説明

ピグ通過確認装置

【課題】ピグの通過の有無を確認でき、ひいてはピグの位置を把握可能なピグ通過確認装置を提供する。
【解決手段】ピグ通過確認装置は補修弁に着脱可能に取り付けられる取付部材25と、取付部材25に水密状態で上下動可能に設けられる保持部材27と、保持部材27に設けられて配水管1内へ挿入される挿入部材29と、挿入部材29の上昇に伴いピグの通過を示すねじりコイルバネ31とを備える。挿入部材29は、コイルバネ95により保持部材27に対して下方へ付勢されている。ねじりコイルバネ31の他端部31bは、初期状態においては挿入部材29に設けられた係止部77により移動が規制されている。ピグが通過して挿入部材29が押し上げられると、係止部77も上方へ移動し、ねじりコイルバネ31の他端部31bが移動するので、ピグの通過を確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピグと呼ばれる部材を管路に通して管内を清掃する際、管路の中途におけるピグの詰まりを検知するために、管路の中途においてピグの通過の有無を確認するためのピグ通過確認装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上水道配水管(横管)内に堆積物などが溜まることで、水質が悪化するおそれがある。そこで、管内の堆積物を除去する目的で、従来、ピグによる管内の清掃が行われている。
【0003】
ピグは、伸縮可能な部材であり、球形状や弾丸形状のものがある。また、配水管には、適宜離隔して縦管部が設けられており、ピグは、たとえば上流側の縦管部から管内へ送り込まれ、水圧などにより管内を走行して下流側の縦管部から取り出される。この際、ピグに押し出される形で、堆積物も下流側の縦管部から外部へ排出される。このようにして、管内に溜まった堆積物が外部へ排出されることで水質の悪化が防止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、管内を走行するピグが途中で止まってしまうことがある。このような場合、ピグを回収するために、ピグの位置を把握する必要があるが、従来は、配水管内へカメラなどを挿入して確認していた。ところが、管内へ挿入できるカメラの距離は短く、ピグの走行距離が長い場合、位置を変えて何度もカメラを挿入する必要があり、時間と労力がかかっていた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ピグの通過の有無を確認でき、万一ピグが詰まった際にも容易にピグの位置を把握できるピグ通過確認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、水道管内を清掃するために走行させるピグの通過を確認するための装置であって、前記水道管に設けられる縦管部から前記水道管内へ上下動可能に設けられる挿入部材と、前記水道管内を走行するピグが前記挿入部材に接触して、前記挿入部材が押し上げられることで作動し、前記ピグの通過を示す告知手段とを備えることを特徴とするピグ通過確認装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記縦管部に取り付けられる取付部材と、この取付部材に水密状態で、上下に進退可能に挿入される保持部材とをさらに備え、前記挿入部材は、前記保持部材に水密状態で、上下に進退可能に挿入されると共に、前記保持部材に対して下方へ付勢されることを特徴とする請求項1に記載のピグ通過確認装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記挿入部材は、コイルバネにより下方へ付勢されており、前記コイルバネは、前記挿入部材の上端部に配置されることを特徴とする請求項2に記載のピグ通過確認装置である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記保持部材に対して蓋部材が上下に進退可能に設けられており、前記コイルバネは、前記挿入部材に通されて設けられ、その下端部が前記挿入部材に設けられたバネ受け部に当接される一方、上端部が前記蓋部材に当接されることを特徴とする請求項3に記載のピグ通過確認装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記告知手段は、ねじりコイルバネを有し、前記ねじりコイルバネは、圧縮された状態で、その一端部が保持部材に対して位置決めされ、他端部が、前記挿入部材により移動が規制され、前記挿入部材が上方へ移動することで、前記他端部が移動してピグの通過を示すことを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載のピグ通過確認装置である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記告知手段は、前記ねじりコイルバネの移動に伴い上昇する部材をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のピグ通過確認装置である。
