フィルタ回路
【課題】フィルタ回路を小型化すること。
【解決手段】フィルタ回路1は、帯状に形成された誘電体フィルム10と、第1電極X1〜X4と、第2電極Y1〜Y4と、を備える。第1電極X1〜X4は、誘電体フィルム10の一方の面に、誘電体フィルム10の長手方向に並んで形成され、第2電極Y1〜Y4は、誘電体フィルム10の一方の面に、第1電極X1〜X4と並んで形成される。これら第1電極X1〜X4および第2電極Y1〜Y4が形成された誘電体フィルム10は巻回され、誘電体フィルム10を挟んで、第1電極同士が対向して容量を形成するとともに、第2電極同士が対向して容量を形成する。
【解決手段】フィルタ回路1は、帯状に形成された誘電体フィルム10と、第1電極X1〜X4と、第2電極Y1〜Y4と、を備える。第1電極X1〜X4は、誘電体フィルム10の一方の面に、誘電体フィルム10の長手方向に並んで形成され、第2電極Y1〜Y4は、誘電体フィルム10の一方の面に、第1電極X1〜X4と並んで形成される。これら第1電極X1〜X4および第2電極Y1〜Y4が形成された誘電体フィルム10は巻回され、誘電体フィルム10を挟んで、第1電極同士が対向して容量を形成するとともに、第2電極同士が対向して容量を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルタ回路は、様々な回路や装置に用いられる。例えば特許文献1、2には、フィルタ回路を用いた直流電源が示されている。これら直流電源は、フィルタ回路に加えて、交流電圧を整流および昇圧するコッククロフト・ウォルトン回路を備えており、コッククロフト・ウォルトン回路の出力をフィルタ回路により平滑して、直流電圧を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−116673号公報
【特許文献2】特開2001−16853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に示されている直流電源では、交流電圧の交流成分やノイズがフィルタ回路に伝搬してしまうと、出力する直流電圧にリプルが発生してしまう。そこで、交流電圧の交流成分やノイズがフィルタ回路に伝搬するのを防止するために、例えば特許文献1では、フィルタ回路に対してシールドを施している。しかしながら、フィルタ回路に対してシールドを施すと、フィルタ回路が大型化してしまい、直流電源を小型化できない。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、フィルタ回路を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、絶縁性を有し、帯状に形成された帯状部材(例えば、図1の誘電体フィルム10に相当)と、前記帯状部材の一方の面に、当該帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1電極(例えば、図1の第1電極X1〜X4に相当)と、前記帯状部材の一方の面に、前記複数の第1電極と並んで形成された複数の第2電極(例えば、図1の第2電極Y1〜Y4に相当)と、を備え、前記帯状部材は、巻回され、前記第1電極は、巻回された前記帯状部材のうち当該第1電極より外周側の部分を挟んで、当該第1電極とは異なる1つの第1電極と対向するとともに、巻回された前記帯状部材のうち当該第1電極より内周側の部分を挟んで、当該第1電極とは異なる1つの第1電極と対向し、前記帯状部材を挟んで前記第1電極同士が対向する領域の各静電容量は、等しく、前記第2電極は、巻回された前記帯状部材のうち当該第2電極より外周側の部分を挟んで、当該第2電極とは異なる1つの第2電極と対向するとともに、巻回された前記帯状部材のうち当該第2電極より内周側の部分を挟んで、当該第2電極とは異なる1つの第2電極と対向し、前記帯状部材を挟んで前記第2電極同士が対向する領域の各静電容量は、等しいことを特徴とするフィルタ回路(例えば、図3のフィルタ回路1に相当)を提案している。
【0007】
この発明によれば、帯状部材の一方の面に、複数の第1電極を形成するとともに、これら複数の第1電極と並んで複数の第2電極を形成し、この帯状部材を巻回した。また、第1電極を、帯状部材のうちこの第1電極より外周側の部分を挟んで他の1つの第1電極と対向させるとともに、帯状部材のうちこの第1電極よりも内周側の部分を挟んで他の1つの第1電極と対向させた。第2電極についても、第1電極と同様に、帯状部材のうちこの第2電極より外周側の部分を挟んで他の1つの第2電極と対向させるとともに、帯状部材のうちこの第2電極よりも内周側の部分を挟んで他の1つの第2電極と対向させた。このため、帯状部材を挟んで第1電極同士が対向する領域では、容量が形成され、これら容量は直列接続された状態になる。また、帯状部材を挟んで第2電極同士が対向する領域では、容量が形成され、これら容量も直列接続された状態になる。したがって、第1電極によりフィルタを形成するとともに、第2電極によりフィルタを形成することができる。
【0008】
また、第1電極により形成される容量の各静電容量は等しく、第2電極により形成される容量の各静電容量も等しい。このため、第1電極により形成されるフィルタと、第2電極により形成されるフィルタと、に電圧を印加すると、巻回された帯状部材には、内周部から外周部または外周部から内周部に向かって、等電位電界が形成されることとなる。このため、これらフィルタに対してシールドを施さなくても、これらフィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを防止できる。したがって、フィルタに対するシールドが不要となるので、これらフィルタを備えるフィルタ回路を小型化できる。
【0009】
(2) 本発明は、(1)のフィルタ回路について、前記複数の第2電極は、前記複数の第1電極と対に形成され、前記複数の第2電極のそれぞれは、前記複数の第1電極のうち対に形成されたものと接続されることを特徴とするフィルタ回路(例えば、図6のフィルタ回路1Aに相当)を提案している。
【0010】
この発明によれば、(1)のフィルタ回路において、複数の第2電極を複数の第1電極と対に形成し、これら複数の第2電極のそれぞれを、複数の第1電極のうち対に設けられたものと接続した。
【0011】
このため、第1電極により形成される各容量と、第2電極により形成される各容量と、を並列接続させることができるので、上述の等電位電界をより安定して形成させることができ、フィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを的確に防止できる。
【0012】
(3) 本発明は、絶縁性を有し、帯状に形成された第1の帯状部材(例えば、図9の誘電体フィルム11に相当)と、前記第1の帯状部材の一方の面に、当該第1の帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1の一方電極(例えば、図9の第1電極X11〜X13に相当)と、前記第1の帯状部材の一方の面に、前記複数の第1の一方電極と並んで形成された複数の第2の一方電極(例えば、図9の第2電極Y11〜Y13に相当)と、前記第1の帯状部材の他方の面に、当該第1の帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1の他方電極(例えば、図9の第1電極X21、X22に相当)と、前記第1の帯状部材の他方の面に、前記複数の第1の他方電極と並んで形成された複数の第2の他方電極(例えば、図9の第2電極Y21、Y22に相当)と、前記第1の帯状部材と等しい厚さおよび誘電率を有するとともに、絶縁性を有し、当該第1の帯状部材の長手方向に帯状に形成され、前記複数の第1の他方電極および前記複数の第2の他方電極を当該第1の帯状部材と挟持する第2の帯状部材(例えば、図10の誘電体フィルム12に相当)と、を備え、前記第1の帯状部材および前記第2の帯状部材は、巻回され、前記第1の一方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、前記第1の他方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、前記第1の帯状部材を挟んで前記第1の一方電極と前記第1の他方電極とが対向する領域の各静電容量と、前記第2の帯状部材を挟んで前記第1の一方電極と前記第1の他方電極とが対向する領域の各静電容量とは、等しく、前記第2の一方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、前記第2の他方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、前記第1の帯状部材を挟んで前記第2の一方電極と前記第2の他方電極とが対向する領域の各静電容量と、前記第2の帯状部材を挟んで前記第2の一方電極と前記第2の他方電極とが対向する領域の各静電容量とは、等しいことを特徴とするフィルタ回路(例えば、図12のフィルタ回路1Cに相当)を提案している。
【0013】
この発明によれば、第1の帯状部材の一方の面に、複数の第1の一方電極を形成するとともに、これら複数の第1の一方電極と並んで複数の第2の一方電極を形成した。また、第2の帯状部材の他方の面に、複数の第1の他方電極を形成するとともに、これら複数の第1の他方電極と並んで第2の他方電極を形成した。また、複数の第1の他方電極および複数の第2の他方電極を、第1の帯状部材と第2の帯状部材とで挟持させ、これら第1の帯状部材および第2の帯状部材を巻回した。また、第1の一方電極を、互いに隣接する2つの第1の他方電極と第1の帯状部材を挟んで対向させるとともに、互いに隣接する2つの第1の他方電極と第2の帯状部材を挟んで対向させた。また、第1の他方電極を、互いに隣接する2つの第1の一方電極と第1の帯状部材を挟んで対向させるとともに、互いに隣接する2つの第1の一方電極と第2の帯状部材を挟んで対向させた。また、第2の一方電極を、互いに隣接する2つの第2の他方電極と第1の帯状部材を挟んで対向させるとともに、互いに隣接する2つの第2の他方電極と第2の帯状部材を挟んで対向させた。また、第2の他方電極を、互いに隣接する2つの第2の一方電極と第1の帯状部材を挟んで対向させるとともに、互いに隣接する2つの第2の一方電極と第2の帯状部材を挟んで対向させた。
【0014】
このため、第1の帯状部材を挟んで第1の一方電極と第1の他方電極とが対向する領域では、容量が形成され、これら容量は直列接続された状態になる。また、第2の帯状部材を挟んで第1の一方電極と第1の他方電極とが対向する領域でも、容量が形成され、これら容量は直列接続された状態となる。第2の一方電極および第2の他方電極においても、第1の一方電極および第1の他方電極と同様に、第1の帯状部材を挟んで対向する領域と、第2の帯状部材を挟んで対向する領域と、で容量が形成される。そして、第1の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量が直列接続されるとともに、第2の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量も直列接続される。以上より、第1の一方電極および第1の他方電極によりフィルタを形成するとともに、第2の一方電極および第2の他方電極によりフィルタを形成することができる。
【0015】
また、第1の帯状部材を挟んで第1の一方電極および第1の他方電極により形成される容量の各静電容量と、第2の帯状部材を挟んで第1の一方電極および第1の他方電極により形成される容量の各静電容量と、は等しい。また、第1の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量の各静電容量と、第2の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量の各静電容量と、は等しい。このため、第1の一方電極および第1の他方電極により形成されるフィルタと、第2の一方電極および第2の他方電極により形成されるフィルタと、に電圧を印加すると、巻回された第1の帯状部材および第2の帯状部材には、内周部から外周部または外周部から内周部に向かって、等電位電界が形成されることとなる。このため、これらフィルタに対してシールドを施さなくても、これらフィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを防止できる。したがって、フィルタに対するシールドが不要となるので、これらフィルタを備えるフィルタ回路を小型化できる。
【0016】
また、第1の帯状部材を挟んで第1の一方電極および第1の他方電極により形成される容量には、第2の帯状部材を挟んで同一の第1の一方電極および第1の他方電極により形成される容量が、並列接続される。また、第1の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量には、第2の帯状部材を挟んで同一の第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量が、並列接続されることとなる。このため、上述の等電位電界をより安定して形成させることができるので、フィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのをより的確に防止できる。
【0017】
(4) 本発明は、(3)のフィルタ回路について、前記複数の第2の一方電極は、前記複数の第1の一方電極と対に形成され、前記複数の第2の他方電極は、前記複数の第1の他方電極と対に形成され、前記複数の第2の一方電極のそれぞれは、前記複数の第1の一方電極のうち対に形成されたものと接続され、前記複数の第2の他方電極のそれぞれは、前記複数の第1の他方電極のうち対に形成されたものと接続されることを特徴とするフィルタ回路を提案している。
【0018】
この発明によれば、(3)のフィルタ回路において、複数の第2の一方電極を複数の第1の一方電極と対に形成するとともに、複数の第2の他方電極を複数の第1の他方電極と対に形成した。また、複数の第2の一方電極のそれぞれを、複数の第1の一方電極のうち対に設けられたものと接続するとともに、複数の第2の他方電極のそれぞれを、複数の第1の他方電極のうち対に設けられたものと接続した。
【0019】
このため、第1の一方電極および第1の他方電極により形成される各容量と、第2の一方電極および第2の他方電極により形成される各容量と、を並列接続させることができるので、上述の等電位電界をより安定して形成させることができ、フィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを的確に防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フィルタ回路を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係るフィルタ回路が備える平面状フィルタ回路の正面図である。
