説明

ファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体

【課題】本発明はファクターVIIIのC1ドメインに結合するファクターVIII阻害因子に対する抗イデオタイプ抗体に関するものであり、また、この抗イデオタイプ・モノクローナル抗体、この抗イデオタイプ・モノクローナル抗体の医薬品としての利用、より具体的には血友病Aの治療のための医薬品の製造におけるその利用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はファクターVIIIのC1ドメインに結合するファクターVIII阻害因子モノクローナル抗イデオタイプ抗体、このモノクローナル抗イデオタイプ抗体を産出する細胞株、そして、このモノクローナル抗イデオタイプ抗体の医薬品としての利用に関するものであり、さらに具体的には、血友病Aの治療のための医薬品製造のためのそのモノクローナル抗イデオタイプ抗体の利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血友病Aは、その病気に罹病している人における凝血を阻害する染色体Xの異常に関連した遺伝的な疾病である。
この病気は凝血に関与する蛋白質、つまりファクターVIII(FVIIIとも表記)蛋白質の遺伝子における突然変異の結果であり、血液中にファクターVIIIがまったく存在しないか、あるいはその部分的な欠損によって起きる病気である。
【0003】
血友病Aは凝血に影響を及ぼす最も一般的な不全であり、フランスにおいては、5000人に1名の男性においてこの病気の発症が見られ、それは血友病患者全体の80%を占めている。
他のタイプの血友病である血友病Bが血友病Bの20%を占めており、ファクターIXとして知られる他の凝固因子における欠損によって引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在行われている血友病(タイプA及びタイプB)に対する治療は、欠損している、あるいは存在しない因子を静脈注射する方法で行われている。
フランスにおいては、血友病治療のためのファクターVIIIはLaboratoire Francais du Fractionement et des Biotechnologies (LFB)あるいは国際的な薬学研究機関によって提供される血液製剤の形態か、あるいは、遺伝子操作方法によって調製される遺伝子組み換え医薬品の形態で提供されている。
好適に、ファクターVIIIをコード表現するDNAが哺乳動物の細胞において単離、発現され(Wood et al., Nature(1984)312:330−337)、そのアミノ酸配列がcDNAから推測された。
【0005】
分泌されたファクターVIII(FVIII)は分子量が300Kda(2332個のアミノ酸で構成されている)糖蛋白で、内在性の凝血経路の活性化において中心的な役割を果たしている。
不活性のファクターVIIIは6つの領域、つまり、N末端からC末端の方向に向けて、A1(残基1−372)、A2(残基373−740)、B(残基741−1648)、A3(残基1690−2019)、C1(残基2020−2173)、及びC2(残基2173−2332)で構成されている。
分泌後、ファクターVIIIはフォン・ヴィレブランド因子(vWF)と反応し、これがファクターVIIIを血漿蛋白質分解酵素から護ってくれる。
トロンビンで切断するとファクターVIIIはvWFから分離する。
この切断によって、Bドメインがなくなり、異種二量体が形成される。ファクターVIIIはこの形で血漿内を循環する。
この二量体は重鎖(A1、A2)と軽鎖(A3、C1、C2)で構成されている。
【0006】
ファクターVIIIが血友病患者に注入されると、それは患者の血液循環の過程でフォン・ヴィレブランド因子と結合する。
活性化されたファクターVIIIは活性化されたファクターIXの共同因子として作用し、ファクターXの活性化ファクターXへの転換を加速する。
活性化されたファクターXはプロトロンビンをトロンビンに変わる。
すると、トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンに変え、それによって血液の凝固が起きる。
【0007】
ファクターVIIIの投与に伴う最大の問題は、患者の体内でのファクターVIIIに対する抗体の出現で、この因子は『阻害因子』と呼ばれる。
これらの因子はファクターVIIIの凝血促進作用を中性化してしまい、ファクターVIIIは注入されるとすぐ中性化されてしまう。
従って、投与された凝固因子は出血が止まる前に破壊されてしまい、これが事態を複雑にして、治療を無効にしてしまう。
さらに、一部の遺伝的に血友病ではない患者においてもファクターVIIIに対する阻害因子が形成されてしまい、これは後天性血友病と呼ばれる。
【0008】
この抗ファクターVIII免疫反応はほとんどの場合がIgG4及びIgG1亜綱、そして稀にはIgG2に属するポリクローナルIgGタイプであることが、研究によって示されている。
IgG3亜綱は決して示されない。
この軽鎖はしばしばカッパー・タイプと呼ばれる。
IgG4が過剰に示されるのは、長期間にわたって確立された阻害因子を有する血友病患者に多く診られる。
ファクターVIII分子のC2及びA2ドメインはこの免疫反応の好ましい標的であるが、いくつかの場合、A3ドメインに対する抗体も検出される。
血友病患者の血漿を固定化されたファクターVIIIによる免疫吸着カラムを通過させると、すべての抗ファクターVIII抗体を精製することができる。
回収量は総IgGの10mgあたり100μg以上であることが多い(Gilles JG et al.(1933)Blood;82:2452−2461)。
ファクターVIIIの阻害因子の形成を調べるための動物モデルが開発されており、ヒト組み換えファクターVIIIで免疫化されたラットは、ポリクローナル・タイプの急速な免疫反応を示す(Jarvis et al., Thromb Hoemost.1996 Fed;75(2):318−25)。
抗ファクターVIII抗体がファクターVIIIの機能に干渉するメカニズムは多数あり、ファクターVIIIの蛋白質分解切断への干渉、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)、リン脂質(PL)、ファクターIX、活性化ファクターX(FXa)、あるいはAPC(活性化蛋白質C)などの異なったパートナーとのファクターVIIIの相互作用への干渉などである。
【0009】
この免疫反応の結果を緩和することができるいくつかの措置があり、例えば、ファクターVIIIの産出を促進する人工的なホルモンであるデスモプレシンを用いた治療、プロトロンビン複合体の濃縮物や活性化されたプロトロンビン複合体の濃縮部などの凝血促進剤、組み換えファクターVIIa、血漿交換、あるいは大量あるいは中程度の量のファクターVIIIを用いた治療などである。しかしながら、これらの治療は経費が高く、しかも有効性は低い。
【0010】
この免疫反応のin vivo分析の複雑さの故に、ファクターVIIIの一定のドメインに対するモノクローナル抗体がいくつかの研究チームによって単離されている。
こうした事情で、IgG4カッパー・タイプというヒト・モノクローナル抗体が単離された。
この抗体はファクターVIIIのC1領域に対するもので、ファクターVIIIの活性と、そのフォン・ヴィレブランド因子への結合を阻害する(Jacquemin et al.,(2000)Blood 95:156−163)。
同様に、阻害因子を伴い血友病の患者のメモリーB細胞のライブラリーからつくられたB02C11(IgG4カッパー)と呼ばれるファクターVIIIのC1ドメインに対するヒトのモノクローナル抗体も単離されている(Jacquemin et al.,(2000)Blood 1998Jul 15;92(2):496−502)。
B02C11はファクターVIIIのC2ドメインを識別し、そのフォン・ヴィレブランド因子及びリン脂質への結合を阻害する。
それは、天然及び活性化されたファクターVIIIの凝血促進活性を完全に阻害する。
モノクローナル抗体のさらに別の例はファクターVIIIのA2ドメインに対するB0IIB2抗体である。
このB0IIB2抗体抗体はファクターVIIIの活性を98%阻害する。
A2ドメインに結合することで、この抗体はFIXaの結合に干渉してそれを阻害する。
そして、FIXaはファクターVIIIのこの領域の低親和性結合サイトを含んでいるので、従って、FIXaの酵素活性が阻害される。
二番目に考えられる作用経路は、ファクターVIIIの二量体形態(A2:A1及びA3:C1:C2 )とファクターVIIIの二量体形態(A2及びA1とA3:C1:C2)との間の均衡を、これらの複合体のA2ドメインの解離を加速させることで干渉して、それらの機能を失わせることである(Ananyeva NM et al.,(2004)Blood Coagul Fibrinolysis.Mar.15(2):109−24,Review)。
【0011】
これらの新しい手段の助けを借りて、さらに、ファクターVIII阻害因子抗体に対するより最近の戦略的な取り組みでは、上記阻害因子抗体を中性化する抗イデオタイプ抗体(他の抗体の可変領域と相互作用する能力を有する抗体)の投与が検討されている(Sait−Remy JM et al.,(1999) Vox Sang;77(suppl 1):21−24)。
資料WO 2004/014955で化維持されている14C12という名称で知られているマウスの抗イデオタイプ抗体は、ファクターVIII標的抗体(モノクローナル抗体BO2C11)の阻害性能を、投与量に依存した形態でin vivoで中性化する。
ファクターVIIIのA2ドメインに向けられたポリクローナル・マウス抗イデオタイプ抗体を用いた抗ファクターVIII免疫反応も開発されている(これも特許出願FR 05 08320に述べられている)。
A2ドメインは43kDのドメインで、その機能は未だ十分には解明されていないが、ファクターVIIIのA2ドメインに向けられた阻害性抗体が、遷移状態での複合体FXase/FXの転換を阻害することでファクターVIIIの機能を阻害することが示されている(Lollar et al., J Clin Invest.1994 Jun:93(6):2497−504, Fay et al.,J Biol Chem.1996;271(11):6027−6032)。
【0012】
しかしながら、ファクターVIIIに対する免疫反応はポリクローナル性のものであるから、従って、阻害性抗体はA2及びD2ドメインとは異なったドメインに対するものであることが示唆される。
実際、抗ファクターVIII抗体のエピトープ特性の研究がこれらの阻害因子の大部分がその重鎖のA2ドメイン及び/又は軽鎖のC2ドメイン上に位置するファクターVIII分子の限定された範囲を認識することを示しているとしても、他のエピトープもしばしば認識されている。
実際、患者からの血漿の一部はファクターVIIIの軽鎖のC1ドメインに結合することができる抗体を含んでいる(Moreau et a.,2000;95(11):3435−441;Jacquemin et al.,2000;95(1):156−162)。
【0013】
