説明

フィルタ清掃用ノズルシステム

【課題】筒状フィルタに付着した粉塵を確実に除去し得るフィルタ清掃用ノズルシステムを提供する。
【解決手段】気体供給管に連結されると共に筒状フィルタの内部に挿入された状態において気体供給管によって供給される加圧された気体を筒状フィルタの周壁に向けて噴出させるノズル本体102を備えて、筒状フィルタを清掃可能に構成され、モーターの駆動力によってノズル本体102を回転させる電動式の第1回転機構103と、気体の噴出力によってノズル本体102を回転させる気体噴出式の第2回転機構104とを備え、ノズル本体102は、ロータリージョイント106を介して気体供給管に回転可能に連結されると共に、両回転機構103,104の中から任意に選択された一方または双方の回転機構を装着可能に構成されて、一方または双方の回転機構によって回転させられつつ気体を噴出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状フィルタを清掃するためのフィルタ清掃用ノズルシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種集塵装置内部に配設されて空気(排気)中の粉塵(ダスト)等を除去するフィルタとして、円筒状または有底円筒状に形成されたバグフィルタ(筒状フィルタ)が知られている。この種のバグフィルタは、一般的に、通気性を有する織布や不織布、または通気性を有する紙などで形成されており、使用するに従って粉塵等が付着して目詰まりするため、定期的な交換が必要とされる。この場合、省資源および経費削減の観点から、バグフィルタに付着した粉塵等を除去して清浄化し、再利用するのが好ましい。このような、需要に対応可能な装置として、特開2001−259557号公報に開示されたバグフィルターの濾布清掃用ノズル装置(以下、単に「ノズル装置」ともいう)が知られている。このノズル装置は、圧縮空気供給用の空気ホースにロータリージョイントを介して回転自在に取り付けられるノズル本体を備えて構成されている。この場合、ノズル本体は、軸心部に設けられてロータリージョイントに接続される空気室と、空気室に一端が連通されて放射方向へ延びる4つの空気流路と、各空気流路に対して水平方向に90°の角度をなすように連通されてノズル本体の外側面において接線方向に空気吹出口が開口する枝流路とを備えて構成されている。このノズル装置では、空気ホースを介して供給された圧縮空気が、ロータリージョイントを通してノズル本体の空気室に導かれ、各空気流路および枝流路を通して各空気吹出口から接線方向外向きに噴出される。この際に、空気吹出口から接線方向に吹き出される圧縮空気によってノズル本体が自動的に回転させられる。また、噴出された圧縮空気がバグフィルタの濾布の内側面に吹き付けられて、この圧縮空気が濾布の内側から外側に通過することにより、濾布の外側面に付着したダストが吹き飛ばされて除去される結果、その部分の目詰りを解消することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−259557号公報(第3−4頁、第1、2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した従来のノズル装置には、以下の問題点が存在する。すなわち、このノズル装置では、各空気吹出口からの圧縮空気の噴出力によってノズル本体を回転させている。しかしながら、圧縮空気の噴出力によって得られるノズル本体の回転力(回転モーメント)には限界があり、圧縮空気の圧力を上昇させたとしてもノズル本体に対して十分に大きな回転力を与えるのは困難である。一方、排気をバグフィルタの内側から外側に向けて通過させて粉塵を除去するタイプの集塵装置では、バグフィルタの内側に粉塵が付着するため、この種の集塵装置に配設されているバグフィルタを清掃する際には、バグフィルタの内側に付着している粉塵とノズル本体の外周面とが接触することがある。この場合、従来のノズル装置では、上記したように、ノズル本体に対して十分に大きな回転力を与えるのが困難なため、付着している粉塵が高温の環境下で固化して、ノズル本体と固化した粉塵との接触によって大きな摩擦抵抗が生じるときにはノズル本体の回転が困難となって、確実な粉塵の除去が困難となるおそれがあるという問題点が存在する。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、筒状フィルタに付着した粉塵を確実に除去し得るフィルタ清掃用ノズルシステムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムは、気体供給管に連結されると共に清掃対象体としての筒状フィルタの内部に挿入された状態において前記気体供給管によって供給される加圧された気体を当該筒状フィルタの周壁に向けて噴出させるノズル本体を備えて、前記筒状フィルタを清掃可能に構成されたフィルタ清掃用ノズルシステムであって、モーターの駆動力によって前記ノズル本体を回転させる電動式の回転機構と、前記気体の噴出力によって前記ノズル本体を回転させる気体噴出式の回転機構とを備え、前記ノズル本体は、回転継手を介して前記気体供給管に回転可能に連結されると共に、前記両回転機構の中から任意に選択された一方または双方を装着可能に構成されて、当該一方または双方の回転機構によって回転させられつつ前記気体を噴出させる。
【0007】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムは、上記のフィルタ清掃用ノズルシステムにおいて、前記ノズル本体には、前記筒状フィルタの周壁に接触するブラシが配設されている。
【0008】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムは、上記のフィルタ清掃用ノズルシステムにおいて、前記ノズル本体には、当該ノズル本体の回転に伴って前記筒状フィルタ内の気体を上方に移動させる気体移動用フィンが配設されている。
【0009】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムは、上記のフィルタ清掃用ノズルシステムにおいて、前記ノズル本体は、有底筒状に形成されて開口部側が前記回転継手を介して前記気体供給管に接続される主管と、その先端部が前記主管から外側に向けて突出するようにしてその基端部が当該主管に取り付けられて前記気体を当該先端部から噴出させる複数の噴出管と、前記各噴出管の先端部から噴出された前記気体を通気させる通気口がその周壁に形成されると共に当該各噴出管を覆う有底円筒状のカバーとを備えている。
【0010】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムは、上記のフィルタ清掃用ノズルシステムにおいて、前記主管の周壁には、前記気体を噴出させる回転用の噴出口が形成され、前記カバーは、前記主管に対して回転可能に配設されると共に前記噴出口から噴出される前記気体を受けて当該カバーを当該主管に対して相対的に回転させる回転用フィンを備えて構成されている。
