説明

ファクシミリ装置

【課題】ファクシミリ番号が誤入力され、誤送信されることを防止し、ファクシミリ送信のための操作を好適に行うことができる、ファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ファクシミリ装置は、ファクシミリ番号が新たに入力された場合、新たに入力された第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、第一記憶部に登録されているか判断する(S108)。登録されていない場合(S110:NG)、再度、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力させるための処理を制御する(S116)。登録されている場合(S110:OK)、第一のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信され、再度、入力された第二のファクシミリ番号が、第一のファクシミリ番号と一致する場合(S118:Yes)、第二のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤送信の防止を好適に行うファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファクシミリ装置に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1には、1回目に送信先のFAX番号の入力が行われた際に、過去のFAX送信履歴を確認し、設定した一定期間内に同じFAX番号への送信履歴が残っている場合は、1回目に入力したFAX番号の正確性を確認できたとして、ファクシミリ送信を開始する、ファクシミリ装置が開示されている。このファクシミリ装置では、1回目に入力したFAX番号が送信履歴に見つからなかった場合(2回の入力結果が不一致の場合)には、ファクシミリ送信処理が終了する。
【0003】
特許文献2には、ネットワークに接続され、ネットワーク上に公開されている法人電話帳データベースを利用できるようになっている、複合機が開示されている。この複合機では、利用者が入力した番号を検索キーとして、法人電話帳データベースを検索し、照合一致する番号が法人電話帳データベースに登録されているか否かを照合する。照合一致する番号が登録されている場合、当該番号に対応付けられている法人名称を表示部に表示し、利用者がファクシミリ送信を指示すると、番号へダイヤルしてファクシミリ送信が行われる。照合不一致である場合、送信先が個人であれば、利用者からの確認を経て、ファクシミリ送信を行う。送信先が法人である場合、入力されたFAX番号に類似する番号を法人電話帳データベースから抽出して、そのFAX番号及び法人名称を表示部に表示する等の制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−288102号公報
【特許文献2】特開2008−98775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ファクシミリ送信を行う場合、ファクシミリデータが、誤ったファクシミリ装置(相手先装置)にファクシミリ送信されるといった事態を防止しつつ、手間のかからないスムーズな操作によって、ファクシミリ送信を行うことができることが望ましい。
【0006】
本発明は、ファクシミリ番号が誤入力され、誤送信されることを防止し、ファクシミリ送信のための操作を好適に行うことができる、ファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、原稿を読み取り、読み取られた原稿に対応するファクシミリデータを、通信回線を介して、相手先装置にファクシミリ送信するファクシミリ装置であって、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力するための操作部と、前記通信回線に接続される第一通信部と、前記第一通信部を制御する第一通信制御部と、前記操作部を介してファクシミリ番号が新たに入力された場合、前記ファクシミリ装置で既に実行されたファクシミリ送信のためのファクシミリ番号に対応する相手先情報が登録された第一記憶部に、新たに入力された第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、登録されているか判断する第一判断部と、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記操作部を介して、再度、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力させるための処理を制御する再入力部と、を備え、前記第一通信制御部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていると、前記第一判断部にて判断された場合、前記第一のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御し、前記再入力部による処理によって、前記操作部を介して、再度、入力された第二のファクシミリ番号が、前記第一のファクシミリ番号と一致する場合、前記第二のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御する、ファクシミリ装置である。
【0008】
これによれば、ファクシミリ送信のために入力された第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、第一記憶部に登録されていない場合、ファクシミリ番号の再入力を実行させることができる。そのため、ファクシミリ番号の誤入力を、ファクシミリ送信の前に確認することができる。その上で、再入力された第二のファクシミリ番号が、第一のファクシミリ番号と同一である場合、ファクシミリ送信を実行することができる。第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、第一記憶部に登録されている場合、他の操作を必要とせず、そのまま、ファクシミリ送信することができる。ここで、「ファクシミリ番号に対応する相手先情報」には、ファクシミリ番号に一致するファクシミリ番号を示す情報の他、ファクシミリ番号の相手先装置の名称が含まれる。「再度、入力された第二のファクシミリ番号が、前記第一のファクシミリ番号と一致する場合、前記第二のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信」に関し、第二のファクシミリ番号は、第一のファクシミリ番号と、同一である。従って、この場合、第二のファクシミリ番号の相手先装置は、第一のファクシミリ番号の相手先装置と、同一のファクシミリ装置であり、これを含む概念である。
【0009】