従って、血友病患者の抗ファクターVIIIポリクローナル反応をより完全に中性化させるために、ファクターVIIIの他の阻害抗体の中性化を可能にするさらに別の手段に対する必要性が常に存在している。
【0014】
従って、本出願者はファクターVIIIのC1ドメインに向けられた阻害抗体の中性化を可能にする血友病Aを治療するための新しい手段を開発する努力を重ねてきた。
【0015】
従って、本発明の第1の目的は、ファクターVIIIヒト阻害抗体に対するモノクローナル抗イデオタイプ抗体において、上記阻害抗体がファクターVIIIのC1ドメインに対するものであり、上記抗体の各軽鎖の少なくとも1つのCDR領域(相補性決定領域)が配列SEQ ID No.12,配列SEQ ID No.13,及び配列SEQ ID No.14から選択される配列に対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド配列を含んでおり、そして、上記抗体の各重鎖の少なくとも1つのCDR領域が配列SEQ ID No.9,配列SEQ ID No.10,及び配列SEQ ID No.11から選択される配列に対して少なくとも70%の同一性を有していることを特徴とするモノクローナル抗イデオタイプ抗体に関するものである。
【0016】
関連するCDR領域はCDR1及び/又はCDR2及び/又はCDR3である。
【0017】
配列SEQ ID No.9、SEQ ID No.10、SEQ ID No.11、SEQ ID No.12、SEQ ID No.13、及びSEQ ID No.14がKobatによって定義されている[Kobat et al.,“Sequence of Proteins of Immunological Interrest”,NIH Publication,91−3242(1991)]。
【0018】
特に好適な1つの実施の形態で、上に述べた各配列の一致度は少なくとも80%、好ましくは95%、95%、99%、そしてより好ましくは100%である。
一致度の%は比較される2つの配列を並べて、そして同一のアミノ酸を有する位置の数を数え、この数をその配列のアミノ酸の総数で割ることによって計算される。
いずれにしても、これらの配列の違いはそのモノクローナル抗体の標的に対する親和性、あるいはその機能性にはまったく影響を及ぼさない。
【0019】
ファクターVIIIの『阻害抗体』あるいは『阻害因子』とは、ファクターVIIIの凝血活性のすべて、あすいはその一部をそれと結合することによって阻害する因子、特にそのエピトープがファクターVIII上に存在している抗ファクターVIII抗体を意味している。
好適に、本発明による抗体は本発明の抗イデオタイプ抗体の標的であるファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害因子の凝血阻害活性の少なくとも20%、好適には少なくとも30%、好適には少なくとも40%、好適には少なくとも50%、好適には少なくとも60%、そしてさらに好適には、少なくとも70%、80%、90%、99%、あるいは100%を中性化する能力を有している。
【0020】
阻害抗体の凝血阻害活性を中性化する能力は、『ファクターVIIIクロモゲン・テスト』などのアッセイで、阻害抗体及び抗イデオタイプ抗体の存在下でのファクターVIIIの活性を測定することによって判定される。(Jacquemin et al.,(1998)Blood 92.494−506)。
【0021】
『抗イデオタイプ抗体』という表現は、標的阻害抗体の可変領域に対する抗体を意味している。
本発明の1つの特殊な実施態様においては、本発明による抗イデオタイプ抗体は阻害抗体に対するものであり、上記抗体の重鎖の可変ドメインは生殖細胞系DP−10に関係している。
こうした阻害抗体はヒト(例えば、阻害抗体を有する患者の血清)から、あるいはマウス、ウマ、ヤギ、ヒト以外の霊長類などから、ファクターVIIIあるいはファクターVIIIから得られるフラグメント、そしてより具体的にはC1ドメインの全体あるいは一部を含むフラグメントによって免疫化することで得ることが出来る。
【0022】
好適に、本発明による抗イデオタイプ抗体の標的阻害抗体はその天然のままの構成におけるC1ドメインを認識する。
好適に、本発明による抗イデオタイプ抗体の標的阻害抗体は 突然変異種であるR2150Hの同じドメインは認識しない。
【0023】
本発明によるモノクローナル抗イデオタイプ抗体はヒトからのものでも、動物からのものであってもよい。
さらに、それはさまざまな方法を用いて得ることができる。
例えば、抗イデオタイプ抗体を産出する細胞を抗ファクターVIII阻害抗体を有する患者の抹消血液リンパ球からでも健康な人からでも得ることが出来る。
これらの細胞は当業者に周知の技術を用いて不死化させ、産出された抗イデオタイプ抗体のファクターVIIIに対する阻害抗体を中性化する能力によって選択することができる。
本発明によるさらに別の、モノクローナル抗イデオタイプ抗体をつくる方法は動物、好適にはマウスから、ファクターVIIIのC1ドメインに対するファクターVIII阻害抗体を注入し、そして、脾臓リンパ球を骨髄腫細胞株、好適にはマウス骨髄腫の細胞株と共に溶融して、ファクターVIII阻害抗体に対する抗イデオタイプ抗体を産出する細胞培養体を確認、クローニングする方法である。
【0024】
本発明の好ましい1つの実施の形態で、本発明の抗イデオタイプ抗体の軽鎖の各CDR領域は配列SEQ ID No.12、SEQ ID No.13、及びSEQ ID No.14で表される配列と少なくとも70%の一致度をそれぞれ有しており、そして、上記抗体の各重鎖の各CDR領域は配列SEQ ID No.9、SEQ ID No.10、及びSEQ ID No.11と少なくとも70%の一致度を有するペプチド配列を有している。
【0025】
従って、本発明の抗体の各軽鎖のCDR1領域は
Arg Ala Ser Ser Ser Val Ser Tyr Met Asn
のアミノ酸配列を有している配列SEQ ID No.12と少なくとも70%の一致度を有するペプチド配列を有しており、本発明の抗体の各軽鎖のCDR2領域は
Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser
のアミノ酸を有している配列SEQ ID No.13と少なくとも70%の一致度を有するペプチド配列を有しており、本発明の抗体の各軽鎖のCDR3領域は
Gln Gln Trp Ser Ser Asn Pro Pro Met Leu Thr
のアミノ酸配列を有している配列SEQ ID No.14と少なくとも70%の一致度を有するペプチド配列を有しており、そして、本発明の抗体の各重鎖のCDR1領域は
Gly Tyr Thr Phe Thr Thr Tyr Trp Met His
のアミノ酸配列を有している配列SEQ ID No.9と少なくとも70%の一致度を有するペプチド配列を有しており、本発明の抗体の各重鎖のCDR2領域は
Tyr Ile Asn Pro Thr Ser Gly Tyr Thr Glu Tyr Asn Gln Asn Phe Lys Asp
のアミノ酸配列を有している配列SEQ ID No.10と少なくとも70%の一致度を有するペプチド配列を有しており、そして本発明の抗体の各重鎖のCDR3領域は
Ser Gly Ala Tyr Tyr Arg Tyr Asp Asp Ala Met Asp Ser
のアミノ酸配列を有している配列SEQ ID No.11と少なくとも70%の一致度を有するペプチド配列を有している。
1つの好適な方法では、上に述べた各配列の一致度は少なくとも80%、好ましく名90%、95%、99%、そしてより好ましくは100%である。
【0026】
好適に、本発明によるモノクローナル抗イデオタイプ抗体の各軽鎖の可変領域は
caaattgttc tctcccagtc tccagcaatc ctgtctgcat ctccagggga gaaggtcaca atgacttgca gggccagctc aagtgtaagt tacatgaact ggtatcagca gaagccagga tcctccccca aaccctggat ttatgccaca tccaacctgg cttctggagt ccctgctcgc ttcagtggca gtgggtctgg gacctcttat tctctcacaa tcagcagagt ggaggctgaa gatgctgcca cttattactg ccagcagtgg agtagtaacc cacccatgct cacgttcggt gctgggacca agctggagct gaaac
の核酸配列を有している核酸配列SEQ ID No.16と少なくとも70%の一致度を有する核酸配列によってコード表現され、そして、上記モノクローナル抗イデオタイプ抗体の各重鎖の可変領域は
caggtccagc ttcagcagtc tggggctgaa ctggcaaaac ctggggcctc agtgaagatg tcctgcaagg cttctggcta cacctttact acctactgga tgcactggat aaaacagagg cctggacagg atctggaatg gattggatac attaatccta cctctggtta tactgagtac aatcagaact tcaaggacaa ggccacattg actgcagaca aatcctccag cacagcctac atgcaactga acagcctgac atctgaggac tctgcagtct atttctgtgc aagatcgggg gcctactata ggtacgacga tgctatggac tcctggggtc aaggaacctc agtcaccgtc tcctcag
の核酸配列を有する核酸配列SEQ ID No.15と少なくとも70%の一致度を有する核酸配列によってコード表現される。
【0027】
本発明の目的を達成するために、例えば、配列SEQ ID No.1及び配列SEQ ID No.2をそれぞれつくりだすために、配列SEQ ID No.15及び配列SEQ ID No.16に信号ペプチドを加えることができ、この場合、そうした信号ペプチドによって本発明の抗体の活性や選択性に悪影響が生じることはない。
【0028】
核酸配列SEQ ID No.1は以下の核酸配列に対応する。
atgggatgga gctggatctt tctcttcctg ttttcagtaa ctgcaggtgt ccactcccag gtccagcttc agcagtctgg ggctgaactg gcaaaacctg gggcctcagt gaagatgtcc tgcaaggctt ctggctacac ctttactacc tactggatgc actggataaa acagaggcct ggacaggatc tggaatggat tggatacatt aatcctacct ctggttatac tgagtacaat cagaacttca aggacaaggc cacattgact gcagacaaat cctccagcac agcctacatg caactgaaca gcctgacatc tgaggactct gcagtctatt tctgtgcaag atcgggggcc tactataggt acgacgatgc tatggactcc tggggtcaag gaacctcagt caccgtctcc tcag.