【0011】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムは、上記のフィルタ清掃用ノズルシステムにおいて、前記ノズル本体に連結された前記気体供給管の送り出しおよび引き上げを行うことによって前記筒状フィルタの内部に挿入された当該ノズル本体を上下方向に移動させる昇降装置を備えている。
【0012】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムは、上記のフィルタ清掃用ノズルシステムにおいて、前記昇降装置は、前記ノズル本体の上下方向への移動距離および移動速度の少なくとも一方を報知する報知部を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムによれば、モーターの駆動力によってノズル本体を回転させる電動式の回転機構、および加圧された気体の噴出力によってノズル本体を回転させる気体噴出式の回転機構の中から任意に選択された一方または双方の回転機構を装着可能にノズル本体を構成し、その一方または双方の回転機構によってノズル本体を回転させつつ気体を噴出させて筒状フィルタを清掃可能に構成したことにより、例えば、筒状フィルタに付着している粉塵等の量が少ないときには、気体噴出式の回転機構の回転力のみによってノズル本体を回転させ、筒状フィルタに付着している粉塵等の量が多いときには電動式の回転機構の回転力、または両回転機構の回転力によってノズル本体を回転させることで、筒状フィルタに付着した粉塵を確実かつ効率的に除去することができる。
【0014】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムによれば、筒状フィルタの周壁に接触するブラシをノズル本体に配設したことにより、例えば、筒状フィルタの周壁の内周面に粉塵等が固着しているとしても、筒状フィルタの周壁に接触しているブラシがノズル本体の回転に伴って摺動することで、固着している粉塵等を確実に剥離して除去することができる。
【0015】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムによれば、ノズル本体の回転に伴って筒状フィルタ内の気体を上方に移動させる気体移動用フィンをノズル本体に配設したことにより、ノズル本体の回転に伴うフィンの旋回により、筒状フィルタ内の気体を筒状フィルタの開口部側に効率的に流動させることができるため、筒状フィルタ内に放散した粉塵等を、筒状フィルタ内の気体と共に外部に効率的に排出することができる。
【0016】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムによれば、主管に取り付けられて気体を先端部から噴出させる複数の噴出管と、各噴出管を覆うカバーとを備えてノズル本体を構成したことにより、筒状フィルタの周壁から剥離した粉塵等が噴出管に付着する事態を確実に防止することができるため、噴出管への粉塵等の付着によって粉塵の除去が困難となる事態を確実に防止することができる
【0017】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムによれば、主管の周壁に気体を噴出させる回転用の噴出口を形成し、主管に対して回転可能に配設されると共に噴出口から噴出される気体を受けてカバーを主管に対して相対的に回転させる回転用フィンを備えてカバーを構成したことにより、主管および噴出管の回転速度にカバー自体の回転速度が加わるため、カバーを高速回転させることができる。したがって、フィルタ清掃用ノズルシステムによれば、筒状フィルタの内周面に固着している粉塵等をより効率的に剥離することができる。また、フィルタ清掃用ノズルシステムによれば、カバーが主管に対して相対的に回転するため、ジャイロ効果によってノズル本体を安定化させることができる。さらに、フィルタ清掃用ノズルシステムによれば、カバーが主管に対して相対的に回転するため、噴出管の先端部とカバーの通気口とが連通する時間が制限されるため、例えば、供給される気体の圧力が高すぎるときに、噴出管の先端部から噴出させる気体の圧力や吐出量をカバーの回転によって制限することができる。
【0018】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムによれば、ノズル本体に連結された気体供給管の送り出しおよび引き上げを行うことによって筒状フィルタの内部に挿入されたノズル本体を上下に移動させる昇降装置を備えたことにより、昇降装置を備えていない構成、つまり手作業でノズル本体の上下方向の移動を行う構成と比較して、数多くの筒状フィルタの清掃を連続して行う際においても、作業者に対する負担を十分に軽減することができる。
【0019】
また、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムによれば、ノズル本体の上下方向への移動距離および移動速度の少なくとも一方を報知する報知部を備えて昇降装置を構成したことにより、筒状フィルタの内部に挿入したノズル本体の位置や移動速度を作業者が容易に把握することができるため、作業効率を十分に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ノズルシステム101の構成を示す構成図である。
【図2】本体部1の斜視図である。
【図3】ノズル本体102の分解斜視図である。
【図4】第1回転機構103の斜視図である。
【図5】第2回転機構104の斜視図である。
【図6】スペーサ105の斜視図である。
【図7】ロータリージョイント106の斜視図である。
【図8】昇降装置107の斜視図である。
【図9】ノズル本体102、第1回転機構103および第2回転機構104の正面図である。
【図10】ノズルシステム101を用いてバグフィルタ301を清掃する方法を説明する説明図である。
【図11】本体部201の斜視図である。
【図12】カバー202の斜視図である。
【図13】本体部1にカバー603を装着した状態の断面図である。
【図14】カバー703の斜視図である。
【図15】本体部1Aの断面図である。
【図16】ナット15cの断面図である。
【図17】ナット15dの断面図である。
【図18】本体部1Bの断面図である。
【図19】カバー403の斜視図である。
【図20】カバー503の斜視図である。
【図21】ブラシ801の斜視図である。
【図22】本体部1Aに接続された回転ブラシ802の正面図である。
【図23】キャップ901の正面図である。
【図24】ジョイント803を用いた構成を示す構成図である。
【図25】流量調整管804の斜視図である。
