フィルタカートリッジ
【課題】ユーザにとっての使いやすさ及び簡便さに応えるため、フィルタカートリッジ構造の改良が求められている。
【解決手段】フィルタ本体を含むフィルタカートリッジに於いて、フィルタ本体はフィルタメンテナンス中にフィルタカートリッジから水を抜くことを支援する非水平又は丸みを帯びた下縁を有する。
【解決手段】フィルタ本体を含むフィルタカートリッジに於いて、フィルタ本体はフィルタメンテナンス中にフィルタカートリッジから水を抜くことを支援する非水平又は丸みを帯びた下縁を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水フィルタシステムで使用するための方法及び装置に関する。より具体的には、本発明は、水槽フィルタシステムで使用するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水槽内で生態学的均衡を維持するためには、水槽水を浄化することが必要である。浄化は、多くの場合、水槽から水をフィルタハウジングに汲み上げ、その水をフィルタカートリッジに通してろ過し、ろ過した水を水槽に戻すことによって達成される。
【0003】
一部のフィルタカートリッジは、水槽環境を維持するために都合よく使用される使い捨ての交換部品である。カートリッジが普通に使用されるうちに、捕らえられた様々な粒状物が水のカートリッジ通過を徐々に減速又は遮断するおそれがある。最終的に、カートリッジは寿命終了状態に達する。水槽のメンテナンスは、ユーザに対し、定期的にフィルタカートリッジを取り出し、交換することを要求する。
【0004】
使用中、フィルタカートリッジは、水槽水中に沈められ、したがって、フィルタハウジングから取り出されたばかりのとき、水で飽和した状態にある。ユーザは通常、水槽の上でフィルタカートリッジを保持してその期間にカートリッジから水を抜き、その後、水によって損傷する又はさびるおそれのある電子部品又は他の部品もしくは物品の上に水を滴下させることなくフィルタカートリッジを捨てようとする。往々にして、長い時間フィルタカートリッジを水抜きした後でも、フィルタカートリッジはなおも一定量の水を保持し、その水が、フィルタカートリッジを捨てるために運ぶ際、床又は他の部品の上に滴下することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、ユーザにとっての使いやすさ及び簡便さに応えるため、そのようなフィルタカートリッジ構造に関して改良が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水槽フィルタで使用するためのフィルタカートリッジに関する。フィルタカートリッジは、フィルタメンテナンス中にフィルタカートリッジ中に保持された水の量をより効果的に減らすために、フィルタカートリッジをより速やかかつ徹底的に水抜きすることを可能にする丸みを帯びた下縁を有する。この特徴が、水槽をメンテナンスするのに要する時間及び/又はそのようなメンテナンスに伴う混乱を減らすことにより、ユーザにとっての使いやすさ及び簡便さを改善する。
【0007】
望ましい製品特徴又は方法の多様な例が、一部には以下の詳細な説明に述べられ、一部には詳細な説明から明らかになるか、あるいは、本発明の様々な態様を実施することによって学習される。本発明の態様は、個々の特徴及び特徴の組み合わせに関することができる。前記概要及び以下の詳細な説明は説明のためのものであり、請求項に係わる発明を限定するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面に示す本発明の例示的な態様を詳細に参照する。同一又は同種の部品を参照する場合には、各図面を通じて可能な限り同じ参照番号を使用する。
【0009】
図1は、開示される原理に基づくフィルタカートリッジ10の一つの実施態様を示す。フィルタカートリッジ10は、水槽フィルタ12(概略的に表す)で使用するために設計されている。しかし、フィルタカートリッジ10は、開示される原理にしたがって他の用途、たとえば池のフィルタで使用することもできる。
【0010】
図1及び2を参照すると、フィルタカートリッジ10は、第一及び第二の両側面16、18を有するフィルタ本体14を含む。使用中、ユーザがフィルタカートリッジ10を水槽フィルタ12中でどのように向けるかに依存して、第一及び第二の両側面16、18の一方が水流入側であり、他方の側面が水流出側である。図1では、フィルタカートリッジ10は、水槽フィルタ12中に位置するとき、垂直の向きに配置されている。しかし、代替用途では、フィルタカートリッジは、非垂直の向きに配置することもできる。
【0011】
次に図2及び3を参照すると、本フィルタカートリッジ10のフィルタ本体14の第一及び第二の側面16、18は第一及び第二の多孔質フィルタ壁20、22によって画定されている。第一及び第二の多孔質フィルタ壁20、22は、同じ材料及び密度でできていることもできるし、異なる材料及び/又は密度でできていることもできる。異なる材料/密度を有するフィルタ壁のさらなる詳細は、引用例として本明細書に取り込む米国特許第6,692,637号に記載されている。
【0012】
フィルタカートリッジ10の第一及び第二の多孔質フィルタ壁20、22は互いに固着されてフィルタ本体14を画定している。詳細には、壁20、22のフランジ領域48が加工されて、フィルタ本体14の周囲に沿って延びるシールされたフランジ50(図1を参照)を形成している。一つの方法では、壁のフランジ領域48は超音波溶接機によって互いに接合される。もう一つの方法では、壁のフランジ領域はヒートプレス法によって互いに接合させることもできる。
【0013】
図3に示す実施態様では、フィルタ本体14は、第一及び第二の多孔質壁20、22だけで構成されている。図1、2及び4に示すもう一つの実施態様では、省略可能な支持構造24を第一及び第二の多孔質フィルタ壁20、22の間に配置することができる。支持構造24は、さらなる構造的補強のために設けることもできるし、離間した配設が望まれる場合に多孔質フィルタ壁20、22を互いに離間させるために設けることもできる。他の用途では、支持構造は、フィルタ本体中に含まれる活性炭を分散させ、その変位を減らすために提供され、構成されることもできる。
【0014】
図4を参照すると、例示する実施態様で、省略可能な支持構造24は、外フレーム周囲を画定する外フレーム部34を有する。さらなる構造安定性を提供するために横断方向支持体36を設けることができる。理解されるように、多様なフレーム構成を使用してさらなる構造的補強を提供したり、フィルタ本体の壁を離間させたりすることができる。
【0015】
