説明

ファームウェアのバージョンアップ方法

【課題】監視処理を中断することなく、バージョンアップを行う方法に関し、バージョンアップの処理過程に於ける監視処理を継続可能とする。
【解決手段】通信装置1の共通制御部2のプロセッサ11が実行するファームウェアのバージョンアップ時に、監視処理代行端末装置4を接続し、プロセッサ11による監視処理を、監視処理代行端末装置4により代行するように、プロセッサ11により切替制御し、ダウンロードした新バージョンのファームウェアをプロセッサ11により実行できるように、プロセッサ11の再立上げ処理を行い、再立上げ正常完了までの間は、点線矢印径路により、監視処理代行端末装置4により監視処理を継続し、正常完了により、プロセッサ11は、実線矢印径路の最初の制御状態に復帰するように、各部を制御し、監視処理代行端末装置4の切り離しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに於けるファームウェアのバージョンアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上位の保守・監視装置にネットワークを介して複数の通信装置を接続し、各通信装置に単一又は複数の端末装置を接続し、保守・監視装置により、ネットワークを介して各通信装置の保守・監視を行い、又各通信装置は、端末装置の保守・監視を行う通信システムが知られている。このような通信システムに於ける各通信装置に対するファームウェアについて、バージョンアップする必要が生じる場合が多いものである。図10は、通信システムの概要を示し、保守・監視装置101と単一又は複数の通信装置102とを広域ネットワーク(WAN;Wide Area Network)103に接続して、それぞれ相互間で通信可能の構成とし、各通信装置102には、単一又は複数の端末装置104を接続し、端末装置104間は、通信装置102を介して相互間で通信可能となっている。保守・監視装置101は、広域ネットワーク103を介して、各通信装置102の正常性の監視を行う機能を備えている。なお、各通信装置102に、複数の端末装置104をPON(Passive Optical Network)システムによって接続した場合を示す。
【0003】
各通信装置102は、上位の保守・監視装置101からの指示に従ってファームウェアのバージョンアップ処理を行う場合がある。通常は、保守・監視装置101から、バージョンアップしたファームウェアを各通信装置102にダウンロードし、各通信装置102は、旧バージョンのファームウェアの代わりに、新バージョンのファームウェアをセットアップした後、新バージョンのファームウェアの立上げ処理を行うことになる。
【0004】
前述のバージョンアップ処理の過程に於いては、新バージョンのファームウェアのダウンロードを行った後、再立上げ処理により、新バージョンのファームウェアによる制御処理が実行可能となる。その場合に、プロセッサは、リセット処理から再立上げ正常完了までの間は、各部の監視処理は中止することになる。そこで、運用面メモリ領域と非運用面メモリ領域とを有するメモリを設け、運用面メモリ領域には、現在運用中の旧バージョンのファームウェアを格納しておき、このファームウェアによる処理を実行し、その間にバージョンアップ要求に従ってダウンロードした新バージョンのファームウェアを非運用面メモリ領域に格納し、そのダウンロード処理が完了した後、旧バージョンのファームウェアと新バージョンのファームウェアとをマルチタスク処理により同時並行的に実行し、同期がとれたタイミングで、旧バージョンのファームウェアから新バージョンのファームウェアに切替えて処理を実行するバージョンアップ方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−7382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ファームウェアのバージョンアップの際に、一般的には、新バージョンのファームウェアに切替える為に、ファームウェアを実行するプロセッサの再立上げ処理を行うものであるから、リセットから再立上げ正常完了までの間、例えば、図10に於ける通信装置102のファームウェアのバージョンアップ処理に於いて、保守・監視装置101から通信装置102の状態監視を行うことができない問題がある。又前述の特許文献1の場合、余分なメモリ領域を確保しておく必要があり、通信装置102としてのコストアップの問題と、プロセッサの機能アップを必要とする問題がある。
【0007】
