説明

ビニルエステル樹脂組成物及びその成形品

【課題】成形時においては安定した成形性を有し、成形後においては熱伝導性・耐熱性に優れ、低収縮性・低熱膨張性を有するビニルエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ビニルエステル樹脂組成物に関する。分子骨格中にノボラック骨格を有するノボラック型ビニルエステル樹脂、ゴム系低収縮剤、無機充填材、有機過酸化物を必須成分として含有する。この組成物の全量に対して上記無機充填材としてアルミナが50質量%以上含有されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ封入・コイル封入に用いられるビニルエステル樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータを封入する事例はその用途や使用環境に応じて多種多様であるが、近年においては、様々な封入モータが市販されている。これらのモータについては、近年のエネルギー利用の更なる高効率化のために、高出力化・小型化が求められており、現在、様々な改良が検討されている。
【0003】
通常、モータは作動中に熱を持ち始め、次第に高温になっていく。特に電流が流れるコイル部分は、ジュール熱で昇温し蓄熱しやすい。そして、このように温度が上昇すると出力が低下し、本来のモータ性能を得ることができなくなり、このようなモータを備えた機器の性能も次第に低下していくこととなる。よって、モータを高効率で駆動させるには、熱放散性を高めてモータの温度上昇を防ぐための熱対策が必要である。
【0004】
上記のような熱対策の一つとして、樹脂による封入化で熱放散性を向上させるという手法がある(例えば、特許文献1、2参照。)。
【特許文献1】特開平11−35647号公報
【特許文献2】特開2004−27019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モータの使用環境は200℃を超える場合があり、従来の封入用成形材料では樹脂の分解が進み、著しい物性の低下がみられる。
【0006】
これまでの封入用成形材料の成分としては、安定した成形性を得るために、イソフタル酸系、テレフタル酸系、水素化ビスフェノールA系の不飽和ポリエステル樹脂が一般的に用いられてきた。また、低収縮性及び低熱膨張性を得るために、飽和ポリエステル系やポリスチレン系の低収縮剤が用いられてきた。さらに、熱放散性を高めるために、炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム等の無機充填材が用いられてきた。
【0007】
しかしながら、イソフタル酸系、テレフタル酸系、水素化ビスフェノールA系の不飽和ポリエステル樹脂と、飽和ポリエステル系やポリエステル系の低収縮剤とからなるBMC(bulk molding compound)等の成形材料にあっては、良好な成形性、低収縮性及び低熱膨張性を得ることはできるが、200℃以上の雰囲気下においては、充分な耐熱性を得ることができない。
【0008】
また、上記の成形材料に無機充填材として炭酸カルシウムや水酸化アルミニウムを配合しても、実際には、成形品の熱伝導率は小さく、充分な放熱性を得ることができなかった。さらに、水酸化アルミニウムは230℃以上になると分解して脱水するため、水酸化アルミニウムを配合して得られた成形品にあっては、充分な耐熱性を得ることができない。なお、高熱伝導性を得るために、公知の高熱伝導性フィラーを上記の成形材料に高充填することも考えられるが、このようにすると流動性が著しく損なわれ、BMC(bulk molding compound)が有する安定した成形性を得ることができない。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、成形時においては安定した成形性を有し、成形後においては熱伝導性・耐熱性に優れ、低収縮性・低熱膨張性を有するビニルエステル樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係るビニルエステル樹脂組成物は、分子骨格中にノボラック骨格を有するノボラック型ビニルエステル樹脂、ゴム系低収縮剤、無機充填材、有機過酸化物を必須成分として含有するビニルエステル樹脂組成物であって、この組成物全量に対して上記無機充填材としてアルミナを50質量%以上含有して成ることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、無機充填材として、平均粒子径の異なる球状アルミナを少なくとも2種類併用して成ることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