説明

ピラクロストロビンの結晶変態

【課題】ピラクロストロビンの新規結晶変態、その調製方法、および植物保護剤を製造するための新規変態の使用法の提供。
【解決手段】25℃でのX線粉末回折図において、以下の反射の少なくとも4つを示す、ピラクロストロビンの結晶変態II。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラクロストロビンの新規な結晶変態、それらの調製方法、および作物保護組成物を調製するための新規変態の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ピラクロストロビン(メチルN-[[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-3-イル]オキシ]-o-トリル]-N-メトキシカルバメート)は、植物病原菌を防除するための活性化合物である(例えば、特許文献1および非特許文献1を参照)。市販のピラクロストロビンは、低融点の非晶質物質である。この特性のために、市販のピラクロストロビンは、通常の方式で水性懸濁液濃縮物(SC)を調製するには適していない。というのは、物質の粘着性によって、粉砕機が粉砕中に詰まってしまうからである。この理由により、通常の手段によるピラクロストロビンと他の作物保護剤との、生物学的にも経済的にも興味深い懸濁液濃縮物の形態の混合生成物の市販調製物は、今のところ可能ではない。
【0003】
この理由により、ピラクロストロビンは、溶媒を含むエマルジョン濃縮物またはサスポエマルジョン濃縮物の形態、あるいは水分散可能な顆粒の形態でしばしば配合される。しかし、エマルジョン濃縮物およびサスポエマルジョン濃縮物は、比較的多量の水混和性有機溶媒、例えば芳香族炭化水素を含むため、これらの配合物は、環境保護の理由からも作業衛生上の理由からも問題がある。さらに、ピラクロストロビンのサスポエマルジョン濃縮物の場合、活性化合物粒子が、特定条件下での保存中に分離することがある。
【0004】
特許文献2には、ピラクロストロビン溶融物を担体材料に適用することによる、活性化合物粒子の調製が提案されている。得られた吸着物を使用し、混合パートナーを導入することもできる懸濁液濃縮物を、通例のプロセスによって調製することができる。しかしこれらの懸濁液濃縮物は、しばらくして、特に高温での保存の際に、分散した活性化合物粒子の不可逆的な粒径増加が生じることがある。このことは、生成物の質に著しい負の影響を与える。さらに、このプロセスは、追加の材料およびプロセス段階を要するために比較的複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第96/01256号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/082013号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】(2002)Pyraclostrobin - "More than just a Fungicide" Phytomedizin 32:17
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、安定性が向上した懸濁液濃縮物の調製を可能にする形態のピラクロストロビンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、以下により詳細に記載するピラクロストロビンの結晶変態IIおよびIVによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】変態IVのX線粉末回折図である。
【図2】変態IIのX線粉末回折図である。
【図3】変態IのX線粉末回折図である。
【図4】変態IIIのX線粉末回折図である。
【図5】40℃で26週間保存した後に光学顕微鏡で撮影した、配合実施例1の配合物の写真である。
【図6】40℃で26週間保存した後に光学顕微鏡で撮影した、比較配合実施例の配合物の写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
したがって、本発明は、第1に、X線粉末回折図において25℃で以下の反射の少なくとも3つ、特に少なくとも4つ、好ましくはそれらの全てを示すピラクロストロビンの結晶変態IVに関する。
【数1】

【0011】
変態IVの結晶性ピラクロストロビンは、一般に、62〜72℃の範囲、特に64〜68℃の範囲、とりわけ65〜67℃の範囲の融点を有する。融解熱、即ち結晶変態IVの溶融に必要なエネルギー量は約72〜78J/gであり、特に約74±1J/gである。ここで示される融点および融解熱は、示差熱測定によって決定した値を指す(示差走査熱量測定:DSC、るつぼ材料アルミニウム、加熱速度5K/分)。
【0012】
変態IVの単結晶の研究は、基本的な結晶構造が単斜晶であり、空間群P2(1)/cを有することを示している。変態IVの結晶構造の特性データを表1に示す。
【表1】

【0013】
ピラクロストロビンの結晶変態IVは、以下の段階を含むプロセス(以下、プロセスIVaとも呼ぶ)を使用して調製することができる:
i)少なくとも1種の完全水混和性有機溶媒L1を少なくとも70体積%、および適切な場合には水を最大30体積%含む有機溶媒または溶媒混合物に、変態IVとは異なるピラクロストロビン形態を溶解する段階;および
ii)少なくとも10時間、特に少なくとも15時間、とりわけ少なくとも20時間かけて、かつ/または変態IVの種結晶の存在下でピラクロストロビンを結晶化する段階。
【0014】
変態IVとは異なる適切なピラクロストロビンの形態は、例えば、固体または液体のピラクロストロビン溶融物、非晶質ピラクロストロビン、あるいは変態I、II、またはIIIのピラクロストロビン、あるいはそれらの混合物である。好ましい実施形態では、ピラクロストロビンの溶融物は、前述の有機溶媒または溶媒混合物のうちの1種に溶解している。使用するピラクロストロビンは、好ましくは少なくとも90%、特に少なくとも95%、とりわけ少なくとも98%の純度を有する。
【0015】
溶媒L1は、純溶媒L1でも異なる溶媒の混合物L1でもよい。本発明によれば、溶媒L1は完全に水と混和する。このことは、25℃(および1023mbar)で溶媒が完全に水と混和する、即ち前述の温度で水との混和性の格差がないことを意味すると理解される。1023mbarで比較的大きな温度範囲、特に結晶化に関連する全温度範囲、即ち0〜80℃の範囲であるが少なくとも10〜60℃の温度範囲で水と完全に混和する、即ちこれらの温度範囲で水との混和性に格差がない溶媒L1が好ましい。適切な溶媒は、当業者には明らかであり、the Handbook of Chemistry and Physics, CRC Press, Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th ed. on CD ROM, Wiley-VCH, 1997 (chapter Solvents)およびIndustrial Solvents Handbook, 2nd ed. Marcel Dekker 2003などの専門書および適切な参考文献にみることができる。さらに好ましいのは、大気圧での沸点が50〜100℃の範囲の溶媒L1である。
【0016】
好ましい溶媒L1は、C1〜C4-アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、およびtert-ブタノール、ならびにアセトンおよびブタノン、ならびにそれらの混合物である。特に好ましい溶媒L1は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノール、ならびにそれらの混合物であり、特に、メタノールおよびエタノール、ならびにそれらの混合物であり、さらにアセトンおよびブタノンである。
【0017】
ピラクロストロビンの溶解に使用する溶媒または溶媒混合物は、溶媒L1に加えて、L1とは異なるさらなる溶媒を含むことができる。溶媒L1と混合して使用することができるさらなる一般的な有機溶媒は、例えば以下のものである:
少なくとも5個の炭素原子、特に5〜12個の炭素原子を有するアルカノール、例えば、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、例えば、n-ヘキサノール、2-エチル-1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチルヘキサノール、イソノナノール、n-ノナノール、異性体ノニルアルコールの工業品質の混合物、2-プロピルヘプタノール、イソトリデカノール、異性体イソトリデカノールの工業品質の混合物等;
少なくとも5個の炭素原子、特に5〜12個の炭素原子を有するシクロアルカノール、例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、2-、3-および4-メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール等;
3〜12個の炭素原子を有する脂肪族ケトンおよび脂環式ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジメチルシクロヘキサノン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、イソホロン等;
脂肪族C1〜C4-カルボン酸、特に、酢酸のC1〜C8-アルキルエステルおよびC5〜C10-シクロアルキルエステル、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸n-アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸2-ブトキシエチル、ならびに対応するプロピオン酸エステルおよび酪酸エステル;
2〜8個の炭素原子を有するジオール、特に、グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、および2,4-ジエチルオクタン-1,5-ジオール;
脂肪族カルボン酸のN-ジ-C1〜C4-アルキルアミドおよびC1〜C4-アルキルラクタム、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等;ならびに
芳香族炭化水素、特にモノ-またはジ-C1〜C4-アルキル置換ベンゼン、とりわけトルエンおよびキシレン。
