ピクセル型二次元イメージ検出器
【課題】入射ピクセル以外への蛍光の漏洩を極力低減したピクセル型二次元イメージ検出器を提供する。
【解決手段】重粒子線または中性子検出用の蛍光体シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝を、横軸方向反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝を設けて格子状蛍光検出体を構成し、この検出体の前面にのみ、あるいは前面と背面に蛍光体シートを配置した構造を持つ二次元重粒子イメージ検出器または二次元中性子イメージ検出器。
【解決手段】重粒子線または中性子検出用の蛍光体シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝を、横軸方向反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝を設けて格子状蛍光検出体を構成し、この検出体の前面にのみ、あるいは前面と背面に蛍光体シートを配置した構造を持つ二次元重粒子イメージ検出器または二次元中性子イメージ検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばα線などの重粒子線(陽子以上の質量を持つ粒子)、あるいは中性子を蛍光体を用いて検出し、重粒子線や中性子の入射強度に関する二次元画像を高精度に作成することができるピクセル型の二次元イメージ検出器に関する。ここで対象としている二次元イメージ検出器の技術は、原子力分野、医療分野のみならず宇宙分野でも有用な技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、重粒子線、特にα線の二次元イメージ検出器としては、蛍光体粒子線検出シートと波長シフトファイバとを組み合わせた粒子線検出器が使用されている。また、原子炉/加速器を用いた中性子源などを利用した中性子散乱実験に使用される中性子二次元イメージ検出器としては、中性子シンチレータ、あるいは蛍光体と中性子コンバータを組み合わせた蛍光体中性子検出シートと波長シフトファイバを組み合わせた検出器が使用されている。
【0003】
これらの二次元イメージ検出器では、クロスファイバ読み取り方式を用いて位置情報を得るようにしている。重粒子線の位置蛍光体シートあるいはシンチレータ板の上面と下面に波長シフトファイバ束を面状に直角方向に配置し、同時計数法により入射位置を決定する方法、クロスファイバ読み取り方式を改良しシンチレータの背面に波長シフトファイバ束を面状に直角方向に配置し同時計数法により入射位置を決定する方法、あるいは波長シフトファイバ束を面状に直角方向に配置しその上部と下部にシンチレータを配置した方法などが使用されてきた(例えば、下記の特許文献1及び2、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−187077号公報
【特許文献2】特開2002−071816号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Nucl. Instr. And Meth., A430(1999) 311−320
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の方法では波長シフトファイバが面上に配置されているため、大面積の二次元イメージ検出器を構成するために手間がかかるという欠点と、ピクセルの境界がないため、蛍光体シートから放出される蛍光が散乱されて広がって、多くの波長シフトファイバに入射するため、入射位置のピクセル以外の周囲のピクセルに蛍光が広がるという欠点があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、重粒子線や中性子によって発生させられた蛍光が、入射ピクセル以外へ漏洩することを低減させることによって、重粒子線や中性子の入射強度に関する二次元画像を高精度に作成することができるピクセル型の二次元イメージ検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては、重粒子線を測定する検出体としては、多結晶の粉体である蛍光体をバインダでガラス板等の透明な基板にバインダで塗布した蛍光体重粒子線検出シートを使用する。また、中性子を測定する検出体としては多結晶の粉体である蛍光体と中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合しアルミニウム板等の金属基板にバインダで塗布、あるいは焼結して構成した蛍光体中性子検出シートを使用する。これらの検出シートは、入射ピクセル以外のピクセルに漏洩することをできるだけ低減できるように半透明になっている。さらにまた、これらの検出シートの厚さを0.7mm以下に設定し、漏洩面積を小さくすることによって、一層検出精度を上げることができる。
【0009】
本発明に係る二次元イメージ検出器の内で、最も簡潔な構造を持つピクセル型二次元イメージ検出器においては、これらの検出シートから放出される蛍光を検出し、重粒子線あるいは中性子の入射位置を決定する手段として、重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝または穴をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝または穴をあけた構造とした格子状蛍光検出体を用いる。
【0010】
上述の最も簡単な構成においては、縦軸検出用波長シフトファイバ及び横軸検出用波長シフトファイバが各ピクセルに対して1本設けられているが、より検出感度を上げたい場合には、必要に応じて各ピクセルに対してそれぞれ2本以上設けても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上述のようにマトリクス状ピクセルを構成している格子状蛍光検出体の前面あるいは前面と背面の両面に、上記半透明で薄い検出体シートを配置して重粒子線あるいは中性子のイメージ検出を行うようにしたので、入射ピクセル以外への蛍光の漏洩を顕著に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】重粒子線検出媒体を用いた本発明の一実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図2】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図3】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図4】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図5】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図6】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図7】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図8】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図9】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図10】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図11】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図12】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図13】(A)及び(B)ともに中性子二次元イメージ検出器の周囲ピクセルへの蛍光の影響を示す図
【図14】中性子二次元イメージ検出器の周囲ピクセルへの蛍光の影響を立体的に示す図。
【図15】検出シートを格子状蛍光検出体の前面のみ、前面と後面の両面に配置した場合の熱中性子に対する検出効率を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器は、
蛍光体粒子線検出シートからの蛍光を反射させるため、縦軸方向に等間隔に配列された縦軸方向反射板列と、該縦軸方向反射板列と同一の機能を有し、縦軸方向と直角の横軸方向に等間隔に配列された横軸方向反射板列と、縦軸方向における蛍光を検出するため、ピクセルの各縦軸間隔の均等分割位置に設けられた少なくとも1本の縦軸検出用波長シフトファイバと、横軸方向における蛍光を検出するため、ピクセルの各横軸間隔の均等分割位置に設けられた少なくとも1本の横軸検出用波長シフトファイバとから成る格子状蛍光検出体、及び
格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に、重粒子線または中性子が入射することにより蛍光を放出する前記蛍光体粒子線検出シートから構成され、縦軸方向反射板と横軸方向反射板で囲まれる領域によって各ピクセルを構成しているピクセル型二次元イメージ検出器であって、
さらに、前記縦軸方向反射板列の上半分または下半分の位置で、前記縦軸検出用波長シフトファイバをそれぞれの溝または穴に1本づつ通すために、当該縦軸反射板列に設けられた複数個の当該溝または穴と、前記横軸方向反射板列の下半分または上半分の位置で、前記横軸検出用波長シフトファイバをそれぞれの溝または穴に1本づつ通すために、当該横軸反射板列に設けられた複数個の当該溝または穴を備え、
かつ前記蛍光体粒子線検出シートが半透明のシートであって、
縦軸検出用波長シフトファイバと横軸検出用波長シフトファイバとから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ検出し、これらの検出信号を同時に計数測定することにより粒子線の入射位置を決定するようになっている。
【0014】
以上の基本構成を実際に実施した例を図1から図15を参照しながら以下に説明する。
【実施例】
【0015】
(実施例1)
【0016】
実施例1として、重粒子線検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を図1に示す。
【0017】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した、半透明の薄い蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0018】
次に格子状蛍光検出体について説明する。重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を図1に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は5mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は5mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ325mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0019】
この格子状構造体を作る方法として、縦軸方向に配列する反射板に横軸方向に配列する反射板の間隔の長さと同じ間隔で、反射板の厚さより100μm大きい幅の溝を反射板の奥行き幅の半分の長さ作り、横軸方向に配列する反射板に縦軸方向に配列する反射板の間隔の長さと同じ間隔で、反射板の厚さより100μm大きい幅の溝を縦軸反射板の奥行き幅の半分の長さ作り、縦軸反射板と横軸反射板を作製した溝を使って交叉させることにより作製した。以下の実施例においても同様の方法を用いて格子状構造体を作る。
【0020】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0021】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0022】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0023】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを配置する。
【0024】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用及び横軸用の2本の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、X軸パルス信号及びY軸パルス信号となる。これらのX軸パルス信号とY軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより、重粒子線の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0025】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例2)
【0026】
実施例2として、中性子検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器について図2を用いて説明する。実施例2の二次元イメージ検出器の構成は、検出シートの構造を除いて基本的に実施例1と同じである。
【0027】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が4:1)を用いる。この検出シートは半透明であり、その厚さは0.45mmである。
【0028】
次に格子状蛍光検出体について説明する。中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を図1に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は5mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は5mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ325mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0029】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0030】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0031】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0032】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに上記AST社製0.45mm厚の中性子検出シートを配置する。
【0033】
2本の波長シフトファイバBCF−92MCは合体して光検出器に接続される。合体された波長シフトファイバから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用及び横軸用の2本の増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、X軸パルス信号及びY軸パルス信号となる。これらのX軸パルス信号とY軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより、中性子の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0034】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
【0035】
本中性子イメージ検出器の周囲ピクセルへの蛍光の影響を調べるために、パルス中性子を用いて、YAG結晶の中性子散乱実験を行った。3mm x 3mm x 3mmのサイズのYAG結晶を用い、中性子ビームと直角方向に本実施例の中性子イメージ検出器を50cmの距離設置して単結晶の散乱を測定した。その結果、図13の(A)及び(B)に示すように、1ピクセルのみ中性子散乱によるピークになることがわかった。確認のため、X軸方向及びY軸方向の断面分布を図14に示す。一点以外はバックグラウンド計数である。X軸及びY軸とも他のピクセルへの影響がほとんどないことが確認できた。
【0036】
