説明

ファン

【課題】ファンアセンブリ、特に、部屋、オフィス、又は他の家庭内環境において空気の流れを作り出すための台座型ファンのような家庭用ファンを提供する。
【解決手段】空気の流れを作り出すためのファンアセンブリは、空気入口と、空気出口と、羽根車と、空気入口から、空気流を受け取るための内部通路及び空気流を放出するための口部を含み、かつファンアセンブリの外側からの空気が口部から放出される空気流によって引き込まれる開口部を形成する空気出口まで通る空気流を作り出すために羽根車を回転させるためのモータと、モータを制御するための制御回路と、制御信号を制御回路に送信するためのリモコンと、リモコンを空気出口に取り付けるための少なくとも1つの磁石とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンアセンブリに関する。好ましい実施形態では、本発明は、部屋、オフィス、又は他の家庭内環境において空気の流れを作り出すための台座型ファンのような家庭用ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用ファンは、典型的には、軸の周りで回転するように装着された1組のブレード又はベーンと、空気流を発生させる1組のブレードを回転させるための駆動装置とを含む。空気流の移動及び循環は、「風冷」又はそよ風を作り出し、その結果、ユーザは、熱が対流及び蒸発を通して消散される時の冷却効果を体験する。
そのようなファンは、様々なサイズ及び形状で利用可能である。例えば、天井ファンは、少なくとも1mの直径とすることができ、通常、天井から吊り下げ方式で装着されて部屋を冷却する空気の下降流を提供する。他方、卓上ファンは、多くの場合、約30cmの直径であり、通常、自立式及び携帯式である。床置型台座型ファンは、一般的に、駆動装置を支持する高さ調節可能台座と、通常は300から500リットル/sの範囲の空気流を発生させるための1組のブレードとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−263786号公報
【特許文献2】特開平6−257591号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Reba、サイエンティフィック・アメリカン、214巻、1963年6月、84−92ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このタイプの配置の欠点は、ファンの回転ブレードによって生成された空気流が、一般的に均一でない点である。これは、ファンのブレード面にわたる又は外向き面にわたる変動によるものである。これらの変動の程度は、生成する製品によって異なり、かつ個々の扇風機によってさえも異なる可能性がある。これらの変動は、不均等な又は「不安定な」空気流の発生をもたらし、これは、一連の空気のパルスとして感じることができ、かつユーザに対して心地よくない可能性がある。
【0006】
家庭内環境では、家電製品の部品が外向きに突出するか、又はユーザがブレードのようないずれかの可動部品に触れることができるのは望ましくない。台座型ファンは、回転ブレードと接触することによる損傷を防止するためにブレードを取り囲むケージを有する傾向があるが、そのようなケージ部品は、洗浄することが困難である可能性がある。更に、台座の最上部への駆動装置及び回転ブレードの装着により、台座型ファンの重心は、通常台座の最上部の方向に位置する。これは、ユーザに対して望ましくない場合がある比較的広い又は重い基部が台座に設けられない限り、誤ってぶつかった場合に台座型ファンを倒れやすくする可能性がある。
【0007】
台座型ファンの作動を制御するためのリモコンを設けることは、例えば、特開平5−263786号公報及び特開平6−257591号公報から公知である。リモコンを用いてファンのスイッチを入れたり切ったりし、ファンのブレードの回転速度を制御することができる。台座型ファンの基部には、台座型ファンが使用中でない時にリモコンを格納するためのドッキングステーション又はハウジングを設けることができる。しかし、そのようなドッキングステーションの存在は、台座型ファンの物理的外観を損なう可能性があり、ファンの位置、及び台座型ファンの周囲の家具又は他の物体の品目の近さに応じて接近し難い場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本発明は、空気の流れを作り出すためのファンアセンブリを提供し、ファンアセンブリは、空気入口と、空気出口と、羽根車と、空気入口から、空気流を受け取るための内部通路及び空気流を放出するための口部を含み、かつファンアセンブリの外側からの空気が口部から放出される空気流によって引き込まれる開口部を形成する空気出口まで通る空気流を作り出すように羽根車を回転させるためのモータと、モータを制御するための制御回路と、制御信号を制御回路に送信するためのリモコンと、リモコンを空気出口に取り付けるための磁気手段とを含む。
【0009】
リモコンを空気出口に取り付けることにより、リモコンの利便性は、リモコンがファンの基部にドッキングされる公知の台座型ファンに比較して改良することができる。更に、リモコンを保持するためのドッキングステーション又はハウジングの要件は、リモコンを空気出口に取り付けるための磁気手段の使用によって回避され、空気出口が均一な外観を有することを可能にする。
【0010】
磁気手段は、好ましくは、リモコンを空気出口から取り外すのに必要な力が2N未満、より好ましくは、1N未満であるように配置される。例えば、この力は、0.25から1Nの範囲とすることができる。これは、リモコンが空気出口から切り離される時にファンアセンブリが変位する可能性を最小にすることができる。リモコンへの接近し易さを更に改良するために、磁気手段は、好ましくは、リモコンを空気出口の上部部分に引き付けるように配置される。
【0011】
ファンアセンブリは、好ましくは、ブレードなしファンアセンブリである。ブレードなしファンアセンブリの使用により、空気の流れは、ブレード付きファンを使用せずに発生させることができる。ブレード付きファンアセンブリに比較して、ブレードなしファンアセンブリは、可動部品及び複雑性の両方の低減をもたらす。更に、ファンアセンブリから空気の流れを放出するためのブレード付きファンの使用なしに、比較的均一な空気の流れが発生して部屋内に又はユーザの方向に誘導することができる。空気の流れは、空気出口から効率的に移動して出ることができ、エネルギ及び速度を乱流に殆ど損失しない。
【0012】
用語「ブレードなし」は、空気流が可動ブレードを使用せずにファンアセンブリから前方に排出されるか又は放出されるファンアセンブリを説明するのに用いられる。その結果、ブレードなしファンアセンブリは、ユーザに又は部屋内に誘導される空気流が出る可動ブレードがない放出区域又は放出ゾーンを有すると考えることができる。ブレードなしファンアセンブリの放出区域には、ポンプ、発生器、モータ、又は他の流体移送デバイスのような様々な異なる供給源の1つによって発生する1次空気流を供給することができ、これには、空気流を発生させるためのモータ回転子及び/又はブレード付き羽根車のような回転デバイスを含むことができる。発生した1次空気流は、ファンアセンブリの外側の部屋空間又は他の環境から空気出口までファンアセンブリを通過し、次に、空気出口の口部を通って出て部屋空間に戻ることができる。
