フィゾーレンズ
【課題】フィゾーレンズにおいて、最大レンズ径を低減し、小型化、軽量化を図ることができるようにする。
【解決手段】レーザ光源6からのレーザ光Q3を、干渉の基準波面を形成する被検面反射光束Q5と、被検面5aに向けて集光される測定光束Q4とに分割するフィゾー面4bを最外のレンズ面として備えるフィゾーレンズ10であって、レーザ光Q3が入射する物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズと、正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された正レンズ群と、が配置された構成とする。
【解決手段】レーザ光源6からのレーザ光Q3を、干渉の基準波面を形成する被検面反射光束Q5と、被検面5aに向けて集光される測定光束Q4とに分割するフィゾー面4bを最外のレンズ面として備えるフィゾーレンズ10であって、レーザ光Q3が入射する物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズと、正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された正レンズ群と、が配置された構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィゾーレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィゾー干渉計に用いられるフィゾーレンズとしては、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズ群とからなり、正レンズ群の最も像側の面がフィゾー面とされた構成が知られている。
例えば、特許文献1には、入射光束の入射側から順に、入射側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズ群と、被検球面側に基準球面として機能する凹面を向けた正メニスカスレンズとが配設されて構成される干渉計に用いられる干渉計用基準レンズが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4094301号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来のフィゾーレンズには、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、第1レンズである負メニスカスレンズの凹面が入射側を向いているため、第1レンズに入射した入射光束が凹面で屈折し凹面から発散されることによって入射光束の光束径が拡径される。このため、少なくとも第2レンズのレンズ径を、第1レンズに必要なレンズ径よりも大きくする必要があり、第1レンズよりもレンズ径が大きいレンズが1以上必要となるため、フィゾーレンズを構成するレンズの最大レンズ径が、入射光束の光束径の大きさの割には大きくなるという問題がある。このため、フィゾーレンズのレンズ重量も大きくなるという問題がある。
また、フィゾーレンズを構成するレンズの最大レンズ径は、フィゾーレンズとしてのレンズ外径寸法を律するため、フィゾーレンズの径寸法が大きくなることを意味する。したがって、フィゾーレンズのレンズホルダの径寸法や重量が大きくなるという問題がある。
また、第1レンズである負メニスカスレンズの凹面が入射側に向いているため、第1レンズのレンズ周辺部が入射側に張り出した構成となりレンズ長が長くなってしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、最大レンズ径を低減し、小型化、軽量化を図ることができるフィゾーレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、フィゾー干渉計に用いられ、光源からの入射光束を、干渉の基準波面を形成する参照光束と、被検面に向けて集光される測定光束とに分割するフィゾー面を最外のレンズ面として備えるフィゾーレンズであって、前記入射光束が入射する物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズと、正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された正レンズ群と、が配置されて構成されたことを特徴とする。
なお、本明細書では、負メニスカスレンズは、負の屈折力を有するメニスカスレンズを意味する。また、正メニスカスレンズは、正の屈折力を有するメニスカスレンズを意味する。
また、正レンズ群は、全体としての屈折力が正であるレンズ群を意味する。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のフィゾーレンズにおいて、前記正レンズ群のうち前記負メニスカスレンズに対向するレンズは、物体側のレンズ面が凸面であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のフィゾーレンズにおいて、Fナンバーが、1.5より小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフィゾーレンズによれば、最も入射側に配置された負メニスカスレンズが凸面を入射側に向けて配置されるため、負メニスカスレンズによる光束径の増大を抑制することができ、最大レンズ径を低減し、小型化、軽量化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るフィゾー干渉計の概略構成を示す光軸を含む模式的な断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの光軸を含む模式的な断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの作用について説明する模式的な光路図である。
【図4】本発明の実施形態の変形例に係るフィゾーレンズの光軸を含む模式的な断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの実施例(実施例1)の収差図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例に係るフィゾーレンズの実施例(実施例2)の収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るフィゾー干渉計の概略構成を示す光軸を含む模式的な断面図である。図2は、本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの光軸を含む模式的な断面図である。図2において符号Iは像面を示す。なお、本実施形態のフィゾーレンズの数値実施例は実施例1として後記する。
【0012】
以下では、本実施形態のフィゾー干渉計の構成を説明するとともに、本実施形態のフィゾーレンズの構成を説明する。
本実施形態のフィゾー干渉計20は、図1に示すように、被検体5の被検面5aの形状を干渉縞によって観察したり、計測したりするフィゾー型の干渉計である。
フィゾー干渉計20の概略構成は、レーザ光源6(光源)、ビームスプリッタ8、コリメータレンズ9、フィゾーレンズ10、および撮像部7(撮像部)を備える。これらの各部材は、互いの相対的な位置関係が保たれるように不図示の筐体または支持部材に固定されている。
また、撮像部7、ビームスプリッタ8、コリメータレンズ9、およびフィゾーレンズ10は、フィゾー干渉計20の光軸P0上にこの順に配列されている。
【0013】
フィゾー干渉計20において、被検体5は、例えば、移動ステージ付きの保持台(不図示)などによって、後述するフィゾーレンズ10のフィゾー面4bに対向する状態で光軸P0に対する位置や傾きが調整できるように保持されている。
なお、図1では、一例として、被検面5aが凸面を有するレンズの場合の例を描いているが、被検面5aは凹面であっても、フィゾーレンズ10と被検体5との距離を変更することにより干渉縞による観察や計測を行うことができる。
また、被検体5は、レンズには限定されず、例えば、反射ミラーなどの光学素子であってもよい。
【0014】
レーザ光源6は、被検体5およびフィゾーレンズ10に照射する可干渉光束を、フィゾー干渉計20の光軸P0に交差する光軸P1上を進む発散光であるレーザ光Q1として発生する光源であり、ビームスプリッタ8の側方に配置されている。
レーザ光源6の構成は、発散する可干渉光束であるレーザ光を出射できれば特に限定されない。例えば、レーザダイオードを採用することができる。
【0015】
ビームスプリッタ8は、レーザ光源6から出射されたレーザ光Q1の光軸P1をビームスプリッタ面8aにおいてコリメータレンズ9側にレーザ光Q2として反射して、フィゾー干渉計20の光軸P0に一致させるとともに、コリメータレンズ9側から光軸P0に沿って入射する後述の被検面反射光束Q5、フィゾー面反射光束Q6を撮像部7側に透過させる光路分岐素子である。
【0016】
コリメータレンズ9は、ビームスプリッタ8で反射されたレーザ光Q2を集光して平行光束であるレーザ光Q3を形成する光学素子であり、レンズ光軸がフィゾー干渉計20の光軸P0に同軸に配置されている。
【0017】
フィゾーレンズ10は、コリメータレンズ9によって平行光束とされたレーザ光Q3(光源からの入射光束)の一部を集光しつつ透過させ、球面波に変換された測定光束Q4として被検体5の被検面5aに向けて照射するとともに、測定光束Q4のうち被検面5aで反射された被検面反射光束Q5を集光してコリメータレンズ9側に導く集光レンズである。
フィゾーレンズ10は、被検面5a側の最終レンズ面として、レンズ面から集光位置までの距離に等しい曲率半径を有する高精度な凹球面からなるフィゾー面4bを備える。
フィゾー面4bの面精度は、本実施形態では、λ=632.8(nm)として、PV(peak to valley)がλ/20以下としている。