また、本実施例において、中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして10B2O3を用い焼結して作製した厚さ0.25mmのZnS/10B2O3中性子検出シート(ZnS:AgとH310BO3の混合比が3:2)を2枚用い、格子状蛍光検出体の前面と後面の両面に配置し、熱中性子に対する検出効率を測定した。同時計測時間を0.1μsから3μsまで変化させて測定した検出効率の結果を図15に示す。その結果、同時計測時間1μsの場合前面のみの場合30%の検出効率が前面と後面の両面に配置した場合48%に増加し、1.6倍向上することが確認された。
(実施例3)
【0037】
実施例3として、重粒子線検出シートを用いた他のピクセル型二次元イメージ検出器について、図3を参照して述べる。
【0038】
実施例1及び2よりさらにピクセルサイズを大きくするため、縦軸及び横軸の反射板の間隔を大きくした場合、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバでは、蛍光体重粒子線検出シートから放出される蛍光を十分収集することが困難となる。このため、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバの数を増加する必要が生ずる。
【0039】
また、反射板の波長シフトファイバの太さを円形状ファイバの場合は直径1mm以上、正方形状ファイバの場合には一辺が1mm以上とした場合、上部に配置されたは波長フトファイバのみに蛍光が吸収されてしまい下部に配置された波長シフトファイバによる蛍光の収集が減少し同時計数測定を行った際の計数損失が大きくなる。また、波長シフトファイバは重粒子線計測のバックグラウンドとなるガンマ線に有感であることから波長シフトファイバの太さを円形状ファイバの場合は直径1mm以上、正方形状ファイバの場合には一辺が1mm以上とした場合、その太さに応じて増加する。以上の要因のため、縦軸及び横軸の反射板の間隔に比較して、波長シフトファイバが円形の時にはその直径が小さい場合、波長シフトファイバが正方形の時にはその一辺の長さが小さい場合、蛍光体重粒子線検出シートから放出される蛍光を十分収集することが困難となる。このため、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバの数を増加する必要が生ずる。
【0040】
本実施例では、ピクセルサイズを大きくするため、反射板の縦軸及び横軸の間隔が9mmの場合について述べる。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ585mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0041】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0042】
次に格子状蛍光検出体について説明する。重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は9mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は9mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ585mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0043】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では3mmの位置と6mmの位置に2本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図3に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は0.9mmとし、正方形部の長さは0.9mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径0.8mmとする。
【0044】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は0.9mmとし、正方形部の長さは0.9mmとする。
【0045】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0046】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを配置する。
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用及び横軸用の2本の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、X軸パルス信号及びY軸パルス信号となる。これらのX軸パルス信号とY軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより、重粒子線の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0047】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が576mmx576mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例4)
【0048】
実施例4として、本発明による中性子検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図4を参照して述べる。
【0049】
実施例1及び2よりさらにピクセルサイズを大きくするため、縦軸及び横軸の反射板の間隔を大きくした場合、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバでは、蛍光体中性子検出シートから放出される蛍光を十分収集することが困難となる。このため、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバの数を増加する必要が生ずる。
【0050】
また、反射板の波長シフトファイバの太さを円形状ファイバの場合は直径1mm以上、正方形状ファイバの場合には一辺が1mm以上とした場合、上部に配置されたは波長フトファイバのみに蛍光が吸収されてしまい下部に配置された波長シフトファイバによる蛍光の収集が減少し同時計数測定を行った際の計数損失が大きくなる。また、波長シフトファイバは中性子計測のバックグラウンドとなるガンマ線に有感であることから波長シフトファイバの太さを円形状ファイバの場合は直径1mm以上、正方形状ファイバの場合には一辺が1mm以上とした場合、その太さに応じて増加する。以上の要因のため、縦軸及び横軸の反射板の間隔に比較して、波長シフトファイバが円形の時にはその直径が小さい場合、波長シフトファイバが正方形の時にはその一辺の長さが小さい場合、蛍光体中性子検出シートから放出される蛍光を十分収集することが困難となる。このため、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバの数を増加する必要が生ずる。
【0051】
本実施例では、ピクセルサイズを大きくするため、反射板の縦軸及び横軸の間隔が9mmの場合について述べる。
【0052】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚使用する。
【0053】
次に格子状蛍光検出体について説明する。中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は9mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は9mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ585mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0054】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では3mmの位置と6mmの位置に2本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図3に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は0.9mmとし、正方形部の長さは0.9mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径0.8mmとする。
【0055】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は0.9mmとし、正方形部の長さは0.9mmとする。
【0056】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0057】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面及び背面の両面に上記AST社製0.45mm厚の中性子検出シート2枚を配置する。
【0058】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用及び横軸用の2本の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、X軸パルス信号及びY軸パルス信号となる。これらのX軸パルス信号とY軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより、中性子の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0059】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が576mmx576mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例5)
【0060】
実施例5として、ZnS:Ag蛍光体を重粒子線検出媒体として用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図5を参照して述べる。
【0061】
蛍光体としてZnSを使用した場合、短寿命成分の蛍光寿命は300nsと非常に短いが、発光に伴って遅い寿命成分の蛍光が発生する。遅い成分の蛍光寿命は約70μsと長くアフターグローと定義されている。
【0062】
この実施例では、このZnS:Agのアフターグローの影響を低減する方法について述べる。上記実施例1においては、縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバからの2つの蛍光信号を同時計数処理して重粒子線の位置を決定している。重粒子線が検出器に高計数率で入射するとアフターグローの蛍光が完全に消滅しない状態となり、重粒子線が入射した位置以外にアフターグローが強い縦軸と横軸の波長シフトファイバの蛍光信号がランダムに同時計数計測が成立しバックグラウンドの位置として決定される。特に、波長シフトファイバを蛍光の検出に用いた場合、蛍光の検出効率が約3%と非常に小さいため、光検出器による蛍光の検出が一つの光毎に計数(フォトンカウンティング)して行う方法が使用されるために、ランダムに計数されるバックグラウンド計数が増加する。
【0063】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0064】
次に格子状蛍光検出体について説明する。重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は6mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は6mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ390mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0065】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2mmの位置と4mmの位置に2本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図3に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0066】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0067】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0068】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを配置する。
【0069】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用の2個の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのY軸決定用パルス信号となる。この2つのY軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合Y1−1及びY1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合Y軸の位置が決定し、Y軸パルス信号が出力される。同様に、横軸用の2個の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのX軸決定用パルス信号となる。この2つのX軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合X1−1及びX1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合X軸の位置が決定し、X軸パルス信号が出力される。このY軸パルス信号及びX軸パルス信号について同時計数が成立した場合、重粒子線の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0070】
以上のように同時計測測定を3回行うことによりZnS:Agのアフターグローに起因するランダムに発生するバックグラウンドの発生する確率を低減することを特長とする。
【0071】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が384mmx384mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例6)
【0072】
実施例6として、本発明によるZnS:Ag蛍光体を中性子検出媒体として用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図6を参照して述べる。
【0073】
蛍光体としてZnSを使用した場合、短寿命成分の蛍光寿命は300nsと非常に短いが、発光に伴って遅い寿命成分の蛍光が発生する。遅い成分の蛍光寿命は約70μsと長くアフターグローと定義されている。
【0074】
実施例では、このZnS:Agのアフターグローの影響を低減する方法について述べる。上記実施例1においては、縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバからの2つの蛍光信号を同時計数処理して中性子の位置を決定している。中性子が検出器に高計数率で入射するとアフターグローの蛍光が完全に消滅しない状態となり、中性子が入射した位置以外にアフターグローが強い縦軸と横軸の波長シフトファイバの蛍光信号がランダムに同時計数計測が成立しバックグラウンドの位置として決定される。特に、波長シフトファイバを蛍光の検出に用いた場合、蛍光の検出効率が約3%と非常に小さいため、光検出器による蛍光の検出が一つの光毎に計数(フォトンカウンティング)して行う方法が使用されるために、ランダムに計数されるバックグラウンド計数が増加する。
【0075】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。この検出シートは半透明であり、その厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚を格子状蛍光体の前面と後面に配置して使用する。
【0076】