従って、ブレードなしとしてのファンアセンブリの説明は、電源及び2次ファン機能に必要なモータのような構成要素の説明にまで拡張することは意図していない。2次ファン機能の例は、ファンアセンブリの照明、調節、及び首振りを含むことができる。
【0013】
ファンアセンブリの空気出口の形状は、ブレード付きファンのための空間を含む要件によって制約されない。好ましくは、空気出口は、開口部を取り囲む。空気出口は、200から600mmの範囲、より好ましくは、250から500mmの範囲の高さを有する環状空気出口とすることができ、リモコンは、好ましくは、環状空気出口の凸状の外面に取り付け可能である。
空気出口が凸状外面を含む場合、リモコンは、好ましくは、リモコンが磁気手段によって空気出口に取り付けられる時に空気出口の凸状外面に面する凹状外面を含む。これは、リモコンが空気出口上に位置する時にリモコンの安定性を改良することができる。リモコンの安定性を更に改良するために、リモコンの凹状外面の曲率半径は、好ましくは、空気出口の凸状外面の曲率半径よりも大きくない。リモコンが空気出口に取り付けられる時のファンアセンブリの外観は、リモコンをそれが凹状外面に対向して位置する凸状外面を有するように成形することによって高めることができる。リモコンのこの凸状外面は、空気出口の凸状外面の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有することもできる。
【0014】
リモコンのユーザインタフェースは、好ましくは、ユーザインタフェースが、リモコンが空気出口に取り付けられた時に隠れるように、リモコンの凹状外面上に位置する。これは、リモコンがファンアセンブリに取り付けられた時に、ユーザインタフェースとの不注意な接触によるファンアセンブリの偶然の作動を防止することができる。ユーザインタフェースは、モータの起動及び羽根車の回転速度、及び/又はタッチスクリーンのようなファンアセンブリの作動を制御するために押し下げられる複数のユーザ作動可能ボタンを含むことができる。
【0015】
リモコンを空気出口に取り付けるための磁気手段は、リモコンの凹状外面の下に位置する少なくとも1つの磁石を含むことができる。好ましい実施形態では、リモコンは、リモコンの両側の方向に位置する1対の磁石を含む。
好ましくは、空気出口の口部は、開口部の周りに延び、かつ環状であることが好ましい。空気出口は、好ましくは、空気出口の口部を形成する内側ケーシング区画及び外側ケーシング区画を含む。各区画は、好ましくは、それぞれの環状部材から形成されるが、各区画は、互いに接続されるか又はそうでなく組み立てられてその区画を形成する複数の部材によって設けることができる。
【0016】
外側ケーシング区画の少なくとも一部は、リモコン内に位置する磁石が取り付けられる磁性材料から形成することができる。例えば、外側ケーシング区画の上部部分は、例えば、鋼から形成することができ、一方、外側ケーシング区画の残りの部分は、アルミニウム又はプラスチック材料のようなより廉価な非磁性材料から形成することができる。
代替的に、磁気手段は、リモコンに位置する1つ又は複数の磁石を引き付けるための空気出口に位置する少なくとも1つの磁石を含むことができる。例えば、空気出口は、空気出口の周りに角度的に離間した少なくとも2つの磁石を含むことができる。これらの磁石間の間隔は、好ましくは、リモコンに位置する磁石間の間隔と実質的に同じである。
【0017】
空気出口に位置する1つ又は複数の磁石は、少なくとも部分的に空気出口の内部通路内に位置することができる。外部ケーシング区画には、少なくとも1つの磁石を保持するためにその内面上に配置された少なくとも1つの磁石ハウジングを設けることができる。例えば、その又は各ハウジングは、外側ケーシング区画の内面から内向きに延びる1対の弾性壁を含むことができ、壁の最内端部は、壁間に挿入されている磁石を保持するように成形される。磁石ハウジングは、外側ケーシング区画の内面の周りに周方向に延びることができ、かつ複数の角度的に離間した磁石を受け取るように配置することができる。代替的に、複数の磁石ハウジングは、外側ケーシング区画の内面の周りに角度的に離間することができ、各磁石ハウジングは、それぞれの磁石を保持するように配置される。
【0018】
外側ケーシング区画は、好ましくは、部分的に内側ケーシング区画と重なるように成形される。これは、口部の出口が、空気出口の内側ケーシング区画の外面及び外側ケーシング区画の内面の重なり部分間に形成されることを可能にすることができる。出口は、好ましくは、スロットの形態であり、好ましくは、0.5から5mmの範囲の幅を有する。空気出口は、空気出口の内側ケーシング区画及び外側ケーシング区画の重なり部分を離すように強く押すための複数のスペーサを含むことができる。これは、開口部の周りに実質的に均一な出口幅を維持するように機能することができる。スペーサは、好ましくは、出口に沿って均等に離間している。
【0019】
内部通路は、好ましくは、連続的であり、より好ましくは、環状であり、好ましくは、空気流を開口部の周囲で反対方向に流れる2つの空気流に分けるように成形される。内部通路はまた、好ましくは、空気出口の内側ケーシング区画及び外側ケーシング区画によって形成される。
ファンアセンブリは、好ましくは、空気の流れが円弧にわたって、好ましくは、60から120°の範囲で吹かれるように空気出口を首振りさせる手段を含む。例えば、ファンアセンブリは、空気出口が接続した基部の上部部分を基部の下部部分に対して首振りさせる手段を有する基部を含むことができる。制御回路は、リモコンから受信した信号に応答して空気出口を首振りさせる手段を起動するように配置することができる。
【0020】
基部は、好ましくは、モータ、羽根車、及び制御回路を収容する。羽根車は、好ましくは、混合流羽根車である。モータは、好ましくは、従来型のブラシモータに用いるブラシからの摩擦損失及び炭素デブリを回避するDCブラシレスモータである。炭素デブリ及び放出物の減少は、病院又はアレルギーを有するものの周囲のような清浄な又は汚染物質敏感な環境において有利である。一般的に台座型ファンに用いられる誘導モータもブラシはないが、DCブラシレスモータは、誘導モータよりも遥かに広範囲の作動速度を提供することができる。
【0021】
空気出口は、好ましくは、口部に隣接して位置する表面を含み、更に、口部は、そこから放出される空気流を誘導するように配置される。この表面は、好ましくは、「コアンダ」面であり、空気出口の内側ケーシング区画の外面は、好ましくは、コアンダ面を形成するように成形される。コアンダ面は、好ましくは、開口部の周りに延びている。コアンダ面は、表面の近くの放出オリフィスを出た流体流れが「コアンダ」効果を示すタイプの表面である。流体は、表面に近接して、殆ど表面に「密着する」か又は「沿って」その上を流れる傾向がある。「コアンダ」効果は、1次空気流がコアンダ面の上で誘導される既に証明されて十分立証された同伴方法である。コアンダ面の特徴の説明及びコアンダ面の上の流体流れの効果は、Reba、サイエンティフィック・アメリカン、214巻、1963年6月、84−92ページのような論文に見出すことができる。コアンダ面の使用により、ファンアセンブリの外側からの空気の増加した量が、口部から放出される空気により開口部を通って引き込まれる。
