説明

ピッキングシステム

【課題】作業効率の向上を図ること。
【解決手段】カメラ3が、コンベアの搬送路上を撮像し、制御装置5が、カメラ3によって撮像された画像に基づいて搬送路上のワークを検出するとともに、検出したワークの保持動作をロボット2a,2bに対して指示し、ロボット2a,2bが、制御装置5からの指示に従って保持動作および移動動作を行う。特に、制御装置5は、カメラ3によって撮像された画像に基づいてワークの向きを検出し、検出したワークの向きに対応するロボット2a,2bに対してかかるワークの保持動作を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトコンベア等の搬送装置によって搬送されるワークをロボットによって保持して他の場所へ移動させるピッキングシステムが知られている。
【0003】
かかるピッキングシステムでは、作業効率の向上を図るために、搬送速度の高速化が進められている。このため、かかる搬送速度の高速化に対応するために、複数のロボットを用いてワークの保持を行うピッキングシステムも開発されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−340321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように複数のロボットを用いることで搬送速度の高速化に対応することができるものの、作業効率の更なる向上を図ることが望ましい。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、作業効率の向上を図ることができるピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示するピッキングシステムは、ワークを搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されるワークを保持する保持動作および保持したワークを所定の場所へ移動させる移動動作を行う複数のロボットと、前記複数のロボットよりも前記搬送装置の上流側へ配置され、前記搬送装置の搬送路上を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記搬送路上のワークを検出するとともに、検出したワークの保持動作を前記ロボットに対して指示する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記画像に基づいて前記ワークの向きをさらに検出し、検出した前記ワークの向きに対応するロボットに対して当該ワークの保持動作を指示する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示するピッキングシステムの一つの態様によれば、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1に係るピッキングシステムの模式斜視図である。
【図2】図2は、実施例1に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、アーム先端部の模式図である。
【図4−1】図4−1は、一のロボットの初期姿勢の一例を示す図である。
【図4−2】図4−2は、他のロボットの初期姿勢の一例を示す図である。
【図5−1】図5−1は、ピッキングシステムの模式上面図である。
【図5−2】図5−2は、向き検出処理の説明図である。
【図5−3】図5−3は、振分処理の説明図である。
【図6】図6は、実施例2に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7−1】図7−1は、作業履歴情報の一例を示す図である。
【図7−2】図7−2は、振分調整処理後の第1の角度範囲および第2の角度範囲の一例を示す図である。
【図8−1】図8−1は、ピッキングシステムの他の例を示す図である。
【図8−2】図8−2は、各ロボットに対応付けられる角度範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本願の開示するピッキングシステムのいくつかの実施例を詳細に説明する。ただし、これらの実施例における例示で本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
まず、本実施例に係るピッキングシステムの外観について図1を用いて説明する。図1は、実施例1に係るピッキングシステムの模式斜視図である。なお、以下では、2台のロボットを備えるピッキングシステムの例について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施例に係るピッキングシステムは、コンベア1と、ロボット2a,2bと、カメラ3とを備える。コンベア1は、搬送路11上に載置されたワークwを上流から下流へ向けて搬送する搬送装置である。なお、ここでは、一例として、コンベア1がベルトコンベアであるものとするが、ワークwを所定方向へ搬送することができるものであれば他の搬送装置であってもよい。
【0013】
ロボット2a,2bは、天井や壁面・床面等に固定された多関節ロボットであり、コンベア1によって搬送されるワークwを保持する保持動作および保持したワークwを所定の場所へ移動させる移動動作を行う。
【0014】
ロボット2a,2bは、アーム先端部21a,21bを備えており、かかるアーム先端部21a,21bに、ワークwを保持するエンドエフェクタ(保持部)が設けられる。