一つの実施態様では、構造24の外フレーム部34は、開口38を有し、あるいはまた、メッシュ状の材料でできていることもできる。開口38は、第一及び第二の多孔質壁20、22のフランジ領域48に対応する関係で設けられている。特に、開口38は、第一及び第二の多孔質壁20、22が互いに接触することを許して、壁20、22のフランジ領域48が溶接又はヒートプレスされたとき、壁が開口38を介して互いに接合することができるように設けられている。
【0016】
代替態様では、壁のフランジ領域48は、対向する壁に対してではなく、支持構造24の外フレーム部34に対して直接取り付けることができる。もう一つの代替態様は、ヒートプレス法によって圧縮され、形成される支持構造を含むことができる。さらに他の実施態様では、支持構造を単にフィルタ本体14の内部に挿入し、フィルタ本体14をたとえば保定クリップ又はファスナによって支持構造に取り付けることもできる。
【0017】
次に図5を参照すると、本発明のフィルタカートリッジ10は、一次的な上領域30及び二次的な下領域32を画定する。一次的な上領域30は、ほぼ正方形又は長方形を有する。一次的な上領域30は通常、フィルタカートリッジの下領域32よりも表面積が大きい。図示する実施態様では、下領域32は半円形を有する。下領域32は、以下さらに詳細に記載するように、開示する原理にしたがって、他の形を有するように作ることもできる。
【0018】
フィルタカートリッジ10の一次的な上領域30は、上縁40及び両側縁42、44によって画定されている。上縁40は両側縁42、44の間に延びている。縁40、42、44は、フィルタ本体のプレスされない多孔質ろ過媒体がつながるところの縁又は合わせ目である。この特定の定義では、フィルタ本体14のフランジ50(たとえば合わせ目の半径方向長さ)は、通常は水透過性又は水ろ過性であるほど多孔質ではないため、一般に、ろ過媒体であるとはみなされない。
【0019】
フィルタ本体14の上縁40は直線形である。フィルタカートリッジ10が水槽フィルタ12中に配置された場合、上の直線形縁40はほぼ水平な上縁であり、両側縁42、44はほぼ垂直である。フィルタカートリッジ10の二次的な下領域は下縁46によって画定される。下縁46は垂直方向の両側縁42、44の間に延びている。
【0020】
再び図1を参照すると、前記のように、フィルタカートリッジ10が水槽フィルタ12中に配置されたとき、フィルタ本体14の上縁40はほぼ水平である。フィルタカートリッジ10が水槽フィルタ12中に配置されたとき、両側縁42、44の間に延びる下縁46の大部分は非水平である。以下さらに詳細に論じるように、フィルタカートリッジ10の実質的に非水平な下縁46は、メンテナンス時にフィルタカートリッジをより速やかかつ完全に水抜きすることを可能にして、フィルタカートリッジ交換時に保持される水の量をより効果的に減らす。図1〜5の実施態様では、実質的に非水平な下縁46は丸みを帯びた下縁である。
【0021】
再び図5を参照すると、フィルタカートリッジ10のフィルタ本体14は、中央の縦寸法L1及び中央の横寸法T1を有する。中央の縦寸法L1は、両側縁42、44の間の中央に位置し、フィルタ本体14の上縁40から下縁46まで延びている。フィルタ本体14の中央の横寸法T1は、上縁40と下縁46との間の中央に位置し、一方の側縁42から他方の側縁44まで延びている。フィルタ本体14はさらに、中央の縦寸法L1の両側に位置する側方の縦寸法L2、L3を有している。
【0022】
例示する実施態様では、中央の縦寸法L1ならびに側方の縦寸法L2及びL3それぞれは、中央の横寸法T1よりも大きい。一つの実施態様では、中央の横寸法T1は約2〜7インチ(約5〜18cm)である。中央の縦寸法L1は約4〜10インチ(約10〜25cm)である。図1〜5の実施態様では、中央の縦寸法L1は、フィルタ本体14のすべての縦寸法のうちで最大である。
【0023】
さらに図5を参照すると、フィルタカートリッジ10の丸みを帯びた下縁46は、フィルタ本体14の両側縁42、44の間に延びる凸状のカーブを形成する。丸みを帯びた下縁46は半径R1によって画定される。一つの実施態様では、半径R1は、両側縁42、44の間に延びる距離の半分(すなわち、横寸法T1の半分)に概ね等しい。図1〜5に示す実施態様では、半径は約2.2インチ(約5.6cm)である。フィルタカートリッジ10の丸みを帯びた下縁46は、フィルタカートリッジをより速やかかつ完全に水抜きすることを可能にして、フィルタカートリッジ交換時に保持される水の量をより効果的に減らす。しかし、他の非水平な下縁を使用して、フィルタカートリッジ交換時に保持される水の量を効果的に減らすこともできる。
【0024】
たとえば、次に図6を参照すると、フィルタカートリッジ100の代替態様が示されている。フィルタカートリッジ100は、上縁140、下縁146及び両側縁142、144を有するフィルタ本体114を含む。
【0025】
図6のフィルタカートリッジ100は、下縁146の構成を除き、先の実施態様のフィルタカートリッジに似ている。この実施態様では、下縁146は、面取りされた又は丸みを帯びた角部152を含む。特に、角部は、約0.7〜1.5インチ(約1.8〜3.8cm)の半径R2を有する丸みを帯びた角部152である。図示する実施態様では、半径は約1.25インチ(約3.2cm)である。図6に示すように、下縁146はその一部154だけが水平である。下縁146の、垂直方向両側142、144の間に延びる有意部分(少なくとも1/3)は非水平である(たとえばカーブしている)。
【0026】
次に図7を参照すると、フィルタカートリッジ200のさらに別の代替態様が示されている。フィルタカートリッジ200は、上縁240、下縁246及び両側縁242、244を有するフィルタ本体214を含む。この実施態様では、下縁246は、図6の前記フィルタカートリッジ100よりも大きく面取りされた又は丸みを帯びた角部252を含む。詳細には、角部は、より大きく丸みを帯びた角部252であり、約1.5〜2.2インチ(約3.8〜5.6cm)の半径R3を有することができる。図示する実施態様では、半径は約1.75インチ(約4.4cm)である。前記実施態様と同様に、下縁246の一部254だけが水平である。この実施態様では、フィルタカートリッジが水槽フィルタ中に配置されたとき、下縁146の、垂直方向両側242、244の間に延びる大部分(少なくとも50%)が非水平である。
【0027】
図6及び7の実施態様に関して指定した具体的な半径範囲は、フィルタ本体の横方向幅に対するものであることが理解されよう。より幅広のフィルタ本体はより大きな最大及び最小半径を有することができ、より狭いフィルタはより小さな最大及び最小半径を有することができる。
