説明

ピアノ鍵盤のシフト装置及びピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法

【課題】スライド木枠の高さ位置の調整が容易で長期間に亘ってスライド木枠の高さ位置を安定して保持でき、打鍵時に衝撃音が生じないようにする。
【解決手段】上記課題を解決するために本発明のピアノ鍵盤のシフト装置1は棚板7と、前筬17、中筬19、後筬21及び筬妻23を備えるスライド木枠9と、スライド木枠9をスライドさせるシフト手段11と、スライド木枠9の棚板7に対する高さ位置を調整する高さ位置調整手段13とを具備し、高さ位置調整手段13をポイントベースピン31と、シフトガイドスクリュー35と、ベーススクリュー41とを備える構成にしてスライド木枠9を棚板7に対して非接触状態でスライドできるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整が容易で打鍵時の衝撃音の生じないピアノ鍵盤のシフト装置及び該ピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピアノ鍵盤のシフト装置は棚板と、「筬」と呼ばれているスライド木枠と、スライド木枠をスライドさせるためのシフト手段と、上記スライド木枠の棚板に対する高さ方向の位置調整を行う高さ位置調整手段とを備えている。
図6は従来のピアノ鍵盤のシフト装置の一例を示す縦断側面図である。従来のピアノ鍵盤のシフト装置ではスライド木枠101における前筬103と後筬105とに下方に突出した凸部107が設けられており、該凸部107の下端面が棚板109上を摺接することでスライド木枠101の左右方向(図6では紙面と直交する方向)へのスライドを行っていた。
【0003】
しかしながら、棚板109とスライド木枠101は基本的に木材で作られているため、温度、湿度及び外力の影響を受けて、どうしても微妙に反りや捩れが出てしまう。このため、スライド木枠101の凸部107と棚板109との間に隙間ができて打鍵時にスライド木枠101の下面が棚板109の上面を打って衝撃音を発生させてしまったり、円滑なスライドが期待できなくなってしまったりするおそれがある。
また棚板109とスライド木枠101の微妙な高さ方向の位置調整を行う従来の高さ位置調整手段111としては、図6に示すようなシフトガイドアジャストプレート113と、アジャストガイドローラ115と、アジャストプレートポイント117と、内側と外側に設けられる2種類のアジャストプレート取付けネジ119、121とを備える手段が使用されていた。
【0004】
この高さ位置調整手段111によってスライド木枠101の棚板109に対する高さ位置を調整する場合、棚板109に埋め込んだアジャストプレートポイント117の上面にシフトガイドアジャストプレート113の下方に突出した突部123を当て、これにより2本のアジャストプレート取付けネジ119、121の締付け具合を調整することでアジャストガイドローラ115にかかる力を変えてスライド木枠101の棚板109に対する微妙な高さ調整を行っていた。
しかし、このようにシフトガイドアジャストプレート113をシーソーのように動作させるので、スライド木枠101の前筬103と後筬105に回転方向の力を加えてしまうことになり、このため高精度の高さ位置の調整ができないおそれもある。
【0005】
また上記高さ位置調整手段111によって高さ方向の位置調整を行ったスライド木枠101の姿勢を維持するためのベーススクリュー125は図示のように前筬103と後筬105には設けられておらず、高さ位置調整手段111から離れた中筬104のみに設けられていた。
従って、2本のアジャストプレート取付けネジ119、121が微妙に緩んでしまった場合にはスライド木枠101の基準の高さ位置がずれてしまい、スライド木枠101と棚板109との間に隙間ができて打鍵時にスライド木枠101の下面が棚板109の上面に当接して衝撃音を発生させるおそれもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記背景技術が抱えていた問題点の存在を踏まえてなされたものであって、スライド木枠101の高さ位置の調整が容易で、調整後のスライド木枠101の高さ位置が長期間に亘って安定して保持することができ、打鍵時の衝撃音の生じないピアノ鍵盤のシフト装置及びピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法を提供することを解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、鍵盤とアクションとが一体に組み付けられている状態で左右方向にスライドする構造のピアノに対して適用されるピアノ鍵盤のシフト装置において、棚板と、該棚板上に載置され、鍵盤とアクションとが一体に組み付けられている状態で左右方向にスライドする前筬、中筬、後筬及び筬妻とによって構成されているスライド木枠と、該スライド木枠をスライドさせるためのシフト手段と、前記スライド木枠の棚板に対する高さ方向の位置調整を行う高さ位置調整手段とを備えており、高さ位置調整手段はスライド木枠の基準高さを設定するポイントベースピンと、スライド木枠の左右方向への移動を案内すると共に、スライド木枠の棚板に対する高さ位置を設定するシフトガイドスクリューと、該シフトガイドスクリューによって設定したスライド木枠の棚板に対する高さ位置を保持するベーススクリューとを有し、スライド木枠は棚板に対して非接触状態でスライドするように構成されていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置である。