次に格子状蛍光検出体について説明する。中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は6mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は6mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ390mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0077】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2mmの位置と4mmの位置に2本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図3に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0078】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0079】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0080】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用の2個の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのY軸決定用パルス信号となる。この2つのY軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合Y1−1及びY1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合Y軸の位置が決定し、Y軸パルス信号が出力される。同様に、横軸用の2個の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのX軸決定用パルス信号となる。
【0081】
この2つのX軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合X1−1及びX1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合X軸の位置が決定し、X軸パルス信号が出力される。このY軸パルス信号及びX軸パルス信号について同時計数が成立した場合、中性子の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0082】
以上のように同時計測測定を3回行うことによりZnS:Agのアフターグローに起因するランダムに発生するバックグラウンドの発生する確率を低減することを特長とする。
【0083】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が384mmx384mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例7)
【0084】
実施例7として、本発明によるZnS:Ag蛍光体を重粒子線検出媒体として用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図7を参照して述べる。
【0085】
蛍光体としてZnSを使用した場合、短寿命成分の蛍光寿命は300nsと非常に短いが、発光に伴って遅い寿命成分の蛍光が発生する。遅い成分の蛍光寿命は約70μsと長くアフターグローと定義されている。
【0086】
本実施例では、このZnS:Agのアフターグローの影響を低減する方法について述べる。上記実施例1においては、縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバの片方の端面から放出する蛍光からの2つの蛍光信号を同時計数処理して重粒子線の位置を決定している。重粒子線が検出器に高計数率で入射するとアフターグローの蛍光が完全に消滅しない状態となり、重粒子線が入射した位置以外にアフターグローが強い縦軸と横軸の波長シフトファイバの蛍光信号がランダムに同時計数計測が成立しバックグラウンドの位置として決定される。特に、波長シフトファイバを蛍光の検出に用いた場合、蛍光の検出効率が約3%と非常に小さいため、光検出器による蛍光の検出が一つの光毎に計数(フォトンカウンティング)して行う方法が使用されるために、ランダムに計数されるバックグラウンド計数が増加する。
【0087】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。このため、アフターグローの影響を受けることになる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0088】
このため、本実施例においては、実施例1における縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバの片方の端面のみから放出される蛍光だけではなく、もう1方の端面からの蛍光も利用するようにしている。
【0089】
格子状蛍光検出体について説明する。重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は5mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は5mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ325mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0090】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0091】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0092】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0093】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを配置する。
【0094】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用波長シフトファイバの両方の端面はそれぞれ2個の光電子増倍管に接続され、蛍光電気信号として出力される。出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのY軸決定用パルス信号となる。この2つのY軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合Y1−1及びY1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合Y軸の位置が決定し、Y軸パルス信号が出力される。同様に、横軸用波長シフトファイバの両方の端面はそれぞれ2個の光電子増倍管に接続され、蛍光電気信号として出力される。出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのX軸決定用パルス信号となる。この2つのX軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合X1−1及びX1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合X軸の位置が決定し、X軸パルス信号が出力される。
【0095】
このY軸パルス信号及びX軸パルス信号について同時計数が成立した場合、重粒子線の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0096】
以上のように同時計測測定を3回行うことによりZnS:Agのアフターグローに起因するランダムに発生するバックグラウンドの発生する確率を低減することを特長とする。
【0097】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例8)
【0098】
実施例8として、本発明によるZnS:Ag蛍光体を中性子検出媒体として用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図8を参照して述べる。
【0099】
蛍光体としてZnSを使用した場合、図に示すように、短寿命成分の蛍光寿命は300nsと非常に短いが、発光に伴って遅い寿命成分の蛍光が発生する。遅い成分の蛍光寿命は約70μsと長くアフターグローと定義されている。
【0100】
本実施例では、このZnS:Agのアフターグローの影響を低減する方法について述べる。上記実施例1においては、縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバの片方の端面から放出する蛍光からの2つの蛍光信号を同時計数処理して重粒子線の位置を決定している。中性子が検出器に高計数率で入射するとアフターグローの蛍光が完全に消滅しない状態となり、中性子が入射した位置以外にアフターグローが強い縦軸と横軸の波長シフトファイバの蛍光信号がランダムに同時計数計測が成立しバックグラウンドの位置として決定される。特に、波長シフトファイバを蛍光の検出に用いた場合、蛍光の検出効率が約3%と非常に小さいため、光検出器による蛍光の検出が一つの光毎に計数(フォトンカウンティング)して行う方法が使用されるために、ランダムに計数されるバックグラウンド計数が増加する。
【0101】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。この検出シートは半透明であり、その厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚を格子状蛍光体の前面と後面に配置して使用する。
【0102】
このため、本実施例においては、実施例1における縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバの片方の端面のみから放出する蛍光だけでは、もう1方の端面からの蛍光を利用することが特長である。
【0103】
格子状蛍光検出体について説明する。中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は5mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は5mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ325mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0104】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0105】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0106】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0107】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用波長シフトファイバの両方の端面はそれぞれ2個の光電子増倍管に接続され、蛍光電気信号として出力される。出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのY軸決定用パルス信号となる。この2つのY軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合Y1−1及びY1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合Y軸の位置が決定し、Y軸パルス信号が出力される。同様に、横軸用波長シフトファイバの両方の端面はそれぞれ2個の光電子増倍管に接続され、蛍光電気信号として出力される。
【0108】
出力された各光電気信号は増幅器で増幅された後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのX軸決定用パルス信号となる。この2つのX軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合X1−1及びX1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合X軸の位置が決定し、X軸パルス信号が出力される。
【0109】
このY軸パルス信号及びX軸パルス信号について同時計数が成立した場合、中性子の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0110】
以上のように同時計測測定を3回行うことによりZnS:Agのアフターグローに起因するランダムに発生するバックグラウンドの発生する確率を低減することを特長とする。
【0111】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例9)
【0112】
実施例9として、図9を参照して重粒子線検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について説明する。
【0113】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0114】
この蛍光体重粒子線検出シートの背後に配置された次に説明する格子状蛍光検出体の縦軸用波長シフトファイバがこの検出シート密着した構成とした場合この密着部分に近い検出シートから放出された蛍光は縦軸用波長シフトファイバに吸収されてしまい、下に配置される横軸用波長シフトファイバに検出される割合が非常に低くなる。この欠点を改善するためには、蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバとの間に距離をおく必要がある。これを実施例1で実現しようとすると、空けた距離だけの分反射板に隙間ができるため、隣のピクセルへの蛍光の漏洩が生じてしまう。
【0115】
波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0116】
これを改善するため、本実施例では、縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図9に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように直径は1.1mmの円形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバの表面との間には0.5mmの間隔が空き、上記した欠点を改善することができる。
【0117】
同様に、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図9に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように直径は1.1mmの円形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより最下部に置かれた蛍光反射底板と横軸用波長シフトファイバの表面との間には0.5mmの間隔が空き、蛍光反射底板との密着による蛍光集光率の低下を改善することができる。
【0118】
このように作製した格子状蛍光検出体の使用方法等以降については実施例1と同じなので省略する。
【0119】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例10)
【0120】
実施例10として、図10を参照して、重粒子線検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について説明する。
【0121】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0122】
この蛍光体重粒子線検出シートの背後に配置された次に説明する格子状蛍光検出体の縦軸用波長シフトファイバがこの検出シート密着した構成とした場合この密着部分に近い検出シートから放出された蛍光は縦軸用波長シフトファイバに吸収されてしまい、下に配置される横軸用波長シフトファイバに検出される割合が非常に低くなる。この欠点を改善するためには、蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバとの間に距離をおく必要がある。これを実施例1で実現しようとすると、空けた距離だけの分反射板に隙間ができるため、隣のピクセルへの蛍光の漏洩が生じてしまう。
【0123】
波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は正方形とし、一辺の長さを1mmとする。
【0124】
これを改善するため、本実施例では、縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図10に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように一辺が1.1mmの正方形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバの表面との間には約0.5mmの間隔が空き、上記した欠点を改善することができる。
