説明

フィルタ回路、その制御方法及びその制御プログラム

【課題】バンドパスフィルタの中心周波数を簡易かつ任意に変更するフィルタ回路、その制御方法及びその制御プログラムを提供すること
【解決手段】本発明にかかるフィルタ回路1は、変更可能な中心周波数を有し、入力信号をフィルタリングして第1の出力信号を出力するバンドパスフィルタ2と、周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号を含む調整信号を生成する調整信号生成器3と、変更可能な中心周波数を有し、前記調整信号をフィルタリングして第2の出力信号を出力するバンドパスフィルタ4と、前記第2の出力信号の強度を検出し、その検出結果に応じて、バンドパスフィルタ2及びバンドパスフィルタ4の中心周波数を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ回路、その制御方法及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
周波数の通過帯域が制御可能な周波数可変フィルタは、産業上重要な技術であり、多くの用途に用いられている。例えば、コグニティブ無線のように、周波数を含めた無線の送受信のパラメータを適応的に変化させて帯域の利用効率を上げようとする試みが、現在注目されている。そのために、無線送受信機においては、周波数を変化させる制御が可能なフィルタを簡易に実現することが必要となっている。
【0003】
図7は、一般的なフィルタ回路の構成を示したものである。フィルタ回路200は、周波数可変フィルタ201、制御回路202及び設定部203を備える。周波数可変フィルタ201は、中心周波数が可変なバンドパスフィルタである。制御回路202は、周波数可変フィルタ201に対し、中心周波数を変化させる制御信号を出力する。設定部203は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリにより構成される。設定部203は、中心周波数の初期設定値及び温度補正値を読み出して、中心周波数の設定値を計算し、制御回路202にその設定値を出力する。これにより、設定部203は、周波数可変フィルタ201がその周波数に中心周波数を設定するように制御回路202を設定する。制御回路202は、周波数可変フィルタ201に対し、中心周波数を設定する制御信号を出力する。これにより、周波数可変フィルタ201は、中心周波数を変更する。なお、周波数可変フィルタ201の制御信号における制御電圧は、あらかじめ検査等によって決めておく必要がある。
【0004】
図7に示したフィルタ回路200においては、周波数可変フィルタ201の制御電圧にばらつきがあることが考えられるため、一台ごとに検査を行ったり、ばらつきを見込んでマージンをとった設計をしたりする必要がある。さらに、中心周波数の設定においては、温度特性、経時変化等のパラメータも考慮する必要がある。
【0005】
中心周波数が可変なバンドパスフィルタの具体例は、例えば以下の通りである。引用文献1には、バンドパスフィルタを通過した信号波形と、通過しない信号波形との位相差を位相検出器が検出することにより、バンドパスフィルタの中心周波数のずれを判定して、その中心周波数を制御するフィルタ制御装置の技術が記載されている。
【0006】
引用文献2には、RFフィルタ回路と、当該回路の信号が入力されるIFフィルタ回路と、の2つのバンドパスフィルタを備えた放送信号受信装置が記載されている。この放送信号受信装置の制御装置は、IFフィルタ回路の出力信号の検波出力レベルが所定レベル以上となる範囲内で、RFフィルタ回路の出力信号の検波出力レベルが所定値以下となるように、RFフィルタ回路の通過周波数を設定する。これにより、放送信号受信装置は、受信チャンネルの信号(希望信号)を抽出しつつ、隣接チャンネルの信号(妨害信号)を十分に減衰させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−005485号公報
【特許文献2】特開2010−258733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
引用文献1にかかるフィルタ制御装置は、バンドパスフィルタの通過によって生じる位相差を用いて、バンドパスフィルタの中心周波数を制御する。しかしながら、一般に高周波の信号をフィルタリングする場合には、配線の引き回しによって位相遅延が生ずるため、位相器を設ける必要がある。そして、バンドパスフィルタを通過する信号の位相と、通過しない信号の位相とは、一般にばらつきがあると考えられるため、位相検出に際してキャリブレーションが必要になると考えられる。つまり、バンドパスフィルタの通信周波数を所望の値に制御するために、キャリブレーションの処理が必要になる。
【0009】