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したピアノ鍵盤のシフト装置において、前記シフトガイドスクリューは前記ポイントベースピンの近傍に設けられていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置である。
【0009】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載したピアノ鍵盤のシフト装置において、前記スライド木枠には前記シフトガイドスクリューを受け入れて、シフトガイドスクリューと係合することによってスライド木枠の左右方向への移動を案内するガイド長穴が形成されていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置である。
【0010】
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載したピアノ鍵盤のシフト装置において、前記シフトガイドスクリューには遊転可能な状態でガイドローラが設けられており、当該ガイドローラを介して前記ガイド長穴とシフトガイドスクリューとが摺接するように構成されていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置である。
【0011】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれかに記載したピアノ鍵盤のシフト装置において、前記ポイントベースピンとシフトガイドスクリューは前筬と後筬の左右位置と中間位置に設けられており、前記ベーススクリューは前記ポイントベースピンとシフトガイドスクリューが設けられている前筬と後筬の部位の中間部と、中筬の複数の部位に対して設けられていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置である。
【0012】
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれかに記載したピアノ鍵盤のシフト装置における高さ位置調整手段を使用して行うピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法において、前筬、中筬、後筬及び筬妻を一体に組み付けたスライド木枠に対してポイントベースピンを下方より圧入して取り付けるポイントベースピン取付け工程と、前記スライド木枠に対して上方よりベーススクリューを捩じ込みながら挿入し、ベーススクリューの下端面をスライド木枠の下面と面一にするベーススクリュー仮固定工程と、前記スライド木枠を棚板上に載せてシフトガイドスクリューを締め込んで行き、スライド木枠の棚板に対する高さ位置を設定するシフトガイドスクリュー締付け工程と、鍵盤とアクションとをスライド木枠に組み付け、ベーススクリューを更に捩じ込んで行き、ベーススクリューの下端面を棚板の上面に当接させてスライド木枠の高さ位置を保持するベーススクリュー捩込み調整工程とを備えていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のピアノ鍵盤のシフト装置によれば、スライド木枠と棚板は非接触状態で設けられ、棚板上面に摺接するのは加工精度の高い金属性材料によって形成されているポイントベースピンの下端面とベーススクリューの下端面であるからスライド木枠101の高さ位置を長期間に亘って適正な位置に保つことができる。
またシフトガイドスクリューをスライド木枠の基準高さを設定するポイントベースピンの近傍に設けた場合には、ポイントベースピンの棚板からの微妙な浮きを棚板やスライド木枠の反り等の影響を受けないで防止することができる。
【0014】
スライド木枠にシフトガイドスクリューと係合するガイド長穴を設けた場合には上記シフトガイドスクリューによるポイントベースピンの浮きを防止する機能に加えて、スライド木枠の左右方向へのスライドを可能にする。
またシフトガイドスクリューに対してガイドローラを設けた場合には、スライド木枠のガイド長穴に対してガイドローラが転がり接触するためスライド木枠の左右方向へのスライドが円滑になる。
【0015】
ポイントベースピンとシフトガイドスクリューを前筬と後筬の左右位置と中間位置の6ヶ所に設け、ベーススクリューを上記ポイントベースピンとシフトガイドスクリューの間と中筬の複数の部位に対して設けた場合には、スライド木枠の適正な高さ位置が長期に亘って確実に保持されるようになる。
