説明

フィルタユニット

【課題】不織布、紙等を立体的に折り曲げて形成した立体フィルタの交換寿命を飛躍的に延ばすことができるフィルタユニットを提供すること。
【解決手段】フィルタユニット1は、不織布、紙等を立体的に折り曲げて形成した立体フィルタ2と、立体フィルタ2を内側に保持するための樹脂製の保持フレーム3とを有している。保持フレーム3には、立体フィルタ2における気体通過方向Dの上流側に対向配置させる樹脂製の網目状フィルタ31が取り付けてある。立体フィルタ2は、保持フレーム3に対して着脱可能に保持してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内等の室内へ送風するエアから塵、埃等の不要物を取り除くためのフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等における空調ユニットにおいては、車外から室内へ取り込む外気中の塵、埃等の不要物を取り除くために、空気フィルタを用いている。例えば、特許文献1のインストルメントパネルの構造においては、ロアインストルメントパネルにエアコンの一部を一体成形し、グローブボックス内において、空気フィルタ交換用の開口部を形成している。この開口部に配置する空気フィルタは、グローブボックスを開けたときに露出し、このグローブボックスを介して交換することができるようになっている。
また、例えば、特許文献2の自動車の空調用ろ過装置においては、不織マットからなるろ過媒体(フィルタ)をV字型の断面形状に形成することが開示されている。
【0003】
しかしながら、上記従来のフィルタにおいては、いずれも一重のフィルタ構造が採用されており、所定期間使用して目詰まりが生じたときには、他の新しいフィルタと交換する必要がある。そのため、フィルタの交換寿命を延ばすためには、更なる工夫が必要とされる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−75042号公報
【特許文献2】特開2001−293318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、不織布、紙等を立体的に折り曲げて形成した立体フィルタの交換寿命を飛躍的に延ばすことができるフィルタユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、不織布、紙等を立体的に折り曲げて形成した立体フィルタと、
該立体フィルタを内側に保持するための樹脂製の保持フレームとを有し、
該保持フレームには、上記立体フィルタにおける気体通過方向の上流側に対向配置させる樹脂製の網目状フィルタが取り付けてあり、
上記保持フレームに対して、上記立体フィルタを着脱可能に保持してなることを特徴とするフィルタユニットにある(請求項1)。
【0007】
本発明のフィルタユニットは、不織布、紙等を立体的に折り曲げて形成した立体フィルタを、樹脂製の保持フレーム内に保持して形成してある。
この保持フレームには、立体フィルタにおける気体通過方向の上流側に対向配置させる樹脂製の網目状フィルタが取り付けてある。そして、本発明のフィルタユニットを通過する空気は、網目状フィルタを通過した後、立体フィルタを通過することができる。これにより、網目状フィルタの網目の大きさよりも大きな埃等の不要物は、網目状フィルタによって回収することができ、立体フィルタへは、網目状フィルタの網目を通過した塵、花粉等の不要物のみが到達する。
【0008】
また、立体フィルタは、保持フレームに対して着脱可能に保持してあり、保持フレームから容易に取り外すことが可能である。
そのため、本発明のフィルタユニットを所定期間使用した後、メンテナンスを行うときには、フィルタユニットを取り出し、保持フレームから立体フィルタを取り外すことができる。そして、保持フレームに設けた網目状フィルタに対して洗浄、エアブロー等の清掃を行うことにより、この網目状フィルタに付着した不要物を容易に除去することができる。これにより、立体フィルタに目詰まりが生じる頻度を格段に低下させることができる。
【0009】
それ故、本発明のフィルタユニットによれば、不織布、紙等を立体的に折り曲げて形成した立体フィルタの交換寿命を飛躍的に延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記フィルタユニットは、車両室内へ空調エアを送風する空調ユニットのダクトを遮るように配置するものであると共に、上記車両室内から上記ダクトにおけるフィルタ取付口に対して着脱可能であり、かつ該フィルタ取付口に取り付けた状態で、車両室内に露出可能なカバー部を上記保持フレームに一体的に結合してなることが好ましい(請求項2)。
この場合には、フィルタユニットを用いて、車両室内へ送風する空調エアにおける不要物を除去し、車両における空調用フィルタの交換寿命を飛躍的に延ばすことができる。
【実施例】
【0011】
以下に、本発明のフィルタユニットにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例のフィルタユニット1は、図1、図2に示すごとく、不織布、紙等を立体的に折り曲げて形成した立体フィルタ2と、立体フィルタ2を内側に保持するための樹脂製の保持フレーム3とを有している。保持フレーム3には、立体フィルタ2における気体通過方向Dの上流側に対向配置させる樹脂製の網目状フィルタ31が取り付けてある。図3、図4に示すごとく、立体フィルタ2は、保持フレーム3に対して着脱可能に保持してある。
【0012】
以下に、本例のフィルタユニット1につき、図1〜図5を参照して詳説する。
図5に示すごとく、本例のフィルタユニット1は、車両(乗用車)室内へ空調エアA3を送風する空調ユニット4のダクト41を遮るように配置するものである。本例の空調ユニット4は、室内前方のインストルメントパネル5内に収容してある。同図において、車両前方を矢印Fによって示す。
