説明

ファストLSPアラートメカニズム

【課題】LSP内の各LSR(101)にアラートを広める際の待ち時間を減らす。
【解決手段】マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)を採用するネットワーク要素上で行われる方法で、ラベルスイッチパス(LSP)のラベルスイッチルータ(LSR)(101)によって生成されるアラートパケットとして機能するラベル付きパケットを転送することにより、前記LSPに沿った各LSR(101)にアラートを広める方法であって、LSP内の別のLSRからネットワーク要素(101)によってラベル付きパケットを受信する工程と、ラベル付きパケットのMPLSラベルヘッダ内の有効期限値を確認することにより、ラベル付きパケットがアラートパケットであるかどうかを判断する工程と、ジェネリックアソシエーティッドチャンネルラベルの存在に基づいてラベル付きパケットが保守運用管理(OAM)パケットであるかどうかを判断し、ラベル付きパケットのラベルスタックを含むラベル付きパケットをコピーし、ラベル付きパケットをLSP内の次のLSRに転送する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年2月22日出願の同時係属特許出願第12/710,244号(発明の名称:”Optimized Fast Re-Route In MPLS Ring Topologies”(MPLSリングトポロジーにおける最適化ファストリルート))に関連するものである
【0002】
本発明の実施態様は、ネットワーク上でマルチプロトコルラベルスイッチングを管理するシステムに関する。具体的に、本発明の実施態様は、待ち時間(latency)を少なくしてラベルスイッチパス上でデータを広めるファストアラートメカニズム用の方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)は、ネットワーク上でトラフィックを管理するのに使用される技術である。MPLSは、ネットワーク上でトラフィックを送るためにトラフィックの流れに付与されるラベルを使用する。ネットワークの各ノードは、ネットワーク上で受信した着信トラフィックを再調査し、ラベルに基づいてそのトラフィックを転送することによりMPLSをサポートしている。
【0004】
トラフィックエンジニアリング機能を備えたMPLSネットワークは、カスタマイズされたトラフィックサービス用にトラフィックエンジニアリング資源割り当てを最適化することが可能である。トラフィックエンジニアリングを備えたMPLSネットワークにおいて、カスタマイズされたトラフィックサービスそれぞれに対してプライマリラベルスイッチパス(LSP)が設置される。プライマリLSPは通常、パスの基点となるノードである、ヘッドエンドノード(head-end node)で算出される。プライマリLSPの設定は自動化が可能である。LSPの自動生成は、ヘッドエンドノード又は別のパス算出要素(PCE)により行える。
【0005】
プライマリLSPが失敗した場合には、各カスタマイズされたトラフィックサービス用のバックアップLSPが利用され、手動にて構築する必要がある。バックアップLSP内の各リンクが手動で選択され、プライマリLSPが失敗状態にある際に依拠可能であった分断された(disjointed)パスを作成するという目的でバックアップLSPを構築する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プライマリLSP内にリンクの失敗が発生した場合、この失敗を検出したLSRは、プロテクションスイッチ(protection switch)を始動し、プライマリLSP上で転送されているトラフィックがバックアップLSP上へと送られる。プロテクションスイッチを始動したLSRは、LSP内の他の各LSRに通知するための別のアラートパケットを生成しなければならない。各パケットを生成し、それらをそれぞれのLSRに別途転送する工程により、待ち時間が生じ、プロテクションスイッチを終了するのに必要なリカバリ時間が増加する。