説明

フィルタエレメント、フィルタ装置及びフィルタエレメントの製造方法

【課題】製造が容易で製造コストの増大を抑制することができるフィルタエレメントを提供することにある。
提供する。
【解決手段】フィルタエレメント13は、プラスチック製の網状部材31と通り抜ける気体中のオイルミストを捕捉する濾材32とが一緒に渦巻状に巻回されてなり、筒状をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通り抜ける気体に含まれたオイルミストを捕捉するオイルミストフィルタ用のフィルタエレメント、該フィルタエレメントを備えたフィルタ装置、及び該フィルタエレメントの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアシリンダ等の流体圧機器は、コンプレッサにより圧縮された圧縮エア(気体)によって作動されるようになっている。圧縮エアには、水分及びオイルミストといった液体の異物や塵埃等の固形の異物が含まれており、この圧縮エアをそのまま流体圧機器に供給すると、様々なトラブルが発生する虞がある。そのため、圧縮エアが流体圧機器に供給される前にフィルタ装置によって圧縮エアを濾過し、これらの異物を分離する必要がある。この種のフィルタ装置は、円筒状のフィルタを備えており、このフィルタは、圧縮エアがその内側から外側に通過する際に、圧縮エアに含まれた液体や異物を捕捉する。
【0003】
例えば特許文献1に記載されたフィルタは、円筒状のフィルタエレメントと、該フィルタエレメントの軸方向の両端部にそれぞれ装着されたキャップとから構成されている。フィルタエレメントは、ステンレス鋼よりなる円筒状の補強シリンダと、該補強シリンダの周囲に巻き付けられたガラス繊維よりなる濾材と、該濾材の周囲に被せられた円筒状のジャケットとから構成されている。そして、このフィルタエレメントを製造するには、まず、所定の寸法に形成されたステンレス鋼よりなる板材を円筒状に丸め、この板材の端部同士を溶接にて固定して補強シリンダを形成する。次いで、補強シリンダの周囲に濾材が所定の回数だけ巻き付けられる。その後、ガイド等の治具若しくは専用の装置を用いて濾材の周囲にジャケットが被せられて、フィルタエレメントが完成する。
【0004】
また、フィルタエレメントには、特許文献2に記載されているように、熱溶着性繊維よりなる不織布と、ガラス繊維よりなる濾紙とから構成されたものもある。このフィルタエレメントを製造するには、高分子不織布を所定の厚みとなるまで巻枠に巻き付けた後に、ガラス繊維布を少なくとも1回巻き付けて切断する。更に、ガラス繊維布の外周に高分子不織布を所定の厚みとなるまで巻き付けた後に、該高分子不織布を切断する。この状態の高分子不織布及びガラス繊維布は、熱溶着により円筒状の筒状体とされる。そして、筒状体の両端部が切り落されることにより所定の長さのフィルタエレメントが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−114905号公報
【特許文献2】特開2005−265504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されたフィルタエレメントを製造する際には、補強シリンダとなる板材、濾材、ジャケットを、それぞれ形成するフィルタエレメントの軸方向長さ及び直径に合わせて予め切断しておくことになる。このとき、それぞれの材料(即ち板材、濾材及びジャケット)の寸法に誤差が生じていると、フィルタエレメントの軸方向の端部において異物を捕捉し難くなる虞がある。そのため、これらの材料の寸法管理を高精度に行うことになり、その結果、製造コストが増大してしまう。また、補強シリンダを形成する際に溶接を行うため、フィルタエレメントの製造が煩雑で製造コストの増大を招いていた。
【0007】
また、一般的に、金属製の補強シリンダにガラス繊維よりなる濾材が直接接触すると濾材が破損することがあるため、濾材と補強シリンダとの間に当該濾材を保護するための不織布を介在させることがある。この場合には、部品が増えるとともにフィルタエレメントを製造するための工程が増えるため、更に製造が煩雑となってしまう。
【0008】
また、特許文献2に記載されたフィルタエレメントは、不織布とガラス繊維よりなる濾紙とから構成されているため、強度不足が懸念される場合がある。そして、フィルタエレメントの強度を確保するためには、不織布の巻数を増やして不織布の層を厚くすることが考えられる。しかしながら、不織布の層を厚くすると、圧縮エアがフィルタエレメントを通り抜け難くなるため、圧縮エアの圧力降下が大きくなり同圧縮エアの流量が少なくなる虞がある。また、圧縮エアの圧力が低い場合には、フィルタエレメントが障害となって圧縮エアが流れなくなることも懸念される。更に、特許文献2に記載のフィルタエレメントにてオイルミストを捕捉する場合、捕捉したオイルミストが凝集して重力沈降されずに不織布に留まり、圧縮エアの流れを阻害することがある。すると、圧縮エアの圧力降下が大きくなって同圧縮エアの流量が少なくなる虞があるとともに、圧縮エアの圧力が低い場合には、フィルタエレメントが障害となって圧縮エアが流れなくなることも懸念される。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、製造が容易で製造コストの増大を抑制することができるフィルタエレメント、フィルタ装置及び該フィルタエレメントの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、プラスチック製の網状部材と通り抜ける気体中のオイルミストを捕捉する濾材とが一緒に渦巻状に巻回されてなり筒状をなすことを特徴とするフィルタエレメントとしたことをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、フィルタエレメントは、プラスチック製の網状部材と濾材とを一緒に渦巻状に巻回して筒状に形成されているため、その製造が容易である。