【図2】図1の平面状フィルタ回路のA−A断面図である。
【図3】前記フィルタ回路の模式図である。
【図4】前記フィルタ回路の等価回路図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るフィルタ回路が備える平面状フィルタ回路の正面図である。
【図6】前記フィルタ回路の等価回路図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るフィルタ回路が備える平面状フィルタ回路の正面図である。
【図8】前記フィルタ回路の等価回路図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るフィルタ回路が備える平面状フィルタ回路の正面図である。
【図10】図9の平面状フィルタ回路のB−B断面図である。
【図11】前記平面状フィルタ回路の等価回路図である。
【図12】前記フィルタ回路の模式図である。
【図13】前記フィルタ回路の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0023】
<第1実施形態>
図1、2、3、4を用いて、本発明の第1実施形態に係るフィルタ回路1について説明する。
【0024】
フィルタ回路1は、図3を用いて後述するように平面状フィルタ回路2を巻回すことにより、形成される。この平面状フィルタ回路2は、図1に示すように、帯状部材としての誘電体フィルム10と、第1電極X1〜X4と、第2電極Y1〜Y4と、を備える。
【0025】
誘電体フィルム10は、絶縁性を有し、帯状に形成される。第1電極X1〜X4は、図1と、図1の平面状フィルタ回路2のA−A断面図である図2と、に示すように、誘電体フィルム10の一方の面に、この誘電体フィルム10の長手方向に並んで形成される。第2電極Y1〜Y4は、図1に示すように、誘電体フィルム10の一方の面に、第1電極X1〜X4と並んで形成される。
【0026】
以上の誘電体フィルム10を後述のように巻回すことにより、平面状フィルタ回路2を、図3に示すように巻回す。
【0027】
具体的には、第1に、第1電極X1〜X4および第2電極Y1〜Y4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より外周側に位置するように、誘電体フィルム10を巻回す。これによれば、例えば第1電極X1は、巻回された誘電体フィルム10のうち第1電極X1の形成されている部分より外周側に、位置することとなる。
【0028】
第2に、以下の2つの条件を満たすように、誘電体フィルム10を巻回す。第1の条件は、第1電極X1〜X4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、第1電極X1〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、第1電極X1〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第2の条件は、第2電極Y1〜Y4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、第2電極Y1〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、第2電極Y1〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。
【0029】
上述の2つの条件を満たすように誘電体フィルム10を巻回すと、第1電極X1と第1電極X2、第1電極X2と第1電極X3、第1電極X3と第1電極X4、第2電極Y1と第2電極Y2、第2電極Y2と第2電極Y3、第2電極Y3と第2電極Y4は、それぞれ、誘電体フィルム10を挟んで対向し、対向する領域では、容量が形成されることとなる。以降では、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X1と第1電極X2とが対向して形成される容量を、容量C11と呼ぶこととする。また、第1電極X2と第1電極X3、第1電極X3と第1電極X4、第2電極Y1と第2電極Y2、第2電極Y2と第2電極Y3、第2電極Y3と第2電極Y4についても、誘電体フィルム10を挟んで対向して形成される容量を、それぞれ、容量C12、C13、C21、C22、C23と呼ぶこととする。
【0030】
以上の容量C11〜C13は、図4に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路21を形成することとなる。また、以上の容量C21〜C23は、図4に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路22を形成することとなる。
【0031】
第3に、以下の2つの条件を満たすように、誘電体フィルム10を巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X1、X2が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X2、X3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X3、X4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第2の条件は、誘電体フィルム10を挟んで第2電極Y1、Y2が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第2電極Y2、Y3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第2電極Y3、Y4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。
【0032】
上述の2つの条件を満たすように誘電体フィルム10を巻回すと、容量C11〜C13のそれぞれの静電容量が等しくなるとともに、容量C21〜C23のそれぞれの静電容量が等しくなる。
【0033】
ここで仮に、第1電極X1および第2電極Y1を基準電位源に接続するとともに、第1電極X4および第2電極Y4に3kVの電位源に接続したものとする。すると、図4に示すように、第1電極X2の電位は1kVになり、第1電極X3の電位は2kVになる。また、第2電極Y2の電位は1kVになり、第2電極Y3の電位は2kVになる。このため、容量C11〜C13のそれぞれの電極間電圧が等しくなるとともに、容量C21〜C23のそれぞれの電極間電圧が等しくなり、フィルタ回路1には、内周部から外周部に向かって、等電位電界が形成されることとなる。
【0034】
以上のフィルタ回路1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0035】
フィルタ回路1は、第1電極X1〜X4により形成される単位フィルタ回路21を備えるとともに、第2電極Y1〜Y4により形成される単位フィルタ回路22を備える。このため、単位フィルタ回路21によりフィルタを形成するとともに、単位フィルタ回路22によりフィルタを形成することができる。
【0036】
また、フィルタ回路1では、第1電極X1〜X4により形成される容量C11〜C13のそれぞれの静電容量が等しいとともに、第2電極Y1〜Y4により形成される容量C21〜C23のそれぞれの静電容量が等しい。このため、単位フィルタ回路21の一端と他端との間に電圧を印加すると、容量C11〜C13のそれぞれの電極間電圧が等しくなる。また、単位フィルタ回路22の一端と他端との間に電圧を印加すると、容量C21〜C23のそれぞれの電極間電圧が等しくなる。したがって、フィルタ回路1には、内周部から外周部または外周部から内周部に向かって、等電位電界が形成されることとなる。よって、単位フィルタ回路21、22に対してシールドを施さなくても、これら単位フィルタ回路21、22に交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを防止できる。よって、フィルタに対するシールドが不要となるので、フィルタ回路1を小型化できる。
【0037】
<第2実施形態>
図5、6を用いて、本発明の第2実施形態に係るフィルタ回路1Aについて説明する。フィルタ回路1Aは、本発明の第1実施形態に係るフィルタ回路1とは、平面状フィルタ回路2の代わりに平面状フィルタ回路2Aを備える点が異なる。平面状フィルタ回路2Aは、平面状フィルタ回路2とは、第3電極Z2〜Z4を備える点と、抵抗R11、R12、R21、R22、R31、R32を備える点と、誘電体フィルム10の代わりに誘電体フィルム10Aを備える点と、第1電極X1および第2電極Y1の代わりに基準電極G0を備える点と、が異なる。なお、フィルタ回路1Aにおいて、フィルタ回路1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
誘電体フィルム10Aは、絶縁性を有し、帯状に形成される。基準電極G0および第1電極X2〜X4は、図5に示すように、誘電体フィルム10Aの一方の面に、この誘電体フィルム10Aの長手方向に並んで形成される。第2電極Y2〜Y4は、誘電体フィルム10Aの一方の面に、第1電極X2〜X4と並んで形成される。第3電極Z2〜Z4は、誘電体フィルム10Aの一方の面に、第2電極Y2〜Y4と並んで形成される。
【0039】
基準電極G0は、第1電極X2〜X4のそれぞれと比べて、誘電体フィルム10Aの短手方向の長さが長く形成されており、基準電極G0は、第1電極X2〜X4を結ぶ直線上に存在するとともに、第2電極Y2〜Y4を結ぶ直線上と、第3電極Z2〜Z4を結ぶ直線上と、にも存在する。
【0040】
抵抗R11は、第1電極X2と第2電極Y2とを接続し、抵抗R12は、第2電極Y2と第3電極Z2とを接続する。抵抗R21は、第1電極X3と第2電極Y3とを接続し、抵抗R22は、第2電極Y3と第3電極Z3とを接続する。抵抗R31は、第1電極X4と第2電極Y4とを接続し、抵抗R32は、第2電極Y4と第3電極Z4とを接続する。
【0041】
以上の誘電体フィルム10Aを後述のように巻回すことにより、平面状フィルタ回路2Aを、平面状フィルタ回路2と同様に巻回す。
【0042】
具体的には、第1に、基準電極G0、第1電極X2〜X4、第2電極Y2〜Y4、第3電極Z2〜Z4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より外周側に位置するように、誘電体フィルム10Aを巻回す。
【0043】
第2に、以下の3つの条件を満たすように、誘電体フィルム10Aを巻回す。第1の条件は、基準電極G0および第1電極X2〜X4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第1電極X2〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第1電極X2〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第2の条件は、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第3の条件は、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。
【0044】
上述の3つの条件を満たすように誘電体フィルム10Aを巻回すと、基準電極G0と第1電極X2、第1電極X2と第1電極X3、第1電極X3と第1電極X4、基準電極G0と第2電極Y2、第2電極Y2と第2電極Y3、第2電極Y3と第2電極Y4、基準電極G0と第3電極Z2、第3電極Z2と第3電極Z3、第3電極Z3と第3電極Z4は、それぞれ、誘電体フィルム10Aを挟んで対向し、対向する領域では、容量が形成されることとなる。以降では、誘電体フィルム10Aを挟んで基準電極G0と第1電極X2とが対向して形成される容量を、容量C10と呼ぶこととする。また、基準電極G0と第2電極Y2、基準電極G0と第3電極Z2、第3電極Z2と第3電極Z3、第3電極Z3と第3電極Z4についても、誘電体フィルム10Aを挟んで対向して形成される容量を、それぞれ、容量C20、C30、C32、C33と呼ぶこととする。
【0045】
以上の容量C10、C12、C13は、図6に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路21Aを形成することとなる。また、以上の容量C20、C22、C23は、図6に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路22Aを形成することとなる。また、以上の容量C30、C32、C33は、図6に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路23Aを形成することとなる。
【0046】
ここで、上述のように、抵抗R11は、第1電極X2と第2電極Y2とを接続する。このため、容量C10、C20は、抵抗R11を介して並列接続されることとなる。また、容量C20、C30は、抵抗R12を介して並列接続されることとなる。また、容量C12、C22は、抵抗R11、R21を介して並列接続され、容量C22、C32は、抵抗R12、R22を介して並列接続される。また、容量C13、C23は、抵抗R21、R31を介して並列接続され、容量C23、C33は、抵抗R22、R32を介して並列接続される。
【0047】
第3に、以下の3つの条件を満たすように、誘電体フィルム10Aを巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム10Aを挟んで基準電極G0と第1電極X2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第1電極X2、X3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第1電極X3、X4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第2の条件は、誘電体フィルム10Aを挟んで基準電極G0と第2電極Y2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第2電極Y2、Y3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第2電極Y3、Y4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第3の条件は、誘電体フィルム10Aを挟んで基準電極G0と第3電極Z2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第3電極Z2、Z3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第3電極Z3、Z4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。