本発明は、前述の従来例の問題点を解決するもので、パソコン等の運搬が容易な端末装置を利用して、通信装置のファームウェアのバージョンアップ処理中も、状態監視を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のファームウェアのバージョンアップ方法は、プロセッサをそれぞれ含む共通制御部と複数の個別制御部とを有する通信装置のファームウェアのバージョンアップ方法であって、共通制御部に搭載されたファームウェアのバージョンアップ処理時に、この共通制御部に監視処理代行端末装置を接続し、ファームウェアにより行っていた共通制御部の監視処理を、監視処理代行端末装置により代行するように、共通制御部のプロセッサにより切替える制御処理過程と、前記プロセッサの制御により新パージョンのファームウェアのダウンロードを行い、このファームウェアのダウンロード完了により、共通制御部のプロセッサの再立上げ処理を実行する制御処理過程と、再立上げ処理の正常完了により、監視処理代行端末装置による監視処理を、共通制御部のプロセッサによる監視処理に切替えて、監視処理代行端末装置の切り離しを行う処理過程とを含むものである。
【0009】
又プロセッサを含む共通制御部と、それぞれプロセッサを含み、単一又は複数の端末装置を接続する複数の個別制御部とを有する通信装置の前記個別制御部に搭載されたファームウェアのバージョンアップ方法であって、個別制御部に監視処理代行端末装置を接続し、ファームウェアにより行っていた個別制御部の監視処理を、監視処理代行端末装置により代行するように、個別制御部のプロセッサにより切替える制御処理過程と、個別制御部のプロセッサの制御により新バージョンのファームウェアのダウンロードを行い、このファームウェアのダウンロード完了により、個別制御部のプロセッサの再立上げ処理を実行する制御処理過程と、再立上げ処理の正常完了により、監視処理代行端末装置による監視処理を、個別制御部のプロセッサによる監視処理に切替えて、監視処理代行端末装置の切り離しを行う処理過程とを含むものである。
【0010】
又共通制御部と複数の個別制御部とを含む通信装置の個別制御部に接続された端末装置に搭載されたファームウェアのバージョンアップ方法であって、記端末装置に監視処理代行端末装置を接続して、ファームウェアにより行っていた監視処理を、監視処理代行端末装置により代行するように、端末装置のプロセッサにより切替える制御処理過程と、端末装置のプロセッサの制御により新バージョンのファームウェアを、通信装置を介してダウンロードし、ダウンロード完了により、端末装置のプロセッサの再立上げ処理を実行する制御処理過程と、再立上げ処理の正常完了により、監視処理代行端末装置による監視処理を、端末装置のプロセッサによる監視処理に切替えて、監視処理代行端末装置の切り離しを行う処理過程とを含むものである。
【発明の効果】
【0011】
監視処理代行端末装置は、携帯可能のパソコン等により構成することも可能であり、通信装置や端末装置のファームウェアのバージョンアップ処理時に、通信装置や端末装置に対してコネクタ等により簡単に接続することが可能である。そして、ファームウェアをダウンロードした後、再立上げ処理の正常完了までの間の各部の監視処理を、監視処理代行端末装置により行うことができるから、システムの信頼性を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1のシステム構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1のシーケンス説明図である。
【図3】本発明の実施例1のシーケンス説明図である。
【図4】本発明の実施例2のシステム構成の説明図である。
【図5】本発明の実施例2のシーケンス説明図である。
【図6】本発明の実施例2のシーケンス説明図である。
【図7】本発明の実施例3のシステム構成の説明図である。
【図8】本発明の実施例3のシーケンス説明図である。
【図9】本発明の実施例3のシーケンス説明図である。
【図10】従来の通信システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のファームウェアのバージョンアップ方法は、図1を参照すると、通信装置1の共通制御部(COM)2は、プロセッサ(CPU)11と、制御処理部12〜13と、インタフェース部15,16とをそれぞれ含む構成を有し、且つ複数の個別制御部3−1,3−2,・・・3−nとを有する通信装置に於けるファームウェアのバージョンアップ方法であって、共通制御部2に搭載されたファームウェアのバージョンアップ処理時に、この共通制御部2に監視処理代行端末装置4を接続し、ファームウェアにより行っていた共通制御部2のプロセッサ11による監視処理を、監視処理代行端末装置4により代行するように、共通制御部2のプロセッサ11により切替える制御処理過程と、プロセッサ11の制御により新パージョンのファームウェアのダウンロードを行い、このファームウェアのダウンロード完了により、共通制御部2のプロセッサ11の再立上げ処理を実行する制御処理過程と、再立上げ処理の正常完了により、監視処理代行端末装置4による監視処理を、共通制御部2のプロセッサ11による監視処理に切替えて、監視処理代行端末装置4の切り離しを行う処理過程とを含むものである。