また、網状部材はプラスチック製であるため、濾材と網状部材とが直接接触しても当該濾材は破損され難い。そのため、濾材の破損を防止するための部材を設けなくてもよいため、製造コストの増大を抑制することができる。更に、網状部材によってフィルタエレメントの強度の確保が可能であるため、強度の確保のために不織布を厚く巻かなくてもよい。従って、気体の流れを妨げることを抑制しつつ、フィルタエレメントの強度を確保することが可能である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフィルタエレメントにおいて、前記網状部材は、前記濾材よりも内周側で、該網状部材単体で少なくとも1周していることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、濾材よりも内周側で網状部材が該網状部材単体で少なくとも1周しているため、フィルタエレメントの内周側において網状部材によって濾材が保護されるとともに、濾材の位置が安定される。また、濾材の内周側で網状部材が少なくとも1周されることにより、フィルタエレメントの強度を確保しやすくなる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のフィルタエレメントにおいて、前記網状部材は、前記濾材よりも外周側で、該網状部材単体で少なくとも1周していることをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、濾材よりも外周側で網状部材が該網状部材単体で少なくとも1周しているため、フィルタエレメントの外周側において網状部材によって濾材が保護されるとともに、濾材の位置が安定される。また、濾材の外周側で網状部材が少なくとも1周されることにより、フィルタエレメントの強度を確保しやすくなる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のフィルタエレメントにおいて、前記濾材よりも目が粗く前記気体中の異物を捕捉するプレ濾材を備え、前記プレ濾材は、前記濾材よりも内周側に配置されていることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、フィルタエレメントの内側から外側に気体が通り抜ける際に、内周側の目の粗いプレ濾材にてオイルミストよりも大きな異物を捕捉し、外周側の目の細かい濾材にてオイルミストを捕捉することができる。従って、内周側の目の粗いプレ濾材によって予めオイルミストよりも大きな異物を捕捉できるため、濾材の目詰まりを抑制することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、内部に導入された気体を外部に導出する気体通路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部で前記気体通路上に配置されて前記気体中に含まれたオイルミストを捕捉する請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のフィルタエレメントとを備えたフィルタ装置としたことをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、製造が容易で製造コストの増大が抑制されたフィルタエレメントを備えたことにより、フィルタ装置の製造コストの増大が抑制される。また、フィルタ装置に備えられるフィルタエレメントは、気体の流れを阻害しにくいため、気体の導入及び導出を良好に行うことができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のフィルタエレメントの製造方法であって、プラスチック製の網材と、前記網材に重ねて配置され通り抜ける気体中の前記オイルミストを捕捉する濾過材とを一緒に渦巻状に巻き取って筒状の巻取り部材を形成する巻取り工程と、前記巻取り部材を、形成するフィルタエレメントの軸方向長さごとに切断して、前記巻取り部材から複数のフィルタエレメントを形成する切断工程と、を備えたことをその要旨としている。
【0021】
同方法によれば、巻き取り工程において、プラスチック製の網材と濾過材とを一緒に渦巻状に巻き取って筒状の巻取り部材を形成し、切断工程において、巻取り部材を切断して複数のフィルタエレメントを形成する。従って、複数のフィルタエレメントを容易に製造することができる。また、予め網材及び濾過材を所定の大きさに切断しなくてもよいことから、寸法管理が容易となる。その結果、製造コストの増大を抑制することができる。また、網材はプラスチック製であるため、濾過材と網材とが直接接触しても当該濾過材は破損され難い。そのため、濾過材の破損を防止するための部材を設けなくてもよいため、製造コストの増大をより抑制することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のフィルタエレメントの製造方法において、前記巻取り工程では、前記網材を少なくとも1周分単体で巻き取った後に、前記網材と前記濾過材とを一緒に巻き取ることをその要旨としている。
【0023】
