ファイバー又はワイヤーからなるバックボーンを有するハイブリッドステント
【課題】縦方向の柔軟性を維持しつつ、十分な半径方向の強度を有するステントを提供する。
【解決手段】ステント1は、少なくとも1つのポリマーファイバー又はワイヤーによって接続された一連の短い断片又はセクション2を備えている。ポリマーファイバー又はワイヤーは、生体分解性又は耐久性であってもよい。また、ファイバーポリマーは、ファイバーの中に、ビーズ、ブロブ及びバルジを包含してもよい。ステントセクションは、身体の管腔が生物学的及び生理学的事象に応答して動く時に、経時的に分離又は分節するよう設計されている。
【解決手段】ステント1は、少なくとも1つのポリマーファイバー又はワイヤーによって接続された一連の短い断片又はセクション2を備えている。ポリマーファイバー又はワイヤーは、生体分解性又は耐久性であってもよい。また、ファイバーポリマーは、ファイバーの中に、ビーズ、ブロブ及びバルジを包含してもよい。ステントセクションは、身体の管腔が生物学的及び生理学的事象に応答して動く時に、経時的に分離又は分節するよう設計されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、現在放棄となっている、1998年12月3日出願の米国出願第09/204,830号の継続出願であり、現在放棄となっている、2002年4月5日出願の米国出願第10/116,159号の一部継続出願である、2004年6月3日出願の米国出願第10/860,735号の一部継続出願である、2005年1月13日出願の米国出願第11/331,639号の一部継続出願である。これらの優先権基礎出願の全体は、本明細書に参照として全て組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的に、ステント、即ち管腔を支持し、広げた状態を維持するために、又は管内の他の人工器官を保持し支持するために、血管等、生体内の管に埋め込まれる人工器官に関する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野では、各種のステントが知られている。一般的に通常のステントは、管状であり、比較的小さく拡張されていない直径から、管腔直径と合致させるために、より大きく拡張した直径へと拡張することができる。埋め込まれるときに、ステントは通常、比較的小さく拡張されていない直径で、カテーテル上に保持されてカテーテル端部又はその近傍に装着される。カテーテルを使用して、拡張されていないステントは、管腔を通って意図された埋め込み箇所に向かう。ひとたび意図された埋め込み箇所に置かれると、ステントは、通常例えばステント内部のバルーンを膨張させることによる内力、又は、例えばスリーブを自己拡張ステントの周囲から除去することにより、ステントを自己拡張させることによって拡張し、ステントを外側に拡張させる。いずれの場合においても、拡張したステントは管の狭まろうとする傾向に抵抗して、これにより、管の開存性を維持する。
【0004】
ステントに関する特許には、Palmazの米国特許第4,733,665号、Gianturcoの米国特許第4,800,882号及び第5,282,824号、Hillsteadの米国特許4,856,516号及び第5,116,365号、Wiktorの米国特許4,886,062号及び第4,969,458号、Pinchukの米国特許第5,019,090号、Palmaz及びSchatzの米国特許第5,102,417号、Wolffの米国特許第5,104,404号、Towerの米国特許第5,161,547号、Cardonらの米国特許第5,383,892号、Pinchasikらの米国特許第5,449,373号、Israelらの米国特許第5,733,303号等がある。
【0005】
従前のステント設計の目的の1つは、ステント拡張時にステントが十分な半径方向の強度を有することを確実にし、管腔を十分に支持することであった。しかしながら、半径方向の強度を有するステントは、往々にして、ステントが埋め込まれている管よりも縦方向の剛性が高くなる傾向がある。ステントが、埋め込まれる管よりも高い縦方向の剛性を有するとき、管のステント処理された部分とステント処理されていない部分とのコンプライアンスが不整合であるための応力が集中することにより、ステントの端部において管の損傷が増大することがある。
【0006】
ステント設計の技術において、縦方向の柔軟性を維持しつつ、十分な半径方向の強度を提供するニーズが残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,733,665号
【特許文献2】米国特許第4,800,882号
【特許文献3】米国特許第5,282,824号
【特許文献4】米国特許第4,856,516号
【特許文献5】米国特許第5,116,365号
【特許文献6】米国特許第4,886,062号
【特許文献7】米国特許第4,969,458号
【特許文献8】米国特許第5,019,090号
【特許文献9】米国特許第5,102,417号
【特許文献10】米国特許第5,104,404号
【特許文献11】米国特許第5,161,547号
【特許文献12】米国特許第5,383,892号
【特許文献13】米国特許第5,449,373号
【特許文献14】米国特許第5,733,303号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ステントが非常に長い場合であっても、半径方向の強度における影響が比較的小さいか全く生じず、ステントが埋め込まれている管のコンプライアンスに、より厳密に整合するステントを提供することにある。
【0009】
本発明の1つの態様によれば、ステントは、所定又は特定の「指定分割」点を備えており、ステントが展開した後、及び管の運動中に、ステントにかかる応力により、ステントがこれらの指定された分割点で分離する。指定分割点がステント周囲に完全に配置されて、周方向の「指定分割」区域を創り出すと、指定分割点における分割が、ステントを2以上のセクション或いは断片(以下「セクション」という)に分離し、その各々のセクションが管に合わせて互いに独立して動くことが可能である。各々の分離したセクションが独立して動くことが可能なため、一連の分離したセクションが、長いステント製品よりも、ステント処理されたセクションとステント処理されていないセクション間での大きなコンプライアンスを達成することができ、これにより管壁上の応力を低減させることができる。
【0010】
分割メカニズムの1つは、生体吸収性物質又は生体分解性物質の使用である。生体吸収性物質又は生体分解性物質は、能動的過程又は受動的過程によって、体内に吸収又は分解される物質である。これらのうち、いずれかの物質が本明細書中で記載されている場合は、生体吸収性物質及び生体分解性物質の双方に適用されることを意味する。また、ステントは、本来連続的又はファイバー状であり、金属ステント構造の全部又は一部をカバーすることができる耐久性ポリマーカバーを有する金属ステントを含んでいてもよい。
【0011】
生体吸収性又は耐久性を有するポリマー物質の縦方向構造は(生体吸収性物質の場合)、構造の分解までにステントをカバーしその位置を確保する新生内膜のより速い成長を促進するために、多孔性であってもよく、また、穿孔を有する管として、若しくは、間に空間を有する一連のファイバーとして形成されていてもよい。穿孔は、ステントのさらなる安定化を促進することがある。穿孔の形状は、所望の任意の大きさ、形状又は量にて作製することができる。
【0012】
セクション間の分離は、生体吸収性又は耐久性物質の特徴によって、制御できることが好ましい。ステントが新生内膜に埋入し、短いセクションが安定化してから分離が起きることが好ましい。
【0013】
高い半径方向の抵抗を有しつつ縦方向の屈曲に対する低い抵抗を達成するための1つの方法は、耐久性のあるポリマー物質から作製された柔軟な縦方向構造によって結合された、分離した金属セクションを有するステントを使用することである。
【0014】
別の態様では、生体分解性又は耐久性ポリマーの別の態様は、カバーの形態ではなく、ステントを構成する金属物質の縦方向のバックボーン接続セクションとしての役割を果たす、多数のファイバー又はワイヤーの形態である。また、ファイバーは、可変の直径を有していてもよいし、ポリマーファイバーと同素材又は異素材で作製されうるビーズ(beads)、ブロブ(blobs)又はバルジ(bulges)を包含していてもよい。これらのビーズ、ブロブ、又はバルジは、ステントを被覆する異なる薬剤に対する溶出力を変えることができる。ビーズ、ブロブ及びバルジは、構造上異なっており、薬剤の溶出に有益な様々な表面領域を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、セクション間の指定分割区域を有する、通常円筒形のステントの概略図を示す。
【図2】図2は、ステントが一連のより短いセクションに分離された、分割後の図1のステントの概略図を示す。
【図3】図3は、埋め込み後のステントにかかる応力により、ステントが構成要素であるセクション又は断片に分離するよう、指定分割区域における構成部品が十分に小さな断面領域を有するステントパターンの平面配置図を示す。
【図4】図4は、指定分割区域で分離が起きた後の図3のステントパターンの平面配置図を示す。
【図5】図5は、指定分割区域においてステントがより少数の分割構成部品を有するステントパターンの平面配置図を示す。
【図6】図6は、分離した周方向のステント断片が生体吸収性物質に埋め込まれているステントの側面配置図を例示する。
【図7】図7は、生体吸収性物質に埋め込まれている、一連の短いセクションの側面配置図を例示する。
【図8】図8は、穿孔を有する生体吸収ポリマーチューブに埋め込まれている一連の周方向の断片又は周方向のリングとして作製された、ステントの側面配置図を例示する。
【図9】図9は、多孔性ポリマー構造によって接続されたステント部材の顕微鏡写真を例示する。
【図10】図10は、縦方向の生体分解性若しくは非生体分解性/耐久性ポリマーファイバー若しくはワイヤーで接続された一連の短いセクションの側面配置図を例示する。
【図11】図11は、らせん状の生体分解性若しくは非生体分解性/耐久性ポリマーファイバー若しくはワイヤーで接続された一連の短いセクションの側面配置図を例示する。
【図12A】図12Aは、ビーズを包含するポリマーを示す。約1〜2μmのポリマーファイバーと一体化した約10μmのビーズが示されている。
【図12B】図12Bは、ブロブを包含するポリマーを示す。繊維の先端部以外は細いポリマーファイバーで、繊維の先端部のより幅広いポリマーのブロブが示されている。
【図12C】図12Cは、ビーズ、ブロブ又はバルジがない、標準的なポリマーファイバーを示す。
