説明

ファクシミリ装置

【課題】 配信先に画像劣化しない画像を配信することできるファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】 配信対象を特定する発信者番号と配信先を記憶するシステムメモリ部2と、受信時、送信側の発信者番号を検出し、検出した発信者番号が、システムメモリ部2に記憶された発信者番号であると判断した場合、通信プロトコルにより送信側の機器に、当該ファクシミリ装置が最大受信能力である旨を出力するように制御するシステム制御部1とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信先に配信を行うことができる配信機能付きのファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交換機からの発信者番号、ダイヤルイン番号を取得し、発信者番号、ダイヤルイン番号があらかじめ配信先と対応して登録されている場合は、配信受信を行い受信終了後に配信先へ配信を行う配信機能付きのファクシミリ装置が知られている。なお、先行文献としては特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開2000−299755公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の配信機能付きのファクシミリ装置において、自機の受信能力が配信先のファクシミリより劣っていた場合、受信した原稿は自機の受信能力により縮小された画像となり、画像劣化した原稿を配信することがあった。
そこで、本発明は、上記したような点を鑑みてなされたものであり、配信先に画像劣化しない画像を配信することが可能なファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、配信先に配信を行うことができるファクシミリ装置において、配信対象を特定する特定番号と配信先を記憶する記憶手段と、制御手段とを備え、前記制御手段は、受信時、送信側の特定番号を検出し、検出した特定番号が、前記記憶手段に記憶された特定番号であると判断した場合、通信プロトコルにより送信側の機器に、当該ファクシミリ装置が最大受信能力である旨を出力するように制御するファクシミリ装置を特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記特定番号が、配信対象の発信者番号である請求項1に記載のファクシミリ装置を特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記特定番号が、配信対象のダイヤルイン番号である請求項1に記載のファクシミリ装置を特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記特定番号が、配信対象の回線ポートであること請求項1に記載のファクシミリ装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のファクシミリ装置によれば、受信時、検出した特定番号が記憶手段に記憶された特定番号であると判断した場合、通信プロトコルにより送信側の機器にファクシミリ装置が最大受信能力である旨を出力するようにしているので、例えば縮小処理等により画像劣化していない画像を受信することができ、配信先に劣化のない画像を配信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は本発明の実施形態に係るファクシミリ装置のシステムブロック図である。図1において、システム制御部1はシステム全体を監視制御する。システムメモリ部2は予め登録される情報や通信に必要なデータを一時格納する。本実施形態ではシステムメモリ部2に配信対象を特定するための特定番号と配信先が予め登録されている。読取部3は原稿を読み取る。印刷部4は記録紙に画像を出力する。文書蓄積部5は読取部3より蓄積した原稿や受信した文書を格納する。通信制御部6はG3/G4ファクス通信制御を行う。操作部7はユーザーが各種操作を行う。DCR8は符号化方式により画情報を圧縮再生部である。G3モデム9はG3通信のデータを変復調したり、ダイヤルイン、発信者番号通知の制御を行ったりする。NCU(ネットワークコントロールユニット)10は回線へのダイヤル発信やリンギングの検出を行う。
図2は第1の実施形態の動作を示したフローチャート、図3はシステムメモリ部に特定番号として記憶されている発信者番号と配信先の対応を示した図である。なお、以下に説明する動作はシステム制御部1がプログラムに基づいて各部の制御を行うことにより実現されるものである。
この場合、先ず、回線からの呼び出し音に応答して着信を開始し(S1)、交換機からの発信者番号を取得する(S2)。次に、交換機から取得した発信者番号が、図3のようにシステムメモリ部2に予め登録(記憶)されている発信者番号と一致するか否かを判断し(S3)、一致または部分一致する場合は配信受信を行う(S4)。ここで、ステップS4における配信受信においては、受信を行うときに、G3モデム8よりCED/DIS/NSF等を送信ファクシミリへ送出する。このとき、本実施形態のファクシミリ装置では、自機の受信能力を記録紙に応じた受信能力から最大受信能力に変更して最大受信能力である旨を送出する。受信終了後に発信者番号が一致した配信先へ配信を行う(S5)。