この結果、プロテクションスイッチを実行中、多くのパケットが破棄されざるを得なくなるので、リカバリ時間中のトラフィックロスが増加する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)を採用するネットワーク要素上で行われる方法で、ラベルスイッチパス(LSP)のラベルスイッチルータ(LSR)によって生成されるアラートパケットとして機能するラベル付きパケットを転送することにより、LSPに沿った各LSRにアラートを広める方法であって、LSP内の別のLSRからネットワーク要素によってラベル付きパケットを受信する工程と、ラベル付きパケットのMPLSラベルヘッダ内の有効期限(TTL)値を確認することにより、ラベル付きパケットがアラートパケットであるかどうかを判断する工程と、ジェネリックアソシエーティッドチャンネルラベル(GAL)の存在に基づいてラベル付きパケットが保守運用管理(OAM)パケットであるかどうかを判断し、ラベル付きパケットがOAMパケットである場合、ラベル付きパケットのラベルスタックを含むラベル付きパケットをコピーしてラベル付きパケットのコピーを作成し、ラベル付きパケットをLSP内の次のLSRに転送する工程とを備え、これにより、LSP内の各LSRにアラートを広める際の待ち時間を減少する。
【0008】
マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)を実施するためのシステムであり、ラベルスイッチパス(LSP)の第1ラベルスイッチルータ(LSR)によって生成されるアラートパケットとして機能するラベル付きパケットを転送することにより、LSPに沿った各LSRにより少ない待ち時間でアラートを広めるシステムであって、有効期限(TTL)値が1であり、スタックビットボトムがゼロであり、ファストLSPアラートインジケータを備えた第2ヘッダを備えるMPLSラベルヘッダを有するラベル付きパケットを生成する、LSP内の第1LSRと、ネットワーク上で第1LSRと通信する第2LSRであって、第1LSRからラベル付きパケットを受信し、ラベル付きパケットのMPLSラベルヘッダ内のTTL値を確認することにより、ラベル付きパケットがアラートパケットであると判断し、ジェネリックアソシエーティッドチャンネルラベル(GAL)を識別することによりラベル付きパケットが保守運用管理(OAM)パケットであると判断し、ラベル付きパケットのラベルスタックを含むラベル付きパケットをコピーしてラベル付きパケットのコピーを作成し、ラベル付きパケットをコピーした後にラベル付きパケットをLSP内の第3LSRに転送する第2LSRとを備える。
【0009】
マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)を実施するネットワーク要素であって、ラベルスイッチパス(LSP)の第1ラベルスイッチルータ(LSR)によって生成されるアラートパケットとして機能するラベル付きパケットを転送することにより、LSPに沿った各LSRにより少ない待ち時間でアラートを広めるネットワーク要素であって、ラベル付きパケットを受信し、ラベル付きパケットのMPLSラベルヘッダ内のTTL値を確認することにより、ラベル付きパケットがアラートパケットであると判断し、ラベル付きパケットがアラートパケットであるという判断に応じて、ジェネリックアソシエーティッドチャンネルラベル(GAL)を識別することにより、ラベル付きパケットが保守運用管理(OAM)パケットであると判断するMPLS処理モジュールと、MPLS処理モジュールに連結され、ラベル付きパケットがOAMパケットであるという判断に応じて、MPLS処理モジュールからラベル付きパケットを受信し、ラベル付きパケットがOAMパケットであるという判断に応じて、ラベル付きパケットのラベルスタックを含む前記ラベル付きパケットをコピーしてラベル付きパケットのコピーを作成し、ラベル付きパケットをコピーした後にラベル付きパケットをLSP内の次のLSRに転送し、ラベル付きパケットのコピーを処理するファストアラート処理モジュールとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、限定ではなく例によって示されるものであり、添付の図面において、同じ番号は類似の要素を示す。本開示において「ある(an)」又は「1つの(one)」実施態様に対する異なる言及は、必ずしも同一の実施態様に対するものではなく、このような言及は少なくとも1つを意味する。さらに、特定の機能、構造又は特性が1つの実施態様と関連して記載されている場合、明示的に記載されていようといなくとも、別の実施態様に関連してこのような機能、構造又は特徴を実行することは当業者の知識の範囲内であることが提示される。
【0011】
【図1】マルチプロトコルラベルスイッチング用のファストアラートシステムを実施するネットワーク要素の一実施態様を示す図である。
【図2】マルチプロトコルラベルスイッチングパス用のファストアラートメカニズムを実施するネットワークの一実施態様を示す図である。
【図3】ファストアラートパケットを生成するプロセスの一実施態様のフローチャートである。
【図4】ラベルスイッチルータでファストアラートパケットを処理するプロセスの一実施態様のフローチャートである。
