説明

ピーリング化粧料

【課題】
皮膚に対する刺激が少ないピーリング化粧料について、皮膚の老廃物やメイクアップ化粧料の残留物などの汚れの除去能力が優れているとともに、肌への残留感が生じないピーリング化粧料を提供する。
【解決手段】
角質を穏やかに除去するフルーツ酸を含むピーリング基剤について、さらに少なくともナノクラスター有機ゲルマニウム水および有機ゲルマニウムを加えて均一に加温混和し、所望に応じて、天然または合成の保湿剤および美白剤を追加するとともに、ピーリング基剤には、水性ゲル形成高分子、グリセリン、カチオン系界面活性剤および1,3−ブチレングリコールを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に対する刺激が少ないピーリング化粧料に関し、詳しくは、皮膚の老廃物やメイクアップ化粧料の残留物などの汚れの除去能力が優れているとともに、肌への残留感が生じないピーリング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ピーリング化粧料は、皮膚の老廃物などの汚れを除去することを目的とし、適量を肌に塗擦して汚れを擦り出し、老化角質である皮膚の老廃物およびメイクアップ化粧料の残留物を同時に除去することにより、肌を滑らかにするとともに皮膚の新陳代謝を活発にして健康な肌を保つ。ピーリング化粧料について、皮膚の老廃物や付着汚れを除去するには、主に、老廃物を物理的に除去する方法と、老廃物を化学的に溶解して除去する方法つまりケミカル法とが存在する。
【0003】
物理的な方法では、有機粉末、無機粉末またはこれらの複合物を用い、その粉末の摩擦作用を利用する。例えば、特公昭60−15680号は鉱物性粉体を用い、特開昭61−7208号は米やタピオカなどの植物性粉体を用い、特公平5−60446号や特開昭63−238008号はセルロース加工物を用い、特開昭62−238211号は短繊維の凝集体を用い、特開2000−26234号はセルロース粉末、粘土鉱物およびパラフィンワックスを用いる。また、水溶性高分子や肌の老廃物と密着性が高い粉末を使用し、その吸着作用を利用した例として、特公昭60−50776号または特開2003−286154号ではポリビニルアルコールを用いる。化学的な方法による化粧料としては、特開昭62−26224号のようにサリチル酸誘導体による角質除去法が知られている。
【特許文献1】特公昭60−15680号公報
【特許文献2】特開昭61−7208号公報
【特許文献3】特公平5−60446号公報
【特許文献4】特開昭63−238008号公報
【特許文献5】特開昭62−238211号公報
【特許文献6】特開2000−26234号公報
【特許文献7】特公昭60−50776号公報
【特許文献8】特開2003−286154号公報
【特許文献9】特開昭62−26224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物理的なピーリング化粧料は、使用時の物理的な肌表面の摩擦作用または吸着作用によって皮膚の老廃物や汚れを落とし、且つその時に掛かる力によって肌の血行促進などのマッサージ効果を得る際に問題が発生する。例えば、微粉末を用いると清浄効果は高くても、使用中に効果的な摩擦作用が得られない。また、短繊維状の粉末を固体油剤などで処理した短繊維の凝集体を用いると、ソフトな肌表面の摩擦作用は得られても、清浄効果が不十分になりやすい。また、物理的な方法では、肌に刺激を感じる人が多く、安全性についても若干問題があった。
【0005】
一方、化学的な方法である角質除去法では、フェノールやTCA(トリクロロ酢酸)を使用すると、肌荒れ時または肌に傷があるときなどに、肌に炎症を引き起こす場合がある。また、ポリビニルアルコールのような吸着作用の強い水溶性高分子を含有すると、優れた清浄効果は得られても粘着力が強すぎるため、使用時にべたついたり、ジェルののびが悪くなって使用感を損ない、しかも肌への負担が大きくなって肌荒れなどを引き起こしやすい。それ故に、ピーリング化粧料として、皮膚の老廃物や付着した汚れを除去する清浄効果が優れているだけでなく、使用感が良好であって皮膚に対する刺激が少ないものが求められている。
【0006】