【0018】
また、フィゾーレンズ10は、平行光束を集光して、フィゾー面4bにその法線に沿って垂直入射するレンズ構成とされている(詳細構成は後述する)。
このため、コリメータレンズ9側から入射するレーザ光Q3のうち、透過光を除く他のレーザ光は、フィゾー面4bにおいて出射角0度で反射され、フィゾー面4bの形状に対応した波面としてコリメータレンズ9側に進むフィゾー面反射光束Q6(参照光束)が形成されるようになっている。
【0019】
被検面反射光束Q5は、被検面5aの曲率中心がフィゾーレンズ10の集光位置に一致するように被検体5の配置位置を調整した状態では、被検面5aへの入射光路を逆行してフィゾーレンズ10内に入射する。この場合、被検面反射光束Q5とフィゾー面反射光束Q6とは、フィゾー面4bを基準参照面とする被検面5aの形状誤差に応じて、光路差が発生するため干渉縞を形成することになる。
【0020】
撮像部7は、被検面反射光束Q5およびフィゾー面反射光束Q6が重畳されることよって形成される干渉縞の画像を撮像するカメラであり、撮像レンズ7bおよび撮像素子7aが不図示のカメラ筐体に収められたものである。
撮像レンズ7bは、光軸P0と同軸かつコリメータレンズ9の焦点位置に焦点位置に合焦可能に配置され、コリメータレンズ9を通して集光されビームスプリッタ8を透過した被検面反射光束Q5およびフィゾー面反射光束Q6を集光して、撮像素子7aに投影する集光光学系である。
撮像素子7aは、撮像レンズ7bによって投影された光の像を光電変換して、撮像するものであり、例えば、CCDやCMOS素子などの撮像素子を採用することができる。また、撮像素子7aで光電変換された映像信号は、図示しないモニタに送出され、モニタの表示画面に表示できるようになっている。
【0021】
次に、本実施形態のフィゾーレンズ10のレンズ構成の詳細について、図2を参照して説明する。
フィゾーレンズ10は、平行光束であるレーザ光Q3が入射する物体側から像面Iが形成される像側に向かって、第1レンズL1(負メニスカスレンズ)、第2レンズL2(正レンズ)、第3レンズL3(正レンズ)、および第4レンズL4(正レンズ)がこの順に配置され、不図示のレンズホルダに収容されている。
【0022】
第1レンズL1は、物体側に向けられた第1面1aが凸球面、像側の第2面1bが凹球面からなる負メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0023】
第2レンズL2は、物体側から、凸球面からなる第3面2a、平面からなる第4面2bを備える凸平レンズの単レンズから構成される。
本実施形態の第2レンズL2は、フィゾーレンズ10のレンズ有効径に等しい光束径を有する入射光束の周辺光線が第3面2a上においてフィゾーレンズ10のレンズ有効径よりもわずかに小径の円周上に入射する空気間隔をあけて、配置されている。また、第4面2bの曲率半径は、第3面2aの曲率半径よりも大きい構成としている。
【0024】
なお、以下では、フィゾーレンズ10のレンズ有効径と区別するため、フィゾーレンズ10を構成するレンズ単体でのレンズ面における有効領域の径は、レンズ径と称する。また、レンズ外径は、レンズ径外に保持部等を設けたレンズ外形の径寸法を指すものとする。
【0025】
第3レンズL3は、物体側に向けられた第5面3aが凸球面、像側の第6面3bが凹球面とされた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0026】
第4レンズL4は、物体側に向けられた第7面4aが凸球面とされ、像側にフィゾー面4bが設けられた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0027】
このように、本実施形態では、第2レンズL2、第3レンズL3、および第4レンズL4は、いずれも正レンズ(正の屈折力を有するレンズ)からなる。このため、これらのレンズから構成されるレンズ群は、正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された1群の正レンズ群になっている。
【0028】
第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、および第4レンズL4(以下、これらを総称する場合、「第1レンズL1〜第4レンズL4」と表記する場合がある)の曲率半径、面間隔、硝材の屈折率等は、入射光束が平行光束の場合に、フィゾー面4bへの入射光線がフィゾー面4bの法線に沿って垂直入射するという条件の下に、必要なFナンバー(FNo)を得るための屈折力や、必要な収差に応じて適宜設定することができる。
本発明は、明るいフィゾーレンズ、すなわち、Fnoが小さいフィゾーレンズに特に好適である。このため、Fnoは、1.5よりも小さいフィゾーレンズに好適である。
Fnoが1.5以上であると、負メニスカスレンズによる収差補正の効果が高くなるためである。
【0029】
本実施形態のように、正レンズ群を3枚構成とするためには、第1レンズL1〜第4レンズL4に用いる硝材の屈折率が大きいことが好ましい。例えば、Fnoが0.6の場合、d線に対する屈折率が1.75より大きい硝材を用いることが好ましい。
【0030】
次に、フィゾー干渉計20の作用について、フィゾーレンズ10の作用を中心として説明する。
図3(a)、(b)は、本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの作用について説明する模式的な光路図である。図3(a)は、本実施形態の場合、図3(b)は、比較例の場合を示す。
【0031】
フィゾー干渉計20によって、被検面5aの観察または計測を行うには、被検面5aの曲率中心がフィゾーレンズ10の集光位置に略一致する位置に、被検体5の配置位置を調整する。そして、レーザ光源6を点灯して、レーザ光Q1を出射させる。
レーザ光Q1は、ビームスプリッタ8のビームスプリッタ面8aによって反射され、レーザ光Q2として光軸P0上を進み、コリメータレンズ9によって平行光束化されてレーザ光Q3となり、フィゾーレンズ10に入射する。
レーザ光Q3はフィゾーレンズ10に入射すると、図2に示す光路をたどって集光され、フィゾー面4bにその法線に沿って垂直入射する。フィゾー面4bに入射したレーザ光Q3は、その一部が像面I側に透過し、測定光束Q4として出射され、その他の部分が、フィゾー面4bで反射され、フィゾー面反射光束Q6として入射光路を逆行する。
【0032】
フィゾーレンズ10は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3および第4レンズL4からなる正の屈折力を有する正レンズ群が配置され、全体として正の屈折力を有する集光光学系になっている。このため、正レンズ群は、レーザ光Q3を集光する機能を有し、第1レンズL1は、正レンズ群で生じる収差を補正する機能を有している。
【0033】
以下、レーザ光Q3の光路に沿って、フィゾーレンズ10の作用の詳細を説明する。
フィゾーレンズ10の最も物体側には、第1レンズL1が配置されているため、レーザ光Q3は、凸面である第1面1aによって屈折されて、集光されつつ第2面1bに到達する。
例えば、図3(a)に示すように、フィゾーレンズ10のレンズ有効半径をh0とし、このレンズ有効径の円周を通過する周辺光線をQmと表すと、周辺光線Qmは、第1面1aにおいて光軸P0からの光線高さがh0の点q1に入射し、第1面1aで屈折される結果、第2面1bでは光線高さがh0よりも低い点q2の位置に到達する。
第1レンズL1は負メニスカスレンズであるため、周辺光線Qmは、第2面1bでは、光軸P0に沿って進むにつれて光線高さが増大する方向に出射されて、第2レンズL2側に向かう。
また、第2レンズL2は、周辺光線Qmが、フィゾーレンズ10のレンズ有効半径h0よりもわずかに小さい半径h1の円周上に入射するように、空気間隔をあけて配置されている。本実施形態では、第1レンズL1の第2面1bが凹面であり、かつこれに対向する第2レンズL2の第3面2aが凸面であるため、凸面同士が対向する場合に比べて、レンズ周辺部において、第2面1bと第3面2aとの間の間隔を縮め易くなっている。
このため、周辺光線Qmは、光線高さがh0を超えないうちに、第3面2a上の光線高さh1の点q3に入射する。すなわち、第2レンズL2のレンズ径は、2・h1とすればよい。
【0034】
第2レンズL2、第3レンズL3、および第4レンズL4は、いずれも正レンズであるため、周辺光線Qmは、各レンズ面で屈折されるごとに、光軸P0に沿って光線高さが低下する方向、または光線高さの増加が抑制される方向に進む。したがって、第2レンズL2〜第4レンズL4を透過するレーザ光Q3の光束径は、フィゾーレンズ10のレンズ有効径よりも小さいか、または大きいとしても第3面2aに光線高さh0を超えて入射される場合に比べるとより小径になる。
【0035】
ここで、本実施形態の作用について、図3(b)に示す比較例と対照して説明する。
図3(b)に示す第1レンズ23、第2レンズ24は、従来技術のフィゾーレンズの物体側のレンズ構成の一例を示している。
第1レンズ23は、物体側に向けられた第1面23aが凹球面、像側の第2面23bが凸球面からなる負メニスカスレンズの単レンズである。
第2レンズ24は、物体側に凸球面からなる第3面24aを有する正レンズである。
【0036】
この場合、光線高さh0の周辺光線Qmは、第1面23aにおいて光軸P0からの光線高さがh0の点q1に入射し、第1面23aで屈折される結果、第2面23bでは光線高さがh0よりも高い点q2’の位置に到達する。
第1レンズ23は負メニスカスレンズであるため、周辺光線Qmは、第2面23bでは、光軸P0に沿って進むにつれて光線高さが増大する方向に出射されて、第2レンズ24側に向かう。
このため、周辺光線Qmは、光線高さを増して、第3面2a上の光線高さh2(ただし、h2>h0)の点q3’に入射する。