【0022】
好ましい実施形態では、ファンアセンブリによって作り出された空気流は、空気出口に入る。以下の説明では、この空気流を1次空気流と呼ぶ。1次空気流は、空気出口の口部から放出され、コアンダ面の上を通過する。1次空気流は、1次空気流及び同伴空気の両方をユーザに供給する空気増幅器として作用する空気出口の口部を取り囲む空気を同伴する。同伴空気は、本明細書で以下では2次空気流と呼ぶ。2次空気流は、空気出口の口部を取り囲む部屋空間、領域、又は外部環境から、及び変位によってファンアセンブリの周囲の他の領域から引き込まれ、大部分は空気出口によって形成された開口部を通過する。同伴された2次空気流と組み合わされてコアンダ面にわたって誘導される1次空気流は、空気出口によって形成された開口部から前方へ排出又は放出された総空気流に等しい。好ましくは、空気出口の口部を取り囲む空気の同伴は、滑らかな全体の放出を維持しながら1次空気流が少なくとも5倍、より好ましくは、少なくとも10倍増幅されるようなものである。
好ましくは、空気出口は、コアンダ面の下流に位置するディフューザ面を含む。空気出口の内側ケーシング区画の外面は、好ましくは、ディフューザ面を形成するように成形される。
【0023】
ファンアセンブリは、タワー型ファンの形態にすることができる。代替的に、ファンアセンブリは、台座型ファンの形態にすることができ、従って、基部は、空気出口に接続された調節可能台座の一部を形成することができる。台座は、空気流を空気出口に搬送するためのダクトを含むことができる。従って、台座は、ファンアセンブリによって作り出された空気流が放出される空気出口を支持し、かつ作り出された空気流を空気出口に搬送するその両方の働きをすることができる。台座の底部に向かうモータ及び羽根車の位置は、ブレード付きファン及びブレード付きファンのための駆動装置が台座の最上部に接続された従来技術の台座型ファンに比較して、ファンアセンブリの重心を下げることができ、それによってぶつかった場合でもファンアセンブリが倒れる傾向を少なくする。
【0024】
リモコンは、磁石以外の手段により、例えば、リモコンを空気出口に固定するための機械的手段を通じて空気出口に取り付けることができる。第2の態様では、本発明は、空気の流れを作り出すためのファンアセンブリを提供し、ファンアセンブリは、空気入口と、空気出口と、羽根車と、空気入口から、空気流を受け取るための内部通路及び空気流を放出するための口部を含み、かつファンアセンブリの外側からの空気が口部から放出される空気流によって引き込まれる開口部を形成する空気出口まで通る空気流を作り出すために羽根車を回転させるためのモータと、モータを制御するための制御回路と、制御信号を制御回路に送信するためのリモコンと、リモコンを空気出口に取り付けるためのシステムとを含み、リモコンは、凹状外面を含み、空気出口は、リモコンが空気出口に取り付けられた時にリモコンの凹状外面に面する凸状外面を含む。
本発明の第1の態様に関連する上述の特徴は、本発明の第2の態様に等しく適用可能であり、逆も同じである。
ここで、本発明の実施形態を添付の図面を参照して単に一例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ファンアセンブリの伸縮性ダクトが完全に延びた構成にあるファンアセンブリの斜視図である。
【図2】ファンアセンブリの伸縮性ダクトが後退位置にある図1のファンアセンブリの別の斜視図である。
【図3】図1のファンアセンブリの台座の基部の断面図ある。
【図4】図1のファンアセンブリの伸縮性ダクトの分解組立図である。
【図5】完全に延びた構成の図4のダクトの側面図である。
【図6】図5の線A−Aに沿ったダクトの断面図である。
【図7】図5の線B−Bに沿ったダクトの断面図である。
【図8】下部管状部材の一部を切り取った完全に延びた構成の図4のダクトの斜視図である。
【図9】ダクトの様々な部分を取り外した図8の一部の拡大図である。
【図10】後退構成の図4のダクトの側面図である。
【図11】図10の線C−Cに沿ったダクトの断面図である。
【図12】図1のファンアセンブリのノズルの分解組立図である。
【図13】図12のノズルの正面図である。
【図14】図13の線P−Pに沿ったノズルの断面図である。
【図15】図14に示す区域Rの拡大図である。
【図16】図12のノズルの側面図である。
【図17】図16の線A−Aに沿ったノズルの断面図である。
【図18】図17に示す区域Zの拡大図である。
【図19】図1のファンアセンブリを制御するためのリモコンの斜視図である。
【図20】図19のリモコンの端面図である。
【図21】外側ケーシング区画を取り外した図19のリモコンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び図2は、ファンアセンブリ10の実施形態の斜視図を示している。この実施形態では、ファンアセンブリ10は、ブレードなしファンアセンブリであり、高さ調節可能台座12とファンアセンブリ10から空気を放出するために台座12上に装着されたノズル14の形態の空気出口とを含む家庭用台座型ファンの形態にある。台座12は、基部16と、1次空気流を基部16からノズル14に搬送するために基部16から上方に延びる伸縮性ダクト18とを含む。
【0027】
台座12の基部16は、実質的に円筒形の下部ケーシング部分22上に装着された実質的に円筒形のモータケーシング部分20を含む。モータケーシング部分20及び下部ケーシング部分22は、好ましくは、モータケーシング部分20の外面が下部ケーシング部分22の外面と実質的に同じ平面上にあるように実質的に同じ外径を有する。下部ケーシング部分22は、任意的に、円板状床板24上に装着され、ファンアセンブリ10の作動を制御するための複数のユーザ作動可能ボタン26及びユーザ作動可能ダイヤル28を含む。基部16は、この実施形態では、モータケーシング部分20に形成された開口部の形態にあり、1次空気流が外部環境から基部16に引き込まれる複数の空気入口30を更に含む。この実施形態では、台座12の基部16は、200から300mmの範囲の高さを有し、モータケーシング部分20は、100から200mmの範囲の直径を有する。床板24は、好ましくは、200から300mmの範囲の直径を有する。
【0028】
台座12の伸縮性ダクト18は、図1に示すような完全に延びた構成と図2に示すような後退構成との間で移動可能である。ダクト18は、ファンアセンブリ10の基部12上に装着された実質的に円筒形の基部32を含み、その外側管状部材34は、基部32に接続されて基部32から上方に延び、その内側管状部材36は、部分的に外側管状部材34内に位置する。コネクタ37は、ノズル14をダクト18の内側管状部材36の開放上端に接続する。内側管状部材36は、図1に示すような完全に延びた位置と図2に示すような後退位置との間で外側管状部材34に対して及びその内部で摺動自在である。内側管状部材36が完全に延びた位置にある時に、ファンアセンブリ10は、好ましくは、1200から1600mmの範囲の高さを有するのに対して、内側管状部材36が後退位置にある時に、ファンアセンブリ10は、好ましくは、900から1300mmの範囲の高さを有する。ファンアセンブリ10の高さを調節するために、ユーザは、ノズル14が望ましい垂直位置にあるように必要に応じて上方又は下方のいずれかに内側管状部材36の露出部分を把持して内側管状部材36を摺動させることができる。内側管状部材36がその後退位置にある時に、ユーザは、コネクタ37を把持して内側管状部材36を上方に引っ張ることができる。