【図26】ガイド部材805を備えた構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、フィルタ清掃用ノズルシステム101(以下、単に「ノズルシステム101」ともいう)の構成について説明する。図1に示すノズルシステム101は、本発明に係るフィルタ清掃用ノズルシステムの一例であって、バグフィルタ301(図10参照)の清掃に好適に構成されている。ここで、バグフィルタ301は、本発明における清掃対象体としての筒状フィルタの一例であって、例えば、通気性を有する織布や不織布を用いて有底円筒状に構成されると共に、各種集塵装置のバグフィルタ格納室に配設されて排気中の粉塵等を除去可能に構成されている。
【0023】
一方、ノズルシステム101は、図1に示すように、ノズル本体102、第1回転機構103、第2回転機構104、スペーサ105、ロータリージョイント106、昇降装置107およびキャップ108を備えて構成されている。
【0024】
ノズル本体102は、本体部1およびカバー2(いずれも図1参照)を備えて、バグフィルタ301の内部に挿入された状態において、後述する空気供給管(本発明における気体供給管)110(図10参照)によって供給される圧縮空気(本発明における加圧された気体の一例)をバグフィルタ301の周壁301b(同図参照)に対して噴出可能に構成されている。本体部1は、図2に示すように、主管11、複数(一例として12本)の噴出管12、第1ウェイト13、第2ウェイト14を備えて構成されている。
【0025】
主管11は、図2に示すように、全体として有底円筒状に構成されている。また、主管11の開口部11a側の外面には、ロータリージョイント106(図1参照)と螺合(接続)可能な螺条が形成されている。また、主管11には、供給された圧縮空気を噴出させる噴出口11cが形成されている。また、主管11には、後述する第1回転機構103におけるモーター43のプーリー43aとの間にベルト43b(いずれも図9参照)を掛け渡すための溝11dが形成されている。噴出管12は、図2に示すように、円筒状に形成されている。また、噴出管12は、その先端部が主管11の周壁から外側に向けて突出するようにして、周壁に形成された図外の吐出口に基端部が連結されることによって主管11に取り付けられており、主管11に供給された圧縮空気を先端部から噴出させる。この場合、各噴出管12は、同図に示すように、各々の先端部が等間隔に分散するように主管11に取り付けられている。
【0026】
第1ウェイト13は、図2に示すように、全体として円板状に形成されて、中央部に形成されている挿通孔13bに主管11を挿通させた状態で、主管11の開口部11a側に溶接等によって取り付けられている。また、第1ウェイト13には、後述するカバー2のカバー本体31に形成されている位置決め孔31cに嵌合可能な位置決め用の突起13aが形成されている。この場合、第1ウェイト13は、その半径が主管11の中心軸から噴出管12の先端部までの距離よりも長く規定されている。つまり、本体部1は、噴出管12の先端部が第1ウェイト13の外周縁部よりも内側に位置するように構成されている。第2ウェイト14は、同図に示すように、位置決め用の突起13aが形成されていない点を除いて第1ウェイト13とほぼ同形状に形成されて、中央部に形成されている挿通孔14b(図2参照)に主管11を挿通させた状態で、主管11の底部11b側に溶接等によって取り付けられている。
【0027】
カバー2は、本発明におけるカバーの一例であって、図3に示すように、本体部1に対して着脱可能に構成されて、装着状態において本体部1(各噴出管12)を覆うことが可能となっている(図1参照)。具体的には、カバー2は、図3に示すように、カバー本体31および固定部材32を備えて構成されている。カバー本体31は、全体として、有底円筒状に構成されている。また、カバー本体31は、その内径が本体部1の最大径(第1ウェイト13および第2ウェイト14の直径)よりもやや大径に規定されて、本体部1を嵌入可能に構成されている。また、カバー本体31の底部31b(同図では上側の部位)には、主管11を挿通させる挿通孔31dが形成されると共に、本体部1の第1ウェイト13に形成されている突起13aを嵌入可能な位置決め孔31cが形成されている。また、カバー本体31の周壁には、噴出管12の先端部を臨ませる複数(一例として12)の通気口31eが形成されている。この場合、通気口31eの形成位置は、本体部1に装着された状態において噴出管12の先端部が通気口31eの縁部に当接または近接するように規定されている。さらに、カバー本体31の周壁における開口部31a側の外面には、螺条が形成されている。また、カバー本体31における底部31b側の周壁には、清掃時においてバグフィルタ301の周壁301bに接触するブラシ31fが配設されている。
【0028】
固定部材32は、図3に示すように、全体として、有底円筒状に構成されている。また、固定部材32の周壁における開口部32a側の内面には、カバー本体31の螺条と螺合する螺条が形成されている。また、固定部材32における底部32b側の周壁には、清掃時においてバグフィルタ301の周壁301bに接触するブラシ32cが配設されている。この場合、固定部材32は、本体部1を覆ったカバー本体31に螺合させてカバー本体31に嵌着されることによってカバー本体31(カバー2)を本体部1に固定する。なお、ウェイト14に位置決め用の突起13aを形成すると共に、固定部材32に位置決め孔31cを形成することにより、カバー本体31および固定部材32を図3の状態とは上下逆の状態で本体部1に固定する構成を採用することもできる。
【0029】
第1回転機構103は、本発明における電動式の回転機構の一例であって、図4に示すように、ケース41、電源部42、モーター43、ベアリング44、並びに図外の制御部および無線操作部を備えて構成されている。ケース41は、互いに嵌合可能な第1ケース41aおよび第2ケース41bで構成されている。この場合、第1ケース41aおよび第2ケース41bを嵌合させた状態において、ロータリージョイント106に対する取り付けを行うための円筒状の接合部(同図における上部)と、電源部42およびモーター43を収容する直方体状の収容部(同図における下部)と、ベアリング44を保持するハウジング部(収容部の下面側の部分)とが構成される。電源部42は、モーター43を駆動するための電力を供給する充電式の電源(バッテリー)であって、ケース41の収容部に収容されている。
【0030】
モーター43は、ケース41の収容部に収容されて、制御部の制御に従い、電源部42から出力される電力によって駆動する。また、モーター43の回転軸には、図9に示すように、プーリー43aが取り付けられている。この場合、モーター43は、同図に示すように、プーリー43aと主管11に形成された溝11dとの間に掛け渡されたベルト43bを介して主管11(つまり、本体部1)を回転させる。ベアリング44は、ケース41のハウジング部に保持されており、中心孔に挿通された主管11をケース41に対して回転可能に保持する。制御部は、無線操作部から送信される操作信号を受信して、その操作信号に従ってモーター43に供給する電力(具体的には電流値)を増減させることにより、モーター43の回転を制御する。
【0031】