本発明は、従来のピーリング化粧料に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、有機ゲルマニウムの介在によって皮膚に対する刺激を和らげ、有機ゲルマニウムによる保湿および除菌の効能を付与したピーリング化粧料を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、有機ゲルマニウムをナノクラスター水に溶解することにより、安定保有するナノクラスター水によって皮膚への浸透性を高め、皮膚の老廃物などの汚れを除去する能力が優れたピーリング化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るピーリング化粧料は、角質を穏やかに除去するピーリング基剤について、さらに少なくともナノクラスター水および有機ゲルマニウムを加えて均一に加温混和する。特に、角質を穏やかに除去するフルーツ酸を含むピーリング基剤について、さらに少なくともナノクラスター有機ゲルマニウム水および有機ゲルマニウムを加えて均一に加温混和することが望ましい。
【0008】
本発明のピーリング化粧料には、天然または合成の保湿剤および美白剤を追加すると好ましい。このピーリング化粧料において、ピーリング基剤には、水性ゲル形成高分子、グリセリン、カチオン系界面活性剤および1,3−ブチレングリコールを含んでいる。
【0009】
本発明を図面によって説明すると、本発明のピーリング化粧料は、図1に例示するような工程で製造する。このピーリング化粧料を製造するには、ピーリング基剤、有機ゲルマニウムおよびナノクラスター水などを加えて均一に加温混和することを要する。
【0010】
本発明のピーリング化粧料において、ピーリング基剤は、皮膚の角質を除去する作用を有するAHA(α−ヒドロキシ酸)またはBHA(β−ヒドロキシ酸)からなる。AHAは、果実や植物から抽出される成分であるからフルーツ酸とも称し、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸などが例示でき、乳酸を含むヨーグルトやビフィズス菌発酵エキスなども含まれる。リンゴ酸、ヨーグルト、ビフィズス菌発酵エキスは、皮膚浸透力が比較的高くなくても、角質を穏やかに除去し且つ刺激性が弱いので好ましい。グリコール酸や乳酸は、pHが低くて刺激性を有するので、pHを1.8〜3に補正したり、薬剤の濃度を低くして使用することを要する。一方、BHAはサリチル酸が代表的であり、脂溶性で油になじみやすいので特にニキビに効果がある。一般に、脂溶性でアルコールに溶かして使用するため、AHAよりもオーバーピールを起こさず副作用が少ない。
【0011】
特に、リンゴ酸は、クエン酸回路の中間体であって生体内で容易に代謝される。リンゴ酸やクエン酸などの有機酸は、安全かつ低刺激であることから、従来より化粧品や食品成分として利用され、pH調整を目的として生体材料にも添加されている。リンゴ酸を角質の可塑剤として用いると、生体内に取り込まれた際に、特定構造を有するリンゴ酸エステルが生体によって容易に分解され、高い安全性を有するとともに角質の可塑剤として好適に使用することができる。
【0012】
このピーリング基剤には、水溶性増粘剤およびコンディショニング剤を含む。水溶性増粘剤は、水性ゲル形成高分子、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジグリセリン、エトキシジグリコール、PEG−60水添ヒマシ油、ベタインなどであり、これらを2種以上含んでいてもよい。一般的には、水性ゲル形成高分子、グリセリンおよび1,3−ブチレングリコールを使用する。1,3−ブチレングリコールは、吸湿性、非揮発性、低毒性などの性質を有し、1,3−ブチレングリコールを化粧品中の保湿剤として利用する際には、臭気の少ない1,3−ブチレングリコールを使用することが望ましい。
【0013】
ピーリング基剤における水性ゲル形成高分子は、水に粘性を付与する性質を利用してピーリング化粧料の性状や使用感を調整し、乳化粒子の分散安定性を保つ働きを有する。水性ゲル形成高分子は、皮膚表面に保護膜を作り、皮膚の乾燥を防ぐことができる。この水性ゲル形成高分子として、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー、酢酸ビニルポリマー、キトサン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、セルロースガム、ヒアルロン酸ナトリウムなどが例示できる。(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの単純エステルであるモノマーとアクリル酸アルキル(C10−30)との共重合体である。(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマーは、前記の共重合体をショ糖のアリルエーテルまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものである。市販品として、グッドリッチ社製のカーボポール1342、ペミュレンTR−1、ペミュレンTR−2などが例示できる。