【図5】ファストアラートパケットの実施態様の例を示す図である。
【図6】ラベルスイッチパス上で転送されるファストアラートパケットの実施態様の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明において、多くの具体的な詳細について述べる。しかしながら、本発明の実施態様は、このような具体的な詳細が無くとも実施可能であることを理解されたい。別の例において、周知の回路、構造および技術について、本発明の説明の理解を不明瞭にすることがないよう、その詳細を示していない。しかしながら、当業者であれば、そのような具体的詳細が無くとも本発明が実施可能であると理解するであろう。当業者であれば、ここに含まれる説明があれば、過度に実験をせずとも適切な機能性を実施することが可能であろう。
【0013】
図1及び図2の実施例を参照して、流れ図の動作を説明する。しかしながら、流れ図の動作は、図1及び図2を参照して論じるもの以外の本発明の実施態様において遂行可能であり、図1及び図2を参照して論じる実施態様は、図3、4及び6の流れ図を参照して論じるものと異なる動作を遂行可能であることを理解されたい。
【0014】
図に示した技術は、1以上の電子装置(例えば、終端局(end station)、ネットワーク素子等)に記憶されその上で実行される暗号(code)及びデータを用いて実施可能である。このような電子装置は、機械可読又はコンピュータ可読記憶媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスク、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ素子、及び相変化メモリ)等の機械可読又はコンピュータ可読媒体を用いて暗号及びデータを記憶及び(内部で及び/又はネットワークを介して他の電子装置と)通信する。さらに、このような電子装置は一般的に、1以上の記憶装置、ユーザ入力/出力装置(例えば、キーボード、タッチスクリーン、及び/又はディスプレイ)及びネットワーク接続等の1以上の他の部品に連結された1以上の処理装置のセットを備える。これら処理装置のセットと他の部品との連結は一般的に、1以上のバス及びブリッジ(バスコントローラとも呼ばれる)を介する。記憶装置及びネットワークトラフィックを伝える信号はそれぞれ、1以上の機械可読又はコンピュータ可読記憶媒体及び機械可読又はコンピュータ可読通信媒体を表す。従って、所定の電子装置の記憶装置は一般に、その電子装置の1以上の処理装置のセット上で実行するための暗号及び/又はデータを記憶する。言うまでもなく、本発明の実施態様の1以上の部分は、ソフトウエア、ファームウエア及び/又はハードウエアの異なる組み合わせを用いて実施可能である。
【0015】
ここで使用される、ネットワーク要素(例えば、ルータ、スイッチ、ブリッジ等)は、ハードウエア及びソフトウエアを備えるネットワーク機器の1つであり、ネットワーク上の(例えば、他のネットワーク要素、終端局等の)他の機器を通信可能に相互接続する。幾つかのネットワーク要素は、複数のネットワーク機能(例えば、ルーティング、ブリッジング、スイッチング、レイヤ2アグリゲーション、セッションボーダーコントロール、マルチキャスティング、及び/又は加入者管理(subscriber management))をサポートする、及び/又は複数のアプリケーションサービス(例えば、データ、音声及びビデオ)をサポートする「マルチプルサービスネットワーク要素(multiple services network elements)」である。加入者終端局(例えば、サーバ、ワークステーション、ラップトップ、パームトップ、携帯電話、スマートフォン、マルチメディアフォン、VoIP(Voice Over Internet Protocol)フォン、ポータブルメディアプレーヤ、GPSユニット、ゲーム機(gaming systems)、セットトップボックス(STB)等)は、インターネット上で提供されるコンテンツ/サービス及び/又はインターネット上に重ね合わされた仮想プライベートネットワーク(VPN)上に提供されるコンテンツ/サービスにアクセスする。コンテンツ及び/又はサービスは一般に、サービスに属している1以上の終端局(例えば、サーバ終端局)、コンテンツプロバイダ、又はピアツーピアサービスに参加している終端局によって提供され、公式ウエブページ(フリーコンテンツ、ストアフロント、検索サービス等)、非公開(private)ウエブページ(電子メールサービスを提供する、ユーザネーム/パスワードによってアクセスするウエブページ等)、VPN、IPTV上の企業ネットワーク等を備えうる。一般に、加入者終端局は、(例えば、アクセスネットワークに(有線又は無線により)連結された加入者宅内機器を介して)周辺の(edge)ネットワーク要素に連結されており、(例えば、1以上のコアネットワーク要素を介して他の周辺ネットワーク要素に)他の終端局(例えば、サーバ終端局)に連結される。