第2回転機構104は、本発明における圧縮空気噴出式の回転機構の一例であって、図5に示すように、本体部51およびフィン52を備えて構成されている。本体部51は、円板状の大径部および小径部で構成されている。また、本体部51の中央部には、主管11を挿通可能な挿通孔51aが形成されている。また、本体部51の大径部には、挿通孔51aに貫通する通気孔51bが形成されている。この場合、本体部51は、挿通孔51aに主管11が挿通された状態で、小径部に形成されている螺子孔51cに螺子を螺入することによって主管11に固定される。フィン52は、本体部51の外周面における通気孔51bの形成部位の近傍に基端部が固定されている。この場合、フィン52は、主管11の噴出口11cおよび本体部51の通気孔51bを通って本体部51の半径方向に噴出される圧縮空気の向きを、半径方向に直交する向き(つまり、本体部51における外周の接線方向)に変更させる機能を有しており、この向きに変更された圧縮空気の噴出力によって本体部51(第2回転機構104)が固定された主管11(つまり、本体部1)が回転させられる。
【0032】
スペーサ105は、後述するように第1回転機構103のみによって本体部1を回転させる際に、第2回転機構104に代えて主管11に取り付けられるアタッチメントであって、図6に示すように、通気孔51bが形成されていない点を除き、第2回転機構104の本体部51と同じ形状に構成されている。この場合、スペーサ105は、中央部に形成されている挿通孔61aに主管11が挿通された状態で、小径部に形成されている螺子孔61cに螺子を螺入することによって主管11に固定される。
【0033】
ロータリージョイント106は、本発明における回転継手の一例であって、図7に示すように、空気供給管110の先端部が接続される円筒状の大径部(同図における上部)と、本体部1における主管11の開口部11a側が接続される小径部(同図における下部)とで構成されている。この場合、ロータリージョイント106は、空気供給管110によって供給される圧縮空気を主管11に送り込みつつ、空気供給管110に対する主管11の回転が可能な状態で両者を連結する機能を有している。
【0034】
昇降装置107は、図8に示すように、ケース71、モーター72、一対のローラー73a,73bおよび図外の操作部を備えて構成されて、図1に示すように、キャップ108の上部に取り付けられている。モーター72は、ケース71に収容されて、操作部の制御に従い、図外の電源(商用電源)からの電力供給によって駆動する。ローラー73a,73bは、空気供給管110を挟み込んだ状態で、ローラー73aがモーター72によって回転させられることにより、空気供給管110の送り出し、および引き上げを行う。
【0035】
キャップ108は、ノズル本体102を用いてバグフィルタ301を清掃する際に、バグフィルタ301から除去された粉塵の周囲への飛散を防止するための部材であって、図1に示すように有底円筒状の本体部81と、本体部81の開口部側(同図における下側)に形成された鍔部82と、本体部81における鍔部82の形成位置よりも底部側(同図における上側)に形成されたダクト取付部83と、本体部81の開口部(鍔部82の下側)に形成された複数の嵌合片86とを備えて構成されている。また、本体部81の底面(同図における上面)には、空気供給管110を挿通可能な挿通孔84が形成されている。この場合、キャップ108は、嵌合片86をバグフィルタ301の開口部301a側に嵌め込むことによってバグフィルタ301に装着可能に構成されている。なお、同図に示すように、ダクト取付部83の内側に、触媒の働きをする有害物質除去用のフィルタ83aを組み込んだ構成を採用することもでき、このように構成することで、バグフィルタ301からの粉塵を有害物質を除去した状態で外部に排出することができる。また、キャップ108に照明用のライト(図示せず)を装着する構成を採用することもでき、このように構成することで、夜間における作業効率を向上させることができる。
【0036】
次に、ノズルシステム101を用いて、集塵装置のバグフィルタ格納室に配設されているバグフィルタ301を清掃する方法の一例について、図面を参照して説明する。
【0037】
まず、清掃に先立ち、本体部1にカバー2を取り付けてノズル本体102を組み立てる。具体的には、図3に示すように、カバー2のカバー本体31を、第1ウェイト13側から本体部1に覆い被せ、本体部1における主管11をカバー本体31の挿通孔31dに挿通させると共に、第1ウェイト13の突起13aをカバー本体31の位置決め孔31cに嵌合させる。次いで、固定部材32における周壁の内面に形成されている螺条をカバー本体31における周壁の外面に形成されている螺条に螺合させることにより、カバー本体31を本体部1に固定する。以上により、ノズル本体102の組立て(本体部1へのカバー2の取り付け)が完了する。
【0038】
続いて、ノズル本体102に第2回転機構104を取り付ける。具体的には、図9に示すように、ノズル本体102における本体部1の主管11を第2回転機構104における本体部51の挿通孔51aに挿通させる。次いで、本体部51の小径部に形成されている螺子孔51cに螺子を螺入させることにより、第2回転機構104を主管11に固定する。これにより、第2回転機構104の取り付けが完了する。続いて、第2回転機構104の上に第1回転機構103を配置する。具体的には、ケース41の第2ケース41bを取り外した状態で、ベアリング44の中心孔に主管11を挿通させる。次いで、同図に示すように、主管11に形成されている溝11dとモーター43に取り付けられているプーリー43aとの間にベルト43bに架け渡す。続いて、ケース41の第1ケース41aに第2ケース41b嵌合させて螺子止めする。これにより、第1回転機構103の配置が完了する。
【0039】
次いで、空気供給管110の先端部を、昇降装置107におけるローラー73a,73bの間およびキャップ108の挿通孔84に挿通させる。続いて、空気供給管110の先端部をロータリージョイント106の大径部に接続する。次いで、第2回転機構104の取り付けおよび第1回転機構103の配置が完了したノズル本体102における主管11の開口部11a側をロータリージョイント106の小径部に接続する。この際に、第1回転機構103におけるケース41の接合部がロータリージョイント106における大径部に嵌合する。続いて、ケース41の接合部に形成されている螺子孔41cに螺子を螺入させることにより、ケース41(つまり第1回転機構103)をロータリージョイント106に固定する。次いで、図10に示すように、バグフィルタ301の開口部301a側にキャップ108の嵌合片86を嵌め込んで装着すると共に、キャップ108のダクト取付部83に集塵用のダクト85を連結し、さらに、ダクト85の先端部に図外の集塵袋を取り付ける。
【0040】
続いて、空気供給管110を図外のエアコンプレッサに接続し、次いで、エアコンプレッサからの圧縮空気の供給を開始する。この際に、エアコンプレッサから供給される圧縮空気が空気供給管110を介して開口部11a側から主管11内部に送り込まれる。続いて、主管11内に送り込まれた圧縮空気は、主管11の周壁に取り付けられている噴出管12に送り込まれて、噴出管12の先端部からカバー2の通気口31eを通ってバグフィルタ301の周壁301bに向けて噴出される。
