説明

ファイル管理装置、ファイル管理方法及びファイル管理プログラム

【課題】ファイルの健全な流通を実現することを課題とする。
【解決手段】ファイル管理装置は、ユーザ端末によるファイル操作毎に、ファイル操作を行なったユーザ端末を使用するユーザの識別情報を含むとともに、ファイル操作によって派生したファイルの属性情報を含む派生情報をファイルごとに記憶部に登録する。また、ファイル管理装置は、メール送信等の所定のファイル操作を受け付けた場合に、記憶部に登録された派生情報に基づいて、該当ファイルの派生元を特定する。また、ファイル管理装置は、特定されたファイルの派生元の識別情報に対応するユーザ宛てに、メール送信の許可要求を通知する。また、ファイル管理装置は、ファイルの派生元の識別情報に対応するユーザによって使用されるユーザ端末から、メール送信の許可を受け付けた場合に、該当するファイルのメール送信を許可するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイル管理装置、ファイル管理方法及びファイル管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファイルの流通では、例えば、電子メールのファイル添付機能や、サーバ上にアップロードすることによりファイルの受け渡しを行なえるファイル転送システム等が利用されることがある。かかるファイルは、流通の段階において、ファイルの内容が改変されたりファイル名称が変更されたりして、派生していくことがある。このため、著作権によるファイルの保護の観点から、ファイルを受信したユーザは、該ファイルを第三者に送付する場合に、該ファイルを作成又は改変したユーザに対して送付の許可を得ることが好ましい。
【0003】
許可を得ることに関して、最近では、企業内システムにおいて共有したいファイルをサーバに登録申請する際に、部署の階層が表現された階層木構造を遡ることで承認を依頼する所属長を特定し、特定した所属長に対して許可を得る技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−258907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、ファイルの健全な流通を実現することができないという問題がある。例えば、ファイルを受信したユーザによって第三者にファイルが送付される場合に、ユーザは、ファイルの送信元ユーザを特定することはできるものの、ファイルを作成又は改変した全てのユーザまで特定することは困難である。また、企業内システムにおいて共有したファイルをサーバに登録申請する技術は、役職による上下関係や部署による繋がり等が特に決められるわけではないユーザ間でのファイルの流通に適用することが困難である。これらの結果、従来技術では、ファイルの健全な流通を実現することができない。
【0006】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ファイルの健全な流通を実現することが可能であるファイル管理装置、ファイル管理方法及びファイル管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、ファイル管理装置は、ユーザ端末によるファイル操作毎に、前記ファイル操作を行なったユーザ端末を使用するユーザの識別情報を含むとともに、前記ファイル操作によって派生したファイルの属性情報を含む派生情報をファイルごとに記憶部に登録する派生情報登録部と、所定のファイル操作の要求を受け付けた場合に、前記派生情報登録部によって記憶部に登録された派生情報に基づいて、該当ファイルの派生元を特定する派生元特定部と、前記派生元特定部によって特定されたファイルの派生元の識別情報に対応するユーザ宛てに、前記所定のファイル操作の許可要求を通知する許可要求通知部と、ファイルの派生元の識別情報に対応するユーザによって使用されるユーザ端末から、前記所定のファイル操作の許可を受け付けた場合に、該当するファイルのファイル操作を許可するように制御するファイル操作制御部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
ファイル管理装置、ファイル管理方法及びファイル管理プログラムの一つの様態によれば、ファイルの健全な流通を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、ファイル流通管理システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係るファイル管理装置の機能ブロックの例を示す図である。
【図3】図3は、派生情報記憶部に記憶される情報例を示す図である。
【図4】図4は、派生情報に係る木構造の例を示す図である。
【図5】図5は、ファイルの派生元を特定する処理について説明する図である。
【図6】図6は、実施例1に係るファイル状態管理処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、実施例1に係るファイル送信処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、ファイル管理プログラムによる処理がコンピュータを用いて具体的に実現されることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、ファイル管理装置、ファイル管理方法及びファイル管理プログラムの実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
[システム構成]
図1を用いて、ファイル流通管理システムの構成を説明する。図1は、ファイル流通管理システムの構成例を示す図である。また、以下では、一つの様態として、シンクライアントシステム(Thin Client System)を採用したファイル流通管理システムを例に挙げて説明する。すなわち、ファイルは、ファイル流通管理システム内で流通する。
【0012】
例えば、図1に示すように、ファイル流通管理システムは、仮想デスクトップシステム上で動作する、ファイル作成システムと、メールシステムと、ファイル状態管理システムと、センタサーバとを含む。同様に、ファイル流通管理システムは、ユーザ端末A、ユーザ端末B及びユーザ端末C等のユーザ端末を含む。なお、ユーザ端末の数は、図示の数に限られるものではない。また、本願に開示するファイル管理装置は、例えば、図1に示したファイル状態管理システムとセンタサーバとを含む。