一方、ステップS3において発信者番号が一致しない場合は通常の受信を行う(S6)。なお、本実施形態では便宜上、アナログ回線の発信者番号通知の例を示したが、ISDN網での発番号通知を利用してもよい。
【0007】
図4は第2の実施形態の動作を示したフローチャート、図5はシステムメモリ部に特定番号として記憶されているダイヤルイン番号と配信先の対応を示した図である。なお、以下に説明する動作もシステム制御部1がプログラムに基づいて各部の制御を行うことにより実現されるものである。
この場合も、回線からの呼び出し音に応答して着信を開始し(S11)、交換機からのダイヤルイン番号を取得する(S12)。次に、交換機から取得したダイヤルイン番号が、図5のように予めシステムメモリ部2に登録されているダイヤルイン番号と一致するか否かを判断し(S13)、一致する場合は配信受信を行う(S14)。この場合も配信受信を行うときに、G3モデム8よりCED/DIS/NSF等を送信ファクシミリへ送出する。このとき、本実施形態のファクシミリ装置では、自機の受信能力を記録紙に応じた受信能力から最大受信能力に変更して最大受信能力である旨を送出する。そして、受信終了後にダイヤルイン番号が一致した配信先へ配信を行う(S15)。一方、ステップS13においてダイヤルイン番号が一致しない場合は通常の受信を行う(S16)。
なお、本実施形態では便宜上、アナログ回線のダイヤルイン番号の例を示したが、ISDN網での着番号通知を利用してもよい。また、ISDNの場合、網から通知されるポート番号を利用してもよい。
【0008】
図6は第3の実施形態の動作を示したフローチャート、図7はシステムメモリ部に特定番号として記憶されている回線ポートと配信先の対応を示した図である。なお、以下に説明する動作もシステム制御部1がプログラムに基づいて各部の制御を行うことにより実現されるものである。
この場合も、回線からの呼び出し音に応答して着信を開始する(S21)。次に、着信した回線ポートが、図7のように予めシステムメモリ部2に登録されている回線ポートと一致するか否かを判断し(S22)、一致する場合は配信受信を行う(S23)。この場合も配信受信を行うときに、G3モデム8よりCED/DIS/NSF等を送信ファクシミリへ送出する。このとき、本実施形態のファクシミリ装置では、自機の受信能力を記録紙に応じた受信能力から最大受信能力に変更して最大受信能力である旨を送出する。そして、受信終了後にダイヤルイン番号が一致した配信先へ配信を行う(S24)。一致しない場合は通常の受信を行う(S25)。
このようにすれば、自機の受信能力が配信先のファクシミリより劣っていた場合でも、受信した原稿は自機の受信能力により縮小された画像になることがなく、配信先に劣化のない画像を配信することが可能となる。
なお、本実施形態では、特定番号として、発信者番号、ダイヤルイン番号、回線ポートを例に挙げて説明したが、これはあくまでも一例であり、配信対象を特定することができる特定番号であれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るファクシミリ装置のシステムブロック図。
【図2】第1の実施形態の動作を示したフローチャート。
【図3】発信者番号と配信先の対応図。
【図4】第2の実施形態の動作を示したフローチャート。
【図5】ダイヤルイン番号と配信先の対応図。
【図6】第3の実施形態の動作を示したフローチャート。
【図7】回線ポートと配信先の対応図。
【符号の説明】
【0010】
1 システム制御部(制御手段)、2 システムメモリ部(記憶手段)、3 読取部、4 印刷部、5 文書蓄積部、6 通信制御部、7 操作部、8 DCR、9 G3モデム、10 NCU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信先に配信を行うことができるファクシミリ装置において、配信対象を特定する特定番号と配信先を記憶する記憶手段と、制御手段とを備え、前記制御手段は、受信時、送信側の特定番号を検出し、検出した特定番号が、前記記憶手段に記憶された特定番号であると判断した場合、通信プロトコルにより送信側の機器に、当該ファクシミリ装置が最大受信能力である旨を出力するように制御することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記特定番号は、配信対象の発信者番号であることを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記特定番号は、配信対象のダイヤルイン番号であることを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記特定番号は、配信対象の回線ポートであることを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−174308(P2006−174308A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366860(P2004−366860)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】