説明

フィルタ装置、およびフィルタ装置に用いるためのフィルタ要素

本発明は、フィルタハウジング(1)を備える流体用のフィルタ装置に関する。フィルタハウジング内に、フィルタカートリッジの形態を有し、且つ、長手方向の軸(11)を規定する、少なくとも1つのフィルタ要素(9)が収容される。このフィルタカートリッジは、少なくとも一端部上に端部キャップ(17)を有し、該端部キャップは、フィルタ材料(23、35)の相当する端部のための囲いを形成する。この端部キャップは、要素受け手段(13)上に固定され、該要素受け手段は、フィルタ要素(9)の位置を、その機能的位置に固定するために、フィルタハウジング(1)の底部(5)と相互作用する。要素受け手段は、フィルタ要素(9)のフィルタチャンバ(19)から流出する清浄流体のための流路を形成する。フィルタ装置は、以下の構成によって特徴付けられる。すなわち、要素受け手段(13)は、流路(35)を閉鎖するバルブ装置(55)を有する。また、機能的位置においてバルブ装置(55)を開放する制御装置(79、83)が、フィルタ要素(9)の端部キャップ(17)上に設けられている。端部キャップは、要素受け手段(13)上に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体用のフィルタ装置に関する。このフィルタ装置は、フィルタハウジングを備え、該フィルタハウジング内において、長手方向の軸を規定する少なくとも1つのフィルタ要素が、フィルタカートリッジの形態で収容され得る。このフィルタ要素は、少なくとも一端部上に端部キャップを有し、該端部キャップは、フィルタ材料の関連する端部のための囲いを形成する。この端部キャップは、要素受け部上に固定され、該要素受け部は、フィルタ要素の位置を、その機能的位置に固定するために、フィルタハウジングの底部と相互作用する。要素受け部は、フィルタ要素のフィルタキャビティから流れる清浄流体のための流路を形成する。さらに、本発明は、このようなフィルタ装置のためのフィルタ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのフィルタ装置は、種々のバージョンとして、市場において容易に入手可能である。広範囲に、このようなフィルタ装置は、例えば油圧油、燃料、潤滑油等のような作業流体の濾過に用いられる。フィルタ装置が用いられる流体システム、特に油圧システムにおいて、システムの動作信頼性は、システムに設置されたフィルタ装置の高信頼性の動作に大きく依存する。換言すれば、フィルタ装置の故障または機能不良は、相当するシステムの故障または重大な損傷へと繋がってしまう。したがって、重大な経済的損失を生じさせてしまう。
【0003】
フィルタ装置と、その部材、および、フィルタ装置を動作するための方法が、独国特許出願DE 10 2006 039 826 A1号によって、公知となっている。このフィルタ装置は、フィルタハウジング部を備え、該フィルタハウジング部は、フィルタ要素を収容するとともに、他のハウジング部に、着脱可能に連結され得る。また、ハウジング部が相互に接続された状態において、流路を開放し、且つ、ハウジング部が他の部材から分離された状態において、流路を少なくとも部分的に閉鎖するバルブ装置が設けられる。バルブ装置は、好ましくは、バルブ要素を有し、該バルブ要素は、2つのフィルタハウジング部のうち少なくとも1つの作動部、および/または、フィルタ要素の作動部を介して、作動され得る。特に、バルブ装置は、ハウジング部が接続された状態において、バルブ要素を開放し、且つ、ハウジング部が他の部材から分離された状態において、バルブ要素を少なくとも部分的に閉鎖する。この場合において、第1のフィルタハウジング部は、フィルタ要素を受けるフィルタボウルを形成し、第2のフィルタハウジング部は、流体連結部を含むフィルタボウル(特に、供給と排出の形態で)を形成する。フィルタ要素が消失し、且つ、バルブ装置が閉鎖しているとき、油圧回路の制御ユニットは、欠陥メッセージを発信し、および/または、油圧回路を遮断する。
【0004】
