は、テレスコピックに嵌め合わされる複数の円筒体21,22、23及び24と、矢筈25とから成り、主体部20の内部には弾性体29が設けられ、更に先端の鏃部には、照準器3が取り付けられている。
弾性体29は、主体部20を収縮する方向に弾性力を作用する。
照準器3の構成は、後に図3,5及び6により説明される。
【0013】
プレイヤは、図1に示したゲーム装置に所定の料金を入れ、所望のゲームを選択し、弓矢10を用いて、ディスプレイ120のスクリーンに現れる標的を撃つ。
【0014】
弓矢10は、プレイヤが弓矢10を持って構えたときは、図2に示されているように、矢2が短縮された状態である。
プレイヤは、図3に示すように矢筈25を引き、所望の標的に向かって矢を放つ。
【0015】
弓が引かれると、テレスコピックに嵌め合わされた円筒体21、22、23、24と、矢筈25とから成る矢2は引き伸ばされる。
【0016】
このとき、矢2の内部に設けられた弾性体29が強く引き伸ばされるので、プレイヤは、各自の膂力に合わせて弓を引くことができ、実際の弓を引き絞ったときの感覚を味わうことができる。
【0017】
プレイヤは、矢2の先端にある照準器3を利用して、ディスプレイ120に表示される標的に狙いを定め、矢筈25を放す。
このとき、矢2は、弾性体29の弾性力により急速に収縮し、図2示されている短縮状態に復帰するので、プレイヤは実際の弓で矢を放ったときの感覚が得られる。
尚、矢2を構成する円筒体の数及び長さは、自由に設計変更できるものであるが、円筒体の数は、3個以上、6個以下とすることが望ましい。
3個未満では、弓を引くときの距離が充分でなく、弓を引くときの擬似感覚が充分に得られなくなる。
又、6個を超えると、矢が太くなりすぎるだけでなく、矢筈を引いたとき矢の湾曲が大きくなるため、強度上にも問題が生じ、故障が多くなると言う問題が生じる。
望ましい円筒体の数は、4個又は5個である。
【0018】
照準器3の構成としては、例えば、図4に示す第一構成例3A、図5に示す第二構成例3B、図6に示す第三構成例3Cなどを示すことができる。
【0019】
図4において、照準器3Aは、CCDカメラ31A、照準演算装置32A及び送信機33Aから成る。
【0020】
CCDカメラ31Aの光軸は、矢2の中心軸と一致するよう設けられ、ゲーム中は、ディスプレイ120のスクリーンを撮影する。
【0021】
照準演算装置32Aは、CCDカメラ31Aが撮影したスクリーン画像の輪郭形状から、矢2の中心軸の方向又はその中心軸がディスプレイ120のスクリーンと交わる点のスクリーン上の座標を算出する。
【0022】
送信機33Aは、照準演算装置32Aの演算結果を、ゲーム装置100のゲーム演算回路に送信する。
ゲーム演算回路は、送信機33Aから送られたデータに基づき、発射された仮想矢が、スクリーン上に表示されている標的に命中したかどうかを検知し、その検知結果に応じて、所定のゲーム演出を行う。
【0023】
図5に示す照準器3Bは、レーザー発振器31B,矢2が放たれたことを検知するショット検出器32B及びレーザー制御装置33Bから成る。
ゲーム装置100には、スクリーン上のレーザー照射点を検知する手段と、その照射点とスクリーンに表示される標的の一致・不一致を検知する手段が設けられる。
【0024】
ショット検出器32Bは、矢2が放たれたとき、即ちプレイヤが矢筈25から手を放したときは、発生する音又は振動、矢2に設けた弾性体26の弾性力の変化、矢2の収縮の検出などにより、矢2の発射を検知し、レーザー制御装置33Bに向けてショット信号を発信する。
レーザー制御装置33Bは、レーザー発振器31Aの発射するレーザー光にショット信号を搬送させ、ゲーム装置100にショット信号を伝達する。
ショット信号は、レーザー光の振幅変調、パルス変調などの手段によって送信される。
【0025】
この照準器3Bを用いるときは、ゲーム装置100に料金が投入されたときのみ、レーザー発振器31Bを作動させる手段を設けることが望ましい。
又更に、この照準器3Bには、CCDカメラと、そのCCDカメラの撮影画像中に、完全なスクリーン画像が認められるときのみ、レーザー発振器31Bを作動させる手段を設けることが推奨される。
【0026】
図6に示す照準器3Cは、レーザー発振器31C、矢2が放たれたことを検知するショット検出器32C及び送信機33Cから成る。
ゲーム装置100には、スクリーン上のレーザー照射点を検知する手段と、その照射点とスクリーンに表示される標的の一致・不一致を検知する手段が設けられる。
【0027】
レーザー発振器31Cからは、常時微弱なレーザー光が発振されており、スクリーン上の照射点の位置は、ゲーム装置側に設けた検知手段で検知され、ゲーム演算装置により照準即ち、標的への当たり・外れが判断されるよう構成する。
【0028】
矢2が放たれたとき、ショット検出器32Cは、その音、振動、又は矢2に設けた弾性体26の弾性力の変化、矢2の収縮などの検出により、矢2が放たれたことを検知し、その検知信号は、送信機33Cによりゲーム装置のゲーム演算装置に送信される。
【0029】
