説明

ピックアップレンズの防塵機構

【課題】駆動源を別途設けることなく、ピックアップレンズを覆うレンズカバーを確実に駆動する。
【解決手段】防塵機構10は、遊端側の下面にレンズカバーが取り付けられた防塵アーム11を備える。防塵アーム11は、捩りコイルばね13によって下方へ付勢されてピックアップレンズを覆い、アーム駆動部14によって上方へ駆動される。アーム駆動部14は、左右の両ガイド板15,16を回動可能に設け、その回動端にCDの外周縁に当接するガイドローラ17,18を設けるとともに、ガイドローラ17,18が互いに近接する向きに付勢されるように、引張コイルばねを設ける。左側ガイド板15に駆動リンクを連結することにより、CDのスロット3への挿入動作に応じてガイド板15が回動し、駆動リンクが防塵アーム11を上方へ駆動するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDなどの光ディスクの読取りまたは書込みに供されるピックアップレンズの防塵機構に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)などの光ディスクを対象として、情報の読み込み(再生)または情報の書き込み(録音・録画)を行う光ディスクドライブ装置では、ピックアップレンズの表面に煙草のヤニ等の汚れや埃などが付着すると、光ビームの透過性が劣化して情報の読み込みまたは書き込みを正確に行えなくなることがある。そのため、ピックアップレンズの表面を適時クリーニングする様々なクリーニング装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3等)。
【0003】
また、ピックアップレンズの表面に汚れや埃などが付着すること自体を防止すべく、ピックアップレンズを覆うためのレンズカバーを設けた防塵装置として、レンズカバーを回動可能に設け、ピックアップレンズの上方を開放する開放位置とピックアップレンズの上方を閉塞する閉塞位置との間を移動できるようにし、光ディスクを回転駆動するスピンドルモータの回転軸にレンズカバーを直接的または間接的に接触させることにより、スピンドルモータの回転方向に応じてレンズカバーを開放位置および閉塞位置へ回動させ、ストッパでレンズカバーの回動を規定するようにした技術が提案されている(特許文献4参照)。この技術によれば、レンズカバーの回動駆動はスピンドルモータによって行われるため、駆動源を別途設ける必要がなく、比較的簡単な機構でレンズカバーの開閉駆動が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−129169号公報
【特許文献2】特開2004−348931号公報
【特許文献3】特開平8−315396号公報
【特許文献4】特開平7−235074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3のように、クリーニング装置でピックアップレンズの表面をクリーニングする構成とすると、ブラシなどのクリーニング手段がピックアップレンズの表面を傷つけたり、付着した汚れを完全に除去できずにピックアップレンズの表面上で汚れを伸ばしたりする虞がある。
【0006】
一方、特許文献4に記載の防塵機構では、レンズカバーを所定の摩擦力をもって直接的または間接的にスピンドルモータの回転軸に接触させるため、スピンドルモータに常時負荷がかかり、消費電力効率を悪化させるだけでなく、不要な摩擦熱を発生させるため好ましくない。また、レンズカバーとスピンドルモータの回転軸との摩擦力が変化した場合には、スピンドルモータの回転速度に影響を与えてしまう。また、長期の使用などによって摩擦力が低下した場合、レンズカバーが開放位置または閉塞位置へ回動しなくなる虞もある。