同方法によれば、巻き取り工程において、網材を少なくとも1周分単体で巻き取った後に、濾過材を網材と一緒に巻き取るため、巻取り部材の内周側において網材によって濾過材が保護されるとともに、濾過材の位置が安定される。また、濾過材の内周側で網材が少なくとも1周されることにより、形成されるフィルタエレメントの強度を確保しやすくなる。そして、形成されたフィルタエレメントにおいては、その内周側において網状部材によって濾材が保護されるとともに、濾材の位置が安定される。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載のフィルタエレメントの製造方法において、前記巻取り工程では、前記網材と前記濾過材とを一緒に巻き取った後に、前記網材を少なくとも1周分単体で巻き取ることをその要旨としている。
【0025】
同方法によれば、巻き取り工程において、網材と濾過材とを一緒に巻き取った後に、網材を少なくとも1周分単体で巻き取るため、巻取り部材の外周側において網材によって濾過材が保護されるとともに、濾過材の位置が安定される。また、濾過材の外周側で網材が少なくとも1周されることにより、形成されるフィルタエレメントの強度を確保しやすくなる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載のフィルタエレメントの製造方法において、前記巻取り工程では、径方向に重なり合った前記網材における少なくとも一部を互いに溶着することをその要旨としている。
【0027】
同方法によれば、網材は、プラスチック製であるため、網材における径方向に重なり合った部分を容易に溶着することができる。従って、巻き取った網材及び濾過材を容易に円筒状に維持することができる。また、巻き取った網材及び濾過材を円筒状に維持する部品や、接着剤を別途必要としないため、製造コストを低減させることができる。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至請求項9の何れか1項に記載のフィルタエレメントの製造方法において、前記濾過材よりも目が粗く前記気体中の異物を捕捉するプレ濾過材を前記濾過材の上に重ねて配置、若しくは、前記網材の巻取り方向に沿って前記プレ濾過材、前記濾過材の順に並べて前記網材上に配置する配置工程を備え、前記巻取り工程では、前記濾過材及び前記プレ濾過材を前記網材と一緒に巻き取ることをその要旨としている。
【0029】
同方法によれば、配置工程では、濾過材よりも目の粗いプレ濾過材を濾過材の上に重ねて配置、若しくは、網材の巻取り方向に沿ってプレ濾過材、濾過材の順に並べて網材上に配置する。そのため、濾材に加えてプレ濾材を有するフィルタエレメントを形成する場合であっても、1回の巻き取り工程で、即ち網材を一端から他端まで巻き取るだけで、巻取り部材を形成することができる。そして、この巻取り部材を切断することによりフィルタエレメントが形成されるため、濾材に加えてプレ濾材を有するフィルタエレメントを形成する場合であっても、当該フィルタエレメントを容易に製造することができる。また、形成されたフィルタエレメントでは、フィルタエレメントの内側から外側に気体が通り抜ける際に、内周側の目の粗いプレ濾材にてオイルミストよりも大きな異物を捕捉し、外周側の目の細かい濾材にてオイルミストを捕捉することができる。その結果、形成されたフィルタエレメントにおいて、濾材の目詰まりが抑制される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、製造が容易で製造コストの増大を抑制することができるフィルタエレメント、及び該フィルタエレメントの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態のフィルタエレメントを備えたフィルタ装置を示す断面図。
【図2】(a)は実施形態のフィルタエレメントの軸方向断面図、(b)は実施形態のフィルタエレメントの径方向断面図。
【図3】(a)及び(b)は実施形態のフィルタエレメントの製造方法を説明するための模式図。
【図4】(a)及び(c)は別の形態のフィルタエレメントの軸方向断面図、(b)及び(d)は別の形態のフィルタエレメントの製造方法を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1乃至図3に従って説明する。
図1に示すように、フィルタ装置1のハウジング2は、下面が開口されたボディ3と、上面が開口されたボウル4とを、互いの開口部分を合わせるように組付けて形成されている。そして、ボディ3には、入口ポート5が設けられるとともに、同ボディ3における入口ポート5に対向する部位には出口ポート6が設けられている。入口ポート5には図示しないエア供給源が接続される一方、出口ポート6には図示しない流体圧機器が接続される。そして、入口ポート5からフィルタ装置1の内部に気体としての圧縮エアが導入されるとともに、導入された圧縮エアは出口ポート6からフィルタ装置1の外部に導出される。
【0033】
前記ボディ3の下部には、下端が縮径された円筒状をなす前記ボウル4の上端部が嵌入されている。ボウル4の上端部外周には、第1のOリング7が装着されるとともに、該第1のOリング7によってボディ3とボウル4との間の気密が保持されている。また、ボディ3には、上面が開口した略有底円筒状のボウルガード8が該ボディ3を覆うように外挿されている。
【0034】
ボディ3の内頂部には、略筒状をなす区画壁9が下方へ延設されるとともに、該区画壁9は、下方のボウル4内に向けて開口している。この区画壁9は、その側壁において入口ポートと連通されるとともに、該区画壁9の内部空間は、入口ポート5とボウル4の内部とを連通する導入通路10を形成している。また、区画壁9は、出口ポート6との間に空間を区画するように出口ポート6から離れた位置に形成されるとともに、この空間によってボウル4の内部から出口ポート6に連通する導出通路11が形成されている。
【0035】