、無機充填材として、球状アルミナと破砕アルミナを併用して成ることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、無機充填材として、球状アルミナと炭酸カルシウムを併用して成ることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項5に係る成形品は、請求項1乃至4のいずれかに記載のビニルエステル樹脂組成物を成形して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係るビニルエステル樹脂組成物によれば、成形時においては安定した成形性を有し、成形後においては熱伝導性・耐熱性に優れ、低収縮性・低熱膨張性を有する。
【0016】
請求項2の発明によれば、ビニルエステル樹脂組成物の特性をさらに高めることができるものである。
【0017】
請求項3の発明によれば、ビニルエステル樹脂組成物の特性をさらに高めることができるものである。
【0018】
請求項4の発明によれば、ビニルエステル樹脂組成物の特性をさらに高めることができるものである。
【0019】
本発明の請求項5に係る成形品によれば、熱伝導性・耐熱性に優れ、低収縮性・低熱膨張性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
本発明に係るビニルエステル樹脂組成物は、ノボラック型ビニルエステル樹脂、ゴム系低収縮剤、無機充填材、有機過酸化物を必須成分として含有する。
【0022】
ノボラック型ビニルエステル樹脂としては、分子骨格中にノボラック骨格を有するものであれば、特に限定されることなく用いることができる。具体例としては、日本ユピカ株式会社製「8411L」「8411H」「8400」等や、大日本インキ化学工業株式会社製「VP700」「VP701」等を挙げることができる。なお、ノボラック型ビニルエステル樹脂の代わりに、イソフタル酸系、テレフタル酸系、水素化ビスフェノールA系の不飽和ポリエステル樹脂を用いると、充分な耐熱性を得ることができない。
【0023】
ゴム系低収縮剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)等を用いることができる。ビニルエステル樹脂組成物の全量に対して、ゴム系低収縮剤の含有量は1〜10質量%であることが好ましい。ゴム系低収縮剤の含有量が1質量%未満であると充分な低収縮効果を得ることができないおそれがあり、逆に10質量%を超えてもそれ以上の低収縮効果を得ることができないおそれがある。なお、ゴム系低収縮剤の代わりに、飽和ポリエステル系やポリスチレン系の低収縮剤を用いると、充分な耐熱性を得ることができない。
【0024】
無機充填材としては、例えば、球状アルミナや破砕アルミナ等のアルミナ、炭酸カルシウム、ガラス繊維等を用いることができる。球状アルミナを用いる場合には、その平均粒子径は2〜50μmであることが好ましく、3〜40μmであることがより好ましい。球状アルミナの平均粒子径が2μm未満であっても50μmを超えても成形性が著しく低下するおそれがあるからである。また、破砕アルミナを用いる場合には、その平均粒子径は2〜10μmであることが好ましい。破砕アルミナの平均粒子径が2μm未満であっても10μmを超えても成形性が著しく低下するおそれがあるからである。
【0025】
本発明においてはビニルエステル樹脂組成物の全量に対して上記無機充填材としてアルミナが50質量%以上(上限は90質量%)含有されている必要がある。アルミナが50質量%未満であると熱伝導性を高く得ることができず、逆に90質量%を超えると成形性が著しく低下し、成形品の光沢やツヤが失われ、ムラが多くなるものである。なお、より好ましいアルミナの含有量は60〜80質量%である。
【0026】
ここで、無機充填材として、平均粒子径の異なる球状アルミナを少なくとも2種類併用することができる。例えば、平均粒子径20〜50μmの球状アルミナと平均粒子径2〜10μmの球状アルミナとを併用することができる。この場合、前者と後者の質量比率は90/10〜10/90であることが好ましく、80/20〜20/80であることがより好ましい。上記比率が90/10〜10/90の範囲を外れると、成形性が著しく低下し、成形品の光沢やツヤが失われ、ムラが多くなるおそれがある。
【0027】
また、無機充填材として、球状アルミナと破砕アルミナを併用することができる。この場合、前者と後者の質量比率は97/3〜80/20であることが好ましく、95/5〜85/15であることがより好ましい。上記比率が97/3〜80/20の範囲を外れると、均一な充填性が損なわれ、良好な成形性を得ることができず、成形品の光沢やツヤが失われ、ムラが多くなるおそれがある。また、球状アルミナと破砕アルミナの合計が100質量部である場合において、破砕アルミナが20質量部を超えていると、成形に使用する金型が磨耗しやすくなるおそれがある。