独国実用新案出願DE 92 15 351 U号は、流体を濾過するためのフィルタ装置を開示している。このフィルタ装置は、フィルタ要素と、背圧、フィルタ要素へのバイパスに配置された過負荷バルブ、および背圧バルブと、流体ポンプによって流体回路の一部として供給される、負荷サイトからの濾過されていない流体を供給するための第1の連結サイトと、フィルタ要素およびフィルタ流体を排出するための背圧バルブの間の第2の連結サイトとを有する。そして、フィルタ要素へのバイパスに配置された差圧制御バルブを用いて、フィルタ要素における差圧に依存して、流体ポンプと負荷サイトとの間の流体回路に連結され得る、第2および第3の連結サイト間の連結を、確立することができる。この場合、スイッチバルブが設けられてもよく、該スイッチバルブは、フィルタ要素が無い場合に、第2および第3の連結サイト間の連結を確立する。さらに、フィルタ要素のための可動要素受け部が設けられてもよく、該可動要素受け部は、フィルタ要素における差圧の規定可能な閾値にて、バルブピストンのエネルギ蓄積メカニズムの力に反して、ストップに対して移動する。ここで、フィルタ要素における差圧の閾値は、差圧制御バルブを開放するのに要する閾値よりも小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この課題に関して、本発明の目的は、高い動作信頼性によって特徴付けられるフィルタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、請求項1において規定された特徴を全て備えるフィルタ装置によって、達成される。
【0007】
請求項1の特徴部分によれば、フィルタ装置の重要な特異性は、以下の点にある。すなわち、要素受け部が、バルブ装置を有し、該バルブ装置は、通常、洗浄流体用の流路を閉鎖するが、フィルタ要素の端部キャップに配置された制御装置によって、その閉鎖が解除され得る。そして、端部キャップは、要素受け部上に固定され得る。この結果、2つの点において、装置の動作信頼性が向上することとなる。一方では、使用されるフィルタ要素の端部キャップ上のバルブ装置を開放するために必要な制御装置が設けられていないために、バルブ装置が閉鎖状態を維持するので、バルブハウジングにおいてフィルタ要素を挿入することが忘れられてしまった場合に、相当するシステムが不意に始動してしまうリスクを回避することができる。加えて、特に重要な安全性に係る他の局面は、以下の点である。すなわち、制御装置を有するフィルタ要素が用いられているときのみ、装置を動作させることが可能である。ここで、この制御装置は、要素受け部上に固定されるべき端部キャップ上のバルブを開放するのに適したものである。
【0008】
このように、例えばフィルタ要素が、相当する圧力段に割り当てられていない、または、不適切なフィルタの精細さを有していることにより、それぞれの特定の使用に不適であり、且つ、動作信頼性を保証する相当の適用可能な仕様を満たさないフィルタ要素が用いられることを排除することができる。のみならず、適用可能な安全基準を満たさない、市場で利用可能ないわゆる「ディスカウント要素」が使用されるリスクを回避することができる。
【0009】
特に好ましい実施形態においては、洗浄流体用の流路を形成するための要素受け部は、台座連結部を有し、該台座連結部は、ハウジングの底部から、動作位置に配置されたフィルタ要素の方向に軸方向に突出し、バルブ装置を収容する。フィルタ要素への流体連結を形成するコンポーネントが、バルブ装置用のバルブハウジングと同時に用いられるので、特に簡単且つコンパクトな構造が実現可能となる。
【0010】
有利な例示的実施形態においては、フィルタ要素の端部キャップは、ネジ状連結部を有し、該ネジ状連結部は、濾過プロセスにおいて、洗浄側を形成するフィルタ要素のフィルタキャビティからの流体の流出口を形成し、且つ、台座連結部に螺合される。且つ、ネジ状連結部上のバルブ装置のための制御装置は、制御体であり、該制御体は、台座連結部に螺合される間に、バルブ装置を開放するように該バルブ装置に対して作用する。フィルタ要素の端部キャップは、螺合によって要素受け部に固定されるので、制御体に関して、螺合プロセスの間に発生する軸方向の力により、バルブ装置の開放のための大きな作動力が得られる。これにより、閉鎖位置において比較的に大きな閉鎖力が予め負荷されていたとしても、バルブ装置の信頼性の高い動作が可能となる。
