説明

ピストンピン

【課題】筒状をなすピストンピンであって、該ピストンピンの外側面から内側面までを貫通する貫通孔の開口付近に生じる応力をピストンピンの外側面にて低減することの可能なピストンピンを提供する。
【解決手段】ピストンとコネクティングロッドとを連結する筒状をなすピストンピン20であって、当該ピストンピン20の外側面20aから内側面20bまでを貫通する導入孔23Aは、外側面20aにおける開口23Pが、当該ピストンピン20の軸方向に延びる長円形状をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンとコネクティングロッドとを連結するピストンピンであって、特にディーゼルエンジンに用いられるピストンピンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリンダー内を往復運動するピストンは、ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換するコネクティングロッドに対しピストンピンで連結されている。こうしたピストンピンとしては、例えば特許文献1に記載された構造のピストンピンが知られている。
【0003】
図9は、ピストンとコネクティングロッドとの連結部分の断面構造を示す断面図であって、同図9では、ピストン10とコネクティングロッド15とが、特許文献1に記載されたピストンピンと同様の構造を有するピストンピン20で連結されている。図9に示されるように、ピストンピン20は、軸方向に延びる円筒形状をなしており、両端が拡径された多段円柱状の内部空間である貯留部21を有している。貯留部21の各開口は、プラグ22によって塞がれている。ピストンピン20は、ピストン10に貫通形成された嵌入部11に嵌入されている。ピストンピン20は、軸方向における中央部に該軸方向に直交する径方向に沿って延び、外側面20aと内側面20bとに開口する導入孔23が貫通形成されており、また、軸方向における両端部に同じく径方向に沿って延びる供給孔24が貫通形成されている。そして、上記中央部がコネクティングロッド15の小端部16にブッシュ17を介して回動可能に支持され、上記両端部がピストン10のピストンボス12に回動可能に支持されている。
【0004】
こうした構成によれば、コネクティングロッド15の内部に形成された油路18を通じて小端部16にエンジンオイルが供給されると、そのエンジンオイルがブッシュ17とピストンピン20との接触部分に供給されるとともに導入孔23を通じてピストンピン20の貯留部21へと導入される。貯留部21に導入されたエンジンオイルは、供給孔24を通じてピストンボス12とピストンピン20との接触部分に供給される。すなわち、ピストンピン20とブッシュ17との接触部分、及びピストンピン20とピストンボス12との接触部分にエンジンオイルが安定して供給されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−127227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば圧縮行程におけるピストン10には、シリンダー内で圧縮された吸気から受ける押下力と、ピストンピン20を介してコネクティングロッド15から受ける押上力とが作用する。そのため、ピストン10とコネクティングロッド15とを連結するピストンピン20には、上述した押下力が軸方向の両端部に作用し、かつ上述した押上力が軸方向の中央部に作用することになり、これら押下力及び押上力に基づく曲げモーメントが作用することとなる。特に、ディーゼルエンジンでは、ガソリンエンジンに比べて、圧縮時におけるシリンダー内の圧力が高いため、より大きな曲げモーメントがピストンピン20に作用することになる。
【0007】
こうした曲げモーメントは、ピストンピン20の中央において最も大きくなるため、ピストンピン20には、上記導入孔23の開口付近、特に外側面における開口付近に大きな応力が生じることになる。しかし、特許文献1においては、こうした応力を緩和させる対策についての検討が十分にはなされていない。そのため、上記導入孔23を有するピストンピン20については、外側面の開口付近に生じる応力を緩和させる対策が強く望まれている。
【0008】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、筒状をなすピストンピンであって、該ピストンピンの外側面から内側面までを貫通する貫通孔の開口付近に生じる応力をピストンピンの外側面にて低減することの可能なピストンピンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様の一つは、ピストンとコネクティングロッドとを連結する筒状をなすピストンピンであって、当該ピストンピンの外側面から内側面までを貫通する貫通孔を有し、前記外側面における前記貫通孔の開口が、当該ピストンピンの軸方向に延びる長円形状である。