このファクシミリ装置は、次のようにすることもできる。前記第一記憶部には、相手先情報と、前記ファクシミリ装置で既に実行されたファクシミリ送信の送信結果と、が関連付けて登録され、前記第一判断部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録され、且つ、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されているか判断し、前記再入力部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていない、又は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記操作部を介して、再度、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力させるための処理を制御する、ようにしてもよい。これによれば、既に実行されたファクシミリ送信の送信結果を反映させたファクシミリ送信を実現することができる。既に実行されたファクシミリ送信が成功していない場合、ファクシミリ番号の再入力を実行させることができる。第一判断部での判断について、「ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されていない」は、ファクシミリ送信の成功を示さない送信結果が、第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、第一記憶部に記憶されている、を含む概念である。
【0010】
また、前記第一通信制御部は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されていると、前記第一判断部にて判断された場合、前記第一のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御する、ようにしてもよい。これによれば、既に実行され、成功したファクシミリ送信を基準として、このファクシミリ送信と同一のファクシミリ番号が、新たに入力された場合であれば、スムーズにファクシミリ送信を実行することができる。
【0011】
また、前記ファクシミリ装置は、前記第一記憶部を記憶すると共に、前記ファクシミリ装置で既に実行されたファクシミリ送信のためのファクシミリ番号に対応する相手先情報が登録された第二記憶部を記憶する外部装置が接続された前記通信回線とは異なる通信ネットワークに接続される第二通信部と、前記第二通信部を制御する第二通信制御部と、を備え、前記第二通信制御部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記外部装置にアクセスするよう、前記第二通信部を制御し、前記第一判断部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第二記憶部に登録されているか判断し、前記再入力部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部及び前記第二記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記操作部を介して、再度、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力させるための処理を制御し、前記第一通信制御部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部又は前記第二記憶部に登録されていると、前記第一判断部にて判断された場合、前記第一のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御する、ようにしてもよい。これによれば、外部装置が記憶する第二記憶部に基づいて、第一記憶部による場合と同様の判断を行うことができる。例えば、第一記憶部の記憶容量が制限されるような場合、外部装置が備える第二記憶部に記憶された相手先情報が利用でき、ファクシミリ番号を再入力させるための処理を、より好適に行うことができる。
【0012】
また、前記ファクシミリ装置は、前記ファクシミリ装置でファクシミリ送信が実行された場合、実行されたファクシミリ送信のためのファクシミリ番号に対応する相手先情報を、前記第一記憶部に追加登録する第一登録部と、前記第一記憶部に登録された相手先情報が、基準となる基準数であるか判断する第二判断部と、前記第一記憶部に登録された相手先情報が基準数であると、前記第二判断部にて判断された場合、前記第二通信制御部にて制御される前記第二通信部を介して、前記第一記憶部に登録された相手先情報を、前記第二記憶部に追加登録するための処理を制御する第二登録部と、を備える、ようにしてもよい。これによれば、相手先情報を好適に管理することができる。
【0013】
また、前記第一記憶部には、相手先情報と、前記ファクシミリ装置で既に実行されたファクシミリ送信の送信結果と、が関連付けて登録され、前記第一登録部は、前記ファクシミリ装置でファクシミリ送信が実行された場合、実行されたファクシミリ送信のためのファクシミリ番号に対応する相手先情報を、ファクシミリ送信の送信結果に関連付けて、前記第一記憶部に追加登録し、前記第二登録部は、前記第一記憶部に登録された相手先情報が基準数であると、前記第二判断部にて判断された場合、前記第二通信制御部にて制御される前記第二通信部を介して、前記第一記憶部に登録された相手先情報のうち、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果に関連付けられている相手先情報と、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果と、を関連付けて、前記第二記憶部に追加登録するための処理を制御し、前記第一判断部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録され、且つ、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されているか判断し、前記第二通信制御部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていない、又は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記外部装置にアクセスするよう、前記第二通信部を制御し、前記再入力部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部及び前記第二記憶部に登録されていない、又は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記操作部を介して、再度、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力させるための処理を制御し、前記第一通信制御部は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されている、又は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第二記憶部に登録されていると、前記第一判断部にて判断された場合、前記第一のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御する、ようにしてもよい。これによれば、第一記憶部及び第二記憶部に基づき、既に実行されたファクシミリ送信の送信結果を反映させたファクシミリ送信を実現することができる。第二記憶部への登録は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果と関連付けられたものに限定されるため、登録数を、低減し、第二記憶部に基づいた第一判断部での判断を、効率よく実行することができる。
【0014】