【0016】
本発明の実施態様は、待ち時間、トラフィックロス、長いリカバリ時間、追加処理資源要件を含む先行技術の欠点を回避するためのシステム、ネットワーク及び方法を提供する。
【0017】
本発明の実施態様は、ラベル付きのパケット内の識別子を定義してラベル付きパケットをファストアラートパケット(fast alert packet)に指定し、発信ラベルスイッチルータ(originating label switch router)によってラベルスイッチパス上で単一のファストアラートパケットを送り、ラベルスイッチパス内の各受信ラベルスイッチルータでファストアラートパケットをコピーし、ジェネリックアソシエーティッドチャンネルラベル内の有効期限値を減少し、ラベルスイッチパス内でファストアラートパケットを転送することにより、これらの欠点を克服するものである。
【0018】
図1は、マルチプロトコルラベルスイッチングネットワーク用のファストアラートメカニズムを実施するネットワーク要素の一例を示す図である。一実施態様において、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)ネットワークではラベルスイッチルータ(LSR)と呼ばれる場合がある、ネットワーク要素101は、イングレス処理モジュール105、イーグレス処理モジュール107及びネットワーク処理ユニット(NPU)103を備える。ネットワーク要素101が他の部品を含みうるが、分かり易くするためにこれらの部品については記載していないことが当業者には理解されるであろう。
【0019】
イングレス処理モジュール105及びイーグレス処理モジュール107は、着信及び発信パケットの処理をそれぞれ取り扱う。これらの処理モジュールは、マルチプロトコルラベルスイッチングレイヤ下の開放型システム間相互接続(OSI)の物理レイヤ、データリンクレイヤ及び他のレイヤにおける受信及び発信パケット処理の幾つか又は全てを取り扱う。
【0020】
ネットワーク処理ユニット103は、任意の種類のASIC(Application Specific Integrated Circuit)、汎用プロセッサ、またはネットワーク関連のパケット処理の取り扱いに適した同様の演算装置であり得る。一実施態様において、NPU103は、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)処理モジュール109とファストアラート処理モジュール111とを備える。MPLS処理モジュール109は、ラベルのポップ(pop)及び交換(swap)動作、ラベルスイッチパス算出動作及びマルチプロトコルラベルスイッチングに関連する同様の動作を含む、マルチプロトコルラベルスイッチング関連の全てのパケット処理を取り扱う。ファストアラート処理モジュール111は、ファストアラートパケットであるこれらのラベル付きのパケットを識別し、これらのパケットを処理する。ファストアラートパケットの処理には、パケットのコピーの生成及びパケットの次のラベルスイッチルータ及びラベルスイッチパスへの転送が含まれる。
【0021】
図2は、ラベルスイッチパスの一実施態様を示す図である。ラベルスイッチパス(LSP)201は、任意の数のラベルスイッチルータ(LSR)203〜207を備えうる。ラベルスイッチパス201は、ラベル付きパケットが転送されるネットワーク上の経路を定義する。ラベル付きパケットは、パスとパケットの双方を識別するラベルに基づいてラベルスイッチパスとの対となる。ラベルスイッチパス201の各ノードは、ラベルスイッチルータと呼ばれる。ラベルスイッチパス201内の任意の数のラベルスイッチルータ又は全てのラベルスイッチルータ203〜207が、ファストアラート処理システム及び方法を実施可能である。ファストアラートシステム及び方法は、ラベルスイッチパス201内の各ノードに制御情報で素早く警告するために使用可能である。例えば、プロテクションスイッチが必要な場合、ヘッドエンドノード又はラベルスイッチパス201内の失敗を検知した任意のノードがファストアラートパケットを生成可能であり、ラベルスイッチパス201内の各ラベルスイッチルータ203〜207に転送される。ファストアラートパケットは、各ラベルスイッチルータがプロテクションスイッチを実施すべきであることを示す情報を備える。ファストアラートメカニズムがない場合には、ヘッドエンドノード又はラベルスイッチパス201内の他のラベルスイッチルータ203〜207に通知する他のラベルスイッチルータがラベルスイッチパス201内の各ラベルスイッチルータ203〜207に送るべき別のラベル付きのパケットを生成しなければならないため、プロテクションスイッチ又は同様の動作を終了するまでの時間が大きく増加する。これらのパケットをそれぞれ生成して送るには、より多くの時間が費やされ、単一のパケットを生成して、ラベルスイッチパス201内の各ラベルスイッチルータ203〜207によってこのパケットを転送させるより多くのオーバヘッドが生成される。