【0015】
たとえば、ロボット2a,2bは、真空ポンプ等の吸引装置を用いてワークwを吸着させる吸着部22a,22bをエンドエフェクタとして備えており、かかる吸着部22a,22bを用いてワークwを保持する。また、ロボット2a,2bは、保持したワークwをそれぞれコンベア4a,4bへ移動させた後、吸引装置による吸引力を解除することにより、保持したワークwをコンベア4a,4b上に載置する。
【0016】
ここで、ロボット2a,2bは、ワークwを保持する際には、ワークwの向きに対してアーム先端部21a,21bの向きが所定の向きとなるようにアーム先端部21a,21bを回転させたうえで、かかるワークwの保持を行うものとする。アーム先端部21a,21bの構成については、図3を用いて後述する。
【0017】
また、ロボット2a,2bは、1つのワークwについての保持動作および移動動作が完了すると、あらかじめ設定された初期姿勢に戻り、かかる初期姿勢から次のワークwに対する保持動作を開始する。ここで、本実施例に係るロボット2a,2bには、それぞれ異なる初期姿勢が設定されるが、かかる点については、図4−1および図4−2を用いて後述する。
【0018】
なお、ここでは、ロボット2a,2bがエンドエフェクタとして吸着部22a,22bを備えることとしたが、ロボット2a,2bは、ワークwを保持することができれば他のエンドエフェクタを備えていてもよい。たとえば、ロボット2a,2bは、ワークwを把持するハンド型のエンドエフェクタを備えていてもよい。
【0019】
本実施例では、ロボット2a,2bとして垂直多関節ロボットを適用した例について説明するが、ロボットの構成はこれに限ったものではなく、ロボット2a,2bは、水平多関節ロボット、パラレルリンクロボット、直交ロボット等、ワークwを保持して移送できる構成であればよい。
【0020】
また、本実施例ではロボット2a,2bが搬送路11を挟んで配置される場合の例について説明するが、これに限ったものではなく、ロボット2a,2bは、搬送路11に沿って並んで配置されてもよいし、搬送路11の上方に配設されてもよい。
【0021】
カメラ3は、ロボット2a,2bよりもコンベア1の上流側へ配置され、コンベア1の搬送路11上の所定領域を撮像する撮像装置である。カメラ3によって撮像された画像は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して図示しない制御装置へ出力される。
【0022】
ピッキングシステムは、上記のように構成されており、カメラ3が、搬送路11上を撮像し、図示しない制御装置が、カメラ3によって撮像された画像に基づいて搬送路11上のワークwを検出するとともに、検出したワークwの保持動作をロボット2a,2bに対して指示する。そして、ロボット2a,2bが、制御装置からの指示に従って保持動作および移動動作を行う。
【0023】
ここで、従来のピッキングシステムにおいて短時間で多量のワークを処理する必要がある場合には、ロボットを複数台並設することで、上流側のロボットで処理し切れず通過するワークを下流側のロボットで処理させることで処理能力の向上を図っている。しかしながら、このような手法では、上流側に配置されたロボットに負荷が集中してしまい、ピッキングシステム全体として効率的とはいえない場合がある。
【0024】
そこで、本実施例に係るピッキングシステムは、ロボット2a,2bのどちらにワークwの保持動作を行わせるかを、ワークwの向きに応じて決定するように構成されている。これにより、ロボット2a,2bの一方に処理負荷が集中することが防止されるとともに、各ロボット2a,2bがそれぞれ保持しやすい姿勢のワークwを処理することができるため作業効率を高めることができる。以下では、かかる制御装置の構成および動作について具体的に説明する。
【0025】
図2は、実施例1に係る制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図2では、制御装置の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0026】
図2に示すように、制御装置5は、制御部51と、記憶部52とを備える。また、制御部51は、ワーク検出部511と、向き検出部512と、動作指示部513とを備え、記憶部52は、振分情報521を記憶する。
【0027】
制御部51は、制御装置5全体を制御する制御部である。ワーク検出部511は、カメラ3から入力される画像に基づいて搬送路11上のワークwを検出する処理部である。また、ワーク検出部511は、ワークwを検出すると、かかるワークwの位置情報を含む検出結果をカメラ3によって撮像された画像とともに向き検出部512へ出力する。
【0028】
向き検出部512は、カメラ3によって撮像された画像に基づいてワークwの向きを検出する処理部である。また、向き検出部512は、ワークwの向きを検出すると、ワーク検出部511によるワークwの検出結果に対してワークwの向きの検出結果を加えて動作指示部513へ出力する。
【0029】
なお、ワーク検出部511によるワークwの検出および向き検出部512によるワークwの向き検出については、いずれの公知技術を用いても構わない。また、ここでは、ワークwの検出処理およびワークwの向きの検出処理をそれぞれ異なる処理部が行うこととしたが、これらの処理を1つの処理部が一括して行ってもよい。
【0030】