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、駆動源を別途設けることなく、ピックアップレンズを覆うレンズカバーを確実に駆動することができるピックアップレンズの防塵機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明は、ディスクドライブ装置(1)に設けられ、スロット(3)から挿入された光ディスク(9)に対する情報の読取りまたは書込みに供されるピックアップレンズ(7)の防塵機構(10)であって、遊端がピックアップレンズ(7)に近接する第1位置(被覆位置)と、遊端がピックアップレンズ(7)から離間した第2位置(退避位置)との間を回動自在に設けられたアーム(11)と、アーム(11)の遊端側に設けられ、アーム(11)が第1位置にあるときにピックアップレンズ(7)を覆うレンズカバー(12)と、アーム(11)を第1位置側へ付勢するアーム付勢手段(13)と、光ディスク(9)のスロット(3)への挿入動作に応じてアーム(11)を第2位置へ駆動するアーム駆動手段(14)とを備えるように構成する。
【0009】
この発明によれば、レンズカバーを支持するアームが、光ディスクの挿入動作に応じて第2位置へ駆動されるため、アーム駆動用の駆動源を設けなくても、光ディスクの挿入動作によってアームを確実に第2位置へ駆動することができる。なお、スロットに挿入された光ディスクを搬送する搬送手段が設けられている場合には、搬送手段の駆動力でアームを第2位置へ駆動させることもできる。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明に係るピックアップレンズ(7)の防塵機構(10)
において、アーム駆動手段(14)が、スロット(3)に近接して揺動自在に設けられ、光ディスク(9)の外周縁に当接することにより、光ディスク(9)の挿入動作に応じて揺動する揺動体(17,18)と、揺動体(17,18)をスロット(3)の中央寄りへ付勢する揺動体付勢手段(23)と、揺動体(17,18)の揺動により、アーム(11)を第2位置へ駆動するアーム駆動リンク(15,16,24)とを備えるように構成する。
【0011】
この発明によれば、スロットに光ディスクが挿入されると、揺動体付勢手段によってスロットの中央寄りへ付勢された揺動体が、この付勢力に抗して揺動し、アーム駆動リンクを介してアームを第2位置へ駆動することとなり、アーム駆動手段を簡単な構成で実現することができる。
【0012】
また、第3の発明は、第2の発明に係るピックアップレンズ(7)の防塵機構(10)において、アーム駆動リンクが、回転軸(15a,16a)を中心にして揺動体(17,18)を揺動させる回動体(15,16)と、回動体(15,16)に連結されるとともに、光ディスク(9)の挿入時における回動体(15,16)の回動に応じて摺動自在に設けられ、アーム(11)を第2位置へ駆動すべく、摺動方向に対して傾斜した傾斜面(24d)を有する摺動体(24)とを備えるように構成する。
【0013】
この発明によれば、スロットに光ディスクが挿入されると、回動体が回動して摺動体を摺動させ、摺動体の傾斜面がカム面となってアームを第2位置へ駆動することとなり、アーム駆動リンクを簡単な構成で実現することができ、ディスクドライブ装置のコンパクト化も可能となる。
【0014】
また、第4の発明は、第2または第3の発明に係るピックアップレンズ(7)の防塵機構(10)において、アーム駆動手段が、揺動体(17,18)の揺動を揺動体付勢手段(23)の付勢力に抗して規制する揺動規制手段(28)をさらに備えるように構成する。
【0015】
この発明によれば、光ディスクの挿入動作後においても、アームが第2位置に保持され、アームが光ディスクの挿入および回転を妨げとなることを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、駆動源を別途設けることなく、ピックアップレンズを覆うレンズカバーを確実に駆動することのできるピックアップレンズの防塵機構が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】上面パネルを透視して上方から示すCDドライブ装置の斜視図
【図2】筐体を透視して上方から示すCDドライブ装置の斜視図
【図3】防塵機構を上方から示す斜視図
【図4】防塵機構を下方から示す斜視図
【図5】CD未挿入状態における防塵機構の平面模式図
【図6】CD未挿入状態における防塵機構の側面模式図
【図7】CD挿入中の防塵機構の平面模式図
【図8】CD挿入中の防塵機構の側面模式図