【0048】
上述の3つの条件を満たすように誘電体フィルム10Aを巻回すと、容量C10、C12、C13のそれぞれの静電容量が等しくなる。また、容量C20、C22、C23のそれぞれの静電容量も等しくなるとともに、容量C30、C32、C33のそれぞれの静電容量も等しくなる。
【0049】
以上のフィルタ回路1Aによれば、フィルタ回路1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0050】
フィルタ回路1Aでは、容量C10、C20は、抵抗R11を介して並列接続され、容量C20、C30は、抵抗R12を介して並列接続される。また、容量C12、C22は、抵抗R11、R21を介して並列接続され、容量C22、C32は、抵抗R12、R22を介して並列接続される。また、容量C13、C23は、抵抗R21、R31を介して並列接続され、容量C23、C33は、抵抗R22、R32を介して並列接続される。このため、抵抗R11、R12、R21、R22、R31、R32のそれぞれの抵抗値を等しくすることで、容量C10、C12、C13のそれぞれの電極間電圧の比と、容量C20、C22、C23のそれぞれの電極間電圧の比と、容量C30、C32、C33のそれぞれの電極間電圧の比と、を等しくすることができる。これによれば、フィルタ回路1Aでは、フィルタ回路1と比べて、等電位電界をより安定して形成させることができ、単位フィルタ回路21A、22A、23Aに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを的確に防止できる。
【0051】
<第3実施形態>
図7、8を用いて、本発明の第3実施形態に係るフィルタ回路1Bについて説明する。フィルタ回路1Bは、本発明の第2実施形態に係るフィルタ回路1Aとは、平面状フィルタ回路2Aの代わりに平面状フィルタ回路2Bを備える点が異なる。平面状フィルタ回路2Bは、平面状フィルタ回路2Aとは、第4電極M1〜M4を備える点と、ダイオードD1〜D6を備える点と、誘電体フィルム10Aの代わりに誘電体フィルム10Bを備える点と、が異なる。なお、フィルタ回路1Bにおいて、フィルタ回路1Aと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
誘電体フィルム10Bは、絶縁性を有し、帯状に形成される。誘電体フィルム10Bの一方の面には、誘電体フィルム10Aの一方の面と同様に基準電極G0、第1電極X2〜X4、第2電極Y2〜Y4、第3電極Z2〜Z4、抵抗R11、R12、R21、R22、R31、R32が形成されるとともに、第4電極M1〜M4が、基準電極G0および第1電極X2〜X4と並んで形成される。
【0053】
また、ダイオードD1のアノードには、基準電極G0が接続され、ダイオードD1のカソードには、第4電極M2が接続される。ダイオードD2のアノードには、第4電極M2が接続され、ダイオードD2のカソードには、第1電極X2が接続される。ダイオードD3のアノードには、第1電極X2が接続され、ダイオードD3のカソードには、第4電極M3が接続される。ダイオードD4のアノードには、第4電極M3が接続され、ダイオードD4のカソードには、第1電極X3が接続される。ダイオードD5のアノードには、第1電極X3が接続され、ダイオードD5のカソードには、第4電極M4が接続される。ダイオードD6のアノードには、第4電極M4が接続され、ダイオードD6のカソードには、第1電極X4が接続される。
【0054】
以上の誘電体フィルム10Bを後述のように巻回すことにより、平面状フィルタ回路2Bを、平面状フィルタ回路2Aと同様に巻回す。
【0055】
具体的には、第1に、基準電極G0、第1電極X2〜X4、第2電極Y2〜Y4、第3電極Z2〜Z4、第4電極M1〜M4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側に位置するように、誘電体フィルム10Bを巻回す。
【0056】
第2に、以下の4つの条件を満たすように、誘電体フィルム10Bを巻回す。第1の条件は、基準電極G0および第1電極X2〜X4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第1電極X2〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第1電極X2〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第2の条件は、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第3の条件は、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第4の条件は、第4電極M1〜M4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、第4電極M1〜M4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、第4電極M1〜M4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。
【0057】
上述の4つの条件を満たすように誘電体フィルム10Bを巻回すと、誘電体フィルム10Aを巻回した場合と同様に、容量C10、C12、C13、C20、C22、C23、C30、C32、C33が形成されることとなる。また、第4電極M1と第4電極M2、第4電極M2と第4電極M3、第4電極M3と第4電極M4は、それぞれ、誘電体フィルム10Bを挟んで対向し、対向する領域では、容量C1、C2、C3が形成されることとなる。そして、これら容量C1〜C3は、図8に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路24Aを形成することとなる。さらに、これら容量C1〜C3と容量C10、C12、C13とは、ダイオードD1〜D6とコッククロフト・ウォルトン回路を形成する。
【0058】
容量C10には、ダイオードD1、D2を直列接続したものが並列接続され、容量C2には、ダイオードD2、D3を直列接続したものが並列接続され、容量C12には、ダイオードD3、D4を直列接続したものが並列接続され、容量C3には、ダイオードD4、D5を直列接続したものが並列接続され、容量C13には、ダイオードD5、D6を直列接続したものが並列接続される。容量C1には、ダイオードD1と交流電源ACとを直列接続したものが並列接続される。
【0059】
なお、ダイオードD1〜D6のそれぞれの順方向電圧は、等しいものとする。
【0060】
第3に、以下の4つの条件を満たすように、誘電体フィルム10Bを巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム10Bを挟んで基準電極G0と第1電極X2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第1電極X2、X3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第1電極X3、X4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第2の条件は、誘電体フィルム10Bを挟んで基準電極G0と第2電極Y2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第2電極Y2、Y3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第2電極Y3、Y4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第3の条件は、誘電体フィルム10Bを挟んで基準電極G0と第3電極Z2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第3電極Z2、Z3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第3電極Z3、Z4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第4の条件は、誘電体フィルム10Bを挟んで第4電極M1、M2が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第4電極M2、M3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第4電極M3、M4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。
【0061】
上述の4つの条件を満たすように誘電体フィルム10Bを巻回すと、容量C10、C12、C13のそれぞれの静電容量が等しくなる。また、容量C20、C22、C23のそれぞれの静電容量も等しくなり、容量C30、C32、C33のそれぞれの静電容量も等しくなるとともに、容量C1〜C3のそれぞれの静電容量も等しくなる。
【0062】
以上のフィルタ回路1Bによれば、フィルタ回路1Aが奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0063】
フィルタ回路1Bには、容量C1〜C3、C10、C12、C13およびダイオードD1〜D6によりコッククロフト・ウォルトン回路が形成される。そして、容量C1〜C3のそれぞれの静電容量が等しいとともに、容量C10、C12、C13のそれぞれの静電容量が等しい。このため、容量C1〜C3、C10、C12、C13のうち特定の容量でのみ電極間電圧が耐電圧を超えてしまうのを防止しつつ、コッククロフト・ウォルトン回路および交流電源ACにより高電圧を生成することができる。
【0064】
<第4実施形態>
図9〜13を用いて、本発明の第4実施形態に係るフィルタ回路1Cについて説明する。フィルタ回路1Cは、本発明の第1実施形態に係るフィルタ回路1とは、平面状フィルタ回路2の代わりに平面状フィルタ回路2Cを備える点が異なる。平面状フィルタ回路2Cは、平面状フィルタ回路2とは、誘電体フィルムの一方の面だけでなく他方の面にも、電極が形成される点が異なる。具体的には、平面状フィルタ回路2Cは、平面状フィルタ回路2とは、第1電極X1〜X4の代わりに第1電極X11〜X13、X21、X22を備える点と、第2電極Y1〜Y4の代わりに第2電極Y11〜Y13、Y21、Y22を備える点と、誘電体フィルム10の代わりに誘電体フィルム11、12を備える点と、が異なる。
【0065】
誘電体フィルム11は、絶縁性を有し、帯状に形成される。第1電極X11〜X13は、図9と、図9の平面状フィルタ回路2CのB−B断面図である図10と、に示すように、誘電体フィルム11の一方の面に、この誘電体フィルム11の長手方向に並んで形成される。なお、図9の平面状フィルタ回路2Cでは、便宜上、誘電体フィルム12の図示を省略している。第2電極Y11〜Y13は、図9に示すように、誘電体フィルム11の一方の面に、第1電極X11〜X13と並んで形成される。
【0066】
第1電極X21、X22は、図9、10に示すように、誘電体フィルム11の他方の面に、この誘電体フィルム11の長手方向に並んで形成される。第2電極Y21、Y22は、図9に示すように、誘電体フィルム11の他方の面に、第1電極X21、X22と並んで形成される。
【0067】
第1電極X12は、誘電体フィルム11を挟んで、互いに隣接する第1電極X21、X22と対向する。
【0068】
第1電極X21、X22のそれぞれは、誘電体フィルム11を挟んで、第1電極X11〜X13のうち互いに隣接する2つと対向する。具体的には、誘電体フィルム11を挟んで、第1電極X21は、第1電極X11、X12と対向し、第1電極X22は、第1電極X12、X13と対向する。
【0069】
第1電極X11と第1電極X21、第1電極X21と第1電極X12、第1電極X12と第1電極X22、第1電極X22と第1電極X13は、それぞれ、誘電体フィルム11を挟んで対向する領域で、容量C41〜C44を形成する。容量C41〜C44は、図11に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路25を形成する。
【0070】
なお、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X11、X21が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X21、X12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X12、X22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X22、X13が対向する領域の面積と、は等しいものとする。このため、容量C41〜C44のそれぞれの静電容量は、等しい。
【0071】
第2電極Y12は、誘電体フィルム11を挟んで、互いに隣接する第2電極Y21、Y22と対向する。
【0072】
第2電極Y21、Y22のそれぞれは、誘電体フィルム11を挟んで、第2電極Y11〜Y13のうち互いに隣接する2つと対向する。具体的には、誘電体フィルム11を挟んで、第2電極Y21は、第2電極Y11、Y12と対向し、第2電極Y22は、第2電極Y12、Y13と対向する。
【0073】
第2電極Y11と第2電極Y21、第2電極Y21と第2電極Y12、第2電極Y12と第2電極Y22、第2電極Y22と第2電極Y13は、それぞれ、誘電体フィルム11を挟んで対向する領域で、容量C51〜C54を形成する。容量C51〜C54は、図11に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路26を形成する。
【0074】