【0029】
ノズル14は、開口部38を形成するために中心軸Xの周りに延びる環状形状を有する。ノズル14は、ファンアセンブリ10から開口部38を通って1次空気流を放出するためにノズル14の後部の方向に位置する口部40を含む。口部40は、開口部38の周りに延びて好ましくは同じく環状である。ノズル14の内周は、口部40に隣接して位置するコアンダ面42を含み、この上で、口部40は、ファンアセンブリ10、コアンダ面42の下流に位置するディフューザ面44、及びディフューザ面44の下流に位置するガイド面46から放出される空気を誘導する。ディフューザ面44は、ファンアセンブリ10から放出される空気の流れを補助するような方法で開口部38の中心軸Xから離れる方向にテーパ付きになるように配置される。ディフューザ面44と開口部38の中心軸Xとの間を定める角度は、5から25°の範囲内であり、この例では約7°である。ガイド面46は、ディフューザ面44にある一定の角度で配置され、ファンアセンブリ10からの冷却空気流の効率的な送出を更に補助する。ガイド面46は、好ましくは、開口部38の中心軸Xに対して実質的に平行に配置され、口部40から放出される空気流に対して実質的に平坦な及び実質的に滑らかな面を呈する。視覚的に魅力的なテーパ付き面48は、ガイド面46から下流に位置し、開口部38の中心軸Xに対して実質的に垂直に位置する先端面50で終端する。テーパ付き面48と開口部38の中心軸Xとの間を定める角度は、好ましくは、約45°である。この実施形態では、ノズル14は、400から600mmの範囲の高さを有する。
【0030】
図3は、台座12の基部16を通る断面図を示している。基部16の下部ケーシング部分22は、図1及び図2に示すユーザ作動可能ボタン26の押し下げ、及び/又はユーザ作動可能ダイヤル28の操作に応答してファンアセンブリ10の作動を制御するための全体を符号52で示す制御回路を収容する。下部ケーシング部分22は、以下により詳細に説明するリモコン250から制御信号を受信するための及びこれらの制御信号を制御回路52に搬送するためのセンサ54を任意的に含むことができる。これらの制御信号は、好ましくは、赤外線信号である。センサ54は、制御信号が基部16の下部ケーシング部分22に入る窓55の背後に位置する。発光ダイオード(図示せず)は、ファンアセンブリ10が待機モードにあるか否かを示すために設けることができる。
【0031】
下部ケーシング部分22はまた、基部16の下部ケーシング部分22に対して基部16のモータケーシング部分20を首振りさせるための全体を符号56で示す機構を収容する。首振り機構56の作動は、ここでもまた、ユーザ作動可能ボタン26の1つの押し下げか又はリモコン250から適切な制御信号を受信する時に応答する制御回路52によって制御される。首振り機構56は、下部ケーシング部分22からモータケーシング部分20に延びる回転可能シャフト56aを含む。シャフト56aは、シャフト56aがスリーブ56bに対して回転することを可能にするように軸受によって下部ケーシング部分22に接続されたスリーブ56b内に支持される。シャフト56aの一端は、環状接続板56cの中心部分に接続されるのに対し、接続板56cの外側部分は、モータケーシング部分20の基部に接続される。これは、モータケーシング部分20が下部ケーシング部分22に対して回転することを可能にする。首振り機構56はまた、下部ケーシング部分22の上部部分に対してモータケーシング部分20の基部を首振りさせる全体を符号56dで示すクランクアーム機構を作動させる下部ケーシング部分22内に位置するモータ(図示せず)を含む。1つの部分を別の部分に対して首振りさせるためのクランクアーム機構は公知であり、従って、ここでは説明しないことにする。下部ケーシング部分22に対するモータケーシング部分20の各首振りサイクルの範囲は、好ましくは、60°から120°、及びこの実施形態では約90°である。この実施形態では、首振り機構56は、1分間当たり約3から5の首振りサイクルを実施するように配置される。主電源58は、電力をファンアセンブリ10に供給するために下部ケーシング部分22に形成された開口を貫通して延びている。
【0032】
モータケーシング部分20は、一連の開口62が台座12の基部16の空気入口30を設けるように形成された円筒格子60を含む。モータケーシング部分20は、1次空気流を開口62を通して基部16に吸い込むための羽根車64を収容する。好ましくは、羽根車64は、混合流羽根車の形態である。羽根車64は、モータ68から外向きに延びる回転シャフト66に接続される。この実施形態では、モータ68は、ダイヤル28のユーザ操作及び/又はリモコン250から受信した信号に応答して制御回路52により可変可能である速度を有するDCブラシレスモータである。モータ68の最大速度は、好ましくは、5、000から10、000rpmの範囲内である。モータ68は、下部部分72に接続された上部部分70を含むモータバケット内に収容される。モータバケットの上部部分70は、螺旋状ブレードを有する固定ディスクの形態のディフューザ74を含む。モータバケットは、モータケーシング部分20に接続されたほぼ円錐台形の羽根車ハウジング76内に位置し、かつその上に装着される。羽根車64及び羽根車ハウジング76は、羽根車64が羽根車ハウジング76の内面の近くにあるがこれと接触しないように成形される。実質的に環状の入口部材78は、1次空気流を羽根車ハウジング76に誘導するための羽根車ハウジング76の底部に接続される。
【0033】
好ましくは、台座12の基部16は、基部16からのノイズ放出を低下させるための消音発泡体を更に含む。この実施形態では、基部16のモータケーシング部分20は、格子60の下に位置する第1のほぼ円筒形の発泡部材80と、羽根車ハウジング76と入口部材78の間に位置する第2の実質的に環状の発泡部材82と、モータバケット内に位置する第3の実質的に環状の発泡部材84とを含む。
【0034】
ここで、台座12の伸縮性ダクト18を図4から図11を参照してより詳細に説明する。ダクト18の基部32は、実質的に円筒形の側壁102と、側壁102に対して実質的に直角であって好ましくはこれと一体化された環状上面104とを含む。側壁102は、好ましくは、基部16のモータケーシング部分20と実質的に同じ外径を有し、側壁102の外面が、ダクト18が基部16に接続された時に基部16のモータケーシング部分20の外面と実質的に同一平面にあるように成形される。基部32は、1次空気流をダクト18の外側管状部材34に搬送するために上面104から上方に延びる比較的短い空気管106を更に含む。空気管106は、好ましくは、側壁102と実質的に同軸にあり、ダクト18の外側管状部材34の内径よりも僅かに小さい外径を有し、空気管106をダクト18の外側管状部材34に完全に挿入することを可能にする。複数の軸線方向に延びるリブ108は、ダクト18の外側管状部材34と締り嵌めを形成するために空気管106の外面上に位置し、それによって外側管状部材34を基部32に固定することができる。環状密封部材110は、空気管106の上端にわたって位置し、外側管状部材34と空気管106の間に気密シールを形成する。