【0012】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記挿入部材の下端部には、半球状または円錐状の当接部材が設けられることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載のピグ通過確認装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のピグ通過確認装置によれば、ピグの通過の有無を確認でき、万一ピグが詰まった際にも容易にピグの位置を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】配水管に縦管部が設けられた状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明のピグ通過確認装置の実施例1を示す縦断面図である。
【図3】図2のピグ通過確認装置が縦管部に取り付けられた状態を示す図である。
【図4】図3の一部拡大図である。
【図5】係止具を示す斜視図である。
【図6】係止具を示す断面図である。
【図7】図2のピグ通過確認装置の概略平面図である。
【図8】挿入部材に当接部材が設けられた状態を示す図である。
【図9】図3の状態から挿入部材が配水管内に挿入された状態を示す図である。
【図10】図9の一部拡大図である。
【図11】図10の状態から挿入部材が押し上げられた状態を示す図である。
【図12】本発明のピグ通過確認装置の実施例2を示す断面図である。
【図13】図12の一部拡大図である。
【図14】当接部材の変形例を示す図である。
【図15】図12のピグ通過確認装置に突出部材が設けられた状態を示す図である。
【図16】図15の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のピグ通過確認装置の実施例について図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、配水管に縦管部が設けられた状態を示す縦断面図である。図2は、本発明のピグ通過確認装置の実施例1を示す縦断面図である。また、図3は、図2のピグ通過確認装置が縦管部に取り付けられた状態を示す図であり、図4は、その一部拡大図である。
【0017】
横管からなる上水道配水管1には、適宜、上方へ分岐して縦管部Tが設けられている。
たとえば、図1に示すように、横管1には、適宜、上方へ分岐して縦管3が設けられており、この縦管3に補修弁5等を介して消火栓Hが接続されて縦管部Tが構成されている。なお、図示例では、縦管部Tを構成する消火栓Hや補修弁5等は、地下に形成されたボックスB内に収容されている。
【0018】
ピグPを走行させて配水管1内を清掃する場合、配水管1の一部の区間を止水し、この止水された区間にある一の縦管部TからピグPを配水管1内へ送り込み、他の縦管部Tから出して回収する。本実施例のピグ通過確認装置は、ピグPが走行する区間に配置された少なくとも1つの縦管部Tに設けられて使用される。
【0019】
本実施例のピグ通過確認装置は、消火栓Hなどの縦管部Tに取り付けられて使用されるが、ここでは補修弁5に取り付けられて使用される場合について説明する。
【0020】
補修弁5は、スライド式補修弁などでもよいが、図示例では、ボール式補修弁とされている。ボール式補修弁5は、弁箱7と、この弁箱7に回転可能に収容される球状の弁体9とを有する。弁箱7には、上下両端部にフランジ11,13が形成されており、下側のフランジ13は、縦管3の上端部のフランジ15に接続される。
一方、弁箱7の上側のフランジ11は、本実施例のピグ通過確認装置の設置前には、図1に示すように、通常、消火栓Hが接続されている。また、弁箱7には、図3に示すように、上下方向に貫通して管路17が設けられており、この管路17の中途に弁体9が回転可能に配置されている。弁体9には、直径方向に貫通穴19が形成されており、この貫通穴19の直径は、前記管路17の直径と対応している。このような構成であるから、弁体9を開閉操作するレバー21により弁体9の貫通穴19の向きを弁箱7の管路17に沿って上下方向に配置するか、あるいは管路17と垂直な横方向に配置するかにより、補修弁5の開閉が可能とされる。
【0021】
本実施例のピグ通過確認装置は、補修弁5を閉じて縦管3を止水し、その状態で補修弁から消火栓Hが取り外された後に、補修弁5に取り付けられる。
【0022】
本実施例のピグ通過確認装置は、補修弁5に着脱可能に取り付けられる取付部材25と、この取付部材25に水密状態で上下動可能に設けられる保持部材27と、この保持部材27に設けられて配水管1内へ挿入され、ピグPが通過した際に上昇する挿入部材29と、この挿入部材29の上昇に伴いピグPの通過を示す告知手段31とを主要部に備える。
【0023】
取付部材25は、円筒状とされ、軸線を上下に配置して補修弁5に取り付けられる。