また、前記ファクシミリ装置は、ユーザに対応するユーザ情報を検出する認証部を備え、前記第一記憶部には、相手先情報と、ユーザ情報と、が関連付けて登録され、前記第一判断部は、前記認証部によって新たに検出されたユーザ情報に関連付けられた相手先情報を対象として、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されているか判断する、ようにしてもよい。これによれば、上述した各処理を、ユーザ毎に実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、ファクシミリ番号が誤入力され、誤送信されることを防止し、ファクシミリ送信のための操作を好適に行うことができる、ファクシミリ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ファクシミリ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】通信履歴本体テーブルの一例を示す図である。
【図3】FAX送信処理のフローチャート(その1)である。
【図4】FAX送信処理のフローチャート(その2)である。
【図5】本体参照処理のフローチャートである。
【図6】外部参照処理のフローチャートである。
【図7】通信履歴外部テーブルの一例を示す図である。
【図8】外部登録処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0018】
<ファクシミリ装置>
ファクシミリ装置(以下、「FAX装置」という)10について、図1を参照して説明する。FAX装置10は、ファクシミリ通信(以下、「FAX通信」という)を行うための通信回線に接続される。通信回線としては、交換機80によって構成される公衆電話交換回線網(PSTN(Public Switched Telephone Networks)。以下、「PSTN」という)90が例示される。この他、高速通信が可能な次世代ネットワーク(NGN(Next Generation Network))も実用化されている。本実施形態では、通信回線として、PSTN90を例に説明する。FAX装置10は、PSTN90に接続されFAX装置(以下、「相手先装置」という)50との間で、FAX通信を行う。例えば、FAX装置10で読み取られた原稿に対応する画像データを符号化したファクシミリデータ(以下、「FAXデータ」という)を、相手先装置50に、ファクシミリ送信(以下、「FAX送信」という)する。FAX装置10は、相手先装置50から送信されるFAXデータを受信し、受信したFAXデータに対応する画像を、記録紙に印刷する。相手先装置50は、従来のFAX装置であってもよいが、FAX装置10と同一の装置であってもよい。相手先装置50に関する説明は、省略する。
【0019】
FAX装置10は、PSTN90とは異なる通信ネットワークに接続される。通信ネットワークとしては、LAN(Local Area Network)92が例示される。LAN92は、有線又は無線の何れであってもよい。FAX装置10は、LAN92に接続された外部装置52との間で、データ通信を行う。外部装置52としては、サーバ装置若しくはパーソナルコンピュータ、又は、外付けハードディスク装置等の外部記憶装置が例示される。通信ネットワークは広く解釈される。FAX装置10及び外部装置52は、例えばUSB(Universal Serial Bus)接続されていてもよい。外部装置52は、前述のような装置であって、後述する通信履歴外部テーブルを記憶している点を除き、既に普及した装置と同様であるため、外部装置52に関する説明は、省略する。通信履歴外部テーブルについては、後述する。
【0020】
FAX装置10は、図1に示すように、CPU12と、プログラムROM14と、RAM16と、フラッシュROM18と、読取部20と、印刷部22と、表示部24と、操作部26と、計時部28と、認証部30と、PSTNインターフェース(PSTN I/F)32と、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)34とを備える。これら各部12〜34は、バスライン36に接続されている。CPU12は、演算処理を実行する。プログラムROM14は、例えば、後述するような各種の処理のためのコンピュータプログラムを記憶する。RAM16は、CPU12が各種のコンピュータプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。RAM16上には、後述する各処理のための情報(データ)が記憶される所定の格納領域が確保される。CPU12は、例えば、プログラムROM14に記憶された各種のコンピュータプログラムを実行して、FAX装置10を制御する。これによって、FAX装置10では、各種の処理が実行され、各種の機能が実現される。
【0021】
フラッシュROM18は、各種のデータを記憶することができる。例えば、フラッシュROM18には、通信履歴本体テーブルが記憶される。通信履歴本体テーブルは、FAX装置10で実行されたFAX通信に関する通信履歴が登録されたテーブルである。通信履歴本体テーブルには、FAX通信が1回実行される毎に、実行されたFAX通信の通信履歴として、1つのレコードが登録される。通信履歴本体テーブルは、管理項目として、図2に示すような各項目を含む。各管理項目は、従来のFAX装置における通信履歴においても、管理されている項目であるため、これらに関する個別の説明は、省略する。管理項目としての相手先名称及び相手先番号は、それぞれ、FAX通信における相手先装置50のFAX番号に対応する相手先情報である。コメント「TX」は、そのレコードのFAX通信が、送信であったことを示し、「RX」は、受信であったことを示す。「RX PC」は、所謂、PC−FAX受信を示す。PC−FAX受信は、FAX装置10(PSTN I/F32)で受信されたFAXデータが、印刷部22で印刷等されず、ネットワークI/F34から、LAN92を介して、外部装置52に転送され、外部装置52で受信される受信形態である。ユーザIDは、FAX送信が実行された場合において、FAX送信を実行したユーザを識別する情報(ユーザ情報)である。
【0022】
読取部20は、FAX装置10にセットされた原稿を読み取る。印刷部22は、FAXデータが受信された場合、受信されたFAXデータに対応する画像を、記録用紙に印刷する。表示部24は、諸情報を表示するためのディスプレイである。操作部26は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部26を操作することによって、各種の指令をFAX装置10に入力することができる。計時部28は、時計機能を有し、時間の経過を計測する。認証部30は、FAX装置10を使用するユーザを認証するための構成である。ユーザ認証に際し、ユーザは、例えば、認証部30に、ユーザ固有のユーザ情報が記憶されたICカードのような装置を接近又は挿入等する。認証部30は、ICカードのような装置からユーザ情報を検出する。FAX装置10では、認証部30が取得したユーザ情報に従い、ユーザを認証(特定)する。ユーザ認証は、これとは異なる方法で実行されてもよい。PSTN I/F32は、PSTN90に接続され、FAX通信のための各種の指令信号及びFAXデータの送受信を行う。PSTN I/F32は、具体的には、NCU(Network Control Unit)又は半導体化DAAと、モデムとを含む。ネットワークI/F34は、LAN92に接続され、外部装置52とのデータ通信を実行する。