【0037】
したがって、第2レンズ24の第3面24aのレンズ径は、第1レンズ23の第2面23bを透過する光束径よりも大きくする必要がある。このため、第2レンズ24のレンズ径は、第1レンズ23に入射する光束径2・h0よりも確実に大きな範囲とする必要がある。この結果、正レンズ群において、少なくとも第2レンズ24のレンズ径は、第1レンズ23に必要なレンズ径に比べて大きくする必要があり、フィゾーレンズ10に比べて、フィゾーレンズを構成するレンズの最大レンズ径が大きくなってしまう。
最大レンズ径が大きくなれば、保持部の領域も含めたレンズ外径も大きくなるため、このような大径化に伴って、レンズの質量や、レンズホルダの質量が増大する。このため、フィゾーレンズ10に比べて重いフィゾーレンズとなってしまう。
【0038】
また、第1レンズ23、第2レンズ24では、互いに対向する第2面23b、第3面24aは、いずれも凸面であるため、光軸P0上の空気間隔を0以下にはできない。このため、第1レンズ23、第2レンズ24の空気間隔を調整しても、レンズ周辺部における面間の光路長q2’q3’を一定値以下に設定することができず、大径化は容易には抑制できない。
また、互いに対向する第2面23b、第3面24aが、いずれも凸面であるため、第1レンズ23のレンズ周辺部が物体側に飛び出した配置となり、第1レンズ23と第2レンズ24とによる複合レンズ長が、フィゾーレンズ10に比べて大きくなってしまう。
【0039】
このような従来技術のフィゾーレンズにおいて、第2レンズ24の第3面24aを凹面として、第1レンズ23、第2レンズ24のレンズ周辺部における空気間隔を低減して、複合レンズ長と短縮することも考えられるが、第2レンズ24の第3面24aを凹面にすると、第2レンズ24の正の屈折力をあまり大きくできず、第3レンズ以降のレンズ径が増大したり、正レンズ群の屈折力が低下する結果レンズ枚数を増大させなくてはならなくなったりするといった問題が生じるおそれがある。この場合、フィゾーレンズのレンズ径が増大したり、フィゾーレンズが重くなったりするおそれがある。
【0040】
このように、本実施形態のフィゾーレンズ10によれば、各レンズを透過する光束径をフィゾーレンズ10のレンズ有効径h0以下にできるか、あるいはレンズ有効径h0より大きいとしても、上記の比較例の構成に比べて各レンズを透過する光束径の大きさを抑制することができるため、フィゾーレンズ10を構成するレンズの最大レンズ径を抑制することができる。この結果、小径のフィゾーレンズを構成することができる。
また、第2面1b、第3面2aがそれぞれ凹面、凸面になっているため、第3面2aを第2面1b側に張り出して配置することができるため、上記比較例のように凸面同士が対向する場合や凹面同士が対向する場合に比べて、第1レンズL1と第2レンズL2とによる複合レンズ長を短縮することができる。この結果、フィゾーレンズ10のレンズ長の短縮が容易となる。
【0041】
次に、フィゾーレンズ10を透過した後の光路に沿って、フィゾー干渉計20の作用を説明する。
フィゾーレンズ10を透過し、フィゾー面4bから出射された測定光束Q4は、図1に示すように、被検面5aの曲率中心の曲率中心に向かって集光されつつ、被検面5aに入射して、被検面5aで反射され、被検面反射光束Q5が形成される。
被検面反射光束Q5は、被検面5aへの入射光路を逆行してフィゾーレンズ10内に入射する。これにより、被検面反射光束Q5とフィゾー面反射光束Q6とによって干渉縞が形成される。
被検面反射光束Q5とフィゾー面反射光束Q6とは、フィゾーレンズ10の第1面1aから出射されると平行光束化され、コリメータレンズ9によって集光されつつビームスプリッタ8に入射し、ビームスプリッタ面8aを透過して、光軸P0に沿って進み、ビームスプリッタ8から出射される。
そして、被検面反射光束Q5とフィゾー面反射光束Q6とは、撮像レンズ7bによって撮像素子7aに投影され、これらによって形成される干渉縞が撮像される。この干渉縞の画像信号は、不図示のモニタに表示されるため、観察や計測を行うことができる。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態のフィゾーレンズ10によれば、最も入射側(コリメータレンズ9側)に配置された第1レンズL1が凸面である第1面1aを入射側に向けて配置されるため、第1レンズL1による光束径の増大を抑制することができるため、フィゾーレンズ10を構成するレンズの最大レンズ径を低減し、小径化を図ることができる。
また、第1レンズL1に対向する第2レンズL2の第3面2aを凸面とすることで、光束径の増大を抑制しつつ、フィゾーレンズ10のレンズ長を低減することができる。
【0043】
また、このようなフィゾーレンズ10を備えるフィゾー干渉計20によれば、入射可能な光束径に対するフィゾーレンズ10の径径寸法を低減することができるため、装置を小型化、軽量化することができる。また、フィゾーレンズ10が軽量化されるため、被検体5の種類に応じて行うフィゾーレンズ10の交換作業が容易となり、作業効率が向上する。
【0044】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例に係るフィゾーレンズについて説明する。
図4は、本発明の実施形態の変形例に係るフィゾーレンズの光軸を含む模式的な断面図である。図4において符号Iは像面を示す。なお、本変形例の数値実施例は実施例2として後記する。
【0045】
本変形例のフィゾーレンズ30は、上記実施形態のフィゾー干渉計20において、フィゾーレンズ10に代えて用いることができるものであり、上記実施形態と同様に、物体側から物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズ群とが、この順に配置された構成を有し、正レンズ群を4枚の正レンズで構成した例になっている。
フィゾーレンズ30は、図4に示すように、平行光束であるレーザ光Q3が入射する物体側から像面Iが形成される像側に向かって、第1レンズL11(負メニスカスレンズ)、第2レンズL12(正レンズ)、第3レンズL13(正レンズ)、第4レンズL14(正レンズ)、および第5レンズ(正レンズ)がこの順に配置され、不図示のレンズホルダに収容されている。
【0046】
第1レンズL11は、物体側に向けられた第1面11aが凸球面、像側の第2面11bが凹球面からなる負メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0047】
第2レンズL12は、物体側から、いずれも凸球面からなる第3面12a、第4面12bを備える両凸レンズの単レンズから構成される。
本実施形態の第2レンズL12は、フィゾーレンズ30のレンズ有効径に等しい光束径を有する入射光束の周辺光線が、第3面12aにおいてフィゾーレンズ30のレンズ有効径よりもわずかに小径の円周上に入射するように、空気間隔をあけて配置されている。また、第4面12bの曲率半径は、第3面12aの曲率半径よりも大きい構成としている。
【0048】
第3レンズL13は、物体側に向けられた第5面13aが凸球面、像側の第6面13bが凹球面とされた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0049】
第4レンズL14は、物体側に向けられた第7面14aが凸球面、像側の第8面14bが凹球面とされた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0050】
第5レンズL15は、物体側に向けられた第9面15aが凸球面とされ、像側にフィゾー面15bが設けられた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
フィゾー面15bは、フィゾーレンズ30の被検面5a側の最終レンズ面として、レンズ面から集光位置までの距離に等しい曲率半径を有する高精度な凹球面である。フィゾー面15bの面精度はフィゾー面4bと同様である。
【0051】
このように、本変形例では、第2レンズL12、第3レンズL13、第4レンズL14、および第5レンズL15は、いずれも正レンズからなる。このため、これらのレンズから構成されるレンズ群は、正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された1群の正レンズ群になっている。
【0052】
第1レンズL11〜第5レンズL15の曲率半径、硝材の屈折率は、必要なFNoを得るための屈折力や、必要な収差に応じて適宜設定することができる。
本変形例では、正レンズ群を4枚構成としているため、第1レンズL11〜第5レンズL15に用いる硝材の屈折率は、上記実施形態に比べて低屈折率の硝材を採用することが可能である。例えば、Fnoが0.7の場合、d線に対する屈折率が1.62程度の硝材を好適に採用することができる。
【0053】
本変形例のフィゾーレンズ30によれば、図4に光路を示すように、上記実施形態と同様に、負メニスカスレンズである第1レンズL11の第2面11bと第2レンズL12の物体側の凸面である第3面12aとが対向して配置されているため、第1レンズL11と第2レンズL12との空気間隔を適宜設定することで、第3面12aに入射する光束径が、第1面11aに入射する光束径よりも小さいようにすることができる。
また、第2レンズL12〜第5レンズL15は、いずれも正レンズであるため、これらを透過する光束径は、フィゾーレンズ30のレンズ有効径h0以下にできるか、あるいはレンズ有効径h0より大きいとしても、上記実施形態で説明した比較例の構成に比べて各レンズを透過する光束径の大きさを抑制することができるため、小径のフィゾーレンズを構成することができる。