【図12D】図12Dは、バルジを包含するポリマーを示す。ポリマーファイバー内側の異質な物質のバルジが示されている。バルジは、ファイバーの作製物質とは異質の物質又は同じ物質を包含していてもよく、薬剤を伴ってもよい。
【0016】
[発明の詳細な説明]
本発明のステントは、ハイブリッド組成物であって、複数の短い円筒状セクションとポリマー状カバーとの両方を包含している。ポリマー状カバーは、体内に吸収される生体吸収性物質から作製されてよいし、埋め込み後、円筒状のステントセクションに付随したままであるが、生理学的状態に応答した制御方法でセクションを互いに独立して動かすことができる、耐久性ポリマーを包含してもよい。
【0017】
本発明の1つのステントは、好ましくは、管壁を損傷しないように、分割後、作出された各セクションの端部が比較的滑らかとなるように設計されている。また、分離したセクションの組合せが分割後に、十分な半径方向の強度を有し、圧縮に対するステントの抵抗が激減することが殆ど無いか皆無となるステントの形状とすることが好ましい。
【0018】
ステントは、分割時に新生内膜に既に埋められているように、埋め込み後の期間の経過後にのみ分割が起きるように設計されていてもよい。したがって、分割後残っている分離したセクションは、新生内膜によってその位置が確定し、管腔に対して不動となろう。すなわち、これらのセクションは、互いに「入れ子状 (telescope)」になることなく、互いに離れて支持されていない間隔を生じさせることもない。
【0019】
分割を達成するために、各種のメカニズムを使用することができる。例えば、ステントは、その全長に沿った一定の点又は区域にセクションが埋め込まれた後、ステントにかかる応力下で、互いに分割するような十分に小さな断面領域を有する構成部品を備えることができる。代替的に又は追加的に、ステントは、その全長に沿った一定の点または区域に、セクションが埋め込まれた後にステントにかかる応力下で、互いに選択的に分割するように、ステントの他の場所よりも十分に脆弱な構成部品及び/又は物質を備えることができる。代替的に又は追加的に、各々の構成部品がステントの他の箇所にある構成部品より大きな負荷を受けるように、ステントがより少数の構成部品又は筋かい(struts)を指定分割区域に備えるように設計されていてもよい。これらの構成部品は、ステントの埋め込み後に、繰り返し応力がかかる場合に、この増加した負荷の下で構成部品が分離するよう構成される。
【0020】
分割に寄与する要因は、個別に又は組み合わせて適用することができる。例えば、指定分割筋かいは、小さな断面領域を有していてもよいし、より脆弱な物質で形成されていてもよい。或いは、指定分割区域は、小さな断面領域を有する及び/又は脆弱な物質から形成される構成部品とともに、又はそれらの構成部品なしに、より少数の構成部品を有していてもよい。
【0021】
生体吸収性又は耐久性物質を利用するステントは、個別のステントとして通常機能しうるものよりも短い、分離したセクション又は断片を含んでいてもよい。なぜなら、セクション又は断片が埋め込まれている縦方向による展開時に安定化され、その後、新生内膜の成長によって保持されるからである。ステントは、任意の所望の設計とすることができる。ステントは、バルーン拡張又は自己拡張いずれかによる埋め込み用に作製することができ、任意の所望の安定した物質で作製することができる。
【0022】
本発明では、生体吸収性又は耐久性物質を任意の長さで作製することができる。1つの態様では、支持する構造のステントは長い管として作製され、その後、特定の患者に合わせて、埋め込まれるステントの長さをカスタマイズして切断することができる。
【0023】
図1は、通常は円筒形状のステント1の概略図を示している。ステント1は、指定分割区域3により隔たれた一連の分離可能なセクション2を含んでいる。指定分割区域3は、1又は複数の指定分割構成部品又は筋かいを含んでいる(図3〜5参照)。
【0024】
指定分割区域3は、埋め込み後に、ステント1に繰り返しかかる応力下で、指定分割構成部品が砕けるか、又はそうでなければ分離を生じるように設計されている。特定の分割区域3における、ステントの円周の指定分割筋かい全てが分離すると、図2で示されるように、ステントそのものが一連の独立した分割したセクション2に分離する。指定分割区域3は、結果として分離したセクション2が、分割時に既に新生内膜下に埋められて管腔に対して動かないように、埋め込み後、ある程度の時間が経過するまでは分割が起きないように設計されていてもよい。
【0025】
当業者は、セクション2の基本的な形状は、任意の適切な形態を取ることができること、及びセクション2が任意の適切な物質から形成されることができることを認識するであろう。セクション2の適切な構造の例は、Israelらの米国特許第5,733,303号に示されるものや、Medinol社製のステントのNIR(登録商標)の一部を形成するものを含むが、これに限定されるものではない。この特許の開示内容は、本明細書中に参照として明示的に組み込まれる。セクション2の他の適切な構造の例としては、Pinchasikらの米国特許第6,723,119号及び米国特許第6,709,453号に示されるもの、及び同じくMedinol社製のステントのNIRflex(登録商標)の一部を形成するものを含むが、これに限定されるものではない。これらの特許の開示内容は、本明細書中に参照として明示的に組み込まれる。他の適切なステント構造は、本発明で使用することができ、その判別は、本発明の教示に基づいて、当業界の熟練した技術者に容易に理解されるものである。
【0026】
図3は、指定分割区域3によって分離したセクション2を含むステントパターンの平面配置図を示している。本明細書の実施態様として記載されているように、かかるステントパターンは、セクション2が指定分割区域3における指定分割構成部品又は筋かい(4にて示す)によって互いに接合していることを除き、通常、米国特許第5,733,303号に記載されているものに対応している。
【0027】
この実施態様において、各々の指定分割筋かい4は、埋め込み後にステントにかかる応力下で指定分割筋かい4にて分離できるように、(パターンのバランスに対して)縮小された断面領域を有している。分割筋かい4の断面領域の縮小量は、例えば、セクション2において参照番号5で表示されている構成部品と比較して約数十パーセントでもよい。例えば、分割筋かい4は、構成部品5より、ステントの周方向において25%〜75%細く又は狭くてよい。
【0028】
これらの指定分割筋かい4は、適切な分離又は破砕を確実に行うように、追加的又は代替的に、より脆弱な物質から作製されていてもよい。より脆弱な物質は、引っ張り強度の点で、指定分割筋かい4を形成するために用いられる物質にて提供されてもよいし、処理により指定分割筋かい4の物質が脆弱化させるように、ステント作製後に指定分割筋かい4(又は指定分割区域3)を処理することによっても提供されてもよい。
【0029】
指定分割筋かいを脆弱化させる1つの方法は、ステント全体をNiTiで形成し、その後、指定分割筋かいをマルテンサイト処理して、残りの構成部品をオーステナイト相のままとすることである。別の方法は、ステントをステンレス鋼で作製し、指定分割区域以外の全体をアニール処理して硬化させる。
【0030】
断面領域の縮小に加えて、指定分割筋かいの残りの形状は、所望の結果を達成するために選択されてもよい。図3に示すように、指定分割筋かい4の列の幅Aは、例えば、参照番号5で表示されている構成部品の列の幅Bのように、セクション2において対応する構成部品の幅よりも狭くすることができる。この指定分割区域3の幅が縮小されていることは、繰り返される縦方向の屈曲の下での指定分割区域における分割を確実にするうえで役立つ。また、指定分割筋かい4は、分割後、長い垂下した端部を残さないことによって組織傷害の可能性を最小化するために、分離後の遊離端部の長さを縮小するべく、十分短くすることができる。例えば、指定分割筋かい4の長さは、構成部品5の長さよりも短い。
【0031】
図4は、分割が指定分割区域3で起きた後の図3のステントパターンの平面配置図を示す。図4に示されているように、分割後のステントは、一連の分離したセクション2を含んでいる。また、図4からも分かるように、指定分割筋かい4は短いため、分離後の遊離端6の長さは最小限に維持される。
【0032】
図5は、指定分割区域3が、ステントの円周に、より少数の分割構成部品(本明細書中7で示す)を含む代替的な設計を示す。図5で示す態様において、各々の指定分割区域3は、ステントの円周に沿って(図3の9個と比較して)5個の指定分割筋かい7を有している。当然に、本発明の一般的概念から逸脱することなく、異なる数の指定分割筋かいとステントセグメント構成部品を使用してもよい。
【0033】
指定分割筋かい7は、ステントの埋め込み後、ステントにかかる応力による負荷の下で分割するように構成されている。図5に示されるように、指定分割筋かい7は、より縮小した断面領域を有することもできる。また、他の態様における指定分割筋かい同様に、指定分割筋かい7は、追加的に、より脆弱な物質から形成されてもよいし、指定分割筋かい7又は区域3は、ステント作製後、物質をより脆弱化するよう、処理されてもよい。
【0034】
図6は、生体吸収性又は耐久性物質を使用する一例を示している。図6のステント10は、生体吸収性又は耐久性物質により相互接続された、一連の全般的に周方向に伸長する断片12を含んでいる。この物質は、断片12の間の空間14内に設置でき、後者は生体吸収性又は耐久性物質の中に埋め込まれていてもよい。代替的に、断片12は、生体吸収性又は耐久性物質によって被覆されていても、これらの物質のファイバーにより接続されていてもよく、生体吸収性又は耐久性物質を構成要素の断片又はセクションに適用するために、当業者に知られたいかなる処理方法を施してもよい。ポリマーコーティングの厚さ又は断片がどの程度深く埋め込まれるかという範囲は変更されてもよいし、構成要素の断片の分割のタイミングを制御するものであってもよい。
【0035】
任意のステント設計は、本発明で教示する方法で、生体吸収性又は耐久性物質とともに利用することができる。この例において、周方向の断片は、単一の正弦曲線部材のように、半径方向の拡張を可能にする、記憶した長さを提供する任意の構造をとることができる。しかしながら、本発明は、いかなる特定の構造又は設計にも限定されるものではない点を理解すべきである。例えば、周方向の断片は、ステント全長にわたって同じ設計とすることもできるし、その意図する使用や展開に応じて異なる設計とすることもできる。したがって、本発明は、ステント全長にわたって特定の所望の特性を変化させるために、各種の周方向の断片が異なる構造をとったり、他の特徴を有したりすることが可能なステント設計も許容する。例えば、ステントの端部断片は、(例えば、拡張後に)ステント中央の端部断片より剛性を有するようにすることができる。
【0036】