【0035】
ダクト18は、ディフューザ74から放出された1次空気流を空気管106に誘導するためのドーム形空気誘導部材114を含む。空気誘導部材114は、基部16から1次空気流を受け取るための開放下端116と、1次空気流を空気管106に搬送するための開放上端118とを有する。空気誘導部材114は、ダクト18の基部32内に収容される。空気誘導部材114は、基部32及び空気誘導部材114上に位置する連動スナップ式コネクタ120によって基部32に接続される。第2の環状密封部材121は、基部32と空気誘導部材114の間に気密シールを形成するように開放上端118の周りに位置する。図3に示すように、空気誘導部材114は、例えば、空気誘導部材114及び基部16のモータケーシング部分20上に位置する連動スナップ式コネクタ123又はネジ山付きコネクタにより、基部16のモータケーシング部分20の開放上端に接続される。従って、空気誘導部材114は、ダクト18を台座12の基部16に接続する働きをする。
【0036】
複数の空気誘導ベーン122は、ディフューザ74から放出された螺旋空気流を空気管106に誘導するための空気誘導部材114の内面上に位置する。この例では、空気誘導部材114は、空気誘導部材114の内面の周りに均等に離間した7つの空気誘導ベーン122を含む。空気誘導ベーン122は、空気誘導部材114の開放上端118の中心で交わり、従って、1次空気流のそれぞれの部分を空気管106に誘導するための空気誘導部材114の各々に複数の空気チャンネル124を形成する。特に図4を参照すると、7つの半径方向空気誘導ベーン126が、空気管106内に位置している。これらの半径方向空気誘導ベーン126の各々は、実質的に空気管126の全長に沿って延び、空気誘導部材114が基部32に接続された時に空気誘導ベーン122のそれぞれのものに隣接する。半径方向空気誘導ベーン126は、従って、空気管106内に複数の軸線方向に延びる空気チャンネル128を形成し、この各々は、空気誘導部材114内の空気チャンネル124のそれぞれのものから1次空気流のそれぞれの部分を受け取り、かつこれは、1次流れのその部分を空気管106を通して軸線方向に搬送し、ダクト18の外側管状部材34に入れる。従って、ダクト18の基部32及び空気誘導部材114は、ディフューザ74から放出された螺旋空気流を外側管状部材34及び内側管状部材36を通ってノズル14に流れる軸線方向空気流に変換する働きをする。第3の環状密封部材129は、ダクト18の空気誘導部材114と基部32の間に気密シールを形成するために設けることができる。
【0037】
円筒上部スリーブ130は、上部スリーブ130の上端132が外側管状部材34の上端134と同じ高さにあるように、例えば、接着剤を用いて又は締り嵌めによって外側管状部材34の上部部分の内面に接続される。上部スリーブ130は、内側管状部材36の外径よりも僅かに大きく、内側管状部材36が上部スリーブ130を貫通することを可能にする内径を有する。第3の管状密封部材136は、内側管状部材36で気密シールを形成するために上部スリーブ130上に位置する。第3の管状密封部材136は、外側管状部材34の上端132と係合して上部スリーブ130と外側管状部材34の間に気密シールを形成する環状リップ138を含む。
【0038】
円筒下部スリーブ140は、内側管状部材36の下端142が下部スリーブ140の上端144と下端146の間に位置するように、例えば、接着剤を用いて又は締り嵌めによって内側管状部材36の下部部分の外面に接続される。下部スリーブ140の上端144は、実質的に上部スリーブ130の下端148と同じ外径を有する。従って、内側管状部材36の完全に延びた位置で、下部スリーブ140の上端144は、上部スリーブ130の下端148に当接し、それによって内側管状部材36が外側管状部材34から完全に引き抜かれるのを防止する。内側管状部材36の後退位置では、下部スリーブ140の下端146は、空気管106の上端に当接する。
【0039】
主バネ150は、図7に示すようにダクト18の下部スリーブ140の内向きに延びるアーム154間に回転可能に支持された車軸152の回りに巻かれる。図8を参照すると、主バネ150は、上部スリーブ130の外面と外側管状部材34の内面との間に固定的に位置する自由端156を有する鋼ストリップを含む。その結果、主バネ150は、内側管状部材36が、図5及び図6に示すような完全に延びた位置から図10及び図11に示すような後退位置に下げられると、車軸152からほどかれる。主バネ150内に蓄積された弾性エネルギは、外側管状部材34に対して内側管状部材36のユーザ選択位置を維持するための釣合い錘として作用する。
【0040】
外側管状部材34に対する内側管状部材36の移動に対する付加抵抗は、下部スリーブ140の周りに周方向に延びる環状溝160内に位置する好ましくはプラスチック材料から形成されたバネ装填式弓状バンド158によってもたらされる。図7及び図9を参照すると、バンド158は、下部スリーブ140の周りで完全に延びず、従って、2つの相対する端部161を含む。バンド158の各端部161は、下部スリーブ140に形成された開口162内に受け取られる半径方向内側部分161aを含む。圧縮バネ164が、バンド158の端部161の半径方向内側部分161a間に位置し、バンド158の外面を外側管状部材34の内面に対して押し付け、それによって外側管状部材34に対する内側管状部材36の移動に抵抗する摩擦力を増加させる。
【0041】
バンド158は、この実施形態では、バンド158の外面上に軸線方向に延びる溝167を形成して圧縮バネ164に対向して位置する溝付き部分166を更に含む。バンド158の溝167は、外側管状部材34のその内面の長さに沿って軸線方向に延びる隆起リブ168の上に位置する。溝167は、内側管状部材36と外側管状部材34の間の相対回転を抑制するように実質的に隆起リブ168と同じ角度幅及び半径方向深さを有する。
【0042】
ここで、ファンアセンブリ10のノズル14を図12から図18を参照して説明する。ノズル14は、環状内側ケーシング区画202に接続されてこの周りに延びる環状外側ケーシング区画200を含む。これらの区画の各々は、複数の接続した部分から形成することができるが、この実施形態では、外側ケーシング区画200及び内側ケーシング区画202の各々は、それぞれの単一成形部分から形成される。内側ケーシング区画202は、ノズル14の中心開口部38を形成し、コアンダ面42、ディフューザ面44、ガイド面46、及びテーパ付き面48を形成するように成形された外周面203を有する。
【0043】
