説明

フィルタの取付け構造

【課題】第1通路を有する第1部材と、第2通路を有して第1部材に取付けられる第2部材との接続部に、第1および第2通路間に介在するフィルタを取付けるためのフィルタの取付け構造において、異物の下流側への流出を確実に阻止するとともに小型化を可能とする。
【解決手段】第1部材11に、第1通路65に小径端を連ならせたテーパ孔68と、該テーパ孔68の大径端に連なるねじ孔69とが同軸に設けられ、ねじ孔69に螺合される第2部材66およびテーパ孔68の内面間に環状部材74が介装され、第2部材66およびテーパ孔68の内面間で圧縮される環状部材74の第2部材66とは反対側の端部が半径方向内方に変位するように押し潰されて生じる環状変位部74aをフィルタ67の外周全周に密着させるように、フィルタ67が環状部材74および第2部材66内に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1通路を有する第1部材と、第2通路を有して第1部材に取付けられる第2部材との接続部に、第1および第2通路間に介在するフィルタを取付けるためのフィルタの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
減圧弁のボディに設けられた凹部の内端と、ボディに螺合される管継手との間に、ばねおよびフィルタが介装され、フィルタがばねによって凹部の内端に押しつけられるようにしたものが、特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−180907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、凹部の内周面およびフィルタの外周面間に隙間があるので、フィルタの軸線が凹部の軸線に対して傾いた状態でフィルタが固定される可能性があり、その場合、凹部の内端およびフィルタ間に隙間が生じ、異物が下流側に流出する可能性がある。またフィルタを固定するためにコイル状のばねが用いられているので、ばねを配置するためのスペースが必要となり、大型化してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、異物の下流側への流出を確実に阻止するとともに、小型化を可能としたフィルタの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、第1通路を有する第1部材と、第2通路を有して第1部材に取付けられる第2部材との接続部に、第1および第2通路間に介在するフィルタを取付けるためのフィルタの取付け構造において、第1部材に、第1通路に小径端を連ならせたテーパ孔と、該テーパ孔の大径端に連なるねじ孔とが同軸に設けられ、前記ねじ孔に螺合される第2部材および前記テーパ孔の内面間に環状部材が介装され、第2部材および前記テーパ孔の内面間で圧縮される前記環状部材の第2部材とは反対側の端部が半径方向内方に変位するように押し潰されて生じる環状変位部を前記フィルタの外周全周に密着させるように、前記テーパ孔の小径端よりも大径の前記フィルタが前記環状部材および第2部材内に挿入されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記フィルタおよび前記環状部材が金属製であることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、第2部材は、前記ねじ孔に螺合する雄ねじが外周に刻設される円筒状の取付け筒部と、該取付け筒部内に同軸に連なる第2通路を形成して前記取付け筒部に連なる通路形成筒部とを一体に有し、第1通路側に向けて一端を開口した円筒部ならびに該円筒部の他端を閉じる端壁部を有して有底円筒状に形成されるとともに前記円筒部および前記端壁部での流体の流通を可能とした前記フィルタが、前記円筒部の一端側外周の全周に前記環状変位部が密着するようにして前記取付け筒部および前記環状部材内に挿入され、前記円筒部の外周のうち前記環状変位部の密着部よりも前記端壁部側の部分および前記取付け筒部の内周間に、第2通路に通じる環状通路が形成されることを第3の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、第1部材が、高圧流体を減圧する減圧弁のボディであり、第2部材が、前記ボディ内に形成される高圧ガス通路に高圧ガスを導入すべく前記ボディに取付けられる管継手であることを第4の特徴とする。