【0029】
核酸配列SEQ ID No.2は以下の核酸配列に対応する。
atggattttc aggtgcagat tttcagcttc ctgctattca gtgcctcagt cataatgtcc agaggacaaa ttgttctctc ccagtctcca gcaatcctgt ctgcatctcc aggggagaag gtcacaatga cttgcagggc cagctcaagt gtaagttaca tgaactggta tcagcagaag ccaggatcct cccccaaacc ctggatttat gccacatcca acctggcttc tggagtccct gctcgcttca gtggcagtgg gtctgggacc tcttattctc tcacaatcag cagagtggag gctgaagatg ctgccactta ttactgccag cagtggagta gtaacccacc catgctcacg ttcggtgctg ggaccaagct ggagctgaaa c
【0030】
特に好適な1つの形態においては、配列の一致度は少なくとも80%、好ましくは少なくとも95%から99%の範囲である。
一致度の割合(%)は、比較される2つの配列を並べて、同じヌクレオチドを含む位置の数を数え、この数をその配列のヌクレオチドの総数で割って求める。
遺伝子コードの変質は、異なったヌクレオチドのいくつかの三つ組みで同じアミノ酸をコード表現できるという事実に導く。
いずれにせよ、モノクローナル抗イデオタイプ抗体の標的に対する親和性や、標的阻害抗体の阻害活性を中性化させる能力はこれらの配列の差によってもまったく影響を受けない。
【0031】
本発明の1つの好ましい形態においては、上記モノクローナル抗イデオタイプ抗体の各軽鎖の可変領域は核酸配列SEQ ID No.16によってコード表現され、そして、そのモノクローナル抗イデオタイプ抗体の各重鎖の可変領域は配列SEQ ID No.15によってコード表現される。
【0032】
1つの好適な実施形態では、本発明の抗体の軽鎖の各可変領域のペプチド配列は、
Gln Ile Val Leu Ser Gln Ser Pro Ala Ile Leu Ser Ala Ser Pro Gly Glu Lys Val Thr Met Thr Cys Arg Ala Ser Ser Ser Val Ser Tyr Met Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Ser Ser Pro Lys Pro Trp Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Ser Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Trp Ser Ser Asn Pro Pro Met Leu Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys
のアミノ酸配列を有する配列SEQ ID No.18に対して少なくとも70%、好適には少なくとも80%か90%、そしてより好適には少なくとも99%の一致度を有する配列である。
【0033】
本発明の目的を達成するために、例えば、配列SEQ ID No.3と配列SEQ ID No.4 をつくりだすために、配列SEQ ID No.17と配列SEQ ID No.18に信号ペプチドを加えることができ、この場合、本発明の抗体の活性も特異性もそうした信号ペプチドによって損なわれることはない。
【0034】
好適に、本発明の抗体の重鎖の各可変領域のペプチド配列は、
Met Gly Trp Ser Trp Ile Phe Leu Phe Leu Phe Ser Val Thr Ala Gly Val His Ser Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Ala Glu Leu Ala Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Met Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Thr Tyr Trp Met His Trp Ile Lys Gln Arg Pro Gly Gln Asp Leu Glu Trp Ile Gly Tyr Ile Asn Pro Thr Ser Gly Tyr Thr Glu Tyr Asn Gln Asn Phe Lys Asp Lys Ala Thr Leu Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser Thr Ala Tyr Met Gln Leu Asn Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys Ala Arg Ser Gly Ala Tyr Tyr Arg Tyr Asp Asp Ala Met Asp Ser Trp Gly Gln Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser
のアミノ酸配列を有する配列SEQ ID No.3に対して少なくとも70%、好適には少なくとも80%か90%、そしてさらに好適には少なくとも99%の一致度を有する配列である。
【0035】
本発明の抗体の各軽鎖のペプチド配列は
Met Asp Phe Gln Val Gln Ile Phe Ser Phe Leu Leu Phe Ser Ala Ser Val Ile Met Ser Arg Gly Gln Ile Val Leu Ser Gln Ser Pro Ala Ile Leu Ser Ala Ser Pro Gly Glu Lys Val Thr Met Thr Cys Arg Ala Ser Ser Ser Val Ser Tyr Met Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Ser Ser Pro Lys Pro Trp Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Ser Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Trp Ser Ser Asn Pro Pro Met Leu Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lysのアミノ酸配列を有する配列SEQ ID No.4に対して少なくとも70%、そして好適には少なくとも80%か90%、そしてさらに好適には少なくとも99%の一致度を有する配列であり、本発明の抗体の各重鎖のペプチド配列は配列SEQ ID No.3に対して少なくとも70%、そして好適には少なくとも80%か90%、そしてさらに好適には少なくとも99%の一致度を有する配列である。
【0036】
好ましくは、本発明の抗体の各軽鎖のペプチド配列は配列SEQ ID No.4である。
【0037】
好ましくは、本発明の抗体の各軽鎖のペプチド配列は配列SEQ ID No.3である。
【0038】
配列SEQ ID No.16から推定されるペプチド配列は配列SEQ ID No.18であり、配列SEQ ID No.15から推定されるペプチド配列は
Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Ala Glu Leu Ala Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Met Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Thr Tyr Trp Met His Trp Ile Lys Gln Arg Pro Gly Gln Asp Leu Glu Trp Ile Gly Tyr Ile Asn Pro Thr Ser Gly Tyr Thr Glu Tyr Asn Gln Asn Phe Lys Asp Lys Ala Thr Leu Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser Thr Ala Tyr Met Gln Leu Asn Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys Ala Arg Ser Gly Ala Tyr Tyr Arg Tyr Asp Asp Ala Met Asp Ser Trp Gly Gln Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser
のアミノ酸配列を有する配列SEQ ID No.17である。
好ましくは、本発明のモノクローナル抗イデオタイプ抗体の各掲載の可変領域はペプチド配列SEQ ID No.18を有しており、本発明のモノクローナル抗イデオタイプ抗体の各重鎖の可変領域はペプチド配列SEQ ID No.17を有している。
【0039】
好ましい実施形態では、本発明の抗イデオタイプ抗体の標的阻害抗体は2004年8月に、ベルギーのヘント大学(住所: Technologiepark 297,B−9052 Zwijnaarede, Belguium)の分子生物学研究所、ベルギー共同微生物/プラスミド・コレクション(BCCM/LMBP)にコーレン研究財団(Collen Researach Foundation)が登録番号LMBP 6165CBの名称で寄託した抗体RHD5である。
抗体RHD5は、最初に血友病A、つまり、高レベルの阻害因子を有する後天性の重篤な血友病の患者から得たリンパ球から産出されたファクターVIIIのCIドメインに対するヒト・モノクローナルIgG1抗体である。
この抗体は亜綱IgG1に属しており、生殖細胞株DP−10から生じるものである。
ファクターVIII上で該抗体によって認識されるエピトープはその天然の構成のC1ドメインであるが、R2150H突然変異を有する同じドメインではない。
抗体RHD5はファクターVIII活性を最大98%阻害することができる。
【0040】
本発明の抗体は1つ、あるいは複数のアミノ酸が置換あるいは欠失させられている本発明の特徴を有するすべての修飾抗体を含む。