特に図13から図15を参照すると、外側ケーシング区画200及び内側ケーシング区画202は、一緒にノズル14の環状内部通路204を形成する。従って、内部通路204は、開口部38の周りに延びている。内部通路204は、外側ケーシング区画200の内周面206及び内側ケーシング区画202の内周面208によって境界付けられる。外側ケーシング区画200の基部は、開口210を含む。ノズル14をダクト18の内側管状部材36の開放上端170に接続するコネクタ37は、開口210内に固定的に位置し、1次空気流が伸縮性ダクト18から内部通路204に入る円形開口を含む上板37aを含む。コネクタ37は、内側管状部材36の開放上端170を通って少なくとも部分的に挿入されてコネクタの上板37aに接続された空気管37bを更に含む。空気管37bは、コネクタ37の上板37aに形成された円形開口と実質的に同じ内径を有する。可撓性ホース37cは、これらの間に気密シールを形成するために空気管37bと上板37aの間に位置する。
【0044】
ノズル14の口部40は、ノズル10の後部の方向に位置する。口部40は、それぞれ外側ケーシング区画200の内周面206及び内側ケーシング区画202の外周面203の重なった又は向かい合った部分212、214によって形成される。この例では、口部40は、実質的に環状であり、図15に示すように、正反対にノズル14を貫通する線に沿って分割された時に実質的にU字形断面を有する。この例では、外側ケーシング区画200の内周面206及び内側ケーシング区画202の外周面203の重なった部分212、214は、口部40が、1次流れをコアンダ面42の上に誘導するように配置された出口216の方向にテーパ付きになるように成形される。出口216は、好ましくは、0.5から5mmの範囲の比較的一定の幅を有する環状スロットの形態である。この例では、出口216は、0.5から1.5mmの範囲の幅を有する。スペーサ218が、外側ケーシング区画200の内周面206及び内側ケーシング区画202の外周面203の重なった部分212、214を離すように押し付けるために口部40の周りで離間して配置され、望ましいレベルに出口216の幅を維持することができる。これらのスペーサは、外側ケーシング区画200の内周面206又は内側ケーシング区画202の外周面203のいずれかと一体化することができる。
【0045】
ここで図12及び図16から図18を参照すると、ノズル14はまた、リモコン250をノズル14に取り付けるための1対の磁石220を含む。各磁石220は、実質的に円筒形であり、外側ケーシング区画200の内周面206上に配置されたそれぞれの磁石ハウジング222内に保持される。磁石ハウジング222は、外側ケーシング区画200の内周面206の周りで周方向に離間している。図18に最も明瞭に示すように、磁石ハウジング222は、ノズル14の垂直対称平面Sから等しく離間している。各磁石ハウジング222は、外側ケーシング区画200の内周面206から内向きに突出する1対の湾曲弾性壁224を含む。壁224は、磁石ハウジング222の内径が磁石220の外径よりも僅かに大きいように成形される。外側ケーシング区画200の内周面206から遠隔の壁224の遠位端226は、壁224に対して半径方向内向きに突出する。磁石220が、壁224の遠位端226によって形成された開口228を通って磁石ハウジング222に押し込まれる時に、壁224は、外向きに偏向して磁石220が磁石ハウジング222に入ることを可能にし、磁石220が、完全に磁石ハウジング222内に位置する時に、壁224は、磁石220が壁224の遠位端226によって磁石ハウジング222内に保持されるように緩和する。磁石220が磁石ハウジング222内に位置する時に、磁石220は、少なくとも部分的にノズル14の内部通路204内に位置する。
【0046】
図13から図16は、リモコン250がノズル14に取り付けられた時のリモコン250を示すのに対し、図19から図21は、リモコン250をより詳細に示している。リモコン250は、前面254と、後面256と、各々が前面254と後面256の間に延びる2つの湾曲側壁258とを有する外側ハウジング252を含む。前面254は、凹状であり、後面256は、凸状である。前面254の曲率半径は、後面256の曲率半径と実質的に同じであり、好ましくは、外側ケーシング区画200の外周面228の曲率半径よりも小さいか又はこれに等しい。
【0047】
リモコン250は、ユーザがファンアセンブリ10の作動を制御することを可能にするためのユーザインタフェースを含む。この例では、ユーザインタフェースは、ユーザによって押し下げ可能であってハウジング252の前面254に形成されたそれぞれの窓を通じて各々接近可能である複数のボタンを含む。リモコン250は、ユーザインタフェースのボタンの1つの押し下げに応答して赤外線制御信号を発生かつ送信する図18及び図21に全体を符号260で示す制御ユニットを含む。制御ユニット260は、大部分は従来型であり、従って、本明細書では詳細に説明しない。赤外線信号は、リモコン250の一端に位置する窓262から放出される。制御ユニット260は、保持機構268によって外側ハウジング252に解除可能に保持されたバッテリハウジング266内に位置するバッテリ264で作動する。
【0048】
ユーザインタフェースの第1のボタン270は、ファンアセンブリ10に対するオン/オフボタンであり、このボタンの押し下げに応答して、制御ユニット260は、ファンアセンブリ10の制御ユニット52に命令する信号を送信し、その電流状態に応じてモータ68を起動するか又は起動解除する。ユーザインタフェースの第2のボタン272は、ユーザがモータ68の回転速度を制御することを可能にし、それによってファンアセンブリ10によって発生する空気流を制御する。第2のボタン272の第1の側272aの押し下げに応答して、制御ユニット260は、ファンアセンブリ10の制御ユニット52に命令する信号を送信してモータ68の速度を低減し、一方、第2のボタン272の第2の側272bの押し下げに応答して、制御ユニット260は、ファンアセンブリ10の制御ユニット52に命令する信号を送信してモータ68の速度を増大させる。ユーザインタフェースの第3のボタン274は、首振り機構56に対するオン/オフボタンであり、このボタンの押し下げに応答して、制御ユニット260は、ファンアセンブリ10の制御ユニット52に命令する信号を送信し、その電流状態に応じて首振り機構56を起動するか又は起動解除する。モータ68が、この第3のボタン274が押し下げられた時に非作動である場合、制御ユニット52は、首振り機構56及びモータ68を同時に起動するように配置することができる。
【0049】
リモコン250の外側ハウジング252は、好ましくは、プラスチック材料から形成され、従って、リモコン250は、リモコン250をノズル14に取り付けることができるように、ノズル14の磁石220に取り付けられた少なくとも1つの磁石を含む。この例では、リモコン250は、リモコン250のそれぞれの側の方向に配置された磁石ハウジング278内に各々位置する1対の磁石276を含む。図16から18を参照すると、リモコン250の磁石276間の間隔は、ノズル14の磁石220間の間隔と実質的に同じである。磁石276は、リモコン250がノズル14の上面上に位置する時に、リモコン250が、そのリモコン250がノズル14の前又は後縁のいずれかを超えて突出しないような位置に保持されるように位置する。これは、リモコン250がノズル14から誤って取り除かれる可能性を低減する。磁石276の極性は、リモコン250の凹状の前面254が、リモコン250がノズル14に取り付けられた時にノズル14の外側区画200の外周面228に面するように選択される。これは、リモコン250がノズル14に取り付けられた時にユーザインタフェースのボタンの誤った作動を抑制することができる。