【0023】
<FAX送信処理>
FAX送信処理について、図3及び図4を参照して説明する。FAX送信処理の開始に際し、ユーザは、FAX装置10に送信対象となる原稿をセットし、上述した方法で、ユーザ認証を試みる。CPU12は、認証部30にてユーザ情報が検出された場合、FAX送信処理を開始する。この処理を開始したCPU12は、認証部30で検出されたユーザ情報を取得する(S100)。取得されたユーザ情報は、RAM16上に確保されたユーザ情報格納領域に記憶される。ユーザ認証を行った後、ユーザは、操作部26を操作し、相手先装置50のファクシミリ番号(以下、「FAX番号」という)を入力する。CPU12は、入力されたFAX番号を取得する(S102)。取得されたFAX番号は、RAM16上に確保されたFAX番号格納領域に記憶される。FAX番号を入力したユーザは、操作部26を操作し、FAX送信を開始させるための送信指示を入力する。CPU12は、送信指示が入力されるまで待機する(S104:No)。送信指示が入力された場合(S104:Yes)、CPU12は、読取部20を制御し、FAX装置10にセットされた原稿の読み取りが、読取部20で開始されるようにする(S106)。読取部20では、FAX装置10にセットされた原稿の読み取りが開始される。その後、CPU12は、処理をS108に移行する。CPU12は、読み取られた原稿に対応する画像データを、所定の符号化方式(MMR、MR又はMH等)で符号化し、符号化されたFAXデータを、RAM16上に確保されたFAXデータ記憶領域に記憶する。FAXデータ記憶領域には、最終的に、FAX装置10にセットされた全ての原稿に対応する画像データを符号化したFAXデータが、記憶される。読取部20での読み取りが終了し、FAXデータがRAM16上のFAXデータ記憶領域に記憶されるまでの間、S108以降の各処理は、読取動作及びFAXデータ生成処理と並行して実行されるようにしてもよい。
【0024】
読取部20での原稿の読み取りを開始させた後、CPU12は、本体参照処理を実行する(S108)。本体参照処理については、後述する。S108の本体参照処理を終了した後、CPU12は、通信履歴本体テーブルの参照結果が、「OK」又は「NG」の何れであるか判断する。本体参照処理の参照結果は、後述するよう、RAM16上に確保された参照結果格納領域に記憶されている。この参照結果が「NG」であった場合(S110:NG)、CPU12は、外部参照処理を実行する(S112)。外部参照処理については、後述する。S112の外部参照処理を終了した後、CPU12は、通信履歴外部テーブルの参照結果が、「OK」又は「NG」の何れであったか判断する。外部参照処理の参照結果は、RAM16上の参照結果格納領域に記憶されている。この参照結果が「NG」であった場合(S114:NG)、CPU12は、誤送信機能のための処理を実行する(S116)。誤送信機能のための処理は、ユーザにFAX番号を再入力させるための処理である。具体的に、CPU12は、表示部24を制御し、所定のメッセージが、表示部24に表示されるようにする。例えば、先に入力されたFAX番号は、通信履歴として管理されたFAX番号ではなく、誤入力されている可能性があること、及び、FAX番号を再入力することを内容とするメッセージが、表示部24に表示される。S116で、CPU12は、このメッセージに応じて、再入力されたFAX番号を、取得する。再入力されたFAX番号は、S102同様、RAM16上のFAX番号格納領域に記憶される。
【0025】
次に、CPU12は、S102で取得され、RAM16上のFAX番号格納領域に記憶されたFAX番号(以下、「S102のFAX番号」ともいう)と、S116で取得され、RAM16上のFAX番号格納領域に記憶されたFAX番号(以下、「S116のFAX番号」ともいう)とが一致するか判断する(S118)。FAX番号が一致しない場合(S118:No)、CPU12は、FAX送信処理を終了する。この場合、CPU12は、表示部24を制御し、例えば、2度入力されたFAX番号が一致していないため、今回のFAX送信を中止すること、及び、FAX送信を行う場合は、前回と同様の手順を再実行することを内容とするメッセージが、表示部24に表示されるようにしてもよい。
【0026】
S110で、本体参照処理の参照結果が「OK」であった場合(S110:OK)、若しくは、S114で、外部参照処理の参照結果が「OK」であった場合(S114:OK)、又は、S118でFAX番号が一致していた場合(S118:Yes)、CPU12は、処理を図4のS120に移行する。S120で、CPU12は、FAXデータの送信を開始する。具体的に、CPU12は、FAXデータの送信が開始されるよう、PSTN I/F32を制御する。S110又はS114で参照結果が「OK」であった場合(S110,S114:OK)、この送信の宛先は、S102のFAX番号である。S118でFAX番号が一致していた場合(S118:Yes)、この送信の宛先は、S116のFAX番号である。S116のFAX番号は、S102のFAX番号に一致する番号である。そのため、S118でFAX番号が一致していた場合(S118:Yes)のFAX送信の宛先は、S102のFAX番号でもある。送信されるFAXデータは、S106で読み取りが開始され、RAM16上のFAXデータ記憶領域に記憶されたFAXデータである。PSTN I/F32から、全てのFAXデータが送信された場合、CPU12は、今回の送信を終了する(S122)。FAX装置10と、相手先装置50及び交換機80との間で実行される手順は、PSTN90を介したFAX通信のための通信規格に従い、従来のFAX通信と同様にして行われる。そのため、この点に関する説明は、省略する。
【0027】
S122を実行した後、S120及びS122におけるFAX送信に関する通信履歴を、通信履歴本体テーブルに登録する(S124)。即ち、CPU12は、今回のFAX送信の通信履歴として、図2に示す通信履歴本体テーブルの管理項目とされた各情報が関連付けられたレコードを、新たに通信履歴本体テーブルに追加登録する。続けて、CPU12は、通信履歴本体テーブルに登録されたレコード数が、上限値であるか判断する(S126)。上限値は、S126の判断の基準となる基準数であって、通信履歴本体テーブルに登録可能なレコード数の上限である。上限値としては、「50」又は「10」といった値が例示される。上限値は、例えば、通信履歴本体テーブルのために確保可能なフラッシュROM18の記憶容量等を考慮し、適宜設定される。
【0028】
上限値が「50」であって、S122で、図2に示す「NO.#010」のレコードが、新たに登録されたとする。この場合、通信履歴本体テーブルに登録されたレコード数は「10」であり、上限値「50」未満であるから、CPU12は、S126を否定し(S126:No)、FAX送信処理を終了する。この他、上限値が「10」とされ、S122で、図2に示す「NO.#010」が、新たに登録されたとする。この場合、通信履歴本体テーブルに登録されたレコード数は、上限値「10」と同数であるから、CPU12は、S126を肯定し(S126:Yes)、外部登録処理を実行する。外部登録処理については、後述する。S126の外部登録処理を終了した後、CPU12は、通信履歴本体テーブルに登録された通信履歴を消去する(S130)。S130によって、通信履歴本体テーブルは、通信履歴が未登録の状態となる。その後、CPU12は、FAX送信処理を終了する。