動作指示部513は、向き検出部512から受け取ったワークwの検出結果および記憶部52に記憶された振分情報521に基づき、ワークwの保持動作および移動動作を、かかるワークwの向きに対応するロボット2a,2bに対して指示する処理部である。かかる動作指示部513によって実行される処理の具体的な内容については、図5−1〜図5−3を用いて後述する。
【0031】
記憶部52は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成され、振分情報521を記憶する。振分情報521は、所定の角度範囲ごとにロボット2a,2bをそれぞれ対応付けた情報である。
【0032】
ここで、振分情報521の内容および各ロボット2a,2bの初期姿勢について説明する。図3は、アーム先端部21a,21bの模式図である。また、図4−1は、ロボット2aの初期姿勢の一例を示す図であり、図4−2は、ロボット2bの初期姿勢の一例を示す図である。
【0033】
図3に示すように、ロボット2a,2bのアーム先端部21a,21bは、回転軸Axを中心として回転可能に設けられている。ロボット2a,2bは、アーム先端部21a,21bの向きがワークwの向きに対して所定の向きとなるようにアーム先端部21a,21bを回転軸Axを中心に回転させたうえで、吸着部22a,22bを用いてワークwを保持する。なお、ここでは具体的な説明を省略するが、アーム先端部21a,21bには回転軸Ax以外にも回転軸が設けられており、ロボット2a,2bは、必要に応じて回転軸Ax以外の回転軸を中心としてアーム先端部21a,21bを回転させる。
【0034】
また、上述したようにロボット2a,2bには、それぞれ異なる初期姿勢が設定されている。たとえば、図4−1に示すように、ロボット2aには、アーム先端部21aがコンベア1の搬送方向と同じ方向を向いた姿勢が初期姿勢として設定されている。また、図4−2に示すように、ロボット2bには、アーム先端部21bがコンベア1の搬送方向に対して左90度の方向を向いた姿勢が初期姿勢として設定されている。
【0035】
また、図4−1に示すように、ロボット2aには、コンベア1の搬送方向を基準向き(0度)とした場合における−45度〜+45度の角度範囲200a(以下、「第1の角度範囲200a」と記載する)が振分情報521によって対応付けられている。また、図4−2に示すように、ロボット2bには、コンベア1の搬送方向を基準向き(0度)とした場合における+45度〜+135度の角度範囲200b(以下、「第2の角度範囲200b」と記載する)が振分情報521によって対応付けられている。
【0036】
このように、本実施例では、ロボット2a,2bが初期姿勢を取った場合におけるアーム先端部21a,21b(あるいは吸着部22a,22b)の向きと基準向きとがなす角度を含む所定の角度範囲が、各ロボット2a,2bに対して対応付けられている。
【0037】
なお、ここでは、コンベア1の搬送方向を基準向きとしたが、基準向きは、必ずしも搬送方向であることを要しない。また、各ロボット2a,2bに対して設定される初期姿勢は、図4−1および図4−2に示した姿勢に限ったものでない。
【0038】
次に、本実施例に係るピッキングシステムの動作例について図5−1〜図5−3を用いて説明する。図5−1は、ピッキングシステムの模式上面図であり、図5−2は、向き検出処理の説明図であり、図5−3は、振分処理の説明図である。
【0039】
図5−1に示すように、カメラ3によってワークw1〜w4が撮像され、ワーク検出部511が、これらワークw1〜w4を検出したとする。かかる場合、図5−2に示すように、向き検出部512は、ワーク検出部511によって検出されたワークw1〜w4の向きd1〜d4を検出する。
【0040】
つづいて、動作指示部513は、向き検出部512によって検出された各ワークw1〜w4の向きd1〜d4と基準向き(本実施例では、搬送方向)とがなす角度を求め、求めた角度を含む角度範囲と対応付けられたロボット2a,2bに対してかかるワークw1〜w4の保持動作を指示する。
【0041】
たとえば、図5−3に示すように、ワークw1の向きd1およびワークw4の向きd4は、ロボット2aに対して対応付けられた第1の角度範囲200aに含まれる。このため、動作指示部513は、ワークw1およびワークw4の保持動作および移動動作をロボット2aに対して指示する。
【0042】
また、ワークw2の向きd2およびワークw3の向きd3は、ロボット2bに対して対応付けられた第2の角度範囲200bに含まれる。このため、動作指示部513は、ワークw2およびワークw3の保持動作および移動動作をロボット2bに対して指示する。なお、図5−3に示すように、ロボット2aには、+135度〜+180度の角度範囲および−135度〜−180度の角度範囲をさらに対応付け、ロボット2bには、−45度〜−135度の角度範囲をさらに対応付けてもよい。
【0043】
上述してきたように、本実施例では、制御装置5が、カメラ3によって撮像された画像に基づいてワークwの向きをさらに検出し、検出したワークwの向きに対応するロボット2a,2bに対してかかるワークwの保持動作を指示することとした。具体的には、制御装置5が、所定の角度範囲ごとにロボット2a,2bをそれぞれ対応付けておき、検出したワークwの向きと所定の基準向きとがなす角度を含む角度範囲と対応付けられたロボット2a,2bに対してかかるワークwの保持動作を指示することとした。
【0044】