磁石220、276間の磁力は、好ましくは、2N未満、より好ましくは、0.25から1Nの範囲であり、リモコンがその後空気出口から切り離される時にファンアセンブリが変位する可能性を最小にする。
【0050】
ノズル14及びリモコン250の両方における複数の離間した磁石の具備はまた、ノズル14上のリモコン250に対して複数の角度的に離間した「ドッキング位置」をもたらす効果を有する。ノズル14及びリモコン250の各々が2つの磁石を含むこの例では、この配置は、ノズル14上のリモコン250に対して3つの角度的に離間したドッキング位置を設けることができる。リモコン250は、リモコン250の磁石276の各々がノズル14の磁石220のそれぞれのものの上に位置する図13及び図16から図18に示す第1のドッキング位置を有する。リモコン250はまた、第2のドッキング位置及び第3のドッキング位置を有し、その各々は、リモコン250の磁石276の1つのみがノズル14の磁石220のそれぞれのものの上に位置する第1のドッキング位置のそれぞれの側に対して位置する。複数のドッキング位置の具備は、ユーザがリモコン250をノズル14に取り付けるために位置決めする必要がある精度を低下させ、従って、ユーザに対してより便利であるとすることができる。
【0051】
ファンアセンブリ10を作動させるために、ユーザは、制御回路52がモータ68を起動させて羽根車64を回転させるのに応答して、台座12の基部16上のボタン26又はリモコン250上のボタン260のうちの適切な一方を押し下げる。羽根車64の回転は、1次空気流が格子60の開口62を通って台座12の基部16に引き込まれるようにする。モータ68の速度に応じて、1次空気流は、1秒間当たり20から40リットルとすることができる。1次空気流は、連続的に羽根車ハウジング76及びディフューザ74を通って流れる。ディフューザ74のブレードの螺旋形態は、1次空気流を螺旋空気流の形態でディフューザ74から排出させる。1次空気流は、空気誘導部材114に入り、湾曲空気誘導ベーン122は、1次空気流を複数の部分に分けて、1次空気流の各部分を伸縮性ダクト18の基部32の空気管106内の軸線方向に延びる空気チャンネル128のそれぞれのものの中に誘導する。1次空気流の各部分は、これらが空気管106から放出される時に融合して軸線方向空気流になる。1次空気流は、ダクト18の外側管状部材34及び内側管状部材36を通って及びコネクタ37を通って上方に流れ、ノズル14の内部通路86に入る。
【0052】
ノズル14内で、1次空気流は、ノズル14の中心開口部38の周囲で反対方向に流れる2つの空気流に分けられる。空気の流れが内部通路204を通って流れる時に、空気は、ノズル14の口部40に入る。口部40への空気流は、好ましくは、ノズル14の開口部38の周りで実質的に均等である。口部40内で、空気流の流れ方向は、実質的に逆になる。空気流は、口部40のテーパ付き区画によって収縮し、出口216を通って放出される。
【0053】
口部40から放出された1次空気流は、ノズル14のコアンダ面42の上に誘導され、外部環境から、特に、口部40の出口216の周囲の領域から及びノズル14の後部の周囲からの空気の同伴によって2次空気流を発生させる。この2次空気流は、ノズル14の中心開口部38を通って流れ、2次空気流は、1次空気流と結合し、ノズル14から前方に放出される総空気流、又は空気の流れを生成する。
【0054】
ノズル14の口部40に沿った1次空気流の均等な分布は、空気流がディフューザ面44上を均等に通過することを保証する。ディフューザ面44は、空気流の平均速度を制御式膨張の領域を通して空気流を移動させることにより低減させる。開口部38の中心軸Xに対するディフューザ面44の比較的浅い角度は、空気流の膨張が徐々に起こることを可能にする。強い又は急激な発散は、そうでなければ空気流を崩壊させ、膨張領域において渦を発生させると考えられる。そのような渦は、空気流における乱流及び関連ノイズの増大をもたらす可能性があり、これは、特に、ファンのような家庭用製品において望ましくないとすることができる。ディフューザ面44を超えて前方に放出された空気流は、発散し続ける傾向があるとすることができる。開口部38の中心軸Xに対して実質的に平行に延びるガイド面46の存在は、更に空気流を収束させる。その結果、空気流は、ノズル14から効率的に出ることができ、ファンアセンブリ10から数メートルの距離で空気流を迅速に体験することを可能にする。
【0055】
本発明に関連する好ましい態様として、以下のものをあげることができる。
[1] 空気の流れを作り出すためのファンアセンブリであって、
空気入口と、
空気出口と、
羽根車と、
前記空気入口から、空気流を受け取るための内部通路及び該空気流を放出するための口部を含み、かつファンアセンブリの外側からの空気が該口部から放出される該空気流によって引き込まれる開口部を形成する前記空気出口まで通る空気流を作り出すために前記羽根車を回転させるためのモータと、
前記モータを制御するための制御回路と、
制御信号を前記制御回路に送信するためのリモコンと、
前記リモコンを前記空気出口に取り付けるための磁気手段と、
を含むことを特徴とするアセンブリ。
[2] 前記磁気手段は、前記リモコンを前記空気出口の上部部分に取り付けるように配置されることを特徴とする上記[1]に記載のファンアセンブリ。
[3] 前記磁気手段は、前記空気出口に位置する少なくとも1つの磁石を含むことを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載のファンアセンブリ。
[4] 前記少なくとも1つの磁石は、前記空気出口の周りに角度的に離間した少なくとも2つの磁石を含むことを特徴とする上記[3]に記載のファンアセンブリ。
[5] 前記少なくとも1つの磁石は、少なくとも部分的に前記空気出口の前記内部通路内に位置することを特徴とする上記[3]又は上記[4]に記載のファンアセンブリ。
[6] 前記空気出口は、前記内部通路及び前記口部を一緒に形成する環状内側ケーシング区画及び環状外側ケーシング区画を含み、
前記少なくとも1つの磁石は、前記外側ケーシング区画の内面上に配置されたハウジング内に位置する、
ことを特徴とする上記[3]から上記[5]のいずれかに記載のファンアセンブリ。
[7] 前記ハウジングは、壁の間に少なくとも1つの磁石を保持するために前記外側ケーシング区画の前記内面から内向きに延びる1対の弾性壁を含むことを特徴とする上記[6]に記載のファンアセンブリ。
[8] 前記外側ケーシング区画は、該外側ケーシング区画の前記内面の周りに角度的に離間した複数の前記ハウジングを含み、各ハウジングは、それぞれの磁石を保持するように配置されることを特徴とする上記[6]又は上記[7]に記載のファンアセンブリ。