この例は、単なる例示として挙げているにすぎず、本発明の範囲の限定を意味するものではない。本発明においては、あらゆるステント設計を使用することができる。各周方向の断片の個別の設計は、ステントの用途に応じて、均一とすることもしないこともできる。
【0037】
本発明の1つの態様は、生体吸収性物質から作製された縦方向構造を使用することによって、所望の長さのステントを形成するために相互接続された、(相互接続がなければ)一連の分離した断片又はセクションに関する。本来のステント構造は、最終的に分解して、一連の構成要素である短いセクション又は断片を残し、結果として生来の管に近い縦方向の柔軟性と拡張性を有することとなる。縦方向構造が吸収又は分解されるまでにセクション又は断片を所望の位置に固定して、セクションの動きを防止するように、新生内膜の成長を促進するように縦方向構造を設計することが望ましい。
【0038】
長さのある病変を被覆するため管の中で展開するに際して、生体吸収性物質は、物質が分解して構成要素の断片又はセクションが互いから分離するときまで一連の構成要素の断片又はセクションを接続する。個別のセクションが、管の収縮にしたがって互いに独立して分節し、移動し、又は屈曲できるようになり、管壁の自然な動きを可能にする。したがって、本発明のこの態様において、ステントは、管壁の自然な湾曲に応じてセクションや断片の間で屈曲する。
【0039】
ステントの縦方向構造としての生体吸収性物質を使用した場合の分離に要する時間は、生体吸収性物質の特徴によって制御できる。生体吸収性物質が再吸収されるまでに、ステントセクションが新生内膜の層に埋まり、短いセクションが安定することが好ましい。
【0040】
生体吸収性物質を使用する利点はいくつかある。先に示したように、生体吸収性物質の特徴を修正又は選択することにより、構成要素の断片又はセクションの取り外しを制御するという利点がある。
【0041】
さらに、生体吸収性物質は、レントゲン写真又はMRI/CTスキャンを不明瞭にしないため、治癒過程において、より正確な評価が可能となる。生体吸収性物質を使用するもう1つの利点は、管中にステントを展開後、生体吸収性物質により与えられた連続的な被覆が、塞栓のリスクを抑制或いは減少させると考えられる点である。さらにもう1つの利点は、「ステントジェイル」現象の予防、すなわちステントでカバーされた側枝に入り込んで合併症を起こすことを予防することである。
【0042】
生体吸収性物質カバーの消耗は、生体吸収性物質を修正又は選択することによって制御でき、セクションが管壁内に定着し、塞栓がもはやリスクではなくなった時期に分解される。ポリマーの物性を調整又は変更することによって生体分解性又は生体吸収性物質を変更することについての例は、物質が分解しうる程度と速度に関して、下記に記載される。これらの修正や特徴は例示に過ぎず、本発明をこの態様に限定することを意味するものではない点、理解されるべきである。
【0043】
セクションは、バルーン拡張型ステント又は自己拡張ステントの望ましい特徴を有する任意の物質から作製することができる。例えば、この種類の物質に、ステンレス鋼、ニチノール、コバルトクロム、又は少なくとも最小限これらの物質が示す物性を満たす任意の合金を含めることができるが、これらに限定されない。
【0044】
生体吸収性物質は、体内で直ちに分解され自然に代謝できる物質、又は体内に再吸収される物質であれば、いかなる物質であってもよい。特に、生体吸収性物質は、生体組織によって直ちに定着し、体の恒久的な部分となる、軽量で多孔性の物質から選択される。例えば、生体吸収性物質は、生体吸収性ポリマーとすることができるが、これに限定されない。例えば、本発明では、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリフォスファゼン、或いはこれらの混合物或いはコポリマー等の任意の生体吸収性ポリマーを使用することができる。その他の使用可能な生体吸収性ポリマーには、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、トリメチレンカーボネート及び上記ポリマーの混合物やコポリマー等が含まれる。
【0045】
合成縮合ポリマーは、付加型ポリマーと比較して、チェーンカップリングに応じてその程度は異なるが、一般的に生体分解性を有する。例えば、下記のポリマーの種類は異なる程度に分解する(ポリエステルはポリエーテルより生体分解性の程度が大きい、ポリエーテルはポリアミドより生体分解性の程度が大きい、ポリアミドはポリウレタンより生体分解性の程度が大きい)。また、形態も、生体分解性においては重要な考慮すべき点である。アモルファスポリマーは、結晶性ポリマーより生体分解性がよい。ポリマーの分子量も重要である。一般的に、低分子のポリマーは、高分子のポリマーより生体分解性がよい。また、親水性ポリマーは、疎水性ポリマーより、生体分解速度が速い。環境においては、いくつかの異なるタイプの発生しうる生体分解の種類がある。これらは生体分解、光分解、酸化、及び加水分解を含むが、これらに限定されない。しばしば、これらの用語は組み合わされて生体分解と呼ばれる。しかしながら、殆どの化学者や生物学者は、これらの過程を別個で独立していると考える。生体分解単体の場合は、生物による酵素的に促進されるポリマーの分解を伴う。
【0046】
本発明のさらなる利点として、任意の方法で細胞の増殖を抑制若しくは減少させる又は再狭窄を減らす薬剤を埋め込んだ構造であってもよい。さらに、ファイバーの縦方向構造を包含する物質は、ファイバー間距離が短い連続的な構造を提供し、薬剤を溶出するためのマトリックスとしてより均一な溶出床を提供する。1つの態様において、構成要素の断片やセクションは、これらが縦方向構造の生体吸収により曝された後、より長い時間にも有利となるような薬剤等の能動的又は受動的表面構成要素を有するよう処理されてもよい。
【0047】
本発明の1つの態様において、ステント処理される管壁又は管腔内へ薬剤を溶出するためのマトリックスとして、耐久性であれ生体吸収性であれ、ポリマー構造を使用することが望ましい。上述したように、ポリマーは、管壁へ溶出するための薬剤を包含していてもよい。潜在的な問題は、薬剤によっては、通常1週間から数ヶ月の長期間にわたって制御された方法で溶出される場合のみ効果的である点である。ポリマーからの薬剤放出速度の1つの大きな要因は、薬剤が周囲の液体までに横断しなければならない層の厚さである。縦方向のバックボーンや、ハイブリッドステントの構造を構成するポリマーファイバーは、1〜5μmの範囲の小さな直径から形成されることが望ましいが、これは、いくつかの用途では、十分に長い薬剤放出を可能とするには小さすぎる直径かもしれない。
【0048】
ポリマーファイバーを形成する際に、ファイバー中に、さらに大きな直径の領域を含めることが有利かもしれない。本明細書では、それらは、ビーズ(beads)、ブロブ(blobs)又はバルジ(bulges)として記載され、例えば図12A〜Dにて示されるものである。これらのビーズ、ブロブ又はバルジは、ポリマーファイバーと同じ素材であってもよいし、異なる素材から形成されてもよい。本発明の別の態様において、ポリマーファイバーは、このようなポリマーから放出される1又は複数の薬剤をさらに含有むポリマーのビーズ、ブロブ又はバルジを含んでいてもよい。これらのビーズ、ブロブ又はバルジの典型的な直径は、異なる薬剤及び異なるポリマーの溶出力によって、必要に応じて5〜50μmの範囲にあることが好ましい。図12A〜Dは、ビーズ(図12A)、ブロブ(図12B)及びバルジ(図12D)を例示している。これらの図で示されるように、ビーズ、ブロブ及びバルジは、いくつかの構造上の相違を有する。各々の配置が、薬剤溶出において有益な異なる表面領域を有する。図12Cは、ビーズ、ブロブ又はバルジを含まないファイバーを例示するが、本発明でも有益であり、例えば、図9で例示される態様を形成する際にも使用できる。これらのビーズ、ブロブ又はバルジは、異なる物質又は同じポリマー物質から作製でき、1又は複数の薬剤を含んでいてもよい。
【0049】
図7は、本発明のステント20の別の例を示す。図6のように一連の周方向の断片又は部材から作製されるのではなく、この態様では、22で示す短いセクションを包含する。再び、図6と同様に、これらのステントセクション22は、あらゆる設計であってもよく、図7に示される態様に限定されない。ステント20は、図6のステントと同様に、ステントの用途によって同一又は異なる短いステントセクションを有することができる。
【0050】
ステントセクションは、任意の適切な物質から作製されてもよく、任意の容認可能な設計で作製してもよい。ステントは、バルーンにより拡張可能なものでも、自己拡張可能なものでもよい。
【0051】
ステントの設計例が、米国特許第6,723,119号に記載されており、全体として、参照として本明細書に組み込まれる。別の設計例は、Medinol社製のステントのNIRflex(登録商標)である。その一例が、図7に示されている。この設計を基準とすることにより、結果として、管のステント処理されるポーションに、縦方向の柔軟性と半径方向の支持を提供する短いセクションとなる。他のステントの設計は、当業界においてすぐに利用できるものであり、本発明においても使用することができる。
【0052】
生体吸収性物質は、間隙24内に配置することができ、及び/又はステントセグメント全体にわたって埋め込むことができる。生体吸収性物質は、外側全体又はステントセグメントの1部分のみを覆っていてもよく、或いは、セグメント全体を完全に覆い隠すものであってもよい。
【0053】
図8は、管状の生体吸収性物質32を有するステント30の形状に関して、本発明のさらに別の例を例示する。ここで具体化されているように、管は、周方向の断片(又は部材)34が間隙36を充填する生体吸収性物質で相互接続している。図8で例示される断片34は、単一の正弦曲線部材であるが、先に論じた任意の設計又は多様の設計とすることができる。
【0054】
ステント30は、穿孔38を含んでいてもよい。穿孔は、所望の任意の形状とすることができ、例えば多孔性物質の形成のように均一に設計することができ、個別に設計することもできる。非連続の層状物質も、例えば、断片を接続する生体吸収性ファイバーの集合体のように、他の方法で形成することができる。生体吸収性カバーの穿孔は、生体吸収性物質の一体化又は分解までに、新生内膜のより速い成長及び短いセグメントの安定化を促進しうる。本発明では、ステントの作製を支援するために、個別に機能するステントに関して、生体吸収性物質を任意の長さで作製し、その後任意の所望の長さに切断することが可能である。例えば、図8で例示された生体吸収性ポリマーチューブの場合、チューブは任意の長さで成形され、製造者又は使用者によって、その後ステントをカスタマイズするために切断される。
【0055】