【0014】
ピーリング基剤におけるコンディショニング剤は、主にカチオン系界面活性剤であり、ステアリルトリモニウムクロリド、ソヤトリモニウムクロリドまたはココエチルジモニウムエトサルフェートのようなモノアルキル第四級アミン、ジセチルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド(ジアルキルはヤシ油脂肪酸)、ジココジメチルアンモニウムクロリドまたはジステアリルジメチルアンモニウムクロリドのようなジアルキル第四級アミン、ベヘントリモニウムクロリド、ポリクオーターニウム化合物などである。好適なカチオン系界面活性剤は、ステアリルトリモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリドまたはこれらの混合物である。第四級アミン化合物は、消毒性を付与することができ、菌類および酵母菌感染に対して耐性にできる。カチオン系界面活性剤は、脂質沈着助剤としても作用する。
【0015】
このピーリング基剤には、使用感および清浄効果をさらに向上させるために、化粧料に使用される微粉体を含有することも可能である。このような微粉体として、酸化チタン、紺青、群青、ベンガラ、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化ケイ素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリスチレンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、レーヨン繊維、アセテート繊維、ナイロン繊維、テトロン繊維、アクリル繊維、羊毛、絹繊維などが例示できる。
【0016】
本発明のピーリング化粧料において、通常の添加物は、有機ゲルマニウム、ナノクラスター水やナノクラスター有機ゲルマニウム水のような精製水、天然または合成の保湿剤および美白剤である。その他の添加物には、イソプロパノールやエタノールなどのアルコール、センブリ,シャクヤク,イリス,スギナ,アロエ,カミツレ,ユーカリ油,キョウニン油,グリシルリチン酸ジカリウムなどの植物抽出成分またはラベンダー油などの香料がある。さらに、化粧料を着色する場合には、少量の顔料または染料を所望に応じて適宜添加すればよい。
【0017】
添加物である有機ゲルマニウムに関して、ゲルマニウムは、原子記号Ge、元素番号32の金属と非金属の中間的な性質の半金属元素であり、ミネラルの一種で、霊芝や朝鮮人参などの植物にも含まれている。有機ゲルマニウムは、人間の体に対して薬理的な作用があり、その化学的合成が確立されている。有機ゲルマニウムは、化学薬品とは違い、人間が持っている自然治癒力を高めることで様々な病気の治癒および肌の老化を防ぎ、副作用が全く無く且つ毒性も無いことから、未来の療法や化粧料として期待が掛けられ、特に、癌の免疫療法において多くの成功例が報告されている。
【0018】
有機ゲルマニウムでは、分子中のゲルマニウムは半導体物質として、プラスの電荷を持つ物質と接触するとマイナスの電気を持ち、相手の物質がマイナスであるとその逆の働きをして、電気を帯びた物質と結びつく性質がある。有機ゲルマニウムは、飲用すると赤血球と同じように、水に溶けてマイナスイオンになった酸素を捕捉して全身の細胞まで運び、酸性の源である水素イオンが水となって消滅させて体調が良くなり、体内の細胞が新鮮な酸素に満ちて活動的になる。また、有機ゲルマニウムがナノクラスターに溶解した態様で皮膚に吸収されると、皮膚表面のpH調整を行い、悪玉といわれる水素イオンを排除できるという効能がある。一般に、皮脂の過酸化度は、常に外気と接触する顔面や手足の皮膚では大気中の酸化物に影響され、水素イオンによって皮膚表面が酸性の状態になると、皮膚細胞の活動が衰えて皮膚の老化が進行する原因となる。水溶性の有機ゲルマニウムが皮膚に吸収されると、有機ゲルマニウムがマイナスの電気を帯びて水素イオンを引きつけ、皮膚表面から水素イオンを排除することにより、皮膚の細胞も新鮮な酸素に満ちて活動的になる。