【0013】
上記構成において、各ユーザ端末は、例えば、仮想デスクトップシステムを経由して、ファイル作成システムやメールシステムを利用することにより、ファイル操作を実行する。ここで、仮想デスクトップシステムは、一つの様態として、コンピュータのデスクトップ環境を拡張するソフトウェアの一種であり、複数の独立した仮想的なデスクトップ環境や、表示領域よりも広い連続したデスクトップ空間等を提供する。詳細には、各ユーザ端末は、ファイル作成システムを利用して、ファイルの作成、改変、名称変更、削除又はディレクトリの移動等のファイル操作を実行する。また、各ユーザ端末は、メールシステムを利用して、ファイルを添付したメールを送受信するファイル操作を実行する。
【0014】
また、ファイル操作を実行したファイル作成システムは、例えば、ファイルの作成、改変、名称変更、削除又はディレクトリの移動ごとに、時刻、ファイル名称、ファイルのハッシュ値、ファイル操作したユーザ端末を使用するユーザに対応するアドレス等をファイル状態管理システムに通知する。同様に、ファイル操作を実行したメールシステムは、例えば、ファイルの送信又は受信ごとに、時刻、ファイル名称、ファイルのハッシュ値、ファイル操作したユーザ端末を使用するユーザに対応するアドレス等をファイル状態管理システムに通知する。
【0015】
ファイル状態管理システムは、例えば、ファイル作成システム又はメールシステムでの処理に基づいて、処理されたファイルの派生に関する情報を取得し、取得した情報をセンタサーバに登録する。ここで、処理されたファイルの派生に関する情報とは、一つの様態として、ファイルの作成、改変、名称変更、削除、ディレクトリの移動、送信又は受信等の処理毎に発生するファイル属性情報を指す。かかるファイル属性情報は、例えば、ファイルの作成、改変、名称変更、削除、ディレクトリの移動、送信又は受信ごとの、時刻、ファイル名称、ハッシュ値、アドレス等を指す。以下、ファイル属性情報は、派生情報と記載することがある。
【0016】
詳細には、ファイル状態管理システムは、ファイル作成システムでの処理に基づいて、ファイルの作成、改変、名称変更、削除又はディレクトリの移動等の処理毎に発生した派生情報を取得する。そして、ファイル状態管理システムは、取得した派生情報をセンタサーバに登録する。同様に、ファイル状態管理システムは、メールシステムでの処理に基づいて、ファイルの送信又は受信等の処理毎に発生した派生情報を取得する。そして、ファイル状態管理システムは、取得した派生情報をセンタサーバに登録する。なお、ファイル管理装置による処理や派生情報については後述する。
【0017】
[ファイル管理装置の構成]
次に、図2を用いて、実施例1に係るファイル管理装置の機能ブロックを説明する。図2は、実施例1に係るファイル管理装置の機能ブロックの例を示す図である。また、上述したように、ファイル管理装置は、図1に示したファイル状態管理システムとセンタサーバとを含む。例えば、図2に示すように、ファイル管理装置100は、記憶部110と、制御部120とを有する。
【0018】
記憶部110は、例えば、制御部120による各種処理に要するデータや、制御部120による各種処理結果を記憶し、派生情報記憶部111を有する。また、記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。
【0019】
制御部120は、例えば、制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有する。また、制御部120は、派生情報登録部121と、派生元特定部122と、許可要求通知部123と、ファイル操作制御部124とを有する。また、制御部120は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、又はCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0020】
派生情報登録部121は、例えば、ユーザ端末によるファイル操作毎に、ファイル操作を行なったユーザ端末を使用するユーザの識別情報を含むとともに、ファイル操作によって派生したファイルの属性情報を含む派生情報をファイルごとに派生情報記憶部111に登録する。詳細には、派生情報登録部121は、ファイル作成システムにおけるファイルI/O(Input/Output)等によりファイル操作が発生したことを検出し、ファイル作成システムから該当ファイルの派生情報を取得する。そして、派生情報登録部121は、取得した派生情報を派生情報記憶部111に登録する。ここで、ファイル作成システムから取得される派生情報は、例えば、ファイルの「状態」であるファイルの作成、改変、名称変更、削除又はディレクトリの移動ごとの、「時刻」、「ファイル名称」、「ハッシュ値」、「操作者アドレス」等が挙げられる。なお、派生情報に含まれる「操作者アドレス」は、ファイル操作を行なったユーザ端末を使用するユーザの識別情報の一例である。
【0021】
同様に、派生情報登録部121は、メールシステムにおけるメール送受信等によりファイル操作が発生したことを検出し、メールシステムから該当ファイルの派生情報を取得する。そして、派生情報登録部121は、取得した派生情報を派生情報記憶部111に登録する。ここで、メールシステムから取得される派生情報は、例えば、ファイルの「状態」であるファイルの送信又は受信ごとの、「時刻」、「ファイル名称」、「ハッシュ値」、「操作者アドレス」等が挙げられる。なお、派生情報登録部121は、メールシステムにおいてメール送信のファイル操作が発生したことを検出した場合には、該メール送信のファイル操作が発生したことを、該当ファイルの派生情報とともに派生元特定部122に通知する。
【0022】
ここで、図3を用いて、派生情報記憶部111に記憶される情報について説明する。図3は、派生情報記憶部111に記憶される情報例を示す図である。派生情報記憶部111は、例えば、派生情報登録部121によって登録される派生情報をファイルごとに記憶する。
【0023】