【0028】
次に図8を参照すると、フィルタカートリッジ300のさらに別の代替態様が示されている。フィルタカートリッジは、上縁340、両下縁部346及び両側縁342、344を有するフィルタ本体314を含む。図8のフィルタカートリッジ300は、下縁部346の構成を除き、先の実施態様のフィルタカートリッジに似ている。この実施態様では、下縁部346は直線形であり、側縁342、344に対して斜めに(非垂直に)延びている。詳細には、図示する下縁部346は、側縁に対して約135°内側に斜行している。
【0029】
理解されるように、開示された原理にしたがって、他の下縁形状を有するフィルタカートリッジを使用することもできる。このような他の形状は、楕円形、放物線形もしくは双曲線形(たとえば図9〜12を参照)、一連の直線セグメントによって形成される他の非水平縁形状(たとえば図13〜17を参照)又は凸状部及び凹状部を有する形状(たとえば図18を参照)を含むことができる。
【0030】
各フィルタカートリッジ実施態様で、フィルタカートリッジの各下縁46、146、246、346の有意部分(少なくとも1/3)が、非水平である、すなわち、フィルタカートリッジの上縁に対して非平行である。詳細には、カートリッジが水槽フィルタ中に垂直の向きで配置されたとき、各フィルタカートリッジ10、100、200及び300の下縁の有意部分は非水平である。各実施態様は、従来のフィルタカートリッジ構造よりも速やかかつ効果的に水を抜く。以下の表Aでは、実験結果が、本明細書で開示される種々のフィルタカートリッジの水抜きの改善を示す。
【0031】
詳細には、表Aは、種々のフィルタカートリッジの保水特性の実験の結果を提供する。実験は、方形で主に水平な下縁を有する従来のフィルタカートリッジの試験及び非水平である部分を有する下縁を有する開示された種々のフィルタカートリッジ実施態様の試験を含むものであった。
【0032】
技術的背景として、カートリッジの表面積又は有効ろ過面積を最大限にするためには、方形の下縁が一般的である。しかし、水抜き中に通常の垂直な向きに維持される従来のフィルタカートリッジは、水抜きに割り当てられる時間の量にかかわらず、特定の量又は割合の水を保持する。換言するならば、ユーザが従来のフィルタカートリッジを水抜きするために辛抱強く待ったとしても、フィルタカートリッジに固有の保水特性のせいで、完全な水抜きを達成することはできない。
【0033】
フィルタカートリッジに固有の保水特性は、一部には、フィルタカートリッジを構成する材料のせいであり、一部には、フィルタカートリッジの構造のせいであると判断されている。すなわち、不織布の性質及び合わせ目のあるカートリッジ(すなわち、貼り合わされた又は接合された第一及び第二の壁を有するカートリッジ)の特性が、水の凝集・粘着性のせいで水を保持する傾向を示す。フィルタカートリッジの保水特性は、多くの場合、カートリッジを水抜きしようとする重力よりも大きい。
【0034】
本実験を実施する際、超音波溶接機を使用して、それぞれが表Aの2列目に示すような下縁を有するフィルタカートリッジA〜Eを形成した。サンプルAは、直線形又は方形の下縁を有する従来のフィルタカートリッジを表すものであった。サンプルBは、丸みを帯びた角部を有する図6のフィルタカートリッジ実施態様を表すものであった。サンプルCは、全体的に丸みを帯びた下縁を有する図1〜5のフィルタカートリッジ実施態様を表すものであった。サンプルDは、より大きく丸みを帯びた角部を有する図7のフィルタカートリッジ実施態様を表すものであった。サンプルEは、下縁が側方の合わせ目に対して垂直ではなく斜めに延びる、図8のフィルタカートリッジ実施態様を表すものであった。これらのフィルタカートリッジサンプルのフィルタ本体はいずれも支持構造(たとえば24)を含まないものであった。
【0035】
各サンプルを、所定の期間、水に浸漬した。詳細には、各サンプルを、水を満たした水槽に入れて、サンプルのフィルタ本体14からすべての空気を排出させた。次いで、各サンプルを垂直に持ち上げてタンクから出し、垂直位置で静止状態に保持し、所定の期間、水抜きした。所定の期間とは、カートリッジを水抜きするために消費者にとって待つことが妥当と考えられる期間であった。本実験では、所定の水抜き期間は15秒であった。
【0036】
次いで、フィルタ本体14サンプルを、サンプルの前面及び後面が垂直軸に対して常に平行なままであるような振り子運動で旋回させることにより、サンプル中に残留する水を収集した。次いで、収集した水を計量した。サンプルごとに3回の試験を実施した。表Aに示すように、方形又は水平な下部を有する従来のフィルタカートリッジ(サンプルA)は、平均16.7gの水を保持していた。実質的に非水平な下縁を有する開示されたフィルタカートリッジ実施態様(サンプルB〜E)は、従来のフィルタカートリッジの平均水量よりも有意に少ない平均水量を保持していた。
【0037】
【表1】
【0038】
これらの試験データは、非水平な下縁又は合わせ目が、従来の方形の合わせ目に比較して、フィルタカートリッジからの水抜きを大幅に高めるということを示す。詳細には、飽和したフィルタカートリッジを水槽フィルタ12から取り出すと、重力が水をろ過材料に通して、フィルタカートリッジの下領域を画定する下縁又は合わせ目まで下に流れさせる。下合わせ目が水平又は方形であるならば、水からの頭部圧力又は水抜き圧は均等に分散する。この水の均等な分散が本質的に頭部圧力を減らし、その結果、水がフィルタ本体によって保持されてしまう。代わりに、下合わせ目が斜めに延びる又は丸みを帯びているならば、水流は、その斜めに延びる又は丸みを帯びた合わせ目をたどって下に流れて、フィルタ本体の一番下の領域で頭部圧力又は水抜き圧力を効果的に増大させる。通常ならば幅広い水平の下部によって保持されたであろう水からの頭部圧力すべてがより小さな容積に集中して、フィルタカートリッジをより速やかかつ完全に水抜きさせる。
【0039】
いくらかの水が本フィルタカートリッジによってなおも保持されるが、保持される水の量又は割合は有意に減少している。上記試験結果で示すように、方形の下縁を有する従来のフィルタカートリッジは、全体的に丸みを帯びた下縁を有する本フィルタカートリッジの水量の4倍を超える水量を保持する。開示されたフィルタカートリッジ実施態様の非水平な下縁は、水抜き性能を改善し、フィルタメンテナンスに伴う混乱を減らす。
【0040】
上記詳細な説明が本発明の完全な説明を提供する。本発明の本質及び範囲を逸することなく本発明の多くの実施態様を構成することができるため、本発明の特定の態様は、請求の範囲で見いだされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジの一つの実施態様の前斜視図である。