【0010】
なお実施の形態のボディ11が本発明の第1部材に対応し、実施の形態の高圧ガス通路65が本発明の第1通路に対応し、実施の形態の管継手66が本発明の第2部材に対応し、実施の形態の接続通路72が本発明の第2通路に対応する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば、第2部材およびテーパ孔の内面間に介装された環状部材のうち第2部材とは反対側の端部が、第2部材をねじ孔にねじ込むことによる軸方向圧縮力の作用によって押し潰されて半径方向内方に変位することで環状変位部を生じ、第2部材および環状部材内に挿入されるフィルタの外周全周に環状変位部が密着するので、フィルタの外周および第1部材間に隙間が生じることはなく、異物が下流側に流出することを防止することができる。しかもばねが不要であり、ばねを配置するためのスペースを不要として小型化を図ることができる。
【0012】
また本発明の第2の特徴によれば、フィルタおよび環状部材が金属製であるので、流体が高圧流体であっても充分な耐久性を得ることができる。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば、フィルタが、一端を第1通路側に開口した円筒部ならびに円筒部の他端を閉じる端壁部を有して有底円筒状に形成されるとともに円筒部および端壁部での流体の流通を可能としたものであり、第2部材のうちねじ孔に螺合される取付け筒部および環状部材内に挿入されるフィルタの円筒部の外周のうち環状変位部の密着部よりも端壁部側の部分および取付け筒部の内周間に、第2通路に通じる環状通路が形成されるので、フィルタにおける円筒部の大部分および端壁部を流体が通過するようにして、濾過面積を大きくし、圧力損失を小さくすることができる。
【0014】
さらに本発明の第4の特徴によれば、第1部材を減圧弁のボディとし、第2部材を管継手とすることで、異物が減圧弁の弁機構側に流れて減圧性能が低下することを防止することができ、またボディの小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】減圧弁の縦断面図である。
【図2】図1の2矢示部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図1および図2を参照しながら説明すると、先ず図1において、この減圧弁は、燃料ガスである圧縮天然ガスを減圧してエンジン(図示せず)に供給するためのものであり、金属から成るボディ11と、該ボディ11に結合されるダイヤフラムカバー12とを備え、前記ボディ11には、弁機構13が収容されるとともにリリーフ弁14が配設される。
【0017】
ボディ11は、その上下方向中間部で半径方向内方に張り出す内向き鍔15を有して基本的には円筒状に形成されるものであり、前記内向き鍔15よりも上方に配置される摺動孔16と、前記内向き鍔15よりも下方に配置される収容孔17とがボディ11に同軸に設けられる。
【0018】
前記収容孔17は、前記内向き鍔15側から順に、小径孔17aと、該小径孔17aよりも大径のねじ孔17bと、該ねじ孔17bよりも大径の大径孔17cとが同軸に連なって成り、大径孔17cの下端はボディ11の下端面で下方に開放される。
【0019】
弁機構13は、ダイヤフラム20によって駆動されるものであり、前記収容孔17の小径孔17aに気密に嵌合、固定される金属製の弁ガイド部材22と、弁孔26を中央部に開口させた弁座27を有して前記弁ガイド部材22に圧入等で結合される金属製の弁座部材23と、前記弁座27に着座することを可能として前記弁ガイド部材22でガイドされる合成樹脂製の弁体24とを備える。
【0020】
前記弁体24には、前記弁孔26を緩く貫通するとともに前記弁体24を同軸に貫通する弁軸25が同軸に連結され、前記弁ガイド部材22には、弁体24および弁軸25が気密にかつ摺動可能に嵌合される。
【0021】