本発明のピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法によれば、ポイントベースピンによってスライド木枠の基準高さが定まっているので、シフトガイドスクリューによるスライド木枠の棚板に対する高さ位置の設定が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のピアノ鍵盤のシフト装置とピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法を実施するための最良の形態として図1〜5に示す実施の形態を例に採って具体的に説明する。
本発明のピアノ鍵盤のシフト装置1とピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法は白鍵3と黒鍵5によって構成される2種類の鍵盤と、ダンパーアクションとハンマーアクションによって構成されるアクションとが一体に組み付けられている状態で左右方向Xにスライドする構造を有するアップライトピアノやグランドピアノに対して適用される。
【0017】
ピアノ鍵盤のシフト装置1は棚板7と、棚板7上を左右方向Xにスライドする「筬」と呼ばれているスライド木枠9と、スライド木枠9をスライドさせるシフト手段11と、スライド木枠9の棚板7に対する高さ方向Zの位置調整を行う高さ位置調整手段13とを備えている。
棚板7は鍵盤を構成する白鍵3と黒鍵5を支持する水平に配置される平板状の部材であり、棚板7の上面の両端部からは上方に向けて腕木15、15が立ち上げられている。
棚板7の上面の後部にはダンパーレバーレールサポート25が上方に向けて立ち上げられている。
【0018】
スライド木枠9は左右方向Xに平行して配置される前筬17と、中筬19と、後筬21と、前後方向Yに配置される3枚の筬妻23とを一体に組み付けることによって構成されている。
スライド木枠9の後筬21には図示のようにアクションを支持するアクションブラケット27を取り付けるためのアクション取付け台29が設置されている。
スライド木枠9の前筬17と後筬21には左右位置と中間位置の計6ヶ所に後述する高さ位置調整手段13の構成部材であるポイントベースピン31を下方から圧入するための圧入口33と、シフトガイドスクリュー35を上方から受け入れるガイド長穴37とが近傍位置にそれぞれ設けられている。
【0019】
ガイド長穴37は左右方向Xに延びる段差状の長穴で口径の大きな上部の長穴でシフトガイドスクリュー35の頭部を受け入れ、口径の小さな下部の長穴で後述するガイドローラ39が外嵌めされた状態のシフトガイドスクリュー35の軸部を受け入れることができるようになっている。
またスライド木枠9には上記6対設けられる圧入口33とガイド長穴37とのそれぞれの中間位置に5個と、中筬19に対して5個の計10個の後述するベーススクリュー41と螺合するネジ孔43が設けられている。
【0020】
シフト手段11は図示しないペダルを踏み込むことによって動作するシフトレバー突上げ棒45と、シフトレバー突上げ棒45の上端部に設けられるシフトレバー47と、上方に移動したシフトレバー47を元の位置に戻す高さ方向Zに設けられるシフトスプリング49と、左右方向Xに設けられるシフト補助スプリング51とを備えている。
シフトレバー47の先端部53は90°折り曲げられて棚板7に形成されている貫通口55から棚板7上に突出するようになっており、棚板7上に位置するスライド木枠9における後筬21に対して連結されている。
【0021】
高さ位置調整手段13はスライド木枠9の基準高さを設定するポイントベースピン31と、スライド木枠9の左右方向Xへの移動を案内すると共に、スライド木枠9の棚板7に対する高さ位置を設定するシフトガイドスクリュー35と、シフトガイドスクリュー35によって設定したスライド木枠9の棚板7に対する高さ位置を保持するベーススクリュー41とを有している。
ポイントベースピン31は一例として真鍮製の下部に頭部57を有する丸棒状のピンで、軸部の中心にはポイントベースピン31をスライド木枠9に固定するためのポイントベースピン固定ネジ59と螺合するネジ孔61が刻設されている。
【0022】
シフトガイドスクリュー35は一例として真鍮製の木ネジ形状をした部材で、シフトガイドスクリュー35の頭部側に位置する軸部の上部には雄ネジが刻設されていない摺接面63が形成されている。
そして摺接面63に外嵌めされるようにして上部にフランジを有するガイドローラ39が遊転可能な状態で取り付けられている。
従ってシフトガイドスクリュー35とガイド長穴37は直接摺接することはなく、上記ガイドローラ39を介して転がり接触するように構成されている。
【0023】
ベーススクリュー41は上部に締付け工具と係合させるための係合溝65が形成され、外方に張り出すような頭部を有しない一例として真鍮製の止めネジ状の形状をした部材である。
ベーススクリュー41の下端面67は棚板7の上面に摺接する摺接面になっており、上記ポイントベースピン31の頭部57の下端面同様、平滑に形成されている。
従って本発明ではスライド木枠9と棚板7とが直接摺接する部分は設けられておらず、ポイントベースピン31の頭部57の高さと、上記ベーススクリュー41のスライド木枠9の下面から突出する突出量とによって定まる隙間Sを隔てて非接触状態でスライド木枠9と棚板7は設けられている。
【0024】