【0125】
同様に、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図10に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように一辺が1.1mmの正方形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより最下部に置かれた蛍光反射底板と横軸用波長シフトファイバの表面との間には約0.5mmの間隔が空き、蛍光反射底板との密着による蛍光集光率の低下を改善することができる。
【0126】
このように作製した格子状蛍光検出体の使用方法等以降については実施例1と同じなので省略する。
【0127】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例11)
【0128】
実施例11として、中性子検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造実施例2を参照して、図11をもとに本発明による2次元中性子イメージ検出器を説明する。
【0129】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚を格子状蛍光体の前面と後面に配置して使用する。
【0130】
この蛍光体中性子検出シートの背後に配置された次に説明する格子状蛍光検出体の縦軸用波長シフトファイバがこの検出シート密着した構成とした場合この密着部分に近い検出シートから放出された蛍光は縦軸用波長シフトファイバに吸収されてしまい、下に配置される横軸用波長シフトファイバに検出される割合が非常に低くなる。この欠点を改善するためには、蛍光体中性子検出シートと縦軸用波長シフトファイバとの間に距離をおく必要がある。これを実施例1で実現しようとすると、空けた距離だけの分反射板に隙間ができるため、隣のピクセルへの蛍光の漏洩が生じてしまう。
【0131】
波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0132】
これを改善するため、本実施例では、縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図11に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように直径は1.1mmの円形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバの表面との間には0.5mmの間隔が空き、上記した欠点を改善することができる。
【0133】
同様に、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図11に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように直径は1.1mmの円形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより最下部に置かれた中性子検出シートと横軸用波長シフトファイバの表面との間には0.5mmの間隔が空き中性子検出シートとの密着による蛍光集光率の低下を改善することができる。
【0134】
このように作製した格子状蛍光検出体の使用方法等以降については実施例2と同じなので省略する。
【0135】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例12)
【0136】
実施例12として、図12を参照して中性子検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について説明する。
【0137】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚を格子状蛍光体の前面と後面に配置して使用する。
【0138】
この蛍光体中性子検出シートの背後に配置された次に説明する格子状蛍光検出体の縦軸用波長シフトファイバがこの検出シート密着した構成とした場合この密着部分に近い検出シートから放出された蛍光は縦軸用波長シフトファイバに吸収されてしまい、下に配置される横軸用波長シフトファイバに検出される割合が非常に低くなる。この欠点を改善するためには、蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバとの間に距離をおく必要がある。これを実施例1で実現しようとすると、空けた距離だけの分反射板に隙間ができるため、隣のピクセルへの蛍光の漏洩が生じてしまう。
【0139】
波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は正方形とし、一辺の長さを1mmとする。
【0140】
これを改善するため、本実施例では、縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図12に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように一辺が1.1mmの正方形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより蛍光体中性子検出シートと縦軸用波長シフトファイバの表面との間には約0.5mmの間隔が空き、上記した欠点を改善することができる。
【0141】
同様に、横軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図12に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように一辺が1.1mmの正方形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより最下部に置かれた蛍光反射底板と横軸用波長シフトファイバの表面との間には約0.5mmの間隔が空き、中性子検出シートとの密着による蛍光集光率の低下を改善することができる。
【0142】
このように作製した格子状蛍光検出体の使用方法等以降については実施例1と同じなので省略する。
【0143】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばα線などの重粒子線(陽子以上の質量を持つ粒子)、あるいは中性子を蛍光体を用いて検出し、重粒子線や中性子の入射強度に関する二次元画像を高精度に作成することができるピクセル型の二次元イメージ検出器に関する。ここで対象としている二次元イメージ検出器の技術は、原子力分野、医療分野のみならず宇宙分野でも有用な技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、重粒子線、特にα線の二次元イメージ検出器としては、蛍光体粒子線検出シートと波長シフトファイバとを組み合わせた粒子線検出器が使用されている。また、原子炉/加速器を用いた中性子源などを利用した中性子散乱実験に使用される中性子二次元イメージ検出器としては、中性子シンチレータ、あるいは蛍光体と中性子コンバータを組み合わせた蛍光体中性子検出シートと波長シフトファイバを組み合わせた検出器が使用されている。
【0003】
これらの二次元イメージ検出器では、クロスファイバ読み取り方式を用いて位置情報を得るようにしている。重粒子線の位置蛍光体シートあるいはシンチレータ板の上面と下面に波長シフトファイバ束を面状に直角方向に配置し、同時計数法により入射位置を決定する方法、クロスファイバ読み取り方式を改良しシンチレータの背面に波長シフトファイバ束を面状に直角方向に配置し同時計数法により入射位置を決定する方法、あるいは波長シフトファイバ束を面状に直角方向に配置しその上部と下部にシンチレータを配置した方法などが使用されてきた(例えば、下記の特許文献1及び2、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−187077号公報
【特許文献2】特開2002−071816号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Nucl. Instr. And Meth., A430(1999) 311−320
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の方法では波長シフトファイバが面上に配置されているため、大面積の二次元イメージ検出器を構成するために手間がかかるという欠点と、ピクセルの境界がないため、蛍光体シートから放出される蛍光が散乱されて広がって、多くの波長シフトファイバに入射するため、入射位置のピクセル以外の周囲のピクセルに蛍光が広がるという欠点があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、重粒子線や中性子によって発生させられた蛍光が、入射ピクセル以外へ漏洩することを低減させることによって、重粒子線や中性子の入射強度に関する二次元画像を高精度に作成することができるピクセル型の二次元イメージ検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては、重粒子線を測定する検出体としては、多結晶の粉体である蛍光体をバインダでガラス板等の透明な基板にバインダで塗布した蛍光体重粒子線検出シートを使用する。また、中性子を測定する検出体としては多結晶の粉体である蛍光体と中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合しアルミニウム板等の金属基板にバインダで塗布、あるいは焼結して構成した蛍光体中性子検出シートを使用する。これらの検出シートは、入射ピクセル以外のピクセルに漏洩することをできるだけ低減できるように半透明になっている。さらにまた、これらの検出シートの厚さを0.7mm以下に設定し、漏洩面積を小さくすることによって、一層検出精度を上げることができる。
【0009】
本発明に係る二次元イメージ検出器の内で、最も簡潔な構造を持つピクセル型二次元イメージ検出器においては、これらの検出シートから放出される蛍光を検出し、重粒子線あるいは中性子の入射位置を決定する手段として、重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝または穴をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝または穴をあけた構造とした格子状蛍光検出体を用いる。
【0010】
上述の最も簡単な構成においては、縦軸検出用波長シフトファイバ及び横軸検出用波長シフトファイバが各ピクセルに対して1本設けられているが、より検出感度を上げたい場合には、必要に応じて各ピクセルに対してそれぞれ2本以上設けても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上述のようにマトリクス状ピクセルを構成している格子状蛍光検出体の前面あるいは前面と背面の両面に、上記半透明で薄い検出体シートを配置して重粒子線あるいは中性子のイメージ検出を行うようにしたので、入射ピクセル以外への蛍光の漏洩を顕著に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】重粒子線検出媒体を用いた本発明の一実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図2】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図3】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図4】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図5】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図6】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図7】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図8】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図9】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図10】重粒子線検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図11】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図
【図12】中性子検出媒体を用いた本発明の他の実施例に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を示す図。
【図13】(A)及び(B)ともに中性子二次元イメージ検出器の周囲ピクセルへの蛍光の影響を示す図
【図14】中性子二次元イメージ検出器の周囲ピクセルへの蛍光の影響を立体的に示す図。
【図15】検出シートを格子状蛍光検出体の前面のみ、前面と後面の両面に配置した場合の熱中性子に対する検出効率を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器は、
蛍光体粒子線検出シートからの蛍光を反射させるため、縦軸方向に等間隔に配列された縦軸方向反射板列と、該縦軸方向反射板列と同一の機能を有し、縦軸方向と直角の横軸方向に等間隔に配列された横軸方向反射板列と、縦軸方向における蛍光を検出するため、ピクセルの各縦軸間隔の均等分割位置に設けられた少なくとも1本の縦軸検出用波長シフトファイバと、横軸方向における蛍光を検出するため、ピクセルの各横軸間隔の均等分割位置に設けられた少なくとも1本の横軸検出用波長シフトファイバとから成る格子状蛍光検出体、及び
格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に、重粒子線または中性子が入射することにより蛍光を放出する前記蛍光体粒子線検出シートから構成され、縦軸方向反射板と横軸方向反射板で囲まれる領域によって各ピクセルを構成しているピクセル型二次元イメージ検出器であって、
さらに、前記縦軸方向反射板列の上半分または下半分の位置で、前記縦軸検出用波長シフトファイバをそれぞれの溝または穴に1本づつ通すために、当該縦軸反射板列に設けられた複数個の当該溝または穴と、前記横軸方向反射板列の下半分または上半分の位置で、前記横軸検出用波長シフトファイバをそれぞれの溝または穴に1本づつ通すために、当該横軸反射板列に設けられた複数個の当該溝または穴を備え、
かつ前記蛍光体粒子線検出シートが半透明のシートであって、
縦軸検出用波長シフトファイバと横軸検出用波長シフトファイバとから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ検出し、これらの検出信号を同時に計数測定することにより粒子線の入射位置を決定するようになっている。
【0014】
以上の基本構成を実際に実施した例を図1から図15を参照しながら以下に説明する。
【実施例】
【0015】
(実施例1)
【0016】
実施例1として、重粒子線検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造を図1に示す。
【0017】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した、半透明の薄い蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0018】
次に格子状蛍光検出体について説明する。重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を図1に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は5mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は5mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ325mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0019】