例えば、図3に示すように、派生情報記憶部111は、ファイル操作された日時を示す「時刻」と、ファイル操作されたファイルのファイル名称を示す「ファイル名称」と、ファイル操作されたファイルのハッシュ値を示す「ハッシュ値」とを対応付けて記憶する。加えて、派生情報記憶部111は、ファイル操作の状態を示す「状態」と、ファイル操作したユーザ端末を使用するユーザに対応するアドレスを示す「操作者アドレス」とを対応付けて記憶する。
【0024】
例を挙げると、派生情報記憶部111は、項番「1」と、時刻「2011.3.10.10:23:44」と、ファイル名称「aaa」と、ハッシュ値「233458」と、状態「作成」と、操作者アドレス「A」とを対応付けて記憶する。また、派生情報記憶部111は、項番「2」と、時刻「2011.3.10.12:33:43」と、ファイル名称「aaa」と、ハッシュ値「133333」と、状態「改変」と、操作者アドレス「A」とを対応付けて記憶する。また、派生情報記憶部111は、項番「3」と、時刻「2011.3.10.12:33:50」と、ファイル名称「aaa1」と、ハッシュ値「133333」と、状態「名称変更」と、操作者アドレス「A」とを対応付けて記憶する。
【0025】
また、派生情報記憶部111は、項番「4」と、時刻「2011.3.10.12:35:00」と、ファイル名称「aaa1」と、ハッシュ値「133333」と、状態「送信」と、操作者アドレス「A」とを対応付けて記憶する。また、派生情報記憶部111は、項番「5」と、時刻「2011.3.10.15:20:00」と、ファイル名称「aaa1」と、ハッシュ値「133333」と、状態「受信」と、操作者アドレス「B」とを対応付けて記憶する。
【0026】
すなわち、図3の例では、操作者アドレス「A」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、2011年3月10日10時23分44秒にファイルが作成されたことがわかる。また、作成されたファイルは、ファイル名称が「aaa」であり、ハッシュ値が「233458」であることがわかる。
【0027】
同様に、図3の例では、操作者アドレス「A」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、2011年3月10日12時33分43秒にファイルの改変が行なわれたことがわかる。また、改変されたファイルは、ファイル名称が「aaa」であり、ハッシュ値が「133333」であることがわかる。同様に、図3の例では、操作者アドレス「A」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、2011年3月10日12時33分50秒にファイルの名称変更が行なわれたことがわかる。また、名称変更されたファイルは、ファイル名称が「aaa1」であり、ハッシュ値が「133333」であることがわかる。
【0028】
同様に、図3の例では、操作者アドレス「A」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、2011年3月10日12時35分00秒にファイルの送信が行なわれたことがわかる。また、送信されたファイルは、ファイル名称が「aaa1」であり、ハッシュ値が「133333」であることがわかる。同様に、図3の例では、操作者アドレス「B」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、2011年3月10日15時20分00秒にファイルの受信が行なわれたことがわかる。また、受信されたファイルは、ファイル名称が「aaa1」であり、ハッシュ値が「133333」であることがわかる。
【0029】
なお、図3に示すように、ハッシュ値は、改変された場合には変更するものであるが、名称変更された場合には変更されない。すなわち、名称変更された場合には、ファイルの内容自体に変更がないため、ハッシュ値は変更されない。
【0030】
また、派生情報登録部121は、取得した派生情報を派生情報記憶部111に登録する場合に、作成元のファイルを頂点ノードとし、派生したファイルを時間経過に伴い各ノードとして階層化した木構造によって登録しても良い。図4は、派生情報に係る木構造の例を示す図である。例えば、図4に示すように、派生情報に係る木構造は、作成元のファイルを頂点ノードとし、派生したファイルを時間経過に伴い操作者アドレスごとに各ノードとして階層化されている。なお、図4において、各ノードのイメージには、「ファイル名称」と「ハッシュ値」とが表されている。
【0031】
例えば、図4の例では、操作者アドレス「B」に対応するユーザによるユーザ端末の使用によって、ファイル名称「A」、ハッシュ値「344689」のファイルが作成されたことを表している。また、操作者アドレス「B」に対応するユーザによるユーザ端末の使用によって作成されたファイルは、二度の改変後に、操作者アドレス「A」であるユーザ宛てに送信されている。また、操作者アドレス「B」に対応するユーザによるユーザ端末の使用によって作成されたファイルは、一度の改変後にコピーされ、改変や名称変更等が行なわれて、ファイル名称「D」、ハッシュ値「557890」になっている。
【0032】
このとき、改変や名称変更後において、ファイル名称「B」、ハッシュ値「111267」となったファイルは、操作者アドレス「C」であるユーザ宛てに送信されている。また、操作者アドレス「C」に対応するユーザによるユーザ端末の使用では、名称変更、コピー又は削除等が行なわれている。なお、図4において、「コピー」では、コピー元のファイルと同一内容のファイルが作成されているとともに、ファイルの名称変更も行なわれていることがわかる。
【0033】
図2の説明に戻り、派生元特定部122は、例えば、所定のファイル操作の要求を受け付けた場合に、派生情報登録部121によって派生情報記憶部111に登録された派生情報に基づいて、該当ファイルの派生元を特定する。詳細には、派生元特定部122は、派生情報登録部121によってメール送信のファイル操作が発生したことを受け付ける。そして、派生元特定部122は、派生情報記憶部111によって記憶された情報のうち、該当ファイルの操作者アドレス、ファイル名称及びハッシュ値と同一の情報から遡ることにより、該当ファイルの派生元を特定する。
【0034】
ここで、図5を用いて、該当ファイルの派生元を特定する処理について説明する。図5は、ファイルの派生元を特定する処理について説明する図である。ここでは、上述した派生情報登録部121が、図5に示すように、各ユーザに対応する操作者アドレスごとに、派生情報を含むノード(A)〜(G)を時間の経過順に登録していく。