【0029】
<本体参照処理>
図3のS108で実行される本体参照処理について、図5等を参照して説明する。本体参照処理を開始したCPU12は、フラッシュROM18に記憶された通信履歴本体テーブルにアクセスし、RAM16に読み出し、これに登録された先頭レコードを処理対象とする(S200)。このとき、CPU12は、先頭レコードにおいて関連付けられた各管理項目の各情報を取得(抽出)する。従って、後述する処理は、先頭レコードから最終レコードにかけて、順次、実行される。図2に基づけば、「NO.#001」のレコードが、処理対象とされる。
【0030】
次に、CPU12は、図3のS100で取得され、RAM16上のユーザ情報格納領域に記憶されたユーザ情報と、処理対象のレコードにおけるユーザIDのユーザ情報とが一致するか判断する(S202)。ユーザ情報が一致しない場合(S202:No)、CPU12は、処理をS212に移行する。ユーザ情報が一致する場合(S202:Yes)、CPU12は、図3のS102のFAX番号と、処理対象のレコードにおける相手先番号のFAX番号とが一致するか判断する(S204)。FAX番号が一致しない場合(S204:No)、CPU12は、処理をS212に移行する。FAX番号が一致する場合(S204:Yes)、CPU12は、処理対象のレコードにおけるコメントが、FAX送信を示す「TX」であるか判断する(S206)。「TX」ではない場合(S206:No)、CPU12は、処理をS212に移行する。「TX」である場合(S206:Yes)、CPU12は、処理対象のレコードにおける結果が、FAX送信成功を示す「OK」であるか判断する(S208)。「エラー」(送信失敗)又は「キャンセル」(送信停止)等であって、「OK」ではない場合(S208:No)、CPU12は、処理をS212に移行する。「OK」である場合(S206:Yes)、CPU12は、本体参照処理の結果としての参照結果に、「OK」を設定する(S210)。設定された参照結果「OK」は、RAM16上の参照結果格納領域に記憶される。参照結果「OK」は、S202〜S208での判断条件を全て満足するレコードが、通信履歴本体テーブルに登録されていることを示す。
【0031】
S212で、CPU12は、最終レコードが処理済みであるか判断する。最終レコードが未処理であって、最終レコードが処理済みではない場合(S212:No)、CPU12は、次のレコードを処理対象に設定する。このとき、CPU12は、S200と同様、処理対象とされたレコードにおいて関連付けられた、各管理項目の各情報を取得する。その後、CPU12は、処理をS202に戻し、取得した各情報に従い、S202以降の処理を、上記同様にして実行する。通信履歴本体テーブルに登録された全レコードを対象として、本体参照処理が実行され、最終レコードが処理済みである場合(S212:Yes)、CPU12は、本体参照処理の参照結果に、「NG」を設定する(S216)。設定された参照結果「NG」は、RAM16上の参照結果格納領域に記憶される。参照結果「NG」は、S202〜S208での判断条件を全て満足するレコードが、通信履歴本体テーブルに登録されていないことを示す。S210又はS216を実行した後、CPU12は、本体参照処理を終了し、処理を図3のS110に戻す。
【0032】
<外部参照処理>
図3のS112で実行される外部参照処理について、図6等を参照して説明する。外部参照処理を開始したCPU12は、外部装置52とデータ通信可能に接続されているか判断する(S300)。S300は、例えば、次のようにして行われる。CPU12は、LAN92によって構築されたネットワークに対して、ネットワークI/F34から所定の信号が送信されるよう、ネットワークI/F34を制御する。CPU12は、この送信に対して、ネットワークI/F34で、外部装置52から送信された応答が受信されない場合、S300を否定する(S300:No)。この場合、CPU12は、処理をS318に移行する。ネットワークI/F34で、外部装置52からの応答が受信された場合、CPU12は、S300を肯定する(S300:Yes)。この場合、CPU12は、処理をS302に移行し、通信履歴外部テーブルを取得する。S302で、CPU12は、外部装置52に対して、外部装置52に記憶された通信履歴外部テーブルの送信を要求する。この要求は、CPU12によって制御されるネットワークI/F34から送信される。続けて、CPU12は、ネットワークI/F34を制御し、要求に応じて外部装置52から送信された通信履歴外部テーブルを受信し、通信履歴外部テーブルを取得する。取得(受信)された通信履歴外部テーブルは、RAM16に記憶される。通信履歴外部テーブルは、例えば、図7に示すような、テーブルであって、管理項目として、通信履歴本体テーブル(図2参照)と、同一の項目を含む。通信履歴外部テーブルへの通信履歴(レコード)の登録は、外部登録処理(図4のS128、詳細は図8参照)によって行われる。通信履歴外部テーブルには、結果が「OK」で、コメントが「TX」である通信履歴(レコード)が登録される(図8のS402〜S406参照)。
【0033】
S302を実行した後、CPU12は、取得された通信履歴外部テーブルに、通信履歴が登録されているか判断する(S304)。通信履歴外部テーブルに、通信履歴に対応したレコードが1つも登録されていない場合、通信履歴は登録されていないとされる。通信履歴外部テーブルに、1以上のレコードが登録されている場合、通信履歴は登録されているとされる。通信履歴が登録されていない場合(S304:No)、CPU12は、処理をS318に移行する。通信履歴が登録されている場合(S304:Yes)、CPU12は、RAM16に記憶された通信履歴外部テーブルに登録された先頭レコードを処理対象とする(S306)。このとき、CPU12は、先頭レコードにおいて関連付けられた各管理項目の各情報を取得(抽出)する。従って、後述する処理は、先頭レコードから最終レコードにかけて、順次、実行される。図7に基づけば、「NO.#001」のレコードが、処理対象とされる。その後、CPU12は、S308〜S318の処理を、適宜実行する。ここで、S308は、図5のS202に対応する。S310は、図5のS204に、S312は、図5のS210に、S314は、図5のS212に、S316は、図5のS214に、S318は、図5のS216に、それぞれ対応する。即ち、S308〜S318の各処理は、図5のS202、S204、S210、及び、S212〜S216と同様にして実行される。そのため、S308〜S318に関する説明は、省略する。
【0034】
S312又はS318を実行した後、CPU12は、外部参照処理を終了し、処理を図3のS114に戻す。S312で設定され、RAM16上の参照結果格納領域に記憶される、外部参照処理の参照結果「OK」は、S308及びS310での判断条件を全て満足するレコードが、取得された通信履歴外部テーブルに登録されていることを示す。S318で設定され、RAM16上の参照結果格納領域に記憶される、外部参照処理の参照結果「NG」は、S308及びS310での判断条件を全て満足するレコードが、取得された通信履歴外部テーブルに登録されていないことを示す。外部参照処理では、図5のS206及びS208に対応する処理は、実行されない。これは、通信履歴外部テーブルでは、通信履歴として、結果が「OK」で、コメントが「TX」であるレコードのみが、登録されるためである。