引用文献2にかかる放送信号受信装置は、希望信号と妨害信号の周波数に応じて、妨害信号をバンドパスフィルタで減衰させるように調整している。そのため、この放送信号受信装置は、バンドパスフィルタの中心周波数を任意に変化するものではない。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、バンドパスフィルタの中心周波数を簡易かつ任意に変更するフィルタ回路、その制御方法及びその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるフィルタ回路は、変更可能な中心周波数を有し、入力信号をフィルタリングして第1の出力信号を出力する第1のバンドパスフィルタと、周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号を含む調整信号を生成する調整信号生成器と、変更可能な中心周波数を有し、前記調整信号をフィルタリングして第2の出力信号を出力する第2のバンドパスフィルタと、前記第2の出力信号の強度を検出し、その検出結果に応じて、前記第1のバンドパスフィルタ及び前記第2のバンドパスフィルタの中心周波数を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、を備える。
【0012】
本発明にかかるフィルタ回路の制御方法は、変更可能な中心周波数を有する第1のバンドパスフィルタにより、入力信号をフィルタリングして第1の出力信号を出力するステップと、周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号を含む調整信号を生成するステップと、変更可能な中心周波数を有する第2のバンドパスフィルタにより、入力信号をフィルタリングして第2の出力信号を出力するステップと、前記第2の出力信号の強度を検出し、その検出結果に応じて、前記第1のバンドパスフィルタ及び前記第2のバンドパスフィルタの中心周波数を制御する制御信号を生成するステップと、を備える。
【0013】
本発明にかかるフィルタ回路の制御プログラムは、変更可能な中心周波数を有する第1のバンドパスフィルタにより、入力信号をフィルタリングして第1の出力信号を出力するステップと、周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号を含む調整信号を生成するステップと、変更可能な中心周波数を有する第2のバンドパスフィルタにより、入力信号をフィルタリングして第2の出力信号を出力するステップと、前記第2の出力信号の強度を検出し、その検出結果に応じて、前記第1のバンドパスフィルタ及び前記第2のバンドパスフィルタの中心周波数を制御する制御信号を生成するステップと、をフィルタ回路に実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、バンドパスフィルタの中心周波数を簡易かつ任意に変更するフィルタ回路、その制御方法及びその制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1にかかるフィルタ回路のブロック図である。
【図2】実施の形態2にかかるフィルタ回路のブロック図である。
【図3】実施の形態2にかかるRF信号のスペクトルを示すグラフである。
【図4】実施の形態2にかかる調整信号のスペクトルを示すグラフである。
【図5】実施の形態2にかかる検出信号Vdetの検波出力レベルを示すグラフである。
【図6】実施の形態2にかかる検出信号Vdet1及びVdet2の検波出力レベルを示すグラフである。
【図7】関連技術にかかるフィルタ回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1にかかるフィルタ回路のブロック図である。実施の形態1にかかるフィルタ回路1は、バンドパスフィルタ2、調整信号生成器3、バンドパスフィルタ4及び制御信号生成回路5を備える。
【0017】
フィルタ回路1において、調整信号生成器3は、周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号を含む調整信号を生成し、バンドパスフィルタ4は、その調整信号をフィルタリングして第2の出力信号を出力する。制御信号生成回路5は、第2の出力信号の強度(出力電圧)の検出結果に応じて、バンドパスフィルタ2、4の中心周波数を制御する。これにより、制御信号生成回路5は、バンドパスフィルタ2の中心周波数を、任意の周波数に変更することができる。
【0018】
以下、フィルタ回路1の各部について説明する。バンドパスフィルタ2は、入力信号をフィルタリングして、第1の出力信号を出力する。バンドパスフィルタ2は、特定の周波数f0を中心とした通過帯域を有しており、この特定の周波数f0のことを、以降では中心周波数と記載する。バンドパスフィルタ2は、中心周波数f0が変更可能なフィルタ回路である。
【0019】
調整信号生成器3は、バンドパスフィルタ2、4に対し、調整信号を出力する。この調整信号は、バンドパスフィルタ2、4の中心周波数f0の値を調整するための信号であり、周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号を含む。なお、調整信号生成器3は、調整信号として第1の信号及び第2の信号を同時に出力してもよいし、調整信号として第1の信号及び第2の信号を切り替えて出力してもよい。
【0020】