車両においては、ダクト41の下端部には、フィルタユニット1を取付可能なフィルタ取付口42が形成してあり、フィルタ取付口42の下方には、空調ユニット4が設けてある。
【0013】
また、ダクト41におけるフィルタ取付口42の上流側には、内外気切替ダンパ43が設けてある。そして、この内外気切替ダンパ43を外気取入れ側に切替操作したときには、カウルルーバからダクト41及びフィルタユニット1を介して空調ユニット4へ外気A1を取り入れ、温度調整後の外気(空調エア)A3を車両室内6へ送風することができる。一方、内外気切替ダンパ43を内気取入れ側に切替操作したときには、車両室内6からからフィルタユニット1を介して空調ユニット4へ内気A2を取り入れ、温度調整後の内気(空調エア)A3を車両室内6へ循環させることができる。
【0014】
本例のフィルタ取付口42は、インストルメントパネル5に対して開閉可能に設けたグローブボックス51を開けたときに、車両室内6へ開放される状態で形成してある。本例のフィルタユニット1における保持フレーム3は、薄型のものであり、フィルタ取付口42に対して着脱可能である。
図1、図5に示すごとく、本例のフィルタユニット1における保持フレーム3には、フィルタ取付口42に取り付けた状態で車両室内6に露出可能なカバー部33が一体的に結合してある。カバー部33は、保持フレーム3と一体成形することができる。
【0015】
図1、図2に示すごとく、本例の保持フレーム3は、立体フィルタ2における気体通過方向Dの上流側に対向配置する面のほぼ全面に、樹脂製の網目状フィルタ31を一体的に結合してなる。網目状フィルタ31は、保持フレーム3に対して溶着、インサート成形等を行って結合することができる。
また、保持フレーム3は、立体フィルタ2の側面を囲む四角枠形状を有しており、網目状フィルタ31を設けた側とは反対側の端部に、四角枠形状の内側に配置した立体フィルタ2の抜け防止を行う抜け防止用突起32を有している。この抜け防止用突起32は、上記反対側の端部のほぼ全長に設けることができ、一部に設けることもできる。
【0016】
本例において、空調ユニット4におけるファンを回転させると、温度調整後の空調エアA3をフィルタユニット1を通過させて、車両室内6へ送風することができる。そして、本例のフィルタユニット1を通過する空気A1、A2は、網目状フィルタ31を通過した後、立体フィルタ2を通過することができる。これにより、網目状フィルタ31の網目の大きさよりも大きな埃等の不要物は、網目状フィルタ31によって回収する(捕獲する)ことができ、立体フィルタ2へは、網目状フィルタ31の網目を通過した塵、花粉等の不要物のみが到達する(捕獲される)。
【0017】
また、立体フィルタ2は、保持フレーム3に対して着脱可能に保持してあり、保持フレーム3から容易に取り外すことが可能である。
そのため、本例のフィルタユニット1を所定期間使用した後、メンテナンスを行うときには、フィルタユニット1を取り出し、保持フレーム3から立体フィルタ2を取り外すことができる。そして、保持フレーム3に設けた網目状フィルタ31の洗浄、エアブロー等の清掃を行うことにより、この網目状フィルタ31に付着した不要物を容易に除去することができる。これにより、立体フィルタ2に目詰まりが生じる頻度を格段に低下させることができる。
【0018】
それ故、本例のフィルタユニット1によれば、不織布、紙等を立体的に折り曲げて形成した立体フィルタ2の交換寿命を飛躍的に延ばすことができる。
さらに、立体フィルタ2を取り外した状態で保持フレーム3のみをフィルタ取付口42に取り付けることにより、網目状フィルタ31のみで不要物を除去する使い方をすることもできる。この場合には、立体フィルタ2が不要のため、メンテナンス費用等を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例における、フィルタユニットを示す斜視説明図。
【図2】実施例における、フィルタユニットを示す断面説明図。
【図3】実施例における、立体フィルタを示す断面説明図。
【図4】実施例における、保持フレームを示す断面説明図。
【図5】実施例における、車両におけるフィルタ取付口にフィルタユニットを取り付けた状態を示す断面説明図。
【符号の説明】
【0020】
1 フィルタユニット
2 立体フィルタ
3 保持フレーム
31 網目状フィルタ
32 抜け防止用突起
33 カバー部
4 空調ユニット
41 ダクト
42 フィルタ取付口
D 気体通過方向
A3 空調エア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布、紙等を立体的に折り曲げて形成した立体フィルタと、
該立体フィルタを内側に保持するための樹脂製の保持フレームとを有し、
該保持フレームには、上記立体フィルタにおける気体通過方向の上流側に対向配置させる樹脂製の網目状フィルタが取り付けてあり、
上記保持フレームに対して、上記立体フィルタを着脱可能に保持してなることを特徴とするフィルタユニット。
【請求項2】
請求項1において、上記フィルタユニットは、車両室内へ空調エアを送風する空調ユニットのダクトを遮るように配置するものであると共に、上記車両室内から上記ダクトにおけるフィルタ取付口に対して着脱可能であり、かつ該フィルタ取付口に取り付けた状態で、車両室内に露出可能なカバー部を上記保持フレームに一体的に結合してなることを特徴とするフィルタユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−213977(P2009−213977A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58339(P2008−58339)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】