これにより、従来のピッキングシステムと異なり、各ロボット2a,2bの処理負荷を均等に分散させることができる。このため、ピッキングシステム全体としての作業効率を高めることができる。
【0045】
また、本実施例では、制御装置5が、ロボット2a,2bが初期姿勢を取った場合における吸着部22a,22bの向きと所定の基準向きとがなす角度を含む所定の角度範囲を、かかるロボット2a,2bに対して対応付けることとした。
【0046】
これにより、各ロボット2a,2bがワークwを保持する際にアーム先端部21a,21bを回転させる量を少なくすることができる。このように、各ロボット2a,2bに対して、各ロボット2a,2bが保持し易い向きを向いたワークwを保持させることで、各ロボット2a,2bの保持動作を高速化することができ、作業効率を更に高めることができる。
【実施例2】
【0047】
ところで、カメラ3よりも上流側で行われる作業工程の内容によっては、ワークwの向きに偏りが生じる可能性がある。このような場合には、ロボット2a,2bの何れかに処理負荷が偏り、ピッキングシステム全体としての作業効率が低下する可能性がある。
【0048】
そこで、ロボット2a,2bの作業量に応じて、各ロボット2a,2bに対応付けられた第1の角度範囲200aおよび第2の角度範囲200bの大きさを調整することとしてもよい。以下では、かかる場合について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0049】
まず、実施例2に係る制御装置の構成について図6を用いて説明する。図6は、実施例2に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【0050】
図6に示すように、実施例2に係る制御装置5aは、制御部51aと、記憶部52aとを備える。また、制御部51aは、実施例1に係る制御装置5の制御部51が備える各処理部に加えて振分調整部514をさらに備える。また、記憶部52aは、実施例1に係る制御装置5の記憶部52が記憶する振分情報521に加えて作業履歴情報522をさらに記憶する。
【0051】
作業履歴情報522は、各ロボット2a,2bのワークwの処理数、すなわち、各ロボット2a,2bが保持動作を行ったワークwの個数を格納する情報である。かかる作業履歴情報522は、動作指示部513が各ロボット2a,2bに対してワークwの保持動作の実行指示を行うごとに動作指示部513によって更新される。
【0052】
なお、動作指示部513は、ワークwの保持動作の実行指示を行うごとではなく、各ロボット2a,2bから保持動作および移動動作を完了した旨の通知を受け取るごとに、作業履歴情報522を更新することとしてもよいし、定期的に更新することとしてもよい。
【0053】
振分調整部514は、作業履歴情報522に基づいて第1の角度範囲200aおよび第2の角度範囲200bの大きさを調整する領域調整処理を行う処理部である。
【0054】
ここで、振分調整部514による振分調整処理の具体的な内容について図7−1および図7−2を用いて説明する。図7−1は、作業履歴情報522の一例を示す図であり、図7−2は、振分調整処理後の第1の角度範囲200aおよび第2の角度範囲200bの一例を示す図である。
【0055】
図7−1に示すように、作業履歴情報522は、ロボット2a,2bごとに、ワークwの処理個数を対応付けた情報である。図7−1に示す例では、「ロボット2a」に対して「100」が対応付けられ、「ロボット2b」に対して「50」が対応付けられている。かかる作業履歴情報522により、第1の角度範囲200a内の角度を向いたワークwが、第2の角度範囲200b内の角度を向いたワークwよりも多く搬送されてきていることがわかる。
【0056】
つづいて、図7−2に示すように、振分調整部514は、ロボット2aに対応付けられた第1の角度範囲200aをロボット2bに対応付けられた第2の角度範囲200bよりも小さくなるように調整する。
【0057】
たとえば、図7−1に示す例においてロボット2aの処理個数は、ロボット2bの処理個数の2倍である。そこで、振分調整部514は、ロボット2aに対応付けられた第1の角度範囲200aの大きさがロボット2bに対応付けられた第2の角度範囲200bの大きさの半分になるように第1の角度範囲200aおよび第2の角度範囲200bの大きさを変更する。このように、振分調整部514は、各ロボット2a,2bの処理個数の比率に応じて第1の角度範囲200aおよび第2の角度範囲200bの大きさを変更してもよい。
【0058】
上述してきたように、本実施例では、制御装置5aが、各ロボット2a,2bの作業量に応じて第1の角度範囲200aおよび第2の角度範囲200bの大きさを変更することとした。このため、ワークwの向きに偏りがある場合であっても、作業効率の低下を防止することができる。
【0059】
なお、振分調整部514は、各ロボット2a,2bの処理個数の比率に所定の係数(たとえば、「0.8」)を乗じた値に応じて第1の角度範囲200aおよび第2の角度範囲200bの大きさを変更することとしてもよい。また、振分情報521は、作業員等が手動で変更することとしてもよい。
【0060】
また、ここでは、作業履歴情報522をロボット2a,2bの作業量として用いることとしたが、これに限ったものではない。たとえば、振分調整部514は、向き検出部512によるワークwの向きの検出結果を記憶部52a等に蓄積し、蓄積した検出結果から、ワークwの向きの統計を求め、求めた統計結果を各ロボット2a,2bの作業量として用いることとしてもよい。
【0061】