また、第2面11b、第3面12aがそれぞれ凹面、凸面になっているため、第3面12aを第2面11b側に張り出して配置することができるため、凸面同士が対向する場合や凹面同士が対向する場合に比べて、第1レンズL11と第2レンズL12とによる複合レンズ長を短縮することができる。この結果、フィゾーレンズ30のレンズ長の短縮が容易となる。
【0054】
また、上記の説明では、正レンズ群のレンズのうち負メニスカスレンズ(第1レンズ)に対向するレンズ(第2レンズ)は、フィゾーレンズのレンズ有効径に等しい光束径を有する入射光束の周辺光線が、第2レンズにおいて第1レンズに対向するレンズ面においてフィゾーレンズのレンズ有効径よりもわずかに小径の円周上に入射するように、空気間隔をあけて配置されている場合の例で説明した。
ただし、フィゾーレンズの最大レンズ径が、第1レンズのレンズ径よりも大きくても許容できる場合には、第2レンズに入射する周辺光線がフィゾーレンズのレンズ有効径よりも大径の円周上に入射するように空気間隔をあけた構成としてもよい。
この場合でも、第1レンズと第2レンズとの空気間隔を同じにした場合に、第1レンズが物体側の凹面を向けた負メニスカスレンズである場合に比べて、フィゾーレンズの最大レンズ径を低減することができる。また、フィゾーレンズのレンズ長をより短縮することが可能である。
【0055】
また、上記の実施形態、変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせを代えたり、削除したりして実施することができる。
【実施例】
【0056】
[実施例1]
以下に、上記実施形態のフィゾーレンズ10に対応する第1数値実施例の光学系の構成パラメータを示す。なお、r1、r2、…は各レンズ面の曲率半径(単位:mm)、d1、d2、…は各レンズ面間の面間隔(単位:mm)であり、図2の符号とそれぞれ対応している。また、n1、n2、…は各レンズのd線での屈折率、ν1、ν2、…は各レンズのアッベ数である。これらの表記は以下の参照図面すべてに共通である。
【0057】
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
1 r1 = 81.623 d1 = 4.107 n1 = 1.77861 ν1 = 25.68
2 r2 = 56.014 d2 = 8.301
3 r3 = 98.551 d3 = 9.362 n2 = 1.77861 ν2 = 25.68
4 r4 = ∞ d4 = 0.9345
5 r5 = 37.691 d5 =11.392 n3 = 1.77861 ν3 = 25.68
6 r6 = 76.145 d6 = 0.551
7 r7 = 20.102 d7 =11.930 n4 = 1.77861 ν4 = 25.68
8 r8 = 18.749 d8 =18.749
I ∞(像面)
【0058】
本実施例の焦点距離fは、f=37.3(mm)、Fnoは、Fno=0.6である。
また、レンズ長は53.7mmである。ここで、レンズ長とは、第1レンズの最も入射側の位置から最も像側のレンズ(本実施例では第4レンズ)の最も射出側の位置までの距離を意味する。したがって、本実施例の場合のレンズ長は、第1面1aと光軸P0との交点からフィゾー面4bと測定光束Q4の周辺光線との交点までの光軸P0に沿う方向の長さとする。
以下に、フィゾーレンズ10のレンズ有効径を60mmとし、レーザ光Q3の光束径をレンズ有効径と一致させた場合の各レンズ面における周辺光線の光線高さH1、H2、…を示す。光線高さの単位は、mmである。
【0059】
面番号 光線高さ
1 H1 = 30.000
2 H2 = 28.908
3 H3 = 29.717
4 H4 = 29.487
5 H5 = 28.308
6 H6 = 26.662
7 H7 = 19.738
8 H8 = 15.151
【0060】
このように、本実施例によれば、光線高さは、第3面2aの光線高さH3が、第1面1aの光線高さH1よりも低くなっている。また、第2面1bから第8面であるフィゾー面4bまでの光線高さH2〜H8は、いずれも第1面の光線高さH1よりも低くなっている。
【0061】
図5に、本実施例の球面収差の収差図を示す。図5において横軸の単位は、mmである。
図5から分かるように、本実施例のフィゾーレンズ10の球面収差は良好に補正されている。
【0062】
[実施例2]
以下に、上記実施形態の変形例のフィゾーレンズ30に対応する第2数値実施例の光学系の構成パラメータを示す。符号ri、di(i=1,…,10)は、図4の符号とそれぞれ対応している。
【0063】
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
1 r1 = 161.741 d1 = 5.000 n1 = 1.61655 ν1 = 36.26
2 r2 = 112.978 d2 =10.000
3 r3 = 355.722 d3 =15.000 n2 = 1.61655 ν2 = 36.26
4 r4 = -1189.176 d4 = 2.000
5 r5 = 91.505 d5 =14.965 n3 = 1.61655 ν3 = 36.26
6 r6 = 225.636 d6 = 0.471
7 r7 = 69.152 d7 =15.000 n4 = 1.61655 ν4 = 36.26
8 r8 = 164.051 d8 = 1.883
9 r9 = 38.408 d9 =14.631 n5 = 1.61655 ν5 = 36.26
10 r10= 41.313 d10=41.313
I ∞(像面)
【0064】
本実施例の焦点距離fは、f=70.9(mm)、Fnoは、Fno=0.7である。
また、レンズ長は91.2mmである。ここで、レンズ長とは、上記実施例1と同様に定義した長さとする。したがって、本実施例の場合のレンズ長は、第1面11aと光軸P0との交点からフィゾー面14bと測定光束Q4の周辺光線との交点までの光軸P0に沿う方向の長さである。
以下に、フィゾーレンズ30のレンズ有効径を106mmとし、レーザ光Q3の光束径をレンズ有効径と一致させた場合の各レンズ面における周辺光線の光線高さH1、H2、…を示す。光線高さの単位は、mmである。
【0065】
面番号 光線高さ
1 H1 = 53.000
2 H2 = 51.868
3 H3 = 51.996
4 H4 = 52.079
5 H5 = 51.818
6 H6 = 50.627
7 H7 = 47.025
8 H8 = 45.547
9 H9 = 34.587
10 H10= 29.361
【0066】
このように、本実施例によれば、光線高さは、第3面12aの光線高さH3が、第1面11aの光線高さH1よりも低くなっている。また、第2面1bから第10面であるフィゾー面15bまでの光線高さH2〜H10は、第4面12bで最大値をとり、いずれも第1面の光線高さH1よりも低くなっている。
【0067】
図6に、本実施例の球面収差の収差図を示す。図6において横軸の単位は、mmである。
図6から分かるように、本実施例のフィゾーレンズ30の球面収差は良好に補正されている。
【0068】
なお、本実施例は、従来技術に係る特許文献1の第2の実施形態の実施例2−1(以下、従来例と称する)と定量的な比較ができるように、入射光束径、Fno、硝材の屈折率、第2レンズL12から第5レンズL15までの面構成を特許文献1のレンズ12からレンズ15までの面構成と合わせ、作動距離を略一致させている。このため、従来例の本実施例に対する相違点は、主として負メニスカスレンズの凸面を像側に向けた点である。
従来例のレンズ内の最大光束径(特許文献1の用語では「レンズ外径」)は特許文献1に記載されたように、113mm(光線高さ56.5mm)である。これに対して、本実施例の最大光束径は106mm(光線高さ53mm)であるため、15mm(14%)低減されている。
また、従来例のレンズ長は、特許文献1の数値例から上記と同様な定義により計算すると106mmである。すなわち、従来例のレンズ長は、面番号1のレンズ面と入射光束の周辺光線との交点から、面番号10のレンズ面と射出光束の周辺光線との交点までの、光軸に沿う方向の長さとして計算した。
これに対して本実施例のレンズ長は91mmであるため、本実施例のレンズ長は、15mm(14%)短縮されている。
球面収差は、特許文献1の図9と、本変形例の図6とを比較すると、本実施例の方が大きくなっているものの、0.01mmよりは小さいため、十分許容できる範囲である。
このように、本実施例によれば、従来例と同じ枚数のレンズ構成を用いても、比較例に比べて、最大レンズ径を低減するとともにレンズ長が短縮できていることが分かる。
【符号の説明】
【0069】
1a、11a 第1面
1b、11b 第2面(凸面)
2a、12a 第3面(凸面)
3a、13a 第5面(凸面)
4a、14a 第7面(凸面)
4b、15b フィゾー面
5 被検体
5a 被検面
6 レーザ光源(光源)
7 撮像部
10、30 フィゾーレンズ
15a 第9面(凸面)
15b フィゾー面
20 フィゾー干渉計
L1、L11 第1レンズ(負メニスカスレンズ)
L2、L12 第2レンズ(正レンズ群)
L3、L13 第3レンズ(正レンズ群)
L4、L14 第4レンズ(正レンズ群)
L15 第5レンズ(正レンズ群)
P0 光軸
Q1、Q2、Q3 レーザ光(入射光束)
Q4 測定光束
Q5 被検面反射光束
Q6 フィゾー面反射光束(参照光束)
Qm 周辺光線
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィゾーレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィゾー干渉計に用いられるフィゾーレンズとしては、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズ群とからなり、正レンズ群の最も像側の面がフィゾー面とされた構成が知られている。