【図9】CD挿入状態における防塵機構の平面模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、説明にあたっては、スロット3が設けられた面および方向を前面および前方とし、左右の方向は前面側から見て定めるものとする。また、図1に示す設置状態において上下方向を定め、図5に示す面を上面と記すが、CDドライブ装置1の設置方向はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1、図2に示すように、本発明に係る防塵機構10が適用されたCDドライブ装置1は車載用であり、図示外の外装筐体が1DINサイズに収まるように筐体2が形成されている。筐体2の前面パネル2aには、直径120mmのCD9(図9など参照)の挿入に対応可能なスロット3が開口し、筐体2内の中央部には、CD9を保持するディスククランパ4、載置されたCD9をモータの駆動力によって回転させるターンテーブル5、回転するCD9に対してデータの読取りを行うピックアップヘッド6が設けられている。
【0020】
また、筐体2内には、CD9がスロット3に挿入されたことを検知して、スロット3から挿入されたCD9を搬送ローラ31(図4参照)によってターンテーブル5へ向けた挿入方向(後方)へ搬送するとともに、エジェクト信号の入力により、再生位置にあるCD9をスロット3へ向けた排出方向(前方)へ搬送する搬送機構32が設けられている。
【0021】
ピックアップヘッド6は、CD9の径方向(本実施形態では左後方および右前方)へ摺動可能に設けられており、CD9の挿入や再生操作が行われると、その上面に露出するピックアップレンズ7(図6など参照)を介してレーザを照射してCD9に書き込まれた情報を読み込みながら径方向外側へ移動する一方、エジェクト信号が入力されると、径方向内側へ移動して図2に示す初期位置に戻るようになっている。そして、CDドライブ装置1は、CD9が挿入されていない状態において、ピックアップレンズ7に埃や汚れが付着することを防止する防塵機構10を備えている。
【0022】
筐体2の上面パネル2bには、ヒンジ軸を中心にして上下方向へ回動自在に設けられた防塵アーム11が取り付けられている。防塵アーム11の遊端側の下面には、ピックアップレンズ7を覆うためのゴムまたは樹脂等からなるレンズカバー12(図4参照)が取り付けられている。防塵アーム11と上面パネル2bとの間には、捩りコイルばね13(アーム付勢手段)が介装されており、防塵アーム11はこの捩りコイルばね13によって常時下方へ付勢されている。
【0023】
詳細な作動については後述するが、防塵アーム11は、筐体2内にCD9が挿入されていないとき(以下、CD未挿入状態と称する)には、レンズカバー12がピックアップヘッド6に当接してピックアップレンズ7を被覆する図2や図6に示す被覆位置(第1位置)に配置され、筐体2内にCD9が挿入されているとき(以下、CD挿入状態と称する)には、後述するアーム駆動部14(アーム駆動手段)により、CD9の挿入動作および回転動作に干渉しないように、レンズカバー12がピックアップヘッド6から上方へ離間した図8に示す退避位置(第2位置)に駆動される。そして、これらアーム駆動部14、防塵アーム11、レンズカバー12および捩りコイルばね13によって防塵機構10が構成される。
【0024】
次に図3、図4を参照してアーム駆動部14について説明する。上面パネル2bにおけるスロット3の近傍には、左側ガイド板15および右側ガイド板16(回動体)が取り付けられており、これら両ガイド板15,16は、その下方に配置された取付板8と上面パネル2bとによって挟持されるかたちで、回動軸15a,16aを中心にして水平方向へ回動自在とされている。両ガイド板15,16のスロット3側の回動端には、下方へ垂下され、スロット3に挿入されたCD9の外周縁に転接してCD9を筐体2内に案内するためのガイドローラ17,18(揺動体)がそれぞれ回転自在に取り付けられている。これらガイドローラ17,18は、ガイド板15,16の回動により、取付板8の湾曲する前縁に沿って揺動する。
【0025】