【0022】
図3は、ファストアラートパケットを生成するプロセスの一実施態様を示すフローチャートである。ファストアラートパケットは、ラベルスイッチパス内の任意のラベルスイッチルータによって生成可能である。ファストアラートパケットを用いて、ラベルスイッチパス内の他のラベルスイッチルータのそれぞれに任意の制御情報を送信することができる。例えば、ファストアラートパケットは、プライマリラベルスイッチパスからバックアップラベルスイッチパスへとデータトラフィックの経路を変更するためにプロテクションスイッチが必要であることを示すのに利用可能である。
【0023】
一実施態様において、このプロセスは、ラベルスイッチパス内の他のラベルスイッチルータそれぞれに提供されるべき制御情報を含むラベル付きパケットを生成するイベント又はプロセスによって開始される(ブロック301)。ラベル付きパケット内のLSPラベルは、有効期限(TTL)値を1とし、スタックビット(S-bit)ボトムを0とするよう設定される(ブロック303)。これらの設定により、このラベル付きパケットを受信する次のLSRに対して、このラベル付きパケットがアラートパケットであることが示される。
【0024】
ジェネリックアソシエーティッドチャンネルラベル(GAL)の有効期限値をデフォルト値、例えば、255、又はわかっているならば、ラベルスイッチパス内のラベルスイッチルータの数に設定する。GAL用のスタックビットボトムを1に設定し、ファストアラートビットを1に設定する(ブロック305)。これらの設定により、特別のファストアラートプロセスがラベルスイッチルータによって利用されるべきであり、ラベル付きパケット全体をラベルスイッチパス内の次のラベルスイッチルータに転送することが示される。このように構成されたラベル付きパケットは次に、次のラベルスイッチルータ及びラベルスイッチパスに送られる(ブロック307)。
【0025】
図4は、あるラベルスイッチルータにおいてファストアラートパケットを取り扱うプロセスの一実施態様を示すフローチャートである。一実施態様において、このプロセスは、ラベルスイッチルータにおいてラベル付きパケットを受け取ることにより開始される(ブロック401)。次に、このラベル付きパケットの最外ラベルまたは第1ラベルがネットワーク処理ユニット又はマルチプロトコルラベルスイッチングを実施するラベルスイッチルータの同様の部品によって調べられ、有効期限欄の値及びスタックビットボトム欄が判断される(ブロック403)。有効期限値が1に等しくない場合、パケットは、標準ノンアラートラベル付きパケットとして処理される(ブロック405)。ラベル付きパケットのLSPラベルの有効期限値が1であり、スタックビットボトムが0に等しい場合には、パケットはアラートパケットであると識別される。
【0026】
次に、このラベル付きパケットが保守運用管理(OAM)パケットであるかどうかの判断についての確認が行われる(ブロック407)。OAMパケットは、GALの存在によって識別が可能である。ラベル付きパケットがOAMパケットでない場合には、ラベルスイッチルータは、標準アラートパケット処理を行う(ブロック404)。ラベル付きパケットがOAMパケットである場合には、ラベルスイッチルータによってOAM処理の順番待ちをする(ブロック411)。
【0027】
OAM処理の一部として、ラベル付きパケットがファストアラートパケットであるかどうかを判断する確認が行われる(ブロック413)。ファストアラートビットが設定されている又は同様のインジケータがパケット内に設定されているかどうかを確認することにより、ラベル付きパケットをファストアラートパケットと識別可能である(ブロック413)。一実施態様において、ファストアラートビットは、アソシエーティッドチャンネルヘッダ(ACH)の欄又はラベル付きパケット内の同様の欄として定義可能である。別の実施態様では、欄を含むよう、新たなラベル(例えば、GAL2ラベル)を定義又は再定義して、パケット内のその存在により、パケットがファストアラートパケットであることを示す。この新たなラベルは、既存のラベル(例えばGAL)を置き換えたり再定義したりすることが可能である。更なる実施態様において、この新たなラベル(例えばGAL3)は、欄を含むことができ、パケット内でのその存在により、パケットがファストアラートパケットであることを示す。この新たなラベルは、既存のラベルに(例えば、GALの下にスタックして)加えることが可能である。これらの実施態様は例として示されるものであってこれに限定するものとして示されるものではない。当業者であれば、構造、機能及び原理を他の構造又は実施に適用可能であることを理解されるであろう。