【0018】
L1、特にC1〜C4-アルカノールとは異なる溶媒の割合は、ピラクロストロビンの溶解に使用する溶媒の全量に対して、好ましくは30体積%を超えず、特に20体積%、特に好ましくは10体積%、とりわけ5体積%を超えない。
【0019】
プロセスIVaでは、段階i)でピラクロストロビンを溶解するために、特にメタノール、エタノール、あるいはメタノールおよびエタノールからなる群から選択される少なくとも1種のC1〜C4-アルカノールを少なくとも70体積%、特に少なくとも80体積%、とりわけ少なくとも90体積%含む有機溶媒の混合物を使用する。
【0020】
前述の有機溶媒に加えて、ピラクロストロビンの溶解に使用する有機溶媒は、水を最大30体積%、好ましくは20体積%以下、特に10体積%以下、または5体積%以下含むことができ、例えば0.1〜20体積%、または0.1〜10体積%、特に0.2〜5体積%含むことができる。
【0021】
変態IVとは異なるピラクロストロビン形態を溶解するためには、そのピラクロストロビンを、通常、微粉化固体として、あるいは溶融物として、溶媒または溶媒混合物がピラクロストロビンを完全に溶解することができる温度で混合しながら溶媒に組み込む。本発明の好ましい実施形態では、ピラクロストロビンを高温で、特に少なくとも50℃、とりわけ少なくとも55℃で溶解し、溶解に使用するその温度は、当然のことながら溶媒の沸点を超えない。溶解には、しばしば50〜100℃の範囲、特に55〜90℃の範囲、特に好ましくは60〜80℃の範囲の温度を使用する。溶媒L1に溶解するピラクロストロビンの量は、当然のことながら溶媒L1の性質および溶解温度に依存し、しばしば100〜800g/lの範囲、特に120〜700g/lの範囲である。当業者は、標準的な実験によって適切な条件を決定することができるであろう。
【0022】
その後、ピラクロストロビンを結晶化する。結晶化は、通例の方式で、例えば段階i)で得られた溶液を冷却することによって、溶解度を低減する溶媒を添加することによって、特に水を添加することによって、または溶液を濃縮することによって、あるいは前述の手段の組合せによって達成することができる。
【0023】
変態IVへのできるだけ完全な変換を達成するためには、少なくとも15時間、特に少なくとも20時間という期間(結晶化の所要時間)で、および/または変態IVの種結晶の存在下で結晶化を実施する。結晶化の所要時間は、結晶化を開始する手段の最初から、結晶性物質を母液から分離することによってピラクロストロビンを単離するまでの期間を意味することが、当業者には理解されよう。
【0024】
一般に、使用するピラクロストロビンの少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%、例えば95〜99.8重量%が結晶化する時点まで、結晶化を進行させることができる。
【0025】
結晶化中に種結晶を添加する場合、それらの量は、溶解したピラクロストロビンに対して一般に0.001〜10重量%、しばしば0.005〜5重量%、特に0.01〜1重量%、とりわけ0.05〜0.5重量%である。この場合、結晶化の所要時間は、一般に少なくとも2時間、特に少なくとも4時間、とりわけ少なくとも5時間であるが、最長で数日、例えば2〜3日という比較的長期間で結晶化を実施することもできる。しかし、結晶化の所要時間は、しばしば24時間を超えず、特に14時間を超えない。したがって、一般に2時間〜2日、しばしば4〜24時間、特に5時間〜14時間かけて結晶化を実施する。
【0026】
種結晶なしで変態IVの結晶化を実施する場合、結晶化の所要時間は、一般に少なくとも10時間、特に少なくとも15時間、とりわけ少なくとも20時間であり、一般に21日を超えず、しばしば7日を超えないものとする。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、高温で、好ましくは少なくとも50℃、例えば50〜100℃、好ましくは55〜90℃、特に好ましくは60〜80℃の範囲でピラクロストロビンを溶解し、次いで溶液を冷却することによって、ピラクロストロビンを結晶化する。好ましくは、ピラクロストロビン溶液を少なくとも20K、特に30〜50Kだけ冷却して、結晶化を開始する。冷却は、制御された方式で実施することができ、即ち溶液を、一般に20K/h以下、例えば0.5〜20K/h、しばしば1〜15K/hの低い冷却速度を使用して冷却する。制御冷却は、結晶化が開始するときに、有利に実施される。しかし、より急速に冷却することも可能であり、その場合には、結晶を単離前に比較的長期間、即ち結晶化に所望の所要時間に達するまで母液中で撹拌する。
【0028】
変態IVの種結晶の存在下で結晶化を実施する場合、それらを、好ましくは当該溶媒中のピラクロストロビンが飽和濃度に達する温度で、即ち当該溶媒中のピラクロストロビンの溶解量が飽和溶液を形成する温度以下でのみ添加する。溶媒中の飽和濃度の温度依存性は、当業者によって標準的な実験で決定することができる。しばしば、溶液の温度が50℃以下、特に40℃以下であるときに種結晶を添加する。種結晶の添加後、その溶液を、好ましくは30℃未満、特に25℃以下の温度、例えば5℃〜25℃の範囲の温度まで冷却し、その後、得られた結晶性物質を母液から分離して、ピラクロストロビンの変態IVを単離する。種結晶の存在下の冷却は、一般に30K/h以下、例えば1〜30K/h、しばしば2〜20K/h、特に3〜15K/hの冷却速度を使用する制御された方式で、または制御されない方式で実施することができる。
【0029】
結晶性物質を、結晶化温度未満の温度で、例えば10〜35℃の範囲で、期間を延長して、例えば1時間〜124時間または2時間〜96時間母液中で撹拌して、変態IVへの完全な変換を確実にすることが有利であることを見出した。したがってこの場合には、冷却の最初から、母液を除去することによって結晶を単離するまでの総所要時間は、前述の範囲内である。
【0030】
プロセスIVaの特に好ましい実施形態では、まず、ピラクロストロビンを前述の溶媒に、特にメタノールおよびエタノールからなる群から選択される少なくとも1種のC1〜C4-アルカノールを少なくとも70体積%、しばしば少なくとも80体積%、特に少なくとも90体積%、とりわけ少なくとも95体積%含む溶媒または溶媒混合物に、前述の温度範囲の高温で、特に>50℃〜90℃、とりわけ60〜80℃の範囲で溶解し、次いでその溶液を、好ましくは20〜50℃、特に30〜40℃の範囲の温度まで冷却する。冷却は、好ましくは比較的長期間、例えば2〜24時間、しばしば4〜20時間かけ、好ましくは1K/h〜20K/h、特に3〜15K/hの冷却速度を使用して実施する。次いで、このような方式で冷却した溶液に、変態IVの種結晶を添加する。次いでその溶液を、少なくとも5K、特に少なくとも10K、例えば5〜40K、特に10〜30Kだけ、例えば0〜40℃、特に5〜30℃の温度までさらに冷却する。第2の冷却は、好ましくは1〜10時間、特に2〜6時間かけ、2〜20K/h、特に3〜15K/hの冷却速度を有利に使用して実施される。この冷却の間に、ピラクロストロビンが結晶化する。
【0031】
あるいは、ピラクロストロビンの溶解に使用する溶媒または溶媒混合物の体積に対して、水を例えば5〜60体積%、特に20〜55体積%、とりわけ30〜50体積%添加することによって結晶化することもできる。水の添加は、好ましくは比較的長期間、例えば30分〜10時間、特に1時間〜8時間かけて実施する。特に、水の添加と種結晶の添加を組み合わせる。水は、純水の形態で、または水と前述の溶媒L1のうちの1種との混合物の形態で、あるいは主にL1を含む、即ち有機溶媒に対してL1を少なくとも70体積%含む有機溶媒混合物との混合物として、特に溶解のために使用する溶媒との混合物として添加することができる。後者の場合、添加する含水混合物中の有機溶媒の割合は、一般に10〜70体積%、特に20〜60体積%、とりわけ40〜50体積%の範囲である。
【0032】
特に有利な方式では、冷却と水の添加を組み合わせることによってピラクロストロビンを結晶化する。特に、まず前述の方式で冷却するとともに、好ましくは種結晶を添加することによってピラクロストロビンの結晶化を行い、次いで前述の量の水を添加することによって、ピラクロストロビンの結晶化を完了させる。特に、水は、溶液中に存在するピラクロストロビンの部分、例えば5〜90重量%、特に10〜80重量%が既に結晶化した温度で添加する。水は、特に5〜40℃の範囲、とりわけ10〜30℃の範囲の温度で添加する。特に、溶媒+水の全量に対する水の量が、20〜55体積 %、特に30〜50体積%の範囲になるように水を添加する。水は、特に30分〜8時間かけて、特に好ましくは1時間〜5時間かけて添加する。
【0033】
変態IVは、液体から固体成分を分離する通例の技術を使用して、例えば、ろ過、遠心分離、またはデカントによって単離する。一般に、単離した固体は、例えば結晶化に使用した溶媒で、水で、または結晶化に使用した有機溶媒と水との混合物で洗浄する。洗浄は、1つまたは複数の段階で実施することができ、しばしば最後の洗浄段階は水で実施する。洗浄は、価値ある生成物の損失をできる限り小さくするために、一般に30℃未満、しばしば25℃未満、特に20℃未満の温度で実施する。次いで、得られた変態IVを乾燥させ、さらなる処理にさらすことができる。しかし、しばしば洗浄後に得られる湿潤活性化合物、特に水湿活性化合物をさらなる処理にさらすことになる。
【0034】
ピラクロストロビンの結晶変態IVを調製する別のプロセス(以下、プロセスIVbとも呼ぶ)では、以下の段階を実施する:
i)変態IVとは異なるピラクロストロビン形態の有機溶媒(溶媒L2)中の懸濁液を調製する段階;
ii)適切な場合には、変態IVの種結晶をその懸濁液に添加する段階;
iii)ピラクロストロビンの少なくとも90%が変態IVの形態で存在するまで、懸濁液を撹拌する段階。
【0035】
プロセスIVbでは、原則として、プロセスIVaで述べた変態IVとは異なるピラクロストロビンのあらゆる形態を使用することができる。純度に関しては、プロセスIVaで述べたものを適用する。
【0036】
溶媒L2は、一般に、ピラクロストロビンを少なくとも部分的に、適切な場合には高温で溶解することができる有機溶媒または溶媒混合物である。特に、温度40℃でのピラクロストロビンの溶解度が少なくとも100g/lであり、有利には800g/l以下、特に700g/l以下である有機溶媒または溶媒混合物である。
【0037】