また、両ガイド板15,16の回動軸15a,16aよりも前側(スロット3側)の位置にはそれぞれフック15h,16hが形成されており、両フック15h,16hに引張コイルばね23(揺動体付勢手段)が張設されている。これにより、両ガイド板15,16は、両ガイドローラ17,18がスロット3の中央へ寄る方向、すなわち両ガイドローラ17,18が互いに近接する方向へ常時付勢されている。そして、取付板8の前縁にはストッパ8a,8bが形成されており、両ストッパ8a,8bが両ガイドローラ17,18の揺動を規制することにより、引張コイルばね23による所定の付勢力が両ガイド板15,16に常時与えられている。
【0026】
また、両ガイド板15,16は、回動軸15a,16aから左右方向内側へ向かって延びるとともに、互いに上下に重なるアーム部15b,16bを有している。左側ガイド板15のアーム部15bの揺動端にはガイドボス19が設けられ、右側ガイド板16のアーム部16bにはガイド溝20が設けられており、ガイドボス19とガイド溝20とが互いに係合することにより、両ガイド板15,16が同期して反対方向へ回動するようになっている。
【0027】
左側ガイド板15はさらに、回動軸15aから左右方向外側へ向かって延びる揺動部を有しており、この揺動部の揺動端には、後述する摺動板24に係合する係合ボス21が一体形成されている。一方、右側ガイド板16も、回動軸16aから左右方向外側へ向かって延びる揺動部を有しており、この揺動部の揺動端には、後述するロック機構28(揺動規制手段)によって係止される係止ボス22が一体形成されている。
【0028】
上面パネル2bの左側下方には、前後方向に延在する摺動板24が設けられている。摺動板24は、それぞれ前後方向に延在する前部長孔25および後部長孔26を有しており、上面パネル2bの下面に設けられた2つの支持ピンがこれら長孔25,26に係合することにより、前後方向へ摺動可能になっている。また、摺動板24の前部長孔25よりもさらに前方には、略左右方向に延在する長孔27が形成されており、この長孔27には前述した左側ガイド板15の係合ボス21が係合している。これにより、摺動板24は、CD9の挿入に伴って左側ガイド板15が時計回りに回動すると後方へ摺動し、左側ガイド板15が反時計回りに回動すると前方へ摺動する。
【0029】
摺動板24の中央部、より具体的には前部長孔25が形成された前側板状部24aと後部長孔26が形成された後側板状部24bとの間には、下方へ突出する凹部24cが形成されている。摺動板24は、左側ガイド板15のガイドローラ17がストッパ8aに当接した状態(CD未挿入状態)において、凹部24cが防塵アーム11の下方に配置された状態で防塵アーム11と略直交するように配置されている。そして、凹部24cの前部には、摺動方向(前後方向)に対して傾斜した傾斜面24dが形成されている。傾斜面24dは、CD未挿入状態、すなわち、防塵アーム11が被覆位置にあるときに、防塵アーム11の前方に配置されている。
【0030】
そして、CD9の挿入動作に応じて左側ガイド板15が時計回りに回動すると、係合ボス21と長孔27との係合により、摺動板24が後方へ摺動し、傾斜面24dが捩りコイルばね13の付勢力に抗して防塵アーム11を押し上げるカムとして機能する。一方、CD9がターンテーブル5上に載置された再生可能状態(CD挿入状態)では、摺動板24は、前側板状部24aが防塵アーム11の下面に当接し、捩りコイルばね13による付勢力に抗して防塵アーム11を退避位置に保持する。
【0031】
他方、上面パネル2bの右側における取付板8との間には、右側ガイド板16の回動を引張コイルばね23の付勢力に抗して規制するためのロック機構28が設けられている。ロック機構28は、左右方向に摺動可能に設けられ、右側ガイド板16の係止ボス22を係止するロック部材29と、ロック部材29を左方向へ常時付勢する捩りコイルばね30とを有している。
【0032】