【0011】
バルブ装置の構成に関して、該バルブ装置が、以下のように構成されてもよい。すなわち、バルブ装置は、リング体を有し、該リング体は、台座連結部の内壁から突出し、且つ、軸方向に移動可能なバルブ体のための弁座を形成する。ここで、このバルブ体は、バネ構造によって、端部キャップの方向に、閉鎖位置に向けて予圧が掛けられている。
【0012】
このタイプのバルブ装置の構成においては、ネジ状連結部上の制御体は、軸方向へ延びる突出部を形成し、該突出部は、螺合プロセスの間にバルブ体に作用し、バルブ体を、バネ構造の力に反して、閉鎖位置から移動させる。このような構成は、フィルタ要素のネジ状連結部と、要素受け部の双方に関して、特に簡単且つ経済的に効率のよい構造によって特徴付けられる。
【0013】
有利な例示的実施形態においては、バルブ装置は、リング体を有し、該リング体は、台座連結部の内壁から突出し、プレート状のバルブ体のための弁座を形成する。このような、プレート状バルブの形態としてのバルブ装置は、経済的に効率よく製造することができる。
【0014】
しかしながら、要素受け部の台座連結部は、軸方向の流路を含むバルブスプールを有するスプールバルブのためのバルブハウジングとしても同様に、良好に適合される。この場合、台座連結部は、端部プレートを有し、該端部プレートは、閉鎖位置においてスプールの流路を閉鎖する。
【0015】
プレートバルブまたはスプールバルブとしてのバルブ装置の一構成において、台座連結部においてハウジングの底部と面する端部領域において、圧縮バネユニットを支持するために、流路を含むディスクバネが設けられてもよい。ここで、圧縮バネユニットは、その一方がバルブ体上に支持されている。また、ディスクバネは、中央中空ピンを有してもよく、該中央中空ピンは、バルブ体の方向に突出するとともに、螺旋状のバネ構造のためのガイドを形成する。そして、バネ構造が、この中央中空ピンを環囲する。
【0016】
バルブ装置用に求められる大きな閉鎖力を容易に得るために、螺旋状のバネ構造は、2つの螺旋バネの組み立て体によって形成されてもよい。これら2つの螺旋バネは、互いに同心状に配置される。
【0017】
本稿で考えられているタイプのフィルタ装置は、詰まりインジケータを備えてもよい。この詰まりインジケータは、背圧がフィルタハウジングの汚染側上で規定された閾値を超えたときに、インジケータ信号を生成する。ネジ状連結部を台座連結部に螺合する間に、バルブ装置の作動用に制御体に対して得られる大きな作動力のために、バルブ装置におけるバネ構造の閉鎖力の大きさを、十分に大きくすることが可能となる。これにより、バルブ装置を開放させるようにシール体に作用する流圧が、インジケータ信号を生成する閾値よりも高い場合においても、バルブ装置は、閉鎖位置に留まることになる。これは、複数の機能を有する詰まりインジケータに係る、特に有利な利点を有する。一方では、汚染物の付着したフィルタ要素の詰まりによって上昇する背圧で、求められるフィルタ要素の交換プロセスのための信号を発信するインジケータ信号が、従来通りに発信される。他方では、バネ構造によって発生され、バルブ装置のために本発明に従って提供される大きな閉鎖力で、フィルタ要素がない、または、不適切なフィルタ要素が挿入されつつ、不意に装置を動作させるように試みた場合おいても、インジケータ信号が発信されることになる。何故ならば、本発明に従って設けられたバルブ装置の閉鎖特性のために、バルブ装置の解放前に、背圧が高まって、詰まりインジケータの信号をトリガするからである。
【0018】
本発明の主題は、請求項1〜13のいずれか1項に記載のフィルタ装置に用いられるフィルタ要素である。ここで、フィルタ要素は、請求項14において規定された特徴を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来技術に相当するフィルタ装置の縦断面図である。