バンドパスフィルタ4は、調整信号生成器3から出力された調整信号をフィルタリングして第2の出力信号を出力する。バンドパスフィルタ4は、中心周波数f0が変更可能であり、バンドパスフィルタ2と同じ通過特性を有する。すなわち、バンドパスフィルタ2とバンドパスフィルタ4に対して同じ周波数かつ同じ強度の信号が入力された場合に、バンドパスフィルタ2、4は、当該信号を実質的に同じ強度で出力する。なお、「実質的に同じ」というのは、誤差又は許容範囲内の数値においてのみ、信号の強度が変化しうることを意味する。
【0021】
制御信号生成回路5は、バンドパスフィルタ4から出力された第2の出力信号の強度を検出する。つまり、制御信号生成回路5は、バンドパスフィルタ4によりフィルタリングされた第1の信号及び第2の信号の強度を検出する。制御信号生成回路5は、検出した第1の信号及び第2の信号の強度に応じて、バンドパスフィルタ2、4の中心周波数f0を制御する制御信号を生成する。バンドパスフィルタ2、4は、その制御信号に応じて、中心周波数f0を変更する。
【0022】
制御信号生成回路5は、例えば、電圧を検出する検波回路、電圧を比較する比較回路等を備える。
【0023】
以下、フィルタ回路1の処理について、具体例を挙げて説明する。
【0024】
調整信号生成器3は、強度が同じ周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号が含まれる調整信号を出力する(なお、ここではf1<f2である。)。バンドパスフィルタ2の所望の中心周波数f3は、バンドパスフィルタ2の中心周波数f0がf0=f3である場合には、バンドパスフィルタ2によってフィルタリングされた第1の信号と第2の信号の強度とが実質的に同じになるような周波数である。なお、周波数f1、f2、f3は、f1<f3<f2の大小関係を有する。
【0025】
制御信号生成回路5は、バンドパスフィルタ4によりフィルタリングされた第1の信号及び第2の信号の強度を検出して比較する。そして、バンドパスフィルタ2、4の中心周波数f0を、所望の中心周波数f3になるような制御信号を生成する。例えば、バンドパスフィルタ2の中心周波数f0がf0=f2であり、フィルタリングされた第1の信号と第2の信号の強度の比が1:10である場合には、制御信号生成回路5は、中心周波数f0を下げるような制御信号をバンドパスフィルタ2、4に対して出力する。フィルタリングされた第1の信号と第2の信号の強度とが実質的に同じになった場合には、制御信号生成回路5は、中心周波数f0を変化させる制御信号の生成を停止する。これにより、制御信号生成回路5は、バンドパスフィルタ2、4の中心周波数f0を、所望の中心周波数f3に設定する。
【0026】
この状態から、調整信号生成器3の出力する第1の信号の周波数f1と第2の信号の周波数f2の値を変化させると、フィルタリングされた第1の信号の強度と第2の信号の強度は変化する。この強度の変化に応じて、制御信号生成回路5は、フィルタリングされた第1の信号と第2の信号の強度とが実質的に同じになるまで、バンドパスフィルタ2、4の中心周波数f0を変更させる制御信号を生成する。バンドパスフィルタ2、4は、その制御信号に応じて、中心周波数f0を変更する。
【0027】
以上の処理により、第1の信号の周波数f1と第2の信号の周波数f2を変更することによって、フィルタ回路1は自動的にバンドパスフィルタ2の中心周波数f0を所望の周波数f3に設定することができる。
【0028】
前述の通り、引用文献1にかかるフィルタ制御装置は、位相を検出することにより中心周波数を変化させているため、検出に際してキャリブレーションが必要となり、フィルタ制御装置の処理が増大すると考えられる。引用文献2にかかる制御装置は、中心周波数を任意に変更できない。
【0029】
本実施形態の制御信号生成回路5は、バンドパスフィルタ4から出力された第2の出力信号の強度を検出している。これにより、検出におけるキャリブレーションが不必要であるため、バンドパスフィルタ2の中心周波数を簡易に変更することができる。さらに、調整信号生成器の出力する第1の信号の周波数f1及び第2の信号の周波数f2を変更することにより、バンドパスフィルタ2の中心周波数を任意に変更することができる。
【0030】
このフィルタ回路1は、無線の送信機、受信機等に利用が可能である。
【0031】
なお、上述の具体例では、調整信号中の第1の信号及び第2の信号は強度が同じとしたが、異なる強度の信号であってもよい。
【0032】
上述の具体例では、バンドパスフィルタ2、4の中心周波数は同じ周波数f0であるとしたが、異なる周波数であってもよい。例えば、初期状態でのバンドパスフィルタ2の中心周波数はf01であり、バンドパスフィルタ4の中心周波数はf02であって、f01とf02の関係はf02=f01+Δfであるとする(Δfはf01とf02の差分を示す値である。)。このバンドパスフィルタ2、4は、それぞれの中心周波数から上下いずれかの同じ向きに同じ値だけ周波数がずれた、同じ強度の信号が入力された場合に、当該信号を実質的に同じ強度で出力する。言いかえれば、バンドパスフィルタ2、4は、中心周波数は異なるものの、実質的に同じ通過特性のグラフの形状を有している。
【0033】
その場合に、バンドパスフィルタ2の中心周波数を所望の周波数f03に合わせるためには、調整信号中の第1の信号の周波数f1と第2の信号の周波数f2とを変更して、バンドパスフィルタ4の中心周波数をf03+Δfに変更すればよい。このようにして、フィルタ回路1は、バンドパスフィルタ2の中心周波数を任意に変更することができる。