具体的には、取付部材25の下端部には、径方向外側へ延出してフランジ33が形成されている。また、取付部材25の軸方向中途部には、水平に延出して開閉弁35付き排水管37が接続されている。
【0024】
取付部材25は、その下端部のフランジ33が補修弁5の上側のフランジ11に重ね合わされて、ボルト・ナット(不図示)により補修弁5に固定される。この際、補修弁5の上側のフランジ11と取付部材25のフランジ33との間にはシール材(不図示)が配置され、水密で固定される。
【0025】
取付部材25の上端部には、止水部41が設けられており、この止水部41を介して保持部材27が取付部材25に水密状態で差し込まれる。
【0026】
止水部41は、取付部材25の上端部に設けられるパッキン収容部43と、このパッキン収容部43に設けられるパッキン45と、このパッキン45を固定するパッキン押え47とを有する。
パッキン収容部43は、円柱状とされ、その下端部43aは若干縮径して形成されている。パッキン収容部43は、その下端部43aが取付部材25の上端部にはめ込まれて設けられる。
【0027】
また、パッキン収容部43の中心部には、上下方向に沿って貫通穴49が形成されており、本実施例では、この貫通穴49は段付き穴とされている。
この段付き穴49の内、上側の大径穴49aにパッキン45が収容される。
【0028】
本実施例のパッキン45は、複数のシール材51により構成されている。各シール材51は、円環状とされ、合成樹脂により形成されている。各シール材51は、重ね合わされてパッキン収容部43の大径穴49aに収容されて、各シール材51により円筒状のパッキン45が構成される。そして、重合状態のシール材51の上方からパッキン押え47が載せ置かれる。
【0029】
パッキン押え47は、円筒状とされ、その上端部には径方向外側へ延出してフランジ53が形成されている。パッキン押え47は、パッキン収容部43の大径穴49aにはめ込まれた状態で、フランジ53からボルト55がパッキン収容部43にねじ込まれてパッキン収容部43に固定される。
【0030】
保持部材27は、円筒状とされ、パッキン収容部43の小径穴49bに対応した外径とされる。保持部材27は、パッキン収容部43の段付き穴49に差し込まれて、水密状態で取付部材25に上下に進退可能に設けられる。つまり、保持部材27は、パッキン押え47の中央穴57、およびシール材51の中央穴51aに差し込まれて取付部材25内へ導入される。この状態では、パッキン収容部43の内周面と、保持部材27の外周面との間がパッキン45により水密状態に維持され、しかも保持部材27は、パッキン収容部43および取付部材25に対して上下に進退可能である。
【0031】
また、保持部材27は、取付部材25の中途部に設けられる案内部材59に通されて配置される。案内部材59は、円筒形状とされ、取付部材25の中途部にはめ込まれて設けられる。案内部材59の内穴59aは、保持部材27の外径に対応している。
なお、案内部材59には、周方向に離隔して上下方向に沿って貫通穴59bが複数形成されている。
【0032】
図5および図6は、係止具を示す図であり、図5は斜視図、図6は断面図である。
【0033】
さらに、保持部材27には、軸方向任意の位置で固定可能な係止具61が設けられている。係止具61は、円筒体の一部が軸方向に切断された略C字形状とされ、撓み変形可能とされている。そして、係止具61の開口一端部には、径方向に沿って貫通穴61aが形成されており、開口他端部には、貫通穴61aと同軸上にネジ穴61bが形成されている。係止具61は、貫通穴61aからネジ穴61bへボルト63がねじ込まれることで縮径する。また、係止具61には、上下方向に沿う貫通穴61cが径方向に離隔して2つ形成されており、この貫通穴61cは段付き穴とされている。
【0034】
挿入部材29は、棒状とされ、保持部材27に水密状態で上下に進退可能に設けられる。本実施例では、挿入部材29は、保持部材27の上端部に設けられた台座65を介して保持部材27に挿入される。
【0035】
図7は、本実施例1のピグ通過確認装置の概略平面図である。
【0036】
台座65は、板状とされ、その下端部には下方へ突出して円柱状の差込部67が一体的に設けられている。台座65は、その差込部67が、保持部材27の上端部にはめ込まれて保持部材27に取り付けられる。
【0037】
台座65には、差込部67の中心部を通るように上下方向に沿って貫通穴69が形成されており、本実施例ではこの貫通穴69は、段付き穴とされる。
具体的には、台座65には、上方へ開口する円形の第一穴69aが形成されており、この第一穴69aの下部に第一穴69aより小径な第二穴69bが形成され、さらにこの第二穴69bの下部に、第二穴69bより小径な第三穴69cが形成されている。第三穴69cは、挿入部材29の外径に対応した径とされている。
【0038】
本実施例では、台座65の第二穴69bに環状のシール材71が配置された状態で、円板状の蓋材73が第一穴69aにはめ込まれて、ボルト75により台座65に固定され、ひいてはシール材71が台座65に固定される。本実施例では、シール材71にOリングが使用される。