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1のシステム構成の説明図であり、1は通信装置、2は共通制御部(COM)、3−1,3−2,・・・3−nは個別処理部(IF)、4はパーソナルコンピュータ等による監視処理代行端末装置、11はファームウェアにより各部の制御及び監視を行うプロセッサ(CPU)、12〜14はFPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されてデータ等の転送処理を行う同一又は異なる構成の制御処理部、15,16は外部と接続する為のコネクタ等を含むインタフェース部である。なお、通信装置1のインタフェース部16と広域ネットワーク(WAN)を介して接続する上位の保守・監視装置と、他の通信装置及び個別処理部3−1,3−2,・・・3−nにそれぞれ接続するユーザ等が使用する端末装置とは、図示を省略している。
【0015】
通信装置1の共通制御部2は、プロセッサ11と複数の制御処理部12〜14とインタフェース部15,16とを含む構成を有し、広域ネットワーク(WAN)を介して上位の保守・監視装置(図示を省略)との間で保守情報や監視情報等の送受信を行い、又複数の個別処理部3−1,3−2,・・・3−nの監視等を行うと共に、広域ネットワークを介して他の通信装置との間のデータ等の送受信処理を行う。通常の通信制御処理は、監視処理代行端末装置4を取り外した状態で実行するものであり、従って、通信装置1は、広域ネットワーク(WAN)を介した他の通信装置との間及び上位の保守・監視装置との間の通信制御処理及び個別処理部3−1,3−2,・・・3−nを介したユーザ等の端末装置との間の通信制御処理を、プロセッサ11の制御処理により実行する。なお、個別処理部3−1,3−2,・・・3−nもそれぞれプロセッサや複数の制御処理部を含む構成を有するもので、ユーザの端末装置との間のデータ通信制御等を行う。
【0016】
又共通制御部2のプロセッサ11は、ファームウェアによる制御処理及び監視処理を実行するものであり、そのファームウェアのバージョンアップを行う場合、監視処理代行端末装置4をLANケーブル等によりインタフェース部16に接続する。この監視処理代行端末装置4はパーソナルコンピュータ等により構成することができるものであり、この監視処理代行端末装置4を接続しない通常の通信制御処理を行っている場合は、プロセッサ11と広域ネットワークとの間及び個別処理部3−1,3−2,・・・3−nとの間は、実線矢印の径路で各種制御情報、監視情報、各種データ等の転送を行うものである。又プロセッサ11のファームウェアをバージョンアップする場合、先ず、監視処理代行端末装置4を前述のようにLANケーブル等によりインタフェース部16のコネクタに接続し、監視処理代行端末装置4のログイン処理を行う。このログイン処理はプロセッサ11により実行する。このログイン完了により、プロセッサ11は、制御処理部12,13,14による転送経路の設定を切替えることにより、監視及び制御の情報は、点線矢印で示す経路で、監視処理代行端末装置4との間に転送される。従って、ファームウェアのバージョンアップ処理により、プロセッサ11を再立上げする場合、立上げ完了までの間は、監視処理代行端末装置4がプロセッサ11の代わりに、各部の監視処理及び上位の保守・監視装置との間の情報の代行送受信処理を行うことができる。このように、監視処理代行端末装置4により、ファームウェアのバージョンアップ処理時の保守・監視の空白期間が生じないようにすることができる。又通信装置1としては、二重化構成等の冗長構成は必要としないので、システムコストの増加の問題を回避することができる。
【0017】
図2及び図3は、本発明の実施例1のシーケンス説明図であり、符号10は、図1では図示を省略した上位の保守・監視装置を示し、他の符号は、図1に於ける共通制御部2のプロセッサ11、制御処理部12,13,14、監視処理代行端末装置4を示す。先ず、ケーブル接続として示すように、監視処理代行端末装置4を通信装置1のインタフェース部16のコネクタに接続し、監視処理代行端末装置4に予め格納しあるファームウェア監視処理代行アプリケーションを立上げ、インタフェース部16と制御処理部13とを介してプロセッサ11に対してログイン要求を行う。プロセッサ11によるログイン処理OKにより、プロセッサ11から制御処理部13を介して監視処理代行端末装置4にログイン処理結果を通知する。このログイン成功により、監視処理代行端末装置4は、監視処理の代行を開始する。又プロセッサ11は、制御処理部12,13を制御し、制御処理部13を介した監視処理代行端末装置4との間のデータ送受信を開始する。その場合、制御処理部14は、ファームウェアによる監視処理データのみ、上位の保守・監視装置10に転送する。