そうした置換あるいは欠失はその分子上のどの位置であってもよい。
いくつかのアミノ酸が置換あるいは欠失されている場合、置換あるいは欠失のどのような組み合わせも想定できる。
本発明の抗体の可変領域のこうした配列修飾は、本発明の抗イデオタイプ抗体あるいは標的阻害抗体と接触する可能性のある残基の数を増大させるために行うことができる。
【0041】
本発明の1つの実施の形態で、抗イデオタイプ抗体はマウス抗体である。
【0042】
好適に、このモノクローナル抗イデオタイプ抗体はIgG1カッパーである。
【0043】
好ましくは、本発明のこのモノクローナル抗体はキメラ性抗体である。
『キメラ性抗体』という表現は、軽鎖及び重鎖の可変領域がそれら軽鎖及び重鎖の定常領域とは別の種に属していることを意味する。
従って、本発明の抗体は非マウス種に属する軽鎖及び重鎖の定常領域も含んでいる。
この点で、すべての非マウス哺乳動物族あるいは種を用いることができ、例えば、ヒト、サル、(マウス以外の)ネズミ類、イノシシ科、ヘビ科、ウマ科、ネコ科、イヌ科、それに鳥類などを用いることができる。
【0044】
本発明のキメラ性抗体は当業者の周知の組み換えDNAの標準技術を用いて、さらに具体的に言えば、例えば、Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Scie. U.S.A.,81.pp.6851−55(1984)に記載されている『キメラ性』抗体を用いて構成することができ、この場合、ヒト以外の哺乳動物由来の交代の重鎖の定常領域及び/又は軽鎖の定常領域をヒトの免疫グロブリンの対応する領域と置換するために、組み換えDNA技術が用いられる。
【0045】
本発明の1つの具体的な実施態様で、本発明の抗体はヒト・ハイブリッド抗体、つまり、その定常領域がヒトのものであるキメラ性抗体である。
この実施の形態はヒトにおける抗体の免疫原性の低下を可能にし、そのことによって、人間に対する治療のための投与でのその有効性を改善してくれる。
【0046】
好適に、本発明による抗体はヒト化された抗体である。
そうした抗体はヒト以外の種のモノクローナル抗体の1つあるいは複数のCDR領域(相補性決定領域)をヒトのフレームワーク領域(フレームワークとして知られる、可変領域の中でも保存性の非常に高い部分)で、その製造プロセスは先行技術で知られている(Jones et al., Nature(1996)321:522;Reichmann et al., Nature(1988)332:323)。
ファクターVIIIのC1領域を認識する阻害抗体の可変領域に向けられたヒト化された抗体はヒトのフレームワーク領域と、配列SEQ ID No.9、配列SEQ ID No.10、配列SEQ ID No.11、配列SEQ ID No.12、配列SEQ ID No.13、配列SEQ ID No.14のうちの1つあるいは複数のCDR領域を含むことができる。
本発明によるヒト化された抗体の1つはファクターVIIIのC1領域を認識する阻害抗体の可変領域に対するヒト化された抗体で、そのCDR領域は配列SEQ ID No.9、配列SEQ ID No.10、配列SEQ ID No.11、配列SEQ ID No.12、配列SEQ ID No.13、配列SEQ ID No.14の領域である。
【0047】
1つの好適な例で、本発明のモノクローナル抗イデオタイプ抗体はハイブリドーマ18B6によってつくられた抗体18B6で、これは国立微生物培養体コレクション(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes :CNCM:25 rue du Docteur Roux,75724 paris Cedex 15)に登録番号CNCM I−3559で寄託されている。
モノクローナル抗イデオタイプ抗体18B6の各軽鎖の可変領域は核酸配列SEQ ID No.16によってコード表現され、モノクローナル抗イデオタイプ抗体18B6の各重鎖の可変領域は核酸配列SEQ ID No.15によってコード表現される。
ハイブリドーマ18B6を入手するための方法は、本明細書の実施例の箇所に記載してある。
【0048】
本発明のモノクローナル抗イデオタイプ抗体は抗体18B6のフラグメントを含むすべての抗体を意味し、より具体的には、抗体18B6の軽鎖の可変領域及び/又は抗体18B6の重鎖の可変領域及を含むすべての抗体、さらには、抗体18B6の軽鎖の可変領域及び/又は重鎖の可変領域のいずれかのフラグメントを含む抗体も意味する。
『フラグメント』という表現は、F(ab’)12フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント、CDR領域、あるいはこれらのフラグメントや領域の修飾されたものを意味する。
【0049】
本発明の1つの具体的な実施の形態で、本発明のモノクローナル抗イデオタイプ抗体はF(ab’)12フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント、CDR領域、あるいはこれらのフラグメントや領域の修飾されたものである。
パパインで免疫グロブリンを酵素消化すると、『Fabフラグメント』(フラグメント抗原結合)と呼ばれるフラグメントとFcフラグメント(結晶可能な部分)の2つの同じフラグメントが得られる。Fcフラグメントは免疫グロブリンのエフェクター機能の基礎である。
【0050】
ペプシン消化を用いて、両方のフラグメントがジスルフィド結合で結合されたままのF(ab’)2フラグメントが発生させ、このFcフラグメントをいくつかのペプチドに分割する。
F(ab’)2フラグメントは2つのFab’フラグメント(Fabとヒンジ領域で構成される1つのFab’フラグメント)で形成され、F)ab’)2を形成するために懸垂線間ジスルフィド結合で結合される。
【0051】
抗体の結合サイトを含むこうしたフラグメントはその発生源である元の完全な抗体の属性の一部、例えば、相補体を活性化したり、Fcガンマ・レセプタを結合させたりする能力は失っているかもしれない。
しかし、これらのフラグメントは阻害抗体を中性化するという元の抗体の能力は失っていない。
従って、本発明は抗体18B6のF(ab’)12、Fab’、Fabフラグメント、あるいはCDR領域やこれらのフラグメントあるいは領域の修飾されたものなどもその範囲に含む。
特に、これらのフラグメントはRHD5抗体を中性化する元の抗体の能力を保持している。
【0052】
本発明のさらに別の目的は、上に述べたよう抗体を産出する安定した細胞株を提供することである。
本発明のこのような安定した細胞株はヒト由来、あるいは動物由来のいずれであってもよい。
本発明の安定した細胞株はヒトの不死化された細胞からつくりだすことができる。
本発明のさらに別の実施の形態では、この細胞株は、例えばマウスなどの動物由来の不死化させた細胞からつくりだされたものであってもよい。
本発明のこの実施の形態で得られる細胞株の1つの好ましい例は株18B6で、これはI−3559の番号でCNCMに寄託されている。
さらに別の実施の形態で、本発明の安定した細胞株は遺伝子の望ましい箇所に本発明の抗体を発現させる遺伝子構成を組み込んだ株である。
そうした細胞を獲得するためのステップは安定したトランスフェクションである。
このステップはin vitro培養物で保持できる限り、どんなタイプの細胞にも適用できる。
安定したトランスフェクションを行うためには、その遺伝子構成物の一体化が必要で、これは相同的組み換えで、あるいはランダムに行うことができる。
その細胞に対して抗生抵抗を与える問題の遺伝子を含む遺伝子構成物における正の選択カセットの存在は、例えば、その細胞ゲノムへのトランス遺伝子の挿入を示すものである。
サブ−クローニング・ステップの結果として、本発明の抗体、例えば18B6から長期間用いることができる産出用細胞を得ることが出来、この細胞はin vitro培養で保存することができる。
【0053】
本発明の抗体を発現するこの安定した細胞株は、ヒトの細胞株、齧歯類、例えばネズミなどの細胞株、SP2/0、YB2/0、IR983F、ナマルワなどのヒト骨髄腫、あるいはその他の例えばPERC6などのヒト由来の細胞株、それにCHO細胞株、つまりCHO−K−1、CHO−Lec10、CHO−Lec1、CHO−Lec13、CHO Pro−5、CHO dhfr−(CHO DX B11、CHO DG44)、あるいはさらに、Wil−2、Jurkat、Vero、Molt−4、COS−7、293−HEK、BHK、K6H6、NE0、SP2/0−Ag14、及びP3X63AbB8−653から選択される細胞株などから選択することができる。
【0054】
本発明のさらに別の具体的なものは,国立微生物培養体コレクション(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes :CNCM)に登録番号CNCM I−3559で寄託されているハイブリドーマ18B6である。
このハイブリドーマ18B6によって産出されるモノクローナル抗イデオタイプ抗体の各軽鎖の可変領域は核酸配列SEQ ID No.16によってコード表現され、ハイブリドーマ18B6によって産出されるモノクローナル抗イデオタイプ抗体の各重鎖の可変領域は核酸配列SEQ ID No.15によってコード表現される。
このハイブリドーマ18B6によって産出される抗体は抗体18B6で、ハイブリドーマ18B6を獲得するための方法は本明細書の『実施例』の箇所に記載されている。
【0055】
本発明のさらに別の主題は上に述べたような本発明の抗体の重鎖の可変領域をコード表現する配列SEQ ID No.15のDNAフラグメントである。
このDNAフラグメントは、好ましくは抗体のポリペプチドの発現を可能にするベクターに導入・保持することができる。
その抗体の重鎖の可変領域は核酸配列SEQ ID No.15によって発現され、それから誘導されるペプチド配列は配列SEQ ID No.17である。
このベクターはホスト細胞内でこの外来核酸フラグメントの発現を可能にするが、それはこのベクターがこの発現に必要な配列(プロモータ、ポリアデニルか配列、選択遺伝子)を含んでいるからである。
こうしたベクターは当業者には周知であり、アデノウィルス、レトロウィルス、プラスミド、ありはバクテリアファージなどであってもよい。