【0041】
また、主管11内部に送り込まれた圧縮空気の一部は、主管11の噴出口11cおよび第2回転機構104における本体部51の通気孔51bを通って本体部51の半径方向に噴出され、フィン52によってその向きが本体部51における外周の接線方向に変更させられる。このため、この圧縮空気の噴出力によってノズル本体102が図10の矢印Aの向きに回転する。次いで、昇降装置107の操作部を操作して空気供給管110を送り出すことにより、ノズル本体102をバグフィルタ301の長さ方向に沿って開口部301a側から底部301c側に向けて移動させる。
【0042】
一方、カバー2に配設されているブラシ31f,32cがノズル本体102の回転に伴ってバグフィルタ301における周壁301bの内面上を摺動する。また、ノズル本体102(噴出管12)から噴出した圧縮空気は、バグフィルタ301の周壁301bに吹き当てられる。これにより、周壁301bの内面側に付着している粉塵等が、ブラシ31f,32cの摺動および吹き当てられた圧縮空気の圧力によって周壁301bから剥離してバグフィルタ301内に放散する。この場合、ノズル本体102から噴出された圧縮空気によってバグフィルタ301内の圧力が上昇しているため、バグフィルタ301内に放散した粉塵等は、バグフィルタ301内の空気(圧縮空気)と共に、キャップ108のダクト取付部83からダクト85を通ってバグフィルタ301外部に排出され、ダクト85に取り付けられている図外の集塵袋によって集塵される。また、ノズル本体102から噴出した圧縮空気の一部は、バグフィルタ301の周壁301bを通り抜け、これによって周壁301bの外面側に付着している粉塵等が、周壁301bから剥離してバグフィルタ301とバグフィルタ格納室との間の隙間に放散する。この場合、バグフィルタ301と収容容器との間の隙間は外部に対して密閉されているため、この隙間に放散した粉塵等は、周囲に飛散することなくバグフィルタ格納室の底部に落下する。
【0043】
ここで、例えば、バグフィルタ301における周壁301bの内面側に大量の粉塵等が付着していて、圧縮空気の噴出力(第2回転機構104による回転力)だけでは、ノズル本体102に対する十分な回転力を得ることができないときには、第1回転機構103を用いてノズル本体102を回転させる。具体的には、第1回転機構103の無線操作部を操作して、モーター43を駆動(回転)させる。この際に、モーター43における回転軸の回転力が、プーリー43aと主管11の溝11dとの間に掛け渡されたベルト43bを介して主管11に伝達される。これにより、第2回転機構104による回転力に、第1回転機構103におけるモーター43の回転力が加わり、ノズル本体102が十分な回転力で回転する。このため、周壁301bの内面側に大量の粉塵等が付着してる場合においても、その粉塵等が周壁301bから剥離して除去される。
【0044】
続いて、清掃を終了する際には、コンプレッサを停止させて圧縮空気の供給を停止させると共に、第1回転機構103の無線操作部を操作して、モーター43を停止させる。次いで、昇降装置107の操作部を操作して空気供給管110を引き上げることにより、バグフィルタ301の開口部301a側(つまりキャップ108側)にノズル本体102、第1回転機構103および第2回転機構104を移動させる。続いて、キャップ108を昇降装置107と共にバグフィルタ301から取り外し、次いで、第1回転機構103および第2回転機構104と共にノズル本体102をバグフィルタ301から引き抜く。以上により、1つのバグフィルタ301の清掃が終了する。以下、他のバグフィルタ301の清掃を行う際には、上記した作業を繰り返して実行する。この場合、このノズルシステム101では昇降装置107を用いて空気供給管110の送り出しおよび引き上げを行っている。このため、手作業でこれらの動作を行う構成と比較して、数多くのバグフィルタ301の清掃を連続して行う際においても、作業者に対する負担を軽減することが可能となっている。
【0045】
一方、このノズルシステム101では、ノズル本体102に第1回転機構103および第2回転機構104のいずれか一方のみを取り付けてその一方の回転機構のみによってノズル本体102を回転させつつ清掃を行うことが可能となっている。例えば、第1回転機構103のみをノズル本体102に取り付けてノズル本体102を回転させる際には、第2回転機構104に代えて、スペーサ105を第1回転機構103の下側に取り付ける。この場合、第1回転機構103のみを用いる(つまり第2回転機構104を用いない)ときには、第2回転機構104によって圧縮空気が使用されない分、ノズル本体102(噴出管12)から噴出させる圧縮空気の圧力および量を増加させることができる。
【0046】
このように、このノズルシステム101によれば、モーター43の駆動力によってノズル本体102を回転させる電動式の第1回転機構103、および圧縮空気の噴出力によってノズル本体102を回転させる圧縮空気噴出式の第2回転機構104を装着可能に本体部1を構成し、いずれか一方または双方の回転機構103,104によってノズル本体102を回転させつつ圧縮空気を噴出させてバグフィルタ301を清掃可能に構成したことにより、例えば、バグフィルタ301に付着している粉塵等の量が少ないときには、第2回転機構104の回転力のみによってノズル本体102を回転させ、バグフィルタ301に付着している粉塵等の量が多いときには第1回転機構103の回転力、または両回転機構103,104の回転力によってノズル本体102を回転させることで、効率的に清掃を行うことができる。
【0047】
また、このノズルシステム101によれば、主管11に取り付けられて圧縮空気を先端部から噴出させる複数の噴出管12と、各噴出管12を覆うカバー2とを備えてノズル本体102を構成したことにより、バグフィルタ301の周壁301bから剥離した粉塵等が噴出管12に付着する事態を確実に防止することができる。
【0048】
また、このノズルシステム101によれば、カバー2の周壁に、ブラシ31f,32cを配設したことにより、例えば、バグフィルタ301の周壁301bの内周面に粉塵等が固着しているとしても、ブラシ31f,32cによって固着している粉塵等を確実に剥離することができる。
【0049】
さらに、このノズルシステム101によれば、ノズル本体102に連結された空気供給管110の送り出しおよび引き上げを行うことによって筒状フィルタの内部に挿入されたノズル本体を上下に移動させる昇降装置107を備えたことにより、昇降装置107を備えていない構成、つまり手作業でノズル本体102の上下の移動を行う構成と比較して、数多くのバグフィルタ301の清掃を連続して行う際においても、作業者に対する負担を十分に軽減することができる。
【0050】
