説明

ピストンを有するアイスクリーム加圧容器

粘性製品のための加圧容器1であって、開口9を有する容器本体2と、ピストン3と、容器本体の開口に取り付けられた分配閉塞体4とを備え、当該分配閉塞体が、閉塞壁と、少なくとも1つの分配開口13と、少なくとも1つの閉塞要素14とを備え、閉塞要素が閉位置と開位置との間で閉塞壁に対して移動できる容器1において、閉塞要素14を当該閉塞要素が開口13を閉じる位置へと必然的に付勢するように前記閉塞要素と前記閉塞壁との間に配置されるスプリング要素15を更に備え、閉塞壁は、容器本体の開口から隔たった少なくとも1つの横方向の分配開口を有する流路16を画成し、前記閉塞要素は、流路の周囲をシールするリングの形状を有するとともに、流路の長手方向軸と平行な軸に沿う並進により或いは当該軸を中心とする回転により流路に対して移動できる加圧容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧容器に関し、好ましくは、冷凍粘性製品を収容し且つ改良されたピストンおよびバルブ分配システムを伴う分配閉塞体を有する加圧容器に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を詰め込んで分配するために、分配バルブを備える加圧容器を使用することが既知である。
【0003】
分配バルブにより、消費者は製品を効率的に適量に分けて分配することができる。
【0004】
以下の説明では、説明を明確にするため、本発明の容器内に収容された製品をソフトクリームとして説明する。しかしながら、この実施形態に限定されず、本発明の容器内には他のタイプの製品を適切に詰め込むこともできる。
【0005】
添付図面の図1に示されるように、加圧容器1はピストン3を有する容器本体2を備えており、ピストン3は容器本体の長手方向軸に沿って並進移動できる。容器は、分配開口5と閉塞バルブ6とを有する分配閉塞体4を更に備えており、閉塞バルブ6は、該閉塞バルブ6が前記開口を閉じ或いは開く2つの配置間で前記開口5に対して移動できる。
【0006】
ピストンは、容器本体の内部を2つの区画室に分ける。すなわち、下側の区画室は、ピストンを容器本体内で上方へ移動させる加圧ガスで満たされている。第2の区画室は、蓄えて分配する製品で満たされている。
【0007】
当分野において既知のこのような加圧容器を使用して粘性製品を収容し且つ分配する場合、分配閉塞体は、頂点7が容器本体の内部に向けて方向付けられた円錐バルブを備えている。このような構造は例えば欧州特許出願第04009947.5に十分に記載されている。この理由は、消費者が製品を分配したいときに、バルブが下方に向けてすなわち容器本体の内部に向けて並進されるように当該消費者が分配閉塞体を作動させるからである。このとき、バルブが内容物中へ移動して、前記内容物の粘性がバルブの移動に対して機械的な抵抗を形成する。これは、内容物が冷凍製品である場合に特に重要である。このような抵抗により、消費者は分配動作のために多くの力を要する。
【0008】
このような機械的な抵抗を避けるため、バルブは、バルブが内容物中へ移動するのを助ける円錐形状を有しており、それにより、バルブの並進移動に対する機械的抵抗が減少される。
【0009】
冷凍製品のための加圧容器とともに使用される円錐バルブを有する周知の分配閉塞体は、作動に要する力がかなり低く、信頼性がある。
【0010】
しかしながら、バルブの形状に起因して、容器本体内に位置されるピストン3は、対応する形状を成していなければならず、すなわち、該ピストンの中心に円錐溝8を有しており、それにより、容器本体が殆ど空であり且つピストンが前記容器本体の最上部にあるときに、前記ピストンが円錐バルブと嵌合して残りの製品を容器本体の外側に押し出す可能性がある。このように、分配の最後においては、失われる製品が殆ど無い。容器本体の最上部におけるピストンの位置が添付図面の図1に示されている。ピストンのこのような円錐形状の2つの主な欠点は以下の通りである。
【0011】
第1に、このようなピストンは、製造するのに多くの費用がかかり、それにより、加圧容器の全体の価格が高くなる。
【0012】
第2に、圧縮空気がピストンを容器本体内へと上方へ押し出す容積は、その形状に起因して限られてしまう。したがって、ピストンの同じ効率において、製品を押圧して製品を容器外へと押し出すためには、加圧ガスの圧力を増大させる必要がある。これにより、製造コストが増大するとともに、高圧を収容するために更に厚い容器本体の壁が必要になる。壁が厚くなると、費用が更に多くかかり、また、それらの壁によって容器の重量が増大してしまい、これは消費者にとって明らかに望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、粘性製品を収容して分配する加圧容器であって、既存の容器の前述した欠点を解決するべく構造およびバルブを有する分配閉塞体を備える加圧容器の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、粘性製品を蓄えて分配する以下の加圧容器を用いて、前述した問題を扱う。すなわち、この加圧容器は、
(i)製品を収容するとともに、上部に開口を有する容器本体と、
(ii)前記容器本体の長手方向軸に沿って並進移動できるピストンであって、容器本体を2つの区画室、すなわち当該ピストンを前記開口の方向へ押し進める加圧ガスが満たされた下側区画室と製品が満たされた上側区画室とに分ける、ピストンと、