さらに、どの哺乳動物の細胞でもホスト細胞として、つまり、上記ポリペプチドや本発明による抗体を発現できる細胞として用いることができ、それらの細胞には、例えば、SP2/0、YB2/0、IR983F、マワルワなどのヒト骨髄腫、PERC6などのヒト由来のその他の細胞、細胞株CHO、つまり、CHO−K−1、CHO−Lec10、CHO−Lec1、CHO−Lec13、CHO Pro−5、CHO dhfr−、Wil−2、Jurkat,、Vero、Molt−4、COS−7、293−HEK、BHK、K6H6、NS0、SP2/0−Ag 14及びP3X63Ag8−653などである。
【0056】
本発明のさらに別の目的は、上に述べたような本発明の抗体の軽鎖の可変領域をコード表現する配列SEQ ID No.16のDNAフラグメントである。
このDNAフラグメントは好ましくは抗体のペプチドの発現を可能にするベクターに挿入することができ、ホスト細胞内に導入、保持することが可能である。
上記抗体の軽鎖の可変領域は核酸配列SEQ ID No.16によってコード表現することができ、その推定されるペプチド配列は配列SEQ ID No.18である。
このベクターは、その発現に必要不可欠な配列(プロモータ、ポリアデニル化配列、選択遺伝子)を含んでいるので、この外来核酸フラグメントを発現することができる。
こうしたベクターは当業者には周知であり、アデノウィルス、レトロウィルス、プラスミド、あるいはバクテリオファージなどであるが、これらだけに限定されるものではない。
さらに、どのような哺乳動物の細胞でもホスト細胞、つまり本発明のポリペプチドを発現する細胞として用いることができ、それらの細胞とは、例えば、SP2/0、YB2/0、IR983F、マワルワなどのヒト骨髄腫、PERC6などのヒト由来のその他の細胞、細胞株CHO、つまり、CHO−K−1、CHO−Lec10、CHO−Lec1、CHO−Lec13、CHO Pro−5、CHO dhfr−、Wil−2、Jurkat,、Vero、Molt−4、COS−7、293−HEK、BHK、K6H6、NS0、SP2/0−Ag14及びP3X63Ag8−653などである。
【0057】
本発明のさらに別の目的は本発明の抗体と少なくとも1つの賦形剤及び/又は1つの楽額的に許容される基剤を含んだ医薬品組成物を提供することである。
好ましくは、本発明の医薬品組成物に含まれるモノクローナル抗イデオタイプ抗体は抗体18B6、18B6のフラグメントあるいはその1つの領域であり、あるいは、18B6の可変領域あるいはCDRを含んでおり、本明細書ですでに述べてあるようなキメラ性あるいはヒト化された抗体もそれに該当する。
本発明の医薬品組成物は治療を受ける患者が受け入れることができるどのような賦形剤にでも入れて製剤化することができる。
そうした賦形剤としては、水、食塩水溶液、リンゲル液、デキストロース液、及びその他の適切な水性生理液などである。
これらの賦形剤はその組成物の等張性及び安定性を増大させるための添加剤を少量含んでいてもよい。
そうした賦形剤にはリン酸緩衝液、重炭酸緩衝液、及びトリス緩衝液などがある。
こうした賦形剤は当業者には周知である。
標準的な製剤は注入量の液体かあるいは投与する前に適切な液体に再懸濁させることができる固体製剤である。
本発明の医薬品組成物を作成するために通常用いられる基材は動物や患者におけるその治療用組成物の半減期を増大させたり、活性成分の放出を制御したりする機能を有している。
こうした基材としては有機性のものでも無機性のものでもよく、一定の割合で医薬品成分を流布させたり、あるいは一定の環境の下でだけ医薬品成分を流布させたりすることができる化合物、あるいはリポゾームなどもその目的のために使用することができる。
【0058】
好適に、本発明の医薬品組成物は、さらに、ファクターVIIIのC1ドメインとは異なったドメインに結合する阻害抗体に対する少なくとも1つの抗イデオタイプ抗体を含んでいる。
この抗体は、ファクターVIIIのA1、A3、あるいはB、A2あるいはC2ドメインと結合する阻害抗体に対する抗イデオタイプ抗体であってもよい。
実際、血友病Aに罹っていて阻害抗体を発生している患者は、ほとんどの場合、いくつかのタイプの阻害抗体を示す。
さらに、これら異なったタイプの阻害抗体の量と性質は一定ではなく、患者の一生を通じて変化を示す。
同じ患者にみられるこれらの異なった阻害抗体は、したがってファクターVIIIの異なったドメインに向けられ、したがって異なった阻害抗体に対して向けられる1つだけではなく複数のタイプの抗イデオタイプ抗体で患者を治療する上で極めて好適である。
【0059】
好ましくは、この医薬品組成物はファクターVIIIのC2ドメインに結合する阻害抗体及び/又はファクターVIIIのA2ドメインに結合する阻害抗体に対して向けられたモノクローナル抗イデオタイプ抗体と、本発明によるモノクローナル抗体を含んでいる。
実際、A2及びC2ドメインは抗ファクターVIII免疫反応の主要な標的である。
従って、ファクターVIIIのC1ドメインに結合する阻害抗体に向けられた抗イデオタイプ抗体とC2ドメインに結合する阻害抗体に対して向けられた抗イデオタイプ抗体の混合物を含んだ医薬品組成物は患者の体内に存在するすべての阻害抗体の少なくとも70%、好適には少なくとも80%あるいは90%を中性化する。
本発明の好ましい実施の形態では、本発明によるこの医薬品組成物は抗体14C13(ベルギー共同微生物コレクションにLMBP5878CBの登録番号で寄託)及び/又は抗体30D1(I−3450の登録番号でCNCMに寄託)を含んでいる。
本発明のさらに別の実施の形態においては、この医薬品組成物はCNCMにI−3510の登録癌号で寄託されているキメラ性抗体14C12及び/又は抗体30D1から得られたキメラ性あるいはヒト化された抗体、つまり抗体30D1の可変領域を含んだ抗体を含んでいる。
【0060】
本発明のさらに別の目的は、本発明を医薬品として用いることである。
【0061】
本発明のさらに別の目的は、本発明の抗体を医薬品製造のための用いることである。
好適に、そうした医薬品はファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体を原因とする血友病の患者の出血を減らしたり、阻止したり、あるいは治療したりするために用いられる。
【0062】
本発明のさらに別の目的は、本発明の抗体をタイプA血友病の治療に向けられた医薬品を製造するために用いることである。
【0063】
好適に、このようにして治療される血友病Aは阻害因子によって引き起こされる血友病である。
本発明の抗体によって治療されるこのタイプの血友病は先天的な場合と、後天的な場合とがある。
その阻害抗体を中性化することにより、本発明の抗体は患者に対するファクターVIIIの注入による治療を有効にする。
何故なら、ファクターVIIIの活性が阻害抗体によって阻害されないからである。
【0064】
本発明のさらに別の目的は、ファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体のin vitroあるいはin vivoでの阻害活性を中性化するための、本発明による抗体の利用である。
このプロセスは患者の血液からのファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体を枯渇させ、その血液を患者に再注入することによって行うことができる。
【0065】
本発明のさらに別の目的は、本発明による抗体、好ましくは抗体18B6を服務医薬品に関連している。
【0066】
本発明のさらに別の目的は、、例えばファクターVIII阻害抗体を生成するために、阻害抗体を吸収するために上記抗体を用いることである。
【0067】
最後に、本発明のもうひとつの目的は本発明による抗体をファクターVIII阻害抗体を検出及び/又は生成するために用いることである。
そうした検出及び精製法を実行する一般的なプロセスは当業者には周知である。
例として言えば、例えば、その表面に本発明の抗体を移植したビーズを含む免疫精製カラムの利用である。
その抗体によって認識された分子だけがそのビーズに固着する。他の分子はそのカラムを通過する。
その分子を回収するためには、その溶液のイオン強度を高めるだけで十分である。
【0068】
本発明のさらなる態様や利点は以下の実施例に述べるが、これらの実施例は本発明の説明を目的とするものであって、本発明の限定を意図するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0069】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、
ファクターVIIIヒト阻害抗体に対するモノクローナル抗イデオタイプ抗体において、
上記阻害抗体がファクターVIIIのC1ドメインに対するものであり、
上記抗体の各軽鎖の少なくとも1つのCDR領域(相補性決定領域)が配列SEQ ID No.12,配列SEQ ID No.13,及び配列SEQ ID No.14から選択される配列に対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド配列を含んでおり、
そして、
上記抗体の各重鎖の少なくとも1つのCDR領域が配列SEQ ID No.9,配列SEQ ID No.10,及び配列SEQ ID No.11から選択される配列に対して少なくとも70%の同一性を有していることを特徴とする。
また、
ファクターVIIIヒト阻害抗体に対するモノクローナ抗イデオタイプ抗体において、
上記阻害抗体が国立微生物培養体コレクション(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)にCNCM I−3559の番号で寄託されているハイブリドーマ18B6によって作り出されるファクターVIIIのC1領域に向けられたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0070】