ロック部材29は、係止ボス22を係止して引張コイルばね23による右側ガイド板16の回動を規制するロック爪29aと、その右端から下方へ延出するシャフト29bとを備えている。そして、ロック部材29は、CD9が挿入されると、係止ボス22の揺動を許容しつつ、CD9の通過に伴ってシャフト29bがCD9の外周縁に摺接することにより、捩じりコイルばね30の付勢力に抗して右方向へ移動してロック爪29aで係止ボス22を係止する。この際、ロック部材29は捩じりコイルばね30によって左方向へ付勢されているが、ロック爪29aの先端が係止ボス22によって係止されるため、左端の初期位置に戻らない位置で停止する(図9参照)。一方、CD9の排出時には、これと逆の動作で右側ガイド板16の回動規制を解除する。すなわち、ロック機構28は、CD9の挿入動作に応じて右側ガイド板16の回動規制を行い、CD9の排出動作に応じて右側ガイド板16に対する回動規制の解除を行う。これにより、右側ガイド板16は、CD挿入状態では、引張コイルばね23の付勢力に抗して反時計回りに回動した状態で保持されるとともに、エジェクト信号に応じたCD排出時には、ロック機構28による回動規制が解除されて時計回りに回動可能となる。
【0033】
次に、図5〜図9を参照してCDドライブ装置1の作用について説明する。図5に示すように、CD未挿入状態では、両ガイド板15,16が引張コイルばね23によって付勢され、両ガイドローラ17,18はストッパ8a,8bに当接している。図6に併せて示すように、係合ボス21を介して左側ガイド板15に係合する摺動板24は前方へ摺動した位置にあり、傾斜面24dが防塵アーム11の前方に位置している。したがって、防塵アーム11は捩りコイルばね13によって下方へ付勢されて被覆位置にあり、レンズカバー12がピックアップレンズ7を被覆している。
【0034】
次に、CD9がスロット3に挿入されると、搬送機構32によってCD9が後方へ搬送され、図7に示すように、両ガイドローラ17,18がCD9の外周縁の左右両側に転接しつつ引張コイルばね23の付勢力に抗して左右に開くように揺動し、CD9が搬送経路の中心を通るようにCD9をガイドする。このとき両ガイド板15,16は互いに異なる方向、具体的には、左側ガイド板15は時計回りに、右側ガイド板16は反時計回りに同期的に回動する。すると、図8に併せて示すように、係合ボス21が摺動板24を後方へ摺動させ、摺動板24の傾斜面24dが捩りコイルばね13の付勢力に抗して防塵アーム11を上方へ回動させる。
【0035】
そして、CD9が再生位置にあるCD挿入状態では、図9に示すように、右側ガイド板16の係止ボス22がロック部材29によって係止されたことにより、両ガイド板15,16は、両ガイドローラ17,18が離間する方向に回動した状態で保持されている。防塵アーム11は、摺動板24の前側板状部24aによってその回動を規制され、退避位置に保持される。
【0036】
このように、本実施形態のCDドライブ装置1では、CD未挿入状態では防塵機構10がピックアップレンズ7を常時レンズカバー12で被覆するため、ピックアップレンズ7に埃や汚れが付着することが防止される。そして、スロット3に対するCD9の挿入動作によって両ガイドローラ17,18が揺動し、両ガイド板15,16および摺動板24を介して防塵アーム11を退避位置へ駆動するため、防塵アーム11を駆動するために別途駆動源を設けなくても、防塵機構10は防塵アーム11を確実に退避位置へ回動させることができる。また、CDドライブ装置1は、CD9を搬送する搬送機構32を備えているため、防塵アーム11を駆動する力が手動で与えられなくても、搬送機構32の駆動力を利用して防塵アーム11を駆動できるようになっている。
【0037】
また、アーム駆動部14が、両ガイド板15,16を介して両ガイドローラ17,18の揺動を規制するロック機構28を備えているため、CD9の挿入動作によって防塵アーム11が退避位置へ駆動された状態で、両両ガイドローラ17,18の揺動がロック機構28によって規制され、防塵アーム11がCD9の挿入および回転を妨げることもない。
【0038】
また、摺動板24が、防塵アーム11の下方で交差するように摺動自在に設けられ且つ傾斜面24dを備えるという簡単な構成で防塵アーム11を駆動できるため、CDドライブ装置1のコンパクト化が可能となる。
【0039】
また、両ガイド板15,16が左右一対に設けられて、両ガイドローラ17,18がスロット3の左右両側に配置されるため、CD9が挿入方向に対して左右両側から付勢力を受け、CD9の円滑なガイドが実現される。