【図2】図1のフィルタカートリッジの側面図である。
【図3】図1の3−3線から見た、省略可能な支持構造なしで示す図1のフィルタカートリッジの断面斜視図である。
【図4】図1のフィルタカートリッジの分解斜視図である。
【図5】図1のフィルタカートリッジの正面図である。
【図6】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのもう一つの実施態様の正面図である。
【図7】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図8】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図9】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図10】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図11】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図12】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図13】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図14】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図15】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図16】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図17】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図18】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのもう一つの実施態様の正面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、水フィルタシステムで使用するための方法及び装置に関する。より具体的には、本発明は、水槽フィルタシステムで使用するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水槽内で生態学的均衡を維持するためには、水槽水を浄化することが必要である。浄化は、多くの場合、水槽から水をフィルタハウジングに汲み上げ、その水をフィルタカートリッジに通してろ過し、ろ過した水を水槽に戻すことによって達成される。
【0003】
一部のフィルタカートリッジは、水槽環境を維持するために都合よく使用される使い捨ての交換部品である。カートリッジが普通に使用されるうちに、捕らえられた様々な粒状物が水のカートリッジ通過を徐々に減速又は遮断するおそれがある。最終的に、カートリッジは寿命終了状態に達する。水槽のメンテナンスは、ユーザに対し、定期的にフィルタカートリッジを取り出し、交換することを要求する。
【0004】
使用中、フィルタカートリッジは、水槽水中に沈められ、したがって、フィルタハウジングから取り出されたばかりのとき、水で飽和した状態にある。ユーザは通常、水槽の上でフィルタカートリッジを保持してその期間にカートリッジから水を抜き、その後、水によって損傷する又はさびるおそれのある電子部品又は他の部品もしくは物品の上に水を滴下させることなくフィルタカートリッジを捨てようとする。往々にして、長い時間フィルタカートリッジを水抜きした後でも、フィルタカートリッジはなおも一定量の水を保持し、その水が、フィルタカートリッジを捨てるために運ぶ際、床又は他の部品の上に滴下することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、ユーザにとっての使いやすさ及び簡便さに応えるため、そのようなフィルタカートリッジ構造に関して改良が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水槽フィルタで使用するためのフィルタカートリッジに関する。フィルタカートリッジは、フィルタメンテナンス中にフィルタカートリッジ中に保持された水の量をより効果的に減らすために、フィルタカートリッジをより速やかかつ徹底的に水抜きすることを可能にする丸みを帯びた下縁を有する。この特徴が、水槽をメンテナンスするのに要する時間及び/又はそのようなメンテナンスに伴う混乱を減らすことにより、ユーザにとっての使いやすさ及び簡便さを改善する。
【0007】
望ましい製品特徴又は方法の多様な例が、一部には以下の詳細な説明に述べられ、一部には詳細な説明から明らかになるか、あるいは、本発明の様々な態様を実施することによって学習される。本発明の態様は、個々の特徴及び特徴の組み合わせに関することができる。前記概要及び以下の詳細な説明は説明のためのものであり、請求項に係わる発明を限定するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面に示す本発明の例示的な態様を詳細に参照する。同一又は同種の部品を参照する場合には、各図面を通じて可能な限り同じ参照番号を使用する。
【0009】
図1は、開示される原理に基づくフィルタカートリッジ10の一つの実施態様を示す。フィルタカートリッジ10は、水槽フィルタ12(概略的に表す)で使用するために設計されている。しかし、フィルタカートリッジ10は、開示される原理にしたがって他の用途、たとえば池のフィルタで使用することもできる。
【0010】
図1及び2を参照すると、フィルタカートリッジ10は、第一及び第二の両側面16、18を有するフィルタ本体14を含む。使用中、ユーザがフィルタカートリッジ10を水槽フィルタ12中でどのように向けるかに依存して、第一及び第二の両側面16、18の一方が水流入側であり、他方の側面が水流出側である。図1では、フィルタカートリッジ10は、水槽フィルタ12中に位置するとき、垂直の向きに配置されている。しかし、代替用途では、フィルタカートリッジは、非垂直の向きに配置することもできる。
【0011】
次に図2及び3を参照すると、本フィルタカートリッジ10のフィルタ本体14の第一及び第二の側面16、18は第一及び第二の多孔質フィルタ壁20、22によって画定されている。第一及び第二の多孔質フィルタ壁20、22は、同じ材料及び密度でできていることもできるし、異なる材料及び/又は密度でできていることもできる。異なる材料/密度を有するフィルタ壁のさらなる詳細は、引用例として本明細書に取り込む米国特許第6,692,637号に記載されている。