【0018】
そして、プロセッサ11は保守・監視装置10からバージョンアップのファームウェアのダウンロードを開始し、ダウンロードの完了により、保守・監視装置10は、旧バージョンと新バージョンとのファームウェアの切替えコマンドをプロセッサ11に送出する。プロセッサ11は、転送データ切替処理により、制御処理部14対して、監視処理代行端末装置(PC)4からのデータのみを保守・監視装置10に転送するように指示し、プロセッサ(CPU)11のリセット処理を実行し、再立上げにより、新バージョンのファームウェアを立上げ、この再立上げの正常完了により、転送データの切替処理として、制御処理部14に対して、COMファームから、即ち、プロセッサ11からのデータのみを上位の保守・監視装置10へ転送するように指示する。
【0019】
次に、監視処理代行端末装置4のファームウェア監視処理代行のアプリケーションを立上げ、ログアウト処理を行い、プロセッサ11は、これに対して、ログアウト処理OKを監視処理代行端末装置4に転送し、監視処理代行端末装置4のケーブルを、インタフェース部16のコネクタから抜去する。又プロセッサ11は、制御処理部12,13に対して、最初の転送処理状態に復帰させ、その後、プロセッサ11を含む共通制御部2による各部のデータ転送処理等を実行する通常処理に移行する。従って、プロセッサ11の再立上げ処理の正常完了までの間の通信装置1内の各部の監視処理を、監視処理代行端末装置4により実行することにより、システムの信頼性を確保することができる。
【実施例2】
【0020】
図4は、本発明の実施例2の説明図であり、通信装置1としては前述の図1に示す通信装置1と同様であり、共通制御部(COM)2と複数の個別処理部(IF)3−1、3−2,・・・3−nとを含む構成を有し、各個別処理部3−1、3−2,・・・3−nは、プロセッサ(CPU)31と、FPGA等により構成された制御処理部32,33,34と、コネクタを含むインタフェース部36とを有し、共通制御部2とは、制御処理部34を介して接続されている。又各個別処理部3−1、3−2,・・・3−nにはユーザ等の端末装置37が接続されている。この場合の各端末装置37は、PON(Passive Optical Network)システムによって接続した場合を示す。
【0021】
又監視処理代行端末装置4は、図1に示す監視処理代行端末装置4と同一又は異なる構成とすることができるもので、プロセッサ31による監視処理を代行する為のアプリケーションを格納し、各個別処理部3−1,3−2,・・・3−nは、それぞれのプロセッサ31のファームウェアのバージョンアップ処理時に、LANケーブル等により、インタフェース部36のコネクタに接続する。なお、通常は、実線矢印の径路により、プロセッサ31の制御による監視データ等を含む各種データは転送され、監視処理代行端末装置4を接続して、ファームウェアのバージョンアップ処理を行う時は、点線矢印の経路で転送されるように、プロセッサ31により、各制御処理部32,33,34の転送処理径路の設定変更を制御する。従って、プロセッサ31のファームウェアのバージョンアップ処理時に、監視処理代行端末装置4は、点線矢印の径路で転送された監視データ等を、制御処理部34から共通制御部2を介して上位の保守・監視装置へ転送することができる。
【0022】
図5及び図6は、本発明の実施例2のシーケンス説明図であり、図4に於ける共通制御部2と、個別制御部のプロセッサ(CPU)31と、制御処理部32〜34と、監視処理代行端末装置4とを示し、図2及び図3に示すシーケンスと略同じシーケンスを行うものである。先ず、図4に於ける個別処理部3−1のプロセッサ31のファームウェアのバージョンアップ時に、ケーブル接続として示すように、監視処理代行端末装置4を、通信装置1の個別処理部3−1のインタフェース部36に設けたコネクタに接続し、監視処理代行端末装置4に予め格納してあるファームウェア監視処理代行アプリケーションを立上げ、インタフェース部36と制御処理部33とを介してプロセッサ31に対してログイン要求を行う。プロセッサ31によるログイン処理OKにより、プロセッサ31から制御処理部33を介して監視処理代行端末装置4にログイン処理結果を通知する。このログイン成功により、監視処理代行端末装置4は、監視処理を開始する。又プロセッサ31は、制御処理部32,33,34に通知して、制御処理部33を介した監視処理代行端末装置4との間のデータ送受信を開始する。その場合、制御処理部34は、ファームウェアによる監視処理データを、共通制御部2へ転送する。それにより、共通制御部2は、上位の保守・監視装置へ転送する。