前記弁軸25は、弁体装着軸部25aと、該弁体装着軸部25aよりも小径に形成されて弁体装着軸部25aの一端に同軸に連なる連結軸部25bと、前記弁体装着軸部25aよりもわずかに大径に形成されて弁体装着軸部25aの他端に同軸に連なるガイド軸部25cとを一体に有し、連結軸部25bが前記弁孔26を緩く貫通してダイヤフラム20側に連結される。
【0022】
前記弁体24は、前記弁軸25における弁体装着軸部25aの外周に装着、固定されるようにして円筒状に形成されており、この弁体24の一端が前記弁座27に着座可能である。前記弁座部材23の外周ならびに前記弁ガイド部材22の弁座部材23側の外周と、前記収容孔17における小径孔17aの内周との間に環状の高圧室28が形成され、前記弁ガイド部材22および前記弁座部材23間には前記高圧室28に通じる弁室29が形成される。
【0023】
前記収容孔17のねじ孔17bには、前記弁ガイド部材22に当接して弁ガイド部材22および弁座部材23を前記内向き鍔15との間に挟持するリング状の押さえ部材31が螺合され、この押さえ部材31の前記弁機構13とは反対側の端面には、前記ねじ孔17bに螺合すべく前記押さえ部材31を回転操作するための工具(図示せず)を係脱可能に係合するための有底の係合孔32が設けられる。
【0024】
前記収容孔17の開口端は調節部材33で気密に閉じられる。この調節部材33は、前記収容孔17における大径孔17cに気密に嵌合される大径部33aと、該大径部33aよりも小径に形成されるとともに前記収容孔17のねじ孔17bに螺合する雄ねじ34が外周に刻設されるようにして前記大径部33aに同軸にかつ一体に連設される小径部33bとを一体に有し、大径部33aには、図示しない工具を係合することを可能とした有底の工具係合孔35が設けられる。而して雄ねじ34を前記ねじ孔17bに螺合した状態で工具係合孔35に工具を係合して回転操作することにより、前記調節部材33は、弁軸25と同軸の軸線に沿う方向の進退が可能となる。
【0025】
また前記調節部材33には、前記弁軸25側に開放した有底の凹部36が弁軸25と同軸に設けられており、弁軸25におけるガイド軸部25cの端部に装着されたばね受け部材37と、前記凹部36の閉塞端との間に背面コイルばね38が縮設される。而して前記調節部材33の軸方向に沿う進退位置を該調節部材33の回転操作によって調節することにより、前記背面コイルばね38のばね荷重を調節することができる。
【0026】
前記ボディ11の一端外周には、側方に張り出すフランジ部11aが一体に設けられており、前記ダイヤフラム20の周縁部は、前記フランジ部11aと、ボディ11に固定されるダイヤフラムカバー12との間に挟持される。すなわちダイヤフラムカバー12は、端壁12aを一端に有する有底円筒部12bと、該有底円筒部12bの他端から半径方向外方に張り出すフランジ部12cと一体に有して金属薄板により形成され、前記ボディ11のフランジ部11aとの間に前記ダイヤフラム20の周縁部を挟むダイヤフラムカバー12のフランジ部12cの外周が、前記ボディ11のフランジ部11aに係合するようにかしめられる。
【0027】
ボディ部材11およびダイヤフラム20間には、圧力作用室40がダイヤフラム20の一面を臨ませるようにして形成され、ダイヤフラム20およびダイヤフラムカバー12間にはダイヤフラム20の他面を臨ませるばね室41が形成され、該ばね室41に収容されるコイル状のダイヤフラムばね42がダイヤフラムカバー12およびダイヤフラム20間に縮設される。
【0028】
またダイヤフラムカバー12の端壁12aには、ばね室41に通じる負圧導入管43が接続されており、この負圧導入管43はエンジンに接続され、前記ばね室41にはエンジンの吸気負圧が導入される。
【0029】
前記ダイヤフラム20の中央部の圧力作用室40側の一面には第1リテーナ44が当接され、第1リテーナ44との間に前記ダイヤフラム20の内周縁部を挟む第2リテーナ45がばね室41側でダイヤフラム20の中央部に当接される。
【0030】