適切な溶媒L2の例には、溶媒L1の中で述べた、C1〜C4-アルカノール、5〜12個の炭素原子を有するアルカノール、5〜12個の炭素原子を有するシクロアルカノール、3〜12個の炭素原子を有する脂肪族ケトンおよび脂環式ケトン、脂肪族C1〜C4-カルボン酸、特に酢酸のC1〜C8-アルキルエステルおよびC5〜C10-シクロアルキルエステル、2〜8個の炭素原子を有するジオール、脂肪族カルボン酸のN-ジ-C1〜C4-アルキルアミドおよびC1〜C4-アルキルラクタム、ならびに芳香族炭化水素、特にモノ-またはジ-C1〜C4-アルキル置換ベンゼン、ならびにこれらの溶媒の混合物が含まれる。
【0038】
有利には、ピラクロストロビンを懸濁するために使用する有機溶媒L2は、少なくとも1種のC1〜C4-アルカノール、特に好ましくはメタノール、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールを、少なくとも50体積%、特に少なくとも60体積%、特に好ましくは少なくとも70体積%、特に非常に好ましくは少なくとも80体積%、とりわけ少なくとも90体積%含む。それに対応して、C1〜C4-アルカノールとは異なる溶媒の割合は、好ましくは50体積%を超えず、特に40体積%、特に好ましくは30体積%、特に非常に好ましくは20体積%、とりわけ10体積%を超えない。
【0039】
プロセスIVbでは、段階i)でピラクロストロビンを懸濁するために、特に、イソプロパノール、エタノール、あるいはイソプロパノールおよび/またはエタノールを少なくとも70体積%、特に少なくとも80体積%、特に好ましくは少なくとも90体積%含む有機溶媒の混合物を使用する。
【0040】
前述の有機溶媒に加えて、有機溶媒L2は、水を少量、好ましくは25体積%以下、特に10体積%以下、特に好ましくは5体積%以下含むことができる。
【0041】
懸濁液を調製するために、固体または溶融ピラクロストロビンを、それ自体周知の方式で溶媒L2に懸濁することができ、ピラクロストロビンが完全には溶解しないように、溶媒L2の温度およびピラクロストロビンの量を選択する。当業者は、標準的な実験によってこれらのパラメータを決定することができる。一般には、20〜40℃の範囲の温度が選択される。溶媒L2に懸濁するピラクロストロビンの量は、しばしば100〜800g/lの範囲、特に120〜700g/lの範囲である。一般には、せん断力を用いて、例えば適切な撹拌機を使用して懸濁液を撹拌することによって、固体または溶融ピラクロストロビンを懸濁する。適切な撹拌機のタイプは、例えば、M. Zlokarnik, Stirring, in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th ed. on CD-ROM, Wiley-VCH 1997から当業者には周知である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、まず、高温、特に40〜80℃の範囲の温度を用いる有利な方式で、ピラクロストロビンを溶媒L2に完全にまたは実質上完全に溶解させ、その後一般には濃縮すること、および/または一般には少なくとも10Kだけ、特に少なくとも20Kだけ、例えば20〜50Kだけ温度を下げることによるピラクロストロビンの部分的な結晶化を実施することによって懸濁液を調製する。
【0043】
その後、適切な場合には変態IVの種結晶を添加し、変態への変換が完了するまで、即ち懸濁した固体中の変態IVの含有量が少なくとも90重量%になるまで、上記で得られた懸濁液を撹拌する。これを達成するために要する時間は、サンプルを取り、X線粉末回折法(XRD)またはDSCによって物質を分析し、当業者が標準的な記録をすることで決定することができる。
【0044】
種結晶を添加して変換を実施する場合、懸濁液を、一般に12〜48時間、特に14〜36時間撹拌して所望の変換を実現するが、より長期間でも不利にはならない。種結晶の量に関しては、プロセスIVaで述べたものを同様に適用する。種結晶は、一般に20〜40℃の範囲の温度で懸濁液に添加する。種結晶なしでこのプロセスを実施する場合、懸濁液を好ましくは、少なくとも24時間、特に少なくとも48時間、特に好ましくは少なくとも72時間撹拌し、その後、結晶性物質を母液から分離する。
【0045】
懸濁液の温度は、有利には20〜40℃の範囲である。撹拌は、一般にかき混ぜによって行う。
【0046】
懸濁液からの変態IVの単離およびさらなる処理は、プロセスIVaに記載の方式で実施することができる。
【0047】
本発明のプロセスIVaおよびIVbによって、ピラクロストロビン含有量が少なくとも98重量%、特に少なくとも99重量%の結晶変態IVが得られる。ピラクロストロビンの全量に対する変態IVの量は、一般に少なくとも90%、しばしば少なくとも95%、特に少なくとも98%である。
【0048】
結晶変態IVの研究との関連で、ピラクロストロビンのさらなる3つの結晶変態(変態I、II、およびIII)が見出された。ピラクロストロビンの変態I、II、およびIIIは、非晶質ピラクロストロビンよりも熱力学的に安定であるが、変態IVに対しては準安定であるに過ぎず、それらは特定の条件下で変態IVに変換する。安定性に関しては以下が当てはまる。安定性(変態I)<安定性(変態II)<安定性(変態III)<安定性(変態IV)。変態I、II、III、およびIVは、モノトロピックな相系を形成する(融解エンタルピー)。
【0049】
25℃でのX線粉末回折図において、ピラクロストロビンの結晶変態Iは、以下の反射の少なくとも4つ、特に少なくとも5つ、しばしば少なくとも6つ、とりわけこれら全てを示す。
【数2】

【0050】
変態Iの結晶性ピラクロストロビンは、一般に55〜56℃の範囲の融点を有する。融解熱、即ち結晶変態Iを溶融するのに要するエネルギー量は、約63〜66J/gであり、特に約65±1J/gである。
【0051】
ピラクロストロビンの変態Iは、ピラクロストロビン溶融物の冷却の際、その溶融物を調製するために使用したピラクロストロビンの純度が少なくとも95%であるときに一般に得られる。物質を40〜50℃の範囲の温度でテンパリングすることによって、変態Iの結晶化を加速することができる。しかし、テンパリングは、好ましくは14日間以下で実施されることになる。そうでなければ、より安定な変態IIおよびIIIへの変換が生じるからである。
【0052】
25℃でのX線粉末回折図において、ピラクロストロビンの結晶変態IIは、以下の反射の少なくとも4つ、一般に少なくとも5つ、しばしば少なくとも6つ、特に少なくとも7つ、とりわけこれら全てを示す。
【数3】

【0053】
変態IIの結晶性ピラクロストロビンは、一般に57〜58℃の範囲の融点を有する。融解熱、即ち結晶変態IIを溶融するのに要するエネルギー量は、約67〜70J/gであり、特に約69±1J/gである。
【0054】
変態IIの単結晶に関する研究は、基本的な結晶構造が三斜晶であり、空間群P-1を有することを示している。変態IIの結晶構造の特性データを、表2にリストする。
【表2】

【0055】
ピラクロストロビンの結晶変態IIの調製は、以下の段階を含むプロセスによって達成することができる:
i)少なくとも1種のC1〜C4-アルカノールを少なくとも50体積%、および水を好ましくは30体積%以下、特に10体積%以下含む有機溶媒に、非晶質ピラクロストロビンを溶解する段階;および
ii)10時間未満で、変態IVの種結晶なしにピラクロストロビンを結晶化する段階。
【0056】
ピラクロストロビンの溶解に関して、特に、使用する溶媒、温度、濃度等に関しては、プロセスIVaで述べたものを同様の方式で適用する。
【0057】
結晶化は、原則として、プロセスIVaに関して示した方法と同様に行うことができる。一般に、結晶化は、溶液を少なくとも20Kだけ、特に30〜60Kだけ冷却することによって行う。
【0058】
プロセスIVaおよびIVbとは対照的に、結晶化プロセスの全所要時間、即ち結晶化を行う手段の最初から、ピラクロストロビンを母液から除去することによって単離するまでの期間は、10時間未満、特に2時間〜8時間である。
【0059】
適切な場合には、結晶化は、変態IIの種結晶の存在下で実施する。この場合、種結晶の量は、溶解したピラクロストロビンに対して一般に0.01〜10重量%、しばしば0.02〜5重量%、特に0.03〜1重量%、とりわけ0.05〜0.5重量%である。この種結晶は一般に、変態IIの結晶化中に、特に変態IIの結晶化の最初に、好ましくは当該溶媒中のピラクロストロビンが飽和濃度に達する温度以下で添加する。
【0060】
この方式では、ピラクロストロビン含有量が少なくとも98重量%、特に少なくとも99重量%である変態IIを調製することができる。この方式で調製した結晶性ピラクロストロビン中の変態IIの割合は、一般に少なくとも90%である。
【0061】
25℃でのX線粉末回折図において、ピラクロストロビンの結晶変態IIIは、以下の反射の少なくとも3つ、特に少なくとも4つ、しばしば少なくとも5つ、とりわけこれら全てを示す。
【数4】

【0062】
変態IIIの結晶性ピラクロストロビンは、一般に59〜60℃の範囲の融点を有する。融解熱、即ち結晶変態IIIを溶融するのに要するエネルギー量は、約69〜72J/gであり、特に約71±1J/gである。
【0063】
変態Iの調製と同様に、変態IIIの調製は、ピラクロストロビン溶融物を結晶化することによって達成され、変態Iの調製とは対照的に、その溶融物は、比較的長期間、18〜25℃の範囲の温度(周囲温度)で、変態形成をXRDで検出できるまで保持される。その変態は、低温で、好ましくは-15℃未満、例えば-18〜-30℃の範囲で、比較的長期間保存することができる。
【0064】
前述のように、変態IIおよびIV、特に変態IVは、作物保護組成物の調製、特に水性懸濁液濃縮物の調製に適している。したがって、本発明はまた、変態IVの形態または変態IIの形態のピラクロストロビンと、適切な場合には液相と、また適切な場合には通例の、一般に固体の担体および/または助剤とを含む作物保護のための組成物を提供する。
【0065】
適切な担体は、原則として作物保護組成物に、特に殺菌剤に通常使用されるあらゆる固体物質である。固体担体は、例えば鉱物、例えば、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アタクレイ、石灰石、石灰、白亜、赤土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成物質、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、ならびに植物由来生成物、例えば、穀粉、樹皮の粉、木粉、堅果の穀粉、およびセルロース粉末、ならびに他の固体担体である。