(iii)容器本体の前記開口に取り付けられるとともに、閉塞壁と、少なくとも1つの分配開口と、少なくとも1つの閉塞要素とを備え、前記閉塞要素が、前記分配開口が閉じられる第1の位置と前記分配開口が開かれて製品が分配される第2の位置との間で前記閉塞壁に対して移動できる、分配閉塞体と、
(iv)前記閉塞要素を当該閉塞要素が前記開口を閉じる位置へと必然的に付勢するように、前記閉塞要素と前記閉塞壁との間に配置されるスプリング要素と、
を備える加圧容器において、
前記閉塞壁は、前記容器本体の内部と流体連通する円筒流路を画成するとともに、容器本体の前記開口から隔たった少なくとも1つの横方向の分配開口を備え、前記閉塞要素は、前記流路の周囲をシールするリングの形状を有するとともに、前記流路の長手方向軸と平行な軸に沿う並進により或いは当該軸を中心とする回転により前記流路に対して移動できることを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい実施形態においては、前記流路が垂直であり、前記横方向の分配開口が前記流路の上部に位置されている。
【0016】
また、好ましくは、前記閉塞体は、前記閉塞壁および前記閉塞要素を取り囲む少なくとも1つの作用可能手段と、前記作用可能手段と前記閉塞要素との間に配置される少なくとも1つの接続要素とを更に備え、前記要素は、
−容器温度が所定の安全な温度を下回るときに前記作用可能手段と前記閉塞要素とを接続し、それにより前記作用可能手段を移動させることで消費者が前記分配開口を開くことができるような十分に硬質な材料であって、
−容器温度が前記安全な温度を上回るときに前記作用可能手段と前記閉塞要素との接続が断たれ、それにより、前記作用可能手段を移動させるときに消費者が前記分配開口を開くのを妨げるような流動的な材料、
により形成されている。
【0017】
前記安全な温度は、好ましくは−35℃〜+50℃、より好ましくは−25℃〜−10℃である。接続要素はキーであることが有益である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、前記作用可能手段は、前記閉塞要素を取り囲み且つ前記閉塞要素に対して移動可能な外側リングを備えている。
【0019】
前記製品は冷凍粘性食品であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る容器の一実施形態を示す添付図面を参照して、本発明を更に詳しく説明する。以下の例は、単なる一例として与えられており、説明され且つ請求された本発明の主題および範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0021】
以下の説明では、明確のため、本発明の容器およびその構成要素の全てが垂直位置で考慮され、それにより、容器本体の閉じられている側が平坦な水平支持体と接触し、閉塞体が取り付けられる容器本体の側が上方へ向けられる。
【0022】
図2〜図4に示される実施形態では、前記容器が垂直と見なされる場合、容器の長手方向軸が垂直である。
【0023】
図2は本発明に係る容器の一実施形態を示している。
【0024】
図2に示される容器1は、冷凍粘性製品、例えばソフトクリームを蓄えて分配する加圧容器である。
【0025】
容器1は、製品を収容し且つ容器本体の上側に開口9を有する容器本体2と、容器本体の開口9に取り付けられ且つ図5の拡大図に示される分配閉塞体4とを備えている。
【0026】
図3および図4に示されるように、容器はピストン3を更に備えており、このピストン3は、容器本体の長手方向軸に沿って並進移動できるとともに、容器本体を2つの区画室すなわちピストンを開口の方向へ押し進める加圧ガスが満たされた下側区画室11と製品が満たされた上側区画室12とに分ける。
【0027】
容器本体の開口9に取り付けられた分配閉塞体4は、閉塞壁と、少なくとも1つの分配開口13と、少なくとも1つの閉塞要素14とを備えており、閉塞要素14は、当該閉塞要素14がピストン3によって押し出されるときに、前記分配開口13が閉じられる第1の位置と、分配開口が開かれて製品が分配される第2の位置との間で、閉塞壁に対して移動できる。
【0028】
容器は、前記閉塞要素14と前記閉塞壁との間に配置されたスプリング要素15を更に備えており、これにより、閉塞要素は、当該閉塞要素が前記開口13を閉じる位置へと必然的に付勢される。
【0029】
本発明によれば、閉塞壁は、容器本体2の内部と流体連通する垂直円筒流路16を画成する。
【0030】
流路16の高さに起因して、分配開口13は容器本体の開口9から離れて位置されている。
【0031】
また、前記閉塞要素14は、流路16の周囲をシールするリングの形状を有するとともに、流路16の長手方向軸と平行な(図示しない)軸に沿う並進により前記流路に対して移動できる
【0032】
図5に示されるように、横方向の分配開口13は前記流路16の上側部分に配置されている。
【0033】
図3〜図5から分かるように、分配閉塞体4は、前記閉塞壁および前記閉塞要素を取り囲み且つこれらに対して移動できる外側リング17を更に備えており、また、前記閉塞体は、前記外側リング17と前記閉塞要素14との間に配置される1つのキー18も備えている。
【0034】
キー18は、