この格子状構造体を作る方法として、縦軸方向に配列する反射板に横軸方向に配列する反射板の間隔の長さと同じ間隔で、反射板の厚さより100μm大きい幅の溝を反射板の奥行き幅の半分の長さ作り、横軸方向に配列する反射板に縦軸方向に配列する反射板の間隔の長さと同じ間隔で、反射板の厚さより100μm大きい幅の溝を縦軸反射板の奥行き幅の半分の長さ作り、縦軸反射板と横軸反射板を作製した溝を使って交叉させることにより作製した。以下の実施例においても同様の方法を用いて格子状構造体を作る。
【0020】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0021】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0022】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0023】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを配置する。
【0024】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用及び横軸用の2本の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、X軸パルス信号及びY軸パルス信号となる。これらのX軸パルス信号とY軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより、重粒子線の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0025】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例2)
【0026】
実施例2として、中性子検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器について図2を用いて説明する。実施例2の二次元イメージ検出器の構成は、検出シートの構造を除いて基本的に実施例1と同じである。
【0027】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が4:1)を用いる。この検出シートは半透明であり、その厚さは0.45mmである。
【0028】
次に格子状蛍光検出体について説明する。中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を図1に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は5mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は5mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ325mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0029】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0030】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0031】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0032】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに上記AST社製0.45mm厚の中性子検出シートを配置する。
【0033】
2本の波長シフトファイバBCF−92MCは合体して光検出器に接続される。合体された波長シフトファイバから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用及び横軸用の2本の増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、X軸パルス信号及びY軸パルス信号となる。これらのX軸パルス信号とY軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより、中性子の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0034】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
【0035】
本中性子イメージ検出器の周囲ピクセルへの蛍光の影響を調べるために、パルス中性子を用いて、YAG結晶の中性子散乱実験を行った。3mm x 3mm x 3mmのサイズのYAG結晶を用い、中性子ビームと直角方向に本実施例の中性子イメージ検出器を50cmの距離設置して単結晶の散乱を測定した。その結果、図13の(A)及び(B)に示すように、1ピクセルのみ中性子散乱によるピークになることがわかった。確認のため、X軸方向及びY軸方向の断面分布を図14に示す。一点以外はバックグラウンド計数である。X軸及びY軸とも他のピクセルへの影響がほとんどないことが確認できた。
【0036】
また、本実施例において、中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして10B2O3を用い焼結して作製した厚さ0.25mmのZnS/10B2O3中性子検出シート(ZnS:AgとH310BO3の混合比が3:2)を2枚用い、格子状蛍光検出体の前面と後面の両面に配置し、熱中性子に対する検出効率を測定した。同時計測時間を0.1μsから3μsまで変化させて測定した検出効率の結果を図15に示す。その結果、同時計測時間1μsの場合前面のみの場合30%の検出効率が前面と後面の両面に配置した場合48%に増加し、1.6倍向上することが確認された。
(実施例3)
【0037】
実施例3として、重粒子線検出シートを用いた他のピクセル型二次元イメージ検出器について、図3を参照して述べる。
【0038】
実施例1及び2よりさらにピクセルサイズを大きくするため、縦軸及び横軸の反射板の間隔を大きくした場合、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバでは、蛍光体重粒子線検出シートから放出される蛍光を十分収集することが困難となる。このため、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバの数を増加する必要が生ずる。
【0039】
また、反射板の波長シフトファイバの太さを円形状ファイバの場合は直径1mm以上、正方形状ファイバの場合には一辺が1mm以上とした場合、上部に配置されたは波長フトファイバのみに蛍光が吸収されてしまい下部に配置された波長シフトファイバによる蛍光の収集が減少し同時計数測定を行った際の計数損失が大きくなる。また、波長シフトファイバは重粒子線計測のバックグラウンドとなるガンマ線に有感であることから波長シフトファイバの太さを円形状ファイバの場合は直径1mm以上、正方形状ファイバの場合には一辺が1mm以上とした場合、その太さに応じて増加する。以上の要因のため、縦軸及び横軸の反射板の間隔に比較して、波長シフトファイバが円形の時にはその直径が小さい場合、波長シフトファイバが正方形の時にはその一辺の長さが小さい場合、蛍光体重粒子線検出シートから放出される蛍光を十分収集することが困難となる。このため、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバの数を増加する必要が生ずる。
【0040】
本実施例では、ピクセルサイズを大きくするため、反射板の縦軸及び横軸の間隔が9mmの場合について述べる。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ585mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0041】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0042】
次に格子状蛍光検出体について説明する。重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は9mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は9mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ585mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0043】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では3mmの位置と6mmの位置に2本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図3に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は0.9mmとし、正方形部の長さは0.9mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径0.8mmとする。
【0044】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は0.9mmとし、正方形部の長さは0.9mmとする。
【0045】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0046】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを配置する。
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用及び横軸用の2本の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、X軸パルス信号及びY軸パルス信号となる。これらのX軸パルス信号とY軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより、重粒子線の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0047】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が576mmx576mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例4)
【0048】
実施例4として、本発明による中性子検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図4を参照して述べる。
【0049】
実施例1及び2よりさらにピクセルサイズを大きくするため、縦軸及び横軸の反射板の間隔を大きくした場合、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバでは、蛍光体中性子検出シートから放出される蛍光を十分収集することが困難となる。このため、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバの数を増加する必要が生ずる。
【0050】
また、反射板の波長シフトファイバの太さを円形状ファイバの場合は直径1mm以上、正方形状ファイバの場合には一辺が1mm以上とした場合、上部に配置されたは波長フトファイバのみに蛍光が吸収されてしまい下部に配置された波長シフトファイバによる蛍光の収集が減少し同時計数測定を行った際の計数損失が大きくなる。また、波長シフトファイバは中性子計測のバックグラウンドとなるガンマ線に有感であることから波長シフトファイバの太さを円形状ファイバの場合は直径1mm以上、正方形状ファイバの場合には一辺が1mm以上とした場合、その太さに応じて増加する。以上の要因のため、縦軸及び横軸の反射板の間隔に比較して、波長シフトファイバが円形の時にはその直径が小さい場合、波長シフトファイバが正方形の時にはその一辺の長さが小さい場合、蛍光体中性子検出シートから放出される蛍光を十分収集することが困難となる。このため、X軸1本、Y軸1本の波長シフトファイバの数を増加する必要が生ずる。
【0051】
本実施例では、ピクセルサイズを大きくするため、反射板の縦軸及び横軸の間隔が9mmの場合について述べる。
【0052】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚使用する。
【0053】
次に格子状蛍光検出体について説明する。中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は9mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は9mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ585mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0054】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では3mmの位置と6mmの位置に2本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図3に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は0.9mmとし、正方形部の長さは0.9mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径0.8mmとする。
【0055】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は0.9mmとし、正方形部の長さは0.9mmとする。
【0056】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0057】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面及び背面の両面に上記AST社製0.45mm厚の中性子検出シート2枚を配置する。
【0058】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用及び横軸用の2本の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、X軸パルス信号及びY軸パルス信号となる。これらのX軸パルス信号とY軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより、中性子の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0059】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が576mmx576mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例5)
【0060】
実施例5として、ZnS:Ag蛍光体を重粒子線検出媒体として用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図5を参照して述べる。
【0061】
蛍光体としてZnSを使用した場合、短寿命成分の蛍光寿命は300nsと非常に短いが、発光に伴って遅い寿命成分の蛍光が発生する。遅い成分の蛍光寿命は約70μsと長くアフターグローと定義されている。
【0062】
この実施例では、このZnS:Agのアフターグローの影響を低減する方法について述べる。上記実施例1においては、縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバからの2つの蛍光信号を同時計数処理して重粒子線の位置を決定している。重粒子線が検出器に高計数率で入射するとアフターグローの蛍光が完全に消滅しない状態となり、重粒子線が入射した位置以外にアフターグローが強い縦軸と横軸の波長シフトファイバの蛍光信号がランダムに同時計数計測が成立しバックグラウンドの位置として決定される。特に、波長シフトファイバを蛍光の検出に用いた場合、蛍光の検出効率が約3%と非常に小さいため、光検出器による蛍光の検出が一つの光毎に計数(フォトンカウンティング)して行う方法が使用されるために、ランダムに計数されるバックグラウンド計数が増加する。
【0063】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0064】