例えば、特許文献1には、入射光束の入射側から順に、入射側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズ群と、被検球面側に基準球面として機能する凹面を向けた正メニスカスレンズとが配設されて構成される干渉計に用いられる干渉計用基準レンズが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4094301号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来のフィゾーレンズには、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、第1レンズである負メニスカスレンズの凹面が入射側を向いているため、第1レンズに入射した入射光束が凹面で屈折し凹面から発散されることによって入射光束の光束径が拡径される。このため、少なくとも第2レンズのレンズ径を、第1レンズに必要なレンズ径よりも大きくする必要があり、第1レンズよりもレンズ径が大きいレンズが1以上必要となるため、フィゾーレンズを構成するレンズの最大レンズ径が、入射光束の光束径の大きさの割には大きくなるという問題がある。このため、フィゾーレンズのレンズ重量も大きくなるという問題がある。
また、フィゾーレンズを構成するレンズの最大レンズ径は、フィゾーレンズとしてのレンズ外径寸法を律するため、フィゾーレンズの径寸法が大きくなることを意味する。したがって、フィゾーレンズのレンズホルダの径寸法や重量が大きくなるという問題がある。
また、第1レンズである負メニスカスレンズの凹面が入射側に向いているため、第1レンズのレンズ周辺部が入射側に張り出した構成となりレンズ長が長くなってしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、最大レンズ径を低減し、小型化、軽量化を図ることができるフィゾーレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、フィゾー干渉計に用いられ、光源からの入射光束を、干渉の基準波面を形成する参照光束と、被検面に向けて集光される測定光束とに分割するフィゾー面を最外のレンズ面として備えるフィゾーレンズであって、前記入射光束が入射する物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズと、正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された正レンズ群と、が配置されて構成されたことを特徴とする。
なお、本明細書では、負メニスカスレンズは、負の屈折力を有するメニスカスレンズを意味する。また、正メニスカスレンズは、正の屈折力を有するメニスカスレンズを意味する。
また、正レンズ群は、全体としての屈折力が正であるレンズ群を意味する。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のフィゾーレンズにおいて、前記正レンズ群のうち前記負メニスカスレンズに対向するレンズは、物体側のレンズ面が凸面であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のフィゾーレンズにおいて、Fナンバーが、1.5より小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフィゾーレンズによれば、最も入射側に配置された負メニスカスレンズが凸面を入射側に向けて配置されるため、負メニスカスレンズによる光束径の増大を抑制することができ、最大レンズ径を低減し、小型化、軽量化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るフィゾー干渉計の概略構成を示す光軸を含む模式的な断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの光軸を含む模式的な断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの作用について説明する模式的な光路図である。
【図4】本発明の実施形態の変形例に係るフィゾーレンズの光軸を含む模式的な断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの実施例(実施例1)の収差図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例に係るフィゾーレンズの実施例(実施例2)の収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るフィゾー干渉計の概略構成を示す光軸を含む模式的な断面図である。図2は、本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの光軸を含む模式的な断面図である。図2において符号Iは像面を示す。なお、本実施形態のフィゾーレンズの数値実施例は実施例1として後記する。
【0012】
以下では、本実施形態のフィゾー干渉計の構成を説明するとともに、本実施形態のフィゾーレンズの構成を説明する。
本実施形態のフィゾー干渉計20は、図1に示すように、被検体5の被検面5aの形状を干渉縞によって観察したり、計測したりするフィゾー型の干渉計である。
フィゾー干渉計20の概略構成は、レーザ光源6(光源)、ビームスプリッタ8、コリメータレンズ9、フィゾーレンズ10、および撮像部7(撮像部)を備える。これらの各部材は、互いの相対的な位置関係が保たれるように不図示の筐体または支持部材に固定されている。
また、撮像部7、ビームスプリッタ8、コリメータレンズ9、およびフィゾーレンズ10は、フィゾー干渉計20の光軸P0上にこの順に配列されている。
【0013】
フィゾー干渉計20において、被検体5は、例えば、移動ステージ付きの保持台(不図示)などによって、後述するフィゾーレンズ10のフィゾー面4bに対向する状態で光軸P0に対する位置や傾きが調整できるように保持されている。
なお、図1では、一例として、被検面5aが凸面を有するレンズの場合の例を描いているが、被検面5aは凹面であっても、フィゾーレンズ10と被検体5との距離を変更することにより干渉縞による観察や計測を行うことができる。
また、被検体5は、レンズには限定されず、例えば、反射ミラーなどの光学素子であってもよい。
【0014】
レーザ光源6は、被検体5およびフィゾーレンズ10に照射する可干渉光束を、フィゾー干渉計20の光軸P0に交差する光軸P1上を進む発散光であるレーザ光Q1として発生する光源であり、ビームスプリッタ8の側方に配置されている。
レーザ光源6の構成は、発散する可干渉光束であるレーザ光を出射できれば特に限定されない。例えば、レーザダイオードを採用することができる。
【0015】
ビームスプリッタ8は、レーザ光源6から出射されたレーザ光Q1の光軸P1をビームスプリッタ面8aにおいてコリメータレンズ9側にレーザ光Q2として反射して、フィゾー干渉計20の光軸P0に一致させるとともに、コリメータレンズ9側から光軸P0に沿って入射する後述の被検面反射光束Q5、フィゾー面反射光束Q6を撮像部7側に透過させる光路分岐素子である。
【0016】
コリメータレンズ9は、ビームスプリッタ8で反射されたレーザ光Q2を集光して平行光束であるレーザ光Q3を形成する光学素子であり、レンズ光軸がフィゾー干渉計20の光軸P0に同軸に配置されている。
【0017】
フィゾーレンズ10は、コリメータレンズ9によって平行光束とされたレーザ光Q3(光源からの入射光束)の一部を集光しつつ透過させ、球面波に変換された測定光束Q4として被検体5の被検面5aに向けて照射するとともに、測定光束Q4のうち被検面5aで反射された被検面反射光束Q5を集光してコリメータレンズ9側に導く集光レンズである。
フィゾーレンズ10は、被検面5a側の最終レンズ面として、レンズ面から集光位置までの距離に等しい曲率半径を有する高精度な凹球面からなるフィゾー面4bを備える。
フィゾー面4bの面精度は、本実施形態では、λ=632.8(nm)として、PV(peak to valley)がλ/20以下としている。
【0018】
また、フィゾーレンズ10は、平行光束を集光して、フィゾー面4bにその法線に沿って垂直入射するレンズ構成とされている(詳細構成は後述する)。
このため、コリメータレンズ9側から入射するレーザ光Q3のうち、透過光を除く他のレーザ光は、フィゾー面4bにおいて出射角0度で反射され、フィゾー面4bの形状に対応した波面としてコリメータレンズ9側に進むフィゾー面反射光束Q6(参照光束)が形成されるようになっている。
【0019】
被検面反射光束Q5は、被検面5aの曲率中心がフィゾーレンズ10の集光位置に一致するように被検体5の配置位置を調整した状態では、被検面5aへの入射光路を逆行してフィゾーレンズ10内に入射する。この場合、被検面反射光束Q5とフィゾー面反射光束Q6とは、フィゾー面4bを基準参照面とする被検面5aの形状誤差に応じて、光路差が発生するため干渉縞を形成することになる。
【0020】
撮像部7は、被検面反射光束Q5およびフィゾー面反射光束Q6が重畳されることよって形成される干渉縞の画像を撮像するカメラであり、撮像レンズ7bおよび撮像素子7aが不図示のカメラ筐体に収められたものである。
撮像レンズ7bは、光軸P0と同軸かつコリメータレンズ9の焦点位置に焦点位置に合焦可能に配置され、コリメータレンズ9を通して集光されビームスプリッタ8を透過した被検面反射光束Q5およびフィゾー面反射光束Q6を集光して、撮像素子7aに投影する集光光学系である。
撮像素子7aは、撮像レンズ7bによって投影された光の像を光電変換して、撮像するものであり、例えば、CCDやCMOS素子などの撮像素子を採用することができる。また、撮像素子7aで光電変換された映像信号は、図示しないモニタに送出され、モニタの表示画面に表示できるようになっている。
【0021】