[9] 前記空気出口は、前記内部通路及び前記口部を一緒に形成する環状内側ケーシング区画及び環状外側ケーシング区画を含み、
前記外側ケーシング区画の少なくとも一部は、磁性材料から形成される、
ことを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載のファンアセンブリ。
[10] 前記口部は、前記内側ケーシング区画の外面と前記外側ケーシング区画の内面の間に位置する出口を含むことを特徴とする上記[6]から上記[9]のいずれかに記載のファンアセンブリ。
[11] 前記出口は、スロットの形態であることを特徴とする上記[10]に記載のファンアセンブリ。
[12] 前記出口は、0.5から5mmの範囲の幅を有することを特徴とする上記[10]又は上記[11]に記載のファンアセンブリ。
[13] 前記リモコンは、凹状外面を含み、前記空気出口は、該リモコンが前記磁気手段によって該空気出口に取り付けられた時に該リモコンの該凹状外面に面する凸状外面を含むことを特徴とする上記[1]から上記[12]のいずれかに記載のファンアセンブリ。
[14] 前記リモコンの前記凹状外面は、前記空気出口の前記凸状外面の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有することを特徴とする上記[13]に記載のファンアセンブリ。
[15] 前記リモコンの前記凹状外面は、ユーザインタフェースを含むことを特徴とする上記[13]又は上記[14]に記載のファンアセンブリ。
[16] 前記磁気手段は、前記リモコンの前記凹状外面の下に位置する少なくとも1つの磁石を含むことを特徴とする上記[15]に記載のファンアセンブリ。
[17] 前記リモコンは、前記凹状外面に対向して位置する凸状外面を含むことを特徴とする上記[13]から上記[16]のいずれかに記載のファンアセンブリ。
[18] 前記リモコンの前記凸状外面は、該リモコンの前記凹状外面の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有することを特徴とする上記[17]に記載のファンアセンブリ。
[19] 前記磁気手段は、前記リモコンを前記空気出口から取り外すのに必要な力が2N未満、好ましくは、1N未満であるように配置されることを特徴とする上記[1]から上記[18]のいずれかに記載のファンアセンブリ。
[20] 前記羽根車と前記モータとを収容する基部を含むことを特徴とする上記[1]から上記[19]のいずれかに記載のファンアセンブリ。
[21] 前記空気入口は、前記基部の側壁に位置することを特徴とする上記[20]に記載のファンアセンブリ。
[22] 前記内部通路は、前記空気流を2つの空気の流れに分け、かつ各空気の流れを前記開口部のそれぞれの側面に沿って誘導するように成形されることを特徴とする上記[1]から上記[21]のいずれかに記載のファンアセンブリ。
[23] 前記モータは、DCブラシレスモータであることを特徴とする上記[1]から上記[22]のいずれかに記載のファンアセンブリ。
【符号の説明】
【0056】
10 ファンアセンブリ
12 高さ調節可能台座
14 ノズル
16 基部
18 伸縮性ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流れを作り出すためのファンアセンブリであって、
空気入口と、
空気出口と、
羽根車と、
前記空気入り口から前記空気出口まで通る空気流を作り出すために前記羽根車を回転させるためのモータと、を有し、
前記空気出口は、空気流を受け取るための内部通路及び空気流を放出するための口部を含み、
前記空気出口は、ファンアセンブリの外側からの空気が前記口部から放出される空気流によって引き込まれる開口部を構成し、
前記モータを制御するための制御回路と、
制御信号を前記制御回路に送信するためのリモコンと、
前記リモコンを前記空気出口に取り付けるためのシステムと、を有し、
前記リモコンは、凹状外面を有し、また、前記空気出口は、リモコンが空気出口に取り付けられているとき、リモコンの凹状外面に対向する凹状外面を有する、
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
前記リモコンの前記凹状外面は、前記空気出口の前記凸状外面の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有することを特徴とする請求項1に記載のファンアセンブリ。
【請求項3】
前記リモコンの前記凹状外面は、ユーザインタフェースを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のファンアセンブリ。
【請求項4】
前記リモコンは、前記凹状外面に対向して位置する凸状外面を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のファンアセンブリ。
【請求項5】
前記リモコンの前記凸状外面は、前記リモコンの前記凹状外面の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有することを特徴とする請求項4に記載のファンアセンブリ。
【請求項6】
前記リモコンを前記空気出口に取り付けるためのシステムは、前記リモコンを前記空気出口に取り付けるための磁気手段を有する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のファンアセンブリ。
【請求項7】
前記磁気手段は、前記リモコンを前記空気出口の上部部分に取り付けるように配置されることを特徴とする請求項6に記載のファンアセンブリ。
【請求項8】
前記磁石手段は、リモコンの凹状外面の下方に位置する少なくとも1つの磁石を有する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載のファンアセンブリ。
【請求項9】
前記空気出口は、前記口部の前記内側通路を形成する環状内側ケース部及び環状外側ケーシングを有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のファンアセンブリ。
【請求項10】
前記口部は、前記内側ケーシング区画の外面と前記外側ケーシング区画の内面の間に位置する出口を含むことを特徴とする請求項9に記載のファンアセンブリ。
【請求項11】
前記出口は、スロットの形態であることを特徴とする請求項10に記載のファンアセンブリ。
【請求項12】
前記出口は、0.5から5mmの範囲の幅を有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のファンアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−79656(P2013−79656A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−19762(P2013−19762)
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2010−249519(P2010−249519)の分割
【原出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】