なお、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y11、Y21が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y21、Y12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y12、Y22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y22、Y13が対向する領域の面積と、は等しいものとする。このため、容量C51〜C54のそれぞれの静電容量は、等しい。
【0075】
図10に戻って、誘電体フィルム12は、誘電体フィルム11と等しい厚さおよび誘電率を有するとともに、絶縁性を有し、誘電体フィルム11の長手方向に帯状に形成される。誘電体フィルム11と誘電体フィルム12とは、第1電極X21、X22および第2電極Y21、Y22を挟持する。
【0076】
以上の誘電体フィルム11、12を後述のように巻回すことにより、平面状フィルタ回路2Cを、図12に示すように巻回す。
【0077】
具体的には、第1に、第1電極X11〜X13、第2電極Y11〜Y13のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム11のうち自身の形成されている部分より外周側に位置するとともに、第1電極X21、X22、第2電極Y21、Y22のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム11のうち自身の形成されている部分より内周側に位置するように、誘電体フィルム11、12を巻回す。
【0078】
第2に、以下の2つの条件を満たすように、誘電体フィルム11、12を巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム12を挟んで、互いに隣接する第1電極X21、X22と第1電極X12とが対向するとともに、互いに隣接する第1電極X12、X13と第1電極X22とが対向するということである。第2の条件は、誘電体フィルム12を挟んで、互いに隣接する第2電極Y21、Y22と第2電極Y12とが対向するとともに、互いに隣接する第2電極Y12、Y13と第2電極Y22とが対向するということである。
【0079】
上述の2つの条件を満たすように誘電体フィルム11、12を巻回すと、第1電極X21と第1電極X12、第1電極X12と第1電極X22、第1電極X22と第1電極X13、第2電極Y21と第2電極Y12、第2電極Y12と第2電極Y22、第2電極Y22と第2電極Y13は、それぞれ、誘電体フィルム12を挟んで対向し、対向する領域では、容量C61〜C63、C71〜C73が形成されることとなる。
【0080】
以上の容量C61〜C63、C71〜C73は、それぞれ、図13に示すように、直列接続された状態となる。ここで、容量C61は、容量C42と同様に、第1電極X21および第1電極X12により形成される。このため、容量C61は、容量C42と並列接続された状態と見なすことができる。容量C62、C63、C71〜C73についても、容量C61と同様に、それぞれ、容量C43、C44、C52〜C54と並列接続された状態と見なすことができる。以降では、容量C42〜C44のそれぞれに容量C61〜C63のそれぞれが並列接続された単位フィルタ回路25を、単位フィルタ回路25Aと呼ぶこととする。また、容量C52〜C54のそれぞれに容量C71〜C73のそれぞれが並列接続された単位フィルタ回路26を、単位フィルタ回路26Aと呼ぶこととする。
【0081】
第3に、以下の2つの条件を満たすように、誘電体フィルム11、12を巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム12を挟んで第1電極X21、X12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第1電極X12、X22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第1電極X22、X13が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X11、X21が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X21、X12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X12、X22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X22、X13が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第2の条件は、誘電体フィルム12を挟んで第2電極Y21、Y12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第2電極Y12、Y22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第2電極Y22、Y13が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y11、Y21が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y21、Y12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y12、Y22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y22、Y13が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。
【0082】
上述の2つの条件を満たすように誘電体フィルム11、12を巻回すと、容量C61〜C63のそれぞれの静電容量が等しくなるとともに、容量C71〜C73のそれぞれの静電容量も等しくなる。
【0083】
ここで、上述のように、誘電体フィルム12の厚さおよび誘電率は、それぞれ、誘電体フィルム11の厚さおよび誘電率と等しく、かつ、誘電体フィルム11を挟んで第1電極同士が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第1電極同士が対向する領域の面積と、が等しいとともに、誘電体フィルム11を挟んで第2電極同士が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第2電極同士が対向する領域の面積と、が等しい。このため、容量C61〜C63のそれぞれの静電容量は、容量C41〜C44のそれぞれの静電容量に等しく、容量C71〜C73のそれぞれの静電容量は、容量C51〜C54のそれぞれの静電容量に等しいこととなる。
【0084】
以上のフィルタ回路1Cによれば、フィルタ回路1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0085】
フィルタ回路1Cでは、容量C42〜C44のそれぞれに、静電容量の等しい容量C61〜C63のそれぞれが並列接続されるとともに、容量C52〜C54のそれぞれに、静電容量の等しい容量C71〜C73のそれぞれが並列接続される。このため、フィルタ回路1Cは、フィルタ回路1と比べて、等電位電界をより安定して形成することができるので、単位フィルタ回路25A、26Aに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのをより的確に防止できる。
【0086】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0087】
例えば、上述の各実施形態では、絶縁性を有し、帯状に形成される帯状部材として、誘電体フィルムを用いた。この誘電体フィルムは、例えばポリイミドフィルムで形成されてもよい。また、上述の帯状部材を、例えばセラミックで形成してもよい。
【0088】
また、上述の第4実施形態では、第1電極X11〜X13、X21、X22および第2電極Y11〜Y13、Y21、Y22を、誘電体フィルム11に形成したが、これに限らない。例えば、第1電極X11〜X13および第2電極Y11〜Y13を、誘電体フィルム11の一方の面に形成し、第1電極X21、X22および第2電極Y21、Y22を、誘電体フィルム12の一方の面に形成し、誘電体フィルム11と誘電体フィルム12とで第1電極X21、X22および第2電極Y21、Y22を挟持することとしてもよい。
【0089】
また、上述の第1実施形態では、第1電極X1〜X4の4つの第1電極と、第2電極Y1〜Y4の4つの第4電極と、を誘電体フィルム10に形成したが、誘電体フィルム10に形成する第1電極および第2電極の数は、4つに限らず、任意の数であってよい。また、上述の第2実施形態、第3実施形態、および第4実施形態においても、誘電体フィルムに形成する電極の数は、任意の数であってよい。
【0090】
また、上述の第1実施形態では、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X1、X2が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X2、X3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X3、X4が対向する領域の面積と、が等しくなるように誘電体フィルム10を巻回したが、これに限らず、容量C11〜C13のそれぞれの静電容量が等しくなるように誘電体フィルム10を巻回せばよい。
【0091】
また、上述の第4実施形態では、誘電体フィルム11、12の厚さおよび誘電率が等しく、かつ、誘電体フィルム11を挟んで電極同士が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで電極同士が対向する領域の面積と、が等しいものとしたが、これに限らない。誘電体フィルム11を挟んで形成される容量の静電容量と、誘電体フィルム12を挟んで形成される容量の静電容量と、が等しければ、誘電体フィルム11と誘電体フィルム12とで、厚さや誘電率が異なっていたり、上述の電極同士の対向する領域の面積が異なっていたりしてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1、1A、1B、1C;フィルタ回路
2、2A、2B、2C;平面状フィルタ回路
10、10A、10B、11、12;誘電体フィルム
21、22、25、26、21A〜26A;単位フィルタ回路
C1〜C3、C10〜C13、C20〜C23、C30〜C33、C41〜C44、C51〜C54、C61〜C63、C71〜C73;容量
G0;基準電極
X1〜X4、X11〜X13、X21、X22;第1電極
Y1〜Y4、Y11〜Y13、Y21、Y22;第2電極
Z2〜Z4;第3電極
M1〜M4;第4電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルタ回路は、様々な回路や装置に用いられる。例えば特許文献1、2には、フィルタ回路を用いた直流電源が示されている。これら直流電源は、フィルタ回路に加えて、交流電圧を整流および昇圧するコッククロフト・ウォルトン回路を備えており、コッククロフト・ウォルトン回路の出力をフィルタ回路により平滑して、直流電圧を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−116673号公報
【特許文献2】特開2001−16853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に示されている直流電源では、交流電圧の交流成分やノイズがフィルタ回路に伝搬してしまうと、出力する直流電圧にリプルが発生してしまう。そこで、交流電圧の交流成分やノイズがフィルタ回路に伝搬するのを防止するために、例えば特許文献1では、フィルタ回路に対してシールドを施している。しかしながら、フィルタ回路に対してシールドを施すと、フィルタ回路が大型化してしまい、直流電源を小型化できない。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、フィルタ回路を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、絶縁性を有し、帯状に形成された帯状部材(例えば、図1の誘電体フィルム10に相当)と、前記帯状部材の一方の面に、当該帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1電極(例えば、図1の第1電極X1〜X4に相当)と、前記帯状部材の一方の面に、前記複数の第1電極と並んで形成された複数の第2電極(例えば、図1の第2電極Y1〜Y4に相当)と、を備え、前記帯状部材は、巻回され、前記第1電極は、巻回された前記帯状部材のうち当該第1電極より外周側の部分を挟んで、当該第1電極とは異なる1つの第1電極と対向するとともに、巻回された前記帯状部材のうち当該第1電極より内周側の部分を挟んで、当該第1電極とは異なる1つの第1電極と対向し、前記帯状部材を挟んで前記第1電極同士が対向する領域の各静電容量は、等しく、前記第2電極は、巻回された前記帯状部材のうち当該第2電極より外周側の部分を挟んで、当該第2電極とは異なる1つの第2電極と対向するとともに、巻回された前記帯状部材のうち当該第2電極より内周側の部分を挟んで、当該第2電極とは異なる1つの第2電極と対向し、前記帯状部材を挟んで前記第2電極同士が対向する領域の各静電容量は、等しいことを特徴とするフィルタ回路(例えば、図3のフィルタ回路1に相当)を提案している。
【0007】
この発明によれば、帯状部材の一方の面に、複数の第1電極を形成するとともに、これら複数の第1電極と並んで複数の第2電極を形成し、この帯状部材を巻回した。また、第1電極を、帯状部材のうちこの第1電極より外周側の部分を挟んで他の1つの第1電極と対向させるとともに、帯状部材のうちこの第1電極よりも内周側の部分を挟んで他の1つの第1電極と対向させた。第2電極についても、第1電極と同様に、帯状部材のうちこの第2電極より外周側の部分を挟んで他の1つの第2電極と対向させるとともに、帯状部材のうちこの第2電極よりも内周側の部分を挟んで他の1つの第2電極と対向させた。このため、帯状部材を挟んで第1電極同士が対向する領域では、容量が形成され、これら容量は直列接続された状態になる。また、帯状部材を挟んで第2電極同士が対向する領域では、容量が形成され、これら容量も直列接続された状態になる。したがって、第1電極によりフィルタを形成するとともに、第2電極によりフィルタを形成することができる。
【0008】