区画壁9の下端部にはオイルミストフィルタ12が装着されている。オイルミストフィルタ12は、円筒状のフィルタエレメント13と、フィルタエレメント13に外挿された被覆部材14と、同フィルタエレメント13の軸方向の上端部に装着された第1のキャップ15と、同フィルタエレメント13の軸方向の下端部に装着された第2のキャップ16とから構成されている。尚、図1では、フィルタエレメント13を簡略化して図示している。
【0036】
フィルタエレメント13は、該フィルタエレメント13の内側から該フィルタエレメント13を通って該フィルタエレメント13の外側に出る圧縮エア内に含まれるオイルミスト等の液体の異物及び塵埃等の固形の異物を捕捉するように構成されている。また、被覆部材14は、プラスチックフォームにて形成されるとともに、円筒状をなしている。
【0037】
略円盤状をなす第1のキャップ15は、その上面に上方へ突出し円環状をなす嵌入部15aを備えている。そして、区画壁9の下端部に嵌入部15aを嵌入することにより、第1のキャップ15は、区画壁9に対して接続されている。また、嵌入部15aには第2のOリング17が外挿されるとともに、該第2のOリング17によって区画壁9と第1のキャップ15との気密が保持されている。
【0038】
嵌入部15aの径方向の中央であって第1のキャップ15の径方向の中央部には、軸方向に貫通する雌ネジ孔15bが形成されている。そして、区画壁9の内側には支持棒18が配置されるとともに、該支持棒18の下端部に形成された雄ネジ部18aが前記雌ネジ孔15bに螺合されている。また、支持棒18の上端部に形成された雄ネジ部18bは、ボディ3の内頂部であって区画壁9の内側となる部位に形成された雌ネジ穴3aに螺合されている。この支持棒18は、第1のキャップ15をボディ3に対して支持している。
【0039】
また、第1のキャップ15には、嵌入部15aの内側であって雌ネジ孔15bの外周側となる位置に、軸方向に貫通して区画壁9内とオイルミストフィルタ12内とを連通する連通孔15cが形成されている。更に、第1のキャップ15には、下方に開口する円環状の第1の装着溝15dが凹設されている。この第1の装着溝15dは、被覆部材14が外挿されたフィルタエレメント13の内径及び外径に対応するようにその内径及び外径が設定されている。第1の装着溝15dには、フィルタエレメント13の上端部が挿入されるとともに、同フィルタエレメント13の上端部は第1の装着溝15dの内周面に接着固定されている。
【0040】
前記第2のキャップ16は略円板状をなすとともに、該第2のキャップ16には、上方に開口する円環状の第2の装着溝16aが形成されている。この第2の装着溝16aは、前記第1の装着溝15dと同様に、被覆部材14が外挿されたフィルタエレメント13の内径及び外径に対応するようにその内径及び外径が設定されている。第2の装着溝16aには、フィルタエレメント13の下端部が挿入されるとともに、同フィルタエレメント13の下端部は第2の装着溝16aの内周面に接着固定されている。
【0041】
また、ボウル4の内部空間は、オイルミストフィルタ12によって、オイルミストフィルタ12より内側の導入室21と、オイルミストフィルタ12より外側の導出室22とに区画されている。そして、導入室21と導入通路10とが連通する一方、導出室22と導出通路11とが連通している。また、導入通路10、連通孔15c、導入室21、導出室22及び導出通路11により気体通路が形成されるとともに、この気体通路を介して入口ポート5と出口ポート6とが連通している。更に、この気体通路上にフィルタエレメント13が配置されている。
【0042】
上記のようなフィルタ装置1においては、圧縮エアが入口ポート5からフィルタ装置1の内部に流入する。この圧縮エアには、オイルミスト等の液体の異物及び塵埃等の固形の異物が含まれている。そして、入口ポート5からフィルタ装置1の内部に流入した圧縮エアは、導入通路10及び連通孔15cを通ってボウル4内の導入室21に流入する。導入室21に流入した圧縮エアはフィルタエレメント13を通り抜けて導出室22に流入する。圧縮エアがフィルタエレメント13を通過する際、圧縮エアに含まれる異物が同フィルタエレメント13によって除去される。そして、異物が除去された圧縮エアは、導出室22から導出通路11を通って、出口ポート6からフィルタ装置1の外部に導出される。また、フィルタエレメント13にて捕捉されたオイルミスト等の液体の異物は、フィルタエレメント13において凝集される。更に、凝集された液体の異物は重力沈降により下方へ移動してボウル4内に蓄積される。尚、被覆部材14は、フィルタエレメント13にて捕捉された異物が同フィルタエレメント13を通り抜ける圧縮エアによって飛散されることを防止するとともに、捕捉した液体の異物の重力沈降を補助する役割を果たしている。そして、ボウル4内に蓄積された異物は、手動若しくは自動で外部に排出可能である。フィルタ装置1は、ボウル4内の異物を排出することにより、目詰まり等によってオイルミストフィルタ12が寿命となるまで(内側圧力と外側圧力との差が所定の値となるまで)、オイルミストフィルタ12を交換することなく使用することができる。
【0043】
次に、フィルタエレメント13について詳述する。図2(a)及び図2(b)に示すように、円筒状のフィルタエレメント13は、プラスチック製の網材よりなる網状部材31と、該網状部材31にて保持される濾材32とから構成されている。
【0044】
本実施形態の網状部材31は、ポリプロピレンよりなる素線を格子状に編んで形成されている。本実施形態の網状部材31は、素線の直径が320デシデックス(約223μm)であるとともに、素線の密度が2.54cm(1インチ)当たり20本となっている。そして、網状部材31は、渦巻状に巻回されて円筒状をなしている。また、濾材32は、ガラス繊維よりなる濾紙であるとともに、網状部材31と一緒に渦巻状に巻回されている。この濾材32及び網状部材31は、軸方向(フィルタエレメント13の軸方向)の長さが互いに等しい。