【0010】
本発明者は、上記貫通孔を有するピストンピンの形状について鋭意研究した結果、外側面における開口がピストンピンの軸方向に延びる長円状であることにより、外側面における開口が真円状である場合に比べて開口付近に生じる応力が低減されることを見出した。
【0011】
この点、上述した本発明の態様の一つでは、ピストンピンが有する貫通孔の開口が外側面にてピストンピンの軸方向に延びる長円形状であるため、外側面における開口が真円形状である場合に比べて開口の付近に生じる応力が抑えられることとなる。それゆえに、こうした開口の付近における応力に対してピストンピンが耐え得るように、ピストンピンの材質や形状に加えられる制限、すなわちピストンピンそのものの設計上の制限を軽減することができる。
【0012】
本発明の態様の一つは、前記貫通孔の前記外側面における開口が、当該ピストンピンの径方向から見て楕円形状である。
ピストンピンの軸方向に延びる長円形状としては、軸方向に延びる楕円形状の他、同じく軸方向に延びる角丸長方形状がある。ここで、これら楕円形状の開口と角丸長方形状の開口とが互いに同じ面積であって、且つピストンピンの周方向における長さが略等しいという前提では、角丸長方形状の開口における角部の曲率半径は、楕円形状の開口における短径方向の端点での曲率半径よりも自ずと小さくなる。そのため、楕円形状の開口における面積と角丸長方形状の開口における面積とが互いに等しく、且つピストンピンの周方向における長さが略等しいという前提では、楕円形状の開口に生じる応力の方が角丸長方形状の開口に生じる応力よりも抑えられることとなる。
【0013】
この点、本発明の態様の一つでは、ピストンピンの外側面における貫通孔の開口がピストンピンの軸方向に延びる楕円形状である。そのため、貫通孔の開口が角丸長方形状である場合と比較して、貫通孔の開口付近に生じる応力が分散されやすくなり、該開口付近に生じる応力の集中を抑えることが可能にもなる。
【0014】
本発明の態様の一つは、前記貫通孔の延出方向が、前記軸方向に直交する方向である前記ピストンピンの径方向である。
本発明の態様の一つによれば、ピストンピンにて外側面から内側面までを貫通する各種の貫通孔のうち、該貫通孔の流路長が最も短くなる。そのため、外側面から内側面までを貫通する各種の貫通孔において、貫通孔の流路面積が互いに等しい前提では、貫通孔を通過するオイルの圧力損失が最も抑えられることとなる。
【0015】
本発明の態様の一つは、前記貫通孔の延出方向が、前記軸方向、及び該軸方向と直交する方向である前記ピストンピンの径方向と交差する。
本発明の態様の一つによれば、例えば、ピストンピンの外側面に対して軸方向と径方向とに交差する方向にドリルを用いた穴あけ加工を施すことにより、上述した開口を有する貫通孔を形成することが可能である。すなわち、径方向に延びる貫通孔を形成する場合には、ドリルを用いた穴あけ加工に加えて他の加工が必要となるが、上述した構成によれば、長円形状の開口を形成する際にドリル加工のみで済ますことができる。
【0016】
本発明の態様の一つは、前記貫通孔が、該貫通孔の流路面積が前記外側面から前記内側面に向けて小さくなる傾斜部を有する。
本発明の態様の一つによれば、外側面における開口が内側面における開口よりも大きくなるため、貫通孔における流路面積が外側面から内側面に向けて一定である場合よりも開口付近に生じる応力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のピストンピンを具体化した第1実施形態において、ピストンピンに形成された導入孔の形状を示すとともに実施例1のピストンピンに形成された導入孔の寸法を示す図。
【図2】ピストンとコネクティングロッドとの連結部分の断面構造を示すとともに、ピストンピンに関する寸法を示す図。
【図3】比較例のピストンピンに形成された導入孔の形状を示すとともに、該導入孔の寸法を示す図。
【図4】実施例1のピストンピンに作用する応力分布の解析結果を示す応力分布図。
【図5】比較例のピストンピンに作用する応力分布の解析結果を示す応力分布図。
【図6】第2実施形態において、ピストンピンに形成された導入孔の形状を示すとともに、実施例2のピストンピンに形成された導入孔の寸法を示す図。
【図7】実施例2のピストンピンに作用する応力分布の解析結果を示す応力分布図。
【図8】(a)〜(d)変形例における導入孔の形状を示す図。