【0035】
<外部登録処理>
図4のS128で実行される外部登録処理について、図8等を参照して説明する。外部登録処理を開始したCPU12は、S400〜S404を、適宜実行する。ここで、S400は、図5のS200に対応する。S402は、図5のS206に、S404は、図5のS208に、それぞれ対応する。即ち、S400〜S404の各処理は、図5のS200、S206及びS208と同様にして実行される。そのため、S400〜S404に関する説明は、省略する。外部登録処理では、図5のS202及びS204に対応する処理は、実行されない。これは、通信履歴外部テーブルには、通信履歴として、結果が「OK」で、コメントが「TX」であるレコードのみを登録することとしているためである。
【0036】
S404が肯定された場合(S404:Yes)、CPU12は、結果が「OK」で、コメントが「TX」である処理対象のレコードを、外部装置52に記憶された通信履歴外部テーブルに登録するための処理を制御する(S406)。S406で、CPU12は、外部装置52にアクセスするよう、ネットワークI/F34を制御する。具体的に、CPU12は、ネットワークI/F34を制御し、外部装置52に対して、処理対象のレコードを、通信履歴外部テーブルに登録することを要求する。CPU12は、この要求と共に、又は、この要求に対する外部装置52からの応答の受信に応じ、処理対象のレコードにおいて関連付けられた各管理項目の各情報を含むデータが、外部装置52に送信されるようにする。要求及びデータは、CPU12によって制御されるネットワークI/F34から送信される。外部装置52では、FAX装置10から送信される、各管理項目の各情報を含むデータが受信され、このデータを、通信履歴外部テーブルに登録するための処理が実行される。これによって、処理対象のレコードは、通信履歴外部テーブルに登録される。
【0037】
S402が否定された場合(S402:No)、S404が否定された場合(S404:No)、又は、S406を実行した後、CPU12は、処理をS408に移行し、この処理を実行する。S408が否定された場合(S408:No)、CPU12は、S410を実行する。ここで、S408は、図5のS212に対応し、S410は、図5のS214に対応する。即ち、S408及びS410の各処理は、図5のS212及びS214と同様にして実行される。そのため、S408及びS410に関する説明は、省略する。通信履歴本体テーブルに登録された全レコードを対象として、外部登録処理が実行された場合、CPU12は、S408を肯定し(S408:Yes)、外部登録処理を終了し、処理を図4のS130に戻す。
【0038】
外部登録処理を、図2に示す通信履歴本体テーブルと、図7に示す通信履歴外部テーブルを参照して、具体的に説明する。外部登録処理を開始したCPU12は、「NO.#001」のレコードを処理対象として設定する(S400)。「NO.#001」のレコードは、結果が「OK」で、コメントが「TX」であるため、CPU12は、S402及びS404を、それぞれ肯定し(S402,S404:Yes)、S406を実行する。これによって、外部装置52に記憶された通信履歴外部テーブルには、図7に示すように、「NO.#001」のレコードが登録される。その後、CPU12は、S408を実行する。通信履歴本体テーブルには、「NO.#001」以外のレコードが登録されている。そこで、CPU12は、S408を否定し(S408:No)、次に「NO.#002」のレコードを処理対象に設定し(S410)、再度、S402以降の処理を実行する。
【0039】
「NO.#002」のレコードは、結果は「OK」であるが、コメントが「RX PC」であって、「TX」ではない。そこで、CPU12は、S402を否定し(S402:No)、処理をS408に移行する。通信履歴本体テーブルには、さらに他の未処理のレコードが含まれている。CPU12は、S408を否定し(S408:No)、次に、「NO.#003」のレコードを処理対象に設定し(S410)、再度、S402以降の処理を実行する。「NO.#003」のレコードは、コメントは「TX」であるが、結果が「エラー」(送信失敗)であって、「OK」ではない、そこで、CPU12は、S402を否定し(S402:No)、処理をS408に移行し、S408及びS410等の処理を、順次、繰り返して実行する。この場合、図2に示す通信履歴本体テーブルでは、「NO.#004」及び「NO.#005」の各レコードについて、S402及びS404が、それぞれ肯定され(S402,S404:Yes)、S406が実行され、図7に示すように、これら各レコードが、通信履歴外部テーブルに、追加登録される。
【0040】
その後、処理が進行すると、最後に、「NO.#010」のレコードが、処理対象とされる(S410)。「NO.#010」のレコードは、結果が「OK」で、コメントが「TX」であるため、CPU12は、S402及びS404を、それぞれ肯定し(S402,S404:Yes)、S406を実行する。これによって、外部装置52に記憶された通信履歴外部テーブルには、図7に示すように、「NO.#010」のレコードが、追加登録される。その後、CPU12は、S408を実行する。この時点では、最終レコードである「NO.#010」のレコードが処理済みであるため、CPU12は、S408を肯定し(S408:Yes)、外部登録処理を終了する。
【0041】
<本実施形態による効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0042】
(1)FAX送信処理(図3、図4参照)では、本体参照処理(S108参照)及び外部参照処理(S112参照)の何れにおいても、参照結果が「NG」となる場合(S110,S114:NG参照)、S116が実行され、且つ、S102のFAX番号と、S116のFAX番号とが一致する場合(S118:Yes参照)、FAX送信が開始(S120参照)されることとした。そのため、例えば、これまでFAX送信したことがない相手先装置50にFAX送信するような場合、誤ったFAX番号が入力され、FAXデータが、誤った相手先装置50にFAX送信されてしまうといった事態の発生を、未然に防止することができる。S116が実行された場合において、S118で、S102のFAX番号と、S116のFAX番号とが一致しない場合(S118:No参照)、FAX送信処理を終了することとした。入力されたFAX番号が不確定な状態で、FAXデータが、FAX送信されることを防止することができる。
【0043】
(2)本体参照処理(図3のS108,詳細は図5参照)では、通信履歴本体テーブルに登録されたレコードを、個々に処理対象とし、処理対象のレコードが、既に実行されたFAX通信のうち、FAX送信(TX)に成功(OK)した通信履歴に対応したレコードであるかを、判断する(図5のS206,S208参照)こととした。そのため、S102のFAX番号が、過去に、FAX送信に成功したFAX番号であるか否かが判断され、好適にFAX番号の誤入力を検出することができる。本体参照処理では、ユーザ情報の一致も判断され(S202参照)、S206及びS208の判断は、ユーザ自身が既に行ったFAX送信を対象として行われる。ユーザは、FAX番号の誤入力に関し、自身が把握しているFAX送信に基づいた判断がなされるため、FAXデータの誤送信に対し、安心することができる。