【0066】
変態IIおよび/またはIVの液剤の場合、組成物は液相を有する。適切な液相は、原則として水であり、またピラクロストロビンの溶解度が低いか、または全く溶けない、例えば25℃および1013mbarでのピラクロストロビンの溶解度が1重量%以下、特に0.1重量%以下、とりわけ0.01重量%以下である有機溶媒である。
【0067】
一般的な助剤には、界面活性剤、特に通常作物保護組成物に使用される湿潤剤および分散剤が含まれ、さらには、粘度を改変する添加剤(増粘剤)、消泡剤、不凍剤、pH調整剤、安定剤、固化防止剤、および殺生物剤(保存剤)が含まれる。
【0068】
本発明は、特に、水性懸濁液濃縮物(SC)の形態の作物保護のための組成物に関する。このような懸濁液濃縮物は、微粉化粒子の形態の変態IIおよび/またはIVのピラクロストロビンを含み、このピラクロストロビン粒子は水性媒体に懸濁している。活性化合物粒子のサイズ、即ち活性化合物粒子の90重量%がそれを超えないサイズは、一般に30μm未満、特に20μm未満である。有利には、本発明のSC中の粒子の少なくとも40重量%、特に少なくとも60重量%は、2μm未満の直径を有する。
【0069】
懸濁液濃縮物は、活性化合物に加えて、一般に界面活性剤を含み、また適切な場合には消泡剤、増粘剤、不凍剤、安定剤(殺生物剤)、pH調整剤、および固化防止剤を含む。
【0070】
このようなSCでは、活性化合物の量、即ち変態IIおよび/またはIVのピラクロストロビンと、適切な場合にはさらなる活性化合物の全量は、懸濁液濃縮物の全重量に対して通常10〜70重量%の範囲、特に20〜50重量%の範囲である。
【0071】
好ましい界面活性剤は、アニオンおよびノニオン界面活性剤である。適切な界面活性剤は、保護コロイドも含む。界面活性剤の量は、本発明のSCの全重量に対して一般に0.5〜20重量%、特に1〜15重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。好ましくは、界面活性剤は、少なくとも1種のアニオン界面活性剤と、少なくとも1種のノニオン界面活性剤とを含み、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の比は、一般に10:1〜1:10の範囲である。
【0072】
アニオン界面活性物質(界面活性剤)の例には、アルキルアリールスルホネート、フェニルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルポリグリコールエーテルホスフェート、ポリアリールフェニルエーテルホスフェート、アルキルスルホスクシネート、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、石油スルホネート、タウリド、サルコシド、脂肪酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグノスルホン酸、スルホン酸化ナフタレンとホルムアルデヒドとの縮合物、またはスルホン酸化ナフタレンとホルムアルデヒドおよびフェノール、および適切な場合には尿素との縮合物、ならびにフェノールスルホン酸、ホルムアルデヒド、および尿素の縮合物、リグノ亜硫酸廃液(lignosulfite waste liquor)およびリグノスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルアリールホスフェート、例えばトリスチリルホスフェート、ならびにポリカルボキシレート、例えばポリアクリレートなど、無水マレイン酸/オレフィンコポリマー(例えば、Sokalan(登録商標)CP9、BASF)、ならびに前述の物質のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびアミン塩が含まれる。好ましいアニオン界面活性剤は、少なくとも1種のスルホン酸基を有するもの、特にそれらのアルカリ金属塩およびそれらのアンモニウム塩である。
【0073】
ノニオン界面活性剤の例には、アルキルフェノールアルコキシレート、アルコールアルコキシレート、脂肪アミンアルコキシレート、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ヒマシ油アルコキシレート、脂肪酸アルコキシレート、脂肪アミドアルコキシレート、脂肪ポリジエタノールアミド、ラノリンエトキシレート、脂肪酸ポリグリコールエステル、イソトリデシルアルコール、脂肪アミド、メチルセルロース、脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールエーテルブロックコポリマー(ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー)、およびそれらの混合物が含まれる。好ましいノニオン界面活性剤は、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、グリセロール脂肪酸エステル、ヒマシ油アルコキシレート、脂肪酸アルコキシレート、脂肪アミドアルコキシレート、ラノリンエトキシレート、脂肪酸ポリグリコールエステルおよびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ならびにそれらの混合物である。
【0074】
一般的な保護コロイドは、水溶性両親媒性ポリマーである。これらの例は、タンパク質および変性タンパク質、例えばカゼイン、多糖類、例えば水溶性デンプン誘導体およびセルロース誘導体、特に疎水的に加工されたデンプンおよびセルロース、さらにはポリカルボキシレート、例えば、ポリアクリル酸およびアクリル酸コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンコポリマー、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ならびにポリアルキレンエーテルである。
【0075】
特に、本発明のSCは、水性適用形態によって植物部分の濡れを改善する少なくとも1種の界面活性剤(湿潤剤)と、SC中の活性化合物粒子の分散を安定化する少なくとも1種の界面活性剤(分散剤)とを含む。湿潤剤の量は、SCの全重量に対して一般に0.5〜10重量%の範囲、特に0.5〜5重量%、とりわけ0.5〜3重量%である。分散剤の量は、SCの全重量に対して一般に0.5〜10重量%、特に0.5〜5重量%である。
【0076】
好ましい湿潤剤は、アニオン性またはノニオン性のものであり、例えば、ナフタレンスルホン酸、ならびにそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびアミン塩、さらには脂肪アルコールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、グリセロール脂肪酸エステル、ヒマシ油アルコキシレート、脂肪酸アルコキシレート、脂肪アミドアルコキシレート、脂肪ポリジエタノールアミド、ラノリンエトキシレート、および脂肪酸ポリグリコールエステルから選択される。
【0077】
好ましい分散剤は、アニオン性またはノニオン性のものであり、例えば、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールエーテルブロックコポリマー、アルキルアリールホスフェート、例えば、トリスチリルホスフェート、リグノスルホン酸、スルホン酸化ナフタレンとホルムアルデヒドとの縮合物、またはスルホン酸化ナフタレンとホルムアルデヒドおよびフェノール、および適切な場合には尿素との縮合物、ならびにフェノールスルホン酸、ホルムアルデヒド、および尿素の縮合物、リグノ亜硫酸廃液およびリグノスルホネート、ポリカルボキシレート、例えばポリアクリレートなど、無水マレイン酸/オレフィンコポリマー(例えば、Sokalan(登録商標)CP9、BASF)、ならびに前述の物質のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびアミン塩から選択される。
【0078】
本発明のSCに適した粘度を改変する添加剤(増粘剤)は、特に、配合物に偽塑性流動性、即ち静止状態における高粘度および撹拌状態における低粘度を与える化合物である。適切なのは、原則としてこの目的で懸濁液濃縮物に使用する全ての化合物である。例えば無機物質の中では、ベントナイトまたはアタパルジャイトなど(例えば、Engelhardt製Attaclay(登録商標))、および有機物質の中では、多糖類およびヘテロ多糖類など、例えばXanthan Gum(登録商標)(Kelco製Kelzan(登録商標))、Rhodopol(登録商標)23(Rhone Poulenc)、またはVeegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt製)を挙げることができ、Xanthan-Gum(登録商標)の使用が好ましい。粘度を改変する添加剤の量は、SCの全重量に対してしばしば0.1〜5重量%である。
【0079】
本発明のSCに適した消泡剤は、例えばこの目的で周知のシリコーンエマルジョン(Wacker製Silikon(登録商標)SREまたはRhodia製Rhodorsil(登録商標))、長鎖アルコール、脂肪酸、水性ワックス分散剤型の消泡剤、固体消泡剤(いわゆるCompounds)、有機フッ素化合物およびそれらの混合物である。消泡剤の量は、SCの全量に対して一般に0.1〜1重量%である。
【0080】
保存剤も、本発明の懸濁液濃縮物を安定化するために添加することができる。適切な保存剤は、イソチアゾロンをベースとするもの、例えばICI製のProxel(登録商標)、またはThor Chemie製のActicide(登録商標)RS、またはRohm & Haas製のKathon(登録商標)MKである。保存剤の量は、SCの全重量に対して一般に0.05〜0.5重量%である。
【0081】
適切な不凍剤は、液体ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリセロールである。不凍剤の量は、懸濁液濃縮物の全重量に対して一般に1〜20重量%、特に5〜10重量%である。
【0082】