【0012】
フィルタカートリッジ10の第一及び第二の多孔質フィルタ壁20、22は互いに固着されてフィルタ本体14を画定している。詳細には、壁20、22のフランジ領域48が加工されて、フィルタ本体14の周囲に沿って延びるシールされたフランジ50(図1を参照)を形成している。一つの方法では、壁のフランジ領域48は超音波溶接機によって互いに接合される。もう一つの方法では、壁のフランジ領域はヒートプレス法によって互いに接合させることもできる。
【0013】
図3に示す実施態様では、フィルタ本体14は、第一及び第二の多孔質壁20、22だけで構成されている。図1、2及び4に示すもう一つの実施態様では、省略可能な支持構造24を第一及び第二の多孔質フィルタ壁20、22の間に配置することができる。支持構造24は、さらなる構造的補強のために設けることもできるし、離間した配設が望まれる場合に多孔質フィルタ壁20、22を互いに離間させるために設けることもできる。他の用途では、支持構造は、フィルタ本体中に含まれる活性炭を分散させ、その変位を減らすために提供され、構成されることもできる。
【0014】
図4を参照すると、例示する実施態様で、省略可能な支持構造24は、外フレーム周囲を画定する外フレーム部34を有する。さらなる構造安定性を提供するために横断方向支持体36を設けることができる。理解されるように、多様なフレーム構成を使用してさらなる構造的補強を提供したり、フィルタ本体の壁を離間させたりすることができる。
【0015】
一つの実施態様では、構造24の外フレーム部34は、開口38を有し、あるいはまた、メッシュ状の材料でできていることもできる。開口38は、第一及び第二の多孔質壁20、22のフランジ領域48に対応する関係で設けられている。特に、開口38は、第一及び第二の多孔質壁20、22が互いに接触することを許して、壁20、22のフランジ領域48が溶接又はヒートプレスされたとき、壁が開口38を介して互いに接合することができるように設けられている。
【0016】
代替態様では、壁のフランジ領域48は、対向する壁に対してではなく、支持構造24の外フレーム部34に対して直接取り付けることができる。もう一つの代替態様は、ヒートプレス法によって圧縮され、形成される支持構造を含むことができる。さらに他の実施態様では、支持構造を単にフィルタ本体14の内部に挿入し、フィルタ本体14をたとえば保定クリップ又はファスナによって支持構造に取り付けることもできる。
【0017】
次に図5を参照すると、本発明のフィルタカートリッジ10は、一次的な上領域30及び二次的な下領域32を画定する。一次的な上領域30は、ほぼ正方形又は長方形を有する。一次的な上領域30は通常、フィルタカートリッジの下領域32よりも表面積が大きい。図示する実施態様では、下領域32は半円形を有する。下領域32は、以下さらに詳細に記載するように、開示する原理にしたがって、他の形を有するように作ることもできる。
【0018】
フィルタカートリッジ10の一次的な上領域30は、上縁40及び両側縁42、44によって画定されている。上縁40は両側縁42、44の間に延びている。縁40、42、44は、フィルタ本体のプレスされない多孔質ろ過媒体がつながるところの縁又は合わせ目である。この特定の定義では、フィルタ本体14のフランジ50(たとえば合わせ目の半径方向長さ)は、通常は水透過性又は水ろ過性であるほど多孔質ではないため、一般に、ろ過媒体であるとはみなされない。
【0019】
フィルタ本体14の上縁40は直線形である。フィルタカートリッジ10が水槽フィルタ12中に配置された場合、上の直線形縁40はほぼ水平な上縁であり、両側縁42、44はほぼ垂直である。フィルタカートリッジ10の二次的な下領域は下縁46によって画定される。下縁46は垂直方向の両側縁42、44の間に延びている。
【0020】
再び図1を参照すると、前記のように、フィルタカートリッジ10が水槽フィルタ12中に配置されたとき、フィルタ本体14の上縁40はほぼ水平である。フィルタカートリッジ10が水槽フィルタ12中に配置されたとき、両側縁42、44の間に延びる下縁46の大部分は非水平である。以下さらに詳細に論じるように、フィルタカートリッジ10の実質的に非水平な下縁46は、メンテナンス時にフィルタカートリッジをより速やかかつ完全に水抜きすることを可能にして、フィルタカートリッジ交換時に保持される水の量をより効果的に減らす。図1〜5の実施態様では、実質的に非水平な下縁46は丸みを帯びた下縁である。
【0021】
再び図5を参照すると、フィルタカートリッジ10のフィルタ本体14は、中央の縦寸法L1及び中央の横寸法T1を有する。中央の縦寸法L1は、両側縁42、44の間の中央に位置し、フィルタ本体14の上縁40から下縁46まで延びている。フィルタ本体14の中央の横寸法T1は、上縁40と下縁46との間の中央に位置し、一方の側縁42から他方の側縁44まで延びている。フィルタ本体14はさらに、中央の縦寸法L1の両側に位置する側方の縦寸法L2、L3を有している。
【0022】
例示する実施態様では、中央の縦寸法L1ならびに側方の縦寸法L2及びL3それぞれは、中央の横寸法T1よりも大きい。一つの実施態様では、中央の横寸法T1は約2〜7インチ(約5〜18cm)である。中央の縦寸法L1は約4〜10インチ(約10〜25cm)である。図1〜5の実施態様では、中央の縦寸法L1は、フィルタ本体14のすべての縦寸法のうちで最大である。
【0023】
さらに図5を参照すると、フィルタカートリッジ10の丸みを帯びた下縁46は、フィルタ本体14の両側縁42、44の間に延びる凸状のカーブを形成する。丸みを帯びた下縁46は半径R1によって画定される。一つの実施態様では、半径R1は、両側縁42、44の間に延びる距離の半分(すなわち、横寸法T1の半分)に概ね等しい。図1〜5に示す実施態様では、半径は約2.2インチ(約5.6cm)である。フィルタカートリッジ10の丸みを帯びた下縁46は、フィルタカートリッジをより速やかかつ完全に水抜きすることを可能にして、フィルタカートリッジ交換時に保持される水の量をより効果的に減らす。しかし、他の非水平な下縁を使用して、フィルタカートリッジ交換時に保持される水の量を効果的に減らすこともできる。
【0024】
たとえば、次に図6を参照すると、フィルタカートリッジ100の代替態様が示されている。フィルタカートリッジ100は、上縁140、下縁146及び両側縁142、144を有するフィルタ本体114を含む。
【0025】