【0034】
実施の形態2
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
図2は、実施の形態2にかかるフィルタ回路のブロック図である。フィルタ回路100は、大きく分けて、変調器10(第2の変調器)、局部発振器20、バンドパスフィルタ30、中間信号生成部40、変調器50(第1の変調器)、バンドパスフィルタ60、制御信号生成回路70及びパルス信号源90を備える。
【0036】
フィルタ回路100は、無線の送信機に用いられるフィルタ回路であり、送信ベースバンド信号I、Q(以下、信号I、Qと表記)をRF信号(高周波信号)に変調して送信出力する。
【0037】
変調器10には、ローカル信号Lを出力する局部発振器20が接続されている。変調器10は、このローカル信号Lに基づいて、信号I、QをRF信号に変調する。ここで、信号Iは同相成分の信号、信号Qは直交成分の信号であり、前者はsin波、後者はcos波である。
【0038】
変調器10は、混合器11、12、位相器13及びシグマ加算器14を備える。混合器11には、信号Iと、位相器13によりローカル信号Lに90度位相を付加された信号とが入力され、混合器11はこの2つの信号に基づいて、周波数を変換した信号を出力する。ローカル信号Lは、局部発振器20から出力された変調用の信号であり、周波数はfLである。混合器12には、信号Qと、ローカル信号Lとが入力され、混合器12はこの2つの信号に基づいて、周波数を変換した信号を出力する。
【0039】
位相器13は、ローカル信号Lに90度位相を付加して、混合器11に出力する。シグマ加算器14は、混合器11及び混合器12から出力された信号を加算して、その加算した信号をバンドパスフィルタ30に出力する。以上のようにして、変調器10は、バンドパスフィルタ30にRF信号を出力する。
【0040】
図3は、RF信号のスペクトルを示すグラフである。このRF信号の図において、横軸は周波数f、縦軸はスペクトル強度を示す。RF信号は、周波数fLを中心として、スペクトル強度が高くなっている周波数帯を有する。
【0041】
局部発振器20は、変調用の信号である周波数fLのローカル信号Lを、変調器10及び変調器50に出力する。ローカル信号Lの波形は、sinωt(ω=fL×2π)である。
【0042】
バンドパスフィルタ30は、変調器10が出力したRF信号をフィルタリングして、送信RF信号を出力するRFフィルタである。バンドパスフィルタ30の中心周波数f0がf0=fLである場合に、送信RF信号は、周波数fL及びその近傍のみがスペクトル強度が高い信号となり、その他の周波数の信号は減衰する。このようにして、バンドパスフィルタ30は、RF信号中の帯域外の信号を抑圧して、送信出力する。
【0043】
バンドパスフィルタ30は、増幅回路72の制御信号の制御電圧に応じて中心周波数f0を変更することにより、通過帯域を変更する。具体的には、中心周波数f0は、バンドパスフィルタ30内のコンデンサの静電容量が、制御信号の制御電圧の変化に応じて変化することにより、変化する。例えば、制御信号の制御電圧が高くなるに従い、バンドパスフィルタ30の中心周波数f0が高くなるようにすることができる。なお、バンドパスフィルタ30の通過特性は、中心周波数f0に対して対称の形をしている。
【0044】
中間信号生成部40は、周波数fIFの2つのIF信号(中間周波数信号)R、Sを、変調器50に出力する。中間信号生成部40は、パルス信号源90が出力するパルス信号に応じて、正弦波の波形と余弦波の波形を交互に切り替えてIF信号R、Sとして出力する切り替え器として機能する。IF信号Rの波形がsinωt(ω=fIF×2π)であるとき、IF信号Sの波形はcosωtである。逆に、IF信号Rの波形がcosωtであるとき、IF信号Sの波形はsinωtである。
【0045】
中間信号生成部40は、CW信号源(連続波信号源)41、抵抗42、RFスイッチ(高周波スイッチ)43、44及び90度ハイブリッド回路45を備える。CW信号源41は、周波数がfIFで波形がsinωtのCW信号を、RFスイッチ43、44の入力端子の一端に出力する。抵抗42は、一端が接地され、他端がRFスイッチ43、44の入力端子の他端に接続されている。
【0046】
RFスイッチ43、44は、入力端子の一端がCW信号源41、他端が抵抗42に接続されている。RFスイッチ43の出力端子は、90度ハイブリッド回路45のIN端子に接続されている。RFスイッチ44の出力端子は、90度ハイブリッド回路45のISO端子に接続されている。
【0047】
RFスイッチ43は、パルス信号源90から出力されるパルス信号に基づいて、所定の時間間隔で接続する入力端子を切り替える。これにより、RFスイッチ43は、所定の間隔で入力信号を切り替えて、その入力信号を90度ハイブリッド回路45のIN端子に出力する。RFスイッチ44は、パルス信号源90により、RFスイッチ43とは逆のタイミングで入力信号を切り替えて、その入力信号を90度ハイブリッド回路45のISO端子に出力する。
【0048】
90度ハイブリッド回路45は、IN端子に信号が入力された場合、0°端子から当該信号をそのまま(位相を変えずに)、IF信号Rとして出力する。90°端子からは、当該信号の位相を90度変化させて、IF信号Sとして出力する。