【0045】
そして、図2(b)に示すように、フィルタエレメント13を径方向内側から外側に向かって見ると、まず、内側で網状部材31が該網状部材31単体で複数周(例えば2周)巻回されて第1補強部13aが形成されている。続けて、網状部材31の内側に濾材32が重ね合わされた状態でこれらの網状部材31及び濾材32が一緒に複数周(例えば2周)巻回されて濾過部13bが形成されている。更に、網状部材31が単体で複数周(例えば2周)巻回されて第2補強部13cが形成されている。これにより、フィルタエレメント13は、第1補強部13a、濾過部13b及び第2補強部13cが層状に重なって円筒状に形成されている。そして、フィルタエレメント13の内側で網状部材31が該網状部材31単体で複数周巻回されて第1補強部13aが形成されるとともに、同フィルタエレメント13の外側で網状部材31が単体で複数周巻回されて第2補強部13cが形成されることにより、濾材32は、網状部材31によって径方向の両側から挟持されている。また、網状部材31において径方向に重なり合って直接接触する部位同士は、互いに溶着されており、この溶着によってフィルタエレメント13が円筒状に維持されている。一方、網状部材31と濾材32とは溶着されていない。
【0046】
尚、第1補強部13aにおける網状部材31の巻数、及び第2補強部13cにおける網状部材31の巻数は、フィルタエレメント13の強度に応じて設定される。また、濾過部13bにおける濾材32の巻数は、フィルタエレメント13にて捕捉するオイルミストの大きさ、濾材32の厚さ、濾材32を構成する繊維の直径及び密度等を考慮して設定される。
【0047】
そして、このようなフィルタエレメント13では、圧縮エアが内側から外側へ通過する際に、該圧縮エアに含まれるオイルミストは、濾材32を構成する繊維に対して直接衝突、慣性衝突、接触付着したり、拡散して付着したりすることにより、フィルタエレメント13の内部に凝集されて捕捉される。凝集されたオイルミストから形成された油滴は、フィルタエレメント13において重力沈降される。
【0048】
次に、上記のフィルタエレメント13の製造方法を説明する。
図3(a)に示すように、配置工程が行われ、プラスチック製の網材41に対して濾過材42が配置される。尚、図3(a)では、理解を促すために、網材41及び濾過材42の厚さを誇張して図示している。
【0049】
網材41は、フィルタエレメント13の網状部材31となるものであって、ポリプロピレンよりなる素線を格子状に編んで形成されている。本実施形態の網材41は、素線の直径が320デシデックス(約223μm)であるとともに、素線の密度が2.54cm(1インチ)当たり20本となっている。また、網材41を構成する素線は、芯部と外周部との2層構造になっているとともに、外周部の融点が芯部の融点よりも低くなっている。また、網材41は、四角形状をなすとともに、同網材41における第1の方向Xの長さが、第1補強部13a、濾過部13b及び第2補強部13cをそれぞれ巻回できるだけの長さに設定されている。更に、網材41における、第1の方向Xと直交する第2の方向Yの長さは、フィルタエレメント13の軸方向の長さの2倍以上の長さに設定されている。
【0050】
また、濾過材42は、フィルタエレメント13の濾材32となるものであって、ガラス繊維よりなる濾紙であるとともに、四角形状をなしている。また、濾過材42における第1の方向Xの長さは濾過部13bを巻回できるだけの長さに設定されるとともに、第2の方向Yの長さは、網状部材31における第2の方向Yの長さと等しい長さに設定されている。そして、濾過材42は、網材41における第1の方向Xの一方の端部(図3(a)において左側の端部)に第1補強部13aとなる範囲を空けるとともに、他方の端部(図3(a)において右側の端部)に第2補強部13cとなる範囲を空けて、網材41において濾過部13bとなる範囲の上面に重ねられる。
【0051】
次に、巻き取り工程が行われ、配置工程で重ねて配置された網材41及び濾過材42が円柱状の心棒51の外周に渦巻状に巻き取られる。この心棒51の軸方向の長さは、網材41における第2の方向Yの長さと等しいかそれ以上の長さとなっている。また、心棒51による網材41及び濾過材42の巻き取り方向は第1の方向Xと一致している。
【0052】
まず、心棒51が矢印α方向に回転されて該心棒51の外周に第1補強部13aとなる網材41が巻き取られる(図3(a)において二点鎖線参照)。心棒51は、濾過材42の端に辿り着くまでに複数回(例えば2回)回転する。これにより、心棒51の外周に網材41が複数周巻回されて第1補強部13aが形成される。尚、配置工程では、網材41及び濾過材42の巻取りに伴って、図示しない加熱装置によって心棒51の周囲に熱が加えられる。加熱装置による熱は、網材41を構成する素線における融点の低い外周部を溶融させる一方、同素線における融点の高い芯部を溶融させない温度に設定されている。従って、心棒51の外周に網材41が1回巻き取られて後は、網材41同士が径方向に重なり合うため、径方向に重なり合った網材41同士が溶着される。その結果、巻き取られた網材41は円筒状に維持される。
【0053】
続けて、心棒51が回転されて該心棒51の外周であって第1補強部13aの外周に濾過部13bとなる濾過材42及び網材41が巻き取られる。心棒51は、濾過材42を全て巻き取るまでに複数回(例えば2回)回転する。これにより、第1補強部13aの外周に網材41及び濾過材42が複数周巻回されて濾過部13bが形成される(図2参照)。濾過材42は、心棒51が濾過材42及び網材41を巻き取る際に網材41と心棒51との間に挟み込まれる位置関係となるように配置工程において網材41に対して配置されており、そのため、網材41を巻き取ると濾過材42も自然に心棒51の外周に巻き取られていく。そして、ガラス濾紙よりなる濾過材42は、加熱装置による熱によってポリプロピレンよりなる網材41と溶着されることはない。