図6のフィルタカートリッジ100は、下縁146の構成を除き、先の実施態様のフィルタカートリッジに似ている。この実施態様では、下縁146は、面取りされた又は丸みを帯びた角部152を含む。特に、角部は、約0.7〜1.5インチ(約1.8〜3.8cm)の半径R2を有する丸みを帯びた角部152である。図示する実施態様では、半径は約1.25インチ(約3.2cm)である。図6に示すように、下縁146はその一部154だけが水平である。下縁146の、垂直方向両側142、144の間に延びる有意部分(少なくとも1/3)は非水平である(たとえばカーブしている)。
【0026】
次に図7を参照すると、フィルタカートリッジ200のさらに別の代替態様が示されている。フィルタカートリッジ200は、上縁240、下縁246及び両側縁242、244を有するフィルタ本体214を含む。この実施態様では、下縁246は、図6の前記フィルタカートリッジ100よりも大きく面取りされた又は丸みを帯びた角部252を含む。詳細には、角部は、より大きく丸みを帯びた角部252であり、約1.5〜2.2インチ(約3.8〜5.6cm)の半径R3を有することができる。図示する実施態様では、半径は約1.75インチ(約4.4cm)である。前記実施態様と同様に、下縁246の一部254だけが水平である。この実施態様では、フィルタカートリッジが水槽フィルタ中に配置されたとき、下縁146の、垂直方向両側242、244の間に延びる大部分(少なくとも50%)が非水平である。
【0027】
図6及び7の実施態様に関して指定した具体的な半径範囲は、フィルタ本体の横方向幅に対するものであることが理解されよう。より幅広のフィルタ本体はより大きな最大及び最小半径を有することができ、より狭いフィルタはより小さな最大及び最小半径を有することができる。
【0028】
次に図8を参照すると、フィルタカートリッジ300のさらに別の代替態様が示されている。フィルタカートリッジは、上縁340、両下縁部346及び両側縁342、344を有するフィルタ本体314を含む。図8のフィルタカートリッジ300は、下縁部346の構成を除き、先の実施態様のフィルタカートリッジに似ている。この実施態様では、下縁部346は直線形であり、側縁342、344に対して斜めに(非垂直に)延びている。詳細には、図示する下縁部346は、側縁に対して約135°内側に斜行している。
【0029】
理解されるように、開示された原理にしたがって、他の下縁形状を有するフィルタカートリッジを使用することもできる。このような他の形状は、楕円形、放物線形もしくは双曲線形(たとえば図9〜12を参照)、一連の直線セグメントによって形成される他の非水平縁形状(たとえば図13〜17を参照)又は凸状部及び凹状部を有する形状(たとえば図18を参照)を含むことができる。
【0030】
各フィルタカートリッジ実施態様で、フィルタカートリッジの各下縁46、146、246、346の有意部分(少なくとも1/3)が、非水平である、すなわち、フィルタカートリッジの上縁に対して非平行である。詳細には、カートリッジが水槽フィルタ中に垂直の向きで配置されたとき、各フィルタカートリッジ10、100、200及び300の下縁の有意部分は非水平である。各実施態様は、従来のフィルタカートリッジ構造よりも速やかかつ効果的に水を抜く。以下の表Aでは、実験結果が、本明細書で開示される種々のフィルタカートリッジの水抜きの改善を示す。
【0031】
詳細には、表Aは、種々のフィルタカートリッジの保水特性の実験の結果を提供する。実験は、方形で主に水平な下縁を有する従来のフィルタカートリッジの試験及び非水平である部分を有する下縁を有する開示された種々のフィルタカートリッジ実施態様の試験を含むものであった。
【0032】
技術的背景として、カートリッジの表面積又は有効ろ過面積を最大限にするためには、方形の下縁が一般的である。しかし、水抜き中に通常の垂直な向きに維持される従来のフィルタカートリッジは、水抜きに割り当てられる時間の量にかかわらず、特定の量又は割合の水を保持する。換言するならば、ユーザが従来のフィルタカートリッジを水抜きするために辛抱強く待ったとしても、フィルタカートリッジに固有の保水特性のせいで、完全な水抜きを達成することはできない。
【0033】
フィルタカートリッジに固有の保水特性は、一部には、フィルタカートリッジを構成する材料のせいであり、一部には、フィルタカートリッジの構造のせいであると判断されている。すなわち、不織布の性質及び合わせ目のあるカートリッジ(すなわち、貼り合わされた又は接合された第一及び第二の壁を有するカートリッジ)の特性が、水の凝集・粘着性のせいで水を保持する傾向を示す。フィルタカートリッジの保水特性は、多くの場合、カートリッジを水抜きしようとする重力よりも大きい。
【0034】
本実験を実施する際、超音波溶接機を使用して、それぞれが表Aの2列目に示すような下縁を有するフィルタカートリッジA〜Eを形成した。サンプルAは、直線形又は方形の下縁を有する従来のフィルタカートリッジを表すものであった。サンプルBは、丸みを帯びた角部を有する図6のフィルタカートリッジ実施態様を表すものであった。サンプルCは、全体的に丸みを帯びた下縁を有する図1〜5のフィルタカートリッジ実施態様を表すものであった。サンプルDは、より大きく丸みを帯びた角部を有する図7のフィルタカートリッジ実施態様を表すものであった。サンプルEは、下縁が側方の合わせ目に対して垂直ではなく斜めに延びる、図8のフィルタカートリッジ実施態様を表すものであった。これらのフィルタカートリッジサンプルのフィルタ本体はいずれも支持構造(たとえば24)を含まないものであった。
【0035】
各サンプルを、所定の期間、水に浸漬した。詳細には、各サンプルを、水を満たした水槽に入れて、サンプルのフィルタ本体14からすべての空気を排出させた。次いで、各サンプルを垂直に持ち上げてタンクから出し、垂直位置で静止状態に保持し、所定の期間、水抜きした。所定の期間とは、カートリッジを水抜きするために消費者にとって待つことが妥当と考えられる期間であった。本実験では、所定の水抜き期間は15秒であった。
【0036】
次いで、フィルタ本体14サンプルを、サンプルの前面及び後面が垂直軸に対して常に平行なままであるような振り子運動で旋回させることにより、サンプル中に残留する水を収集した。次いで、収集した水を計量した。サンプルごとに3回の試験を実施した。表Aに示すように、方形又は水平な下部を有する従来のフィルタカートリッジ(サンプルA)は、平均16.7gの水を保持していた。実質的に非水平な下縁を有する開示されたフィルタカートリッジ実施態様(サンプルB〜E)は、従来のフィルタカートリッジの平均水量よりも有意に少ない平均水量を保持していた。
【0037】
【表1】
【0038】