【図9】従来例において、ピストンとコネクティングロッドとの連結部分の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明のピストンピンを具体化した第1実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。なお、図1〜図3において、先の図9で示した部材と同様の機能を有した部材については、同じ符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。
【0019】
図1に示されるように、ピストンピン20は、該ピストンピン20の外側面20aから該ピストンピン20の内側面20bまでを貫通する貫通孔である導入孔23Aを有している。導入孔23Aにおける外側面20aでの開口23Pは、ピストンピン20の軸方向に延びる長円形状であり、詳しくはピストンピン20の軸方向に延びる楕円形状である。この導入孔23Aの延出方向は、ピストンピン20の軸方向と直交する方向である該ピストンピン20の径方向であり、また、導入孔23Aにおける外側面20aでの開口23Pには、R面取りが施されている。
【0020】
導入孔23Aのうち外側面20a側には、導入孔23Aの断面積である流路面積がピストンピン20の外側面20aからピストンピン20の内側面20bに向けて徐々に小さくなる楕円錐孔状の傾斜部23Dが径方向に形成されている。また、導入孔23Aのうち内側面20b側には、上記傾斜部23Dの流路面積よりも小さい流路面積からなる円形孔が、上記傾斜部23Dから内側面20bに向けて径方向に形成されている。
【0021】
(実施例1)
次に、上記実施形態のピストンピン20に生じる応力について、有限要素法(FEM:Finite Element Method)による解析結果の一例を用いて説明する。まず、実施例1及び比較例のFEM法に用いられた解析条件について、図1〜4、及び表1〜4を参照して説明する。
【0022】
FEM法に用いられたピストン10、コネクティングロッド15、ピストンピン20の各々について、図2に示される各部A〜Kの寸法を表1に示し、ピストン10、コネクティングロッド15、ピストンピン20の各々の材質(JIS記号)を表2に示す。また、図1に示された実施例1の開口23Pにおける長径Rxと短径Ryとを表3に示し、図3に示される比較例の導入孔23Bにおける各部L〜Qの寸法を表4に示す。
【0023】
なお、図3に示されるように、比較例における導入孔23Bは、外側面20aにおける開口23Qが真円形状をなす多段円形孔であり、内側面20b側に向けて縮径されている。また、実施例1の導入孔23Aは、比較例1の導入孔23Bに対して、上記傾斜部23Dを設けたものであり、外側面20aでの開口23Qには、R面取りが施されている。
【0024】
そして、各部材の配置に関する条件、及び各部材間の連結態様に関する条件を以下のように設定し、ピストン10の上面10a側からピストン10に対して20MPaの負荷加重が作用する際のピストンピン20における応力を解析した。実施例1のピストンピンにおける解析結果を図4に示し、比較例のピストンピンにおける解析結果を図5に示す。なお、図4、5では、ピストンピン20のうちで最も大きな応力が発生した部分を抜粋してそれを図示する。
【0025】
・プラグ22は、ピストンピン20と一体化
・ブッシュ17は、コネクティングロッド15と一体化
・ピストン10とシリンダーライナーとの接触面を拘束
・ピストン10とピストンピン20は接触状態
・ブッシュ17とピストンピン20は接触状態
・コネクティングロッド15の大端穴は固定
図4に示されるように、実施例1の導入孔23Aにおける開口23Pの付近には、最大で約565MPaの引張り応力が発生していることが確認された。これに対して、図5に示されるように、比較例の導入孔23Bにおける開口23Qの付近には、実施例1にて認められた応力よりも大きく、最大で約845MPaの引張り応力が発生していることが確認された。これから明らかなように、ピストンピン20の外側面20aにおける導入孔の開口を軸方向に延びる楕円形状にすることによって、同開口が真円状状である場合に比べて、外側面20aにおける開口の付近に生じる応力が抑えられることが確認された。
【0026】
これは、軸方向の引張り応力を受けた外側面20aにおいて、開口の付近における周方向の変化が、円形状よりも楕円形状の方が小さいためであるものと考えられる。それゆえに、開口における軸方向の径が同じという前提であれば、扁平率が高い開口を有する導入孔ほど、同じ大きさの曲げモーメントが作用したときに生じる応力が小さくなるものと考えられる。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【表4】

【0030】