図9は、ステントの縦軸に沿って、多孔性縦方向構造によって接続されるステント部材又はセクションの顕微鏡写真を例示している。この縦方向構造は、所望の特性に応じてポリマー状であってもよいし、ポリマー状でなくてもよい。1つの態様において、縦方向構造は、耐久性ポリマーのように、多孔性のファイバーメッシュである。この物質の1例として、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)が含まれるが、これに限定されない。当業者は、本発明で使用でき、耐久性ポリマーファイバーとして機能しうる、類似の有利な特性を有する他の物質を認識するであろう。このような他の物質は、本発明においては、直ちに使用できる。縦方向構造は、他の機能の中でも、ステント部材に対して縦方向の柔軟性を提供する。ステントセクションは、所望の特性に応じて、金属構造であってもよいし、金属構造でなくてもよい。縦方向構造は、ファイバー間の距離が短く、マトリックスを形成する連続的な構造を提供するものであってもよい。このマトリックスは、薬剤溶出用に使用されてもよく、従来の方法と比べてより均一な溶出床を提供するものである。
【0056】
軽量で多孔性のポリマー物質を使用することは、有利であるかもしれない。例えば、ファイバー状の物質は、ファイバーが縦方向構造を提供し、これによってステント装置全体としての柔軟性を高めるよう、構成されていてもよい。このような物質は、意図した構造の特別のニーズに応じて、連続的又は非連続的な方法で、ステント又はステント断片に適用してもよい。物質は、任意のポリマー物質とすることができる。このような物質の例として延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)が挙げられるが、これに限定されない。ポリマー物質は、耐久ポリマーである多孔性ファイバーメッシュを形成することができる。縦方向構造は、少なくとも2つの機能を提供する。第一に、縦方向構造は、従来の金属構造より縦方向構造に柔軟性を有する。第二に、ポリマー物質は、ファイバー間の距離が短い連続的構造で、より均一な溶出床を提供するような薬剤の溶出のためのマトリックスとして使用されるものである。
【0057】
発明の別の態様によれば、1又は複数のステントセクションは、通常、当初、組み立てられたステントの縦方向に伸長する生体分解性又は耐久ポリマーファイバーによって接続される。図10は、縦方向の生体分解性若しくは非生体分解性/耐久性ポリマーファイバー又はワイヤー様の紐 (strand)1020によって接続された、一連の短いセクション1010を有するステント1000の側面図を例示する。この態様においては、ファイバー又はワイヤーは、示される構造のみに限定されるものでないが、実質的に直線である。例えば、ファイバー又はワイヤーは、ステントの縦軸に沿って実質的に平行である。
【0058】
代替的なアプローチにおいて、ポリマーファイバーは、通常、端から端までの方向に伸長していてもよいが、当初構成されたステントの縦軸に必ずしも平行である必要はない。図11は、らせん状の生体分解性若しくは非生体分解性/耐久性ポリマーファイバー又はワイヤー1120によって接続された一連の短いセクション1110を有するステント1100の側面を例示している。この態様において、ファイバー又はワイヤーは、ステントセグメントの周囲にらせん状に巻きついている。この場合も、ステントセグメントを接続するために、これらのポリマー又はファイバーがいくつかの異なる配置を有することは、本発明の範囲内にある。ポリマー又はファイバーは、生体吸収性又は耐久性のいずれかであってもよい。
【0059】
ステントセグメントを接続するために、これらのポリマー又はファイバーがいくつかの異なる形状を有することは、本発明の範囲内である。ポリマー又はファイバーは、生体分解性又は耐久性のいずれかであってもよい。また、ステント設計は、入手できる任意のステント設計とすることができる。例えば、ステント設計は、複数のセクションの各々が、単一の又は多様の正弦曲線パターンから形成されているステントを含むことができる。ステントは、他と配置の異なる単一の正弦曲線パターンを有していてもよい。また、ステント設計は、複数の正弦曲線パターンを有する複数のセクションを有していてもよい。ステントは、均一又は不均一に設計されたステント全体に分散された正弦曲線パターンを有していてもよい。
【0060】
各々のステントセクションは、第1頻度で生じるループを有する第1ループ包含セクションと、同様に第1頻度で生じるループを有する第2ループ包含セクションと、前記第1頻度よりも高い第2頻度で生じるループを有する第3ループ包含セクションとを、さらに含んでもよい。第3ループ包含セクションは、前記第1及び第2ループ包含セクション間で配置されていてもされていなくてもよく、引き続き少なくとも2回反復して前記第1及び第2ループ包含セクションに連続して接合されていてもよい。ステントの筋かいの幅は、態様に応じて変化させてもよい。
【0061】
装置は、1又は複数のアモルファス金属合金を含んでいてもよい。熱間押出 の方法は、非常に柔軟で、多くの金属を組み合わせてアモルファス金属合金の作製が可能である。例として、鉄ベース若しくはコバルトベースの合金、銅ベースのアモルファス金属合金、又はその他のものが本明細書に記載された熱間押出を使用して作製されうる。いくつかの態様においては、アモルファス金属合金は半金属を含んでいてもよく、その例は限定されないが、シリコン、ホウ素、及びリンを含む。1つの可能なアモルファス金属合金は鉄−クロム−ホウ素−リン合金である。他の多くの類似の合金が適しており、当業者に公知である。
【0062】
いくつかの好ましい態様において、本発明が意図するアモルファス金属合金は、対応する結晶質又は多結晶の金属合金と比較して、著しく低い導電性を示すか、非導電性である。
【0063】
本発明のアモルファス金属合金の構成部品は、管腔内インプラントを形成するために、アモルファス金属又はそうではない他の構成部品と組み合わされ又は組み立てられてもよい。例えば、アモルファス金属合金の構成部品は、生体適合性ポリマー、生体分解性ポリマー、治療薬(例えば、本明細書中に記載する治療プロモーター)又は(結晶質又は非結晶質のいずれかの微細構造を有する)その他の金属又は金属合金物質と組み合わせてもよい。これらのアモルファス金属合金は、高い機械強度、耐疲労性、耐腐食性、生体適合性等、インプラントとしての使用に適した多くの特性を有している。
【0064】
以上の記載は、態様の代表的な例示を列挙したものに過ぎない点、理解すべきである。読み手の便宜のために、以上の記載は、可能な態様の代表的な実例に焦点を当てたものであり、その実例は本発明の原理を教示している。他の態様は、異なる態様の一部の異なる組合せに起因してもよい。詳細な説明は全ての可能な変更を余すことなく列挙することを意図したものではない。
【0065】
他の変更は、添付されたクレームによって定義される本発明の範囲内にあるため、本明細書で記載された態様は、例示に過ぎない旨、ここに再び述べる。
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、現在放棄となっている、1998年12月3日出願の米国出願第09/204,830号の継続出願であり、現在放棄となっている、2002年4月5日出願の米国出願第10/116,159号の一部継続出願である、2004年6月3日出願の米国出願第10/860,735号の一部継続出願である、2005年1月13日出願の米国出願第11/331,639号の一部継続出願である。これらの優先権基礎出願の全体は、本明細書に参照として全て組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的に、ステント、即ち管腔を支持し、広げた状態を維持するために、又は管内の他の人工器官を保持し支持するために、血管等、生体内の管に埋め込まれる人工器官に関する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野では、各種のステントが知られている。一般的に通常のステントは、管状であり、比較的小さく拡張されていない直径から、管腔直径と合致させるために、より大きく拡張した直径へと拡張することができる。埋め込まれるときに、ステントは通常、比較的小さく拡張されていない直径で、カテーテル上に保持されてカテーテル端部又はその近傍に装着される。カテーテルを使用して、拡張されていないステントは、管腔を通って意図された埋め込み箇所に向かう。ひとたび意図された埋め込み箇所に置かれると、ステントは、通常例えばステント内部のバルーンを膨張させることによる内力、又は、例えばスリーブを自己拡張ステントの周囲から除去することにより、ステントを自己拡張させることによって拡張し、ステントを外側に拡張させる。いずれの場合においても、拡張したステントは管の狭まろうとする傾向に抵抗して、これにより、管の開存性を維持する。
【0004】
ステントに関する特許には、Palmazの米国特許第4,733,665号、Gianturcoの米国特許第4,800,882号及び第5,282,824号、Hillsteadの米国特許4,856,516号及び第5,116,365号、Wiktorの米国特許4,886,062号及び第4,969,458号、Pinchukの米国特許第5,019,090号、Palmaz及びSchatzの米国特許第5,102,417号、Wolffの米国特許第5,104,404号、Towerの米国特許第5,161,547号、Cardonらの米国特許第5,383,892号、Pinchasikらの米国特許第5,449,373号、Israelらの米国特許第5,733,303号等がある。
【0005】
従前のステント設計の目的の1つは、ステント拡張時にステントが十分な半径方向の強度を有することを確実にし、管腔を十分に支持することであった。しかしながら、半径方向の強度を有するステントは、往々にして、ステントが埋め込まれている管よりも縦方向の剛性が高くなる傾向がある。ステントが、埋め込まれる管よりも高い縦方向の剛性を有するとき、管のステント処理された部分とステント処理されていない部分とのコンプライアンスが不整合であるための応力が集中することにより、ステントの端部において管の損傷が増大することがある。
【0006】
ステント設計の技術において、縦方向の柔軟性を維持しつつ、十分な半径方向の強度を提供するニーズが残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,733,665号
【特許文献2】米国特許第4,800,882号
【特許文献3】米国特許第5,282,824号
【特許文献4】米国特許第4,856,516号
【特許文献5】米国特許第5,116,365号
【特許文献6】米国特許第4,886,062号
【特許文献7】米国特許第4,969,458号
【特許文献8】米国特許第5,019,090号
【特許文献9】米国特許第5,102,417号