これらの試験データは、非水平な下縁又は合わせ目が、従来の方形の合わせ目に比較して、フィルタカートリッジからの水抜きを大幅に高めるということを示す。詳細には、飽和したフィルタカートリッジを水槽フィルタ12から取り出すと、重力が水をろ過材料に通して、フィルタカートリッジの下領域を画定する下縁又は合わせ目まで下に流れさせる。下合わせ目が水平又は方形であるならば、水からの頭部圧力又は水抜き圧は均等に分散する。この水の均等な分散が本質的に頭部圧力を減らし、その結果、水がフィルタ本体によって保持されてしまう。代わりに、下合わせ目が斜めに延びる又は丸みを帯びているならば、水流は、その斜めに延びる又は丸みを帯びた合わせ目をたどって下に流れて、フィルタ本体の一番下の領域で頭部圧力又は水抜き圧力を効果的に増大させる。通常ならば幅広い水平の下部によって保持されたであろう水からの頭部圧力すべてがより小さな容積に集中して、フィルタカートリッジをより速やかかつ完全に水抜きさせる。
【0039】
いくらかの水が本フィルタカートリッジによってなおも保持されるが、保持される水の量又は割合は有意に減少している。上記試験結果で示すように、方形の下縁を有する従来のフィルタカートリッジは、全体的に丸みを帯びた下縁を有する本フィルタカートリッジの水量の4倍を超える水量を保持する。開示されたフィルタカートリッジ実施態様の非水平な下縁は、水抜き性能を改善し、フィルタメンテナンスに伴う混乱を減らす。
【0040】
上記詳細な説明が本発明の完全な説明を提供する。本発明の本質及び範囲を逸することなく本発明の多くの実施態様を構成することができるため、本発明の特定の態様は、請求の範囲で見いだされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジの一つの実施態様の前斜視図である。
【図2】図1のフィルタカートリッジの側面図である。
【図3】図1の3−3線から見た、省略可能な支持構造なしで示す図1のフィルタカートリッジの断面斜視図である。
【図4】図1のフィルタカートリッジの分解斜視図である。
【図5】図1のフィルタカートリッジの正面図である。
【図6】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのもう一つの実施態様の正面図である。
【図7】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図8】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図9】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図10】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図11】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図12】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図13】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図14】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図15】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図16】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図17】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのさらに別の実施態様の正面図である。
【図18】本発明の原理に基づくフィルタカートリッジのもう一つの実施態様の正面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽フィルタで使用するためのフィルタカートリッジであって、
上縁、下縁及び両側縁を有するフィルタ本体を含み、上縁及び下縁それぞれが両側縁の間に延びており、
両側縁の間に延びる下縁の少なくとも1/3が丸みを帯びているフィルタカートリッジ。
【請求項2】
フィルタカートリッジが水槽フィルタ中に配置されたとき上縁がほぼ水平な上縁である、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項3】
フィルタ本体の下縁の少なくとも50%が丸みを帯びている、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項4】
フィルタ本体が、二次的な下領域よりも表面積が大きい一次的な上領域を有し、一次的な上領域がほぼ長方形を有し、二次的な下領域が半円形を有する、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項5】
丸みを帯びた下縁が半径によって画定され、半径が、両側縁の間の距離のおよそ半分に等しい、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項6】
フィルタ本体が第一及び第二の多孔質フィルタ壁によって画定されている、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項7】
第一及び第二の多孔質フィルタ壁の間に配置された支持構造をさらに含む、請求項6記載のフィルタカートリッジ。
【請求項8】
フィルタ本体が、上縁と下縁との間に延びる中央の縦寸法と、上縁と下縁との間に延びる側方の縦寸法と、側縁の間に延びる中央の横寸法とを画定し、中央の縦寸法が側方の縦寸法よりも大きく、中央の横寸法が中央及び側方の縦寸法それぞれよりも小さい、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項9】
水槽フィルタで使用するためのフィルタカートリッジであって、
フィルタ本体を画定する第一及び第二のフィルタ壁を含み、第一及び第二のフィルタ壁が上合わせ目及び下合わせ目で接合されており、
フィルタカートリッジが水槽フィルタ中に配置されたとき、上合わせ目がほぼ水平であり、下合わせ目の少なくとも1/3が上合わせ目に対して非水平であるフィルタカートリッジ。
【請求項10】
フィルタ本体の下合わせ目の少なくとも50%が非水平である、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項11】
下合わせ目の非水平部分が丸みを帯びた角部によって画定されている、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項12】