【0035】
すなわち、図5の例では、操作者アドレス「A」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、ファイル名称「aaa」及びハッシュ値「233458」であるファイルが作成されたことがわかる。同様に、図5の例では、操作者アドレス「A」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、ファイル名称「aaa」であるファイルが改変され、ハッシュ値が「233458」から「133333」になったことがわかる。
【0036】
同様に、図5の例では、操作者アドレス「A」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、ファイル名称「aaa」であるファイルの名称変更が行なわれ、ファイル名称が「aaa」から「aaa1」になったことがわかる。同様に、図5の例では、操作者アドレス「A」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、ファイル名称「aaa1」であるファイルを、操作者アドレス「B」であるユーザ端末宛てに送信したことがわかる。
【0037】
同様に、図5の例では、操作者アドレス「B」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、ファイル名称「aaa1」であるファイルを、操作者アドレス「A」であるユーザ端末から受信したことがわかる。同様に、図5の例では、操作者アドレス「B」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、ファイル名称「aaa1」であるファイルが改変され、ハッシュ値が「133333」から「322493」になったことがわかる。
【0038】
同様に、図5の例では、操作者アドレス「B」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、ファイル名称「aaa1」であるファイルの名称変更が行なわれ、ファイル名称が「aaa1」から「aaa2」になったことがわかる。同様に、図5の例では、操作者アドレス「B」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、ファイル名称「aaa2」であるファイルを、操作者アドレス「C」であるユーザ宛てに送信したことがわかる。
【0039】
同様に、図5の例では、操作者アドレス「C」であるユーザが使用したユーザ端末によるファイル流通管理システムの利用において、ファイル名称「aaa2」であるファイルを、操作者アドレス「B」であるユーザが使用したユーザ端末から受信したことがわかる。なお、図5に示す派生情報に係る木構造では、時間の経過とともにノードが登録されていくので、各ノードにおいて「時刻」が保持されていなくても良い。
【0040】
以下では、図5(G)に示す操作者アドレス「C」、ファイル名称「aaa2」及びハッシュ値「322493」であるファイルが他のユーザ端末に送信される場合を例に挙げる。
【0041】
例えば、図5(G)に該当するファイルが送信される場合に、派生元特定部122は、ハッシュ値「322493」を派生後のハッシュ値として、該ハッシュ値「322493」と一致するか否かを判定しながら木構造を遡る。すなわち、派生元特定部122は、派生後のハッシュ値「322493」と、図5(F)及び図5(E)に示すファイルのハッシュ値「322493」とが一致することを判定する。続いて、派生元特定部122は、派生後のハッシュ値「322493」と、図5(D)に示すファイルのハッシュ値「133333」とが一致しないことから、図5(D)から図5(E)において、ファイルが改変されたことを認識する。つまり、派生元特定部122は、操作者アドレス「B」に対応するユーザが使用したユーザ端末によって該当ファイルが改変されたこととして、操作者アドレス「B」における図5(D)のファイルを派生元の一つとして特定する。
【0042】
また、派生元特定部122は、図5(D)に示すファイルのハッシュ値「133333」を新たに派生後のハッシュ値として、該ハッシュ値「133333」と一致するか否かを判定しながら木構造をさらに遡る。すなわち、派生元特定部122は、派生後のハッシュ値「133333」と、図5(C)及び図5(B)に示すファイルのハッシュ値「133333」とが一致することを判定する。続いて、派生元特定部122は、派生後のハッシュ値「133333」と、図5(A)に示すファイルのハッシュ値「233458」とが一致しないことから、図5(A)から図5(B)において、ファイルが改変されたことを認識する。つまり、派生元特定部122は、操作者アドレス「A」に対応するユーザが使用したユーザ端末によって該当ファイルが改変されたこととして、操作者アドレス「A」における図5(A)のファイルを派生元の一つとして特定する。
【0043】
また、派生元特定部122は、図5(A)に示すファイルのハッシュ値「233458」を新たに派生後のハッシュ値として、該ハッシュ値「233458」と一致するか否かを判定しながら木構造をさらに遡る。このとき、派生元特定部122は、図5(A)よりも遡ることができないため、図5(A)において、ファイルが作成されたことを認識する。つまり、派生元特定部122は、操作者アドレス「A」に対応するユーザが使用したユーザ端末によって該当ファイルが作成されたこととして、操作者アドレス「A」における図5(A)のファイルを派生元(詳細には作成元)の一つとして特定する。
【0044】
ところで、上記の例では、ハッシュ値のみを利用して木構造を遡る例を説明したが、派生元特定部122は、さらにファイル名称を利用して木構造を遡っても良い。例えば、図5(G)に該当するファイルが送信される場合に、派生元特定部122は、ハッシュ値「322493」及びファイル名称「aaa2」を派生後のハッシュ値及びファイル名称として、これらと一致するか否かを判定しながら木構造を遡る。すなわち、派生元特定部122は、派生後のハッシュ値「322493」及びファイル名称「aaa2」と、図5(F)に示すファイルのハッシュ値「322493」及びファイル名称「aaa2」とが一致することを判定する。続いて、派生元特定部122は、派生後のファイル名称「aaa2」と、図5(E)に示すファイルのファイル名称「aaa1」とが一致しないことから、図5(E)から図5(F)において、ファイルの名称変更が行なわれたことを認識する。つまり、派生元特定部122は、操作者アドレス「B」に対応するユーザが使用したユーザ端末によって該当ファイルの名称変更が行なわれたこととして、操作者アドレス「B」における図5(E)のファイルを派生元の一つとして特定する。