【特許文献10】米国特許第5,104,404号
【特許文献11】米国特許第5,161,547号
【特許文献12】米国特許第5,383,892号
【特許文献13】米国特許第5,449,373号
【特許文献14】米国特許第5,733,303号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ステントが非常に長い場合であっても、半径方向の強度における影響が比較的小さいか全く生じず、ステントが埋め込まれている管のコンプライアンスに、より厳密に整合するステントを提供することにある。
【0009】
本発明の1つの態様によれば、ステントは、所定又は特定の「指定分割」点を備えており、ステントが展開した後、及び管の運動中に、ステントにかかる応力により、ステントがこれらの指定された分割点で分離する。指定分割点がステント周囲に完全に配置されて、周方向の「指定分割」区域を創り出すと、指定分割点における分割が、ステントを2以上のセクション或いは断片(以下「セクション」という)に分離し、その各々のセクションが管に合わせて互いに独立して動くことが可能である。各々の分離したセクションが独立して動くことが可能なため、一連の分離したセクションが、長いステント製品よりも、ステント処理されたセクションとステント処理されていないセクション間での大きなコンプライアンスを達成することができ、これにより管壁上の応力を低減させることができる。
【0010】
分割メカニズムの1つは、生体吸収性物質又は生体分解性物質の使用である。生体吸収性物質又は生体分解性物質は、能動的過程又は受動的過程によって、体内に吸収又は分解される物質である。これらのうち、いずれかの物質が本明細書中で記載されている場合は、生体吸収性物質及び生体分解性物質の双方に適用されることを意味する。また、ステントは、本来連続的又はファイバー状であり、金属ステント構造の全部又は一部をカバーすることができる耐久性ポリマーカバーを有する金属ステントを含んでいてもよい。
【0011】
生体吸収性又は耐久性を有するポリマー物質の縦方向構造は(生体吸収性物質の場合)、構造の分解までにステントをカバーしその位置を確保する新生内膜のより速い成長を促進するために、多孔性であってもよく、また、穿孔を有する管として、若しくは、間に空間を有する一連のファイバーとして形成されていてもよい。穿孔は、ステントのさらなる安定化を促進することがある。穿孔の形状は、所望の任意の大きさ、形状又は量にて作製することができる。
【0012】
セクション間の分離は、生体吸収性又は耐久性物質の特徴によって、制御できることが好ましい。ステントが新生内膜に埋入し、短いセクションが安定化してから分離が起きることが好ましい。
【0013】
高い半径方向の抵抗を有しつつ縦方向の屈曲に対する低い抵抗を達成するための1つの方法は、耐久性のあるポリマー物質から作製された柔軟な縦方向構造によって結合された、分離した金属セクションを有するステントを使用することである。
【0014】
別の態様では、生体分解性又は耐久性ポリマーの別の態様は、カバーの形態ではなく、ステントを構成する金属物質の縦方向のバックボーン接続セクションとしての役割を果たす、多数のファイバー又はワイヤーの形態である。また、ファイバーは、可変の直径を有していてもよいし、ポリマーファイバーと同素材又は異素材で作製されうるビーズ(beads)、ブロブ(blobs)又はバルジ(bulges)を包含していてもよい。これらのビーズ、ブロブ、又はバルジは、ステントを被覆する異なる薬剤に対する溶出力を変えることができる。ビーズ、ブロブ及びバルジは、構造上異なっており、薬剤の溶出に有益な様々な表面領域を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、セクション間の指定分割区域を有する、通常円筒形のステントの概略図を示す。
【図2】図2は、ステントが一連のより短いセクションに分離された、分割後の図1のステントの概略図を示す。
【図3】図3は、埋め込み後のステントにかかる応力により、ステントが構成要素であるセクション又は断片に分離するよう、指定分割区域における構成部品が十分に小さな断面領域を有するステントパターンの平面配置図を示す。
【図4】図4は、指定分割区域で分離が起きた後の図3のステントパターンの平面配置図を示す。
【図5】図5は、指定分割区域においてステントがより少数の分割構成部品を有するステントパターンの平面配置図を示す。
【図6】図6は、分離した周方向のステント断片が生体吸収性物質に埋め込まれているステントの側面配置図を例示する。
【図7】図7は、生体吸収性物質に埋め込まれている、一連の短いセクションの側面配置図を例示する。
【図8】図8は、穿孔を有する生体吸収ポリマーチューブに埋め込まれている一連の周方向の断片又は周方向のリングとして作製された、ステントの側面配置図を例示する。
【図9】図9は、多孔性ポリマー構造によって接続されたステント部材の顕微鏡写真を例示する。
【図10】図10は、縦方向の生体分解性若しくは非生体分解性/耐久性ポリマーファイバー若しくはワイヤーで接続された一連の短いセクションの側面配置図を例示する。
【図11】図11は、らせん状の生体分解性若しくは非生体分解性/耐久性ポリマーファイバー若しくはワイヤーで接続された一連の短いセクションの側面配置図を例示する。
【図12A】図12Aは、ビーズを包含するポリマーを示す。約1〜2μmのポリマーファイバーと一体化した約10μmのビーズが示されている。
【図12B】図12Bは、ブロブを包含するポリマーを示す。繊維の先端部以外は細いポリマーファイバーで、繊維の先端部のより幅広いポリマーのブロブが示されている。
【図12C】図12Cは、ビーズ、ブロブ又はバルジがない、標準的なポリマーファイバーを示す。
【図12D】図12Dは、バルジを包含するポリマーを示す。ポリマーファイバー内側の異質な物質のバルジが示されている。バルジは、ファイバーの作製物質とは異質の物質又は同じ物質を包含していてもよく、薬剤を伴ってもよい。
【0016】
[発明の詳細な説明]
本発明のステントは、ハイブリッド組成物であって、複数の短い円筒状セクションとポリマー状カバーとの両方を包含している。ポリマー状カバーは、体内に吸収される生体吸収性物質から作製されてよいし、埋め込み後、円筒状のステントセクションに付随したままであるが、生理学的状態に応答した制御方法でセクションを互いに独立して動かすことができる、耐久性ポリマーを包含してもよい。
【0017】
本発明の1つのステントは、好ましくは、管壁を損傷しないように、分割後、作出された各セクションの端部が比較的滑らかとなるように設計されている。また、分離したセクションの組合せが分割後に、十分な半径方向の強度を有し、圧縮に対するステントの抵抗が激減することが殆ど無いか皆無となるステントの形状とすることが好ましい。
【0018】
ステントは、分割時に新生内膜に既に埋められているように、埋め込み後の期間の経過後にのみ分割が起きるように設計されていてもよい。したがって、分割後残っている分離したセクションは、新生内膜によってその位置が確定し、管腔に対して不動となろう。すなわち、これらのセクションは、互いに「入れ子状 (telescope)」になることなく、互いに離れて支持されていない間隔を生じさせることもない。
【0019】
分割を達成するために、各種のメカニズムを使用することができる。例えば、ステントは、その全長に沿った一定の点又は区域にセクションが埋め込まれた後、ステントにかかる応力下で、互いに分割するような十分に小さな断面領域を有する構成部品を備えることができる。代替的に又は追加的に、ステントは、その全長に沿った一定の点または区域に、セクションが埋め込まれた後にステントにかかる応力下で、互いに選択的に分割するように、ステントの他の場所よりも十分に脆弱な構成部品及び/又は物質を備えることができる。代替的に又は追加的に、各々の構成部品がステントの他の箇所にある構成部品より大きな負荷を受けるように、ステントがより少数の構成部品又は筋かい(struts)を指定分割区域に備えるように設計されていてもよい。これらの構成部品は、ステントの埋め込み後に、繰り返し応力がかかる場合に、この増加した負荷の下で構成部品が分離するよう構成される。
【0020】
分割に寄与する要因は、個別に又は組み合わせて適用することができる。例えば、指定分割筋かいは、小さな断面領域を有していてもよいし、より脆弱な物質で形成されていてもよい。或いは、指定分割区域は、小さな断面領域を有する及び/又は脆弱な物質から形成される構成部品とともに、又はそれらの構成部品なしに、より少数の構成部品を有していてもよい。
【0021】
生体吸収性又は耐久性物質を利用するステントは、個別のステントとして通常機能しうるものよりも短い、分離したセクション又は断片を含んでいてもよい。なぜなら、セクション又は断片が埋め込まれている縦方向による展開時に安定化され、その後、新生内膜の成長によって保持されるからである。ステントは、任意の所望の設計とすることができる。ステントは、バルーン拡張又は自己拡張いずれかによる埋め込み用に作製することができ、任意の所望の安定した物質で作製することができる。
【0022】
本発明では、生体吸収性又は耐久性物質を任意の長さで作製することができる。1つの態様では、支持する構造のステントは長い管として作製され、その後、特定の患者に合わせて、埋め込まれるステントの長さをカスタマイズして切断することができる。
【0023】
図1は、通常は円筒形状のステント1の概略図を示している。ステント1は、指定分割区域3により隔たれた一連の分離可能なセクション2を含んでいる。指定分割区域3は、1又は複数の指定分割構成部品又は筋かいを含んでいる(図3〜5参照)。
【0024】
指定分割区域3は、埋め込み後に、ステント1に繰り返しかかる応力下で、指定分割構成部品が砕けるか、又はそうでなければ分離を生じるように設計されている。特定の分割区域3における、ステントの円周の指定分割筋かい全てが分離すると、図2で示されるように、ステントそのものが一連の独立した分割したセクション2に分離する。指定分割区域3は、結果として分離したセクション2が、分割時に既に新生内膜下に埋められて管腔に対して動かないように、埋め込み後、ある程度の時間が経過するまでは分割が起きないように設計されていてもよい。
【0025】
当業者は、セクション2の基本的な形状は、任意の適切な形態を取ることができること、及びセクション2が任意の適切な物質から形成されることができることを認識するであろう。セクション2の適切な構造の例は、Israelらの米国特許第5,733,303号に示されるものや、Medinol社製のステントのNIR(登録商標)の一部を形成するものを含むが、これに限定されるものではない。この特許の開示内容は、本明細書中に参照として明示的に組み込まれる。セクション2の他の適切な構造の例としては、Pinchasikらの米国特許第6,723,119号及び米国特許第6,709,453号に示されるもの、及び同じくMedinol社製のステントのNIRflex(登録商標)の一部を形成するものを含むが、これに限定されるものではない。これらの特許の開示内容は、本明細書中に参照として明示的に組み込まれる。他の適切なステント構造は、本発明で使用することができ、その判別は、本発明の教示に基づいて、当業界の熟練した技術者に容易に理解されるものである。
