説明

ファクシミリ装置

【課題】 FAX画像データの画面表示を、システム構築なしに、ファクシミリ装置にて扱うことができるようにする。
【解決手段】 LCDを有する操作パネル10aと、操作パネル制御部10bを備えたファクシミリ装置において、LCDに合わせてFAXデータを再度伸長圧縮する伸長圧縮手段と操作パネル制御部で伸長する伸長手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合装置を含むファクシミリ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、読取部で読み取った画像データを接続するパソコンの表示部へ転送することができる。また、パソコンで入力されたデータを記録部でプリントアウトできる。また、特許文献2は、アプリケーションごとに使用する画面データを、操作部に設けたFROMの、異なるセクタに記憶している。
【特許文献1】特開平07−015557号公報
【特許文献2】特開2003−32424公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
FAX画像データの画面表示は、以下の理由で通信装置にはあまり行われていない。
一つにはFAXで送受信されるデータがFAXで決められた圧縮形式にて圧縮されている。また、FAX画像データがbitmapデータであり、生データはデータ量が大きい。さらにはA4サイズなど紙のサイズであるため、1画面では表示しきれない。
また、パソコンと接続し、パソコンのディスプレイに表示した提案として、特許文献1は、読取部で読み取った画像データを接続するパソコンの表示部へ転送したり、パソコンで入力されたデータを記録部でプリントアウトしたりする、PC−FAX機能として一般的である。
LANなどで構築されたパソコンネットワークでは一般的であるが、重要なFAX画像だけならネットワーク構築を図るだろうが、利用する人の規模が小さく、数人で利用するだけであったり、比較的一読すれば事足りる内容であったりする場合には、高価でわずらわしい。
複合装置では複数のアプリケーションがあるため、従来から画面を切り替えたりしていた。特許文献2は、アプリケーションごとに使用する画面データを、操作部に設けたFROMの異なるセクタに記憶していた。複合装置では比較的装置のサイズが大きくなるため制御基板と操作部の信号線距離が長くなるため、伝送するデータを極力なくす提案であった。
本発明は、FAX画像データの画面表示を、システム構築なしに、ファクシミリ装置にて扱うことができるようにすることを目的とする。また、フロアタイプの比較的大きな装置においても、高価な高速伝送なしに使い勝手のいい表示を行うことも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、LCDを有する操作パネルと、該操作パネルを制御する操作パネル制御部を備えたファクシミリ装置において、LCDに合わせてFAXデータを伸長圧縮する伸長圧縮手段と、前記操作パネル制御部で伸長する伸長手段とを備え、前記操作パネル表示部にFAX画像を表示できるようにしたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のファクシミリ装置において、FAX受信ファイルの表示をページ管理すると共に、FAX受信ファイルの表示を画面ごと管理する管理手段を備えていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のファクシミリ装置において、前記管理手段は画面境界のFAXデータを管理することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のファクシミリ装置において、外部メディアを接続する接続手段と、該外部メディアのデータを管理するデータ管理手段とを備え、FAX蓄積データを前記外部メディアに保存することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4に記載のファクシミリ装置において、前記外部メディアのデータの管理情報を読み取る読み取り手段と、前記管理情報の一覧を表示する表示手段と、蓄積されたデータの再表示する再表示手段とを備え、前記外部メディアに保存されたデータを再度表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1のファクシミリ装置においては、画面サイズに応じたFAX受信画像表示を比較的低速のデータ通信によって操作部に表示しているので、安価な装置でFAXビューワ機能が達成でき、紙、電力の節減ができる。
請求項2のファクシミリ装置においては、画面切り替えが行えるようにしているので、使い勝手のいいFAXビューワ機能を達成できる。
請求項3のファクシミリ装置においては、画面切り替え時に重なる部分を設けているので、画面端での画情報も見やすくできる。
請求項4のファクシミリ装置においては、表示データをメディアに保存したり、装置のデータを削除したりできるので、秘匿性のあるFAX受信を装置に蓄積しておかず、個人保管できる。
請求項5のファクシミリ装置においては、メディアのデータを同考案の装置において再度表示させることができるので、持ち運びや、保管データとしてメディアを有効活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るファクシミリ装置の機能ブロック図である。本ファクシミリ装置は、コピー制御部1、通信制御部2及びこれらに直流電圧を供給する電源供給部3から構成される。コピー制御部1は操作パネルの制御、スキャナ読み込み、プリント出力を行い、通信制御部2は各種通信の制御部を介してデータ送受信全般の制御を行う。