【0054】
続けて、心棒51が回転されて該心棒51の外周であって濾過部13bの外周に第2補強部13cとなる網材41が巻き取られる。心棒51は、網材41における第1の方向Xの端(図3(b)において右側の端)に辿り着くまでに複数回(例えば2回)回転する。これにより、濾過部13bの外周に網材41が複数周巻回されて第2補強部13cが形成される(図2参照)。この時、加熱装置による熱によって、新たに巻き取られた網材41において径方向に重なり合う部分同士が溶着され、その結果、心棒51の外周に巻き取られた網材41及び濾過材42が円筒状に維持される。このようにして、心棒51の外周に網材41及び濾過材42が巻き取られることにより、図3(b)に示すように円筒状の巻取り部材61が形成される。
【0055】
次に、切断工程が行われ、巻取り部材61が軸方向に複数分割されるように切断される。この切断工程では、巻取り部材61は、軸方向の一端から、形成するフィルタエレメント13の軸方向長さごとに順次切断されていく。これにより、1本の巻取り部材61から所定の長さを有するフィルタエレメント13が複数形成される。尚、図3(b)では、切断される位置を破線にて図示している。
【0056】
そして、形成されたフィルタエレメント13には、被覆部材14が外挿されるとともに、軸方向の両端部に第1のキャップ15及び第2のキャップ16が装着されてオイルミストフィルタ12が形成される。
【0057】
上記したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を有する。
(1)フィルタエレメント13は、プラスチック製の網状部材31とガラス繊維よりなる濾紙である濾材32とが一緒に渦巻状に巻回されてなり筒状をなしている。従って、フィルタエレメント13を構成する部品点数が少ない。また、このフィルタエレメント13は、巻き取り工程において、プラスチック製の網材41と濾過材42とを一緒に渦巻状に巻き取って筒状の巻取り部材61を形成し、切断工程において、巻取り部材61を切断して形成される。即ち、網材41及び濾過材42からなる1本の巻取り部材61を切断するだけで複数のフィルタエレメント13を形成できる。これらのことから、フィルタエレメント13を容易に製造することができるとともに、生産性が向上されて、結果的にフィルタエレメント13の製造コストの増大を抑制することができる。そして、ひいては該フィルタエレメント13を備えたフィルタ装置1の製造コストの増大を抑制することができる。また、巻取り部材61を形成するフィルタエレメント13の軸方向長さごとに切断すると、網状部材31及び濾材32の軸方向長さが揃うため、従来のように予め網材41及び濾過材42を所定の大きさに切断しなくてもよい。従って、寸法管理が容易となるため、製造コストの増大をより抑制することができる。更に、網材41(網状部材31)はプラスチック製であるため、濾過材42(濾材32)と網材41(網状部材31)とが直接接触しても当該濾過材42(濾材32)は破損され難い。そのため、濾過材42(濾材32)の破損を防止するための部材(不織布等)を設けなくてもよいため、製造コストの増大を更に抑制することができる。
【0058】
(2)網状部材31によってフィルタエレメント13の強度を確保しているため、強度の確保のために不織布を厚く巻かなくてもよい。また、フィルタエレメント13の強度の確保を不織布にて行わないことにより、捕捉したオイルミストの重力沈降が良好に行われる。従って、圧縮エアの流れを妨げることを抑制しつつ、フィルタエレメント13の強度を確保することができる。そして、このフィルタエレメント13を備えたフィルタ装置1では、圧縮エアの導入及び導出を良好に行うことができる。
【0059】
(3)巻き取り工程において、網材41を複数周分単体で巻き取った後に、濾過材42を網材41と一緒に巻き取るため、巻取り部材61の内周側において網材41によって濾過材42が保護されるとともに、濾過材42の位置が安定される。そして、形成されたフィルタエレメント13では、濾材32よりも内周側で網状部材31が単体で複数周しているため、フィルタエレメント13の内周側において網状部材31によって濾材32が保護されるとともに、濾材32の位置が安定される。また、濾材32の内周側で網状部材31が複数周されることにより、従来のような補強シリンダを用いなくてもフィルタエレメント13の強度を確保することができる。更に、濾材32の内周側における網状部材31の巻数を調整することにより、容易にフィルタエレメント13の強度を調整できる。
【0060】
(4)巻き取り工程において、網材41と濾過材42とを一緒に巻き取った後に、網材41を複数周分単体で巻き取るため、巻取り部材61の外周側において網材41によって濾過材42が保護されるとともに、濾過材42の位置が安定される。そして、形成されたフィルタエレメント13では、濾材32よりも外周側で網状部材31が単体で複数周しているため、フィルタエレメント13の外周側において網状部材31によって濾材32が保護されるとともに、濾材32の位置が安定される。また、濾材32の外周側で網状部材31が複数周されることにより、従来のような補強シリンダを用いなくてもフィルタエレメント13の強度を確保することができる。更に、濾材32の外周側における網状部材31の巻数を調整することにより、容易にフィルタエレメント13の強度を調整できる。
【0061】
(5)巻取り工程では、網材41において径方向に重なり合う部位を互いに溶着する。網材41は、プラスチック製であるため、網材41における径方向に重なり合った部分を容易に溶着することができる。従って、巻き取った網材41及び濾過材42を容易に円筒状に維持することができる。また、巻き取った網材41及び濾過材42を円筒状に維持する部品や接着剤を別途必要としないため、製造コストを低減させることができる。