【図2】本発明に係るフィルタ装置の一例示的実施形態の縦断面図であって、フィルタハウジングにおける使用に適したフィルタ要素が、動作位置に配置されている状態を示す。
【図3】図2に示す例示的実施形態の底部側の領域の縦断面図であって、図2と比べて、分解され、拡大された図を示す。
【図4】例示的実施形態の台座連結部の一部を切断した斜視図であって、ほぼ図3のスケールにて示している。
【図5】本発明に係るフィルタ装置において用いるために構成されたフィルタ要素の一端部の分解斜視図であって、概略的に簡素化され、且つ一部を切断された状態を示す。
【図6】図3と同様の断面図であるが、第2の例示的実施形態が示されており、使用に適したフィルタ要素が動作位置まで完全に挿入されていない状態を示している。
【図7】図4と同様の断面図であるが、第2の例示的実施形態の台座連結部が示されている。
【図8】図7に対応する図であるが、閉鎖されていない状態における、台座連結部のバルブ構成を示している。
【図9】図5に対応する1つのフィルタ要素の端部領域を示す図であって、フィルタ装置の第2の例示的実施形態における使用に関して、より拡大された寸法で、比較として示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、図面に示された例示的実施形態を用いて、以下に詳細に説明する。
【0021】
図1に示されている、従来タイプのフィルタ装置は、中空円筒状のフィルタハウジングを備える。このフィルタハウジングは、全体として符号1として表されており、互いに螺合された主部3および底部5を有する。主部3の上端部は、底部5の反対側に位置し、螺合式ハウジングカバー7によって閉鎖され得る。ハウジング1は、全体として符号9として表されているフィルタ要素を収容することができる。このフィルタ要素は、ハウジング1の長手方向の軸11に同心となっている。所定位置に位置決めして固定するために、底部5上において、要素受け部13が、中空体の形態で設けられている。ここで、要素受け部13の上側周縁端は、シール14の構造とともにフィルタ要素9を位置決めするためにフィルタ要素9に面しており、連結ユニット15と相互作用する。この連結ユニット15は、フィルタ要素9の端部キャップ17上に配置されており、該端部キャップ17は、底部5に面している。連結ユニット15は、濾過プロセスにおける洗浄側を形成しつつ、フィルタ要素9内のフィルタキャビティ19への流体連結部を形成している。洗浄流体は、洗浄側から連結ユニット15を経て流れ、要素受け部13内を流れて、底部5から底部バルブ21を経て流出する。なお、底部バルブ21は、従来の方法で、ハウジング流出口を保護する。
【0022】
図1において、フィルタ要素9は、2段階要素として構成され、フィルタ要素9の外側に配置され、より粗いフィルタ粗さを有するフィルタ材料23を含む。フィルタ材料23は、その外側において、外側ハウジングスペース25と隣接しており、該外側ハウジングスペース25は、濾過プロセスにおける汚染側を形成し、前置フィルタを形成している。
【0023】
底部側におけるフィルタ材料23の下端部は、端部キャップ17によって囲われている。フィルタ材料23の上端部は、カバーキャップ27によって囲われており、該カバーキャップ27上に、バイパスバルブ装置29が設けられている。このバイパスバルブ装置29によって、規定された汚染側圧力レベルで、スペース25から、フィルタ材料23の内部の前置濾過スペース31へ向けた流れが可能となる。2段階バージョンのフィルタ要素9において、前置濾過スペース31は、端部キャップ17の連結ユニット15に直接連結されているわけではないが、連結ユニット15の上流側に配置されている。そして、極精細な粗さを有するフィルタ材料35を備えた、高精細なフィルタユニット33が設けられている。このフィルタ材料35は、流体透過性を有する支持パイプ37を環囲している。支持パイプ37は、端部キャップ17の連結ユニット15に向けて開口しており、連結ユニット15の外側上のフィルタ材料35の下端部とともに、端部キャップ17に取り付けられている。このように、濾過プロセスにおいて清浄側を形成するスペース19は、連結部15を介して、要素受け部13の流路へと連結される。