【0028】
ラベル付きパケットがファストアラートパケットでない場合には、ラベルスイッチルータにより標準OAM処理が適用される(ブロック415)。パケットがファストアラートパケットである場合には、LSPラベルの受信ラベルマップ(ILM)エントリによって交換動作が示されるかどうかが判断される(ブロック417)。ILMエントリは、ILMテーブル内に記憶されており、このテーブルは、ラベルスイッチルータを横切る各ラベルスイッチパスに対して別々のエントリを記憶している。ラベル付きパケットのLSPラベル用のILMエントリによって交換動作が識別されない場合には、ラベル付きパケットは、関連するラベルスイッチパス用のILMエントリ内で定義される動作に従ってラベルスイッチルータ内で処理される(ブロック427)。
【0029】
ラベル付きパケットのLSPラベル用のILMエントリによって交換動作が識別された場合には、ラベル付きパケットのGAL有効期限値を1減少させる(ブロック419)。次に、GAL有効期限値がゼロより大きいかどうかの判断が行われる(ブロック427)。このようなGAL有効期限値の減少及び結果の値がゼロより大きいかどうかの確認により、ファストアラートパケットがラベルスイッチパス内でループしないようにする。GAL有効期限値がゼロより大きくない場合には、LSPラベル用のILMエントリで定義される動作に従ってラベル付きパケットを処理する(ブロック427)。
【0030】
GAL有効期限値がゼロより大きい場合には、LSPラベル及びGALを含むラベル付きパケット全体をコピーする(ブロック423)。次にラベル付きパケットをラベルスイッチパス内の次のラベルスイッチパスに更に変更することなく転送する(ブロック425)。コピーされたラベル付きパケットはその後、LSPラベル用のILMエントリで規定された動作に従って処理される(ブロック427)。
【0031】
ラベル付きパケットをファストアラートパケットと識別しGALを減ずることに関連するこのような要素は、プロセスの動作に必須ではなく、このことを示すために図において点線で示されている。これらの要素により、情報をLSP内に広める及びGAL有効期限値を用いてアラートパケットのループを防止するというファストアラートプロセスを用いた更なる利点が得られる。
【0032】
図5は、ラベル付きパケットの一実施態様を示す図である。ラベル付きパケット500は、LSPラベル501、GALヘッダ503、ACH305、ACH時刻、長さ及び値(TLV)セットのヘッダ507及びジェネリックアソシエーションチャンネル(G−ACH)メッセージ504を備えうる。LSPラベル及びGALは、別々の有効期限値及びスタックビットボトムを備える。LSPラベル501の形式は、RFC5586で規定される。GALの形式もRFC5586で規定される。ACH505は、予備の(reserved)ビッドのセットを備える(RFC***参照)。一実施態様において、予備ビットの1つは、ファストアラートビット(F)と定義される。ACH−TLVヘッダは、RFC5586で定義される。G−ACHメッセージは、RFC5586で定義される。
【0033】
図6は、ラベルスイッチパス内の各ラベルスイッチルータを横切ってファストアラートパケットを転送している様子を示すラベルスイッチパスの一実施態様を示す図である。この例において、ヘッドエンドラベルスイッチルータ611は、有効期限値1及びスタックビットボトムの値がゼロであるLSPラベルを有する第1ラベル付きパケット601を生成する。このラベル付きパケットはさらに、有効期限値255及びスタックビットボトム1のGALを有する。ACHヘッダは、ファストアラートビットセットを有する。この例のラベル付きパケットはさらに、ACHTLV及びG−ACHメッセージのセットを備える。
【0034】
第2ラベルスイッチルータ613がこのパケットを受信すると、パケットは上述のように処理され、ラベル付きパケットはファストアラートパケットであると識別される。ラベル付きパケットがファストアラートパケットであると識別されたなら、このラベル付きパケットのGAL有効期限値を減少させ、ラベル付きパケットのコピーを第3ラベルスイッチルータ615に転送し、第3のラベルスイッチルータ615により、ラベル付きパケットのGAL有効期限値を減少させ、ラベル付きパケットを最終ラベルスイッチルータ617に転送するという同じ動作が行われる。ラベル付きパケットを受信する各ラベルスイッチルータは、ラベル付きパケットのコピーを1つ処理するとともに、各ラベルスイッチルータがラベル付きパケットのコピーを受信し、GALの有効期限値がゼロになるまで、もう一つを次のラベルスイッチルータに転送する。