【0039】
蓋材73の中央部には、上下方向に沿って貫通穴73aが形成されている。この貫通穴73aは、挿入部材29の外径に対応した径とされている。蓋材73の貫通穴73aに挿入部材29が通され、挿入部材29は、シール材71により水密状態で上下動可能に保持部材27に差し込まれる。
【0040】
挿入部材29の上端部には、その軸方向に直交して矩形板状の係止部77が設けられている。本実施例では、係止部77は、その板面を前後に向けた状態で、挿入部材29の上端部に一体的に設けられている。
【0041】
挿入部材29が保持部材27に設けられた状態において、係止部77の一端部77aは、台座65に設けられた一対の柱79,79間に配置される。
具体的には、台座65の上面には、前後に離隔して一対の丸棒状の柱79,79が上方へ突出して設けられており、この柱79,79間に係止部77の一端部77aが上下動可能に差し込まれている。
また、本実施例では、台座65の上面に逆U字状の留具81が左右に離隔して2つ設けられており、係止部77の両端部77a,77bはそれぞれ留具81に通されて配置されている。挿入部材29は、係止部77が留具81に当接することで、所定以上の上昇が規制される。
【0042】
さらに、台座65には、上方へ突出して設けられた支柱83にねじりコイルバネ31が通されて配置されている。このねじりコイルバネ31は、初期状態では、圧縮された状態で、その一端部31aが台座65に設けられたピン85に当接して設けられる一方、他端部31bは、係止部77に当接して設けられている。本実施例では、このねじりコイルバネ31が告知手段として機能する。
【0043】
また、挿入部材29は、保持部材27の下端部に設けられるガイド部材89に通されて配置される。ガイド部材89は、円柱形状とされ、その下端部は径方向外側へ拡径して形成されている。ガイド部材89は、保持部材27の下端部にはめ込まれて設けられる。また、ガイド部材89には、その中央部に上下方向に沿って貫通穴89aが形成されており、この貫通穴89aは、挿入部材29の外径に対応している。挿入部材29は、ガイド部材89の貫通穴89aに通されて、保持部材27から下方へ延出して配置されている。
【0044】
図8は、挿入部材に当接部材が設けられた状態を示す図である。
【0045】
保持部材27から下方へ突出する挿入部材29の下端部には、当接部材91が設けられる。本実施例では、挿入部材29の下端部に、下方へ突出してネジ棒部93が設けられており、このネジ棒部93に当接部材91が着脱可能に設けられる。また、本実施例では、挿入部材29の下端部にコイルバネ95が通された状態で、保持部材27に当接部材91が取り付けられる。
【0046】
当接部材91は、下方へ突出する円錐状部97と、この円錐状部97の中央部から上方へ突出する円柱状部99とを有し、円柱状部99の中央部には、上方へ開口するネジ穴99aが形成されている。また、円錐状部97には、周方向等間隔に離隔して貫通穴101が上下方向に沿って複数形成されている。当接部材91は、そのネジ穴99aに挿入部材29のネジ棒部93がねじ込まれて挿入部材29に固定される。
【0047】
当接部材91が挿入部材29に取り付けられた状態において、コイルバネ95は当接部材91とガイド部材89との間に配置され、挿入部材29を保持部材27に対して下方へ付勢する。
【0048】
次に、本実施例1のピグ通過確認装置の使用方法について説明する。
図9は、図3の状態から挿入部材が配水管内に挿入された状態を示す図であり、図10は、その一部拡大図である。
【0049】
図3および図4に示すように、取付部材25を補修弁5に固定した後、補修弁5を開けて、保持部材27および挿入部材29を取付部材25に対して下方へ押し込んでいく。保持部材27および挿入部材29は、補修弁5の弁体9の貫通穴19を介して下方へ送り込まれる。挿入部材29に固定された当接部材91が配水管1内の上部に到達後、保持部材27に設けられた係止具61のボルト63をねじ込んで係止具61を保持部材27に固定する。
【0050】
そして、係止具61の段付き穴61cからボルト105をパッキン収容部43にねじ込む。これにより、保持部材27が取付部材25に固定され、保持部材27の上方への移動が規制される。なお、図示例では、ボルト105は、パッキン押え47に形成された貫通穴に通されてパッキン収容部43にねじ込まれている。
また、保持部材27が取付部材25に位置決めされた状態において、挿入部材29は、コイルバネ95により付勢されて下方位置に配置されており、係止部77は台座65の上面に当接して配置されている。
【0051】
このように、保持部材27が取付部材25に対して上下動が規制され、挿入部材29の下端部に設けられた当接部材91が配水管1内の上部に配置された状態で、たとえば、上流側の縦管部T1から下流側の縦管部T2へ向けてピグPを走行させる。
【0052】