適切な場合には、本発明のSCは、pHを調節するための緩衝剤を含むことができる。緩衝剤の例は、無機または有機弱酸の、例えば、リン酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸、およびコハク酸などのアルカリ金属塩である。
【0083】
ピラクロストロビンの結晶変態の配合物を、種子を処理するために使用する場合、種子の処理に、例えば、粉衣または被覆に使用される通例の成分をさらに含むことができる。これらには、前述の成分に加えて、特に着色剤、接着剤、充填剤、および可塑剤が含まれる。
【0084】
適切な着色剤は、このような目的に通例のあらゆる色素および顔料である。難水溶性顔料および水溶性色素の両方を使用することができる。挙げられる例としては、以下の名称で周知の色素および顔料がある。ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112およびC.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108。着色剤の量は、通常、配合物の20重量%以下であり、好ましくは配合物の全重量に対して0.1〜15重量%の範囲である。
【0085】
適切な粘着剤は、種子粉衣に通常使用されるあらゆる結合剤である。適切な結合剤の例には、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、およびチロースが含まれ、さらにポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリスチレン、ポリエチレンアミン、ポリエチレンアミド、前述の保護コロイド、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリ無水物、ポリエステルウレタン、ポリエステルアミド、熱可塑性多糖類、例えばセルロース誘導体、例えば、セルロースエステル、セルロースエーテル、セルロースエーテルエステル、ならびにメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにデンプン誘導体および加工デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、アルギネートおよびキトサン、さらに脂肪、油、カゼインを含むタンパク質、ゼラチンおよびゼイン、アラビアゴム、セラックが含まれる。粘着剤は、植物と適合性があり、即ちもしあるとしても有意な植物毒性作用をもたないことが好ましい。粘着剤は、好ましくは生分解性である。粘着剤は、好ましくは配合物の活性成分のためのマトリックスとして作用するように選択される。粘着剤の量は、通常、配合物の40重量%以下であり、配合物の全重量に対して好ましくは1〜40重量%の範囲であり、特に5〜30重量%の範囲である。
【0086】
配合物は、粘着剤に加えて不活性充填剤を含むこともできる。これらの例は、前述の固体担体物質、特に微粉化無機物質、例えば、粘土、白亜、ベントナイト、カオリン、タルク、パーライト、雲母、シリカゲル、珪藻土、石英粉末、モントモリロナイト、および微粉化有機物質、例えば、木粉、穀粉、活性炭等である。充填剤の量は、好ましくは、充填剤の全量が配合物の全ての不揮発性成分の全重量に対して75重量%を超えないように選択される。しばしば、充填剤の量は、配合物の全ての不揮発性成分の全重量に対して1〜50重量%の範囲である。
【0087】
さらに配合物は、被覆物の可撓性を高める可塑剤を含むこともできる。可塑剤の例は、オリゴマーのポリアルキレングリコール、グリセロール、ジアルキルフタラート、アルキルベンジルフタラート、グリコールベンゾエート、および類似化合物である。被覆物中の可塑剤の量は、配合物の全ての不揮発性成分の全重量に対して、しばしば0.1〜20重量%の範囲である。
【0088】
変態IVの形態または変態IIの形態のピラクロストロビンは、植物病原菌を防除するのにそれ自体周知の方式で使用することができる。特に、さらなる活性化合物と共に配合して、活性を高めかつ/または活性スペクトルを拡大することができる。これらには、原則として、一般にはピラクロストロビンと併用されるあらゆる殺虫剤および殺菌剤が含まれる。作物保護においては、ピラクロストロビンの新規変態は、葉面殺菌剤として、種子粉衣用の殺菌剤として、および土壌殺菌剤として使用することができる。
【0089】
それらは、様々な作物、例えば、小麦、ライ麦、大麦、ライ小麦、オート麦、イネ、トウモロコシ、芝、バナナ、綿、大豆、コーヒー、サトウキビ、ブドウ、果実、および観賞植物、ならびに野菜、例えば、キュウリ、豆、トマト、ジャガイモ、およびウリ科植物に付く多数の菌類、ならびにこれらの植物の種子に付く多数の菌類を防除するのに特に重要である。
【0090】
変態IIおよびIVは、懸濁液濃縮物として配合することができる活性化合物との、懸濁液濃縮物としての共配合物に特に適している。したがって、本発明の好ましい実施形態は、変態IIおよび/または変態IVのピラクロストロビンに加えて、微粉化した粒子形態の少なくとも1種のさらなる活性化合物を含む懸濁液濃縮物に関する。活性化合物および助剤の粒径、量に関しては、前述のものを適用する。
【0091】
ピラクロストロビンの一般的な混合パートナーは、例えば以下のものである:
・アシルアラニン、例えば、ベナラキシル、メタラキシル、オフレース、オキサジキシル、
・アミン誘導体、例えば、アルジモルフ、ドジン、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、グアザチン、イミノクタジン、スピロキサミン、トリデモルフ、
・アニリノピリミジン、例えば、ピリメタニル、メパニピリム、またはシプロジニル、
・抗生物質、例えば、シクロへキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシン、またはストレプトマイシン、
・アゾール、例えば、ビテルタノール、ブロモコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、イマザリル、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール、
・ジカルボキシイミド、例えば、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン、
・ジチオカルバメート、例えば、フェルバム、ナバム、マネブ、マンコゼブ、メタム、メチラム、プロピネブ、ポリカルバメート、チラム、ジラム、ジネブ、
・複素環式化合物、例えば、アニラジン、ベノミル、ボスカリド、カルベンダジム、カルボキシン、オキシカルボキシン、シアゾファミド、ダゾメット、ジチアノン、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フベリダゾール、フルトラニル、フラメトピル、イソプロチオラン、メプロニル、ヌアリモル、プロべナゾール、プロキナジド、ピリフェノックス、ピロキロン、キノキシフェン、シルチオファム、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート-メチル、チオファネート-エチル、チアジニル、トリシクラゾール、トリホリン、
・ニトロフェニル誘導体、例えば、ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン、ニトロフタル-イソプロピル、
・フェニルピロール、例えば、フェンピクロニルまたはフルジオキソニル、
・硫黄、
・他の殺菌剤、例えば、アシベンゾラル-S-メチル、ベンチアバリカルブ、カルプロパミド、クロロタロニル、シモキサニル、ジクロメジン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、エジフェンホス、エタボキサム、フェンヘキサミド、フェンチンアセテート、フェノキサニル、フェリムゾン、フルアジナム、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、イプロバリカルブ、ヘキサクロロベンゼン、メトラフェノン、ペンシクロン、プロパモカルブ、フタリド、トロクロフォス-メチル、キントゼン、ゾキサミド、
・スルフェン酸誘導体、例えば、カプタホール、カプタン、ジクロフルアニド、ホルペット、トリルフルアニド、
・シンナミドおよび類似体、例えば、ジメトモルフ、フルメトベル、またはフルモルフ、
・例えば、WO98/46608、WO99/41255、またはWO03/004465に記載の、いずれの場合も式Iの6-アリール[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、
・アミド殺菌剤、例えば、シフルフェナミドおよび(Z)-N-[α-(シクロプロピルメトキシイミノ)-2,3-ジフルオロ-6-(ジフルオロメトキシ)ベンジル]-2-フェニルアセトアミド。
【0092】
ピラクロストロビンの好ましい混合パートナーは、メタラキシル、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、グアザチン、スピロキサミン、トリデモルフ、ピリメタニル、シプロジニル、ビテルタノール、ブロモコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニトロコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、イマザリル、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリルフミゾール、トリチコナゾール、イプロジオン、ビンクロゾリン、マネブ、マンコゼブ、メチラム、チラム、ボスカリド、カルベンダジム、カルボキシン、オキシカルボキシン、シアゾファミド、ジチアノン、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フルトラニル、キノキシフェン、チオファネート-メチル、チオファネート-エチル、トリホリン、ジノカップ、ニトロフタル-イソプロピル、フェニルピロール、例えば、フェンピクロニルまたはフルジオキソニル、アシベンゾラル-S-メチル、ベンチアバリカルブ、カルプロパミド、クロロタロニル、シフルフェナミド、シモキサニル、フェンヘキサミド、フェンチンアセテート、フェノキサニル、フルアジナム、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、イプロバリカルブ、メトラフェノン、ゾキサミド、カプタン、ホルペット、ジメトモルフ、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、またはトリフロキシストロビンである。