そして、スライド木枠9に形成された上記圧入口33とガイド長穴37との配置とも関係してシフトガイドスクリュー35はスライド木枠9の棚板7に対する基準高さを設定するポイントベースピン31の近傍に設けられるようになっている。
本発明ではシフトガイドスクリュー35を締め付けて行くことによってスライド木枠9には直接高さ方向Zの下方への力が作用し、上述のようにポイントベースピン31の近傍位置にシフトガイドスクリュー35が設けられているから従来のピアノ鍵盤のシフト装置において問題になっていたような回転方向の力はほとんどスライド木枠9には作用しない。
【0025】
次にこのような構成のピアノ鍵盤のシフト装置1を使用して行う本発明のピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法について説明する。
本発明のピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法は(1)ポイントベースピン取付け工程と、(2)ベーススクリュー仮固定工程と、(3)シフトガイドスクリュー締付け工程と、(4)ベーススクリュー捩込み調整工程とを順次実行することによって構成されている。
【0026】
(1)ポイントベースピン取付け工程
ポイントベースピン取付け工程は前筬17、中筬19、後筬21及び筬妻23を一体に組み付けたスライド木枠9に対してポイントベースピン31を下方より圧入して取り付ける工程である。
ポイントベースピン31の取り付けに当たっては上述したポイントベースピン固定ネジ59を使用し、上方からポイントベースピン31の軸部の端面に刻設されているネジ孔61にポイントベースピン固定ネジ59を挿入して締め付けて行くことによってポイントベースピン31の取り付けが実行される。
【0027】
(2)ベーススクリュー仮固定工程
ベーススクリュー仮固定工程はスライド木枠9に対して上方からベーススクリュー41を捩じ込みながら挿入し、ベーススクリュー41の下端面67をスライド木枠9の下面と面一にする工程である。
即ち、ベーススクリュー41をスライド木枠9に形成されているネジ孔43に挿入し、係合溝65に締付け工具を係合させて回して行くことによってネジ孔43内にベーススクリュー41を進入させスライド木枠9の下面からベーススクリュー41が突出しない面一の状態にする。
【0028】
(3)シフトガイドスクリュー締付け工程
シフトガイドスクリュー締付け工程はスライド木枠9を棚板7上に載せてシフトガイドスクリュー35を締め込んで行き、スライド木枠9の棚板7に対する高さ位置を設定する工程である。
即ち、シフトガイドスクリュー35の摺接面63にガイドローラ39を外嵌めさせた状態でシフトガイドスクリュー35をガイド長穴37に上方から挿入し、締め込んで行くことによって下方の棚板7に対してシフトガイドスクリュー35を固定する。
シフトガイドスクリュー35の締付け具合は微妙であり、スライド木枠9の円滑なスライドが可能な範囲内で、ポイントベースピン31の頭部57の下端面と棚板7の上面との隙間を限りなく0に近付けるように調整する。
【0029】
(4)ベーススクリュー捩込み調整工程
ベーススクリュー捩込み調整工程は鍵盤を構成する白鍵3と黒鍵5とアクションとをスライド木枠9に組み付け、ベーススクリュー41を更に捩じ込んで行き、ベーススクリュー41の下端面67を棚板7の上面に当接させてスライド木枠9の高さ位置を保持する工程である。
即ち、組立てが完了したアクションを支持した状態のアクションブラケット27をアクション取付け台29の上面に設置すると共に、白鍵3と黒鍵5をベーススクリュー41が取り付けられている個所を除いてスライド木枠9に嵌め込んで行く。
この状態でスライド木枠9の円滑なスライドが可能な範囲内で、ベーススクリュー41の下端面67と棚板7の上面との隙間を限りなく0に近付けるようにベーススクリュー41の捩込み具合を調整する。
【0030】
以上、本発明を実施するための最良の形態として図示の実施の形態を例に採って詳述してきたが、本発明の具体的構成は図示の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、ポイントベースピン31と、シフトガイドスクリュー35と、ベーススクリュー41の数と配置は前述した円滑なピアノ鍵盤のシフト装置1の調整ができる範囲で増減することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は鍵盤とアクションとが一体に組み付けられている状態で左右方向にスライドする構造のピアノの製造、使用分野等で利用でき、特に打鍵時に生ずる棚板に対するスライド木枠の衝撃音を排除したい場合に利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係るピアノ鍵盤のシフト装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るピアノ鍵盤のシフト装置を示す平面図(a)と縦断正面図(b)である。
【図3】本発明の実施の形態に係るピアノ鍵盤のシフト装置の要部を拡大して示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るピアノ鍵盤のシフト装置の要部を拡大して示す平面図(a)と縦断正面図(b)である。