【0045】
また、派生元特定部122は、図5(E)に示すファイルのハッシュ値「322493」及びファイル名称「aaa1」を、新たに派生後のハッシュ値及びファイル名称として、これらと一致するか否かを判定しながら木構造を遡る。すなわち、派生元特定部122は、派生後のハッシュ値「322493」と、図5(D)に示すファイルのハッシュ値「133333」とが一致しないことから、図5(D)から図5(E)において、ファイルが改変されたことを認識する。つまり、派生元特定部122は、操作者アドレス「B」に対応するユーザが使用したユーザ端末によって該当ファイルが改変されたこととして、操作者アドレス「B」における図5(D)のファイルを派生元の一つとして特定する。
【0046】
また、派生元特定部122は、図5(D)に示すファイルのハッシュ値「133333」及びファイル名称「aaa1」を、新たに派生後のハッシュ値及びファイル名称として、これらと一致するか否かを判定しながら木構造を遡る。すなわち、派生元特定部122は、派生後のハッシュ値「133333」及びファイル名称「aaa1」と、図5(C)に示すファイルのハッシュ値「133333」及びファイル名称「aaa1」とが一致することを判定する。続いて、派生元特定部122は、派生後のファイル名称「aaa1」と、図5(B)に示すファイルのファイル名称「aaa」とが一致しないことから、図5(B)から図5(C)において、ファイルの名称変更が行なわれたことを認識する。つまり、派生元特定部122は、操作者アドレス「A」に対応するユーザが使用したユーザ端末によって該当ファイルが名称変更されたこととして、操作者アドレス「A」における図5(B)のファイルを派生元の一つとして特定する。
【0047】
また、派生元特定部122は、図5(B)に示すファイルのハッシュ値「133333」及びファイル名称「aaa」を、新たに派生後のハッシュ値及びファイル名称として、これらと一致するか否かを判定しながら木構造を遡る。すなわち、派生元特定部122は、派生後のハッシュ値「133333」と、図5(A)に示すファイルのハッシュ値「233458」とが一致しないことから、図5(A)から図5(B)において、ファイルが改変されたことを認識する。つまり、派生元特定部122は、操作者アドレス「A」に対応するユーザが使用したユーザ端末によって該当ファイルが改変されたこととして、操作者アドレス「A」における図5(A)のファイルを派生元の一つとして特定する。
【0048】
また、派生元特定部122は、図5(A)に示すファイルのハッシュ値「233458」及びファイル名称「aaa」を、新たに派生後のハッシュ値及びファイル名称として、これらと一致するか否かを判定しながら木構造を遡る。このとき、派生元特定部122は、図5(A)よりも遡ることができないため、図5(A)において、ファイルが作成されたことを認識する。つまり、派生元特定部122は、操作者アドレス「A」に対応するユーザが使用したユーザ端末によって該当ファイルが作成されたこととして、操作者アドレス「A」における図5(A)のファイルを派生元(詳細には作成元)の一つとして特定する。
【0049】
これらにより、派生元特定部122は、図5(G)に示すファイルが操作者アドレス「C」に対応するユーザが使用するユーザ端末によって送信される場合に、該当ファイルの派生元として、操作者アドレス「B」と操作者アドレス「A」とにおけるファイルを特定する。また、派生元特定部122は、図5(F)に示すファイルが操作者アドレス「B」に対応するユーザが使用するユーザ端末によって送信される場合に、該当ファイルの派生元として、操作者アドレス「A」におけるファイルを特定する。また、派生元特定部122は、図5(C)に示すファイルが操作者アドレス「A」に対応するユーザが使用するユーザ端末によって送信される場合に、該当ファイルの派生元として、操作者アドレス「A」におけるファイルを特定する。
【0050】
許可要求通知部123は、例えば、派生元特定部122によって特定されたファイルの派生元の識別情報に対応するユーザ宛てに、所定のファイル操作の許可要求を通知する。詳細には、許可要求通知部123は、派生元特定部122によって特定されたファイルの派生元に対応する操作者アドレス宛てに、メールシステムを利用して、該当ファイルのメール送信の許可要求を送信する。なお、許可要求通知部123は、メールシステムを利用したメール送信の許可要求の送信後、許可要求を送信した全ての操作者アドレスをファイル操作制御部124に通知する。
【0051】
すなわち、許可要求通知部123は、図5(G)に示すファイルが送信される場合に、該当ファイルの送信許可要求を、操作者アドレス「B」及び操作者アドレス「A」宛てに、メールシステムを利用して送信する。また、許可要求通知部123は、図5(F)に示すファイルが送信される場合に、該当ファイルの送信許可要求を、操作者アドレス「A」宛てに、メールシステムを利用して送信する。また、許可要求通知部123は、図5(C)に示すファイルが送信される場合に、該当ファイルを送信する操作者アドレス「A」と、派生元の操作者アドレス「A」とが一致するため、該当ファイルの送信許可要求は送信しない。換言すると、許可要求通知部123は、該当ファイルを送信する操作者アドレスと、派生元の操作者アドレスとで、一致しない派生元の操作者アドレス宛てに、該当ファイルの送信許可要求を送信する。
【0052】