次に格子状蛍光検出体について説明する。重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は6mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は6mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ390mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0065】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2mmの位置と4mmの位置に2本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図3に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0066】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0067】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0068】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを配置する。
【0069】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用の2個の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのY軸決定用パルス信号となる。この2つのY軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合Y1−1及びY1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合Y軸の位置が決定し、Y軸パルス信号が出力される。同様に、横軸用の2個の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのX軸決定用パルス信号となる。この2つのX軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合X1−1及びX1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合X軸の位置が決定し、X軸パルス信号が出力される。このY軸パルス信号及びX軸パルス信号について同時計数が成立した場合、重粒子線の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0070】
以上のように同時計測測定を3回行うことによりZnS:Agのアフターグローに起因するランダムに発生するバックグラウンドの発生する確率を低減することを特長とする。
【0071】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が384mmx384mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例6)
【0072】
実施例6として、本発明によるZnS:Ag蛍光体を中性子検出媒体として用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図6を参照して述べる。
【0073】
蛍光体としてZnSを使用した場合、短寿命成分の蛍光寿命は300nsと非常に短いが、発光に伴って遅い寿命成分の蛍光が発生する。遅い成分の蛍光寿命は約70μsと長くアフターグローと定義されている。
【0074】
実施例では、このZnS:Agのアフターグローの影響を低減する方法について述べる。上記実施例1においては、縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバからの2つの蛍光信号を同時計数処理して中性子の位置を決定している。中性子が検出器に高計数率で入射するとアフターグローの蛍光が完全に消滅しない状態となり、中性子が入射した位置以外にアフターグローが強い縦軸と横軸の波長シフトファイバの蛍光信号がランダムに同時計数計測が成立しバックグラウンドの位置として決定される。特に、波長シフトファイバを蛍光の検出に用いた場合、蛍光の検出効率が約3%と非常に小さいため、光検出器による蛍光の検出が一つの光毎に計数(フォトンカウンティング)して行う方法が使用されるために、ランダムに計数されるバックグラウンド計数が増加する。
【0075】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。この検出シートは半透明であり、その厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚を格子状蛍光体の前面と後面に配置して使用する。
【0076】
次に格子状蛍光検出体について説明する。中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は6mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は6mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ390mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0077】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2mmの位置と4mmの位置に2本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図3に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0078】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0079】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0080】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用の2個の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのY軸決定用パルス信号となる。この2つのY軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合Y1−1及びY1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合Y軸の位置が決定し、Y軸パルス信号が出力される。同様に、横軸用の2個の光電子増倍管から出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのX軸決定用パルス信号となる。
【0081】
この2つのX軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合X1−1及びX1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合X軸の位置が決定し、X軸パルス信号が出力される。このY軸パルス信号及びX軸パルス信号について同時計数が成立した場合、中性子の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0082】
以上のように同時計測測定を3回行うことによりZnS:Agのアフターグローに起因するランダムに発生するバックグラウンドの発生する確率を低減することを特長とする。
【0083】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が384mmx384mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例7)
【0084】
実施例7として、本発明によるZnS:Ag蛍光体を重粒子線検出媒体として用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図7を参照して述べる。
【0085】
蛍光体としてZnSを使用した場合、短寿命成分の蛍光寿命は300nsと非常に短いが、発光に伴って遅い寿命成分の蛍光が発生する。遅い成分の蛍光寿命は約70μsと長くアフターグローと定義されている。
【0086】
本実施例では、このZnS:Agのアフターグローの影響を低減する方法について述べる。上記実施例1においては、縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバの片方の端面から放出する蛍光からの2つの蛍光信号を同時計数処理して重粒子線の位置を決定している。重粒子線が検出器に高計数率で入射するとアフターグローの蛍光が完全に消滅しない状態となり、重粒子線が入射した位置以外にアフターグローが強い縦軸と横軸の波長シフトファイバの蛍光信号がランダムに同時計数計測が成立しバックグラウンドの位置として決定される。特に、波長シフトファイバを蛍光の検出に用いた場合、蛍光の検出効率が約3%と非常に小さいため、光検出器による蛍光の検出が一つの光毎に計数(フォトンカウンティング)して行う方法が使用されるために、ランダムに計数されるバックグラウンド計数が増加する。
【0087】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。このため、アフターグローの影響を受けることになる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0088】
このため、本実施例においては、実施例1における縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバの片方の端面のみから放出される蛍光だけではなく、もう1方の端面からの蛍光も利用するようにしている。
【0089】
格子状蛍光検出体について説明する。重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は5mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は5mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ325mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0090】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0091】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0092】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0093】
このように作製した格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみに蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを配置する。
【0094】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用波長シフトファイバの両方の端面はそれぞれ2個の光電子増倍管に接続され、蛍光電気信号として出力される。出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのY軸決定用パルス信号となる。この2つのY軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合Y1−1及びY1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合Y軸の位置が決定し、Y軸パルス信号が出力される。同様に、横軸用波長シフトファイバの両方の端面はそれぞれ2個の光電子増倍管に接続され、蛍光電気信号として出力される。出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのX軸決定用パルス信号となる。この2つのX軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合X1−1及びX1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合X軸の位置が決定し、X軸パルス信号が出力される。
【0095】
このY軸パルス信号及びX軸パルス信号について同時計数が成立した場合、重粒子線の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0096】
以上のように同時計測測定を3回行うことによりZnS:Agのアフターグローに起因するランダムに発生するバックグラウンドの発生する確率を低減することを特長とする。
【0097】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例8)
【0098】
実施例8として、本発明によるZnS:Ag蛍光体を中性子検出媒体として用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について、図8を参照して述べる。
【0099】
蛍光体としてZnSを使用した場合、図に示すように、短寿命成分の蛍光寿命は300nsと非常に短いが、発光に伴って遅い寿命成分の蛍光が発生する。遅い成分の蛍光寿命は約70μsと長くアフターグローと定義されている。
【0100】
本実施例では、このZnS:Agのアフターグローの影響を低減する方法について述べる。上記実施例1においては、縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバの片方の端面から放出する蛍光からの2つの蛍光信号を同時計数処理して重粒子線の位置を決定している。中性子が検出器に高計数率で入射するとアフターグローの蛍光が完全に消滅しない状態となり、中性子が入射した位置以外にアフターグローが強い縦軸と横軸の波長シフトファイバの蛍光信号がランダムに同時計数計測が成立しバックグラウンドの位置として決定される。特に、波長シフトファイバを蛍光の検出に用いた場合、蛍光の検出効率が約3%と非常に小さいため、光検出器による蛍光の検出が一つの光毎に計数(フォトンカウンティング)して行う方法が使用されるために、ランダムに計数されるバックグラウンド計数が増加する。
【0101】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。この検出シートは半透明であり、その厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚を格子状蛍光体の前面と後面に配置して使用する。
【0102】
このため、本実施例においては、実施例1における縦軸1本及び横軸1本の波長シフトファイバの片方の端面のみから放出する蛍光だけでは、もう1方の端面からの蛍光を利用することが特長である。
【0103】
格子状蛍光検出体について説明する。中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を図3に示すように等間隔に縦軸方向に配列する。反射板の縦軸方向の間隔は5mmとする。また、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列する。反射板の横軸方向の間隔は5mmとする。反射板の材料は鏡面のアルミニウム板を使用することとし、高さ2mmで長さ325mmとし、厚さを0.15mmとした。
【0104】
このように縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0105】
同様に、横軸方向に配列した反射板の下半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とする。溝は図1に示すように、隣のピクセルに蛍光ができるだけ漏洩しないように半円形正方形状とする。半円形部の直径は1.1mmとし、正方形部の長さは1.1mmとする。
【0106】
ZnS:Agの蛍光波長の中心は450nmであり、360nmから540nmまで幅広い波長の蛍光を発生し、短寿命成分の蛍光寿命は300nsであることから、波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0107】