なお、本発明は上記の構成に限定されない。例えば、上記した本体部1およびカバー2に代えて、図11に示す本体部201および図12に示すカバー202を採用することもできる。この場合、本体部201は、図11に示すように、第1ウェイト13および第2ウェイト14がベアリング211を介して主管11に回転可能にそれぞれ取り付けられると共に、主管11に上記した噴出口11cとは異なる噴出口11eが形成されている点で、上記した本体部1と異なっている。また、カバー202は、図12に示すように、カバー本体231および固定部材232を備えて構成されている。この場合、カバー本体231は、主管11に形成された噴出口11eから噴出される圧縮空気を受けてカバー202を主管11(本体部201)に対して相対的に回転させる回転用フィン231gが底部231bに形成されている点で、上記したカバー2のカバー本体31と異なっている。この本体部201およびカバー202を備えた構成では、主管11に送り込まれた圧縮空気の一部が、主管11の噴出口11eから噴出され、この圧縮空気をカバー202の回転用フィン231gが受けることにより、カバー202および本体部201の第1ウェイト13および第2ウェイト14が主管11および噴出管12(本体部201)に対して相対的に回転する。このため、この構成では、本体部201の回転速度にカバー202自体の回転速度が加わる結果、カバー202を高速回転させることができる。したがって、この構成では、バグフィルタ301の内周面に固着している粉塵等をより効率的に剥離することができる。また、この構成では、カバー202および両ウェイト13,14が主管11および噴出管12に対して相対的に回転するため、ジャイロ効果によってノズル本体102を安定化させることができる。さらに、この構成では、カバー202が主管11および噴出管12に対して相対的に回転するため、噴出管12の先端部とカバー202の通気口31eとが連通する時間が制限される。このため、例えば、エアコンプレッサからの圧縮空気の圧力が高すぎるときに、先端部から噴出させる圧縮空気の圧力や吐出量をカバー202の回転によって制限することができる。
【0051】
また、図13に示すカバー603を採用することもできる。このカバー603は、上記したバグフィルタ301よりも大径のバグフィルタを清掃する際に用いるカバーであって、カバー本体641および固定部材642を備えて構成されている。この場合、カバー本体641および固定部材642の周壁の直径(外径および内径)は、清掃対象のバグフィルタの内径に合わせて、上記したカバー2におけるカバー本体31および固定部材32の直径よりもそれぞれ大径に規定されている。また、カバー本体641における周壁には、上記した通気口31eと同様の複数(この例では12)の通気口641eが形成されている。また、同図に示すように、カバー本体641における周壁の内面には、本体部1に装着された状態において噴出管12の先端部と通気口641eとを連結するための連結管651が各通気口641eの形成部位に取り付けられている。さらに、各連結管651には、噴出管12の先端部と連結管651の先端部とを位置合わせするための樋状の位置合わせ部材652が取り付けられている。この場合、直径の異なる複数種類のカバー603を用意しておくことで、1つの本体部1を用いて(つまり、噴出管12の長さが異なる複数種類の本体部1を製作することなく)、内径の異なる複数種類のバグフィルタを効率的に清掃することができる。
【0052】
また、図14に示すカバー703を採用することもできる。この場合、このカバー703は、圧縮空気の噴出方向の切り替えが可能なカバーであって、カバー本体741および上記した固定部材32と同様の固定部材742を備えて構成されている。この場合、同図に示すように、カバー本体741の周壁には、上記した通気口31eと同様の複数(この例では12)の通気口741eが形成されると共に、各通気口741eに隣接して通気口741eと同数(この例では12)の通気口741fが形成されている。また、カバー本体741の周壁には、各通気口741fの形成部位の近傍に基端部が固定された複数(例えば2)のフィン751aが取り付けられている(同図では、1つのフィン751aのみを図示している)。さらに、カバー本体741の底部741b(同図では上側の部位)には、本体部1に対する装着時において、ウェイト13の2つの突起13aの挿通および移動が可能な平面視弧状の2つの長孔741gが形成されている。また、長孔741gの内側には、挿通された突起13aを押圧して本体部1に対するカバー703の回動を規制する板ばね752が配設されている。
【0053】
この場合、突起13aが図14に示す位置P1に位置するようにカバー703を本体部1に装着した状態では、本体部1における噴出管12の先端部が通気口741eに近接(連通)する。このため、この状態で清掃を行う際には、圧縮空気が噴出管12の先端部から通気口741eを通ってバグフィルタ301の周壁301bに垂直に吹き当てられる。一方、突起13aが同図に示す位置P2に位置するように、カバー703を本体部1に対して回動させたときには、噴出管12の先端部が通気口741fに近接(連通)する。この状態で清掃を行う際には、圧縮空気が噴出管12の先端部から通気口741fを通って噴出され、さらにフィン751aによってその向きが半径方向に直交または傾斜する向きに変更させられる。このため、この向きに変更された圧縮空気の噴出力によってカバー703が装着された本体部1がカバー703と共に回転させられる。つまり、このカバー703を本発明における圧縮空気噴出式の回転機構として用いることができる。
【0054】
なお、図14に示すように、カバー本体741の周壁の外周面における各通気口741eの形成部位近傍に基端部が固定されて、上記したフィン751aとは異なる向きに延在させた(同図では、下向きに延在させた例を図示している)フィン751bを取り付けることもできる。この構成によれば、突起13aが位置P1に位置するようにカバー703を本体部1に装着した状態において、噴出管12からの圧縮空気を様々な方向に変更させることができる。また、同図に示すように、カバー本体741の周壁の外周面における各通気口741eの形成部位に、同図に示すアタッチメント753を取り付けることにより、圧縮空気を広範囲に噴出させることができる。さらに、同図に示すように、カバー本体741の周壁の外周面に装着するアタッチメント754を備えた構成を採用することもできる。このアタッチメント754は、内部が中空に形成された環状体で構成され、カバー本体741の通気口741eの数と同数の孔が内周面に形成されると共に、通気口741eの数よりも多い数の孔が外周面に形成されている。この場合、内周面に形成された孔と通気口741eとが対向するようにこのアタッチメント754をカバー本体741に装着することで、各通気口741eから吐出する圧縮空気をより多くの孔から吐出させることができる。
【0055】