前記弁機構13の弁体24には金属製のダイヤフラムロッド46が連動、連結される。このダイヤフラムロッド46は、前記ボディ11の摺動孔16に気密にかつ摺動可能に嵌合される大径摺動部46aと、大径摺動部46aに同軸に連なる小径軸部46bとを一体に有するものであり、小径軸部46bは、前記第1リテーナ44との間に環状のシール部材47を介在させて第1リテーナ44、ダイヤフラム20および第2リテーナ45を貫通するものであり、ばね室41側で小径軸部46bの端部外周をかしめることで、ダイヤフラム20の内周縁部が第1および第2リテーナ44,45間に挟持され、第2リテーナ45にはダイヤフラムばね42の端部が当接される。
【0031】
前記摺動孔16内で前記大径摺動部46aおよび前記弁機構13間には、前記弁孔26と同軸の円形である減圧室48が弁孔26に通じるようにして形成される。またボディ19には、前記減圧室48に通じる出口通路49と、該出口通路49よりも大径に形成されて出口通路49に連なる接続孔50とが、減圧室38の半径方向に長く延びるようにして同軸に設けられ、前記接続孔50に気密に嵌合される出口側接続管51が、前記出口通路49に通じるようにしてボディ11に固定される。またボディ11には、前記出口通路49を前記圧力作用室40に通じさせる連通路52が設けられ、圧力作用室40には出口通路49すなわち減圧室48の圧力が作用する。
【0032】
ところで前記調節部材33で開口端が気密に閉じられた前記収容孔17内には、前記弁軸25におけるガイド軸部25cの端部を臨ませる背圧室53が形成されており、この背圧室53は、背圧導入路54を介して前記減圧室48に連通する。而して背圧導入路54は、前記弁孔26から前記弁体24および弁軸25間ならびに弁軸25および弁ガイド部材22間を経て背圧室53に通じるように構成される。
【0033】
このようなガス用減圧弁においては、ダイヤフラム20が、圧力作用室40の圧力によりダイヤフラムばね42のばね力に抗してばね室41側に撓むと、弁機構13は閉弁し、また前記圧力作用室40の圧力低下によってダイヤフラム20が圧力作用室40側に撓むと、弁機構13は開弁し、このような弁機構13の開閉が繰り返されることにより、高圧の圧縮天然ガスが減圧されて出口側接続管51から出力される。
【0034】
リリーフ弁14は、減圧室48内の圧力が設定圧以上となるのに応じて開弁するものであり、有底円筒状に形成されるととも前記減圧室48の半径方向に沿う軸線を有してボディ11に嵌合、固定される弁ハウジング56と、該弁ハウジング57に摺動可能に嵌合されるリリーフ弁体57と、該リリーフ弁体57および前記弁ハウジング56間に設けられるコイルばね58とを備える。
【0035】
前記ボディ11には、前記減圧室48に通じるリリーフ弁孔59が、前記減圧室48の半径方向に沿って同軸に連なるようにして設けられ、前記リリーフ弁孔59を中央部に開口させた環状のリリーフ弁座60に着座可能なシール部材61が、前記リリーフ弁座60に着座してリリーフ弁孔59を閉鎖することを可能として前記リリーフ弁体57の内端閉塞部の外面に貼着される。またリリーフ弁体57は、前記リリーフ弁座60からシール部材61を離座せしめた状態では、前記リリーフ弁孔59を介して前記減圧室48に通じる解放通路62を有しており、この解放通路62はリリーフ弁体57の外端に開口する。また弁ハウジング56の外端に中央部には、前記減圧室48の圧力が所定圧以上となったときに前記リリーフ弁体57のシール部材61が前記リリーフ弁座60から離座することで、前記解放通路62が前記リリーフ弁孔59に連通するのに応じて、前記減圧室48の圧力を外部に解放するための解放孔63が設けられる。
【0036】
第1部材としての前記ボディ11には、前記高圧室28に通じる第1通路としての高圧ガス通路65が設けられており、この高圧ガス通路65には、第2通路である接続通路72を有して前記ボディ11の側面に取付けられる第2部材としての管継手66からの高圧の圧縮天然ガスが、金属製のフィルタ67を通過して導入される。
【0037】
図2において、前記ボディ11には、高圧ガス通路65に小径端を連ならせたテーパ孔68と、該テーパ孔68の大径端に一端を連ならせるねじ孔69と、ねじ孔69よりも大径にしてねじ孔69の他端に一端が連なるとともに他端をボディ11の側面に開口する大径孔70とが同軸に設けられる。
【0038】