【0019】
有機ゲルマニウムは、温水によって水溶液化することが可能であり、溶媒はミネラルウォータ、滅菌濾過水または蒸留水が一般的である。溶媒であるナノクラスター水は、その水分子の集合体の大きさが通常の水道水の約100分の1であり、水分子の構造が小さいので浸透性が高く、皮膚細胞のすみずみへ容易に浸透することが可能である。したがって、有機ゲルマニウムを皮膚表面によく吸収させるには、該有機ゲルマニウムをナノクラスター水に溶解させることが望ましい。水溶性の有機ゲルマニウムとして、化1のプロパゲルマニウムが例示できる。
【化1】

【0020】
水溶性の有機ゲルマニウムは、前記化1のほかに、エチルカルボキシゲルマニウムセスキオキサイド((GeCHCHCOOH))、L−アルギニンゲルマニウム、L−リジンゲルマニウムなどでもよい。好適な有機ゲルマニウムは、プロパゲルマニウムおよびエチルカルボキシゲルマニウムセスキオキサイドである。プロパゲルマニウムおよびエチルカルボキシゲルマニウムセスキオキサイドは、温水に溶け、生物学的活性が存在することが認められている。
【0021】
有機ゲルマニウム化合物の製造法は、例えば、特公昭59−35917号、特開昭61−5087号、特公昭62−25678号で開示されている。有機ゲルマニウムは、生物学的活性が存在することが認められているが、水溶液にして皮膚に塗布した際に体内への吸収性つまり浸透性が高くなく、効能が優れている割りには実際の作用効果があまり高くならず、しかも水溶液の場合には保存可能期間が比較的短いことが問題であった。
【0022】
有機ゲルマニウムは、その副作用に関して、無機ゲルマニウムを有機化した物質であって副作用が無いことが確認されており、毒性試験についても安全確認済みであり、健康食品として広く使用されている。植物性の有機ゲルマニウムとは、エノキダケを用い、バイオテクノロジーによってゲルマニウムを有機化している。一方、無機ゲルマニウムは、仮に服用すると体外に排出されることなく、腎臓にたまって腎毒症で死に至るケースもあり、無機ゲルマニウムを健康食品として販売することは禁止されている。
【0023】
一方、ナノクラスター水とは、通常の水に比べて凝集する水分子の数が少なく、小さい集合構造の水についての名称であり、人体の体液とほぼ等しい集合構造である水を意味する。ナノクラスター水は、人体にとって有益であるため、現在、電子水として市販されている。この電子水は、電極の入ったタンクの中に水を貯え、静電気を長時間加えることで製造するために非常に高価であり、主として点滴用水などの医療用である。
【0024】
ナノクラスター水は、通常の水を非常に微細な多孔質フィルターで濾過すれば比較的容易に製造でき、この種のフィルターとして、例えば特公昭63−66777号で開示された多孔質ガラス成形物を使用すればよい。この多孔質ガラス成形物は、貫通細孔の孔径が200〜10000nmであり、通常の水がこの多孔質ガラス成形物を通過すると集合構造が改質され、大きな集合構造から均一で小さい分子集団となる。通常の水を多孔質ガラス成形物で濾過すると、水の集合構造が改質され、大きな集合構造から均一で小さい分子集団となるが、数日間の保存で元の大きな集合構造に戻りやすく、保存が利かないため、クラスター水または添加剤として販売することができない。保存のためにデンプンなどを添加しても、保存が完全でないうえに、保存剤が人体に有害になる場合もしばしば発生している。
【0025】
本発明で用いるナノクラスター水には、有機ゲルマニウムを溶解させておくことを要する。有機ゲルマニウムは、水中でイオン化するとともに酸素を発生することにより、ナノクラスター水の再凝集を防いで安定化させ、ピーリング化粧料中で常温で長期間保存することが可能となる。ピーリング化粧料中において、ナノクラスター水は凝集する水分子の数が少なく、羊水や脳水のような人体の体液とほぼ等しい集合構造の水分として存在する。一方、有機ゲルマニウムはナノクラスター水に溶解しているから、通常の有機ゲルマニウム水溶液に比べて浸透性がより高く、体内への吸収性が非常に高いことで有機ゲルマニウムの効能をいっそう有効に活用できる。
【0026】