次に、本実施形態のフィゾーレンズ10のレンズ構成の詳細について、図2を参照して説明する。
フィゾーレンズ10は、平行光束であるレーザ光Q3が入射する物体側から像面Iが形成される像側に向かって、第1レンズL1(負メニスカスレンズ)、第2レンズL2(正レンズ)、第3レンズL3(正レンズ)、および第4レンズL4(正レンズ)がこの順に配置され、不図示のレンズホルダに収容されている。
【0022】
第1レンズL1は、物体側に向けられた第1面1aが凸球面、像側の第2面1bが凹球面からなる負メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0023】
第2レンズL2は、物体側から、凸球面からなる第3面2a、平面からなる第4面2bを備える凸平レンズの単レンズから構成される。
本実施形態の第2レンズL2は、フィゾーレンズ10のレンズ有効径に等しい光束径を有する入射光束の周辺光線が第3面2a上においてフィゾーレンズ10のレンズ有効径よりもわずかに小径の円周上に入射する空気間隔をあけて、配置されている。また、第4面2bの曲率半径は、第3面2aの曲率半径よりも大きい構成としている。
【0024】
なお、以下では、フィゾーレンズ10のレンズ有効径と区別するため、フィゾーレンズ10を構成するレンズ単体でのレンズ面における有効領域の径は、レンズ径と称する。また、レンズ外径は、レンズ径外に保持部等を設けたレンズ外形の径寸法を指すものとする。
【0025】
第3レンズL3は、物体側に向けられた第5面3aが凸球面、像側の第6面3bが凹球面とされた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0026】
第4レンズL4は、物体側に向けられた第7面4aが凸球面とされ、像側にフィゾー面4bが設けられた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0027】
このように、本実施形態では、第2レンズL2、第3レンズL3、および第4レンズL4は、いずれも正レンズ(正の屈折力を有するレンズ)からなる。このため、これらのレンズから構成されるレンズ群は、正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された1群の正レンズ群になっている。
【0028】
第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、および第4レンズL4(以下、これらを総称する場合、「第1レンズL1〜第4レンズL4」と表記する場合がある)の曲率半径、面間隔、硝材の屈折率等は、入射光束が平行光束の場合に、フィゾー面4bへの入射光線がフィゾー面4bの法線に沿って垂直入射するという条件の下に、必要なFナンバー(FNo)を得るための屈折力や、必要な収差に応じて適宜設定することができる。
本発明は、明るいフィゾーレンズ、すなわち、Fnoが小さいフィゾーレンズに特に好適である。このため、Fnoは、1.5よりも小さいフィゾーレンズに好適である。
Fnoが1.5以上であると、負メニスカスレンズによる収差補正の効果が高くなるためである。
【0029】
本実施形態のように、正レンズ群を3枚構成とするためには、第1レンズL1〜第4レンズL4に用いる硝材の屈折率が大きいことが好ましい。例えば、Fnoが0.6の場合、d線に対する屈折率が1.75より大きい硝材を用いることが好ましい。
【0030】
次に、フィゾー干渉計20の作用について、フィゾーレンズ10の作用を中心として説明する。
図3(a)、(b)は、本発明の実施形態に係るフィゾーレンズの作用について説明する模式的な光路図である。図3(a)は、本実施形態の場合、図3(b)は、比較例の場合を示す。
【0031】
フィゾー干渉計20によって、被検面5aの観察または計測を行うには、被検面5aの曲率中心がフィゾーレンズ10の集光位置に略一致する位置に、被検体5の配置位置を調整する。そして、レーザ光源6を点灯して、レーザ光Q1を出射させる。
レーザ光Q1は、ビームスプリッタ8のビームスプリッタ面8aによって反射され、レーザ光Q2として光軸P0上を進み、コリメータレンズ9によって平行光束化されてレーザ光Q3となり、フィゾーレンズ10に入射する。
レーザ光Q3はフィゾーレンズ10に入射すると、図2に示す光路をたどって集光され、フィゾー面4bにその法線に沿って垂直入射する。フィゾー面4bに入射したレーザ光Q3は、その一部が像面I側に透過し、測定光束Q4として出射され、その他の部分が、フィゾー面4bで反射され、フィゾー面反射光束Q6として入射光路を逆行する。
【0032】
フィゾーレンズ10は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3および第4レンズL4からなる正の屈折力を有する正レンズ群が配置され、全体として正の屈折力を有する集光光学系になっている。このため、正レンズ群は、レーザ光Q3を集光する機能を有し、第1レンズL1は、正レンズ群で生じる収差を補正する機能を有している。
【0033】
以下、レーザ光Q3の光路に沿って、フィゾーレンズ10の作用の詳細を説明する。
フィゾーレンズ10の最も物体側には、第1レンズL1が配置されているため、レーザ光Q3は、凸面である第1面1aによって屈折されて、集光されつつ第2面1bに到達する。
例えば、図3(a)に示すように、フィゾーレンズ10のレンズ有効半径をh0とし、このレンズ有効径の円周を通過する周辺光線をQmと表すと、周辺光線Qmは、第1面1aにおいて光軸P0からの光線高さがh0の点q1に入射し、第1面1aで屈折される結果、第2面1bでは光線高さがh0よりも低い点q2の位置に到達する。
第1レンズL1は負メニスカスレンズであるため、周辺光線Qmは、第2面1bでは、光軸P0に沿って進むにつれて光線高さが増大する方向に出射されて、第2レンズL2側に向かう。
また、第2レンズL2は、周辺光線Qmが、フィゾーレンズ10のレンズ有効半径h0よりもわずかに小さい半径h1の円周上に入射するように、空気間隔をあけて配置されている。本実施形態では、第1レンズL1の第2面1bが凹面であり、かつこれに対向する第2レンズL2の第3面2aが凸面であるため、凸面同士が対向する場合に比べて、レンズ周辺部において、第2面1bと第3面2aとの間の間隔を縮め易くなっている。
このため、周辺光線Qmは、光線高さがh0を超えないうちに、第3面2a上の光線高さh1の点q3に入射する。すなわち、第2レンズL2のレンズ径は、2・h1とすればよい。
【0034】
第2レンズL2、第3レンズL3、および第4レンズL4は、いずれも正レンズであるため、周辺光線Qmは、各レンズ面で屈折されるごとに、光軸P0に沿って光線高さが低下する方向、または光線高さの増加が抑制される方向に進む。したがって、第2レンズL2〜第4レンズL4を透過するレーザ光Q3の光束径は、フィゾーレンズ10のレンズ有効径よりも小さいか、または大きいとしても第3面2aに光線高さh0を超えて入射される場合に比べるとより小径になる。
【0035】
ここで、本実施形態の作用について、図3(b)に示す比較例と対照して説明する。
図3(b)に示す第1レンズ23、第2レンズ24は、従来技術のフィゾーレンズの物体側のレンズ構成の一例を示している。
第1レンズ23は、物体側に向けられた第1面23aが凹球面、像側の第2面23bが凸球面からなる負メニスカスレンズの単レンズである。
第2レンズ24は、物体側に凸球面からなる第3面24aを有する正レンズである。
【0036】
この場合、光線高さh0の周辺光線Qmは、第1面23aにおいて光軸P0からの光線高さがh0の点q1に入射し、第1面23aで屈折される結果、第2面23bでは光線高さがh0よりも高い点q2’の位置に到達する。
第1レンズ23は負メニスカスレンズであるため、周辺光線Qmは、第2面23bでは、光軸P0に沿って進むにつれて光線高さが増大する方向に出射されて、第2レンズ24側に向かう。
このため、周辺光線Qmは、光線高さを増して、第3面2a上の光線高さh2(ただし、h2>h0)の点q3’に入射する。
【0037】
したがって、第2レンズ24の第3面24aのレンズ径は、第1レンズ23の第2面23bを透過する光束径よりも大きくする必要がある。このため、第2レンズ24のレンズ径は、第1レンズ23に入射する光束径2・h0よりも確実に大きな範囲とする必要がある。この結果、正レンズ群において、少なくとも第2レンズ24のレンズ径は、第1レンズ23に必要なレンズ径に比べて大きくする必要があり、フィゾーレンズ10に比べて、フィゾーレンズを構成するレンズの最大レンズ径が大きくなってしまう。
最大レンズ径が大きくなれば、保持部の領域も含めたレンズ外径も大きくなるため、このような大径化に伴って、レンズの質量や、レンズホルダの質量が増大する。このため、フィゾーレンズ10に比べて重いフィゾーレンズとなってしまう。
【0038】
また、第1レンズ23、第2レンズ24では、互いに対向する第2面23b、第3面24aは、いずれも凸面であるため、光軸P0上の空気間隔を0以下にはできない。このため、第1レンズ23、第2レンズ24の空気間隔を調整しても、レンズ周辺部における面間の光路長q2’q3’を一定値以下に設定することができず、大径化は容易には抑制できない。
また、互いに対向する第2面23b、第3面24aが、いずれも凸面であるため、第1レンズ23のレンズ周辺部が物体側に飛び出した配置となり、第1レンズ23と第2レンズ24とによる複合レンズ長が、フィゾーレンズ10に比べて大きくなってしまう。
【0039】
このような従来技術のフィゾーレンズにおいて、第2レンズ24の第3面24aを凹面として、第1レンズ23、第2レンズ24のレンズ周辺部における空気間隔を低減して、複合レンズ長と短縮することも考えられるが、第2レンズ24の第3面24aを凹面にすると、第2レンズ24の正の屈折力をあまり大きくできず、第3レンズ以降のレンズ径が増大したり、正レンズ群の屈折力が低下する結果レンズ枚数を増大させなくてはならなくなったりするといった問題が生じるおそれがある。この場合、フィゾーレンズのレンズ径が増大したり、フィゾーレンズが重くなったりするおそれがある。