【0044】
(3)通信履歴本体テーブルにされた登録された通信履歴のレコード数が、上限値である場合(図4のS126:Yes)、外部登録処理を実行し(図4のS128、詳細は図8参照)、通信履歴本体テーブルに登録された通信履歴を、通信履歴外部テーブルに登録することとした。その際、通信履歴本体テーブルに登録された通信履歴のうち、結果が「OK」で、且つ、コメントが「TX」であるレコードが、通信履歴外部テーブルに登録される(図8のS402,S404:Yes、S406参照)。そのため、通信履歴を好適に管理することができる。通信履歴外部テーブルに登録されるレコード数を、低減することができる。レコード数が低減されると、外部登録処理、特に、S406の処理に要する時間を短縮することができる。外部参照処理では、処理対象となるレコードが、結果が「OK」で、且つ、コメントが「TX」であるレコードに限定されるため、この処理についても、効率よく実行することができる。この他、通信履歴外部テーブルのデータ容量を少なくすることも可能で、外部装置52の記憶領域を有効に活用することができる。
【0045】
<変形例>
本実施形態は、次のようにしてもよい。
【0046】
(1)FAX送信処理(図3、図4参照)で、本体参照処理(S108参照)、外部参照処理(S112参照)、及び、外部登録処理(S128参照)が、実行されることとした。これら3つの処理のうち、外部参照処理、及び、外部登録処理は、省略してもよい。例えば、外部装置52とのデータ通信機能を有さないFAX装置である場合、外部参照処理、及び、外部登録処理は、実行されない。本体参照処理で用いられる通信履歴本体テーブルは、フラッシュROM18に記憶されていることとしたが、これとは異なる記憶装置に記憶されていてもよい。通信履歴本体テーブルは、例えば、FAX装置10がUSB接続のための接続口を備える場合、USB接続された記憶装置に記憶され、メモリカードスロットを備える場合、メモリカードスロットに装着されたメモリカードに記憶されていてもよい。
【0047】
(2)本体参照処理(図3のS108,詳細は図5参照)では、ユーザ情報の一致(S202参照)、FAX番号の一致(S204参照)、コメントが「TX」であるか(S206参照)、及び、結果が「OK」であるか(S208参照)に従い、参照結果の「OK」又は「NG」を判断することとした。このような、判断条件は、その一部を省略、追加又は置換する等してもよい。例えば、ユーザ情報の一致を判断しない(S202省略)ようにしてもよい。この場合、ユーザ個々によらず、S102のFAX番号が、FAX装置10で、FAX送信が成功したFAX番号と同一であれば、本体参照結果の参照結果が「OK」となり、他のユーザによるFAX送信の結果に基づき、誤入力及び誤送信を防止することができる。この他、結果が「OK」であるかを判断しない(S208省略)ようにしてもよい。FAX番号が、相手先装置50の名称(相手先名称)と、相手先装置50のFAX番号とが関連付けられた、所謂、アドレス帳データベース(電話帳データベース)を操作して入力されるような場合、入力されたFAX番号に対応する相手先名称と、通信履歴本体テーブルの相手先名称との一致を判断するようにしてもよい。相手先名称による判断条件を採用する場合、FAX番号の一致に関する判断条件は、省略してもよい。外部参照処理(図6参照)のS308、S310、又は、外部登録処理(図8参照)のS402、S404についても、上記同様、判断条件は、その一部を省略、追加又は置換する等してもよい。判断条件を、少なくすると、本体参照処理、外部参照処理、及び、外部登録処理の各処理において、処理速度を、向上させることができる。
【0048】
(3)上記では、図6の外部参照処理のS302で、外部装置52に記憶された通信履歴外部テーブルが取得され、CPU12が、自装置において、S304〜S310、S314及びS316を実行することとした。この他、外部装置52が、S304〜S310、S314及びS316に対応する処理を行い、これら各処理の結果として、参照結果「OK」又は「NG」を判断し、判断された参照結果を、FAX装置10に送信する、ようにしてもよい。この場合、S302のタイミングで、CPU12は、図3のS100で取得されたユーザ情報と、図3のS102で取得されたFAX番号とを含むデータ等が、ネットワークI/F34から外部装置52に送信されるよう、ネットワークI/F34を制御する。外部装置52では、送信される前述のデータ等に従い、前述の各処理を実行し、その後、参照結果を、FAX装置10に送信する。CPU12は、ネットワークI/F34を制御し、参照結果を受信する。CPU12は、受信された参照結果が「OK」であった場合、S312を実行し、受信された参照結果が「NG」であった場合、S318を実行する。FAX装置10での処理負荷を低減することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 ファクシミリ装置(FAX装置)
12 CPU、 14 プログラムROM、 16 RAM
18 フラッシュROM、 20 読取部、 22 印刷部、 24 表示部
26 操作部、 28 計時部、 30 認証部
32 PSTNインターフェース(PSTN I/F)
34 ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)
50 相手先装置、 52 外部装置、 80 交換機
90 PSTN、 92 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取り、読み取られた原稿に対応するファクシミリデータを、通信回線を介して、相手先装置にファクシミリ送信するファクシミリ装置であって、
ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力するための操作部と、
前記通信回線に接続される第一通信部と、
前記第一通信部を制御する第一通信制御部と、
前記操作部を介してファクシミリ番号が新たに入力された場合、前記ファクシミリ装置で既に実行されたファクシミリ送信のためのファクシミリ番号に対応する相手先情報が登録された第一記憶部に、新たに入力された第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、登録されているか判断する第一判断部と、
前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記操作部を介して、再度、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力させるための処理を制御する再入力部と、を備え、
前記第一通信制御部は、
前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていると、前記第一判断部にて判断された場合、前記第一のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御し、
前記再入力部による処理によって、前記操作部を介して、再度、入力された第二のファクシミリ番号が、前記第一のファクシミリ番号と一致する場合、前記第二のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御する、ファクシミリ装置。