【0026】
図3は、指定分割区域3によって分離したセクション2を含むステントパターンの平面配置図を示している。本明細書の実施態様として記載されているように、かかるステントパターンは、セクション2が指定分割区域3における指定分割構成部品又は筋かい(4にて示す)によって互いに接合していることを除き、通常、米国特許第5,733,303号に記載されているものに対応している。
【0027】
この実施態様において、各々の指定分割筋かい4は、埋め込み後にステントにかかる応力下で指定分割筋かい4にて分離できるように、(パターンのバランスに対して)縮小された断面領域を有している。分割筋かい4の断面領域の縮小量は、例えば、セクション2において参照番号5で表示されている構成部品と比較して約数十パーセントでもよい。例えば、分割筋かい4は、構成部品5より、ステントの周方向において25%〜75%細く又は狭くてよい。
【0028】
これらの指定分割筋かい4は、適切な分離又は破砕を確実に行うように、追加的又は代替的に、より脆弱な物質から作製されていてもよい。より脆弱な物質は、引っ張り強度の点で、指定分割筋かい4を形成するために用いられる物質にて提供されてもよいし、処理により指定分割筋かい4の物質が脆弱化させるように、ステント作製後に指定分割筋かい4(又は指定分割区域3)を処理することによっても提供されてもよい。
【0029】
指定分割筋かいを脆弱化させる1つの方法は、ステント全体をNiTiで形成し、その後、指定分割筋かいをマルテンサイト処理して、残りの構成部品をオーステナイト相のままとすることである。別の方法は、ステントをステンレス鋼で作製し、指定分割区域以外の全体をアニール処理して硬化させる。
【0030】
断面領域の縮小に加えて、指定分割筋かいの残りの形状は、所望の結果を達成するために選択されてもよい。図3に示すように、指定分割筋かい4の列の幅Aは、例えば、参照番号5で表示されている構成部品の列の幅Bのように、セクション2において対応する構成部品の幅よりも狭くすることができる。この指定分割区域3の幅が縮小されていることは、繰り返される縦方向の屈曲の下での指定分割区域における分割を確実にするうえで役立つ。また、指定分割筋かい4は、分割後、長い垂下した端部を残さないことによって組織傷害の可能性を最小化するために、分離後の遊離端部の長さを縮小するべく、十分短くすることができる。例えば、指定分割筋かい4の長さは、構成部品5の長さよりも短い。
【0031】
図4は、分割が指定分割区域3で起きた後の図3のステントパターンの平面配置図を示す。図4に示されているように、分割後のステントは、一連の分離したセクション2を含んでいる。また、図4からも分かるように、指定分割筋かい4は短いため、分離後の遊離端6の長さは最小限に維持される。
【0032】
図5は、指定分割区域3が、ステントの円周に、より少数の分割構成部品(本明細書中7で示す)を含む代替的な設計を示す。図5で示す態様において、各々の指定分割区域3は、ステントの円周に沿って(図3の9個と比較して)5個の指定分割筋かい7を有している。当然に、本発明の一般的概念から逸脱することなく、異なる数の指定分割筋かいとステントセグメント構成部品を使用してもよい。
【0033】
指定分割筋かい7は、ステントの埋め込み後、ステントにかかる応力による負荷の下で分割するように構成されている。図5に示されるように、指定分割筋かい7は、より縮小した断面領域を有することもできる。また、他の態様における指定分割筋かい同様に、指定分割筋かい7は、追加的に、より脆弱な物質から形成されてもよいし、指定分割筋かい7又は区域3は、ステント作製後、物質をより脆弱化するよう、処理されてもよい。
【0034】
図6は、生体吸収性又は耐久性物質を使用する一例を示している。図6のステント10は、生体吸収性又は耐久性物質により相互接続された、一連の全般的に周方向に伸長する断片12を含んでいる。この物質は、断片12の間の空間14内に設置でき、後者は生体吸収性又は耐久性物質の中に埋め込まれていてもよい。代替的に、断片12は、生体吸収性又は耐久性物質によって被覆されていても、これらの物質のファイバーにより接続されていてもよく、生体吸収性又は耐久性物質を構成要素の断片又はセクションに適用するために、当業者に知られたいかなる処理方法を施してもよい。ポリマーコーティングの厚さ又は断片がどの程度深く埋め込まれるかという範囲は変更されてもよいし、構成要素の断片の分割のタイミングを制御するものであってもよい。
【0035】
任意のステント設計は、本発明で教示する方法で、生体吸収性又は耐久性物質とともに利用することができる。この例において、周方向の断片は、単一の正弦曲線部材のように、半径方向の拡張を可能にする、記憶した長さを提供する任意の構造をとることができる。しかしながら、本発明は、いかなる特定の構造又は設計にも限定されるものではない点を理解すべきである。例えば、周方向の断片は、ステント全長にわたって同じ設計とすることもできるし、その意図する使用や展開に応じて異なる設計とすることもできる。したがって、本発明は、ステント全長にわたって特定の所望の特性を変化させるために、各種の周方向の断片が異なる構造をとったり、他の特徴を有したりすることが可能なステント設計も許容する。例えば、ステントの端部断片は、(例えば、拡張後に)ステント中央の端部断片より剛性を有するようにすることができる。
【0036】
この例は、単なる例示として挙げているにすぎず、本発明の範囲の限定を意味するものではない。本発明においては、あらゆるステント設計を使用することができる。各周方向の断片の個別の設計は、ステントの用途に応じて、均一とすることもしないこともできる。
【0037】
本発明の1つの態様は、生体吸収性物質から作製された縦方向構造を使用することによって、所望の長さのステントを形成するために相互接続された、(相互接続がなければ)一連の分離した断片又はセクションに関する。本来のステント構造は、最終的に分解して、一連の構成要素である短いセクション又は断片を残し、結果として生来の管に近い縦方向の柔軟性と拡張性を有することとなる。縦方向構造が吸収又は分解されるまでにセクション又は断片を所望の位置に固定して、セクションの動きを防止するように、新生内膜の成長を促進するように縦方向構造を設計することが望ましい。
【0038】
長さのある病変を被覆するため管の中で展開するに際して、生体吸収性物質は、物質が分解して構成要素の断片又はセクションが互いから分離するときまで一連の構成要素の断片又はセクションを接続する。個別のセクションが、管の収縮にしたがって互いに独立して分節し、移動し、又は屈曲できるようになり、管壁の自然な動きを可能にする。したがって、本発明のこの態様において、ステントは、管壁の自然な湾曲に応じてセクションや断片の間で屈曲する。
【0039】
ステントの縦方向構造としての生体吸収性物質を使用した場合の分離に要する時間は、生体吸収性物質の特徴によって制御できる。生体吸収性物質が再吸収されるまでに、ステントセクションが新生内膜の層に埋まり、短いセクションが安定することが好ましい。
【0040】
生体吸収性物質を使用する利点はいくつかある。先に示したように、生体吸収性物質の特徴を修正又は選択することにより、構成要素の断片又はセクションの取り外しを制御するという利点がある。
【0041】
さらに、生体吸収性物質は、レントゲン写真又はMRI/CTスキャンを不明瞭にしないため、治癒過程において、より正確な評価が可能となる。生体吸収性物質を使用するもう1つの利点は、管中にステントを展開後、生体吸収性物質により与えられた連続的な被覆が、塞栓のリスクを抑制或いは減少させると考えられる点である。さらにもう1つの利点は、「ステントジェイル」現象の予防、すなわちステントでカバーされた側枝に入り込んで合併症を起こすことを予防することである。
【0042】
生体吸収性物質カバーの消耗は、生体吸収性物質を修正又は選択することによって制御でき、セクションが管壁内に定着し、塞栓がもはやリスクではなくなった時期に分解される。ポリマーの物性を調整又は変更することによって生体分解性又は生体吸収性物質を変更することについての例は、物質が分解しうる程度と速度に関して、下記に記載される。これらの修正や特徴は例示に過ぎず、本発明をこの態様に限定することを意味するものではない点、理解されるべきである。
【0043】
セクションは、バルーン拡張型ステント又は自己拡張ステントの望ましい特徴を有する任意の物質から作製することができる。例えば、この種類の物質に、ステンレス鋼、ニチノール、コバルトクロム、又は少なくとも最小限これらの物質が示す物性を満たす任意の合金を含めることができるが、これらに限定されない。
【0044】
生体吸収性物質は、体内で直ちに分解され自然に代謝できる物質、又は体内に再吸収される物質であれば、いかなる物質であってもよい。特に、生体吸収性物質は、生体組織によって直ちに定着し、体の恒久的な部分となる、軽量で多孔性の物質から選択される。例えば、生体吸収性物質は、生体吸収性ポリマーとすることができるが、これに限定されない。例えば、本発明では、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリフォスファゼン、或いはこれらの混合物或いはコポリマー等の任意の生体吸収性ポリマーを使用することができる。その他の使用可能な生体吸収性ポリマーには、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、トリメチレンカーボネート及び上記ポリマーの混合物やコポリマー等が含まれる。
【0045】
合成縮合ポリマーは、付加型ポリマーと比較して、チェーンカップリングに応じてその程度は異なるが、一般的に生体分解性を有する。例えば、下記のポリマーの種類は異なる程度に分解する(ポリエステルはポリエーテルより生体分解性の程度が大きい、ポリエーテルはポリアミドより生体分解性の程度が大きい、ポリアミドはポリウレタンより生体分解性の程度が大きい)。また、形態も、生体分解性においては重要な考慮すべき点である。アモルファスポリマーは、結晶性ポリマーより生体分解性がよい。ポリマーの分子量も重要である。一般的に、低分子のポリマーは、高分子のポリマーより生体分解性がよい。また、親水性ポリマーは、疎水性ポリマーより、生体分解速度が速い。環境においては、いくつかの異なるタイプの発生しうる生体分解の種類がある。これらは生体分解、光分解、酸化、及び加水分解を含むが、これらに限定されない。しばしば、これらの用語は組み合わされて生体分解と呼ばれる。しかしながら、殆どの化学者や生物学者は、これらの過程を別個で独立していると考える。生体分解単体の場合は、生物による酵素的に促進されるポリマーの分解を伴う。