【0062】
(6)網状部材31によってフィルタエレメント13の強度を確保しているため、従来のように金属製の補強シリンダを備えなくてもよい。従って、フィルタエレメント13の軽量化、ひいてはオイルミストフィルタ12及びフィルタ装置1の軽量化を図ることができる。また、金属製の補強シリンダを備えないことにより、フィルタエレメント13の製造時に溶接を行わなくてもよくなるため、フィルタエレメント13の製造が更に容易となる。
【0063】
(7)フィルタエレメント13に金属が使用されないため、オイルミストフィルタ12を構成する部品が殆どプラスチックとなる。従って、分別廃棄が容易となる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0064】
・上記実施形態のフィルタエレメント13は、網状部材31及び濾材32のみから構成されている。しかしながら、図4(a)及び図4(c)に示すフィルタエレメント71,72のように、網状部材31及び濾材32に加えて、濾材32よりも目の粗いプレ濾材73を備えた構成であってもよい。尚、図4(a)及び図4(c)は、フィルタエレメント71,72を軸方向に沿って切った断面図である。プレ濾材73は、例えば、不織布よりなり、通過する気体中に含まれる3〜5μmの固形の異物を捕捉可能である。そして、配置工程では、図4(b)に示すように、通過する気体中に含まれる3〜5μmの固形の異物を捕捉可能な不織布よりなる四角形状のプレ濾過材74を、網材41の上に配置された濾過材42の上に重ねて配置する。若しくは、図4(d)に示すように、プレ濾過材74は、配置工程において、網材41の巻取り方向に沿ってプレ濾過材74、濾過材42の順に並べて網材41上に配置される。次いで、巻取り工程において、濾過材42及びプレ濾過材74が網材41と一緒に渦巻状に巻き取られて筒状の巻取り部材が形成される。そして、切断工程において、該巻取り部材は、形成するフィルタエレメントの軸方向長さごとに切断され、これにより複数のフィルタエレメント71(若しくはフィルタエレメント72)が形成される。このようにして形成されたフィルタエレメント71,72においては、プレ濾材73が、濾材32よりも内周側に配置されている。尚、図4(b)に示すように配置工程を行うと、図4(a)に示すフィルタエレメント71が形成される。また、図4(d)に示すように配置工程を行うと、図4(c)に示すフィルタエレメント72が形成される。
【0065】
このようにすると、濾材32に加えてプレ濾材73を有するフィルタエレメント71,72を形成する場合であっても、1回の巻き取り工程で、即ち網材41を一端から他端まで巻き取るだけで、巻取り部材を形成することができる。そして、この巻取り部材を切断することにより複数のフィルタエレメント71,72が形成されるため、濾材32に加えてプレ濾材73を有するフィルタエレメント71,72を形成する場合であっても、当該フィルタエレメント71,72を容易に製造することができる。また、形成されたフィルタエレメント71,72では、フィルタエレメント71,72を内側から外側に気体が通り抜ける際に、内周側の目の粗いプレ濾材73にてオイルミストよりも大きな異物を捕捉し、外周側の目の細かい濾材32にてオイルミストを捕捉することができる。従って、形成されたフィルタエレメント71,72において、濾材32の目詰まりが抑制される。また、このフィルタエレメント71,72においては、プレ濾材73が、オイルミストよりも大きな異物を除去するプレフィルタの役割を果たす。従って、オイルミストよりも大きな異物を除去するためのフィルタと、オイルミストフィルタとを直列に配置していた装置においては、このプレ濾材73を有するフィルタエレメント71,72を備えたフィルタを用いることにより、フィルタの数を減らすことができる。そして、装置の省スペース化を図ることができるとともに、フィルタエレメント71,72にかかるコスト及び当該装置におけるフィルタエレメント71,72以外の部位にかかるコストを低減することができる。
【0066】
尚、プレ濾材73を有する上記のフィルタエレメント71,72においては、プレ濾材の径方向の厚さを厚くすることにより、当該フィルタエレメントの強度を大きくすることも可能である。
【0067】
・巻取り工程では、巻き取った網材41及び濾過材42(即ち巻取り部材61)を円筒状に維持できるのであれば、網材41において径方向に重なり合う部分を全て溶着せずに部分的に溶着してもよい。例えば、網材41における巻終わりの端部のみを加熱して溶着してもよい。
【0068】
・フィルタエレメント13の内周側に形成された第1補強部13aは、網状部材31が単体で少なくとも1周して形成されていればよい。このようにしても、上記実施形態の(2)と同様の作用効果を得ることができる。また、フィルタエレメント13の外周側に形成された第2補強部13cは、網状部材31が単体で少なくとも1周して形成されていればよい。このようにしても、上記実施形態の(3)と同様の作用効果を得ることができる。そして、フィルタエレメント13を製造する際には、形成するフィルタエレメント13における第1補強部13a及び第2補強部13cの巻数に応じて、巻取り部材61における濾過材42よりも内周側で巻回される網材41の巻数及び濾過材42よりも外周側で巻回される網材41の巻数が決定される。尚、フィルタエレメント13は、第1補強部13a及び第2補強部13cを必ずしも備えなくてもよい。
【0069】