−容器1の温度が所定の安全な温度を下回るときに前記外側リング17と前記閉塞要素14とを接続し、それにより前記作用可能手段を移動させることで消費者が分配開口を開くことができるような十分に硬質な材料であって、
−容器1の温度が前記安全な温度を上回るときに前記外側リング17と前記閉塞要素14との接続が断たれ、それにより、前記外側リングを下方へ並進させるときに消費者が分配開口を開くのを妨げるような流動的な材料、
により形成されている。
【0035】
本実施形態において、安全な温度は−25℃〜−10℃である。
【0036】
以上の説明から理解できるように、流路の長さに起因して、閉塞体の分配開口は、容器本体から隔たっており、ピストンからも離れている。また、閉塞要素はピストンからも離れているリングであり、それにより、容器本体内でピストンの位置がどのような位置であろうと、図3および図4に示されるように前記ピストンの形状を単純に平坦にすることができる。
【0037】
本明細書で説明した現在好ましい実施形態に対する様々な変更および改良が当業者にとって明らかであることは言うまでもない。このような変更および改良は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく且つその付随する利点を減じることなく行なうことができる。したがって、このような変更および改良は添付の請求項によって保護されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来技術に係る容器の側面断面図である。
【図2】本発明に係る容器の側面図である。
【図3】容器本体の上部にピストンが位置された本発明に係る容器の側面断面図である。
【図4】容器本体の下部にピストンが位置された本発明に係る容器の側面断面図である。
【図5】開放形態における本発明に係る閉塞体の拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性製品を蓄えて分配する加圧容器であって、
(i)製品を収容するとともに、上側に開口を有する容器本体と、
(ii)前記容器本体の長手方向軸に沿って並進移動できるピストンであって、容器本体を2つの区画室、すなわち該ピストンを前記開口の方向へ押し進める加圧ガスが満たされた下側区画室と製品が満たされた上側区画室とに分ける、前記ピストンと、
(iii)前記容器本体の前記開口に取り付けられるとともに、閉塞壁と、少なくとも1つの分配開口と、少なくとも1つの閉塞要素とを備え、前記閉塞要素が、前記分配開口が閉じられる第1の位置と前記分配開口が開かれて製品が分配される第2の位置との間で前記閉塞壁に対して移動できる、分配閉塞体と、
(iv)前記閉塞要素を当該閉塞要素が前記開口を閉じる位置へと必然的に付勢するように、前記閉塞要素と前記閉塞壁との間に配置されるスプリング要素と、
を備える加圧容器において、
前記閉塞壁が、前記容器本体の内部と流体連通する円筒流路を画成するとともに、前記容器本体の前記開口から隔たった少なくとも1つの横方向の分配開口を備え、前記閉塞要素が、前記流路の周囲をシールするリングの形状を有するとともに、前記流路の長手方向軸と平行な軸に沿う並進により或いは当該軸を中心とする回転により前記流路に対して移動できることを特徴とする加圧容器。
【請求項2】
前記流路が垂直であり、前記横方向の分配開口が前記流路の上部に位置されている、請求項1に記載の加圧容器。
【請求項3】
前記閉塞体が、前記閉塞壁および前記閉塞要素を取り囲む少なくとも1つの作用可能手段と、前記作用可能手段と前記閉塞要素との間に配置される少なくとも1つの接続要素とを更に備え、前記要素が、
−容器温度が所定の安全な温度を下回るときに前記作用可能手段と前記閉塞要素とを接続し、それにより前記作用可能手段を移動させることで消費者が前記分配開口を開くことができるような十分に硬質な材料であって、
−容器温度が前記安全な温度を上回るときに前記作用可能手段と前記閉塞要素との接続が断たれ、それにより、前記作用可能手段を移動させるときに消費者が前記分配開口を開くのを妨げるような流動的な材料、
により形成されている、請求項1または2に記載の加圧容器。
【請求項4】
前記安全な温度が、−35℃〜+50℃、より好ましくは−25℃〜−10℃である、請求項3に記載の加圧容器。
【請求項5】
前記接続要素が、キーである、請求項3または4に記載の加圧容器。
【請求項6】
前記作用可能手段が、前記閉塞要素を取り囲み且つ前記閉塞要素に対して移動可能な外側リングを備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の加圧容器。
【請求項7】
前記製品が冷凍粘性食品である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の加圧容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−528387(P2008−528387A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551608(P2007−551608)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000414
【国際公開番号】WO2006/077097
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】