波長シフトファイバBCF−92MCから波長シフトされてきた蛍光を検出する光検出器としては、一つのチャネルの有感サイズが2mm x2mmの64チャンネル光電子増倍管である浜松ホトニクス製H7546を用いることができる。縦軸用波長シフトファイバの両方の端面はそれぞれ2個の光電子増倍管に接続され、蛍光電気信号として出力される。出力された各光電気信号は増幅器で増幅した後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのY軸決定用パルス信号となる。この2つのY軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合Y1−1及びY1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合Y軸の位置が決定し、Y軸パルス信号が出力される。同様に、横軸用波長シフトファイバの両方の端面はそれぞれ2個の光電子増倍管に接続され、蛍光電気信号として出力される。
【0108】
出力された各光電気信号は増幅器で増幅された後、それぞれ波高弁別器によりデジタルパルス信号に変換され、2つのX軸決定用パルス信号となる。この2つのX軸決定用パルス信号(1番目のピクセルの場合X1−1及びX1−2)について同時計数測定を行い、同時計数が成立した場合X軸の位置が決定し、X軸パルス信号が出力される。
【0109】
このY軸パルス信号及びX軸パルス信号について同時計数が成立した場合、中性子の2次元入射位置を決定する。同時計数時間(コインシデンス時間)としては、ZnS:Agの短寿命成分の蛍光寿命の約3倍の1μsとする。
【0110】
以上のように同時計測測定を3回行うことによりZnS:Agのアフターグローに起因するランダムに発生するバックグラウンドの発生する確率を低減することを特長とする。
【0111】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例9)
【0112】
実施例9として、図9を参照して重粒子線検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について説明する。
【0113】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0114】
この蛍光体重粒子線検出シートの背後に配置された次に説明する格子状蛍光検出体の縦軸用波長シフトファイバがこの検出シート密着した構成とした場合この密着部分に近い検出シートから放出された蛍光は縦軸用波長シフトファイバに吸収されてしまい、下に配置される横軸用波長シフトファイバに検出される割合が非常に低くなる。この欠点を改善するためには、蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバとの間に距離をおく必要がある。これを実施例1で実現しようとすると、空けた距離だけの分反射板に隙間ができるため、隣のピクセルへの蛍光の漏洩が生じてしまう。
【0115】
波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0116】
これを改善するため、本実施例では、縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図9に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように直径は1.1mmの円形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバの表面との間には0.5mmの間隔が空き、上記した欠点を改善することができる。
【0117】
同様に、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図9に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように直径は1.1mmの円形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより最下部に置かれた蛍光反射底板と横軸用波長シフトファイバの表面との間には0.5mmの間隔が空き、蛍光反射底板との密着による蛍光集光率の低下を改善することができる。
【0118】
このように作製した格子状蛍光検出体の使用方法等以降については実施例1と同じなので省略する。
【0119】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例10)
【0120】
実施例10として、図10を参照して、重粒子線検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について説明する。
【0121】
本実施例では重粒子線検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、このZnS:Ag蛍光体をバインダを用いて30mg/cm2の塗布量で厚さ0.1mmのガラス板に塗布した蛍光体重粒子線検出シートを用いる。また、最下部に配置される蛍光反射底板の材料については鏡面のアルミニウム板を使用する。
【0122】
この蛍光体重粒子線検出シートの背後に配置された次に説明する格子状蛍光検出体の縦軸用波長シフトファイバがこの検出シート密着した構成とした場合この密着部分に近い検出シートから放出された蛍光は縦軸用波長シフトファイバに吸収されてしまい、下に配置される横軸用波長シフトファイバに検出される割合が非常に低くなる。この欠点を改善するためには、蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバとの間に距離をおく必要がある。これを実施例1で実現しようとすると、空けた距離だけの分反射板に隙間ができるため、隣のピクセルへの蛍光の漏洩が生じてしまう。
【0123】
波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は正方形とし、一辺の長さを1mmとする。
【0124】
これを改善するため、本実施例では、縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図10に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように一辺が1.1mmの正方形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバの表面との間には約0.5mmの間隔が空き、上記した欠点を改善することができる。
【0125】
同様に、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図10に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように一辺が1.1mmの正方形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより最下部に置かれた蛍光反射底板と横軸用波長シフトファイバの表面との間には約0.5mmの間隔が空き、蛍光反射底板との密着による蛍光集光率の低下を改善することができる。
【0126】
このように作製した格子状蛍光検出体の使用方法等以降については実施例1と同じなので省略する。
【0127】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、重粒子線に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の重粒子線二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例11)
【0128】
実施例11として、中性子検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造実施例2を参照して、図11をもとに本発明による2次元中性子イメージ検出器を説明する。
【0129】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚を格子状蛍光体の前面と後面に配置して使用する。
【0130】
この蛍光体中性子検出シートの背後に配置された次に説明する格子状蛍光検出体の縦軸用波長シフトファイバがこの検出シート密着した構成とした場合この密着部分に近い検出シートから放出された蛍光は縦軸用波長シフトファイバに吸収されてしまい、下に配置される横軸用波長シフトファイバに検出される割合が非常に低くなる。この欠点を改善するためには、蛍光体中性子検出シートと縦軸用波長シフトファイバとの間に距離をおく必要がある。これを実施例1で実現しようとすると、空けた距離だけの分反射板に隙間ができるため、隣のピクセルへの蛍光の漏洩が生じてしまう。
【0131】
波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は円形とし、直径1mmとする。
【0132】
これを改善するため、本実施例では、縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図11に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように直径は1.1mmの円形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバの表面との間には0.5mmの間隔が空き、上記した欠点を改善することができる。
【0133】
同様に、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図11に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように直径は1.1mmの円形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより最下部に置かれた中性子検出シートと横軸用波長シフトファイバの表面との間には0.5mmの間隔が空き中性子検出シートとの密着による蛍光集光率の低下を改善することができる。
【0134】
このように作製した格子状蛍光検出体の使用方法等以降については実施例2と同じなので省略する。
【0135】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
(実施例12)
【0136】
実施例12として、図12を参照して中性子検出媒体を用いた本発明に係るピクセル型二次元イメージ検出器の構造について説明する。
【0137】
本実施例では中性子検出媒体として、蛍光体としてZnS:Agを用い、中性子コンバータとして6LiFを用いバインダ混合し作製した英国AST社製中性子検出シート(ZnS:Agと6LiFの混合比が2:1)を用いる。厚さは0.45mmである。本実施例ではこの中性子検出シートを2枚を格子状蛍光体の前面と後面に配置して使用する。
【0138】
この蛍光体中性子検出シートの背後に配置された次に説明する格子状蛍光検出体の縦軸用波長シフトファイバがこの検出シート密着した構成とした場合この密着部分に近い検出シートから放出された蛍光は縦軸用波長シフトファイバに吸収されてしまい、下に配置される横軸用波長シフトファイバに検出される割合が非常に低くなる。この欠点を改善するためには、蛍光体重粒子線検出シートと縦軸用波長シフトファイバとの間に距離をおく必要がある。これを実施例1で実現しようとすると、空けた距離だけの分反射板に隙間ができるため、隣のピクセルへの蛍光の漏洩が生じてしまう。
【0139】
波長シフトファイバとしては、350nmから440nmまでの蛍光に感度があり、490nmの蛍光に波長変換するサンゴバン社製BCF−92MCを用いる。波長シフトファイバの形状は正方形とし、一辺の長さを1mmとする。
【0140】
これを改善するため、本実施例では、縦軸及び横軸の反射板列を構成した格子状構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図12に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように一辺が1.1mmの正方形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより蛍光体中性子検出シートと縦軸用波長シフトファイバの表面との間には約0.5mmの間隔が空き、上記した欠点を改善することができる。
【0141】
同様に、横軸方向に配列した反射板の上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置、本実施例では2.5mmの位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための空けた構造とする。穴は図12に示すように、隣のピクセルに蛍光が漏洩しないように一辺が1.1mmの正方形とし、その中心位置は反射板上部より1mmとする。このような構成にすることにより最下部に置かれた蛍光反射底板と横軸用波長シフトファイバの表面との間には約0.5mmの間隔が空き、中性子検出シートとの密着による蛍光集光率の低下を改善することができる。
【0142】
このように作製した格子状蛍光検出体の使用方法等以降については実施例1と同じなので省略する。
【0143】
縦軸用として反射板を65枚使用し、波長シフトファイバを64本使用すると共に、横軸用として反射板を65枚使用し波長シフトファイバを64本使用すると、縦軸64チャネル及び横軸64チャネル、中性子に対する有感部分が320mmx320mmの大面積の中性子二次元イメージ検出器とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体重粒子線検出シートを配置し、縦軸検出用波長シフトファイバと横軸検出用波長シフトファイバから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ光検出器で検出して、縦軸パルス信号と横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより重粒子線の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項2】
中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体に中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合した蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に中性子が入射することにより蛍光を放出する半透明の蛍光体中性子検出シートを配置し、縦軸検出用波長シフトファイバと横軸検出用波長シフトファイバから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ光検出器で検出して、縦軸パルス信号と横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより中性子の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項3】
重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための2つの溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体重粒子線検出シートを配置し、2本の縦軸検出用波長シフトファイバと2本の横軸検出用波長シフトファイバから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ光検出器で検出して、縦軸パルス信号と横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより重粒子線の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項4】
中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体に中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合した蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための2つの溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体中性子検出シートを配置し、2本の縦軸検出用波長シフトファイバと2本の横軸検出用波長シフトファイバから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ光検出器で検出して、縦軸パルス信号と横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより中性子の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項5】