【0035】
マルチプロトコルラベルスイッチング向けファストアラートプロセス用の方法、システム及び装置について説明してきた。上述の説明は、例示的なものであり限定的ではないことを理解されたい。上述の説明を読み、理解した当業者にとって、他の多くの実施例が明らかとなるであろう。従って、本発明の範囲は、付属の請求の範囲とこのような請求の範囲に与えられる均等物の全ての範囲とを参照して判断されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)を採用するネットワーク要素上で行われる方法で、ラベルスイッチパス(LSP)のラベルスイッチルータ(LSR)によって生成されるアラートパケットとして機能するラベル付きパケットを転送することにより、前記LSPに沿った複数の前記LSRにアラートを広め、前記LSP内の前記複数のLSRに前記アラートを広める際の待ち時間を減らすための方法であって、
前記LSP内の別のLSRから前記ネットワーク要素によって前記ラベル付きパケットを受信する工程と、
前記ラベル付きパケットのMPLSラベルヘッダ内の有効期限(TTL)値を確認することにより、前記ラベル付きパケットが前記アラートパケットであるかどうかを判断する工程と、
ジェネリックアソシエーティッドチャンネルラベル(GAL)の存在に基づいて前記ラベル付きパケットが保守運用管理(OAM)パケットであるかどうかを判断し、前記ラベル付きパケットが前記OAMパケットである場合、前記ラベル付きパケットのラベルスタックを含むラベル付きパケットをコピーして前記ラベル付きパケットのコピーを作成し、前記ラベル付きパケットを前記LSP内の次のLSRに転送する工程と、を備える方法。
【請求項2】
前記ラベル付きパケットの前記GAL内の有効期限値を減ずる工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ラベル付きパケットの前記コピー及び転送は、前記ラベル付きパケットのアソシエーティッドチャンネルヘッダ内のファストLSPアラートビットが設定されているという判断に応じて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ラベル付きパケットの前記コピーは、前記ラベル付きパケットの前記GALがゼロより大きいTTL値を備えているという判断に応じて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
着信ラベルマップテーブル内の対応するエントリによって定義される動作に応じて前記ラベル付きパケットの前記コピーを処理する工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ラベル付きパケットが前記OAMパケットであるかどうかを判断する工程は、前記ラベル付きパケットの前記GAL内のスタックビットボトムが設定されていることを判断する工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)を実施するためのシステムであり、ラベルスイッチパス(LSP)の第1ラベルスイッチルータ(LSR)によって生成されるアラートパケットとして機能するラベル付きパケットを転送することにより、前記LSPに沿った複数のLSRにより少ない待ち時間でアラートを広め、前記LSP内の前記複数のLSRに前記アラートを広める際の待ち時間を減らすためのシステムであって、
有効期限(TTL)値が1であり、スタックビットボトムがゼロであり、ファストLSPアラートインジケータを備えた第2ヘッダを備えるMPLSラベルヘッダを有する前記ラベル付きパケットを生成する、前記LSP内の前記第1LSRと、
ネットワーク上で前記第1LSRと通信する第2LSRであって、前記第1LSRから前記ラベル付きパケットを受信し、前記ラベル付きパケットの前記MPLSラベルヘッダ内の前記TTL値を確認することにより、前記ラベル付きパケットが前記アラートパケットであると判断し、ジェネリックアソシエーティッドチャンネルラベル(GAL)を識別することにより前記ラベル付きパケットが保守運用管理(OAM)パケットであると判断し、前記ラベル付きパケットのラベルスタックを含む前記ラベル付きパケットをコピーして前記ラベル付きパケットのコピーを作成し、前記ラベル付きパケットをコピーした後に前記ラベル付きパケットを前記LSP内の第3LSRに転送する第2LSRと、を備えるシステム。