一方、管継手66は、前記ねじ孔69に螺合する雄ねじ71が外周に刻設される円筒状の取付け筒部66aと、該取付け筒部66aに一端を連設させた通路形成筒部66bと,該通路形成筒部66bの一端部から半径方向外方に張り出すフランジ部66cとを一体に有し、前記取付け筒部66a内に同軸に連なる第2通路としての接続通路72が前記通路形成筒部66bに形成される。而して管継手66は、前記大径孔70の内周との間に環状のシール部材73を介在させつつ、取付け筒部66aの外周の雄ねじ71をねじ孔69に螺合せしめることでボディ11に取付けられる。
【0039】
前記フィルタ67は、高圧ガス通路65側に向けて一端を開口した円筒部67aならびに該円筒部67aの他端を閉じる端壁部67bを有して、たとえばステンレス鋼片の焼結によって有底円筒状に形成されるものであり、前記円筒部67aおよび前記端壁部67bでの流体の流通が可能である。
【0040】
前記管継手66における取付け筒部66aと、前記テーパ孔68の内面との間には、たとえば真鍮等の金属によって形成される環状部材74が介装される。而して管継手66をボディ11にねじ込んでいくことによって、前記環状部材74には、管継手66とテーパ孔68の内面とで軸方向両側から圧縮されることになり、その圧縮力の作用によって前記環状部材74の管継手66とは反対側の端部は半径方向内方に変位するように押し潰されて環状変位部74aを生じる。
【0041】
前記フィルタ67は、管継手66の取付け筒部66aおよび環状部材74内に同軸に挿入されるものであり、前記環状変位部74aが、前記フィルタ67のうち円筒部67aの一端部の外周全周に密着することで、フィルタ67が保持される。而して管継手66をねじ孔69に螺合してフィルタ67を環状変位部74aで保持するようにした取付け作業は、前記テーパ孔68の内面が上方に向くようにボディ11の姿勢を定めた状態で、テーパ孔68の内面にフィルタ67の一端および環状部材74の一端を当接させるようにして実行される。
【0042】
前記環状変位部74aが前記フィルタ67における円筒部67aの一端部の外周全周に密着してフィルタ67が保持された状態で、前記フィルタ67の円筒部67aの外周のうち前記環状変位部74aの密着部よりも前記端壁部67b側の部分および前記取付け筒部66aの内周間には、前記接続通路72に通じる環状通路75が形成される。
【0043】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、ボディ11に、高圧ガス通路65に小径端を連ならせたテーパ孔68と、該テーパ孔68の大径端に連なるねじ孔69とが同軸に設けられ、ねじ孔69に螺合される管継手66およびテーパ孔68の内面間に環状部材74が介装され、管継手66およびテーパ孔68の内面間で圧縮される前記環状部材74の管継手66とは反対側の端部が半径方向内方に変位するように押し潰されて生じる環状変位部74aをフィルタ67の外周全周に密着させるように、テーパ孔68の小径端よりも大径のフィルタ67が環状部材74および管継手66内に挿入されるので、フィルタ67の外周およびボディ11間に隙間が生じることはなく、異物が下流側に流出することを防止することができる。しかもフィルタ67を取付けにあたってばねが不要であり、ばねを配置するためのスペースを不要として、フィルタ67の取付け部分の小型化を図ることができる。
【0044】
また前記フィルタ67および前記環状部材74が金属製であるので、高圧の圧縮天然ガスに対応した充分な耐久性を得ることができ、またボディ11が高圧の圧縮天然ガスを減圧する減圧弁のボディであり、管継手66が、前記ボディ11内に形成される高圧ガス通路65に高圧の圧縮天然ガスを導入すべく前記ボディ11に取付けられるものであるので、異物が減圧弁の弁機構13側に流れて減圧性能が低下することを防止することができ、またボディ11の小型化が可能となる。
【0045】