【0049】
例えば、RFスイッチ43の出力端子と、CW信号源41とが接続された場合、IN端子に波形sinωtのCW信号が入力する。このとき、RFスイッチ44の出力端子には接地された抵抗42が接続されているため、ISO端子に信号は入力されない。ここで90度ハイブリッド回路45は、90°端子から波形cosωtのIF信号Rを、0°端子から波形sinωtのIF信号Sを出力する。
【0050】
90度ハイブリッド回路45は、ISO端子に信号が入力された場合、0°端子からは、当該信号の位相を90度変化させて、IF信号Rとして出力する。90°端子からは、当該信号をそのまま(位相を変えずに)、IF信号Sとして出力する。
【0051】
例えば、RFスイッチ43の出力端子と、接地された抵抗42とが接続された場合、IN端子に信号は入力されない。このとき、RFスイッチ44の出力端子にはCW信号源41が接続されているため、ISO端子に波形sinωtのCW信号が入力する。ここで90度ハイブリッド回路45は、90°端子から波形sinωtのIF信号Rを、0°端子から波形cosωtのIF信号Sを出力する。
【0052】
90度ハイブリッド回路45は、このようにIF信号R、Sを出力する。
【0053】
変調器50には、変調器10と共通の局部発振器20が接続されている。変調器50は、このローカル信号Lに基づいて、信号R、Sを調整信号に変調する。なお、中間信号生成部40及び変調器50は、実施の形態1における調整信号生成器3に相当する。
【0054】
変調器50は、混合器51、52、位相器53及びシグマ加算器54を備える。混合器51には信号Rとローカル信号Lとが入力され、混合器51は、この2つの信号に基づいて、周波数を変換した信号を出力する。混合器52には信号Sと位相器53によりローカル信号Lに90度位相を付加された信号とが入力され、混合器52は、この2つの信号に基づいて、周波数を変換した信号を出力する。位相器53は、ローカル信号Lに90度位相を付加して、混合器52に出力する。
【0055】
シグマ加算器54は、混合器51及び混合器52から出力された信号を加算して、その加算された信号を、バンドパスフィルタ60に出力する。シグマ加算器54は、調整信号として、周波数f1(f1=fL−fIF)の第1の信号と、周波数f2(f2=fL+fIF)の第2の信号とを、パルス信号源90の出力するパルス信号が切り替わるタイミングと同じタイミングで切り替えて出力する。
【0056】
図4は、この第1の信号と、第2の信号のスペクトルを示すグラフである。図4において、横軸は周波数f、縦軸はスペクトル強度を示す。
【0057】
バンドパスフィルタ60は、変調器50が出力した調整信号をフィルタリングして、制御信号生成回路70に検波用信号を出力する。バンドパスフィルタ60は、中心周波数f0が変更可能であり、バンドパスフィルタ30と同じ通過特性を有する。バンドパスフィルタ60は、増幅回路72の制御信号に応じて中心周波数f0を変更することにより、通過帯域を変更することができる。
【0058】
ここで、中間信号生成部40が発生する中間信号の周波数fIFは、バンドパスフィルタ30、60の通過帯域幅の1/2の周波数より大きい。言いかえれば、バンドパスフィルタ30、60の通過帯域幅は、|f2−f1|未満である。そのため、変調器50から出力された第1の信号の周波数f1と、第2の信号の周波数f2の両方が、バンドパスフィルタ60の通過帯域内にあることはない。第1の信号、第2の信号の少なくともいずれかの信号は、バンドパスフィルタ60でフィルタリングされることにより減衰する。
【0059】
制御信号生成回路70は、バンドパスフィルタ60から出力された検波用信号の強度を検出し、その結果に基づいて、バンドパスフィルタ30、60の中心周波数f0を制御する制御信号を生成する。バンドパスフィルタ30、60は、その制御信号に応じて、中心周波数f0を変更する。
【0060】
制御信号生成回路70は、検波回路71、増幅回路72及びフィルタ部80を備える。検波回路71は、検波用信号の強度を検出する。換言すれば、検波回路71は、バンドパスフィルタ60によりフィルタリングされた周波数f1の第1の信号の強度と、周波数f2の第2の信号の強度とを検出する。検波回路71は、検出結果を検出信号Vdetとしてフィルタ部80に出力する。
【0061】
図5は、検出信号Vdetの検波出力レベルを示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は時間t、縦軸は検出信号Vdetの強度(電圧)を示す。検出信号Vdetにおいては、第1の信号の検波電圧と、第2の信号の検波電圧とが、パルス信号源90のパルスが切り替わるタイミングで交互に現れる。
【0062】
フィルタ部80には、検出信号Vdetが入力される。フィルタ部80は、検出信号Vdetを第1の信号の検波電圧と第2の信号の検波電圧とに分離して、それぞれの検波電圧の値を平均化し、増幅回路72に出力する。
【0063】