ファイル操作制御部124は、例えば、ファイルの派生元の識別情報に対応するユーザによって使用されるユーザ端末から、所定のファイル操作の許可を受け付けた場合に、該当するファイルのファイル操作を許可するように制御する。詳細には、ファイル操作制御部124は、許可要求通知部123による許可要求の通知後、ファイルの派生元の識別情報に対応するユーザによって使用されるユーザ端末、すなわち許可要求通知部123から通知された操作者アドレスに対応するユーザが使用するユーザ端末からメール送信の許可に関する情報を受信する。そして、ファイル操作制御部124は、許可要求通知部123から通知された全ての操作者アドレスからメール送信を許可する情報を受け付けた場合に、該当するファイルのメール送信を実行する制御をメールシステムに対して行なう。一方、ファイル操作制御部124は、メール送信を許可しない情報をひとつでも受け付けた場合に、該当するファイルのメール送信を停止する制御を行なう。また、ファイル操作制御部124は、該当ファイルを送信する操作者アドレスとの一致が、作成元の操作者アドレスのみである場合には、メール送信の許可を受け付けることなく、該当するファイルのメール送信を実行する制御をメールシステムに対して行なう。
【0053】
[実施例1に係るファイル状態管理処理]
次に、図6を用いて、実施例1に係るファイル状態管理処理を説明する。図6は、実施例1に係るファイル状態管理処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、ファイル状態管理処理とは、主に派生情報登録部121による処理を指す。
【0054】
例えば、図6に示すように、派生情報登録部121は、ファイル作成システムにおけるファイルI/O等によりファイル操作が発生したか否かを判定する(ステップS101)。このとき、派生情報登録部121は、ファイル操作が発生したことを検出した場合に(ステップS101肯定)、ファイル作成システムから該当ファイルの派生情報を取得し、取得した派生情報を派生情報記憶部111に登録する(ステップS102)。一方、派生情報登録部121は、ファイル操作が発生したことを検出していない場合に(ステップS101否定)、ステップS103の処理を実行する。
【0055】
そして、派生情報登録部121は、メールシステムにおけるメール送受信等によりファイル操作が発生したか否かを判定する(ステップS103)。このとき、派生情報登録部121は、ファイル操作が発生したことを検出した場合に(ステップS103肯定)、メールシステムから該当ファイルの派生情報を取得し、取得した派生情報を派生情報記憶部111に登録する(ステップS104)。一方、派生情報登録部121は、ファイル操作が発生したことを検出していない場合に(ステップS103否定)、ステップS101の処理を実行する。なお、派生情報登録部121は、上記処理を繰り返し実行する。
【0056】
[実施例1に係るファイル送信処理]
次に、図7を用いて、実施例1に係るファイル送信処理を説明する。図7は、実施例1に係るファイル送信処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、ファイル送信処理とは、主に派生元特定部122、許可要求通知部123及びファイル操作制御部124による処理を指す。
【0057】
例えば、図7に示すように、派生元特定部122は、派生情報登録部121からメール送信のファイル操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。このとき、派生元特定部122は、メール送信のファイル操作を受け付けた場合に(ステップS201肯定)、派生情報記憶部111によって記憶された派生情報を遡って該当ファイルの派生元を特定する(ステップS202)。一方、派生元特定部122は、メール送信のファイル操作を受け付けていない場合に(ステップS201否定)、該メール送信のファイル操作の受け付け待ちの状態となる。
【0058】
そして、許可要求通知部123は、該当ファイルに対応する操作者アドレスに一致する派生元の操作者アドレスが、作成元のファイルに対応する操作者アドレスのみであるか否かを判定する(ステップS203)。このとき、許可要求通知部123は、作成元のファイルに対応する操作者アドレスのみでないと判定した場合に(ステップS203否定)、派生元それぞれの操作者アドレス宛てに、該当ファイルの送信許可要求を送信する(ステップS204)。一方、許可要求通知部123は、作成元のファイルに対応する操作者アドレスのみが一致すると判定した場合に(ステップS203肯定)、ステップS206の処理の実行をファイル操作制御部124に依頼する。すなわち、ファイル操作制御部124は、許可要求通知部123から処理の実行を依頼された場合に、該当ファイルのメール送信を実行する制御をメールシステムに対して行なう(ステップS206)。
【0059】
また、ファイル操作制御部124は、許可要求通知部123による送信許可要求の送信後、該当する操作者アドレスに対応するユーザが使用するユーザ端末から送信を許可する情報を受信したか否かを判定する(ステップS205)。このとき、ファイル操作制御部124は、送信を許可する情報を受信した場合に(ステップS205肯定)、該当ファイルのメール送信を実行する制御をメールシステムに対して行なう(ステップS206)。一方、ファイル操作制御部124は、送信を許可しない情報を受信した場合に(ステップS205否定)、ステップS201の処理の実行を派生元特定部122に依頼する。なお、派生元特定部122、許可要求通知部123及びファイル操作制御部124は、上記処理を繰り返し実行する。
【0060】
[実施例1による効果]
上述したように、ファイル管理装置100は、ファイル操作毎に登録したファイルの派生情報に基づき、ファイル送信の際にファイルの派生元を特定し、特定した派生元に対応するユーザ宛てに送信許可を通知して許可を得た場合にファイルを送信する。この結果、ファイル管理装置100は、ファイルを改変した全てのユーザの特定が困難であったり、ユーザ間でのファイルの流通に適用することが困難であったりする従来技術と比較して、ファイルの健全な流通を実現することができる。
【0061】
また、ファイル管理装置100は、派生情報を木構造で表現し、ファイルのハッシュ値やファイル名称に基づいてファイルの派生元を特定するので、ファイルの作成元又は改変したユーザ端末を好適に特定することができる。
【実施例2】
【0062】
さて、これまで本願に開示するファイル管理装置100の実施例について説明したが、上述した実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、(1)送信許可要求の設定、(2)派生元特定の条件、(3)ファイルアクセス、(4)派生元特定に利用する情報、(5)構成、(6)プログラム、において異なる実施例を説明する。
【0063】
(1)送信許可要求の設定