有機ゲルマニウム溶解のナノクラスター水は、通常の原料水を図2に例示するような工程で製造する。この原料水は、火山地帯の地層・岩石のすき間や割れ目に存在する地下水であると好ましく、通常の水道水などを利用することも可能である。図2に示す製造工程において、除菌工程1,3,6の数は、原料水の品質に応じて適宜に増減すればよい。
【0027】
図2に示す固形物除去工程2をクラスター化工程5の前に行い、原料水から微細な固形物を完全に除去した後にクラスター化させ、用いる多孔質ガラスフィルターの細孔が原料水で早期に目詰まりすることを防ぐ。固形物除去工程2では、ゴミ細菌や空気対策の除菌フィルター、サイクロン式のサンドセパレーター、メタフィルター、素焼濾過機、真空筒濾過機、加圧式パルプ濾過機、半透膜濾過機、限外濾過機などを用いる。クラスター化工程5を経たナノクラスター水について、水分子の集合体の大きさは、通常の水道水の約100分の1である。
【0028】
具体的には、第1除菌工程1において、火山地帯の地下水である湧水を原水タンクに集水する。原水タンクは、通気孔を設け且つ除菌フィルター付きの20klタンクである。この原水は、樹脂ライニングのサニタリーポンプによって送水され、固形物除去工程2において、サイクロン式のサンドセパレータを経て500メッシュのステンレス鋼製フィルターで濾過して固形物を除去する。固形物除去後の原水は、第2除菌工程3において、空気除菌フィルター付きの20klステンレス鋼タンクに集水し、ステンレス鋼サニタリーポンプによって送水される。また、1次クラスター化工程5において、この原水は、孔径1.0μmおよび0.22μmの多孔質ガラスカートリッジフィルターを順次通し、大きい集合構造の凝集水をほぼナノクラスター化させる。得たナノクラスター水は、第3除菌工程6において、除菌フィルター付きの20klステンレス鋼タンクに集水し、ステンレス鋼サニタリーポンプによって送水される。
【0029】
クラスター化工程5,10で用いる多孔質ガラスフィルターは、通常、孔径0.1〜20μmである細孔を有し、例えば、Al:7〜15重量%、B:6〜12重量%、NaO:3〜7重量%、CaO:3〜7重量%を含有する。この多孔質ガラスフィルターを製造するには、天然の火山灰シラス、炭酸カルシウム、ホウ酸、ソーダ灰、マグネシウムなどを混合し、約1350℃で溶融して基礎ガラスを合成する。この溶融物の温度が1200℃に低下すると、吹きガラス法によって直径10mm、長さ500mmの中空ガラス管を成形する。この中空ガラス管の内側と外側にアルミナ粉末を塗布し、加熱炉中で20時間熱処理してから、2%フッ酸に10分間浸漬し、さらに1規定塩酸に4時間浸漬する。最後に0.5規定水酸化ナトリウム水溶液で処理して残留シリカを除き、中和、水洗および乾燥を経て中空管状の多孔質ガラスフィルターを得る。
【0030】
この多孔質ガラスフィルターについて、孔径が0.1nm未満であると、該フィルタが使用時に目詰まりを起こしやすいうえに濾過効率が相当に低くなり、20μmを超えると孔径が大きすぎるため、複数回の濾過処理を行っても完全なナノクラスター水を得ることができない。多孔質ガラスフィルターによる濾過の回数は、1回だけであると大きな集合構造の水分子が残存する場合があるため、2回または3回以上濾過して水全体をほぼ完全にナノクラスター化させる。好ましくは、有機ゲルマニウムを溶解させるGe溶解工程7の後に、再クラスター化工程10において、有機ゲルマニウムの添加で凝集を起こしがちな水分子を再度ナノクラスター化させる。
【0031】
Ge溶解工程7では、有機ゲルマニウムの粉末をナノクラスター水に添加して溶解させる。有機ゲルマニウムの混合は、半密閉のクッションタンクを行うと効率が良く、原水タンクや濾過タンクで行うとロスが発生しやすい。有機ゲルマニウムをナノクラスター水に溶解させると、有機ゲルマニウムのイオン化によってナノクラスター水が再凝集することを防止するとともに、有機ゲルマニウムの溶解で水中に酸素が発生することにより、ナノクラスター水が酸素富化によって腐敗しなくなる。また、生理活性を有する有機ゲルマニウムは、ナノクラスター水に溶解することで人体への浸透性が高まり、有機ゲルマニウムの効能をいっそう有効に活用できる。
【0032】