【0040】
このように、本実施形態のフィゾーレンズ10によれば、各レンズを透過する光束径をフィゾーレンズ10のレンズ有効径h0以下にできるか、あるいはレンズ有効径h0より大きいとしても、上記の比較例の構成に比べて各レンズを透過する光束径の大きさを抑制することができるため、フィゾーレンズ10を構成するレンズの最大レンズ径を抑制することができる。この結果、小径のフィゾーレンズを構成することができる。
また、第2面1b、第3面2aがそれぞれ凹面、凸面になっているため、第3面2aを第2面1b側に張り出して配置することができるため、上記比較例のように凸面同士が対向する場合や凹面同士が対向する場合に比べて、第1レンズL1と第2レンズL2とによる複合レンズ長を短縮することができる。この結果、フィゾーレンズ10のレンズ長の短縮が容易となる。
【0041】
次に、フィゾーレンズ10を透過した後の光路に沿って、フィゾー干渉計20の作用を説明する。
フィゾーレンズ10を透過し、フィゾー面4bから出射された測定光束Q4は、図1に示すように、被検面5aの曲率中心の曲率中心に向かって集光されつつ、被検面5aに入射して、被検面5aで反射され、被検面反射光束Q5が形成される。
被検面反射光束Q5は、被検面5aへの入射光路を逆行してフィゾーレンズ10内に入射する。これにより、被検面反射光束Q5とフィゾー面反射光束Q6とによって干渉縞が形成される。
被検面反射光束Q5とフィゾー面反射光束Q6とは、フィゾーレンズ10の第1面1aから出射されると平行光束化され、コリメータレンズ9によって集光されつつビームスプリッタ8に入射し、ビームスプリッタ面8aを透過して、光軸P0に沿って進み、ビームスプリッタ8から出射される。
そして、被検面反射光束Q5とフィゾー面反射光束Q6とは、撮像レンズ7bによって撮像素子7aに投影され、これらによって形成される干渉縞が撮像される。この干渉縞の画像信号は、不図示のモニタに表示されるため、観察や計測を行うことができる。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態のフィゾーレンズ10によれば、最も入射側(コリメータレンズ9側)に配置された第1レンズL1が凸面である第1面1aを入射側に向けて配置されるため、第1レンズL1による光束径の増大を抑制することができるため、フィゾーレンズ10を構成するレンズの最大レンズ径を低減し、小径化を図ることができる。
また、第1レンズL1に対向する第2レンズL2の第3面2aを凸面とすることで、光束径の増大を抑制しつつ、フィゾーレンズ10のレンズ長を低減することができる。
【0043】
また、このようなフィゾーレンズ10を備えるフィゾー干渉計20によれば、入射可能な光束径に対するフィゾーレンズ10の径径寸法を低減することができるため、装置を小型化、軽量化することができる。また、フィゾーレンズ10が軽量化されるため、被検体5の種類に応じて行うフィゾーレンズ10の交換作業が容易となり、作業効率が向上する。
【0044】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例に係るフィゾーレンズについて説明する。
図4は、本発明の実施形態の変形例に係るフィゾーレンズの光軸を含む模式的な断面図である。図4において符号Iは像面を示す。なお、本変形例の数値実施例は実施例2として後記する。
【0045】
本変形例のフィゾーレンズ30は、上記実施形態のフィゾー干渉計20において、フィゾーレンズ10に代えて用いることができるものであり、上記実施形態と同様に、物体側から物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズ群とが、この順に配置された構成を有し、正レンズ群を4枚の正レンズで構成した例になっている。
フィゾーレンズ30は、図4に示すように、平行光束であるレーザ光Q3が入射する物体側から像面Iが形成される像側に向かって、第1レンズL11(負メニスカスレンズ)、第2レンズL12(正レンズ)、第3レンズL13(正レンズ)、第4レンズL14(正レンズ)、および第5レンズ(正レンズ)がこの順に配置され、不図示のレンズホルダに収容されている。
【0046】
第1レンズL11は、物体側に向けられた第1面11aが凸球面、像側の第2面11bが凹球面からなる負メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0047】
第2レンズL12は、物体側から、いずれも凸球面からなる第3面12a、第4面12bを備える両凸レンズの単レンズから構成される。
本実施形態の第2レンズL12は、フィゾーレンズ30のレンズ有効径に等しい光束径を有する入射光束の周辺光線が、第3面12aにおいてフィゾーレンズ30のレンズ有効径よりもわずかに小径の円周上に入射するように、空気間隔をあけて配置されている。また、第4面12bの曲率半径は、第3面12aの曲率半径よりも大きい構成としている。
【0048】
第3レンズL13は、物体側に向けられた第5面13aが凸球面、像側の第6面13bが凹球面とされた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0049】
第4レンズL14は、物体側に向けられた第7面14aが凸球面、像側の第8面14bが凹球面とされた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
【0050】
第5レンズL15は、物体側に向けられた第9面15aが凸球面とされ、像側にフィゾー面15bが設けられた正メニスカスレンズの単レンズから構成される。
フィゾー面15bは、フィゾーレンズ30の被検面5a側の最終レンズ面として、レンズ面から集光位置までの距離に等しい曲率半径を有する高精度な凹球面である。フィゾー面15bの面精度はフィゾー面4bと同様である。
【0051】
このように、本変形例では、第2レンズL12、第3レンズL13、第4レンズL14、および第5レンズL15は、いずれも正レンズからなる。このため、これらのレンズから構成されるレンズ群は、正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された1群の正レンズ群になっている。
【0052】
第1レンズL11〜第5レンズL15の曲率半径、硝材の屈折率は、必要なFNoを得るための屈折力や、必要な収差に応じて適宜設定することができる。
本変形例では、正レンズ群を4枚構成としているため、第1レンズL11〜第5レンズL15に用いる硝材の屈折率は、上記実施形態に比べて低屈折率の硝材を採用することが可能である。例えば、Fnoが0.7の場合、d線に対する屈折率が1.62程度の硝材を好適に採用することができる。
【0053】
本変形例のフィゾーレンズ30によれば、図4に光路を示すように、上記実施形態と同様に、負メニスカスレンズである第1レンズL11の第2面11bと第2レンズL12の物体側の凸面である第3面12aとが対向して配置されているため、第1レンズL11と第2レンズL12との空気間隔を適宜設定することで、第3面12aに入射する光束径が、第1面11aに入射する光束径よりも小さいようにすることができる。
また、第2レンズL12〜第5レンズL15は、いずれも正レンズであるため、これらを透過する光束径は、フィゾーレンズ30のレンズ有効径h0以下にできるか、あるいはレンズ有効径h0より大きいとしても、上記実施形態で説明した比較例の構成に比べて各レンズを透過する光束径の大きさを抑制することができるため、小径のフィゾーレンズを構成することができる。
また、第2面11b、第3面12aがそれぞれ凹面、凸面になっているため、第3面12aを第2面11b側に張り出して配置することができるため、凸面同士が対向する場合や凹面同士が対向する場合に比べて、第1レンズL11と第2レンズL12とによる複合レンズ長を短縮することができる。この結果、フィゾーレンズ30のレンズ長の短縮が容易となる。
【0054】
また、上記の説明では、正レンズ群のレンズのうち負メニスカスレンズ(第1レンズ)に対向するレンズ(第2レンズ)は、フィゾーレンズのレンズ有効径に等しい光束径を有する入射光束の周辺光線が、第2レンズにおいて第1レンズに対向するレンズ面においてフィゾーレンズのレンズ有効径よりもわずかに小径の円周上に入射するように、空気間隔をあけて配置されている場合の例で説明した。
ただし、フィゾーレンズの最大レンズ径が、第1レンズのレンズ径よりも大きくても許容できる場合には、第2レンズに入射する周辺光線がフィゾーレンズのレンズ有効径よりも大径の円周上に入射するように空気間隔をあけた構成としてもよい。
この場合でも、第1レンズと第2レンズとの空気間隔を同じにした場合に、第1レンズが物体側の凹面を向けた負メニスカスレンズである場合に比べて、フィゾーレンズの最大レンズ径を低減することができる。また、フィゾーレンズのレンズ長をより短縮することが可能である。
【0055】
また、上記の実施形態、変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせを代えたり、削除したりして実施することができる。
【実施例】
【0056】
[実施例1]
以下に、上記実施形態のフィゾーレンズ10に対応する第1数値実施例の光学系の構成パラメータを示す。なお、r1、r2、…は各レンズ面の曲率半径(単位:mm)、d1、d2、…は各レンズ面間の面間隔(単位:mm)であり、図2の符号とそれぞれ対応している。また、n1、n2、…は各レンズのd線での屈折率、ν1、ν2、…は各レンズのアッベ数である。これらの表記は以下の参照図面すべてに共通である。
【0057】
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