この発明は、ファクターVIIIヒト阻害抗体に対するモノクローナル抗イデオタイプ抗体において、上記阻害抗体がファクターVIIIのC1ドメインに対するものであり、上記抗体の各軽鎖の少なくとも1つのCDR領域(相補性決定領域)が配列SEQ ID No.12,配列SEQ ID No.13,及び配列SEQ ID No.14から選択される配列に対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド配列を含んでおり、そして、上記抗体の各重鎖の少なくとも1つのCDR領域が配列SEQ ID No.9,配列SEQ ID No.10,及び配列SEQ ID No.11から選択される配列に対して少なくとも70%の同一性を有するモノクローナル抗イデオタイプ抗体を得ることにある。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、4匹のマウスにおける抗イデオタイプ抗体のRHD5に対する結合の増大(平均値)を示す図である。(実施例)
【図2】図2は、上記抗イデオタイプ抗体が不溶化された交代RHD5に直接結合した様子を示す図である。(実施例)
【図3】図3は、抗体RHD5の不溶化された組み換えファクターVIIIへの結合の阻害を示す図である。(実施例)
【図4】図4は、18B6によるRHD5の中性化を示す図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0073】
実施例1:ファクターVIIIのC1領域に対するヒト・モノクローナル抗体〈抗C1抗体〉の作成
【0074】
資料Jacquemin et al.(1998),Blood 92,496−506及び特許WO2005/016455で述べられている手順に従って、ファクターVIIIに対する免疫反応を示す血友病Aに罹った患者のBリンパ球を不死化することで、以下に述べるヒトのリンパ芽球様細胞を得た。
【0075】
モノクローナル抗C1 RHD5抗体を産出する細胞株は、2004年8月に、ベルギーのヘント大学(住所:Technologiepark 297,B−9052 Zwijnaarede,Belguium)の分子生物学研究所、ベルギー共同微生物/プラスミド・コレクション(BCCM/LMBP)にコーレン研究財団(Collen Researach Foundation)が登録番号LMBP 6165CBの名称で寄託された。
【0076】
RHD5抗体の重鎖の可変領域の核酸配列は
atggactgga cctggaggtt cctctttgtg gtggcagcag ctgcaggtgt ccagtcccag gtgcagctgg tgcagtctgg ggctgaggtg aagaagcccg ggtcgtcggt gatggtctcc tgcaaggctt ctggaggcac cttcagcagc tttggtatca gctgggtgcg acaggcccct ggacaagggc ttgagtgggt gggagggatc atccctatct ttggtacagc aaacaccgca cggaacttcc agaatagagt caccattacc gcggacgaat tcacgagcac agcctacata cgactgagga gcctgagatc tgaagatacg gccgtgtatt actgtgtcgg cggtcgagat gcctacagct ttgatggttt tgatgtctgg ggccaaggga caatggtcac cgtctcttca g
の核酸配列を有する配列SEQ ID No.5で、RHD5抗体の軽鎖の可変領域の核酸配列は
atggcatgga tccctctctt cctcggcgtc cttgtttact gcacaggatc cgtggcctcc tctgggctga ctcagccaca ctcagtgtcc gtgtccccag gacagacagc caacatcacc tgctctagag ataagttggg tcataaattt gcttcctggt atcaacagaa gccaggccag tcccctgctc ttctcatcta tcaagacagc aagcggccct cagggatccc tgagcgattc tctggctcca actctgggaa cacagccact ctgaccatca gcgggaccca ggctatggat gaggctgact attactgtca ggcgtgggac aacaccactg ccgtattcgg cggagggacc aagttgacag tcctaagtca gccca
の核酸配列を有する配列SEQ ID No.6である。
配列SEQ ID No.5に対応するペプチド配列は
Met Asp Trp Thr Trp Arg Phe Leu Phe Val Val Ala Ala Ala Ala Gly Val Gln Ser Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser Ser Val Met Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Thr Phe Ser Ser Phe Gly Ile Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Val Gly Gly Ile Ile Pro Ile Phe Gly Thr Ala Asn Thr Ala Arg Asn Phe Gln Asn Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Phe Thr Ser Thr Ala Tyr Ile Arg Leu Arg Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Val Gly Gly Arg Asp Ala Tyr Ser Phe Asp Gly Phe Asp Val Trp Gly Gln Gly Thr Met Val Thr Val Ser Ser
の核酸配列を有する配列SEQ ID No.7であり、配列SEQ ID No.6に対応するペプチド配列は
Met Ala Trp Ile Pro Leu Phe Leu Gly Val Leu Val Tyr Cys Thr Gly Ser Val Ala Ser Ser Gly Leu Thr Gln Pro His Ser Val Ser Val Ser Pro Gly Gln Thr Ala Asn Ile Thr Cys Ser Arg Asp Lys Leu Gly His Lys Phe Ala Ser Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Ala Leu Leu Ile Tyr Gln Asp Ser Lys Arg Pro Ser Gly Ile Pro Glu Arg Phe Ser Gly Ser Asn Ser Gly Asn Thr Ala Thr Leu Thr Ile Ser Gly Thr Gln Ala Met Asp Glu Ala Asp Tyr Tyr Cys Gln Ala Trp Asp Asn Thr Thr Ala Val Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu Ser Gln Pro
の核酸配列を有する配列SEQ ID No.8である。
【0077】
オプションとして、動物の細胞を不死化することによって、必要な属性を示す抗体をつくりだすことができる。
この場合、ヒト・ファクターVIIIが補助剤と共にマウスに注入される。
脾臓リンパ球をマウス骨髄種細胞株で溶融することにより、モノクローナル抗ヒト抗体が得られる。
この抗ファクターVIII抗体をつくりだす細胞上澄み液が特定され、限定希釈でクローンされる。
こうした方法についての一般的な記述は、Current Protocols in Immunology,Chapter 2,John Wiley & Sons,Inc.1994に見られる。
望ましい属性を示す阻害因子のさらなる選択について以下に述べる。
【0078】
実施例2:抗イデオタイプ抗体18B6の作成
【0079】
I.マウス細胞の不死化
【0080】
生後6週間のBalb/cの雌のマウス4匹をファクターVIII RHD5抗体のヒト抗C1ドメインをフロイント・アジュバント(ACF)に懸濁させ(第1次免疫化)、次いで不完全フロイント・アジュバント(AIF)に懸濁させたもの10μgを脚パッドに3回皮下注射した。
【0081】
免疫化を行う前に第1回の瀉血(瀉血0)を行い(瀉血日0(D0))、その後、注射と瀉血を以下のようにおこなった。
D1: 注射 No1(完全フロイント・アジュバントの存在下でRDH5を10μg)
D15: 瀉血 No1
D16: 注射 No2(不完全フロイント・アジュバントの存在下でRDH5を10μg)
D28: 瀉血 No2
D29: 注射 No3(不完全フロイント・アジュバントの存在下でRDH5を10μg)
D44: 瀉血 No3
【0082】
II.マウスの免疫反応の評価
【0083】
異なった瀉血での抗RHD5抗体の存在を評価するために、直接結合によるELISAアッセイを行った。
この目的のために、RHD5抗体、あるいは比較対象としての1mlにIgG13μgを溶かしたものを不溶かさせ、1ウェルあたり50μlの割合でグリシン緩衝液内で温度4oCで一昼夜培養した(グリシン緩衝液=0.1M グリシン、0.17M Nacl、pH 9.2)。
その後、瀉血された血液をマジック緩衝液内で1/10、1/100、1/1000及び1/10000に希釈して、室温で2時間培養した(1ウェルあたり50μl)。
そして、3回の洗浄をPBS/Tween液内で行った。
その後、その反応系をHRP(ホースラディッシュ・ペロキシダーゼ)でラベルしたヤギ・ポリクローナル・マウス抗igG抗体(Bio−Rad社)の1μg/ml溶液で室温で2時間(1ウェルあたり50μl)(マジック緩衝液で希釈)培養した。
そして、その反応系をPBS/Tween液で3回洗浄して、色原体(オルト−フェニル・ジアミン)で顕在化させ、得られた着色の度合いを波長490/650 nmに対応するフィルター付のリーダー(リーダー:Emax Molecular Devithese,Sunnyvale,CA)で読み取った。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
得られた結果を図1に示す。
結論:RHD5 Fabフラグメントの注入に対して、各マウスは正しく応答し、同様の反応を示した。
マウスNo.4を選んで、溶融を行った。
【0087】
III.溶融及びスクリーニング
【0088】