コピー制御部1にはコピー機能及び装置全般を制御するメインCPU4が設けられ、通信制御部2には通信制御を行いコピー制御部1とのデータのやり取りを行う通信制御コントローラ5が設けられ、これらはブリッジ6により接続されている。コピー制御部1にはプログラムを格納した第1のROM7a、情報を蓄積する第1のRAM8a、データ処理に用いる第1のworkRAM9aが、通信制御部2にはプログラムを格納した第2のROM7b、情報を蓄積する第2のRAM8b、データ処理に用いる第2のworkRAM9bがそれぞれ設けられている。この場合、第1及び第2のRAM8a、8bは1次電池等でバックアップされ、電源OFF時にも内容が保持される。
コピー制御部1には、操作パネル10aとその制御を行う操作パネル制御部10bを備え、主にメインCPU4により制御が行われている。通信制御部2からの制御は直接またはメインCPU4を介して行われる。また、スキャナ11aとその制御部であるスキャナ制御部11b、プロッタ12aとその制御部であるプロッタ制御部12bが設けられている。また、各種IO13aとその制御部であるIO制御部13bが設けられている。IOとしては、用紙、ドア、ヒータ温度などのセンサやモータ類などがある。また、ファイリング機能のため、ファイリングに適した圧縮伸長を行う圧縮伸長制御部14aと蓄積用大容量メモリ14bが設けられている。
コピー制御部1と通信制御部2との画像データは、ブリッジ6を介して第1のworkRAM9aと第2のworkRAM9bとの間で、ページ単位、ブロック単位、あるいはライン単位で行われる。
【0007】
通信制御部2には、通信ポートとして各種インターフェースがあり、それぞれの網と接続し通信ができる。アナログ回路網のインターフェースとしてアナログ回線IF17aがあり、G3faxモデム17bを回線と接続している。デジタル回線は2B+Dで、電気的インターフェースとしてデジタル回線IF18aがあり、G4ファクシミリ通信プロトコルやISDNプロトコルを制御したり、コーディックを行ったりするデジタル回線制御部18bを有する。
これら通信ポートは通信制御コントローラ5で一元管理され、送受信されるデータに関しては、通信データ処理部15において通信ポートに応じた圧縮伸長やデジタル信号処理が第2のworkRAM9bを使用して行われる。各種通信データを蓄積する通信データ蓄積メモリ16も有する。
電源供給部3では、電源コード19からAC電源供給を得て、使用する直流電源が直流電源供給部20で生成される。
図2は操作パネルと操作パネル制御部のブロック図である。操作パネル10aは、大型LCD10dとそれに貼られたタッチパネル10cにて構成されている。操作パネル制御部10bは、操作部コントローラ21aがローカルバスに接続され、ROM21b、RAM21cを配置している。
ローカルバスにはLCDのローカラムデータを制御してLCD表示を行うLCDC(LCDコントローラ)22aが接続されている。LCDC22aは表示用のビデオRAM22bをワーク用として備えている。上述のローカルバスには、SDRAMなどのメディア23bを接続できるコネクタ23aも装備している。
【0008】
以下、本発明の実施の形態としての動作について説明する。
[第1の実施の形態]
図2において、FAX受信したデータはMMR圧縮などのFAX圧縮データとして通信データ蓄積メモリ16に親展受信、秘匿受信など一般的な機能を用いて蓄積されるものとする。オペレータにより、該蓄積ファイルを表示する旨の操作が行われたとする。
メインCPU4がその旨を通信制御コントローラ5に通知すると、LCDの大きさ、解像度に応じて、該蓄積ファイルを1画面ごとに伸長圧縮し直し、操作部コントローラ21aに転送する。LCDの大きさ、解像度は装置に一義的に定まっているため通信制御コントローラ21aは認識している。
例えば、LCDサイズ210*297mm、小さい字(200dpiスクエア)に対し、LCDサイズ140*70mm、100dpiであれば、横サイズを合わせ、画像データを(140/210)*(100/200)=1/3に縮小する。
画面としては縦方向に297*(140/210)/70=2.83画面になり、上から最初の1画面をMMR圧縮で伸長圧縮し、操作部コントローラ21aに転送する。データの縮小は、通信データ処理部15にて行う。画面の切り抜きは、画面数から、297/25.4*200/2.83=826ラインと算出され、伸長圧縮時にこのライン数だけ動作させる。
操作部コントローラ21aには、少なくともMMRデータを伸長するロジックを搭載している。伸長データは比較的LCD表示に向いたピクセルデータであるが、LCDC22aにあった手順にてデータ渡しを行い、LCD10dに表示する。画面表示の例を図3に示す。LCD画面24の一部にFAX表示領域25がある。
【0009】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。上述の計算式より、FAX受信のサイズ、解像度により、受信画について、縮小率、上述の画面数が判別できる。蓄積メモリ容量を浪費しないため、表示の旨の操作があったとき画面データを作成する。画面表示の例を、図4に示す。受信ファイルが複数ページあった場合のページタグ26a、26bや画面のスクロールキー25がある(これらはタッチパネルにより画面を押下すると機能する)。