【0028】
また、無機充填材として、球状アルミナと炭酸カルシウムを併用することができる。この場合、前者と後者の質量比率は97/3〜80/20であることが好ましく、95/5〜85/15であることがより好ましい。球状アルミナと炭酸カルシウムの合計が100質量部である場合において、炭酸カルシウムが3質量部未満であると、均一な充填性が損なわれ、良好な成形性を得ることができず、成形品の光沢やツヤが失われ、ムラが多くなるおそれがあり、逆に炭酸カルシウムが20質量部を超えると、充分な熱伝導性を得ることができないおそれがある。
【0029】
また、無機充填材として、球状アルミナ、破砕アルミナ、炭酸カルシウムの3成分を併用することができる。この場合、3成分の質量比率は50〜90/3〜25/3〜25であることが好ましく、60〜80/5〜20/5〜20であることがより好ましい。3成分の合計が100質量部である場合において、球状アルミナが50質量部未満であったり炭酸カルシウムが25質量部を超えたりすると、充分な熱伝導性を得ることができないおそれがある。また、破砕アルミナや炭酸カルシウムが3質量部未満であると、均一な充填性が損なわれ、成形性が著しく低下し、成形品の光沢やツヤが失われ、ムラが多くなるおそれがある。また、破砕アルミナが25質量部を超えると、成形に使用する金型が磨耗しやすくなるおそれがある。
【0030】
有機過酸化物(硬化触媒)としては、特に限定されるものではないが、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等を用いることができる。ビニルエステル樹脂組成物の全量に対して、有機過酸化物の含有量は0.1〜1質量%に設定することができる。
【0031】
本発明においては、ステアリン酸亜鉛等の離型剤を必要に応じて適当量用いることができる。
【0032】
そして、上述したノボラック型ビニルエステル樹脂、ゴム系低収縮剤、無機充填材、有機過酸化物(硬化触媒)、必要に応じて離型剤をニーダー等に投入し、これを混合することによって、本発明に係るビニルエステル樹脂組成物を調製することができる。
【0033】
次に、上記のようにして得たビニルエステル樹脂組成物を封入用成形材料として用いて成形加工することによって、各種の成形品を製造することができる。例えば、コイルをトランスファー成形金型にセットし、上記のビニルエステル樹脂組成物を用いてトランスファー成形を行うことによって、コイルを封入したコイル封入成形品を製造することができる。成形時においては、本発明に係るビニルエステル樹脂組成物にあっては、流動性が高いため、狭い部分を隙間なく充填することができ、安定した成形性を得ることができるものである。なお、成形品を製造するにあたっては、トランスファー成形法のほか、射出成形法や圧縮成形法(直圧成形)を行うこともできる。
【0034】
そして、上記のようにして得た成形品にあっては、熱伝導性・耐熱性に優れ、低収縮性・低熱膨張性を有しているものである。よって、例えば、モーターを封入した成形品にあっては、モーターより発せられる熱に対して劣化しにくく、またこの熱を迅速に外部に放散させることが可能となり、発熱によるモーター性能の低下を防止することができるものである。特に、本発明においては、高熱伝導物質であるアルミナが50質量%以上含有されているので、従来のように無機充填材として水酸化アルミニウムを用いる必要がなくなり、200℃以上の雰囲気下に成形品を放置しても充分な耐熱性を得ることができるものである。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0036】
(ビニルエステル樹脂組成物の原材料)
ノボラック型ビニルエステル樹脂として、大日本インキ化学工業株式会社製「VP701」を用いた。
【0037】
ゴム系低収縮剤として、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)である日本ユピカ株式会社製「A−37」を用いた。
【0038】
無機充填材として、球状アルミナである電気化学工業株式会社製「DAM5」(平均粒子径5μm)、球状アルミナである昭和電工株式会社製「AS10」(平均粒子径10μm)、球状アルミナである昭和電工株式会社製「AS20」(平均粒子径20μm)、球状アルミナである株式会社マイクロン製「AX10−32」(平均粒子径37μm)、球状アルミナである電気化学工業株式会社製「DAM45」(平均粒子径45μm)、破砕アルミナである住友化学工業株式会社製「AL32B」(平均粒子径3μm)、炭酸カルシウムである日東粉化工業株式会社製「NSシリーズ NS#100」(平均粒子径2μm)、水酸化アルミニウムである昭和電工株式会社製「ハイジライトH32」(平均粒子径8μm)、ガラス繊維である日本硝子繊維株式会社製「RES03BM5」を用いた。