マウスNo.4の脾臓リンパ球と骨髄腫SP2/0の細胞との溶融を行った。
溶融は当業者に周知の方法(J.G.Gilles et al., Blood(2004)103:2617−23;P.Corneis,<<Les anticorps monoclonaux>>,Revue IRE,vol.7, N”4.1983)で行われた。
【0089】
これらの細胞をヒポキサンチンとチミジンを含むDMEM培養液(ダルベッコの修正イーグル培養液)を限界希釈の原則に従って連続的に膨張させ、IIで述べたような手順で直接結合ELISAアッセイで、テストでポジティブとされたクローンを検出した。
【0090】
結合の特異性は、不適切な特性を有する研究所で作成したヒトIgG1を不溶かすることによって確認した。
【0091】
ハイブリドーマの安定性を判定するために、クローン拡張中に、200μlから5mlの異なった体積の培養液中で、エピトープ・スクリーニング・テスト(テスト1−3)を実施した。
【0092】
テスト1=200μlのウェル内での測定
テスト2=1mlのウェル内での測定
テスト3=5mlのウェル内での測定
【0093】
異なったエピトープ・スクリーニング中に得られた結果を以下の表に示す。
【表3】

【0094】
IV.培養上澄み液での阻害アッセイ
【0095】
表3に示すように、培養上澄み液を用いて阻害のテストが行われた。
このアッセイは、クローンの中から、RHD5 Abのパラトープ・レベルに位置するエピトープ決定因子を正確に認識する抗イデオタイプ抗体を選別するために実施された。
【0096】
これらの抗イデオタイプ抗体はELISAアッセイで、不溶化されたファクターVIIIに対するRHD5の結合の阻害に関してテストされた。
【0097】
組み換えファクターVIII(recFVIII)(Baxter社)をグリシン緩衝液内に2μg/mlで溶かしたものを1ウェルあたり50μlの量で入れて、不溶化し、室温で2時間放置した。
RHD5抗体(あるいは無関係のIgG1)を最終濃度0.6μg/mlに調整して、マジック緩衝液内で1/1、1/2、及び1/4に希釈した。
これらのウェルをPBS/Tween緩衝液で3回洗浄した後、マジック緩衝液を1ウェルあたり100μlの割合で入れて飽和させた(室温で30分)。
その後、この培養上澄み液を50μlのRHD5(あるいは無関係のIgG1)で培養して(マジック緩衝液を用いて室温で2時間)、3回洗浄した。
不溶化したrecFVIIIに結合したRHD5抗体を、マウス・ポリクローナル・ヒト抗IgG HRP(Southern Biotechnology)でラベルした抗体溶液をマジック緩衝液内に1μg/mlの割合で溶かしたものを1ウェルあたり50μlの分量で入れることによって検出した。
これらの連続的な洗浄はPBS/Tween液で行った。
そして、色原体(OPDオルト−フェニル・ジアミン)を用いて顕在化させ、波長490/650nmに対応するフィルターを有するリーダー(リーダー:Emax Molecular Devicethese,Sunnyvale,CA)を用いて得られた色強度の読取を行った。
【0098】
結論
表3に示すように、クローンはRHD5が不溶化されたrecFVIIIに対して結合するのを特異的に阻害することができる。
(マイナスの数値はパラトープの外側領域に結合する可能性を示すか、あるいは、培養上澄み液内のAb濃度の不十分さを示している。しかしながら、プラスの数値に関しては、以下のテストからネガティブなウェルは除外された。)
【0099】
V.上澄み培養液を用いた機能テスト:RHD5抗体の阻害活性(抗ファクターVIII)の中性化の測定
【0100】
RHD5抗体を阻害テスト中に選択された種々のクローンの上澄み液(3倍、6倍、12倍及び24倍に希釈されたもの)を用いて、マジック緩衝液中で、37度Cの温度で、1μg/mlの濃度で培養した。30分後、FVIIIコグネート(Bayer社)を最終濃度0.5U/mlで加えて、30度Cの温度で30分間、補足的培養を行った。
これらのサンプルをマジック緩衝液内で30倍に希釈して、色原性DADEテスト(ファクターVIII色原性、Dade Berring Gmbh,Marburg,Germany)を製造者の指示に従って加えた。
【0101】
表3に示す通り、10のクローンはRHD5抗体の阻害活性を中性化することができた。
抗体18B6は選んで、実験結果と中性化曲線を以下に示す。
【0102】
VI.選択された18B6抗RHD5クローンの大量作成
【0103】
抗イデオタイプ抗体18B6をDMEM培養液内で作成した。
その後、プロテインG親和性カラム上で精製した(このカラムは抗体の精製、濃縮を可能にすると同時に、得られた抗イデオタイプ抗体の特異性の確認も可能にしてくれる)。
【0104】
VII.特異性評価
【0105】
種々の製剤について、II及びIVで述べたのと同じ手順に従って、ELISAテストで評価を行った。
【0106】
1.ELISAアッセイ:抗イデオタイプ抗体18B6の不溶化された抗体RHD5に対する直接の結合
【0107】
抗イデオタイプ抗体18B6の不溶化された抗体RHD5に対する直接の結合を図2に示す。
曲線は抗体18B6のRHD6に対する結合が投与量に依存していることを示している。
【0108】
2.ELISAアッセイ:不溶化された組み換えFVIIIに対する抗体RHD5結合の阻害
【0109】
RHD5の不溶化された組み換えFVIIIに対する結合の阻害をIVに述べた手順に従って測定した。
用いられたRHD5の濃度は2μg/mlであった。
【0110】
【表4】

【0111】
結果を図3に示す。
RHD5:18B6のモル比が2.5の場合に、FVIIIに対するRHD5の結合が50%阻害された。
【0112】
3.機能テスト: RHD5抗体阻害活性(抗FVIII)の中性化の測定
【0113】
手順はVに述べた通りで、RHD5の最終濃度は0.4μg/mlで、最終濃度が4から0.002μg/mlの範囲での精製された抗イデオタイプ抗体について、曲線で示す。
【0114】
これらの結果は以下の表5に示す。
【表5】

【0115】
結果を図4に示す。
RHD5と18B6のモル濃度が等しい場合に、RHD5の阻害活性が50%阻害された。
【0116】
4.Pharmacia Biosensor BIAcore(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden)を用いる『表面プラズモン共振バイオコア』法によって、抗イデオタイプ抗体18B6の阻害因子RHD5への結合動力学ついて評価を行った。
RHD5抗体をCM5プローブの活性化された表面上に固定した。抗イデオタイプ抗体18B6をそのプローブ上に固定された種々の濃路のRHD5に注入した。
結合及び解離定数を判定した。
【0117】
Ka(M−1S−1)=4,26 x 103
Kd(S−1)=1.45 x 10−5
KD:M.3.4 x 10−9
【0118】
5.抗イデオタイプ抗体18B6亜綱の特徴付け
【0119】
抗体18B6の亜綱を判定するために、Roche社のIsoStripシステムを用いた(比色分析用ストリップ)。
その結果、抗体18B6はIgG1カッパーであることが確認された。
【0120】
VIII.抗体18B6の配列
【0121】
配列決定を行うために、抗イデオタイプ抗体18B6をつくりだすハイブリドーマのmRNAをQuick Prep Micro mRNA Purificationキット(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)を用いて単離した。
First−strand cDNA Synthesisキット(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてcDNAを合成した。
重鎖(Vh)及び軽鎖(VL)をコードするcDNAを、マウスに見出される可能性のある遺伝子の種々の族に対応するプライマーを用いるPCR(ポリメラーゼ鎖反応)によって増幅した。
PCRによる生成物をQIA quick Gel Extractionキット(Qiagon,Hilden,Germany)を用いて1.5%濃度のアガロース・ゲルから単離し、pGEM−T Easy Vectorシステム(Promega,Madison,WI)を用いてクローニングした。
ポジティブ・コロニーのプラスミドDNAをHigh Pure Plasmid Isolationキット(Roche Diagnostics,Mannheim,Germany)を使って単離し、Sequenase(US Biochemical,Cleveland,OH)を用いて両方向の配列決定を行った。
【0122】
IX.18B6抗体の特殊な属性
【0123】
抗体18B6はRHD5抗体の、その抗原であるファクターVIIIへの結合を完全に阻害する。
RHD5抗体は18B6のそれと相補的なイデオタイプを有している。
【0124】
抗体のその抗原への結合には、水素結合、つまり疎水性あるいは極性誘引及びによって相互に結合するバンデルウォルス(Vanderwals)ブリッジによって相互に結合する多数のアミノ酸に対応する6−12オングストロームの相互認識インターフェースが関与している。
【0125】
機能レベルでは、1つの抗体が抗体のその抗原への結合を完全に阻害する場合、それはその阻害抗体がその抗原の『内部イメージ』、つまり、その抗原の三次元構造を模倣する三次元構造を有していることを示唆している。
【0126】
18B6抗体の一次構造(アミノ酸配列)はファクターVIIIのC1ドメインに対しての一致度は低いが、18B6抗体の二次構造とRHD5抗体の抗原性標的でありファクターVIIIのC1ドメインとの整合性、及び18B6の三次元モデリングが、C1ドメインの三次元構造と重なり合うことで、18B6の軽鎖(VL)の可変部分がC1ドメインの内部イメージを示していることを示唆している。
【0127】
こうした観察は、18B6抗体が特異な、新しい、そしてこれまで予見されなかった属性を持っていることを示すものである。
言い換えるなら、RHD5などの抗体による免疫かによって18B6に類似した抗体をつくりだそうとする如何なる試みも、18B6と同じ現実の抗体はつくりだし得ないのである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクターVIIIヒト阻害抗体に対するモノクローナル抗イデオタイプ抗体において、