図11は、当接部材にピグが接触して、挿入部材が上方へ移動した状態を示す図である。
【0053】
本実施例のピグ通過確認装置が装着された縦管部Tの下方を、ピグPが通過する際、ピグPは当接部材91に接触する。これにより、挿入部材29がコイルバネ95の付勢力に対抗して一旦上方へ移動し、係止部77も上方へ移動する。係止部77が上方へ移動することで、ねじりコイルバネ31の他端部31bが移動して、台座65に立設されたピン107に当接する。本実施例では、ねじりコイルバネ31の他端部31bは、図7において反時計方向に回転してピン107に当接する。そして、ピグPの通過後、挿入部材29は、コイルバネ95の付勢力により下方へ移動して、初期位置に戻る。
【0054】
清掃作業者は、ねじりコイルバネ31の他端部31bが移動していることで、ピグPの通過を確認することができ、その位置より下流側にピグPが存在することを把握することができる。
また、本実施例のピグ通過確認装置を、ピグが走行する区間に配置された複数の縦管部に設置することで、より正確にピグの位置を把握することができる。つまり、ピグPが途中で止まってしまった場合、ねじりコイルバネ31の他端部31bが移動した地点より下流側で、かつ、ねじりコイルバネ31の他端部31bが移動していない地点より上流側にピグPが存在することになるので、ピグPの位置を的確に把握することができる。
【実施例2】
【0055】
次に、本発明のピグ通過確認装置の実施例2について説明する。
実施例2のピグ通過確認装置は、基本的には上記実施例1と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0056】
図12は、本発明のピグ通過確認装置の実施例2を示す断面図であり、図13は、図12の一部拡大図である。
【0057】
本実施例2では、挿入部材29を保持部材27に対して下方へ付勢するコイルバネが、挿入部材29の上端部に設けられる。具体的には、本実施例2では、挿入部材29は、係止部77よりさらに上方へ延出しており、挿入部材29の上端部は、台座65に固定された支持部材111に通されている。
【0058】
支持部材111は、円筒形状とされ、その下端部は径方向外側へ拡径して鍔部113が形成されている。支持部材111は、台座65に載置された状態で、鍔部113からボルト(不図示)が台座65にねじ込まれて台座65に固定される。また、支持部材111の周側壁には、径方向に離隔して2つの貫通穴115,115が形成されている。各貫通穴115は下方へも開口しており、係止部77の両端部77a,77bがそれぞれ通されている。さらに、支持部材111の上端部内周面は、径方向内側へ突出して縮径しており、その上端部の内穴はネジ穴117とされている。
【0059】
挿入部材29には、係止部77の上部に、径方向外側へ突出して円板状のバネ受け部121が形成されている。このバネ受け部121には、上方へ開口する円環状の凹溝121aが、挿入部材29の外周面に沿って形成されている。本実施例2では、挿入部材29の上端部にコイルバネ123が通され、そのコイルバネ123の下端部は、バネ受け部121の凹溝121a内に配置されて、バネ受け部121に載置される。
【0060】
挿入部材29の上端部にコイルバネ123が通された状態で、支持部材111に蓋部材125が装着される。蓋部材125は、円柱形状とされ、その上端部は径方向外側へ拡径して形成されている。また、蓋部材125には、中央部に上下方向に沿って貫通穴が形成されており、この貫通穴は段付き穴とされている。蓋部材125の段付き穴の内、上部の小径穴127は、挿入部材29の外径に対応している。
【0061】
また、蓋部材125の中途部は、径方向外側へ拡径して形成されており、その外周面には、ネジ溝131が形成されている。蓋部材125は、その小径穴127に挿入部材29が通されると共に、大径穴128にコイルバネ123の上端部が収容された状態で、支持部材111の上端部にねじ込まれて取り付けられる。
【0062】
支持部材111に蓋部材125が取り付けられた状態において、コイルバネ123は、その下端部がバネ受け部121に当接される一方、上端部が蓋部材125に当接して配置される。これにより、挿入部材29は、保持部材27に対してコイルバネ123により下方へ付勢される。
【0063】
このような構成の本実施例2のピグ通過確認装置は、実施例1と同様に使用される。本実施例2では、支持部材111に対する蓋部材125のねじ込み量を変化させることで、コイルバネ123が伸縮し、付勢力を変更することができる。つまり、保持部材27に対して挿入部材29を下方へ付勢する力を変化させることができる。
また、本実施例2では、挿入部材29の上端部にコイルバネ123が配置されていることで、縦管部Tに装置が装着された状態で、コイルバネ123の交換が可能とされる。
【0064】
本発明のピグ通過確認装置は、上記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