【0093】
特に好ましい混合パートナーは、メタラキシル、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、グアザチン、スピロキサミン、ピリメタニル、シプロジニル、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール、テブコナゾール、トリチコナゾール、イプロジオン、ビンクロゾリン、ボスカリド、カルベンダジム、カルボキシン、オキシカルボキシン、シアゾファミド、ジチアノン、キノキシフェン、チオファネート-メチル、チオファネート-エチル、ジノカップ、ニトロフタル-イソプロピル、フェンピクロニルまたはフルジオキソニル、ベンチアバリカルブ、カルプロパミド、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フルアジナム、イプロバリカルブ、メトラフェノン、ゾキサミド、ジメトモルフ、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、またはトリフロキシストロビンである。
【0094】
非常に特に好ましい混合パートナーは、フェンプロピモルフ、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール、テブコナゾール、トリチコナゾール、ボスカリド、ジチアノン、キノキシフェン、チオファネート-メチル、チオファネート-エチル、ジノカップ、フェンピクロニルまたはフルジオキソニル、ベンチアバリカルブ、カルプロパミド、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フルアジナム、イプロバリカルブ、メトラフェノン、ゾキサミド、ジメトモルフ、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、またはトリフロキシストロビンである。
【0095】
ピラクロストロビンの結晶変態の、本発明による配合物の使用は、原則としてピラクロストロビンの周知の配合物を使用しても防除することができるあらゆる有害な菌類を防除することができる。これらは、それぞれの混合パートナーに応じて、例えば以下の植物病害である:
-野菜、菜種、甜菜、大豆、穀類、綿、果実、およびイネのアルタナリア(Alternaria)種(例えば、ジャガイモおよび他の植物のA.ソラニ(solani)またはA.アルタナリア)、
-甜菜および野菜のアファノマイセス(Aphanomyces)種、
-綿およびイネのアスコキータ(Ascochyta)種、
-トウモロコシ、穀類、イネ、および芝のビポラリス(Bipolaris)種およびドレクスレラ(Drechslera)種(例えば、大麦のD.テレス(teres)、小麦のD.トリティキレペンティス(tritci-repentis))、
-穀類のうどん粉病菌(Blumeria graminis)(うどん粉病菌)、
-イチゴ、野菜、花、およびブドウの灰色カビ病菌(Botrytis cinerea)(灰色カビ病)、
-綿のボトリオディプロディア(Botryodiplodia)種、
-レタスのレタスべと病菌(Bremia lactucae)、
-トウモロコシ、大豆、イネ、および甜菜のセルコスポラ(Cercospora)種(例えば、甜菜のC.beticula)、
-トウモロコシ、穀類、イネのごま葉枯病菌(Cochliobolus)種(例えば、穀類のイネ科斑点病菌(Cochliobolus sativus)、イネのイネごま葉枯病菌(Cochliobolus miyabeanus))、
-大豆、綿、および他の植物のコリネスポラ(Corynespora)種、
-大豆、綿、および他の植物のコレトトリチューム(Colletotrichum)種(例えば、様々な植物の炭疽病菌(C. acutatum))、
-穀類およびイネのカーブラリア(Curvularia)種、
-穀類およびイネのディプロディア(Diplodia)種、
-トウモロコシのエキセロヒラム(Exserohilum)種、
-キュウリ植物のうどん粉病菌(Erysiphe cichoracearum)およびスフェロテカフリジネア(Sphaerotheca fuliginea)、
-様々な植物のフザリウム(Fusarium)種およびバーティシリウム(Verticillium)種(例えば、V.ダリエ(dahliae))(例えば、小麦のF.グラミネアルム(graminearum))、
-穀類の立枯病菌(Gaeumanomyces graminis)、
-穀類およびイネのジベレラ(Gibberella)種(例えば、イネのイネばか苗病菌(Gibberella fujikuroi))、
-イネの グレインステインコンプレックス(Grainstaining complex)、
-トウモロコシおよびイネのヘルミントスポリウム(Helminthosporium)種(例えば、H.グラミニコラ(graminicola))、
-大豆および綿のマクロフォミナ(Macrophomina)種、
-紅色雪腐病菌(Michrodochium)種、例えば、穀類のM.ニバーレ(nivale)、
-穀類、バナナ、およびピーナッツのマイコスフェレラ(Mycosphaerella)種(小麦のM.グラミニコラ(graminicola)、バナナのM.フィジエシス(fijiesis))、
-大豆のフェオイサリポシス(Phaeoisaripsis)種、
-さび病菌(Phakopsora)種、例えば、大豆のさび病菌(P. pachyrhizi)およびさび病菌(Phakopsara meibomiae)、
-大豆のフォーマ(Phoma)種、
-大豆、ヒマワリ、およびブドウのホモプシス(Phomopsis)種(ブドウのP. ビチコラ(viticola)、ヒマワリのP. ヘリアンチ(helianthii))、
-ジャガイモおよびトマトの疫病菌(Phytophthora infestans)、
-ブドウのプラズモパラビチコラ(Plasmopara viticola)、
-大豆および綿のペニシリウム(Penecilium)種、
-リンゴのポドスフェラロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)、
-穀類の眼紋病菌(Pseudocercosporella herpotrichoides)、
-ホップおよびキュウリ植物のべと病菌(Pseudoperonospora)種(例えば、キュウリのべと病菌(P. cubenis))、
-穀類、トウモロコシ、およびアスパラガスのプクシニア(Puccinia)種(小麦のP.トリティシナ(triticina)およびP.ストリィフォルミス(striformis)、アスパラガスのP.アスパラジ(asparagi))、
-穀類のピレノフォラ(Pyrenophora)種、
-イネのいもち病菌(Pyricularia oryzae)、コルティシウムササキ(Corticium sasakii)、イネ葉しょう腐敗病菌(Sarocladium oryzae)、イネ褐色米病菌(S.attenuatum)、イネ黒しゅ病菌(Entyloma oryzae)、
-芝および穀類のいもち病菌(Pyricularia grisea)、
-芝、イネ、トウモロコシ、綿、菜種、ヒマワリ、甜菜、野菜、および他の植物のピシウム(Pythium)種、
-綿、イネ、ジャガイモ、芝、トウモロコシ、菜種、ジャガイモ、甜菜、野菜、および他の植物のリゾクトニア(Rhizoctonia)種(例えば、R.ソラニ(solani))、
-イネおよび穀類のライグラス雲型病菌(Rynchosporium)種(例えば、R.セカリス(secalis))、
-菜種、ヒマワリ、および他の植物のスクレロティニア(Sclerotinia)種(例えば、S.スクレロティオラム(Sclerotiorum))、
-小麦の葉枯病菌(Septoria tritici)およびスタゴノスポラノドルム(Stagonospora nodorum)、
-ブドウのエリシフェ(Erysiphe)(ウンシヌラネカトア(Uncinula necator)と同義)、
-トウモロコシおよび芝のセトスパエリア(Setospaeria)種、
-トウモロコシの黒穂病菌(Sphacelotheca reilinia)、
-大豆および綿の黒根病菌(Thielaviopsis)種、
-穀類のチレチア(Tilletia)種、
-穀類、トウモロコシ、および甜菜のウスチラゴ(Ustilago)種、ならびに
-リンゴおよび洋ナシのベンチュリア(Venturia)種(疥癬)(例えば、リンゴのV. イナエクアリス(inaequalis))。
【0096】
ピラクロストロビンの本発明の変態IIおよびIVは、それ自体周知の方式で、殺虫性、殺ダニ性、または殺線虫性の活性化合物と共に配合することもできる。ピラクロストロビンの変態IIおよびIVを、刺す、かむ、かみ切る、または吸う昆虫、および他の節足動物、例えば以下の目、
・鞘翅目(Coleoptera)、特にフィロファガ(Phyllophaga)種、例えばPhyllophaga cuyabana、Sternechus種、例えばSternechus pingusi、Sternechuns subsignatus、Promecops種、例えばPromecops carinicollis、Aracanthus種、例えばAracanthus morei、およびディアブロティカ(Diabrotica)種、例えばディアブロティカスペシオーサ(Diabrotica speciosa)、ディアブロティカロンギコルニス(Diabrotica longicornis)、ディアブロティカ12-パンクタタ(Diabrotica 12-punctata)、ディアブロティカビルジフェラ(Diabrotica virgifera)、Oryzophagus種、
・鱗翅目(Lepidoptera)、特にエラスモパルパス(Elasmopalpus)種、例えばエラスモパルパス種、例えばエラスモパルパスリグノセラス(Elasmopalpus lignosellus)、ディロボデルス(Diloboderus)種、
・等翅目(Isoptera)、特にRhinotermitida、
・同翅目(Homoptera)、特にDalbulus maidisに対して活性な、