下合わせ目の非水平部分が下合わせ目の斜行部分によって画定されている、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項13】
下合わせ目が全体的に丸みを帯びている、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項14】
フィルタ本体が、二次的な下領域よりも表面積が大きい一次的な上領域を有し、一次的な上領域が、上合わせ目及び両側方の合わせ目によって画定されるほぼ長方形を有し、二次的な下領域が下合わせ目によって画定されている、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項15】
第一及び第二のフィルタ壁の間に配置された支持構造をさらに含む、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項16】
フィルタ本体が、上合わせ目と下合わせ目との間に延びる中央の縦寸法と、上合わせ目と下合わせ目との間に延びる側方の縦寸法と、側方の合わせ目の間に延びる中央の横寸法とを画定し、中央の縦寸法が側方の縦寸法よりも大きく、中央の横寸法が中央及び側方の縦寸法それぞれよりも小さい、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項1】
水槽フィルタで使用するためのフィルタカートリッジであって、
上縁、下縁及び両側縁を有するフィルタ本体を含み、上縁及び下縁それぞれが両側縁の間に延びており、
両側縁の間に延びる下縁の少なくとも1/3が丸みを帯びているフィルタカートリッジ。
【請求項2】
フィルタカートリッジが水槽フィルタ中に配置されたとき上縁がほぼ水平な上縁である、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項3】
フィルタ本体の下縁の少なくとも50%が丸みを帯びている、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項4】
フィルタ本体が、二次的な下領域よりも表面積が大きい一次的な上領域を有し、一次的な上領域がほぼ長方形を有し、二次的な下領域が半円形を有する、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項5】
丸みを帯びた下縁が半径によって画定され、半径が、両側縁の間の距離のおよそ半分に等しい、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項6】
フィルタ本体が第一及び第二の多孔質フィルタ壁によって画定されている、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項7】
第一及び第二の多孔質フィルタ壁の間に配置された支持構造をさらに含む、請求項6記載のフィルタカートリッジ。
【請求項8】
フィルタ本体が、上縁と下縁との間に延びる中央の縦寸法と、上縁と下縁との間に延びる側方の縦寸法と、側縁の間に延びる中央の横寸法とを画定し、中央の縦寸法が側方の縦寸法よりも大きく、中央の横寸法が中央及び側方の縦寸法それぞれよりも小さい、請求項1記載のフィルタカートリッジ。
【請求項9】
水槽フィルタで使用するためのフィルタカートリッジであって、
フィルタ本体を画定する第一及び第二のフィルタ壁を含み、第一及び第二のフィルタ壁が上合わせ目及び下合わせ目で接合されており、
フィルタカートリッジが水槽フィルタ中に配置されたとき、上合わせ目がほぼ水平であり、下合わせ目の少なくとも1/3が上合わせ目に対して非水平であるフィルタカートリッジ。
【請求項10】
フィルタ本体の下合わせ目の少なくとも50%が非水平である、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項11】
下合わせ目の非水平部分が丸みを帯びた角部によって画定されている、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項12】
下合わせ目の非水平部分が下合わせ目の斜行部分によって画定されている、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項13】
下合わせ目が全体的に丸みを帯びている、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項14】
フィルタ本体が、二次的な下領域よりも表面積が大きい一次的な上領域を有し、一次的な上領域が、上合わせ目及び両側方の合わせ目によって画定されるほぼ長方形を有し、二次的な下領域が下合わせ目によって画定されている、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項15】
第一及び第二のフィルタ壁の間に配置された支持構造をさらに含む、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【請求項16】
フィルタ本体が、上合わせ目と下合わせ目との間に延びる中央の縦寸法と、上合わせ目と下合わせ目との間に延びる側方の縦寸法と、側方の合わせ目の間に延びる中央の横寸法とを画定し、中央の縦寸法が側方の縦寸法よりも大きく、中央の横寸法が中央及び側方の縦寸法それぞれよりも小さい、請求項9記載のフィルタカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−167752(P2008−167752A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−329533(P2007−329533)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(504377552)テトラ・ホールディング(ユーエス)・インコーポレーテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Tetra Holding(US),Inc.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329533(P2007−329533)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(504377552)テトラ・ホールディング(ユーエス)・インコーポレーテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Tetra Holding(US),Inc.
【Fターム(参考)】
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