上記実施例では、特定した派生元に対応するユーザ宛てに送信許可要求を送信する場合を説明したが、送信許可要求を送信する対象のユーザを予め設定しても良い。例えば、各ユーザ端末を利用する各ユーザは、ファイルの改変又は名称変更を行なったときに、ファイルに対する送信許可を要するか否かを設定する。そして、送信許可を要するか否かの設定情報は、ファイル作成システムによって派生情報とともにファイル管理装置100に通知される。このとき、ファイル管理装置100は、派生情報の登録時に送信許可を要するか否かの設定情報も派生情報記憶部111に登録する。
【0064】
その後、ファイル管理装置100は、送信許可要求を送信する場合に、送信許可を要するか否かの設定情報を参照し、送信許可を要する設定にされた操作者アドレス宛てに、送信許可要求を送信する。すなわち、送信許可要求を送信する対象のユーザは、送信許可要求の送信を要求するユーザを指す。これらの結果、ファイル管理装置100は、著作権を特に設定することを要しないファイルの送信許可要求を送信しなくて良いため、処理負荷を軽減することができる。また、ファイル管理装置100は、著作権を設定したくないユーザにおける、送信許可要求を了承する煩雑な処理を削減することができる。
【0065】
また、送信許可要求の設定については、各ユーザに設定させるだけではなく、システムで予め設定しても良い。例えば、ファイルの作成元に対応するユーザ宛てのみに送信許可要求を送信するように設定したり、ファイルの作成元及び/又は改変元に対応するユーザ宛てに送信許可要求を送信するように設定したりすることがある。
【0066】
(2)派生元特定の条件
また、上記実施例では、ハッシュ値やファイル名称が一致するか否かを条件として派生元を特定する場合を説明したが、ハッシュ値のみの一致を条件とするか、ファイル名称の一致までを条件とするかは予め設定されていても良い。要するに、ファイルの名称変更までをファイルの派生とするか否かは、ファイル流通管理システムの設定で決めれば良い。
【0067】
(3)ファイルアクセス
また、上記実施例では、シンクライアントシステムにおけるファイルのメール送信の送信許可に係る処理を説明したが、ファイルアクセスに係る処理を実行することとしても良い。例えば、ファイル管理装置100は、ファイルアクセスのファイル操作を検出すると、該当ファイルの派生元を特定してアクセスの許可要求を通知し、許可を得られた場合に該当ファイルへのファイルアクセスを可能に制御する。すなわち、ファイル管理装置100は、ファイル操作に関して何らかの許可を得る場合に、ファイルの派生元を特定し、特定した派生元に対応するユーザ宛てに許可を得る処理を実行する。
【0068】
(4)派生元特定に利用する情報
また、上記実施例では、ファイルの派生元特定に利用する情報としてハッシュ値やファイル名称を例に挙げて説明したが、派生情報記憶部111に記憶された「状態」情報を利用しても良い。例えば、ファイル管理装置100は、派生元を特定するために木構造を遡るときに、「改変」や「名称変更」の情報があれば、そこでのファイルを派生元として特定し、対応する操作者アドレス宛てに送信許可要求を送信する。
【0069】
(5)構成
また、上記文書中や図面中等で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータ等を含む情報(例えば、派生情報記憶部111に記憶される情報等)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、派生情報記憶部111に記憶される情報は、派生元特定に利用する情報に伴い変更される。詳細には、派生情報記憶部111は、派生元特定にハッシュ値やファイル名称を利用する場合と、ファイルの状態である改変や名称変更を利用する場合とで異なっていても良い。また、派生情報記憶部111は、送信許可要求の設定情報も含んでいても良い。
【0070】
また、図示したファイル管理装置100等の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負担や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合することができる。例えば、ファイル操作の状態を判定する「状態判定部」を設け、ファイル操作の状態によって派生情報登録部121、派生元特定部122、ファイル操作制御部124に対して処理開始を依頼するようにしても良い。
【0071】
また、ファイル管理装置100にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0072】
(6)プログラム
図8は、ファイル管理プログラムによる処理がコンピュータを用いて具体的に実現されることを示す図である。図8に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1001と、CPU1002と、ハードディスクドライブインタフェース1003と、ディスクドライブインタフェース1004と、シリアルポートインタフェース1005と、ビデオアダプタ1006と、ネットワークインタフェース1007とを有し、これらの各部はバス1008によって接続される。
【0073】
メモリ1001は、図8に例示するように、ROM(Read Only Memory)1001a及びRAM(Random Access Memory)1001bを含む。ROM1001aは、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1003は、図8に例示するように、ハードディスクドライブ1009に接続される。ディスクドライブインタフェース1004は、図8に例示するように、ディスクドライブ1010に接続される。例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1010に挿入される。シリアルポートインタフェース1005は、図8に例示するように、例えばマウス1011、キーボード1012に接続される。ビデオアダプタ1006は、図8に例示するように、例えばディスプレイ1013に接続される。
【0074】