1 r1 = 81.623 d1 = 4.107 n1 = 1.77861 ν1 = 25.68
2 r2 = 56.014 d2 = 8.301
3 r3 = 98.551 d3 = 9.362 n2 = 1.77861 ν2 = 25.68
4 r4 = ∞ d4 = 0.9345
5 r5 = 37.691 d5 =11.392 n3 = 1.77861 ν3 = 25.68
6 r6 = 76.145 d6 = 0.551
7 r7 = 20.102 d7 =11.930 n4 = 1.77861 ν4 = 25.68
8 r8 = 18.749 d8 =18.749
I ∞(像面)
【0058】
本実施例の焦点距離fは、f=37.3(mm)、Fnoは、Fno=0.6である。
また、レンズ長は53.7mmである。ここで、レンズ長とは、第1レンズの最も入射側の位置から最も像側のレンズ(本実施例では第4レンズ)の最も射出側の位置までの距離を意味する。したがって、本実施例の場合のレンズ長は、第1面1aと光軸P0との交点からフィゾー面4bと測定光束Q4の周辺光線との交点までの光軸P0に沿う方向の長さとする。
以下に、フィゾーレンズ10のレンズ有効径を60mmとし、レーザ光Q3の光束径をレンズ有効径と一致させた場合の各レンズ面における周辺光線の光線高さH1、H2、…を示す。光線高さの単位は、mmである。
【0059】
面番号 光線高さ
1 H1 = 30.000
2 H2 = 28.908
3 H3 = 29.717
4 H4 = 29.487
5 H5 = 28.308
6 H6 = 26.662
7 H7 = 19.738
8 H8 = 15.151
【0060】
このように、本実施例によれば、光線高さは、第3面2aの光線高さH3が、第1面1aの光線高さH1よりも低くなっている。また、第2面1bから第8面であるフィゾー面4bまでの光線高さH2〜H8は、いずれも第1面の光線高さH1よりも低くなっている。
【0061】
図5に、本実施例の球面収差の収差図を示す。図5において横軸の単位は、mmである。
図5から分かるように、本実施例のフィゾーレンズ10の球面収差は良好に補正されている。
【0062】
[実施例2]
以下に、上記実施形態の変形例のフィゾーレンズ30に対応する第2数値実施例の光学系の構成パラメータを示す。符号ri、di(i=1,…,10)は、図4の符号とそれぞれ対応している。
【0063】
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
1 r1 = 161.741 d1 = 5.000 n1 = 1.61655 ν1 = 36.26
2 r2 = 112.978 d2 =10.000
3 r3 = 355.722 d3 =15.000 n2 = 1.61655 ν2 = 36.26
4 r4 = -1189.176 d4 = 2.000
5 r5 = 91.505 d5 =14.965 n3 = 1.61655 ν3 = 36.26
6 r6 = 225.636 d6 = 0.471
7 r7 = 69.152 d7 =15.000 n4 = 1.61655 ν4 = 36.26
8 r8 = 164.051 d8 = 1.883
9 r9 = 38.408 d9 =14.631 n5 = 1.61655 ν5 = 36.26
10 r10= 41.313 d10=41.313
I ∞(像面)
【0064】
本実施例の焦点距離fは、f=70.9(mm)、Fnoは、Fno=0.7である。
また、レンズ長は91.2mmである。ここで、レンズ長とは、上記実施例1と同様に定義した長さとする。したがって、本実施例の場合のレンズ長は、第1面11aと光軸P0との交点からフィゾー面14bと測定光束Q4の周辺光線との交点までの光軸P0に沿う方向の長さである。
以下に、フィゾーレンズ30のレンズ有効径を106mmとし、レーザ光Q3の光束径をレンズ有効径と一致させた場合の各レンズ面における周辺光線の光線高さH1、H2、…を示す。光線高さの単位は、mmである。
【0065】
面番号 光線高さ
1 H1 = 53.000
2 H2 = 51.868
3 H3 = 51.996
4 H4 = 52.079
5 H5 = 51.818
6 H6 = 50.627
7 H7 = 47.025
8 H8 = 45.547
9 H9 = 34.587
10 H10= 29.361
【0066】
このように、本実施例によれば、光線高さは、第3面12aの光線高さH3が、第1面11aの光線高さH1よりも低くなっている。また、第2面1bから第10面であるフィゾー面15bまでの光線高さH2〜H10は、第4面12bで最大値をとり、いずれも第1面の光線高さH1よりも低くなっている。
【0067】
図6に、本実施例の球面収差の収差図を示す。図6において横軸の単位は、mmである。
図6から分かるように、本実施例のフィゾーレンズ30の球面収差は良好に補正されている。
【0068】
なお、本実施例は、従来技術に係る特許文献1の第2の実施形態の実施例2−1(以下、従来例と称する)と定量的な比較ができるように、入射光束径、Fno、硝材の屈折率、第2レンズL12から第5レンズL15までの面構成を特許文献1のレンズ12からレンズ15までの面構成と合わせ、作動距離を略一致させている。このため、従来例の本実施例に対する相違点は、主として負メニスカスレンズの凸面を像側に向けた点である。
従来例のレンズ内の最大光束径(特許文献1の用語では「レンズ外径」)は特許文献1に記載されたように、113mm(光線高さ56.5mm)である。これに対して、本実施例の最大光束径は106mm(光線高さ53mm)であるため、15mm(14%)低減されている。
また、従来例のレンズ長は、特許文献1の数値例から上記と同様な定義により計算すると106mmである。すなわち、従来例のレンズ長は、面番号1のレンズ面と入射光束の周辺光線との交点から、面番号10のレンズ面と射出光束の周辺光線との交点までの、光軸に沿う方向の長さとして計算した。
これに対して本実施例のレンズ長は91mmであるため、本実施例のレンズ長は、15mm(14%)短縮されている。
球面収差は、特許文献1の図9と、本変形例の図6とを比較すると、本実施例の方が大きくなっているものの、0.01mmよりは小さいため、十分許容できる範囲である。
このように、本実施例によれば、従来例と同じ枚数のレンズ構成を用いても、比較例に比べて、最大レンズ径を低減するとともにレンズ長が短縮できていることが分かる。
【符号の説明】
【0069】
1a、11a 第1面
1b、11b 第2面(凸面)
2a、12a 第3面(凸面)
3a、13a 第5面(凸面)
4a、14a 第7面(凸面)
4b、15b フィゾー面
5 被検体
5a 被検面
6 レーザ光源(光源)
7 撮像部
10、30 フィゾーレンズ
15a 第9面(凸面)
15b フィゾー面
20 フィゾー干渉計
L1、L11 第1レンズ(負メニスカスレンズ)
L2、L12 第2レンズ(正レンズ群)
L3、L13 第3レンズ(正レンズ群)
L4、L14 第4レンズ(正レンズ群)
L15 第5レンズ(正レンズ群)
P0 光軸
Q1、Q2、Q3 レーザ光(入射光束)
Q4 測定光束
Q5 被検面反射光束
Q6 フィゾー面反射光束(参照光束)
Qm 周辺光線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィゾー干渉計に用いられ、光源からの入射光束を、干渉の基準波面を形成する参照光束と、被検面に向けて集光される測定光束とに分割するフィゾー面を最外のレンズ面として備えるフィゾーレンズであって、
前記入射光束が入射する物体側から順に、
凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズと、
正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された正レンズ群と、
が配置されて構成された
ことを特徴とするフィゾーレンズ。
【請求項2】
前記正レンズ群のうち前記負メニスカスレンズに対向するレンズは、物体側のレンズ面が凸面である
ことを特徴とする請求項1に記載のフィゾーレンズ。
【請求項3】
Fナンバーが、1.5より小さい
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィゾーレンズ。
【請求項1】
フィゾー干渉計に用いられ、光源からの入射光束を、干渉の基準波面を形成する参照光束と、被検面に向けて集光される測定光束とに分割するフィゾー面を最外のレンズ面として備えるフィゾーレンズであって、
前記入射光束が入射する物体側から順に、
凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズと、
正の屈折力を有し、最も像側に前記フィゾー面が配置された正レンズ群と、
が配置されて構成された
ことを特徴とするフィゾーレンズ。
【請求項2】
前記正レンズ群のうち前記負メニスカスレンズに対向するレンズは、物体側のレンズ面が凸面である
ことを特徴とする請求項1に記載のフィゾーレンズ。
【請求項3】
Fナンバーが、1.5より小さい
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィゾーレンズ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−112990(P2012−112990A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259150(P2010−259150)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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