【0023】
そして、プロセッサ31に対するファームウェアを、共通制御部2を介してダウンロードする。この場合、共通制御部2の図示を省略したメモリに、予めプロセッサ31に対するファームウェアを、保守・監視装置から広域ネットワークを介してダウンロードして保持しておくことができる。プロセッサ31に対するファームウェアのダウンロードの完了により、共通制御部2から、旧バージョンと新バージョンとのファームウェアの切替えのコマンドをプロセッサ31に送出し、転送データ切替処理により、制御処理部34対して、監視処理代行端末装置(PC)4からのデータのみを上位の共通制御部2へ転送するように指示する。そして、プロセッサ(CPU)31のリセット処理を実行し、再立上げにより、新バージョンのファームウェアを立上げ、転送データの切替処理として、制御処理部34に対して、COMファームから、即ち、プロセッサ31からのデータのみを、共通制御部2へ転送するように指示する。共通制御部2は、必要に応じて上位の保守・監視装置10へ転送する。
【0024】
次に、監視処理代行端末装置4のファームウェア監視処理代行のアプリケーションを立上げ、ログアウト処理を行い、プロセッサ31は、これに対して、ログアウト処理OKを監視処理代行端末装置4に転送し、監視処理代行端末装置4のケーブルを、インタフェース部36のコネクタから抜去し、又プロセッサ31は、制御処理部32,33に対して、最初の転送処理状態に復帰させ、その後、プロセッサ31を含む個別処理部3−1は、端末装置37との間を含む各種データの伝送制御を行う。又他の個別処理部3−2,・・・3−nに対しても、順次監視処理代行端末装置4を接続して、前述と同様な処理により、それぞれのファームウェアのバージョンアップ処理を実行することができる。
【実施例3】
【0025】
図7は、本発明の実施例3の説明図であり、3は通信装置の個別処理部(IF)、4は監視処理代行端末装置、37−1,37−2,・・・37−nはユーザの端末装置、61はプロセッサ(CPU)、62〜64はFPGA等により構成された制御処理部、65,66はコネクタを含むインタフェース部である。端末装置37−1,37−2,・・37−nは、分散配置されている場合に、通信装置の個別処理部3との間をPON(Passive Optical Network)方式を適用して接続することができる。その場合は、個別処理部3及びインタフェース部65は、光電変換及び電光変換の機能を設けて、光ファイバ伝送路により接続することになる。
【0026】
プロセッサ61による通常の監視処理に於けるデータの流れは、プロセッサ61による制御処理部62〜64の転送径路設定制御により、実線矢印で示す径路である。又ファームウェアのバージョンアップを行う場合は、点線矢印で示す径路として、プロセッサ61に代わって、監視処理代行端末装置4による監視処理を実行する。このファームウェアのバージョンアップを行う場合、監視処理代行端末装置4をインタフェース部66の例えばコネクタによりLANケーブルで接続し、プロセッサ61の再立上げ処理の期間、監視処理代行端末装置4により各部の監視処理を行う処理を実行するものである。この監視処理代行端末装置4は、前述の各実施例に於ける監視処理代行端末装置4と同一とすることも可能であり、又異なる構成とすることも可能である。
【0027】
図8及び図9は、本発明の実施例3のシーケンス説明図であり、図7に於ける個別処理部(IF)3と、端末装置のプロセッサ61と、制御処理部62〜64と、監視処理代行端末装置4との処理を示す。先ず、ケーブル接続として示すように、監視処理代行端末装置4を端末装置37−1のインタフェース部66のコネクタに接続し、監視処理代行端末装置4に予め格納してあるファームウェア監視処理代行アプリケーションを立上げ、インタフェース部66と制御処理部63とを介してプロセッサ61に対してログイン要求を行い、プロセッサ61によるログイン処理OKにより、プロセッサ61から制御処理部63を介して監視処理代行端末装置4にログイン処理結果を通知する。このログイン成功により、監視処理代行端末装置4は、監視処理を開始する。又プロセッサ61は、制御処理部62,63,64に通知して、制御処理部63を介した監視処理代行端末装置4との間のデータ送受信を開始する。
【0028】