たとえば、上記実施例では、当接部材91は、円錐状部97を有したが、図14に示すような半球状部137を有する形状としてもよい。また、上記各実施例では、ピグ通過確認装置は、補修弁に取り付けたが、消火栓や縦管に取り付けるようにしてもよい。また、上記各実施例では、本発明のピグ通過確認装置が配水管に使用される場合について説明したが、送水管や導水管等の水道管にも使用可能である。
【0065】
さらに、上記各実施例では、告知手段31として、ねじりコイルバネ31を使用したが、これに加えて、突出部材を設けてもよい。
【0066】
図15は、図12に示すピグ通過確認装置に突出部材が設けられた状態を示す図であり、図16は図15の一部断面図である。
【0067】
突出部材141は、たとえば段付きの円柱形状とされ、その下側部の小径部143が台座65に形成された貫通穴に上下動可能にはめ込まれている。そして、台座65と突出部材141との間には、コイルバネ145が配置されており、突出部材141は上方へ付勢されている。
【0068】
また、突出部材141の上側部の大径部147外周面には、周方向に沿って環状溝147aが形成されている。初期状態において、突出部材141はコイルバネ145が圧縮されて下方位置に配置されており、この状態において突出部材141の環状溝147aにねじりコイルバネ31の他端部31bがはめ込まれて、突出部材141の上方への移動が規制されている。
【0069】
そして、ピグPが通過して係止部77が押し上げられ、ねじりコイルバネ31の他端部31bが移動することで、ねじりコイルバネ31の他端部31bは突出部材141の環状溝147aから離脱し、突出部材141はコイルバネ145により上方へ押し上げられる。このような構成とすることで、装置から離れた場所にいる作業者でもピグの通過の有無が把握できる。また、告知手段として、ねじりコイルバネ145に加えて、または代えて音や光などでピグの通過を知らせるような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 配水管
25 取付部材
27 保持部材
29 挿入部材
31 ねじりコイルバネ(告知手段)
77 係止部
91 当接部材
95 コイルバネ
111 支持部材
123 コイルバネ
125 蓋部材
141 突出部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管内を清掃するために走行させるピグの通過を確認するための装置であって、
前記水道管に設けられる縦管部から前記水道管内へ上下動可能に設けられる挿入部材と、
前記水道管内を走行するピグが前記挿入部材に接触して、前記挿入部材が押し上げられることで作動し、前記ピグの通過を示す告知手段と
を備えることを特徴とするピグ通過確認装置。
【請求項2】
前記縦管部に取り付けられる取付部材と、
この取付部材に水密状態で、上下に進退可能に挿入される保持部材とをさらに備え、
前記挿入部材は、前記保持部材に水密状態で、上下に進退可能に挿入されると共に、前記保持部材に対して下方へ付勢される
ことを特徴とする請求項1に記載のピグ通過確認装置。
【請求項3】
前記挿入部材は、コイルバネにより下方へ付勢されており、
前記コイルバネは、前記挿入部材の上端部に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載のピグ通過確認装置。
【請求項4】
前記保持部材に対して蓋部材が上下に進退可能に設けられており、
前記コイルバネは、前記挿入部材に通されて設けられ、その下端部が前記挿入部材に設けられたバネ受け部に当接される一方、上端部が前記蓋部材に当接される
ことを特徴とする請求項3に記載のピグ通過確認装置。
【請求項5】
前記告知手段は、ねじりコイルバネを有し、
前記ねじりコイルバネは、圧縮された状態で、その一端部が保持部材に対して位置決めされ、他端部が、前記挿入部材により移動が規制され、前記挿入部材が上方へ移動することで、前記他端部が移動してピグの通過を示す
ことを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載のピグ通過確認装置。
【請求項6】
前記告知手段は、前記ねじりコイルバネの移動に伴い上昇する部材をさらに備える
ことを特徴とする請求項5に記載のピグ通過確認装置。
【請求項7】
前記挿入部材の下端部には、半球状または円錐状の当接部材が設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載のピグ通過確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−79551(P2013−79551A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221244(P2011−221244)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(503436085)
【Fターム(参考)】