また、第1電極により形成される容量の各静電容量は等しく、第2電極により形成される容量の各静電容量も等しい。このため、第1電極により形成されるフィルタと、第2電極により形成されるフィルタと、に電圧を印加すると、巻回された帯状部材には、内周部から外周部または外周部から内周部に向かって、等電位電界が形成されることとなる。このため、これらフィルタに対してシールドを施さなくても、これらフィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを防止できる。したがって、フィルタに対するシールドが不要となるので、これらフィルタを備えるフィルタ回路を小型化できる。
【0009】
(2) 本発明は、(1)のフィルタ回路について、前記複数の第2電極は、前記複数の第1電極と対に形成され、前記複数の第2電極のそれぞれは、前記複数の第1電極のうち対に形成されたものと接続されることを特徴とするフィルタ回路(例えば、図6のフィルタ回路1Aに相当)を提案している。
【0010】
この発明によれば、(1)のフィルタ回路において、複数の第2電極を複数の第1電極と対に形成し、これら複数の第2電極のそれぞれを、複数の第1電極のうち対に設けられたものと接続した。
【0011】
このため、第1電極により形成される各容量と、第2電極により形成される各容量と、を並列接続させることができるので、上述の等電位電界をより安定して形成させることができ、フィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを的確に防止できる。
【0012】
(3) 本発明は、絶縁性を有し、帯状に形成された第1の帯状部材(例えば、図9の誘電体フィルム11に相当)と、前記第1の帯状部材の一方の面に、当該第1の帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1の一方電極(例えば、図9の第1電極X11〜X13に相当)と、前記第1の帯状部材の一方の面に、前記複数の第1の一方電極と並んで形成された複数の第2の一方電極(例えば、図9の第2電極Y11〜Y13に相当)と、前記第1の帯状部材の他方の面に、当該第1の帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1の他方電極(例えば、図9の第1電極X21、X22に相当)と、前記第1の帯状部材の他方の面に、前記複数の第1の他方電極と並んで形成された複数の第2の他方電極(例えば、図9の第2電極Y21、Y22に相当)と、前記第1の帯状部材と等しい厚さおよび誘電率を有するとともに、絶縁性を有し、当該第1の帯状部材の長手方向に帯状に形成され、前記複数の第1の他方電極および前記複数の第2の他方電極を当該第1の帯状部材と挟持する第2の帯状部材(例えば、図10の誘電体フィルム12に相当)と、を備え、前記第1の帯状部材および前記第2の帯状部材は、巻回され、前記第1の一方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、前記第1の他方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、前記第1の帯状部材を挟んで前記第1の一方電極と前記第1の他方電極とが対向する領域の各静電容量と、前記第2の帯状部材を挟んで前記第1の一方電極と前記第1の他方電極とが対向する領域の各静電容量とは、等しく、前記第2の一方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、前記第2の他方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、前記第1の帯状部材を挟んで前記第2の一方電極と前記第2の他方電極とが対向する領域の各静電容量と、前記第2の帯状部材を挟んで前記第2の一方電極と前記第2の他方電極とが対向する領域の各静電容量とは、等しいことを特徴とするフィルタ回路(例えば、図12のフィルタ回路1Cに相当)を提案している。
【0013】
この発明によれば、第1の帯状部材の一方の面に、複数の第1の一方電極を形成するとともに、これら複数の第1の一方電極と並んで複数の第2の一方電極を形成した。また、第2の帯状部材の他方の面に、複数の第1の他方電極を形成するとともに、これら複数の第1の他方電極と並んで第2の他方電極を形成した。また、複数の第1の他方電極および複数の第2の他方電極を、第1の帯状部材と第2の帯状部材とで挟持させ、これら第1の帯状部材および第2の帯状部材を巻回した。また、第1の一方電極を、互いに隣接する2つの第1の他方電極と第1の帯状部材を挟んで対向させるとともに、互いに隣接する2つの第1の他方電極と第2の帯状部材を挟んで対向させた。また、第1の他方電極を、互いに隣接する2つの第1の一方電極と第1の帯状部材を挟んで対向させるとともに、互いに隣接する2つの第1の一方電極と第2の帯状部材を挟んで対向させた。また、第2の一方電極を、互いに隣接する2つの第2の他方電極と第1の帯状部材を挟んで対向させるとともに、互いに隣接する2つの第2の他方電極と第2の帯状部材を挟んで対向させた。また、第2の他方電極を、互いに隣接する2つの第2の一方電極と第1の帯状部材を挟んで対向させるとともに、互いに隣接する2つの第2の一方電極と第2の帯状部材を挟んで対向させた。
【0014】
このため、第1の帯状部材を挟んで第1の一方電極と第1の他方電極とが対向する領域では、容量が形成され、これら容量は直列接続された状態になる。また、第2の帯状部材を挟んで第1の一方電極と第1の他方電極とが対向する領域でも、容量が形成され、これら容量は直列接続された状態となる。第2の一方電極および第2の他方電極においても、第1の一方電極および第1の他方電極と同様に、第1の帯状部材を挟んで対向する領域と、第2の帯状部材を挟んで対向する領域と、で容量が形成される。そして、第1の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量が直列接続されるとともに、第2の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量も直列接続される。以上より、第1の一方電極および第1の他方電極によりフィルタを形成するとともに、第2の一方電極および第2の他方電極によりフィルタを形成することができる。
【0015】
また、第1の帯状部材を挟んで第1の一方電極および第1の他方電極により形成される容量の各静電容量と、第2の帯状部材を挟んで第1の一方電極および第1の他方電極により形成される容量の各静電容量と、は等しい。また、第1の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量の各静電容量と、第2の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量の各静電容量と、は等しい。このため、第1の一方電極および第1の他方電極により形成されるフィルタと、第2の一方電極および第2の他方電極により形成されるフィルタと、に電圧を印加すると、巻回された第1の帯状部材および第2の帯状部材には、内周部から外周部または外周部から内周部に向かって、等電位電界が形成されることとなる。このため、これらフィルタに対してシールドを施さなくても、これらフィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを防止できる。したがって、フィルタに対するシールドが不要となるので、これらフィルタを備えるフィルタ回路を小型化できる。
【0016】
また、第1の帯状部材を挟んで第1の一方電極および第1の他方電極により形成される容量には、第2の帯状部材を挟んで同一の第1の一方電極および第1の他方電極により形成される容量が、並列接続される。また、第1の帯状部材を挟んで第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量には、第2の帯状部材を挟んで同一の第2の一方電極および第2の他方電極により形成される容量が、並列接続されることとなる。このため、上述の等電位電界をより安定して形成させることができるので、フィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのをより的確に防止できる。
【0017】
(4) 本発明は、(3)のフィルタ回路について、前記複数の第2の一方電極は、前記複数の第1の一方電極と対に形成され、前記複数の第2の他方電極は、前記複数の第1の他方電極と対に形成され、前記複数の第2の一方電極のそれぞれは、前記複数の第1の一方電極のうち対に形成されたものと接続され、前記複数の第2の他方電極のそれぞれは、前記複数の第1の他方電極のうち対に形成されたものと接続されることを特徴とするフィルタ回路を提案している。
【0018】
この発明によれば、(3)のフィルタ回路において、複数の第2の一方電極を複数の第1の一方電極と対に形成するとともに、複数の第2の他方電極を複数の第1の他方電極と対に形成した。また、複数の第2の一方電極のそれぞれを、複数の第1の一方電極のうち対に設けられたものと接続するとともに、複数の第2の他方電極のそれぞれを、複数の第1の他方電極のうち対に設けられたものと接続した。
【0019】
このため、第1の一方電極および第1の他方電極により形成される各容量と、第2の一方電極および第2の他方電極により形成される各容量と、を並列接続させることができるので、上述の等電位電界をより安定して形成させることができ、フィルタに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを的確に防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フィルタ回路を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係るフィルタ回路が備える平面状フィルタ回路の正面図である。
【図2】図1の平面状フィルタ回路のA−A断面図である。
【図3】前記フィルタ回路の模式図である。
【図4】前記フィルタ回路の等価回路図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るフィルタ回路が備える平面状フィルタ回路の正面図である。
【図6】前記フィルタ回路の等価回路図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るフィルタ回路が備える平面状フィルタ回路の正面図である。
【図8】前記フィルタ回路の等価回路図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るフィルタ回路が備える平面状フィルタ回路の正面図である。
【図10】図9の平面状フィルタ回路のB−B断面図である。
【図11】前記平面状フィルタ回路の等価回路図である。
【図12】前記フィルタ回路の模式図である。
【図13】前記フィルタ回路の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0023】
<第1実施形態>
図1、2、3、4を用いて、本発明の第1実施形態に係るフィルタ回路1について説明する。
【0024】
フィルタ回路1は、図3を用いて後述するように平面状フィルタ回路2を巻回すことにより、形成される。この平面状フィルタ回路2は、図1に示すように、帯状部材としての誘電体フィルム10と、第1電極X1〜X4と、第2電極Y1〜Y4と、を備える。
【0025】
誘電体フィルム10は、絶縁性を有し、帯状に形成される。第1電極X1〜X4は、図1と、図1の平面状フィルタ回路2のA−A断面図である図2と、に示すように、誘電体フィルム10の一方の面に、この誘電体フィルム10の長手方向に並んで形成される。第2電極Y1〜Y4は、図1に示すように、誘電体フィルム10の一方の面に、第1電極X1〜X4と並んで形成される。
【0026】
以上の誘電体フィルム10を後述のように巻回すことにより、平面状フィルタ回路2を、図3に示すように巻回す。
【0027】
具体的には、第1に、第1電極X1〜X4および第2電極Y1〜Y4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より外周側に位置するように、誘電体フィルム10を巻回す。これによれば、例えば第1電極X1は、巻回された誘電体フィルム10のうち第1電極X1の形成されている部分より外周側に、位置することとなる。
【0028】
第2に、以下の2つの条件を満たすように、誘電体フィルム10を巻回す。第1の条件は、第1電極X1〜X4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、第1電極X1〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、第1電極X1〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第2の条件は、第2電極Y1〜Y4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、第2電極Y1〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10のうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、第2電極Y1〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。
【0029】
上述の2つの条件を満たすように誘電体フィルム10を巻回すと、第1電極X1と第1電極X2、第1電極X2と第1電極X3、第1電極X3と第1電極X4、第2電極Y1と第2電極Y2、第2電極Y2と第2電極Y3、第2電極Y3と第2電極Y4は、それぞれ、誘電体フィルム10を挟んで対向し、対向する領域では、容量が形成されることとなる。以降では、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X1と第1電極X2とが対向して形成される容量を、容量C11と呼ぶこととする。また、第1電極X2と第1電極X3、第1電極X3と第1電極X4、第2電極Y1と第2電極Y2、第2電極Y2と第2電極Y3、第2電極Y3と第2電極Y4についても、誘電体フィルム10を挟んで対向して形成される容量を、それぞれ、容量C12、C13、C21、C22、C23と呼ぶこととする。
【0030】
以上の容量C11〜C13は、図4に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路21を形成することとなる。また、以上の容量C21〜C23は、図4に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路22を形成することとなる。
【0031】