ここで、図8に例示するように、ハードディスクドライブ1009は、例えば、OS(Operating System)1009a、アプリケーションプログラム1009b、プログラムモジュール1009c、プログラムデータ1009dを記憶する。すなわち、ファイル管理プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュール1009cとして、例えばハードディスクドライブ1009に記憶される。具体的には、上記実施例で説明した派生情報登録部121と同様の処理を実行する派生情報登録手順と、派生元特定部122と同様の処理を実行する派生元特定手順と、許可要求通知部123と同様の処理を実行する許可要求通知手順と、ファイル操作制御部124と同様の処理を実行するファイル操作制御手順とが記述されたプログラムモジュール1009cが、ハードディスクドライブ1009に記憶される。また、上記実施例で説明した派生情報記憶部111に記憶されるデータのように、ファイル管理プログラムによる処理に用いられるデータは、プログラムデータ1009dとして、例えばハードディスクドライブ1009に記憶される。そして、CPU1002が、ハードディスクドライブ1009に記憶されたプログラムモジュール1009cやプログラムデータ1009dを必要に応じてRAM1001bに読み出し、派生情報登録手順、派生元特定手順、許可要求通知手順、ファイル操作制御手順を実行する。
【0075】
なお、ファイル管理プログラムに係るプログラムモジュール1009cやプログラムデータ1009dは、ハードディスクドライブ1009に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1010等を介してCPU1002によって読み出されてもよい。あるいは、ファイル管理プログラムに係るプログラムモジュール1009cやプログラムデータ1009dは、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1007を介してCPU1002によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 ファイル管理装置
110 記憶部
111 派生情報記憶部
120 制御部
121 派生情報登録部
122 派生元特定部
123 許可要求通知部
124 ファイル操作制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末によるファイル操作毎に、前記ファイル操作を行なったユーザ端末を使用するユーザの識別情報を含むとともに、前記ファイル操作によって派生したファイルの属性情報を含む派生情報をファイルごとに記憶部に登録する派生情報登録部と、
所定のファイル操作の要求を受け付けた場合に、前記派生情報登録部によって記憶部に登録された派生情報に基づいて、該当ファイルの派生元を特定する派生元特定部と、
前記派生元特定部によって特定されたファイルの派生元の識別情報に対応するユーザ宛てに、前記所定のファイル操作の許可要求を通知する許可要求通知部と、
ファイルの派生元の識別情報に対応するユーザによって使用されるユーザ端末から、前記所定のファイル操作の許可を受け付けた場合に、該当するファイルのファイル操作を許可するように制御するファイル操作制御部と
を有することを特徴とするファイル管理装置。
【請求項2】
前記派生情報登録部は、前記派生情報として、ファイルのハッシュ値を含む情報を記憶部に登録し、
前記派生元特定部は、前記派生情報登録部によって記憶部に登録されたファイルのハッシュ値と、該当ファイルの派生後のハッシュ値とが一致するか否かにより、該当ファイルの派生元を特定することを特徴とする請求項1に記載のファイル管理装置。
【請求項3】
前記派生情報登録部は、前記派生情報として、ファイルのファイル名称を含む情報を記憶部に登録し、
前記派生元特定部は、前記派生情報登録部によって記憶部に登録されたファイルのファイル名称と、該当ファイルの派生後のファイル名称とが一致するか否かにより、該当ファイルの派生元を特定することを特徴とする請求項2に記載のファイル管理装置。
【請求項4】
前記派生情報登録部は、前記派生情報を、作成元のファイルを頂点ノードとし、派生したファイルを時間経過に伴い各ノードとして階層化した木構造によって記憶部に登録し、
前記派生元特定部は、前記該当ファイルに対応するノードから、前記木構造を遡ることにより該当ファイルの派生元を特定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のファイル管理装置。
【請求項5】
前記許可要求通知部は、前記派生元特定部によって特定されたファイルの派生元の識別情報に対応するユーザのうち、前記所定のファイル操作の許可要求の通知が設定されたユーザ宛てに、該所定のファイル操作の許可要求を通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のファイル管理装置。
【請求項6】
ファイル管理装置で実行されるファイル管理方法であって、
ユーザ端末によるファイル操作毎に、前記ファイル操作を行なったユーザ端末を使用するユーザの識別情報を含むとともに、前記ファイル操作によって派生したファイルの属性情報を含む派生情報をファイルごとに記憶部に登録する派生情報登録工程と、
所定のファイル操作の要求を受け付けた場合に、前記派生情報登録工程によって記憶部に登録された派生情報に基づいて、該当ファイルの派生元を特定する派生元特定工程と、
前記派生元特定工程によって特定されたファイルの派生元の識別情報に対応するユーザ宛てに、前記所定のファイル操作の許可要求を通知する許可要求通知工程と、
ファイルの派生元の識別情報に対応するユーザによって使用されるユーザ端末から、前記所定のファイル操作の許可を受け付けた場合に、該当するファイルのファイル操作を許可するように制御するファイル操作制御工程と
を含んだことを特徴とするファイル管理方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1〜5に記載のファイル管理装置として機能させるためのファイル管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−238113(P2012−238113A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105554(P2011−105554)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】