あるいは根瘤線虫、例えばメロイドギネ(Meloidogyne)種、例えば、メロイドギネハプラ(Meloidogyne hapla)、メロイドギネインコグニタ(Meloidogyne incognita)、メロイドギネジャバニカ(Meloidogyne javanica)、および他のメロイドギネ種;シスト形成線虫、例えばグロボデラロストキエンシス(Globodera rostochiensis)および他のグロボデラ種;ヘテロデラアベナエ(Heterodera avenae)、ヘテロデラグリシンス(Heterodera glycines)、ヘテロデラサクチイ(Heterodera schachtii)、ヘテロデラトリホリイ(Heterodera trifolii)、および他のヘテロデラ種;瘤線虫(gall nematode)、例えばアングイナ(Anguina)種;茎の線虫および葉面の線虫、例えばアフェレンコイデス(Aphelenchoides)種を含めた線虫に対して活性な、少なくとも1種の活性化合物と共に使用するのが特に有利であることが見出された。
【0097】
ピラクロストロビンの本発明の変態IIおよび/またはIVと、チオファネート-メチルまたはチオファネート-エチルとを含む配合物は、例えば、以下の有害な菌類を防除するために使用することができる:
-穀類、綿、およびイネのアルタナリア(Alternaria)種、
-綿およびイネのアスコキータ(Ascochyta)種、
-綿のボトリオディプロディア(Botryodiplodia)種、
-トウモロコシ、大豆、イネ、および他の植物のセルコスポラ(Cercospora)種、
-大豆、綿、および他の植物のコリネスポラ(Corynespora)種、
-大豆、綿、および他の植物のコレトトリチューム(Colletotrichum)種、
-穀類およびイネのカーブラリア(Curvularia)種、
-穀類およびイネのディプロディア(Diplodia)種、
-穀類およびイネのドレクスレラ(Drechslera)種、
-穀類、大豆、および綿のフザリウム(Fusarium)種、
-穀類およびイネのジベレラ(Giberella)種、
-大豆および綿のマクロフォミナ(Macrophomia)種、
-大豆および綿のペニシリウム(Penecilium)種、
-大豆のフェオイサリポシス(Phaeoisaripsis)種、
-大豆のフォーマ(Phoma)種、
-大豆のホモプシス(Phomopsis)種、
-大豆および綿のピシウム(Pythium)種、
-ピレノフォラ(Pyrenophora)種、
-イネのいもち病菌(Pyricularia)種、
-大豆、イネ、および綿のリゾクトニア(Rhizoctonia)種、
-イネのライグラス雲型病菌(Rhychosporium)種、
-大豆のセプトリア(Septoria)種、
-穀類およびイネのチレチア(Tilletia)種、
-穀類のウスチラゴ(Ustilago)種。
【0098】
ピラクロストロビンの本発明の変態IIおよび/またはIV、チオファネート-メチルまたはチオファネート-エチル、ならびにフィプロニルまたは別のGABAアンタゴニスト、例えば、アセトプロール、エンドスルファン、エチプロール、バニリプロール、ピラフルプロール、またはピリプロールを含む配合物は、例えば、前述の有害な菌類を防除すると同時に、例えば以下の昆虫の防除に使用することができる:
・鞘翅目(Coleoptera)、特にフィロファガ(Phyllophaga)種、例えばPhyllophaga cuyabana、Sternechus種、例えばSternechus pingusi、Sternechuns subsignatus、Promecops種、例えばPromecops carinicollis、Aracanthus種、例えばAracanthus morei、およびディアブロティカ(Diabrotica)種、例えばディアブロティカスペシオーサ(Diabrotica speciosa)、ディアブロティカロンギコルニス(Diabrotica longicornis)、ディアブロティカ12-パンクタタ(Diabrotica 12-punctata)、ディアブロティカビルジフェラ(Diabrotica virgifera)、Oryzophagus種、ならびに
・鱗翅目(Lepidoptera)、特にエラスモパルパス(Elasmopalpus)種、例えばエラスモパルパスリグノセラス(Elasmopalpus lignosellus)、ディロボデルス(Diloboderus)種。
【0099】
ピラクロストロビンの本発明の変態IIおよび/またはIVと、エポキシコナゾールとを含む配合物は、例えば、以下の有害な菌類を防除するために使用することができる:
-穀類のミクロドキウム(Microdochium)種、
-穀類およびイネのチレチア(Tilletia)種、
-穀類のウスチラゴ(Ustilago)種。
【0100】
ピラクロストロビンの本発明の変態IIおよび/またはIVと、トリチコナゾールおよびプロクロラズまたはプロクロラズ-CuCIとを含む配合物は、例えば、以下の有害な菌類を防除するために使用することができる:
-穀類のミクロドキウム(Microdochium)種、
-穀類およびイネのチレチア(Tilletia)種、
-穀類のウスチラゴ(Ustilago)種。
【0101】
ピラクロストロビンの新規な変態IIおよびIVによって、ピラクロストロビンだけの低溶媒または溶媒なしの水性懸濁液濃縮物、ならびにピラクロストロビンと他の作物保護剤、特に前述の混合パートナーとの低溶媒または溶媒なしの水性懸濁液濃縮物の両方を調製することができる。任意の不凍剤を差し引いた溶媒含有量、特に芳香族炭化水素の含有量は、一般に懸濁液濃縮物の2重量%以下であり、しばしば2重量%未満である。本発明の懸濁液濃縮物は、ピラクロストロビンを含む周知の懸濁液濃縮物およびサスポエマルジョン濃縮物と比較して、特により良好な保存安定性によって区別される。
【0102】
以下の図および実施例は、本発明を例示するものであり、それを制限するものと理解されるべきではない。
【0103】
分析:
X線粉末回折図の写真は、Siemens製のD-5000回折計を使用して、2θ=4°-35°の範囲の反射配置において0.02°の増分で、Cu-Kα線を使用し、25℃で撮影した。見出した2θ値を使用して、規定の格子面間隔dを計算した。
【0104】
変態IIおよびIVの結晶学的データ(表1および2)は、Cu-Kα線を使用するSiemens製の単結晶回折計で決定した。
【0105】
融点および融解熱は、NETZSCH製のSimultaneous Thermal Analyzer STA449C Jupiterを使用し、-5℃〜+80℃の範囲における加熱速度5K/minであるDSCによって決定した。サンプルの量は5〜10mgであった。
【0106】
懸濁液濃縮物における粒径は、Malvern Instruments GmbH製のMastersizer 2000を使用して決定した。
【0107】
調製実施例
【実施例1】
【0108】
変態IVの種結晶を使用してイソプロパノールから結晶化させることによるピラクロストロビン変態IVの調製
実施
イソプロパノール600gを70℃まで加熱する。それとは別に、非晶質ピラクロストロビン300gを、80℃で低粘度の溶融物に変換する。激しく撹拌しながら、この溶融物をイソプロパノールに添加する。その混合物を、物質が完全に溶解するまで(約30分)70℃で保持する。続いて、その混合物を室温に冷却する。撹拌しながら、変態IVの結晶性ピラクロストロビン1gを添加する。約1時間後に結晶化が始まる。混合物をさらに18時間撹拌し、結晶を濾別し、減圧下、25℃で乾燥させる。収量:ピラクロストロビン290g。変態IVを、X線粉末回折図(図1)におけるその反射によって同定した。
【実施例2】
【0109】
変態IVの種結晶を使用してエタノールから結晶化させることによるピラクロストロビン変態IVの調製
二重のマントルとタービン撹拌機(PBTタービン)を備えた2.5l容器に、まずエタノール1500gを入れ、50℃に加熱する。ピラクロストロビン1000gを70℃に加熱し、反応容器に添加する。60℃で10分間撹拌した後、得られた透明溶液をゆっくり冷却する。34℃で変態IVの種結晶1gを添加する。次いで、114〜116時間かけてその混合物を周囲温度に冷却する。次いで、混合物を10℃に冷却する。固体を単離し、冷エタノール400mlで洗浄し、減圧下(40mbar)および周囲温度で約16時間乾燥させる。収量:870g(融点67℃)。変態IVを、X線粉末回折図におけるその反射によって同定した(図1参照)。
【実施例3】
【0110】
種結晶なしでイソプロパノールから結晶化させることによるピラクロストロビン変態IVの調製
イソプロパノール100gを60℃に加熱する。次いでピラクロストロビン15gを添加し、その混合物を、全ての物質が溶解するまで撹拌する。次いで混合物を周囲温度に冷却し、さらに2週間撹拌する。結晶を濾別し、減圧下および周囲温度で約16時間乾燥させる。収量:12g。
【0111】
X線粉末回折法では、得られた物質は図1に示す図を示していた。
【実施例4】
【0112】
種結晶なしでイソプロパノールから結晶化させることによるピラクロストロビン変態IIの調製
イソプロパノール100gを60℃に加熱する。次いで、撹拌しながらピラクロストロビン15gを添加し、その混合物を、全ての物質が溶解するまで撹拌する。次いで混合物を20℃に冷却し、さらに4時間撹拌する。次いで混合物を10℃に冷却し、さらに1時間撹拌する。結晶を直ちに単離し、減圧下および周囲温度で16時間乾燥させた。収量:12g。X線粉末回折法では、得られた物質は図2に示す図を示していた。
【実施例5】
【0113】
溶融物から結晶化させることによるピラクロストロビン変態Iの調製
非晶質ピラクロストロビンを溶融し、ゆっくり冷却した。まず、ピラクロストロビン溶融物から変態Iが結晶化する。約40℃〜45℃でテンパリングすることによって結晶化を加速する。得られた物質は、図3に示すX線粉末回折図を有する。
【実施例6】
【0114】
溶融物から結晶化させることによるピラクロストロビン変態IIIの調製
この変態は、溶融物を18〜25℃の範囲の温度で保持する場合に、数週間後にピラクロストロビン溶融物から結晶化する。X線粉末回折法では、得られた物質は図4に示す図を示していた。
【実施例7】
【0115】
種結晶の存在下でエタノールから結晶化させることによる変態IVのピラクロストロビンの調製