また、図15に示す本体部1Aのように、ナット15a,15bを用いてウェイト13,14を主管11に対して着脱可能とした構成を採用することもできる。この構成によれば、直径の異なる複数種類のウェイト13,14を用意しておくことで、清掃対象のバグフィルタ301の内径に応じてウェイト13,14を容易に交換することができる。また、この本体部1Aにおける主管11の底部に開口部を形成し、図16,17に示すように底部に孔が形成されたナット15c,15dを用いてウェイト14を固定する構成を採用することもできる。この構成によれば、主管11における底部の開口部およびナット15cまたはナット15dの孔を通して圧縮空気を本体部1Aの下に向けて噴出させることができるため、バグフィルタ301の底部を効率的に清掃することができる。
【0056】
また、図18に示す本体部1Bのように、ウェイト13,14に代えて羽根車113,114を備えた構成採用することもできる。この構成では、ノズル本体102(本体部1B)の回転によって羽根車113,114が旋回し、この羽根車113,114の旋回に伴ってバグフィルタ301内の空気を開口部301a側(同図における上方側)に効率的に流動させることができる。このため、バグフィルタ301内に放散した粉塵等を、バグフィルタ301内の空気と共に外部に効率的に排出させることができる。この場合、同図に示すように、噴出管12に代えて、周壁にフィンを設けた噴出管12aや、全体としてフィン状に形成した噴出管12bを備えることで、バグフィルタ301内の空気を開口部301a側にさらに効率的に流動させることもできる。
【0057】
また、本体部1Bを用いるときには、上記したカバー2に代えて、図19に示すカバー403を採用することもできる。このカバー403は、同図に示すように、カバー本体441および固定部材442を備えている。カバー本体441は底部(同図における上部)に鍔部451を備えて構成され、この鍔部451には、複数のフィン452が形成されている。また、固定部材442は底部(同図における下部)に鍔部461を備えて構成され、この鍔部461には、複数のフィン462が形成されている。このカバー403を備えた構成では、ノズル本体102(カバー403)の回転(同図に示す矢印Aの向きでの回転)に伴うフィン452の旋回により、バグフィルタ301内の空気を開口部301a側に一層効率的に流動させることができる。
【0058】
また、カバー403に代えて、図20に示すカバー503を採用することもできる。このカバー503は、同図に示すように、カバー本体541および固定部材542を備えている。カバー本体541は底部(同図における上部)に鍔部551を備えて構成され、この鍔部551には、複数の通気孔552が形成されている。また、固定部材542は底部(同図における下部)に鍔部561を備えて構成され、この鍔部561には、複数の通気孔562が形成されている。このカバー503を備えた構成においても、上記したカバー403を備えた構成と同様の効果を実現することができる。
【0059】
また、本発明におけるブラシは、上記したブラシ31f,32cに限定されない。例えば、毛足の長い繊毛を備えたブラシや、数多くの帯状体を備えたブラシ801(図21参照)を採用することができる。これらのブラシを備えたノズルでは、回転に伴う遠心力によって繊毛や帯状体の先端部が外周方向に広がるため、ノズル本体(カバー)の外周面と周壁との隙間の多少に拘わらず、繊毛や帯状体の先端部を周壁に確実に接触させて、粉塵等を確実に除去することができる。また、これらのブラシを配設する構成としては、種々の構成を採用することができる。例えば、カバー本体31や固定部材32にブラシを直接固定する構成を採用することもできる。また、筒状部材の外周面にブラシを固定し、この筒状部材をねじ込み式でカバー本体31や固定部材32に着脱する構成を採用することもできる。この構成によれば、毛足の長さや毛足の材質等が異なる複数種類のブラシの中から、清掃対象のバグフィルタ301の内径や、バグフィルタ301内の汚れの状態に応じて、最適なブラシを任意に選択して交換することができる。また、ブラシを固定する筒状部材の上端部または下端部を傾斜面または曲面で形成することで、清掃時のノズル本体102に対するバグフィルタ301の絡まりを防止してノズル本体102の移動(上下動)や回転をスムーズに行わせるガイドとして機能させることもできる。
【0060】
また、図22に示すように、上記した本体部1Aに回転可能に接続された回転ブラシ802を採用することができる。この回転ブラシ802は、羽根車802aおよび羽根車802aの外周面に固定されたブラシ802bを備えて、本体部1Aの主管11における底部の開口部およびナット15dの孔を通して噴出される圧縮空気を受けて羽根車802aが旋回するように構成されている。
【0061】
また、円板状に形成した第1ウェイト13および第2ウェイト14を取り付けることにより、重心が中心軸に位置するようにノズル本体102を構成した例について上記したが、ノズル本体102の重心を偏心させる構成を採用することもできる。この構成によれば、回転時においてノズル本体102がその重心の偏心に起因して振動するため、例えば、圧縮空気の噴出開始前にその振動をバグフィルタ301に伝播させてバグフィルタ301に付着した粉塵を振るい落とすことで、その後の圧縮空気の噴出によるバグフィルタ301からの粉塵の除去を一層効率的に行うことができる。
【0062】
また、図23に示すように、ノズル本体102における本体部1の第2ウェイト14やカバー2の固定部材32に装着(着脱)されるキャップ901を備えた構成を採用することもできる。この場合、このキャップ901は、半球状の内部空間902を有して、その内部空間902において移動可能なウェイト903(例えば、金属製の球体や、流動体)が内部空間902に収容されて構成されている。このキャップ901を備えた構成によれば、ノズル本体102の非回転状態においてノズル本体102が傾いたときに、ウェイト903がその傾きを修正する位置に移動するため、ノズル本体102を水平に維持することができる。また、ノズル本体102の回転状態においては、ウェイト903が遠心力によって上方に移動してノズル本体102(主管11)の中心軸から離間した位置に位置するため、ノズル本体102の慣性モーメントを高めることができる結果、ノズル本体102の回転エネルギー(ノズル本体の回転力)を補助することができる。
【0063】
また、空気供給管110を送り出す際の送り出し長さ、および空気供給管110を引き上げる際の引き上げ長さが、所定の長さに達する毎にその旨を報知する、つまりノズル本体102の上下方向への移動距離を報知する報知部を昇降装置107に設けることもできる。この場合、報知部の報知手段としては、音でその旨を報知する音声発生手段や、光でその旨を報知する発光手段を採用することができる。また、空気供給管110の送り出し長さおよび引き上げ長さに代えて(または、これらと共に)、空気供給管110の送り出し速度および引き上げ速度、つまりノズル本体102の上下方向への移動速度を上記の各種の手段で報知する報知部を昇降装置107に設けることもできる。この構成によれば、バグフィルタ301の内部に挿入したノズル本体102の位置や移動速度を作業者が容易に把握することができるため、作業効率を十分に向上させることができる。また、モーター72によってローラー73a,73bを回転させる電動式の昇降装置107に代えて、ローラー73a,73bを手動で回転させる手動式の昇降装置を採用することもできる。また、空気供給管110の送り出しおよび引き上げを行う構成に代えて、ノズル本体102にワイヤー等を接続して、そのワイヤー等を電動または手動で巻き取る(または、巻き戻す)ことによってノズル本体102(ノズル本体102に取り付けられた各構成要素を含む)の昇降を行う昇降装置を採用することもできる。