フィルタ部80は、スイッチ81、82、抵抗83、84及びコンデンサ85、86を備える。スイッチ81、82には、それぞれ検出信号Vdetが入力される。スイッチ81の入力端子の一方には、検出信号Vdetの信号線が接続され、入力端子の他方は、接地されている。スイッチ81は、パルス信号源90が出力するパルス信号に基づいて、所定の時間間隔で接続する入力端子を切り替えて、間欠的に検出信号Vdetを取得する。これにより、スイッチ81は、第1の信号の検波電圧のみを取得して、検出信号Vdet1として出力する。そして、取得した信号を検出信号Vdet1として、抵抗83及びコンデンサ85から構成されるローパスフィルタに出力する。
【0064】
スイッチ82も、スイッチ81と同様の構成を有する。スイッチ82は、パルス信号に基づき、スイッチ81とは逆のタイミングで、間欠的に検出信号Vdetを取得する。これにより、スイッチ82は、第2の信号の検波電圧のみを取得して、検出信号Vdet2として出力する。そして、取得した信号を検出信号Vdet2として、抵抗84及びコンデンサ86から構成されるローパスフィルタに出力する。
【0065】
図6は、検出信号Vdet1及び検出信号Vdet2の検波出力レベルを示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は時間t、縦軸は検出信号Vdet1、Vdet2の強度を示す。
【0066】
スイッチ81の出力端子は、抵抗83の一端に接続されている。抵抗83の他端は、増幅回路72の非反転入力端子に接続されている。抵抗83の他端には、増幅回路72と並列にコンデンサ85の一端が接続されている。コンデンサ85の他端は、接地されている。このようにして、抵抗83及びコンデンサ85は、ローパスフィルタを構成する。
【0067】
抵抗84の一端は、増幅回路72の反転入力端子に接続されている。抵抗84及びコンデンサ86は、抵抗83及びコンデンサ85と同様に接続され、ローパスフィルタを構成する。
【0068】
ここで、パルス信号の周波数は、そのローパスフィルタのカットオフ周波数より十分高い。これにより、フィルタ部80は、検出信号Vdet1の強度の平均値を増幅回路72の非反転入力端子に出力し、検出信号Vdet2の強度の平均値を増幅回路72の反転入力端子に出力する。
【0069】
増幅回路72は、検出信号Vdet1の平均値及び検出信号Vdet2の強度の平均値をモニタして、その大小を比較する。そして、フィルタ部80からのそれぞれの出力電圧が同じになるように、制御信号をバンドパスフィルタ30、60に出力する。ここでは、増幅回路72は、出力アンプにより構成されている。
【0070】
増幅回路72は、バンドパスフィルタ30、60の制御端子に制御信号を出力する。バンドパスフィルタ30、60は、増幅回路72の制御信号の制御電圧が変化することに応じて、中心周波数を変更する。これにより、バンドパスフィルタ30、60は、通過帯域を変更することができる。
【0071】
パルス信号源90は、DUTY比が50%のパルス信号を、中間信号生成部40のRFスイッチ43、44に出力するとともに、フィルタ部80のスイッチ81、82に出力する。つまり、スイッチ43、44及びスイッチ81、82は、共通のパルス信号によって、ONとOFFが切り替わる。
【0072】
以下、フィルタ回路100が、バンドパスフィルタ30の中心周波数f0を周波数fLに設定する処理について説明する。
【0073】
バンドパスフィルタ30、60の中心周波数f0が、fLからずれているとする。この場合には、バンドパスフィルタ30、60の通過特性が中心周波数に対して略対称の形をしているため、バンドパスフィルタ60によりフィルタリングされた周波数f1(f1=fL−fIF)の第1の信号の強度と、周波数f2(f2=fL+fIF)の第2の信号の強度とは、実質的に同じにはならない。なお、第1の信号の強度と、第2の信号の強度とのいずれが高いかは、中心周波数f0がfLから上下いずれかにずれているかによって異なる。
【0074】
バンドパスフィルタ60によりフィルタリングされた第1の信号の強度と第2の信号の強度とは同じではない一方、パルス信号のDUTY比が50%であるため、第1の信号と第2の信号が出力される時間は同じである。そのため、フィルタ部80が出力する第1の信号の強度の平均値と、第2の信号の強度の平均値は異なる値である。前述の通り、増幅回路72は、この2つの平均値の大小を比較する。この場合には、両者が同じ値であることはないため、増幅回路72は、これらの値が同じレベルになるように、バンドパスフィルタ30、60の中心周波数f0を変化させる制御信号を出力する。
【0075】
以上の処理によって、バンドパスフィルタ60の中心周波数f0は、fLと同じになる。その結果、送信RF信号を出力するバンドパスフィルタ30の中心周波数f0も、fLに設定される。つまり、バンドパスフィルタ30は、周波数fLを中心とした通過帯域を有するように制御される。
【0076】
バンドパスフィルタ30、60の中心周波数f0がfLと同じであるとする。この場合には、バンドパスフィルタ60を通過する第1の信号の強度と、第2の信号の強度とは実質的に同じになる。
【0077】
第1の信号と、第2の信号が出力される時間は同じであるため、フィルタ部80が出力する第1の信号強度の平均値と、第2の信号強度の平均値とは実質的に同じである。増幅回路72の反転入力端子と非反転入力端子に入力される強度値が略同じであるため、増幅回路72は、バンドパスフィルタ30、60に対して、中心周波数f0を制御する制御信号を出力しない。これにより、バンドパスフィルタ30、60の中心周波数は変化しないままである。