【0046】
本発明のさらなる利点として、任意の方法で細胞の増殖を抑制若しくは減少させる又は再狭窄を減らす薬剤を埋め込んだ構造であってもよい。さらに、ファイバーの縦方向構造を包含する物質は、ファイバー間距離が短い連続的な構造を提供し、薬剤を溶出するためのマトリックスとしてより均一な溶出床を提供する。1つの態様において、構成要素の断片やセクションは、これらが縦方向構造の生体吸収により曝された後、より長い時間にも有利となるような薬剤等の能動的又は受動的表面構成要素を有するよう処理されてもよい。
【0047】
本発明の1つの態様において、ステント処理される管壁又は管腔内へ薬剤を溶出するためのマトリックスとして、耐久性であれ生体吸収性であれ、ポリマー構造を使用することが望ましい。上述したように、ポリマーは、管壁へ溶出するための薬剤を包含していてもよい。潜在的な問題は、薬剤によっては、通常1週間から数ヶ月の長期間にわたって制御された方法で溶出される場合のみ効果的である点である。ポリマーからの薬剤放出速度の1つの大きな要因は、薬剤が周囲の液体までに横断しなければならない層の厚さである。縦方向のバックボーンや、ハイブリッドステントの構造を構成するポリマーファイバーは、1〜5μmの範囲の小さな直径から形成されることが望ましいが、これは、いくつかの用途では、十分に長い薬剤放出を可能とするには小さすぎる直径かもしれない。
【0048】
ポリマーファイバーを形成する際に、ファイバー中に、さらに大きな直径の領域を含めることが有利かもしれない。本明細書では、それらは、ビーズ(beads)、ブロブ(blobs)又はバルジ(bulges)として記載され、例えば図12A〜Dにて示されるものである。これらのビーズ、ブロブ又はバルジは、ポリマーファイバーと同じ素材であってもよいし、異なる素材から形成されてもよい。本発明の別の態様において、ポリマーファイバーは、このようなポリマーから放出される1又は複数の薬剤をさらに含有むポリマーのビーズ、ブロブ又はバルジを含んでいてもよい。これらのビーズ、ブロブ又はバルジの典型的な直径は、異なる薬剤及び異なるポリマーの溶出力によって、必要に応じて5〜50μmの範囲にあることが好ましい。図12A〜Dは、ビーズ(図12A)、ブロブ(図12B)及びバルジ(図12D)を例示している。これらの図で示されるように、ビーズ、ブロブ及びバルジは、いくつかの構造上の相違を有する。各々の配置が、薬剤溶出において有益な異なる表面領域を有する。図12Cは、ビーズ、ブロブ又はバルジを含まないファイバーを例示するが、本発明でも有益であり、例えば、図9で例示される態様を形成する際にも使用できる。これらのビーズ、ブロブ又はバルジは、異なる物質又は同じポリマー物質から作製でき、1又は複数の薬剤を含んでいてもよい。
【0049】
図7は、本発明のステント20の別の例を示す。図6のように一連の周方向の断片又は部材から作製されるのではなく、この態様では、22で示す短いセクションを包含する。再び、図6と同様に、これらのステントセクション22は、あらゆる設計であってもよく、図7に示される態様に限定されない。ステント20は、図6のステントと同様に、ステントの用途によって同一又は異なる短いステントセクションを有することができる。
【0050】
ステントセクションは、任意の適切な物質から作製されてもよく、任意の容認可能な設計で作製してもよい。ステントは、バルーンにより拡張可能なものでも、自己拡張可能なものでもよい。
【0051】
ステントの設計例が、米国特許第6,723,119号に記載されており、全体として、参照として本明細書に組み込まれる。別の設計例は、Medinol社製のステントのNIRflex(登録商標)である。その一例が、図7に示されている。この設計を基準とすることにより、結果として、管のステント処理されるポーションに、縦方向の柔軟性と半径方向の支持を提供する短いセクションとなる。他のステントの設計は、当業界においてすぐに利用できるものであり、本発明においても使用することができる。
【0052】
生体吸収性物質は、間隙24内に配置することができ、及び/又はステントセグメント全体にわたって埋め込むことができる。生体吸収性物質は、外側全体又はステントセグメントの1部分のみを覆っていてもよく、或いは、セグメント全体を完全に覆い隠すものであってもよい。
【0053】
図8は、管状の生体吸収性物質32を有するステント30の形状に関して、本発明のさらに別の例を例示する。ここで具体化されているように、管は、周方向の断片(又は部材)34が間隙36を充填する生体吸収性物質で相互接続している。図8で例示される断片34は、単一の正弦曲線部材であるが、先に論じた任意の設計又は多様の設計とすることができる。
【0054】
ステント30は、穿孔38を含んでいてもよい。穿孔は、所望の任意の形状とすることができ、例えば多孔性物質の形成のように均一に設計することができ、個別に設計することもできる。非連続の層状物質も、例えば、断片を接続する生体吸収性ファイバーの集合体のように、他の方法で形成することができる。生体吸収性カバーの穿孔は、生体吸収性物質の一体化又は分解までに、新生内膜のより速い成長及び短いセグメントの安定化を促進しうる。本発明では、ステントの作製を支援するために、個別に機能するステントに関して、生体吸収性物質を任意の長さで作製し、その後任意の所望の長さに切断することが可能である。例えば、図8で例示された生体吸収性ポリマーチューブの場合、チューブは任意の長さで成形され、製造者又は使用者によって、その後ステントをカスタマイズするために切断される。
【0055】
図9は、ステントの縦軸に沿って、多孔性縦方向構造によって接続されるステント部材又はセクションの顕微鏡写真を例示している。この縦方向構造は、所望の特性に応じてポリマー状であってもよいし、ポリマー状でなくてもよい。1つの態様において、縦方向構造は、耐久性ポリマーのように、多孔性のファイバーメッシュである。この物質の1例として、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)が含まれるが、これに限定されない。当業者は、本発明で使用でき、耐久性ポリマーファイバーとして機能しうる、類似の有利な特性を有する他の物質を認識するであろう。このような他の物質は、本発明においては、直ちに使用できる。縦方向構造は、他の機能の中でも、ステント部材に対して縦方向の柔軟性を提供する。ステントセクションは、所望の特性に応じて、金属構造であってもよいし、金属構造でなくてもよい。縦方向構造は、ファイバー間の距離が短く、マトリックスを形成する連続的な構造を提供するものであってもよい。このマトリックスは、薬剤溶出用に使用されてもよく、従来の方法と比べてより均一な溶出床を提供するものである。
【0056】
軽量で多孔性のポリマー物質を使用することは、有利であるかもしれない。例えば、ファイバー状の物質は、ファイバーが縦方向構造を提供し、これによってステント装置全体としての柔軟性を高めるよう、構成されていてもよい。このような物質は、意図した構造の特別のニーズに応じて、連続的又は非連続的な方法で、ステント又はステント断片に適用してもよい。物質は、任意のポリマー物質とすることができる。このような物質の例として延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)が挙げられるが、これに限定されない。ポリマー物質は、耐久ポリマーである多孔性ファイバーメッシュを形成することができる。縦方向構造は、少なくとも2つの機能を提供する。第一に、縦方向構造は、従来の金属構造より縦方向構造に柔軟性を有する。第二に、ポリマー物質は、ファイバー間の距離が短い連続的構造で、より均一な溶出床を提供するような薬剤の溶出のためのマトリックスとして使用されるものである。
【0057】
発明の別の態様によれば、1又は複数のステントセクションは、通常、当初、組み立てられたステントの縦方向に伸長する生体分解性又は耐久ポリマーファイバーによって接続される。図10は、縦方向の生体分解性若しくは非生体分解性/耐久性ポリマーファイバー又はワイヤー様の紐 (strand)1020によって接続された、一連の短いセクション1010を有するステント1000の側面図を例示する。この態様においては、ファイバー又はワイヤーは、示される構造のみに限定されるものでないが、実質的に直線である。例えば、ファイバー又はワイヤーは、ステントの縦軸に沿って実質的に平行である。
【0058】
代替的なアプローチにおいて、ポリマーファイバーは、通常、端から端までの方向に伸長していてもよいが、当初構成されたステントの縦軸に必ずしも平行である必要はない。図11は、らせん状の生体分解性若しくは非生体分解性/耐久性ポリマーファイバー又はワイヤー1120によって接続された一連の短いセクション1110を有するステント1100の側面を例示している。この態様において、ファイバー又はワイヤーは、ステントセグメントの周囲にらせん状に巻きついている。この場合も、ステントセグメントを接続するために、これらのポリマー又はファイバーがいくつかの異なる配置を有することは、本発明の範囲内にある。ポリマー又はファイバーは、生体吸収性又は耐久性のいずれかであってもよい。
【0059】
ステントセグメントを接続するために、これらのポリマー又はファイバーがいくつかの異なる形状を有することは、本発明の範囲内である。ポリマー又はファイバーは、生体分解性又は耐久性のいずれかであってもよい。また、ステント設計は、入手できる任意のステント設計とすることができる。例えば、ステント設計は、複数のセクションの各々が、単一の又は多様の正弦曲線パターンから形成されているステントを含むことができる。ステントは、他と配置の異なる単一の正弦曲線パターンを有していてもよい。また、ステント設計は、複数の正弦曲線パターンを有する複数のセクションを有していてもよい。ステントは、均一又は不均一に設計されたステント全体に分散された正弦曲線パターンを有していてもよい。
【0060】
各々のステントセクションは、第1頻度で生じるループを有する第1ループ包含セクションと、同様に第1頻度で生じるループを有する第2ループ包含セクションと、前記第1頻度よりも高い第2頻度で生じるループを有する第3ループ包含セクションとを、さらに含んでもよい。第3ループ包含セクションは、前記第1及び第2ループ包含セクション間で配置されていてもされていなくてもよく、引き続き少なくとも2回反復して前記第1及び第2ループ包含セクションに連続して接合されていてもよい。ステントの筋かいの幅は、態様に応じて変化させてもよい。
【0061】