【0064】
さらに、上昇させたノズルシステム101がキャップ108の本体部81内に位置したときにオン状態に移行するスイッチを本体部81内に設けると共に、そのスイッチがオン状態に移行ときに圧縮空気の供給経路を遮断する電磁弁をコンプレッサと空気供給管110との間に配設するとことにより、ノズルシステム101が上昇した際に圧縮空気の供給を自動的に停止させる構成を採用することもできる。
【0065】
また、図24に示すジョイント803を用いて、圧縮空気を供給する構成を採用することもできる。この場合、ジョイント803は、一端部側(同図における上端部側)に2本の空気供給管110を連結可能に構成され、他端部側(同図における下端部側)がロータリージョイント106に連結可能に構成されている。この場合、このジョイント803を用いることにより、2本の空気供給管110で圧縮空気を供給することができるため、エアコンプレッサの能力が低い場合であっても、そのエアコンプレッサを2台用いることで、十分な圧力および量の圧縮空気をノズル本体102に供給することができる。
【0066】
また、キャップ108の鍔部82の下(嵌合片86)に挿入する筒状のスペーサを備えた構成を採用することもできる。この場合、バグフィルタ301の開口部301a側に挿入する挿入部分の外径の異なるスペーサを複数用意しておき、これらを付け替えることで、内径の異なる各種のバグフィルタ301にスペーサを介してキャップ108を装着することができる。また、高さの異なるスペーサを複数用意しておき、これらを付け替えることで、バグフィルタ301の開口部301aからキャップ108の頂部(本体部81の底面)までの高さを、作業者の身長に合わせて作業効率のよい高さに任意に変更することができる。また、清掃が終了したバグフィルタ301の内部への埃の侵入を防止するための開口部301aを閉塞するキャップを備えた構成を採用することもできる。また、図25に示す流量調整管804を本体部1における主管11の開口部11a側に挿入して、主管11内の通気経路を変更(絞る)ことによって圧縮空気の流量を調整する構成を採用することもできる。この構成によれば、噴出管12からの圧縮空気の噴出量や噴出圧力を容易に変更することができると共に、ノズル本体102の回転速度を容易に変更することができる。また、図26に示すように、清掃作業中における空気供給管110の折れ曲がりを防止するためのガイド部材805を備えた構成を採用することもできる。また、ガイド部材805はキャップ108を昇降装置107およびノズル本体102と共に移動させるときの取っ手として活用することもできる。なお、加圧された気体の一例としての圧縮空気を用いる例について上記したが、本発明における気体には、空気以外の各種の気体が含まれる。
【符号の説明】
【0067】
2,202,403,503,603,703 カバー
11 主管
11a 開口部
11c,11e 噴出口
12 噴出管
31e 通気口
31f,32c,801 ブラシ
43 モーター
101 フィルタ清掃用ノズルシステム
102 ノズル本体
103 第1回転機構
104 第2回転機構
106 ロータリージョイント
107 昇降装置
110 空気供給管
231g 回転用フィン
301 バグフィルタ
451,461,551,561 鍔部
452,462 フィン
552,562 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体供給管に連結されると共に清掃対象体としての筒状フィルタの内部に挿入された状態において前記気体供給管によって供給される加圧された気体を当該筒状フィルタの周壁に向けて噴出させるノズル本体を備えて、前記筒状フィルタを清掃可能に構成されたフィルタ清掃用ノズルシステムであって、
モーターの駆動力によって前記ノズル本体を回転させる電動式の回転機構と、前記気体の噴出力によって前記ノズル本体を回転させる気体噴出式の回転機構とを備え、
前記ノズル本体は、回転継手を介して前記気体供給管に回転可能に連結されると共に、前記両回転機構の中から任意に選択された一方または双方を装着可能に構成されて、当該一方または双方の回転機構によって回転させられつつ前記気体を噴出させるフィルタ清掃用ノズルシステム。
【請求項2】
前記ノズル本体には、前記筒状フィルタの周壁に接触するブラシが配設されている請求項1記載のフィルタ清掃用ノズルシステム。
【請求項3】
前記ノズル本体には、当該ノズル本体の回転に伴って前記筒状フィルタ内の気体を上方に移動させる気体移動用フィンが配設されている請求項1または2記載のフィルタ清掃用ノズルシステム。
【請求項4】
前記ノズル本体は、有底筒状に形成されて開口部側が前記回転継手を介して前記気体供給管に接続される主管と、その先端部が前記主管から外側に向けて突出するようにしてその基端部が当該主管に取り付けられて前記気体を当該先端部から噴出させる複数の噴出管と、前記各噴出管の先端部から噴出された前記気体を通気させる通気口がその周壁に形成されると共に当該各噴出管を覆う有底円筒状のカバーとを備えている請求項1から3のいずれかに記載のフィルタ清掃用ノズルシステム。
【請求項5】
前記主管の周壁には、前記気体を噴出させる回転用の噴出口が形成され、
前記カバーは、前記主管に対して回転可能に配設されると共に前記噴出口から噴出される前記気体を受けて当該カバーを当該主管に対して相対的に回転させる回転用フィンを備えて構成されている請求項4記載のフィルタ清掃用ノズルシステム。
【請求項6】
前記ノズル本体に連結された前記気体供給管の送り出しおよび引き上げを行うことによって前記筒状フィルタの内部に挿入された当該ノズル本体を上下方向に移動させる昇降装置を備えている請求項1から5のいずれかに記載のフィルタ清掃用ノズルシステム。
【請求項7】
前記昇降装置は、前記ノズル本体の上下方向への移動距離および移動速度の少なくとも一方を報知する報知部を備えている請求項6記載のフィルタ清掃用ノズルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−247138(P2010−247138A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117013(P2009−117013)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(508028900)
【Fターム(参考)】