さらに管継手66は、ねじ孔69に螺合する雄ねじ71が外周に刻設される円筒状の取付け筒部66aと、該取付け筒部66aと同軸の接続通路72を形成して前記取付け筒部66aに連なる通路形成筒部66bとを一体に有しており、高圧ガス通路65側に向けて一端を開口した円筒部67aならびに該円筒部67aの他端を閉じる端壁部67bを有して有底円筒状に形成されるとともに前記円筒部67aおよび前記端壁部67bでの圧縮天然ガスの流通を可能としたフィルタ67が、円筒部67aの一端側外周の全周に環状変位部74aが密着するようにして取付け筒部67aおよび環状部材74内に挿入され、前記円筒部67aの外周のうち環状変位部74aの密着部よりも前記端壁部67b側の部分および取付け筒部66aの内周間に、接続通路72に通じる環状通路75が形成されるので、フィルタ67における円筒部67aの大部分および端壁部67bを流体が通過するようにして、濾過面積を大きくし、圧力損失を小さくすることができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0047】
11・・・第1部材であるボディ
65・・・第1通路である高圧ガス通路
66・・・第2部材である管継手
66a・・・取付け筒部
66b・・・通路形成筒部
67・・・フィルタ
67a・・・円筒部
67b・・・端壁部
68・・・テーパ孔
69・・・ねじ孔
71・・・雄ねじ
72・・・第2通路である接続通路
74・・・環状部材
74a・・・環状変位部
75・・・環状通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通路(65)を有する第1部材(11)と、第2通路(72)を有して第1部材(11)に取付けられる第2部材(66)との接続部に、第1および第2通路(65,72)間に介在するフィルタ(67)を取付けるためのフィルタの取付け構造において、第1部材(11)に、第1通路(65)に小径端を連ならせたテーパ孔(68)と、該テーパ孔(68)の大径端に連なるねじ孔(69)とが同軸に設けられ、前記ねじ孔(69)に螺合される第2部材(66)および前記テーパ孔(68)の内面間に環状部材(74)が介装され、第2部材(66)および前記テーパ孔(68)の内面間で圧縮される前記環状部材(74)の第2部材(66)とは反対側の端部が半径方向内方に変位するように押し潰されて生じる環状変位部(74a)を前記フィルタ(67)の外周全周に密着させるように、前記テーパ孔(68)の小径端よりも大径の前記フィルタ(67)が前記環状部材(74)および第2部材(66)内に挿入されることを特徴とするフィルタの取付け構造。
【請求項2】
前記フィルタ(67)および前記環状部材(74)が金属製であることを特徴とする請求項1記載のフィルタの取付け構造。
【請求項3】
第2部材(66)は、前記ねじ孔(69)に螺合する雄ねじ(71)が外周に刻設される円筒状の取付け筒部(66a)と、該取付け筒部(66a)内に同軸に連なる第2通路(72)を形成して前記取付け筒部(66a)に連なる通路形成筒部(66b)とを一体に有し、第1通路(65)側に向けて一端を開口した円筒部(67a)ならびに該円筒部(67a)の他端を閉じる端壁部(67b)を有して有底円筒状に形成されるとともに前記円筒部(67a)および前記端壁部(67b)での流体の流通を可能とした前記フィルタ(67)が、前記円筒部(67a)の一端側外周の全周に前記環状変位部(74a)が密着するようにして前記取付け筒部(66a)および前記環状部材(74)内に挿入され、前記円筒部(67a)の外周のうち前記環状変位部(74a)の密着部よりも前記端壁部(67b)側の部分および前記取付け筒部(66a)の内周間に、第2通路(72)に通じる環状通路(75)が形成されることを特徴とする請求項1または2記載のフィルタの取付け構造。
【請求項4】
第1部材(11)が、高圧流体を減圧する減圧弁のボディであり、第2部材(66)が、前記ボディ内に形成される高圧ガス通路(65)に高圧ガスを導入すべく前記ボディに取付けられる管継手であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルタの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−196362(P2011−196362A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67489(P2010−67489)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】