【0078】
ここで、送信RF信号の周波数を変化させるため、ユーザが局部発振器20の発振周波数fLをΔLだけ増加させたとする。その場合には、周波数f1、f2の値がΔLだけ増加するため、バンドパスフィルタ60によりフィルタリングされた第1の信号の強度と第2の信号の強度は変化し、実質的に同じではなくなる。そのため、フィルタ部80が出力する第1の信号の強度の平均値と、第2の信号の強度の平均値は異なる値に変化する。増幅回路72は、これらの値が同じレベルになるように、バンドパスフィルタ30、60の中心周波数f0を変化させる制御信号を出力する。これによって、バンドパスフィルタ30、60の中心周波数f0は、fL+ΔLの値になる。
【0079】
以上のようにして、フィルタ回路100は、バンドパスフィルタ30の中心周波数を自動で制御することにより、通過帯域を変更することができる。フィルタ回路100は、局部発振器20の発振周波数fLを変化させると、その変化に追従して、バンドパスフィルタ30、60の中心周波数f0をfLに等しくなるように制御する。そのため、バンドパスフィルタの制御電圧のばらつきを考慮してフィルタ回路1個毎に検査を実行する必要はなくなる。また、設計マージンも少なくて済む。さらに、温度等による、バンドパスフィルタ30の中心周波数f0又は局部発振器20の発振周波数fLの変動があっても、その変動はフィルタ回路100において自動で補償される。
【0080】
中間信号生成部40は、パルス信号に基づいて、正弦波と余弦波の信号を交互に切り替えて出力する。これにより、変調器50は、第1の信号及び第2の信号を交互に切り替えて出力し、制御信号生成回路70には、第1の信号及び第2の信号が交互に切り替わって入力される。そのため、制御信号生成回路70は、その2つの信号が同時に入力される場合と比較して、検波用信号からその2つの信号を分割して信号強度の大小を比較することを、より簡単に実行することができる。
【0081】
変調器10、50において、変調用のローカル信号Lは、共通の局部発振器20により生成される。これにより、フィルタ回路100の回路規模を小さくすることができる。
【0082】
中間信号生成部40におけるIF信号の生成と、フィルタ部80における検出信号Vdetの分岐とに、共通のパルス信号を用いることにより、フィルタ回路100の回路規模を小さくすることができる。また、検出信号Vdetをパルス信号に基づいて第1の信号の検出信号Vdet1及び第2の信号の検出信号Vdet2に分割することにより、フィルタリングされた第1の信号の強度及び第2の信号の強度の大小を簡単に比較することができる。
【0083】
フィルタ部80は、フィルタリングされた第1の信号の強度と第2の信号の強度のそれぞれの平均値を算出する。これにより、増幅回路72は、フィルタリングされた第1の信号と第2の信号のうちどちらの強度が高いかを簡単に比較することができる。
【0084】
さらに、フィルタ部80をローパスフィルタにし、パルス信号の周波数をローパスフィルタのカットオフ周波数よりも高くすることによって、フィルタ部80は、フィルタリングされた第1の信号の強度と第2の信号の強度のそれぞれの平均値を出力する。このようにして、フィルタ部80を簡易な構成にすることができる。
【0085】
フィルタ回路100において、バンドパスフィルタ30、60の通過帯域幅は、変調器50が出力する第1の信号の周波数f1と第2の信号の周波数f2との差|f2−f1|よりも小さい。これにより、調整信号中の第1の信号及び第2の信号以外のノイズがバンドパスフィルタ60により減衰されるため、検波回路71による信号強度の検出における誤差をより少なくすることができる。以上より、バンドパスフィルタ30、60の中心周波数f0を、より高精度に発振周波数fLに合わせることができる。
【0086】
なお、実施の形態2においては、2つのバンドパスフィルタ30、60の通過特性が略同じである必要がある。これについては、2つのバンドパスフィルタ30、60を、半導体プロセスにおいて同一チップ内に作りこむことにより、2つのバンドパスフィルタの通過特性のばらつきを最小限に留めることができる。
【0087】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、中間信号生成部40、変調器10、50の構成は、図2に示したものである必要はない。パルス信号源90が出力するパルス信号のDUTY比は、50%である必要はない。
【0088】
実施の形態1、2に示したフィルタ回路の制御フローは、制御方法の1つとして、フィルタ回路に実行させることができる。例えば、制御プログラムとして、フィルタ回路を備えるコンピュータに実行させてもよい。
【0089】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0090】
1 フィルタ回路
2 バンドパスフィルタ
3 調整信号生成器
4 バンドパスフィルタ
5 制御信号生成回路
10 変調器
11、12 混合器
13 位相器
14 シグマ加算器
20 局部発振器
30 バンドパスフィルタ
40 中間信号生成部