【0040】
また、両ガイド板15,16が、ガイドボス19およびガイド溝20によって互いに連結され、同期的に回動するため、防塵機構10は、ロック機構28を1つ備えるだけで両ガイドローラ17,18の揺動を規制することができる。これにより、防塵機構10の部品点数の削減、構造の簡素化が図られる。また、これにより、摺動板24を左側ガイド板15に連結し、ロック機構28を右側ガイド板16に設けることが可能となり、各部材の配置自由度が向上する。加えて、例えば、CD9が搬送経路中心よりも右寄りの位置からスロット3に挿入されたとしても、両ガイドローラ17,18が独立して揺動する場合に比べて摺動板24が早期に摺動することで、CD9と防塵アーム11との干渉が確実に防止されるとともに、右側のガイドローラ18がCD9を挿入経路中心へ導く力が大きくなり、より円滑なCD9のガイドが可能となる。
【0041】
さらに、引張コイルばね23が両ガイド板15,16を連結する態様で1つだけ設けられるため、両ガイドローラ17,18に必要な付勢力を与えつつ、防塵機構10の部品点数および組立工数の削減が実現される。
【0042】
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、ディスクドライブ装置としてCDドライブ装置1を示しているが、DVDなど、他の光ディスクを対象とするものであってもよい。また、各部材の形状や配置など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 CDドライブ装置
3 スロット
7 ピックアップレンズ
9 CD(光ディスク)
10 防塵機構
11 防塵アーム
12 レンズカバー
13 捩りコイルばね(アーム付勢手段)
14 アーム駆動部(アーム駆動手段)
15 左側ガイド板(回動体)
16 右側ガイド板(回動体)
17,18 ガイドローラ(揺動体)
23 引張コイルばね(揺動体付勢手段)
24 摺動板
24d 傾斜面
28 ロック機構(揺動規制手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクドライブ装置に設けられ、スロットから挿入された光ディスクに対する情報の読取りまたは書込みに供されるピックアップレンズの防塵機構であって、
遊端が前記ピックアップレンズに近接する第1位置と、前記遊端が前記ピックアップレンズから離間した第2位置との間を回動自在に設けられたアームと、
前記アームの遊端側に設けられ、前記アームが前記第1位置にあるときに前記ピックアップレンズを覆うレンズカバーと、
前記アームを前記第1位置側へ付勢するアーム付勢手段と、
前記光ディスクの前記スロットへの挿入動作に応じて前記アームを前記第2位置へ駆動するアーム駆動手段とを備えたことを特徴とするピックアップレンズの防塵機構。
【請求項2】
前記アーム駆動手段は、
前記スロットに近接して揺動自在に設けられ、前記光ディスクの外周縁に当接することにより、前記光ディスクの挿入動作に応じて揺動する揺動体と、
前記揺動体を前記スロットの中央寄りへ付勢する揺動体付勢手段と、
前記揺動体の揺動により、前記アームを前記第2位置へ駆動するアーム駆動リンクと
を備えることを特徴とする、請求項1に記載のピックアップレンズの防塵機構。
【請求項3】
前記アーム駆動リンクは、
回転軸を中心にして前記揺動体を揺動させる回動体と、
前記回動体に連結されるとともに、前記光ディスクの挿入時における当該回動体の回動に応じて摺動自在に設けられ、前記アームを前記第2位置へ駆動すべく、摺動方向に対して傾斜した傾斜面を有する摺動体と
を備えたことを特徴とする、請求項2に記載のピックアップレンズの防塵機構。
【請求項4】
前記アーム駆動手段は、前記揺動体の揺動を前記揺動体付勢手段の付勢力に抗して規制する揺動規制手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のピックアップレンズの防塵機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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