具体的には、Ge溶解工程7において、ナノクラスター水を500リットルのステンレス鋼タンクである半密閉のクッションタンクに導入し、さらに20kgのプロパゲルマニウムの微粉末を添加して溶解させる。溶解が完了すれば、ステンレス鋼サニタリーポンプによって送水する。次に、Ge溶解工程7で有機ゲルマニウムの粉末を添加して溶解させた後に、ナノクラスター水を殺菌することを要する。この殺菌には、プレート式熱交換機などを用い、約120℃で30分間程度処理すればよい。例えば、殺菌工程8において、ピーリング化粧料をプレート式熱交換機によって120℃で30秒間殺菌してから87℃まで冷却することにより、殺菌とともにプロパゲルマニウムを完全に溶解させる。
【0033】
再クラスター化工程10において、ナノクラスター有機ゲルマニウム水を500メッシュのステンレス鋼製のラインフィルターで濾過し、ついで孔径2.0の多孔質ガラスを取り付けたステンレス鋼製のラインフィルターで濾過し、ナノクラスター有機ゲルマニウム水をさらに均一にナノクラスター化させる。得たナノクラスター有機ゲルマニウム水は、瓶詰め工程12において、転倒殺菌機によってキャップ内側を30秒間殺菌し、冷却機によって85℃から40℃まで冷却する。
【0034】
得たナノクラスター有機ゲルマニウム水は、凝集する水分子の数が少なく、羊水や脳水のような人体の体液とほぼ等しい集合構造であり、通常の有機ゲルマニウム水溶液に比べて体内への吸収性が非常に高い。このナノクラスター有機ゲルマニウム水は、水の集合構造が一般に不安定で様々な不純物を取り込んで大きく凝集する性質があっても、有機ゲルマニウムのイオン化によってナノクラスター水が再凝集することを防止し、常温で長期間保存することが可能である。
【0035】
添加物である天然または合成の保湿剤として、桑白皮エキス,ヒアルロン酸またはその塩,トレハロース,オリゴ糖,コンドロイチン硫酸ナトリウム,コラーゲン,ドロキシプロリン,プロリンハチミツ,米ヌカエキス,モモエキス,セリ科植物エキス,艾葉エキス,カンゾウエキス,オウゴンエキス,センキュウエキス,シャクヤクエキス,ボタンエキス,ヨクイニンエキス,ビャクシエキス,ボウフウエキス,チンピエキス,ゲンノショウコエキス,ブクリョウエキス,タイソウエキス,ウスベニアオイエキス,セイヨウオドリコソウエキス,キンセンカエキス,セイヨウニワトコエキス,ジュクジオウエキス,カンジオウエキスなどが例示できる。
【0036】
また、天然または合成の美白剤として、油溶性の甘草エキス,桑白皮エキス,アスコルビン酸(ビタミンC)またはその誘導体、プラセンタエキス、コウジ酸、ルシノール、エラグ酸、カミツレエキスなどが例示できる。油溶性の甘草エキスは、その有効成分であるグラブリジンやグラブレンなどがメラニン色素を形成するチロシナーゼの活性阻害作用を有することにより、美白剤として有望視されている。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係るピーリング化粧料は、低刺激のフルーツ酸などを含むピーリング基剤を含有することにより、皮膚に塗布すると古い角質を穏やかに除去できる。本発明のピーリング化粧料では、有機ゲルマニウムの介在によって角質除去時に肌への刺激を和らげるうえに、ナノクラスター水によって皮膚の老廃物などの汚れの除去能力に優れている。本発明のピーリング化粧料を用いると、ナノクラスター水によって肌への残留感がなく、べたつきを抑えて保存安定性にも優れ、素肌を保護してみずみずしい肌を保つことができる。
【0038】
本発明のピーリング化粧料は、ピーリング基剤に加えて、有機ゲルマニウムをナノクラスター水に溶解することにより、有機ゲルマニウムがナノクラスター水によって通常のものよりも皮膚への浸透性がより高くなって体内へ吸収されやすく、有機ゲルマニウムの保湿、除菌および美白作用を有効に活用できる。本発明のピーリング化粧料では、ナノクラスター水に溶解した有機ゲルマニウムがイオン化するにより、ナノクラスター水の再凝集を防いで安定化させ、ピーリング化粧料中でナノクラスター水を常温で長期間保有することが可能である。有機ゲルマニウムを溶解したナノクラスター水は、ピーリング化粧料中において凝集する水分子の数が少なく、羊水や脳水のような人体の体液とほぼ等しい集合構造の水分として存在する。
【0039】