装置は、1又は複数のアモルファス金属合金を含んでいてもよい。熱間押出 の方法は、非常に柔軟で、多くの金属を組み合わせてアモルファス金属合金の作製が可能である。例として、鉄ベース若しくはコバルトベースの合金、銅ベースのアモルファス金属合金、又はその他のものが本明細書に記載された熱間押出を使用して作製されうる。いくつかの態様においては、アモルファス金属合金は半金属を含んでいてもよく、その例は限定されないが、シリコン、ホウ素、及びリンを含む。1つの可能なアモルファス金属合金は鉄−クロム−ホウ素−リン合金である。他の多くの類似の合金が適しており、当業者に公知である。
【0062】
いくつかの好ましい態様において、本発明が意図するアモルファス金属合金は、対応する結晶質又は多結晶の金属合金と比較して、著しく低い導電性を示すか、非導電性である。
【0063】
本発明のアモルファス金属合金の構成部品は、管腔内インプラントを形成するために、アモルファス金属又はそうではない他の構成部品と組み合わされ又は組み立てられてもよい。例えば、アモルファス金属合金の構成部品は、生体適合性ポリマー、生体分解性ポリマー、治療薬(例えば、本明細書中に記載する治療プロモーター)又は(結晶質又は非結晶質のいずれかの微細構造を有する)その他の金属又は金属合金物質と組み合わせてもよい。これらのアモルファス金属合金は、高い機械強度、耐疲労性、耐腐食性、生体適合性等、インプラントとしての使用に適した多くの特性を有している。
【0064】
以上の記載は、態様の代表的な例示を列挙したものに過ぎない点、理解すべきである。読み手の便宜のために、以上の記載は、可能な態様の代表的な実例に焦点を当てたものであり、その実例は本発明の原理を教示している。他の態様は、異なる態様の一部の異なる組合せに起因してもよい。詳細な説明は全ての可能な変更を余すことなく列挙することを意図したものではない。
【0065】
他の変更は、添付されたクレームによって定義される本発明の範囲内にあるため、本明細書で記載された態様は、例示に過ぎない旨、ここに再び述べる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステント上に織り合わされた耐久性ポリマーを含んでなり、該ポリマーが、様々な直径の領域を複数含み、1又は2以上のより大きな直径の領域が薬剤を含む、ステント用カバー。
【請求項2】
ポリマーがワイヤーをさらに含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
ポリマーが、ステントセグメントの周囲にらせん状に巻きついている、請求項1又は2に記載のカバー。
【請求項4】
ステントの縦軸に対して複数の方向に伸長している、多数のポリマーファイバーをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載のカバー。
【請求項5】
ステントの縦軸に対して単一の方向に伸長している、多数のポリマーファイバーをさらに含む、請求項1又は2に記載のカバー。
【請求項6】
ポリマーファイバーにより結合された複数の個別セグメントを備え、前記ポリマーファイバーがより大きな直径の領域を複数含み、該より大きな直径の領域が薬剤をさらに含む、管への埋め込み用ステント。
【請求項7】
セグメントが、周方向のセグメントである、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
セグメントのそれぞれが、単一の正弦曲線パターンから形成されている、請求項6又は7に記載のステント。
【請求項9】
セグメントのそれぞれが、複数の正弦曲線パターンを有する、請求項6〜8のいずれかに記載のステント。
【請求項10】
複数の正弦曲線パターンのそれぞれが、均一に設計されている、請求項9に記載のステント。
【請求項11】
各セグメントが、
第1頻度で生じるループを有する第1ループ包含セクションと、
同様に前記第1頻度で生じるループを有する第2ループ包含セクションと、
前記第1頻度よりも高い第2頻度で生じるループを有する第3ループ包含セクションとをさらに含み、前記第3ループ包含セクションが、前記第1及び第2ループ包含セクション間に配置され、少なくとも2回反復して前記第1及び第2ループ包含セクションに連続して接合している、請求項6又は7に記載のステント。
【請求項12】
第1及び第3ループ包含セクション又は第2及び第3ループ包含セクションが、少なくとも1つのセルを形成し、高頻度のループが低頻度のループに対して3:2の割合である、請求項11に記載のステント。
【請求項13】
より高頻度のループ包含セクションが、より低頻度のループ包含セクションと比較して幅が狭い、請求項11又は12に記載のステント。
【請求項14】
第1ループ包含セクションが、同じセグメント内の隣接する第2ループ包含セクションと180度位相がずれている、請求項11〜13のいずれかに記載のステント。
【請求項15】
ポリマーファイバーが耐久性である、請求項6〜14のいずれかに記載のステント。
【請求項16】
ポリマーファイバーが塞栓を抑制する、請求項6〜15のいずれかに記載のステント。
【請求項17】
ポリマーファイバーが、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から作製されている、請求項6〜16のいずれかに記載のステント。
【請求項18】
ポリマーファイバーが、ワイヤーをさらに含む、請求項6〜17のいずれかに記載のステント。
【請求項19】
バルーン拡張型又は自己拡張型である、請求項6〜18のいずれかに記載のステント。
【請求項20】
セグメントがアモルファス合金から作製されている、請求項6〜19のいずれかに記載のステント。
【請求項21】
複数のセグメントが、生理学的状態に応答した制御された方法で、互いに分離する、請求項6〜20のいずれかに記載のステント。
【請求項1】
ステント上に織り合わされた耐久性ポリマーを含んでなり、該ポリマーが、様々な直径の領域を複数含み、1又は2以上のより大きな直径の領域が薬剤を含む、ステント用カバー。
【請求項2】
ポリマーがワイヤーをさらに含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
ポリマーが、ステントセグメントの周囲にらせん状に巻きついている、請求項1又は2に記載のカバー。
【請求項4】
ステントの縦軸に対して複数の方向に伸長している、多数のポリマーファイバーをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載のカバー。
【請求項5】
ステントの縦軸に対して単一の方向に伸長している、多数のポリマーファイバーをさらに含む、請求項1又は2に記載のカバー。
【請求項6】
ポリマーファイバーにより結合された複数の個別セグメントを備え、前記ポリマーファイバーがより大きな直径の領域を複数含み、該より大きな直径の領域が薬剤をさらに含む、管への埋め込み用ステント。
【請求項7】
セグメントが、周方向のセグメントである、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
セグメントのそれぞれが、単一の正弦曲線パターンから形成されている、請求項6又は7に記載のステント。
【請求項9】
セグメントのそれぞれが、複数の正弦曲線パターンを有する、請求項6〜8のいずれかに記載のステント。
【請求項10】
複数の正弦曲線パターンのそれぞれが、均一に設計されている、請求項9に記載のステント。
【請求項11】
各セグメントが、
第1頻度で生じるループを有する第1ループ包含セクションと、
同様に前記第1頻度で生じるループを有する第2ループ包含セクションと、
前記第1頻度よりも高い第2頻度で生じるループを有する第3ループ包含セクションとをさらに含み、前記第3ループ包含セクションが、前記第1及び第2ループ包含セクション間に配置され、少なくとも2回反復して前記第1及び第2ループ包含セクションに連続して接合している、請求項6又は7に記載のステント。
【請求項12】
第1及び第3ループ包含セクション又は第2及び第3ループ包含セクションが、少なくとも1つのセルを形成し、高頻度のループが低頻度のループに対して3:2の割合である、請求項11に記載のステント。
【請求項13】
より高頻度のループ包含セクションが、より低頻度のループ包含セクションと比較して幅が狭い、請求項11又は12に記載のステント。
【請求項14】
第1ループ包含セクションが、同じセグメント内の隣接する第2ループ包含セクションと180度位相がずれている、請求項11〜13のいずれかに記載のステント。
【請求項15】
ポリマーファイバーが耐久性である、請求項6〜14のいずれかに記載のステント。
【請求項16】
ポリマーファイバーが塞栓を抑制する、請求項6〜15のいずれかに記載のステント。
【請求項17】
ポリマーファイバーが、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から作製されている、請求項6〜16のいずれかに記載のステント。
【請求項18】
ポリマーファイバーが、ワイヤーをさらに含む、請求項6〜17のいずれかに記載のステント。
【請求項19】
バルーン拡張型又は自己拡張型である、請求項6〜18のいずれかに記載のステント。
【請求項20】
セグメントがアモルファス合金から作製されている、請求項6〜19のいずれかに記載のステント。
【請求項21】
複数のセグメントが、生理学的状態に応答した制御された方法で、互いに分離する、請求項6〜20のいずれかに記載のステント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A−C】
【図12D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A−C】
【図12D】
【公開番号】特開2013−27726(P2013−27726A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−213407(P2012−213407)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2010−500389(P2010−500389)の分割
【原出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(509248729)メディノール リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2010−500389(P2010−500389)の分割
【原出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(509248729)メディノール リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
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