純度99%のピラクロストロビン358gを80℃で液化し、ピラクロストロビンが完全に溶解するまで、エタノール(96%)525gと共に撹拌した。次いで、5時間かけてその混合物を35℃に冷却し、変態IVの種結晶約1gをこの温度で添加した。次いで、3時間かけてその混合物を20℃に冷却し、次いで水483gを2時間かけて添加した。水の添加が終了した後、20℃での撹拌をさらに1時間続け、次いでノッチ(多孔率4)を使用して混合物をろ過した。水350gで洗浄した後、得られた結晶性固体を、減圧下、40℃で乾燥させた。これによって、変態IVと同定された結晶性生成物353gを得た。収率:98.6%、含有量:99.5%、融点:63.0℃。
【実施例8】
【0116】
種結晶の存在下でメタノールから結晶化させることによる変態IVのピラクロストロビンの調製
活性化合物I 179.4gを80℃で液化し、ピラクロストロビンが完全に溶解するまで、メタノール(96%)253gと共に撹拌した。次いで、4時間かけてその混合物を35℃に冷却し、変態IVの種結晶約0.5gをこの温度で添加した。次いで、2時間かけてその混合物を20℃に冷却し、次いで水252gを1.5時間かけて添加した。水の添加が終了した後、20℃での撹拌をさらに1時間続け、次いでノッチ(多孔率4)を使用して混合物をろ過した。水90gで洗浄した後、得られた結晶性固体を、減圧下、40℃で乾燥させた。これによって、変態IVと同定された結晶性生成物177.8gを得た。収率:99.1%、含有量:99.8%、融点:65.0℃。
【実施例9】
【0117】
種結晶の存在下でメタノールから結晶化させることによる変態IVのピラクロストロビンの調製
活性化合物I 179.4gを80℃で液化し、ピラクロストロビンが完全に溶解するまで、メタノール(96%)253gと共に撹拌した。次いで、3時間かけてその混合物を35℃に冷却し、変態IVの種結晶約0.5gをこの温度で添加した。次いで、2時間かけてその混合物を20℃に冷却し、次いで水252gを1.5時間かけて添加した。水の添加が終了した後、20℃での撹拌をさらに1時間続け、次いでノッチ(多孔率3)を使用して混合物をろ過した。水90gで洗浄した後、得られた結晶性固体を分離した。これによって、活性化合物含有量が75.3%の水湿結晶性生成物236.4gを得た。これは、99.2%の収率に相当する。得られた生成物のサンプルを、減圧下、40℃で乾燥させた。これによって、変態IVと同定され、融点が65.2℃の結晶性生成物を得た。
【0118】
比較実施例1
イソプロパノールの代わりに酢酸エチルを使用する以外は実施例1と同様の結晶化では、凝固性の油が生じ、ピラクロストロビンの収率は低かった。
【0119】
比較実施例2
実施例1に記載の方法とは対照的に種結晶を使用しない以外は実施例1と同様の結晶化では、凝固性の油が生じ、ピラクロストロビンの収率は低かった。
【0120】
配合実施例
比較配合実施例
ケイ酸に吸着したピラクロストロビンの懸濁液濃縮物の調製
ピラクロストロビンプレミックス
まず、水(全配合物の約60重量%)を、適切な容器に入れる。湿潤剤および次いでケイ酸を撹拌しながら入れ、混合物を80℃に加熱する。次いで、80℃に加熱したピラクロストロビン溶融物20重量部を、撹拌しながら添加し、添加終了後に80℃での撹拌をさらに30分間続ける。次いで、その懸濁液を撹拌しながら周囲温度に冷却する。プレミックスは、以下の組成を有していた:
水 60重量部
湿潤剤 5重量部(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物)
ケイ酸 15重量部(沈澱ケイ酸)
ピラクロストロビン 20重量部
最終配合物
まず、水を適切な容器に入れる。次いで、湿潤剤、分散剤、不凍剤、安定剤、および消泡剤の部分量を、撹拌しながら添加する。第2の活性化合物およびピラクロストロビンプレミックスを、この混合物に添加する。次いで、分散液を効果的に冷却しながらビーズミルで粉砕して、所望の粉末度にする。次いで、残りの配合助剤(殺菌剤、増粘剤、残りの消泡剤)を添加することによって、配合物が完成する。完成した配合物は、以下の組成を有していた:
水 42.3重量部
湿潤剤 4重量部(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物)
ケイ酸 7.5重量部(沈殿ケイ酸)
ピラクロストロビン 10重量部
分散剤 3重量部(EO/POブロックコポリマー)
不凍剤 2重量部(プロピレングリコール)
消泡剤 0.5重量部(市販のシリコーン消泡剤、例えば、Wacker製Silfoam タイプ)
安定剤 0.2重量部(緩衝系)
活性化合物 30重量部(ホルペット)
殺菌剤 0.2重量部(置換イソチアゾリン-3-オン)
増粘剤 0.3重量部(キサンタンガム)
配合実施例1
変態IVのピラクロストロビンの懸濁液濃縮物の調製
まず、水の残量を適切な容器に入れる。次いで、さらなる配合成分:湿潤剤、分散剤、不凍剤、安定剤、および消泡剤の部分量を撹拌しながら入れる。次いで、結晶性ピラクロストロビンおよび第2の固体活性化合物を添加する。次いで、分散液を効果的に冷却しながらビーズミルで粉砕して、所望の粉末度にする。次いで、残りの配合助剤を添加することによって配合物が完成する。
【0121】
水 46.9重量部
湿潤剤 3重量部(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物)
ピラクロストロビン 10重量部
分散剤 2重量部(ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロッ クコポリマー(EO/POブロックコポリマー))
不凍剤 7重量部(プロピレングリコール)
消泡剤 0.5重量部(市販のシリコーン消泡剤、例えば、Wacker製Silfoam タイプ)
安定剤 0.1重量部(緩衝系)
活性化合物 30重量部(ホルペット)
殺菌剤 0.2重量部(置換イソチアゾリン-3-オン)
増粘剤 0.3重量部(キサンタンガム)
安定性を決定するために、配合物を、表3に記載の期間、40℃で保存した。光散乱によって粒径を決定するために、サンプルを希釈し、水に分散させ、次いでMastersizer2000を使用して粒径分布を決定した。
【0122】
図5および6に示す5%強度の希釈物の光学顕微鏡写真は、3CCD Color Vision Cameraモジュールを使用するライカ顕微鏡で撮影した。
【0123】
分散液の安定性を決定するために、2%強度の希釈物を、尖頭の100mlシリンダー内で調製した。形成した堆積物の体積を、2時間の静置時間後に読み取った。
【表3】

【0124】
実施例1と同様に、以下の水性懸濁液濃縮物を調製した。
【0125】
実施例3
水 42重量部
湿潤剤 2.6重量部(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物)
ピラクロストロビン 4重量部
分散剤 2.7重量部(EO/POブロックコポリマー)
不凍剤 6.3重量部(プロピレングリコール)
消泡剤 0.5重量部(市販のシリコーン消泡剤、例えば、Wacker製Silfoam タイプ)
安定剤 1.4重量部(緩衝系)
活性化合物 40重量部(ホルペット)
殺菌剤 0.2重量部(置換イソチアゾリン-3-オン)
増粘剤 0.3重量部(キサンタンガム)
実施例4
水 47重量部
湿潤剤 2重量部(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物)
ピラクロストロビン 40重量部
分散剤 3重量部(EO/POブロックコポリマー)
不凍剤 7重量部(プロピレングリコール)
消泡剤 0.5重量部(市販のシリコーン消泡剤、例えば、Wacker製Silfoam タイプ)
殺菌剤 0.2重量部(置換イソチアゾリン-3-オン)
増粘剤 0.3重量部(キサンタンガム)
実施例5
水 47.1重量部
湿潤剤 2重量部(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物)
ピラクロストロビン 10重量部
分散剤 3重量部(EO/POブロックコポリマー)
不凍剤 7重量部(プロピレングリコール)
消泡剤 0.5重量部(市販のシリコーン消泡剤、例えば、Wacker製Silfoam タイプ)
活性化合物 20重量部(ボスカリド)
殺菌剤 0.2重量部(置換イソチアゾリン-3-オン)
増粘剤 0.2重量部(キサンタンガム)
安定性の研究の結果は、表4にまとめる。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃でのX線粉末回折図において、以下の反射の少なくとも4つを示す、ピラクロストロビンの結晶変態II。
【数1】

【請求項2】
57〜58℃の範囲の融点を有する、請求項1に記載の結晶変態。
【請求項3】
ピラクロストロビン含有量が少なくとも98重量%である、請求項1または2に記載の結晶変態。
【請求項4】
i) 少なくとも1種のC1〜C4-アルカノールを少なくとも50体積%含む有機溶媒に、非晶質ピラクロストロビンを溶解する段階と、
ii) 変態IVの種結晶の非存在下、10時間未満かけてピラクロストロビンの結晶化を行う段階と
を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピラクロストロビンの結晶変態IIを調製する方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の変態IIの形態のピラクロストロビンと、通例の担体および/または助剤とを含む、作物保護のための組成物。
【請求項6】
水性懸濁液濃縮物の形態である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
植物病原菌を防除するための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の変態IIの形態のピラクロストロビンの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−67107(P2012−67107A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229798(P2011−229798)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【分割の表示】特願2008−516250(P2008−516250)の分割
【原出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】