また、制御装置5aは、検出されたワークwの向きの統計に基づいてロボット2a,2bの初期姿勢を変更することとしてもよい。
【0062】
たとえば、制御装置5aは、蓄積したワークwの向きの検出結果から第1の角度範囲200aに含まれるワークwの向きと所定の基準向き(ここでは、搬送方向)とがなす角度の平均値を求める。そして、制御装置5aは、アーム先端部21a〜21dの向きと基準向き(ここでは、搬送方向)とがなす角度が上記の平均値と一致する姿勢をあらたな初期姿勢として設定してもよい。
【0063】
すなわち、第1の角度範囲200aに含まれるワークwの向きと所定の基準向きとがなす角度の平均値が−10度であった場合には、アーム先端部21a〜21dの向きと基準向きとがなす角度が−10度となる姿勢をあらたな初期姿勢として設定する。このようにすることで、各ロボット2a,2bの保持動作の更なる高速化を図ることができる。
【0064】
ところで、上述してきた各実施例では、ピッキングシステムが2台のロボット2a,2bを備える場合の例について説明してきたが、ピッキングシステムは、3台以上のロボットを備えていてもよい。以下では、一例として4台のロボット2a〜2dを備えるピッキングシステムについて図8−1および図8−2を用いて説明する。図8−1は、ピッキングシステムの他の例を示す図であり、図8−2は、各ロボット2a〜2dに対応付けられる角度範囲の一例を示す図である。
【0065】
図8−1に示すように、ピッキングシステムが4台のロボット2a〜2dを備える場合も、上述した各実施例と同様に、各ロボット2a〜2dに対してそれぞれ異なる角度範囲を対応付ければよい。
【0066】
たとえば、図8−2に示すように、ロボット2aには、−45度〜+45度の第1の角度範囲200aを対応付け、ロボット2bには、+45度〜+135度の第2の角度範囲200bを対応付ける。また、ロボット2cには、−45度〜−135度の第3の角度範囲200cを対応付け、ロボット2dには、+135度〜+180度および−135度〜−180度の第4の角度範囲200dを対応付ける。
【0067】
さらに、図8−1に示すように、各ロボット2a〜2dには、初期設定として、アーム先端部21a〜21dの向きと基準向き(ここでは、搬送方向)とがなす角度が各ロボット2a〜2dに対応付けられた角度範囲に含まれる姿勢を設定する。
【0068】
このように、ロボットの設置台数を増やす場合には、ロボットの設置台数に応じて角度範囲を分割すればよい。
【0069】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
w ワーク
1 コンベア
11 搬送路
2a〜2d ロボット
21a〜21d アーム先端部
3 カメラ
4a,4b コンベア
5,5a 制御装置
51,51a 制御部
511 ワーク検出部
512 向き振分部
513 動作指示部
514 振分調整部
52,52a 記憶部
521 振分情報
522 作業履歴情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されるワークを保持する保持動作および保持したワークを所定の場所へ移動させる移動動作を行う複数のロボットと、
前記複数のロボットよりも前記搬送装置の上流側へ配置され、前記搬送装置の搬送路上を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記搬送路上のワークを検出するとともに、検出したワークの保持動作を前記ロボットに対して指示する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記画像に基づいて前記ワークの向きをさらに検出し、検出した前記ワークの向きに対応するロボットに対して当該ワークの保持動作を指示することを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、
所定の角度範囲ごとに前記ロボットをそれぞれ対応付けておき、検出した前記ワークの向きと所定の基準向きとがなす角度を含む前記角度範囲と対応付けられた前記ロボットに対して当該ワークの保持動作を指示することを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記ロボットは、
前記ワークを保持する保持部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記ロボットが初期姿勢を取った場合における前記保持部の向きと前記所定の基準向きとがなす角度を含む前記所定の角度範囲を、当該ロボットに対して対応付けておくことを特徴とする請求項2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記複数のロボットの作業量に応じて前記所定の角度範囲の大きさを変更することを特徴とする請求項2または3に記載のピッキングシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、
検出された前記ワークの向きの統計に基づいて前記ロボットの初期姿勢を変更することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載のピッキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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