上記阻害抗体がファクターVIIIのC1ドメインに対するものであり、
上記抗体の各軽鎖の少なくとも1つのCDR領域(相補性決定領域)が配列SEQ ID No.12,配列SEQ ID No.13,及び配列SEQ ID No.14から選択される配列に対して少なくとも70%の同一性を有するペプチド配列を含んでおり、
そして、
上記抗体の各重鎖の少なくとも1つのCDR領域が配列SEQ ID No.9,配列SEQ ID No.10,及び配列SEQ ID No.11から選択される配列に対して少なくとも70%の同一性を有していることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項2】
請求項1記載の抗体において、
上記抗体の各軽鎖の各CDR領域が配列SEQ ID No.12,配列SEQ ID No.13,及び配列SEQ ID No.14に対してそれぞれ少なくとも70%の同一性を有するペプチド配列を含んでおり、
上記抗体の各重鎖が配列SEQ ID No.9,配列SEQ ID No.10,及び配列SEQ ID No.11に対してそれぞれ少なくとも70%の同一性を有していることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項記載の抗体において、
上記抗体の各軽鎖の可変領域が、
核酸配列SEQ ID No.16に対して少なくとも70%の同一性を有する核酸配列によってコード表現され、
上記抗体の各重鎖の可変領域が、
核酸配列SEQ ID No.15に対して少なくとも70%の同一性を有する核酸配列によってコード表現されることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項4】
上記請求項のいずれか1項記載の抗体において、
上記抗体の各軽鎖の可変領域が核酸配列SEQ ID No.16でコード表現され、
そして上記抗体の各重鎖の可変領域が核酸配列SEQ ID No.15でコード表現されることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項5】
上記請求項のいずれか1項記載の抗体において、
その各軽鎖の可変領域のペプチド配列が配列SEQ ID No.18と少なくとも70%の同一性を示す配列であり、
その各重鎖の可変領域のペプチド配列が配列SEQ ID No.17に対して少なくとも70%の同一性を示す配列であることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項6】
上記請求項のいずれか1項記載の抗体において、
核酸配列SEQ ID No.16から推定されるペプチド配列が配列SEQ ID No.16であり、
核酸配列SEQ ID No.15から推定されるペプチド配列が配列SEQ ID No.17であることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項7】
上記請求項のいずれか1項記載の抗体において、
阻害抗体が抗体RHD5(LMBP 6165CBの番号でコレクションBCCM/LMBPに寄託)であることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項8】
上記請求項のいずれか1項記載の抗体において、
上記抗イデオタイプ抗体がマウス抗体であることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項9】
請求項8記載の抗体において、
上記抗イデオタイプ抗体がIgG1kappaであることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項10】
上記請求項のいずれか1項記載の抗体において、
上記抗体がキメラ性抗体であることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項11】
請求項10記載の抗体において、
上記抗体がヒト・ハイブリッド抗体であることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項12】
請求項1−9のいずれか1項による抗体において、
上記請求項がヒト化されたことを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項13】
上記請求項のいずれか1項記載の抗体において、
その抗体がF(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント、CUR領域、及びこれらフラグメントあるいは領域のいずれかの修飾されたもので構成される群から選択されることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項14】
上記請求項1−9のいずれか1項記載の抗体において、
その抗体が国立微生物培養体コレクション(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes :CNCM)にCNCM I−3559の番号で寄託されているハイブリドーマ 18B6によって生産可能であることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項15】
請求項1−13のいずれかによるファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体をつくりだす安定した細胞株。
【請求項16】
請求項15記載の安定した細胞株において、
SP2/0、YB2/0、IR983F、ヒト骨髄腫ナマルワ、PERC6などのヒト由来のその他の細胞、細胞株CHO、つまり、CHO−K−1、CHO−Lec10、CHO−Lec1、CHO−Lec13、CHO Pro−5、CHO dhfr−、Wil−2、Jurkat,、Vero、Molt−4、COS−7、293−HEK、BHK、K6H6、NS0、SP2/0−Ag 14及びP3X63Ag8−653で構成される群から選択される細胞株。
【請求項17】
国立微生物培養体コレクション(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)にCNCM I−3559の番号で寄託されているハイブリドーマ18B6。
【請求項18】
ファクターVIIIヒト阻害抗体に対するモノクローナ抗イデオタイプ抗体において、
上記阻害抗体が国立微生物培養体コレクション(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)にCNCM I−3559の番号で寄託されているハイブリドーマ18B6によって作り出されるファクターVIIIのC1領域に向けられたものであることを特徴とするファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体。
【請求項19】
上記請求項1−14のいずれか1項による抗体の重鎖の可変領域をコード表現する配列SEQ ID No.15を示すDNAフラグメント。
【請求項20】
上記請求項1−14のいずれか1項による抗体の軽鎖の可変領域をコード表現する配列SEQ ID No.16を示すDNAフラグメント。
【請求項21】
上記請求項1−14のいずれか1項による抗体と少なくとも1つの賦形剤及び/又は少なくとも1つの薬学的に許容される基材を含む医薬品組成物。
【請求項22】
請求項21または22に記載の組成物において、
上記組成物が、ファクターVIIIのC1ドメインとは異なったドメインに向けられた抗FVIII抗体に対する少なくとも1つの抗イデオタイプ抗体を含んでいることを特徴とする組成物。
【請求項23】
請求項21あるいは22のいずれか1項記載の組成物において、
上記組成物がファクターVIIIのC2ドメインに対する抗イデオタイプ抗体及び/又はファクターVIIIのA2ドメインに対する抗体に向けられた抗イデオタイプ抗体であることを特徴とする組成物。
【請求項24】
医薬品を製造するための、請求項1−14のいずれか1項記載のファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体の利用。
【請求項25】
タイプA血友病の治療を目的とする医薬品を製造するための、請求項1−14のいずれか1項記載のファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体の利用。
【請求項26】
上記タイプA血友病が阻害因子を伴う血友病であることを特徴とする請求項25記載のファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体の利用。
【請求項27】
ファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性をin vitroで中性化するための、請求項1−14のいずれか1項記載のファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体の利用。
【請求項28】
ファクターVIII阻害抗体のin vitroでの検出及び/又は精製のための、請求項1−14のいずれか1項記載のファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体の利用。
【請求項29】
請求項1−14のいずれか1項記載のファクターVIIIのC1ドメインに対する阻害抗体の阻害活性を中性化する抗イデオタイプ抗体を含む医薬品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−536363(P2010−536363A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521454(P2010−521454)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001398
【国際公開番号】WO2009/024653
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(508183139)エルエフビー バイオテクノロジース (7)
【Fターム(参考)】