第3に、以下の2つの条件を満たすように、誘電体フィルム10を巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X1、X2が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X2、X3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X3、X4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第2の条件は、誘電体フィルム10を挟んで第2電極Y1、Y2が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第2電極Y2、Y3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第2電極Y3、Y4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。
【0032】
上述の2つの条件を満たすように誘電体フィルム10を巻回すと、容量C11〜C13のそれぞれの静電容量が等しくなるとともに、容量C21〜C23のそれぞれの静電容量が等しくなる。
【0033】
ここで仮に、第1電極X1および第2電極Y1を基準電位源に接続するとともに、第1電極X4および第2電極Y4に3kVの電位源に接続したものとする。すると、図4に示すように、第1電極X2の電位は1kVになり、第1電極X3の電位は2kVになる。また、第2電極Y2の電位は1kVになり、第2電極Y3の電位は2kVになる。このため、容量C11〜C13のそれぞれの電極間電圧が等しくなるとともに、容量C21〜C23のそれぞれの電極間電圧が等しくなり、フィルタ回路1には、内周部から外周部に向かって、等電位電界が形成されることとなる。
【0034】
以上のフィルタ回路1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0035】
フィルタ回路1は、第1電極X1〜X4により形成される単位フィルタ回路21を備えるとともに、第2電極Y1〜Y4により形成される単位フィルタ回路22を備える。このため、単位フィルタ回路21によりフィルタを形成するとともに、単位フィルタ回路22によりフィルタを形成することができる。
【0036】
また、フィルタ回路1では、第1電極X1〜X4により形成される容量C11〜C13のそれぞれの静電容量が等しいとともに、第2電極Y1〜Y4により形成される容量C21〜C23のそれぞれの静電容量が等しい。このため、単位フィルタ回路21の一端と他端との間に電圧を印加すると、容量C11〜C13のそれぞれの電極間電圧が等しくなる。また、単位フィルタ回路22の一端と他端との間に電圧を印加すると、容量C21〜C23のそれぞれの電極間電圧が等しくなる。したがって、フィルタ回路1には、内周部から外周部または外周部から内周部に向かって、等電位電界が形成されることとなる。よって、単位フィルタ回路21、22に対してシールドを施さなくても、これら単位フィルタ回路21、22に交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを防止できる。よって、フィルタに対するシールドが不要となるので、フィルタ回路1を小型化できる。
【0037】
<第2実施形態>
図5、6を用いて、本発明の第2実施形態に係るフィルタ回路1Aについて説明する。フィルタ回路1Aは、本発明の第1実施形態に係るフィルタ回路1とは、平面状フィルタ回路2の代わりに平面状フィルタ回路2Aを備える点が異なる。平面状フィルタ回路2Aは、平面状フィルタ回路2とは、第3電極Z2〜Z4を備える点と、抵抗R11、R12、R21、R22、R31、R32を備える点と、誘電体フィルム10の代わりに誘電体フィルム10Aを備える点と、第1電極X1および第2電極Y1の代わりに基準電極G0を備える点と、が異なる。なお、フィルタ回路1Aにおいて、フィルタ回路1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
誘電体フィルム10Aは、絶縁性を有し、帯状に形成される。基準電極G0および第1電極X2〜X4は、図5に示すように、誘電体フィルム10Aの一方の面に、この誘電体フィルム10Aの長手方向に並んで形成される。第2電極Y2〜Y4は、誘電体フィルム10Aの一方の面に、第1電極X2〜X4と並んで形成される。第3電極Z2〜Z4は、誘電体フィルム10Aの一方の面に、第2電極Y2〜Y4と並んで形成される。
【0039】
基準電極G0は、第1電極X2〜X4のそれぞれと比べて、誘電体フィルム10Aの短手方向の長さが長く形成されており、基準電極G0は、第1電極X2〜X4を結ぶ直線上に存在するとともに、第2電極Y2〜Y4を結ぶ直線上と、第3電極Z2〜Z4を結ぶ直線上と、にも存在する。
【0040】
抵抗R11は、第1電極X2と第2電極Y2とを接続し、抵抗R12は、第2電極Y2と第3電極Z2とを接続する。抵抗R21は、第1電極X3と第2電極Y3とを接続し、抵抗R22は、第2電極Y3と第3電極Z3とを接続する。抵抗R31は、第1電極X4と第2電極Y4とを接続し、抵抗R32は、第2電極Y4と第3電極Z4とを接続する。
【0041】
以上の誘電体フィルム10Aを後述のように巻回すことにより、平面状フィルタ回路2Aを、平面状フィルタ回路2と同様に巻回す。
【0042】
具体的には、第1に、基準電極G0、第1電極X2〜X4、第2電極Y2〜Y4、第3電極Z2〜Z4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より外周側に位置するように、誘電体フィルム10Aを巻回す。
【0043】
第2に、以下の3つの条件を満たすように、誘電体フィルム10Aを巻回す。第1の条件は、基準電極G0および第1電極X2〜X4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第1電極X2〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第1電極X2〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第2の条件は、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第3の条件は、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Aのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。
【0044】
上述の3つの条件を満たすように誘電体フィルム10Aを巻回すと、基準電極G0と第1電極X2、第1電極X2と第1電極X3、第1電極X3と第1電極X4、基準電極G0と第2電極Y2、第2電極Y2と第2電極Y3、第2電極Y3と第2電極Y4、基準電極G0と第3電極Z2、第3電極Z2と第3電極Z3、第3電極Z3と第3電極Z4は、それぞれ、誘電体フィルム10Aを挟んで対向し、対向する領域では、容量が形成されることとなる。以降では、誘電体フィルム10Aを挟んで基準電極G0と第1電極X2とが対向して形成される容量を、容量C10と呼ぶこととする。また、基準電極G0と第2電極Y2、基準電極G0と第3電極Z2、第3電極Z2と第3電極Z3、第3電極Z3と第3電極Z4についても、誘電体フィルム10Aを挟んで対向して形成される容量を、それぞれ、容量C20、C30、C32、C33と呼ぶこととする。
【0045】
以上の容量C10、C12、C13は、図6に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路21Aを形成することとなる。また、以上の容量C20、C22、C23は、図6に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路22Aを形成することとなる。また、以上の容量C30、C32、C33は、図6に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路23Aを形成することとなる。
【0046】
ここで、上述のように、抵抗R11は、第1電極X2と第2電極Y2とを接続する。このため、容量C10、C20は、抵抗R11を介して並列接続されることとなる。また、容量C20、C30は、抵抗R12を介して並列接続されることとなる。また、容量C12、C22は、抵抗R11、R21を介して並列接続され、容量C22、C32は、抵抗R12、R22を介して並列接続される。また、容量C13、C23は、抵抗R21、R31を介して並列接続され、容量C23、C33は、抵抗R22、R32を介して並列接続される。
【0047】
第3に、以下の3つの条件を満たすように、誘電体フィルム10Aを巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム10Aを挟んで基準電極G0と第1電極X2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第1電極X2、X3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第1電極X3、X4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第2の条件は、誘電体フィルム10Aを挟んで基準電極G0と第2電極Y2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第2電極Y2、Y3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第2電極Y3、Y4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第3の条件は、誘電体フィルム10Aを挟んで基準電極G0と第3電極Z2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第3電極Z2、Z3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Aを挟んで第3電極Z3、Z4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。
【0048】
上述の3つの条件を満たすように誘電体フィルム10Aを巻回すと、容量C10、C12、C13のそれぞれの静電容量が等しくなる。また、容量C20、C22、C23のそれぞれの静電容量も等しくなるとともに、容量C30、C32、C33のそれぞれの静電容量も等しくなる。
【0049】
以上のフィルタ回路1Aによれば、フィルタ回路1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0050】
フィルタ回路1Aでは、容量C10、C20は、抵抗R11を介して並列接続され、容量C20、C30は、抵抗R12を介して並列接続される。また、容量C12、C22は、抵抗R11、R21を介して並列接続され、容量C22、C32は、抵抗R12、R22を介して並列接続される。また、容量C13、C23は、抵抗R21、R31を介して並列接続され、容量C23、C33は、抵抗R22、R32を介して並列接続される。このため、抵抗R11、R12、R21、R22、R31、R32のそれぞれの抵抗値を等しくすることで、容量C10、C12、C13のそれぞれの電極間電圧の比と、容量C20、C22、C23のそれぞれの電極間電圧の比と、容量C30、C32、C33のそれぞれの電極間電圧の比と、を等しくすることができる。これによれば、フィルタ回路1Aでは、フィルタ回路1と比べて、等電位電界をより安定して形成させることができ、単位フィルタ回路21A、22A、23Aに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのを的確に防止できる。
【0051】
<第3実施形態>
図7、8を用いて、本発明の第3実施形態に係るフィルタ回路1Bについて説明する。フィルタ回路1Bは、本発明の第2実施形態に係るフィルタ回路1Aとは、平面状フィルタ回路2Aの代わりに平面状フィルタ回路2Bを備える点が異なる。平面状フィルタ回路2Bは、平面状フィルタ回路2Aとは、第4電極M1〜M4を備える点と、ダイオードD1〜D6を備える点と、誘電体フィルム10Aの代わりに誘電体フィルム10Bを備える点と、が異なる。なお、フィルタ回路1Bにおいて、フィルタ回路1Aと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
誘電体フィルム10Bは、絶縁性を有し、帯状に形成される。誘電体フィルム10Bの一方の面には、誘電体フィルム10Aの一方の面と同様に基準電極G0、第1電極X2〜X4、第2電極Y2〜Y4、第3電極Z2〜Z4、抵抗R11、R12、R21、R22、R31、R32が形成されるとともに、第4電極M1〜M4が、基準電極G0および第1電極X2〜X4と並んで形成される。
【0053】
また、ダイオードD1のアノードには、基準電極G0が接続され、ダイオードD1のカソードには、第4電極M2が接続される。ダイオードD2のアノードには、第4電極M2が接続され、ダイオードD2のカソードには、第1電極X2が接続される。ダイオードD3のアノードには、第1電極X2が接続され、ダイオードD3のカソードには、第4電極M3が接続される。ダイオードD4のアノードには、第4電極M3が接続され、ダイオードD4のカソードには、第1電極X3が接続される。ダイオードD5のアノードには、第1電極X3が接続され、ダイオードD5のカソードには、第4電極M4が接続される。ダイオードD6のアノードには、第4電極M4が接続され、ダイオードD6のカソードには、第1電極X4が接続される。
【0054】
以上の誘電体フィルム10Bを後述のように巻回すことにより、平面状フィルタ回路2Bを、平面状フィルタ回路2Aと同様に巻回す。
【0055】
具体的には、第1に、基準電極G0、第1電極X2〜X4、第2電極Y2〜Y4、第3電極Z2〜Z4、第4電極M1〜M4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側に位置するように、誘電体フィルム10Bを巻回す。
【0056】