ゲーム演算装置は、送信機33Cからショット信号を受信したとき、スクリーン上のレーザー照射点の位置を算出し、標的への当たり・外れを判定し、その判定結果に基づいてそれぞれ所定のゲーム演出を実行する。
【0030】
この照準器3Cを用いるときも、ゲーム装置100に料金が投入されたときのみ、レーザー発振器31Cを作動させる制御手段を設けることが望ましい。
又更に、この照準器3Cには、CCDカメラと、そのCCDカメラの撮影画像中に完全なスクリーン画像が認められるときのみレーザー発振器31Cを作動させる手段とを設けることが推奨される。
【0031】
尚、本発明の構成は上記の実施例の構成に限定されるものではない。
例えば、上記の説明では、弦が張られていない弓を用いる例を示したが、ヤング率が低い飾り弦、例えば伸び易いゴム製や、コイルスプリング部分を含む飾り弦を張ることも推奨され、又、弓に自動巻戻装置付きのリールを設け、ここから弦を引き出し、矢筈に掛けるよう構成することもある。
又、上記の説明では、弓と矢を一体に構成したが、これはフレキシブルジョイントを用いて連結し、一定の範囲で矢が弓に対し相対的に変位できるようにすることも推奨されるものであり、弓の形態も洋弓としたり、矢筈にホイッスルを設けたりすることもあり、照準器にはレーザー発振器以外の光源を利用することもでき、本発明は叙上の説明から容易に着想し得る全ての変更例を包摂するものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に掛かるビデオ式シューティングゲーム装置の外観を示す説明図である。
【図2】図1に示したビデオ式シューティングゲーム装置で用いられる弓矢の、弓が引かれていないときの状態を示す説明図である。
【図3】弓を引き絞ったときの弓矢の状態を示す説明図である。
【図4】照準器の第一構成例を示すブロック図である。
【図5】照準器の第二構成例を示すブロック図である。
【図6】照準器の第三構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
100 ビデオ式シューティングゲーム装置
110 ゲーム操作盤
120 ディスプレイ
10 弓矢
1 弓
2 矢
21 円筒体
22 円筒体
23 円筒体
24 円筒体
25 矢筈
29 弾性体
3 照準器
3A 照準器
31A CCDカメラ
32A 照準演算装置
33A 送信機
3B 照準器
31B レーザー発振器
32B ショット検出器
33B レーザー制御回路
3C 照準器
31C レーザー発振器
32C ショット検出器
33C 送信機
4 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弦の張られていない弓(1)と、
テレスコピックに結合された複数の円筒体(21、22、23、24)と矢筈(25)とから成る主体部(20)の内部に主体部(20)を収縮する方向に弾性力を作用する弾性体(29)を設け、主体部(20)の先端部に照準器(3)を設けて成り、弓(10)に番えられる矢の位置に取り付けられる矢(2)と、
から成るビデオ式シューティングゲーム装置(100)で用いられる弓矢(10)。
【請求項2】
照準器(3A)が、標的が表示されるディスプレイ画面の画像を撮影し得るCCDカメラ(31A)と、主体部(20)の中心軸がディスプレイ画面と交わる照準位置を、CCDカメラ(31A)の出力信号に基づいて算出する照準演算装置(32A)と、照準演算装置(32A)により算出された照準位置をシューティングゲーム装置のゲーム演算装置に送信する送信機(33A)とから成る請求項1に記載のビデオ式シューティングゲーム装置(100)で用いられる弓矢(10)。
【請求項3】
照準器(3B)が、主体部(20)の主軸方向にレーザー光を発射し得るレーザー発振器(31B)と、矢が放たれたことを検知するショット検知器(32B)と,ショット検知器(32B)の出力信号に応動して、レーザー発振器(31B)の出力光を制御する装置(33B)を具備する、請求項1に記載のビデオ式シューティングゲーム装置(100)で用いられる弓矢(1)。
【請求項4】
照準器(3C)が、主体部(20)の主軸方向にレーザー光を発射し得るレーザー発振器(31C)と、矢が放たれたことを検知するショット検知器(32C)と,ショット検知器(32C)の出力信号を送信する送信機(33C)を具備する、請求項1に記載のビデオ式シューティングゲーム装置(100)で用いられる弓矢(1)。
【請求項5】
弓(10)に、ヤング率の低い飾り弦を張った請求項1乃至4に記載のビデオ式シューティングゲーム装置(100)で用いられる弓矢(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の弓矢(1)を用いることを特徴とする、ビデオ式シューティングゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−68819(P2010−68819A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235881(P2008−235881)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】