重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体としてZnS:Agを用いた蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための2つの溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する、半透明の前記蛍光体重粒子線検出シートを配置し、2本の縦軸検出用波長シフトファイバからの蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出して2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に縦軸パルス信号とし、2本の横軸検出用波長シフトファイバからの蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出して2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより重粒子線の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項6】
中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体に中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合した蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための2つの溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に中性子が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体中性子検出シートを配置し、2本の縦軸検出用波長シフトファイバからの蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出して2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に縦軸パルス信号とし、2本の横軸検出用波長シフトファイバからの蛍光をそれぞれ光検出器で検出して2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより中性子の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項7】
重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体重粒子線検出シートを配置し、縦軸検出用波長シフトファイバの両端から波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出し、2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に縦軸パルス信号とし、また、横軸検出用波長シフトファイバの両端から波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出し、2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより重粒子線の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項8】
中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体に中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合した蛍光体中性子検出シートからの蛍光反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に中性子が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体中性子検出シートを配置し、縦軸検出用波長シフトファイバの両端から波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出し、2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に縦軸パルス信号とし、また、横軸検出用波長シフトファイバの両端から波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出し、2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより中性子の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項において、前記溝の代わりに、波長シフトファイバが円形をしている場合には、円状の穴を縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分に、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分に形成することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか1項において、前記溝の代わりに、波長シフトファイバが正方形をしている場合には、正方形状の穴を縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分に、正方形状の穴を横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分に形成することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項1】
重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体重粒子線検出シートを配置し、縦軸検出用波長シフトファイバと横軸検出用波長シフトファイバから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ光検出器で検出して、縦軸パルス信号と横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより重粒子線の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項2】
中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体に中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合した蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に中性子が入射することにより蛍光を放出する半透明の蛍光体中性子検出シートを配置し、縦軸検出用波長シフトファイバと横軸検出用波長シフトファイバから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ光検出器で検出して、縦軸パルス信号と横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより中性子の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項3】
重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための2つの溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体重粒子線検出シートを配置し、2本の縦軸検出用波長シフトファイバと2本の横軸検出用波長シフトファイバから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ光検出器で検出して、縦軸パルス信号と横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより重粒子線の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項4】
中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体に中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合した蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための2つの溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体中性子検出シートを配置し、2本の縦軸検出用波長シフトファイバと2本の横軸検出用波長シフトファイバから波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ光検出器で検出して、縦軸パルス信号と横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより中性子の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項5】
重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体としてZnS:Agを用いた蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための2つの溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する、半透明の前記蛍光体重粒子線検出シートを配置し、2本の縦軸検出用波長シフトファイバからの蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出して2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に縦軸パルス信号とし、2本の横軸検出用波長シフトファイバからの蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出して2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより重粒子線の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項6】
中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体に中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合した蛍光体中性子検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための2つの溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔を3分の1に分割した2つの位置に蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に中性子が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体中性子検出シートを配置し、2本の縦軸検出用波長シフトファイバからの蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出して2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に縦軸パルス信号とし、2本の横軸検出用波長シフトファイバからの蛍光をそれぞれ光検出器で検出して2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより中性子の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項7】
重粒子線が入射すると蛍光を放出する蛍光体重粒子線検出シートからの蛍光を反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に重粒子線が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体重粒子線検出シートを配置し、縦軸検出用波長シフトファイバの両端から波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出し、2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に縦軸パルス信号とし、また、横軸検出用波長シフトファイバの両端から波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出し、2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより重粒子線の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項8】
中性子が入射すると蛍光を放出する蛍光体に中性子コンバータである6Liあるいは10B元素のうち1つ以上含んだ材料を混合した蛍光体中性子検出シートからの蛍光反射する反射板を等間隔に縦軸方向に配列し、この反射板列に直角に蛍光を反射する反射板を等間隔に横軸に配列し反射板列を構成した格子状ピクセル構造体において、縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分の位置で、かつ縦軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する縦軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造とし、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分の位置で、かつ横軸間隔の中心位置に1本の蛍光を検出する横軸検出用波長シフトファイバを通すための溝をあけた構造として格子状蛍光検出体を構成し、この格子状蛍光検出体の前面のみ、あるいは前面と背面の両面に中性子が入射することにより蛍光を放出する半透明の前記蛍光体中性子検出シートを配置し、縦軸検出用波長シフトファイバの両端から波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出し、2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に縦軸パルス信号とし、また、横軸検出用波長シフトファイバの両端から波長変換されて放出される蛍光をそれぞれ2つの光検出器で検出し、2つのパルス信号とし同時計数測定を行い成立した時に横軸パルス信号とし、この縦軸パルス信号と横軸パルス信号との同時計数測定を行うことにより中性子の入射位置を決定することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項において、前記溝の代わりに、波長シフトファイバが円形をしている場合には、円状の穴を縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分に、横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分に形成することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか1項において、前記溝の代わりに、波長シフトファイバが正方形をしている場合には、正方形状の穴を縦軸方向に配列した反射板の上半分または下半分に、正方形状の穴を横軸方向に配列した反射板の下半分または上半分に形成することを特徴としたピクセル型二次元イメージ検出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−141239(P2011−141239A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3182(P2010−3182)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(390021186)株式会社秩父富士 (54)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(390021186)株式会社秩父富士 (54)
【Fターム(参考)】
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