本発明のピーリング化粧料は、ピーリング基剤がアクリル酸アルキル系クロスポリマーのような水性ゲル形成高分子とグリセリンを含むことにより、これらが水に粘性を付与する性質を利用して性状や使用感を調整し、乳化粒子の分散安定性を保っている。水性ゲル形成高分子は、皮膚表面に保護膜を作って皮膚の乾燥を防ぐので、ピーリング化粧料の使用感を良化させる。本発明のピーリング化粧料を皮膚に塗布すると、ピーリング基剤中のフルーツ酸などによる刺激でメラミン生成が活発化するので、天然または合成の保湿剤および美白剤を含有させることが好ましく、特に天然の美白剤である甘草エキスおよび桑白皮エキスなどが存在することが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明に係るピーリング化粧料の製造工程の概略を図1に例示する。
【0041】
図1に示す原料混合工程14において、下記の物質を秤量して釜に入れる。加温・撹拌工程16において、釜を加温し、全体を均一に撹拌する。プロパゲルマニウムは、ナノクラスター水に溶解して添加する以外に微粉末の固形物も添加する。
【0042】
(ピーリング基剤)
リンゴ酸 0.2〜2重量%
(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー
8〜15重量%
グリセリン 8〜15重量%
1,3−ブチレングリコール 7〜10重量%
ジココジモニウムクロリド 2〜5重量%
ステアリルトリモニウムブロミド 2〜5重量%
精製水(ナノクラスタープロパゲルマニウム水) 適量
プロパゲルマニウム 1.5〜3重量%
甘草エキス 0.03〜1重量%
桑白皮エキス 0.03〜1重量%
イソプロパノール 10重量%
【0043】
品質検査工程18において、化粧料素材のpH、比重、粘度について物理試験を行う。この物理試験において、検体温度を20℃に調整し、pH測定の検体は濃厚液であり、比重測定には三角フラスコを用いる。また、粘度(暫定値)の測定時間は5分である。測定結果を表1に示し、この結果で合格である。
【0044】
【表1】

【0045】
釜出し工程20で化粧料を釜出しする。釜出しの後に、官能検査工程22において化粧料の官能試験を行う。官能試験の結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
得た化粧料は保管工程24を経た後に、容器に充填して出荷する。出荷の前に、化粧料の安全性試験を適宜行っている。この安全性試験において、検体温度を20℃に調整する。菌数検査の培養時間は40時間であり、耐温性は実物の変化をチェックし、耐微生物性は、最終決定試作品またはその同等品について抗菌力試験を行う。安全性試験の結果を表3に示す。
【0048】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るピーリング化粧料の製造工程の概略を示すフローチャートである。
【図2】本発明で用いるナノクラスター有機ゲルマニウム水の製造工程の概略を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
14 原料混合工程
16 加温・撹拌工程
18 品質検査工程
20 釜出し工程
22 官能検査工程
24 保管工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角質を穏やかに除去するピーリング基剤について、さらに少なくともナノクラスター水および有機ゲルマニウムを加えて均一に加温混和するピーリング化粧料。
【請求項2】
角質を穏やかに除去するフルーツ酸を含むピーリング基剤について、さらに少なくともナノクラスター有機ゲルマニウム水および有機ゲルマニウムを加えて均一に加温混和するピーリング化粧料。
【請求項3】
天然または合成の保湿剤および美白剤を追加する請求項1または2記載の化粧料。
【請求項4】
ピーリング基剤には、水性ゲル形成高分子、グリセリン、カチオン系界面活性剤および1,3−ブチレングリコールを含む請求項1または2記載の化粧料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−31399(P2007−31399A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220203(P2005−220203)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(504329274)オーガニックゲルマニウム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】