第2に、以下の4つの条件を満たすように、誘電体フィルム10Bを巻回す。第1の条件は、基準電極G0および第1電極X2〜X4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第1電極X2〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第1電極X2〜X4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第2の条件は、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第2電極Y2〜Y4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第3の条件は、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、基準電極G0および第3電極Z2〜Z4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。第4の条件は、第4電極M1〜M4のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より外周側の部分を挟んで、第4電極M1〜M4のうち自身とは異なる1つと対向するとともに、巻回された誘電体フィルム10Bのうち自身の形成されている部分より内周側の部分を挟んで、第4電極M1〜M4のうち自身とは異なる1つと対向するということである。
【0057】
上述の4つの条件を満たすように誘電体フィルム10Bを巻回すと、誘電体フィルム10Aを巻回した場合と同様に、容量C10、C12、C13、C20、C22、C23、C30、C32、C33が形成されることとなる。また、第4電極M1と第4電極M2、第4電極M2と第4電極M3、第4電極M3と第4電極M4は、それぞれ、誘電体フィルム10Bを挟んで対向し、対向する領域では、容量C1、C2、C3が形成されることとなる。そして、これら容量C1〜C3は、図8に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路24Aを形成することとなる。さらに、これら容量C1〜C3と容量C10、C12、C13とは、ダイオードD1〜D6とコッククロフト・ウォルトン回路を形成する。
【0058】
容量C10には、ダイオードD1、D2を直列接続したものが並列接続され、容量C2には、ダイオードD2、D3を直列接続したものが並列接続され、容量C12には、ダイオードD3、D4を直列接続したものが並列接続され、容量C3には、ダイオードD4、D5を直列接続したものが並列接続され、容量C13には、ダイオードD5、D6を直列接続したものが並列接続される。容量C1には、ダイオードD1と交流電源ACとを直列接続したものが並列接続される。
【0059】
なお、ダイオードD1〜D6のそれぞれの順方向電圧は、等しいものとする。
【0060】
第3に、以下の4つの条件を満たすように、誘電体フィルム10Bを巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム10Bを挟んで基準電極G0と第1電極X2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第1電極X2、X3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第1電極X3、X4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第2の条件は、誘電体フィルム10Bを挟んで基準電極G0と第2電極Y2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第2電極Y2、Y3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第2電極Y3、Y4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第3の条件は、誘電体フィルム10Bを挟んで基準電極G0と第3電極Z2とが対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第3電極Z2、Z3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第3電極Z3、Z4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第4の条件は、誘電体フィルム10Bを挟んで第4電極M1、M2が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第4電極M2、M3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10Bを挟んで第4電極M3、M4が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。
【0061】
上述の4つの条件を満たすように誘電体フィルム10Bを巻回すと、容量C10、C12、C13のそれぞれの静電容量が等しくなる。また、容量C20、C22、C23のそれぞれの静電容量も等しくなり、容量C30、C32、C33のそれぞれの静電容量も等しくなるとともに、容量C1〜C3のそれぞれの静電容量も等しくなる。
【0062】
以上のフィルタ回路1Bによれば、フィルタ回路1Aが奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0063】
フィルタ回路1Bには、容量C1〜C3、C10、C12、C13およびダイオードD1〜D6によりコッククロフト・ウォルトン回路が形成される。そして、容量C1〜C3のそれぞれの静電容量が等しいとともに、容量C10、C12、C13のそれぞれの静電容量が等しい。このため、容量C1〜C3、C10、C12、C13のうち特定の容量でのみ電極間電圧が耐電圧を超えてしまうのを防止しつつ、コッククロフト・ウォルトン回路および交流電源ACにより高電圧を生成することができる。
【0064】
<第4実施形態>
図9〜13を用いて、本発明の第4実施形態に係るフィルタ回路1Cについて説明する。フィルタ回路1Cは、本発明の第1実施形態に係るフィルタ回路1とは、平面状フィルタ回路2の代わりに平面状フィルタ回路2Cを備える点が異なる。平面状フィルタ回路2Cは、平面状フィルタ回路2とは、誘電体フィルムの一方の面だけでなく他方の面にも、電極が形成される点が異なる。具体的には、平面状フィルタ回路2Cは、平面状フィルタ回路2とは、第1電極X1〜X4の代わりに第1電極X11〜X13、X21、X22を備える点と、第2電極Y1〜Y4の代わりに第2電極Y11〜Y13、Y21、Y22を備える点と、誘電体フィルム10の代わりに誘電体フィルム11、12を備える点と、が異なる。
【0065】
誘電体フィルム11は、絶縁性を有し、帯状に形成される。第1電極X11〜X13は、図9と、図9の平面状フィルタ回路2CのB−B断面図である図10と、に示すように、誘電体フィルム11の一方の面に、この誘電体フィルム11の長手方向に並んで形成される。なお、図9の平面状フィルタ回路2Cでは、便宜上、誘電体フィルム12の図示を省略している。第2電極Y11〜Y13は、図9に示すように、誘電体フィルム11の一方の面に、第1電極X11〜X13と並んで形成される。
【0066】
第1電極X21、X22は、図9、10に示すように、誘電体フィルム11の他方の面に、この誘電体フィルム11の長手方向に並んで形成される。第2電極Y21、Y22は、図9に示すように、誘電体フィルム11の他方の面に、第1電極X21、X22と並んで形成される。
【0067】
第1電極X12は、誘電体フィルム11を挟んで、互いに隣接する第1電極X21、X22と対向する。
【0068】
第1電極X21、X22のそれぞれは、誘電体フィルム11を挟んで、第1電極X11〜X13のうち互いに隣接する2つと対向する。具体的には、誘電体フィルム11を挟んで、第1電極X21は、第1電極X11、X12と対向し、第1電極X22は、第1電極X12、X13と対向する。
【0069】
第1電極X11と第1電極X21、第1電極X21と第1電極X12、第1電極X12と第1電極X22、第1電極X22と第1電極X13は、それぞれ、誘電体フィルム11を挟んで対向する領域で、容量C41〜C44を形成する。容量C41〜C44は、図11に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路25を形成する。
【0070】
なお、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X11、X21が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X21、X12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X12、X22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X22、X13が対向する領域の面積と、は等しいものとする。このため、容量C41〜C44のそれぞれの静電容量は、等しい。
【0071】
第2電極Y12は、誘電体フィルム11を挟んで、互いに隣接する第2電極Y21、Y22と対向する。
【0072】
第2電極Y21、Y22のそれぞれは、誘電体フィルム11を挟んで、第2電極Y11〜Y13のうち互いに隣接する2つと対向する。具体的には、誘電体フィルム11を挟んで、第2電極Y21は、第2電極Y11、Y12と対向し、第2電極Y22は、第2電極Y12、Y13と対向する。
【0073】
第2電極Y11と第2電極Y21、第2電極Y21と第2電極Y12、第2電極Y12と第2電極Y22、第2電極Y22と第2電極Y13は、それぞれ、誘電体フィルム11を挟んで対向する領域で、容量C51〜C54を形成する。容量C51〜C54は、図11に示すように直列接続された状態になり、単位フィルタ回路26を形成する。
【0074】
なお、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y11、Y21が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y21、Y12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y12、Y22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y22、Y13が対向する領域の面積と、は等しいものとする。このため、容量C51〜C54のそれぞれの静電容量は、等しい。
【0075】
図10に戻って、誘電体フィルム12は、誘電体フィルム11と等しい厚さおよび誘電率を有するとともに、絶縁性を有し、誘電体フィルム11の長手方向に帯状に形成される。誘電体フィルム11と誘電体フィルム12とは、第1電極X21、X22および第2電極Y21、Y22を挟持する。
【0076】
以上の誘電体フィルム11、12を後述のように巻回すことにより、平面状フィルタ回路2Cを、図12に示すように巻回す。
【0077】
具体的には、第1に、第1電極X11〜X13、第2電極Y11〜Y13のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム11のうち自身の形成されている部分より外周側に位置するとともに、第1電極X21、X22、第2電極Y21、Y22のそれぞれが、巻回された誘電体フィルム11のうち自身の形成されている部分より内周側に位置するように、誘電体フィルム11、12を巻回す。
【0078】
第2に、以下の2つの条件を満たすように、誘電体フィルム11、12を巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム12を挟んで、互いに隣接する第1電極X21、X22と第1電極X12とが対向するとともに、互いに隣接する第1電極X12、X13と第1電極X22とが対向するということである。第2の条件は、誘電体フィルム12を挟んで、互いに隣接する第2電極Y21、Y22と第2電極Y12とが対向するとともに、互いに隣接する第2電極Y12、Y13と第2電極Y22とが対向するということである。
【0079】
上述の2つの条件を満たすように誘電体フィルム11、12を巻回すと、第1電極X21と第1電極X12、第1電極X12と第1電極X22、第1電極X22と第1電極X13、第2電極Y21と第2電極Y12、第2電極Y12と第2電極Y22、第2電極Y22と第2電極Y13は、それぞれ、誘電体フィルム12を挟んで対向し、対向する領域では、容量C61〜C63、C71〜C73が形成されることとなる。
【0080】
以上の容量C61〜C63、C71〜C73は、それぞれ、図13に示すように、直列接続された状態となる。ここで、容量C61は、容量C42と同様に、第1電極X21および第1電極X12により形成される。このため、容量C61は、容量C42と並列接続された状態と見なすことができる。容量C62、C63、C71〜C73についても、容量C61と同様に、それぞれ、容量C43、C44、C52〜C54と並列接続された状態と見なすことができる。以降では、容量C42〜C44のそれぞれに容量C61〜C63のそれぞれが並列接続された単位フィルタ回路25を、単位フィルタ回路25Aと呼ぶこととする。また、容量C52〜C54のそれぞれに容量C71〜C73のそれぞれが並列接続された単位フィルタ回路26を、単位フィルタ回路26Aと呼ぶこととする。
【0081】
第3に、以下の2つの条件を満たすように、誘電体フィルム11、12を巻回す。第1の条件は、誘電体フィルム12を挟んで第1電極X21、X12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第1電極X12、X22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第1電極X22、X13が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X11、X21が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X21、X12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X12、X22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第1電極X22、X13が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。第2の条件は、誘電体フィルム12を挟んで第2電極Y21、Y12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第2電極Y12、Y22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第2電極Y22、Y13が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y11、Y21が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y21、Y12が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y12、Y22が対向する領域の面積と、誘電体フィルム11を挟んで第2電極Y22、Y13が対向する領域の面積と、が等しくなるということである。