【図5】本発明の実施の形態に係るピアノ鍵盤のシフト装置を示す縦断側面図である。
【図6】従来のピアノ鍵盤のシフト装置を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ピアノ鍵盤のシフト装置 3 白鍵
5 黒鍵 7 棚板
9 スライド木枠 11 シフト手段
13 高さ位置調整手段 15 腕木
17 前筬 19 中筬
21 後筬 23 筬妻
25 ダンパーレバーレールサポート
27 アクションブラケット 29 アクション取付け台
31 ポイントベースピン 33 圧入口
35 シフトガイドスクリュー 37 ガイド長穴
39 ガイドローラ 41 ベーススクリュー
43 ネジ孔 45 シフトレバー突上げ棒
47 シフトレバー 49 シフトスプリング
51 シフト補助スプリング 53 先端部
55 貫通口 57 頭部
59 ポイントベースピン固定ネジ 61 ネジ孔
63 摺接面 65 係合溝
67 下端面
X 左右方向 Y 前後方向
Z 高さ方向 S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤とアクションとが一体に組み付けられている状態で左右方向にスライドする構造のピアノに対して適用されるピアノ鍵盤のシフト装置において、
棚板と、該棚板上に載置され、鍵盤とアクションとが一体に組み付けられている状態で左右方向にスライドする前筬、中筬、後筬及び筬妻とによって構成されているスライド木枠と、該スライド木枠をスライドさせるためのシフト手段と、前記スライド木枠の棚板に対する高さ方向の位置調整を行う高さ位置調整手段とを備えており、
高さ位置調整手段はスライド木枠の基準高さを設定するポイントベースピンと、スライド木枠の左右方向への移動を案内すると共に、スライド木枠の棚板に対する高さ位置を設定するシフトガイドスクリューと、該シフトガイドスクリューによって設定したスライド木枠の棚板に対する高さ位置を保持するベーススクリューとを有し、スライド木枠は棚板に対して非接触状態でスライドするように構成されていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置。
【請求項2】
請求項1に記載したピアノ鍵盤のシフト装置において、前記シフトガイドスクリューは前記ポイントベースピンの近傍に設けられていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載したピアノ鍵盤のシフト装置において、前記スライド木枠には前記シフトガイドスクリューを受け入れて、シフトガイドスクリューと係合することによってスライド木枠の左右方向への移動を案内するガイド長穴が形成されていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置。
【請求項4】
請求項3に記載したピアノ鍵盤のシフト装置において、前記シフトガイ
ドスクリューには遊転可能な状態でガイドローラが設けられており、当該ガイドローラを介して前記ガイド長穴とシフトガイドスクリューとが摺接するように構成されていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載したピアノ鍵盤のシフト装置において、前記ポイントベースピンとシフトガイドスクリューは前筬と後筬の左右位置と中間位置に設けられており、前記ベーススクリューは前記ポイントベースピンとシフトガイドスクリューが設けられている前筬と後筬の部位の中間部と、中筬の複数の部位に対して設けられていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載したピアノ鍵盤のシフト装置における高さ位置調整手段を使用して行うピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法において、
前筬、中筬、後筬及び筬妻を一体に組み付けたスライド木枠に対してポイントベースピンを下方より圧入して取り付けるポイントベースピン取付け工程と、前記スライド木枠に対して上方よりベーススクリューを捩じ込みながら挿入し、ベーススクリューの下端面をスライド木枠の下面と面一にするベーススクリュー仮固定工程と、前記スライド木枠を棚板上に載せてシフトガイドスクリューを締め込んで行き、スライド木枠の棚板に対する高さ位置を設定するシフトガイドスクリュー締付け工程と、鍵盤とアクションとをスライド木枠に組み付け、ベーススクリューを更に捩じ込んで行き、ベーススクリューの下端面を棚板の上面に当接させてスライド木枠の高さ位置を保持するベーススクリュー捩込み調整工程とを備えていることを特徴とするピアノ鍵盤のシフト装置の調整方法。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−257107(P2008−257107A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101585(P2007−101585)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(594130813)東洋ピアノ製造株式会社 (3)