上記第1実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)ピストンピン20の外側面20aでは、導入孔23Aの開口23Pがピストンピン20の軸方向に延びる長円形状である。そのため、外側面20aにおける開口が真円形状である場合に比べて開口の付近に生じる応力が抑えられることとなる。それゆえに、こうした開口の付近における応力に対してピストンピンが耐え得るように、ピストンピン20の材質や形状に加えられる制限、すなわちピストンピン20そのものの設計上の制限を軽減することができる。
【0031】
(2)ピストンピン20の軸方向に延びる長円形状としては、上述した開口23Pのように軸方向に延びる楕円形状の他、同じく軸方向に延びる角丸長方形状がある。ここで、これら楕円形状の開口と角丸長方形状の開口とが互いに同じ面積であって、且つピストンピンの周方向における長さが略等しいという前提では、角丸長方形状の開口における角部の曲率半径は、楕円形状の開口23Pにおける短径方向の端点での曲率半径よりも自ずと小さくなる。そのため、楕円形状の開口23Pにおける面積と角丸長方形状の開口における面積とが互いに等しく、且つピストンピンの周方向における長さが略等しいという前提では、導入孔23Aのように開口23Pが楕円形状であることによって、開口付近に生じる応力が分散されやすくなり、該応力をさらに抑えることが可能である。
【0032】
(3)導入孔23Aの開口23Pは、該導入孔23Aの流路面積が外側面20aから内側面20bに向けて小さくなる傾斜部23Dの開口である。このような構成であれば、導入孔における流路面積が外側面20aから内側面20bに向けて一定である場合よりも開口の付近に生じる応力を抑えることができる。
【0033】
(4)ピストンピン20の外側面20aから内側面20bまでを貫通する貫通孔には、上述した導入孔23Aのように径方向に延びる貫通孔の他、径方向と交差する方向に延びる貫通孔がある。ただし、上述した導入孔23Aのような径方向に延びる貫通孔であれば、外側面20aと内側面20bとを結ぶ貫通孔のなかで、導入孔23Aにおける流路長が最も短くなる。そして、これら径方向に延びる貫通孔と径方向と交差する方向に延びる貫通孔とが互いに同じ流路面積であるという前提であれば、外側面20aと内側面20bとを結ぶ導入孔のなかで、該導入孔を通過するオイルの圧力損失が最も抑えられることとなる。
【0034】
(5)また、上述した形状の導入孔23は、ピストンピン20に対するドリルを用いた穴あけ加工によって形成することが可能であるが、導入孔23がピストンピン20の径方向に沿った形状であれば、外側面20aにおける開口23Pの付近に対し、加工に伴う負荷を軽減することも可能である。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明のピストンピンを具体化した第2実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。
【0036】
図6に示されるように、ピストンピン20の内部である貯留部21は、ピストンピン20の軸方向の両端部に段差を有した多段の円形孔状に形成されている。このピストンピン20の外側面20aには、該ピストンピン20の軸方向における中央部から軸方向及び径方向に交差する方向に延びる円形孔である導入孔23Cが延出形成されている。外側面20aにおける導入孔23Cの開口23Pは、ピストンピン20における軸方向の中央部に形成されるとともに、導入孔23Cの延出方向が軸方向に対して傾く分、該軸方向に延びる楕円形状に形成されている。なお、内側面20bにおける導入孔23Cの開口は、貯留部21における軸方向の端部に形成された段差面21aに形成されている。このような導入孔23Cは、例えばドリルを用いた穴あけ加工を導入孔23Cの延出方向に施すことによって形成される。
【0037】
(実施例2)
次に、上記実施形態のピストンピン20に生じる応力について、FEM法による解析結果の一例を用いて説明する。まず、実施例2のFEM法に用いられた解析条件について、図6を参照して説明する。
【0038】
図6に示されるように、導入孔23Cの内径を流路径Vとし、導入孔23Cが延出される方向と軸方向とのなす角度を延出方向Wとし、これら流路径Vを3mm、延出方向Wを21.5°とした。なお、実施例1における開口23Pの扁平率(=短径/長径)は0.5であり、実施例2における開口23Rの扁平率は0.577である。
【0039】