表示の旨の操作があった場合、1ページ目(P.1)の先頭画面をFAX表示領域25に上記した第1の実施の形態の動作により表示する。次にページ切り替えのため、4ページ(P.4)のタグが押下された場合には、FAX受信蓄積データの4ページを同様にして表示する。さらに、スクロールキーが押下された場合には4ページの2画面目を伸長圧縮し、操作部コントローラ21aに転送する。
通信制御コントローラ(管理手段)5では、上述の1画面目の転送時に、最終伸長したデータを記憶し(メモリ位置またはヘッダーを書き込んでもいい)、また伸長圧縮に必要な参照ラインデータを一義的に第2のworkRAM9bに保存しておき、それを利用して、次の画面の圧縮データを転送する(第1の実施の形態では、次の826ライン分である)。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。第2の実施の形態のスクロール時において、826ラインごと、2.83画面に区切っているが、例えば5mm(826/70*5=59ライン)は画面ごとに重ねて表示する。
第2の実施の形態の説明において、826−59=767ライン目のデータを記憶し(メモリ位置またはヘッダーを書き込んでもいい)826ラインまで伸長圧縮して転送する。スクロールキーが押下された場合には、簡単に767ライン目から826ライン分伸長圧縮することにする。
【0010】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態について説明する。図2に示したように、装置にはSDRAMなどのメディア23bが装着されるものとする。表示の旨の操作があった場合、操作部コントローラ21aはコネクタ23aにメディア23bが装着されているかを確認し、操作の通知とともに、メディア装着を通信制御コントローラ(管理手段)5に伝える。
そのとき、通信制御コントローラ5は、まずFAX通信情報を操作部コントローラ21aに転送し、メディアの空き領域に書き込むよう指示する。次に、P.1の1画面目、2画面目の識別ヘッダーを付して、画面表示用の該圧縮データを転送する。操作部コントローラ21aは表示とは非同期に、メディア23bのFAX通信情報とともに格納する。
全画面を表示した場合にはメディア23bへの書き込みは終了するが、表示画面から抜けるとき残りの画面があれば同様にメディア23bに格納する。また、メディア23bに蓄積したとき、通信データ蓄積メモリ16のデータを消去できるようにしてもいい。
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態について説明する。第4の実施の形態において、通信データ蓄積メモリ16から受信ファイルを選んで表示する操作画面において、メディア23bからも選択できるボタン等を準備しておく。メディア23bを選択したら、蓄積されているいくつかのFAX情報を閲覧、選択できるようにする。
操作部コントローラ21aは、メディアの情報を読み取り制御を行う。そして、通信制御コントローラ5の制御に基づいて通信制御部5側へ転送すると、一般的にFAX蓄積情報検索画面と同様の表示にデータを埋め込み、メインCPU4(再表示制御手段)へ通知する。予め決められた画面と通知された情報を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るファクシミリ装置の機能ブロック図。
【図2】操作パネルと操作パネル制御部のブロック図。
【図3】画像表示の例(その1)を示す図。
【図4】画像表示の例(その2)を示す図。
【符号の説明】
【0012】
10a 操作パネル、10b 操作パネル制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LCDを有する操作パネルと、該操作パネルを制御する操作パネル制御部を備えたファクシミリ装置において、LCDに合わせてFAXデータを伸長圧縮する伸長圧縮手段と、前記操作パネル制御部で伸長する伸長手段とを備え、前記操作パネル表示部にFAX画像を表示できるようにしたことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のファクシミリ装置において、FAX受信ファイルの表示をページ管理すると共に、FAX受信ファイルの表示を画面ごと管理する管理手段を備えていることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のファクシミリ装置において、前記管理手段は、画面境界のFAXデータを管理することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のファクシミリ装置において、外部メディアを接続する接続手段と、該外部メディアのデータを管理するデータ管理手段と備え、FAX蓄積データを前記外部メディアに保存することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のファクシミリ装置において、前記外部メディアからデータの読み取りを制御する読み取り制御手段と、前記管理情報の一覧を表示する表示手段と、蓄積されたデータの再表示を制御する再表示制御手段とを備え、前記外部メディアに保存されたデータを再度表示することを特徴とするファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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