【0082】
上述の2つの条件を満たすように誘電体フィルム11、12を巻回すと、容量C61〜C63のそれぞれの静電容量が等しくなるとともに、容量C71〜C73のそれぞれの静電容量も等しくなる。
【0083】
ここで、上述のように、誘電体フィルム12の厚さおよび誘電率は、それぞれ、誘電体フィルム11の厚さおよび誘電率と等しく、かつ、誘電体フィルム11を挟んで第1電極同士が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第1電極同士が対向する領域の面積と、が等しいとともに、誘電体フィルム11を挟んで第2電極同士が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで第2電極同士が対向する領域の面積と、が等しい。このため、容量C61〜C63のそれぞれの静電容量は、容量C41〜C44のそれぞれの静電容量に等しく、容量C71〜C73のそれぞれの静電容量は、容量C51〜C54のそれぞれの静電容量に等しいこととなる。
【0084】
以上のフィルタ回路1Cによれば、フィルタ回路1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0085】
フィルタ回路1Cでは、容量C42〜C44のそれぞれに、静電容量の等しい容量C61〜C63のそれぞれが並列接続されるとともに、容量C52〜C54のそれぞれに、静電容量の等しい容量C71〜C73のそれぞれが並列接続される。このため、フィルタ回路1Cは、フィルタ回路1と比べて、等電位電界をより安定して形成することができるので、単位フィルタ回路25A、26Aに交流電圧の交流成分やノイズが伝搬してしまうのをより的確に防止できる。
【0086】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0087】
例えば、上述の各実施形態では、絶縁性を有し、帯状に形成される帯状部材として、誘電体フィルムを用いた。この誘電体フィルムは、例えばポリイミドフィルムで形成されてもよい。また、上述の帯状部材を、例えばセラミックで形成してもよい。
【0088】
また、上述の第4実施形態では、第1電極X11〜X13、X21、X22および第2電極Y11〜Y13、Y21、Y22を、誘電体フィルム11に形成したが、これに限らない。例えば、第1電極X11〜X13および第2電極Y11〜Y13を、誘電体フィルム11の一方の面に形成し、第1電極X21、X22および第2電極Y21、Y22を、誘電体フィルム12の一方の面に形成し、誘電体フィルム11と誘電体フィルム12とで第1電極X21、X22および第2電極Y21、Y22を挟持することとしてもよい。
【0089】
また、上述の第1実施形態では、第1電極X1〜X4の4つの第1電極と、第2電極Y1〜Y4の4つの第4電極と、を誘電体フィルム10に形成したが、誘電体フィルム10に形成する第1電極および第2電極の数は、4つに限らず、任意の数であってよい。また、上述の第2実施形態、第3実施形態、および第4実施形態においても、誘電体フィルムに形成する電極の数は、任意の数であってよい。
【0090】
また、上述の第1実施形態では、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X1、X2が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X2、X3が対向する領域の面積と、誘電体フィルム10を挟んで第1電極X3、X4が対向する領域の面積と、が等しくなるように誘電体フィルム10を巻回したが、これに限らず、容量C11〜C13のそれぞれの静電容量が等しくなるように誘電体フィルム10を巻回せばよい。
【0091】
また、上述の第4実施形態では、誘電体フィルム11、12の厚さおよび誘電率が等しく、かつ、誘電体フィルム11を挟んで電極同士が対向する領域の面積と、誘電体フィルム12を挟んで電極同士が対向する領域の面積と、が等しいものとしたが、これに限らない。誘電体フィルム11を挟んで形成される容量の静電容量と、誘電体フィルム12を挟んで形成される容量の静電容量と、が等しければ、誘電体フィルム11と誘電体フィルム12とで、厚さや誘電率が異なっていたり、上述の電極同士の対向する領域の面積が異なっていたりしてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1、1A、1B、1C;フィルタ回路
2、2A、2B、2C;平面状フィルタ回路
10、10A、10B、11、12;誘電体フィルム
21、22、25、26、21A〜26A;単位フィルタ回路
C1〜C3、C10〜C13、C20〜C23、C30〜C33、C41〜C44、C51〜C54、C61〜C63、C71〜C73;容量
G0;基準電極
X1〜X4、X11〜X13、X21、X22;第1電極
Y1〜Y4、Y11〜Y13、Y21、Y22;第2電極
Z2〜Z4;第3電極
M1〜M4;第4電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有し、帯状に形成された帯状部材と、
前記帯状部材の一方の面に、当該帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1電極と、
前記帯状部材の一方の面に、前記複数の第1電極と並んで形成された複数の第2電極と、を備え、
前記帯状部材は、巻回され、
前記第1電極は、巻回された前記帯状部材のうち当該第1電極より外周側の部分を挟んで、当該第1電極とは異なる1つの第1電極と対向するとともに、巻回された前記帯状部材のうち当該第1電極より内周側の部分を挟んで、当該第1電極とは異なる1つの第1電極と対向し、
前記帯状部材を挟んで前記第1電極同士が対向する領域の各静電容量は、等しく、
前記第2電極は、巻回された前記帯状部材のうち当該第2電極より外周側の部分を挟んで、当該第2電極とは異なる1つの第2電極と対向するとともに、巻回された前記帯状部材のうち当該第2電極より内周側の部分を挟んで、当該第2電極とは異なる1つの第2電極と対向し、
前記帯状部材を挟んで前記第2電極同士が対向する領域の各静電容量は、等しいことを特徴とするフィルタ回路。
【請求項2】
前記複数の第2電極は、前記複数の第1電極と対に形成され、
前記複数の第2電極のそれぞれは、前記複数の第1電極のうち対に形成されたものと接続されることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
絶縁性を有し、帯状に形成された第1の帯状部材と、
前記第1の帯状部材の一方の面に、当該第1の帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1の一方電極と、
前記第1の帯状部材の一方の面に、前記複数の第1の一方電極と並んで形成された複数の第2の一方電極と、
前記第1の帯状部材の他方の面に、当該第1の帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1の他方電極と、
前記第1の帯状部材の他方の面に、前記複数の第1の他方電極と並んで形成された複数の第2の他方電極と、
前記第1の帯状部材と等しい厚さおよび誘電率を有するとともに、絶縁性を有し、当該第1の帯状部材の長手方向に帯状に形成され、前記複数の第1の他方電極および前記複数の第2の他方電極を当該第1の帯状部材と挟持する第2の帯状部材と、を備え、
前記第1の帯状部材および前記第2の帯状部材は、巻回され、
前記第1の一方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、
前記第1の他方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、
前記第1の帯状部材を挟んで前記第1の一方電極と前記第1の他方電極とが対向する領域の各静電容量と、前記第2の帯状部材を挟んで前記第1の一方電極と前記第1の他方電極とが対向して形成する領域の各静電容量とは、等しく、
前記第2の一方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、
前記第2の他方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、
前記第1の帯状部材を挟んで前記第2の一方電極と前記第2の他方電極とが対向する領域の各静電容量と、前記第2の帯状部材を挟んで前記第2の一方電極と前記第2の他方電極とが対向する領域の各静電容量とは、等しいことを特徴とするフィルタ回路。
【請求項4】
前記複数の第2の一方電極は、前記複数の第1の一方電極と対に形成され、
前記複数の第2の他方電極は、前記複数の第1の他方電極と対に形成され、
前記複数の第2の一方電極のそれぞれは、前記複数の第1の一方電極のうち対に形成されたものと接続され、
前記複数の第2の他方電極のそれぞれは、前記複数の第1の他方電極のうち対に形成されたものと接続されることを特徴とする請求項3に記載のフィルタ回路。
【請求項1】
絶縁性を有し、帯状に形成された帯状部材と、
前記帯状部材の一方の面に、当該帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1電極と、
前記帯状部材の一方の面に、前記複数の第1電極と並んで形成された複数の第2電極と、を備え、
前記帯状部材は、巻回され、
前記第1電極は、巻回された前記帯状部材のうち当該第1電極より外周側の部分を挟んで、当該第1電極とは異なる1つの第1電極と対向するとともに、巻回された前記帯状部材のうち当該第1電極より内周側の部分を挟んで、当該第1電極とは異なる1つの第1電極と対向し、
前記帯状部材を挟んで前記第1電極同士が対向する領域の各静電容量は、等しく、
前記第2電極は、巻回された前記帯状部材のうち当該第2電極より外周側の部分を挟んで、当該第2電極とは異なる1つの第2電極と対向するとともに、巻回された前記帯状部材のうち当該第2電極より内周側の部分を挟んで、当該第2電極とは異なる1つの第2電極と対向し、
前記帯状部材を挟んで前記第2電極同士が対向する領域の各静電容量は、等しいことを特徴とするフィルタ回路。
【請求項2】
前記複数の第2電極は、前記複数の第1電極と対に形成され、
前記複数の第2電極のそれぞれは、前記複数の第1電極のうち対に形成されたものと接続されることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
絶縁性を有し、帯状に形成された第1の帯状部材と、
前記第1の帯状部材の一方の面に、当該第1の帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1の一方電極と、
前記第1の帯状部材の一方の面に、前記複数の第1の一方電極と並んで形成された複数の第2の一方電極と、
前記第1の帯状部材の他方の面に、当該第1の帯状部材の長手方向に並んで形成された複数の第1の他方電極と、
前記第1の帯状部材の他方の面に、前記複数の第1の他方電極と並んで形成された複数の第2の他方電極と、
前記第1の帯状部材と等しい厚さおよび誘電率を有するとともに、絶縁性を有し、当該第1の帯状部材の長手方向に帯状に形成され、前記複数の第1の他方電極および前記複数の第2の他方電極を当該第1の帯状部材と挟持する第2の帯状部材と、を備え、
前記第1の帯状部材および前記第2の帯状部材は、巻回され、
前記第1の一方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、
前記第1の他方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第1の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、
前記第1の帯状部材を挟んで前記第1の一方電極と前記第1の他方電極とが対向する領域の各静電容量と、前記第2の帯状部材を挟んで前記第1の一方電極と前記第1の他方電極とが対向して形成する領域の各静電容量とは、等しく、
前記第2の一方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の他方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、
前記第2の他方電極は、前記第1の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向するとともに、前記第2の帯状部材を挟んで、前記複数の第2の一方電極のうち互いに隣接する2つと対向し、
前記第1の帯状部材を挟んで前記第2の一方電極と前記第2の他方電極とが対向する領域の各静電容量と、前記第2の帯状部材を挟んで前記第2の一方電極と前記第2の他方電極とが対向する領域の各静電容量とは、等しいことを特徴とするフィルタ回路。
【請求項4】
前記複数の第2の一方電極は、前記複数の第1の一方電極と対に形成され、
前記複数の第2の他方電極は、前記複数の第1の他方電極と対に形成され、
前記複数の第2の一方電極のそれぞれは、前記複数の第1の一方電極のうち対に形成されたものと接続され、
前記複数の第2の他方電極のそれぞれは、前記複数の第1の他方電極のうち対に形成されたものと接続されることを特徴とする請求項3に記載のフィルタ回路。
【図4】
【図6】
【図8】
【図11】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【図6】
【図8】
【図11】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【公開番号】特開2013−106399(P2013−106399A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247504(P2011−247504)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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