そして、ピストン10、コネクティングロッド15、ピストンピン20における各部A〜Kの寸法、各部材の材質、各部材の配置に関する条件、各部材間の連結態様に関する条件、及びピストンに対する負荷加重を第1実施形態と同じくしてピストンピン20における応力を解析した。実施例2のピストンピンにおける解析結果を図7に示す。なお、図7でも、先の図4、5と同じく、ピストンピン20のうちで最も大きな応力が発生した部位を抜粋してそれを図示する。
【0040】
図7に示されるように、実施例2の導入孔23Cにおける開口23Rの付近には、最大で約511MPaの引張り応力が発生していることが確認された。これにより、実施例2における引張り応力も、実施例1の導入孔23Aと同じく、先の比較例における引張り応力と比較して大幅に抑えられていることが認められた。
【0041】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態に記載した(1)(2)に準ずる効果に加えて、以下に列挙する効果が得られる。
(6)軸方向及び径方向に交差する方向に延びる導入孔23Cは、ピストンピン20に対するドリル加工によって形成することが可能であり、この際、ピストンピン20の軸方向にドリルを移動させることなく、楕円形状の開口23Rを形成することが可能である。そのため、径方向に延びる導入孔23Aに比べて、導入孔23Cの形状を高い精度で再現することが可能である。
【0042】
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・ピストンピン20の外側面20aにおける導入孔の開口は、ピストンピン20の軸方向に延びる長円形状であればよい。
【0043】
例えば、図8(a)に示されるように、内側面20bにおける導入孔23の開口が楕円形状をなしていてもよい。また、導入孔23は、傾斜部23Dが割愛された形状であって、その流路面積が導入孔23の延出方向にて等しい形状であってもよい。
【0044】
また、図8(b)に示されるように、内側面20bにおける導入孔23の開口が楕円形状であって、内側面20bから外側面20aにかけて長径が徐々に大きくなるような形状であってもよい。また、導入孔23は、外側面20aにおける開口が軸方向に延びる角丸長方形状であってもよく、図8(c)に示されるように、外側面20a及び内側面20bにおける開口が軸方向に延びる角丸長方形状であってもよい。さらに、導入孔23は、図8(d)に示されるように、外側面20a及び内側面20bにおける開口が角丸長方形状であって、内側面20bから外側面20aにかけて軸方向における径が徐々に大きくなるような形状であってもよい。なお、これら図8(a)〜(d)に示される導入孔の延出方向は、ピストンピン20の軸方向及び径方向と交差する方向であってもよい。
【0045】
・導入孔23は、ピストンピン20の外側面20aにおける開口が、該ピストンピン20の軸方向に延びる長円形状であればよく、その流路面積を外側面20aから内側面20bに向けて大きくなる傾斜部を有していてもよい。
【0046】
・導入孔23の開口が形成される位置は、例えばピストンピン20における軸方向の端部であってもよく、ピストンピン20における軸方向の中央部に限られるものではない。
【符号の説明】
【0047】
10…ピストン、10a…上面、11…嵌入部、12…ピストンボス、15…コネクティングロッド、16…小端部、17…ブッシュ、18…油路、20…ピストンピン、20a…外側面、20b…内側面、21…貯留部、21a…段差面、22…プラグ、23,23A,23B,23C…導入孔、23D…傾斜部、23P,23Q,23R…開口、24…供給孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンとコネクティングロッドとを連結する筒状をなすピストンピンであって、
当該ピストンピンの外側面から内側面までを貫通する貫通孔を有し、
前記外側面における前記貫通孔の開口が、当該ピストンピンの軸方向に延びる長円形状である
ことを特徴とするピストンピン。
【請求項2】
前記貫通孔の前記外側面における開口が、前記軸方向に延びる楕円形状である
請求項1に記載のピストンピン。
【請求項3】
前記貫通孔の延出方向が、前記軸方向に直交する方向である前記ピストンピンの径方向である
請求項1または2に記載のピストンピン。
【請求項4】
前記貫通孔の延出方向が、前記軸方向、及び該軸方向と直交する方向である前記ピストンピンの径方向と交差する
請求項1または2に記載のピストンピン。
【請求項5】
前記貫通孔が、該貫通孔の流路面積が前記外側面から前記内側面に向けて小さくなる傾斜部を有する
請求項1〜4のいずれか一項に記載のピストンピン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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