【請求項8】
前記第2LSRが、前記ラベル付きパケットの前記GAL内の有効期限値を減ずる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2LSRが、前記ラベル付きパケットのアソシエーティッドチャンネルヘッダ内のファストLSPアラートビットが設定されているという判断に応じて、前記ラベル付きパケットのコピー及び転送を行う、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2LSRが、前記ラベル付きパケットの前記GALがゼロより大きいTTL値を備えているという判断に応じて前記ラベル付きパケットのコピーを行う、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2LSRが、着信ラベルマップに対応する動作に応じて前記ラベル付きパケットを処理する、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2LSRが、前記ラベル付きパケットの前記GAL内のスタックビットボトムが設定されていることを判断する、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)を実施するネットワーク要素であって、ラベルスイッチパス(LSP)の第1ラベルスイッチルータ(LSR)によって生成されるアラートパケットとして機能するラベル付きパケットを転送することにより、前記LSPに沿った複数のLSRにより少ない待ち時間でアラートを広め、前記LSP内の前記複数のLSRに前記アラートを広める際の待ち時間を減らすネットワーク要素であって、
前記ラベル付きパケットを受信し、前記ラベル付きパケットのMPLSラベルヘッダ内のTTL値を確認することにより、前記ラベル付きパケットが前記アラートパケットであると判断し、前記ラベル付きパケットが前記アラートパケットであるという判断に応じて、ジェネリックアソシエーティッドチャンネルラベル(GAL)を識別することにより、前記ラベル付きパケットが保守運用管理(OAM)パケットであると判断するMPLS処理モジュールと、
前記MPLS処理モジュールに連結され、前記ラベル付きパケットが前記OAMパケットであるという判断に応じて、前記MPLS処理モジュールから前記ラベル付きパケットを受信し、前記ラベル付きパケットが前記OAMパケットであるという判断に応じて、前記ラベル付きパケットのラベルスタックを含む前記ラベル付きパケットをコピーして前記ラベル付きパケットのコピーを作成し、前記ラベル付きパケットをコピーした後に前記ラベル付きパケットを前記LSP内の次のLSRに転送し、前記ラベル付きパケットの前記コピーを処理するファストアラート処理モジュールと、を備えるネットワーク要素。
【請求項14】
前記ファストアラート処理モジュールが、前記ラベル付きパケットの前記GAL内の有効期限値を減ずる、請求項13に記載のネットワーク要素。
【請求項15】
前記ファストアラート処理モジュールが、前記ラベル付きパケットのアソシエーティッドチャンネルヘッダ内のファストLSPアラートビットが設定されているという判断に応じて、前記ラベル付きパケットのコピー及び転送を行う、請求項13に記載のネットワーク要素。
【請求項16】
前記ファストアラート処理モジュールが、前記ラベル付きパケットの前記GALがゼロより大きいTTL値を備えているという判断に応じて前記ラベル付きパケットをコピーする、請求項13に記載のネットワーク要素。
【請求項17】
前記ファストアラート処理モジュールが、着信ラベルマップテーブルの対応するエントリに定義される動作に応じて前記ラベル付きパケットを処理する、請求項13に記載のネットワーク要素。
【請求項18】
前記MPLS処理モジュールが、前記ラベル付きパケットの前記GAL内のスタックビットボトムが設定されていることを判断する、請求項13に記載のネットワーク要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−520857(P2013−520857A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553421(P2012−553421)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050305
【国際公開番号】WO2011/101756
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】