・上記実施形態では、濾材32を網状部材31と一緒に複数周巻回することにより、濾材32の径方向の厚さを確保している。しかしながら、予め複数枚重ねた濾材32を網状部材31と一緒に渦巻状に巻回することにより、濾材32の径方向の厚さを確保してもよい。
【0070】
・上記実施形態の切断工程では、巻取り部材61を、軸方向の一端から形成するフィルタエレメント13の軸方向長さごとに順次切断している。しかし、巻取り部材61の軸方向の複数箇所を一度に切断して複数のフィルタエレメント13を形成してもよい。
【0071】
・網状部材31及び網材41は、ポリプロピレン以外のプラスチック(例えば、セルロースや、ポリエステル系のプラスチック)よりなるものであってもよい。
・上記実施形態では、オイルミストフィルタ12は、フィルタエレメント13に外挿される被覆部材14を備えているが、被覆部材14は省略してもよい。
【0072】
・フィルタエレメント13の内側若しくは外側に、補強部材を設けてもよい。例えば、補強部材として、フィルタエレメント13の内側にコイルスプリングを挿入してもよい。
・フィルタエレメント13は、円筒状に限らず、筒状であればよい。
【符号の説明】
【0073】
2…ハウジング、10…気体通路を構成する導入通路、11…気体通路を構成する導出通路、13,71,72…フィルタエレメント、15c…気体通路を構成する連通孔、21…気体通路を構成する導入室、22…気体通路を構成する導出室、31…網状部材、32…濾材、41…網材、42…濾過材、61…巻取り部材、73…プレ濾材、74…プレ濾過材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の網状部材と通り抜ける気体中のオイルミストを捕捉する濾材とが一緒に渦巻状に巻回されてなり筒状をなすことを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタエレメントにおいて、
前記網状部材は、前記濾材よりも内周側で、該網状部材単体で少なくとも1周していることを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のフィルタエレメントにおいて、
前記網状部材は、前記濾材よりも外周側で、該網状部材単体で少なくとも1周していることを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のフィルタエレメントにおいて、
前記濾材よりも目が粗く前記気体中の異物を捕捉するプレ濾材を備え、前記プレ濾材は、前記濾材よりも内周側に配置されていることを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項5】
内部に導入された気体を外部に導出する気体通路を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部で前記気体通路上に配置されて前記気体中に含まれたオイルミストを捕捉する請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のフィルタエレメントと
を備えたことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のフィルタエレメントの製造方法であって、
プラスチック製の網材と、前記網材に重ねて配置され通り抜ける気体中の前記オイルミストを捕捉する濾過材とを一緒に渦巻状に巻き取って筒状の巻取り部材を形成する巻取り工程と、
前記巻取り部材を、形成するフィルタエレメントの軸方向長さごとに切断して、前記巻取り部材から複数のフィルタエレメントを形成する切断工程と、
を備えたことを特徴とするフィルタエレメントの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のフィルタエレメントの製造方法において、
前記巻取り工程では、前記網材を少なくとも1周分単体で巻き取った後に、前記網材と前記濾過材とを一緒に巻き取ることを特徴とするフィルタエレメントの製造方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のフィルタエレメントの製造方法において、
前記巻取り工程では、前記網材と前記濾過材とを一緒に巻き取った後に、前記網材を少なくとも1周分単体で巻き取ることを特徴とするフィルタエレメントの製造方法。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載のフィルタエレメントの製造方法において、
前記巻取り工程では、径方向に重なり合った前記網材における少なくとも一部を互いに溶着することを特徴とするフィルタエレメントの製造方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9の何れか1項に記載のフィルタエレメントの製造方法において、
前記濾過材よりも目が粗く前記気体中の異物を捕捉するプレ濾過材を前記濾過材の上に重ねて配置、若しくは、前記網材の巻取り方向に沿って前記プレ濾過材、前記濾過材の順に並べて前記網材上に配置する配置工程を備え、
前記巻取り工程では、前記濾過材及び前記プレ濾過材を前記網材と一緒に巻き取ることを特徴とするフィルタエレメントの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−156499(P2011−156499A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21465(P2010−21465)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【出願人】(591141289)アサヒ繊維工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】