41 CW信号源
42 抵抗
43、44 RFスイッチ
45 90度ハイブリッド回路
50 変調器
51、52 混合器
53 位相器
54 シグマ加算器
60 バンドパスフィルタ
70 制御信号生成回路
71 検波回路
72 増幅回路
80 フィルタ部
81、82 スイッチ
83、84 抵抗
85、86 コンデンサ
90 パルス信号源
100 フィルタ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変更可能な中心周波数を有し、入力信号をフィルタリングして第1の出力信号を出力する第1のバンドパスフィルタと、
周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号を含む調整信号を生成する調整信号生成器と、
変更可能な中心周波数を有し、前記調整信号をフィルタリングして第2の出力信号を出力する第2のバンドパスフィルタと、
前記第2の出力信号の強度を検出し、その検出結果に応じて、前記第1のバンドパスフィルタ及び前記第2のバンドパスフィルタの中心周波数を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、
を備えるフィルタ回路。
【請求項2】
前記フィルタ回路は、パルス信号を出力するパルス信号源をさらに備え、
前記調整信号生成器は、前記パルス信号に基づいて、前記第1の信号及び前記第2の信号を交互に切り替えて前記調整信号として出力する、
請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
前記フィルタ回路は、周波数(f1+f2)/2のローカル信号を出力する局部発振器をさらに備え、
前記調整信号生成器は、前記パルス信号に基づいて、周波数|f2−f1|/2の正弦波信号及び余弦波信号を交互に切り替えて中間信号を生成する中間信号生成部と、
前記中間信号を前記ローカル信号により変調して、前記調整信号を出力する第1の変調器と、を備える、
請求項2に記載のフィルタ回路。
【請求項4】
前記フィルタ回路は、ベースバンド信号を前記ローカル信号により変調して、前記入力信号を出力する第2の変調器をさらに備える、
請求項3に記載のフィルタ回路。
【請求項5】
前記制御信号生成回路は、前記第2のバンドパスフィルタによりフィルタリングされた前記調整信号を、前記パルス信号に基づいて前記第1の信号及び前記第2の信号に分割し、前記第1の信号の強度及び前記第2の信号の強度の大小を比較することにより前記制御信号を出力する、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載のフィルタ回路。
【請求項6】
前記制御信号生成回路は、前記パルス信号に基づいて分割した前記第1の信号の強度の平均値及び前記第2の信号の強度の平均値を求める平均値算出部と、
前記第1の信号の強度の平均値及び前記第2の信号の強度の平均値の大小を比較することにより前記制御信号を出力する制御回路と、
を備える、請求項5に記載のフィルタ回路。
【請求項7】
前記平均値計算部はローパスフィルタであり、前記パルス信号の周波数は前記ローパスフィルタのカットオフ周波数よりも高い、
請求項6に記載のフィルタ回路。
【請求項8】
前記第2のバンドパスフィルタの通過帯域幅は、|f2−f1|未満である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のフィルタ回路。
【請求項9】
変更可能な中心周波数を有する第1のバンドパスフィルタにより、入力信号をフィルタリングして第1の出力信号を出力するステップと、
周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号を含む調整信号を生成するステップと、
変更可能な中心周波数を有する第2のバンドパスフィルタにより、入力信号をフィルタリングして第2の出力信号を出力するステップと、
前記第2の出力信号の強度を検出し、その検出結果に応じて、前記第1のバンドパスフィルタ及び前記第2のバンドパスフィルタの中心周波数を制御する制御信号を生成するステップと、
を備えるフィルタ回路の制御方法。
【請求項10】
変更可能な中心周波数を有する第1のバンドパスフィルタにより、入力信号をフィルタリングして第1の出力信号を出力するステップと、
周波数f1の第1の信号及び周波数f2の第2の信号を含む調整信号を生成するステップと、
変更可能な中心周波数を有する第2のバンドパスフィルタにより、入力信号をフィルタリングして第2の出力信号を出力するステップと、
前記第2の出力信号の強度を検出し、その検出結果に応じて、前記第1のバンドパスフィルタ及び前記第2のバンドパスフィルタの中心周波数を制御する制御信号を生成するステップと、
をフィルタ回路に実行させるフィルタ回路の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−102275(P2013−102275A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243625(P2011−243625)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】