【請求項2】
前記第一記憶部には、相手先情報と、前記ファクシミリ装置で既に実行されたファクシミリ送信の送信結果と、が関連付けて登録され、
前記第一判断部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録され、且つ、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されているか判断し、
前記再入力部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていない、又は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記操作部を介して、再度、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力させるための処理を制御する、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記第一通信制御部は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されていると、前記第一判断部にて判断された場合、前記第一のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御する、請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記ファクシミリ装置は、
前記第一記憶部を記憶すると共に、
前記ファクシミリ装置で既に実行されたファクシミリ送信のためのファクシミリ番号に対応する相手先情報が登録された第二記憶部を記憶する外部装置が接続された前記通信回線とは異なる通信ネットワークに接続される第二通信部と、
前記第二通信部を制御する第二通信制御部と、を備え、
前記第二通信制御部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記外部装置にアクセスするよう、前記第二通信部を制御し、
前記第一判断部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第二記憶部に登録されているか判断し、
前記再入力部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部及び前記第二記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記操作部を介して、再度、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力させるための処理を制御し、
前記第一通信制御部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部又は前記第二記憶部に登録されていると、前記第一判断部にて判断された場合、前記第一のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御する、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記ファクシミリ装置は、
前記ファクシミリ装置でファクシミリ送信が実行された場合、実行されたファクシミリ送信のためのファクシミリ番号に対応する相手先情報を、前記第一記憶部に追加登録する第一登録部と、
前記第一記憶部に登録された相手先情報が、基準となる基準数であるか判断する第二判断部と、
前記第一記憶部に登録された相手先情報が基準数であると、前記第二判断部にて判断された場合、前記第二通信制御部にて制御される前記第二通信部を介して、前記第一記憶部に登録された相手先情報を、前記第二記憶部に追加登録するための処理を制御する第二登録部と、を備える、請求項4に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記第一記憶部には、相手先情報と、前記ファクシミリ装置で既に実行されたファクシミリ送信の送信結果と、が関連付けて登録され、
前記第一登録部は、前記ファクシミリ装置でファクシミリ送信が実行された場合、実行されたファクシミリ送信のためのファクシミリ番号に対応する相手先情報を、ファクシミリ送信の送信結果に関連付けて、前記第一記憶部に追加登録し、
前記第二登録部は、前記第一記憶部に登録された相手先情報が基準数であると、前記第二判断部にて判断された場合、前記第二通信制御部にて制御される前記第二通信部を介して、前記第一記憶部に登録された相手先情報のうち、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果に関連付けられている相手先情報と、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果と、を関連付けて、前記第二記憶部に追加登録するための処理を制御し、
前記第一判断部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録され、且つ、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されているか判断し、
前記第二通信制御部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されていない、又は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記外部装置にアクセスするよう、前記第二通信部を制御し、
前記再入力部は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部及び前記第二記憶部に登録されていない、又は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されていないと、前記第一判断部にて判断された場合、前記操作部を介して、再度、ファクシミリ送信の対象となる相手先装置のファクシミリ番号を入力させるための処理を制御し、
前記第一通信制御部は、ファクシミリ送信の成功を示す送信結果が、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報に関連付けて、前記第一記憶部に登録されている、又は、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第二記憶部に登録されていると、前記第一判断部にて判断された場合、前記第一のファクシミリ番号の相手先装置に、ファクシミリデータがファクシミリ送信されるよう、前記第一通信部を制御する、請求項5に記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
前記ファクシミリ装置は、ユーザに対応するユーザ情報を検出する認証部を備え、
前記第一記憶部には、相手先情報と、ユーザ情報と、が関連付けて登録され、
前記第一判断部は、前記認証部によって新たに検出されたユーザ情報に関連付けられた相手先情報を対象として、前記第一のファクシミリ番号に対応する相手先情報が、前記第一記憶部に登録されているか判断する、請求項1から請求項6の何れか1項に記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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