【0039】
有機過酸化物(硬化触媒)として、t−ブチルパーオキシベンゾエートである日本油脂株式会社製「パーブチルZ」を用いた。
【0040】
離型剤として、ステアリン酸亜鉛を用いた。
【0041】
(ビニルエステル樹脂組成物の調製と試験片の作製)
下記[表1]〜[表3]に示す所定量の原材料をニーダーに投入し、これを25〜30℃で20〜40分間混合することによって、ビニルエステル樹脂組成物を調製した。
【0042】
次に、上記のようにして得たビニルエステル樹脂組成物を用いて試験片を作製した。試験片は、熱伝導率測定用、外観・耐熱性評価用、成形収縮率測定用、線膨張係数測定用の各用途に分けて作製した。各用途の試験片を作製するのに用いた金型、成形条件、試験片の形状はそれぞれ下記のとおりである。
【0043】
(熱伝導率測定用)
金型:φ100mm×20mmの円盤金型
成形条件:金型温度=145℃、圧力=10MPa、硬化時間=20分
形状:φ100mm×20mm
(外観・耐熱性評価用)
金型:目的の形状の試験片金型(トランスファー成形)
成形条件:金型温度=150℃、注入圧力=5MPa、注入時間=30秒、型締め圧力=15MPa、型締め時間=120秒
形状:70mm×40mm×3mm
(成形収縮率測定用)
金型:目的の形状の試験片金型(直圧成形)
成形条件:金型温度=145℃、圧力=10MPa、硬化時間=180秒
形状:φ90mm×5mm
(線膨張係数測定用)
金型:目的の形状の試験片金型(直圧成形)
成形条件:金型温度=145℃、圧力=10MPa、硬化時間=180秒
形状:φ5mm×30mm
(特性評価)
スパイラルフロー金型及びディスクフロー金型を用い、ビニルエステル樹脂組成物の成形性(流動性)を測定した。スパイラルフロー金型を用いた場合の条件は、金型温度=150℃、注入時間=30秒、注入圧力=4.9MPa、硬化時間=90秒であり、ディスクフロー金型を用いた場合の条件は、金型温度=168℃、型締め圧力=5MPa、硬化時間=20秒である。
【0044】
外観評価は、上記のようにして作製した試験片(カラープレート)を観察し、光沢があり充填ムラがないものを「◎」、光沢はあるが充填ムラがあるものを「○」、光沢がなく充填ムラがあるものを「×」と判定することにより行った。
【0045】
熱伝導率の測定は、上記のようにして作製した試験片についてQTM法に基づいて行った。
【0046】
耐熱性評価は、上記のようにして作製した試験片(カラープレート)を240℃の雰囲気下に200時間放置し、放置前後の試験片の重量から重量減少率を求めることにより行った。
【0047】
成形収縮率の測定は、上記のようにして作製した試験片についてJIS K 6911に基づいて行った。
【0048】
線膨張係数の測定は、上記のようにして作製した試験片についてディラトメーターを用いることにより行った。
【0049】
以上の測定結果を下記[表1]〜[表3]に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子骨格中にノボラック骨格を有するノボラック型ビニルエステル樹脂、ゴム系低収縮剤、無機充填材、有機過酸化物を必須成分として含有するビニルエステル樹脂組成物であって、この組成物の全量に対して上記無機充填材としてアルミナが50質量%以上含有されて成ることを特徴とするビニルエステル樹脂組成物。
【請求項2】
無機充填材として、平均粒子径の異なる球状アルミナを少なくとも2種類併用して成ることを特徴とする請求項1に記載のビニルエステル樹脂組成物。
【請求項3】
無機充填材として、球状アルミナと破砕アルミナを併用して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のビニルエステル樹脂組成物。
【請求項4】
無機充填材として、球状アルミナと炭酸カルシウムを併用して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のビニルエステル樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のビニルエステル樹脂組成物を成形して成ることを特徴とする成形品。

【公開番号】特開2006−8867(P2006−8867A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188765(P2004−188765)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】