次に、プロセッサ61に対するファームウェアを、通信装置の個別処理部3介してダウンロードする。そのダウンロードの完了により、旧バージョンと新バージョンとのファームウェアの切替えのコマンドをプロセッサ61が受信し、転送データ切替処理を行うもので、監視処理代行端末装置(PC)4からのデータのみを個別処理部3へ転送するように指示する。そして、プロセッサ(CPU)61のリセット処理を実行し、再立上げにより、新バージョンのファームウェアを立上げ、転送データの切替処理として制御処理部34に対してCOMファームから、即ち、プロセッサ31からのデータのみを、個別処理部3へ転送するように指示する。個別処理部3は、必要に応じて、通信装置1の上位の保守・監視装置10へ転送する。
【0029】
次に、監視処理代行端末装置4のファームウェア監視処理代行のアプリケーションを立上げ、ログアウト処理を行い、プロセッサ61は、これに対して、ログアウト処理OKを監視処理代行端末装置4に転送し、監視処理代行端末装置4のケーブルを、インタフェース部66のコネクタから抜去し、又プロセッサ61は、制御処理部62,63に対して、最初の転送処理状態に復帰させる。他の端末装置37−2,・・・3−nに対しても同様な処理により、それぞれのファームウェアのバージョンアップ処理を行い、その処理過程に於いても、監視処理代行端末装置4により、監視処理を代行して継続することが可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1 通信装置
2 共通制御部(COM)
3−1,3−2,・・・3−n 個別処理部(IF)
4 監視処理代行端末装置
11 プロセッサ(CPU)
12,13,14 制御処理部
15,16 インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサをそれぞれ含む共通制御部と複数の個別制御部とを有する通信装置のファームウェアのバージョンアップ方法に於いて、
前記共通制御部に搭載されたファームウェアのバージョンアップ処理時に、該共通制御部に監視処理代行端末装置を接続し、前記ファームウェアにより行っていた前記共通制御部の監視処理を、前記監視処理代行端末装置により代行するように、前記共通制御部のプロセッサにより切替える制御処理過程と、
前記プロセッサの制御により新バージョンのファームウェアのダウンロードを行い、該ファームウェアのダウンロード完了により、前記共通制御部のプロセッサの再立上げ処理を実行する制御処理過程と、
前記再立上げ処理の正常完了により、前記監視処理代行端末装置による監視処理を、前記共通制御部のプロセッサによる監視処理に切替えて、前記監視処理代行端末装置の切り離しを行う処理過程とを含む
ことを特徴とするファームウェアのバージョンアップ方法。
【請求項2】
プロセッサを含む共通制御部と、それぞれプロセッサを含み、単一又は複数の端末装置を接続する複数の個別制御部とを有する通信装置の前記個別制御部に搭載されたファームウェアのバージョンアップ方法に於いて、
前記個別制御部に監視処理代行端末装置を接続し、前記ファームウェアにより行っていた前記個別制御部の監視処理を、前記監視処理代行端末装置により代行するように、前記個別制御部のプロセッサにより切替える制御処理過程と、
前記個別制御部のプロセッサの制御により新バージョンのファームウェアのダウンロードを行い、該ファームウェアのダウンロード完了により、前記個別制御部のプロセッサの再立上げ処理を実行する制御処理過程と、
前記再立上げ処理の正常完了により、前記監視処理代行端末装置による監視処理を、前記個別制御部のプロセッサによる監視処理に切替えて、前記監視処理代行端末装置の切り離しを行う処理過程とを含む
ことを特徴とするファームウェアのバージョンアップ方法。
【請求項3】
共通制御部と複数の個別制御部とを含む通信装置の前記個別制御部に接続された端末装置に搭載されたファームウェアのバージョンアップ方法に於いて、
前記端末装置に監視処理代行端末装置を接続して、前記ファームウェアにより行っていた監視処理を、前記監視処理代行端末装置により代行するように、前記端末装置のプロセッサにより切替える制御処理過程と、
前記端末装置のプロセッサの制御により新バージョンのファームウェアを、前記通信装置を介してダウンロードし、該ダウンロードの完了により、前記端末装置のプロセッサの再立上げ処理を実行する制御処理過程と、
前記再立上げ処理の正常完了により、前記監視処理代行端末装置による監視処理を、前記端末装置のプロセッサによる監視処理に切替えて、前記監視処理代行端末装置の切り離しを行う処理過程とを含む
ことを特徴とするファームウェアのバージョンアップ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−186226(P2010−186226A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28456(P2009−28456)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】