【0024】
図1において、ハウジングの底部5上の汚染側スペース25への流体流入口43は、動作位置に配置されたフィルタ要素9の端部キャップ17の近傍に、配置されている。衝撃保護として、端部キャップ17の外側上の、流入口43に面するフィルタ要素9の周縁領域において、シールドプレート45が取り付けられている。このシールドプレート45は、関連する周縁領域において、外方フィルタ材料23の外側に沿って、弧状に延在している。流体流入口43の反対側に位置する下流領域において、トラップ磁石装置47が設けられている。なお、この下流領域は、入射流れ領域と反対側に面しており、その内部に、流れ安定化汚染トラップバスケット46が形成される。
【0025】
本発明に係る構造と、従来技術に相当する図1に示す構造との違いについて、以下に説明する。この例においても同様に、フィルタ要素9は、2段階要素として構成されており、これにより、上記したように、フィルタハウジング1の内部は、汚染側を形成し、且つ流体流入口43と接するスペース25と、洗浄側を形成する前置濾過スペース31および内部フィルタキャビティ19とに分けられている。しかしながら、従来技術に対する主な違いは、要素受け部13の構造と、フィルタ要素9の端部キャップ17の構造にある。ここで、上記キャップは、動作位置において、要素受け部に固定されるべきものである。要素受け部13の構成に関して、以下のような重要な特異性がある。すなわち、要素受け部13は、台座連結部51を有し、該台座連結部51は、ハウジング底部から、フィルタ要素9の方向に軸方向に突出している。台座連結部51は、図4に独立して図示されており、この例示的実施形態においては、要素受け部13の追加的コンポーネントを形成している。また、図示された例示的実施形態においては、台座連結部51は、要素受け部13の残りの部分に螺合され、要素受け部13の軸方向拡張部を形成している。台座連結部51の内部は、フィルタ要素9の洗浄側19から流れる流体のための流路53を形成するのみならず、通常は流路53を閉鎖するバルブ装置55のバルブハウジングも形成する。バルブ装置は、ディスク状のシール体57を有する。このシール体57は、台座連結部51の内壁から突出するリング体59に対する移動の軸方向へのバネ力によって、予圧が掛けられている。このリング体59は、シール体57のための環状の弁座60を形成している。シール体57に予圧を掛けるバネ力を発生させるために、2つの螺旋バネ61および63からなるバネ構造が設けられており、これら2つの螺旋バネ61および63は、バネ組み立て体を形成し、互いに同心に配置されている。そして、螺旋バネ61および63は、その一方がバネカップ65上に支持されるとともに、その他方がシール体57の底部上に支持されている。台座連結部に固定されたバネカップ65は、中央中空ピン57を有し、該中央中空ピン57は、該中央中空ピンを環囲する螺旋バネ61および63のためのガイドとして、シール体57の方向に突出している。そして、バネカップ65は、流路69を有し、該流路69は、バルブ装置55の開放状態において、流路53との連通を実現している。
【0026】
台座連結部51との相互作用のために、適用されたフィルタ要素9の端部キャップ17は、既に示されているように、図2、図3、および図5に示されている特別な構成を有している。図から明らかなように、端部キャップ17は、台座連結部51の外側に亘って延在する連結部71(図5)内において、同心状に突出するネジ状連結部73を有する。このネジ状連結部73は、雄ネジ75を含み、該外側スレッド75によって、台座連結部51の上端領域上に設けられた雌ネジ74と螺合する。このとき、外側スレッド75の端部に配置されたシール構造77が、封止部を形成する。ネジ状連結部53内においては、制御装置が設けられている。この制御装置は、図2および図3に示すように、使用されるフィルタ要素9が、ネジ状連結部73を台座連結部51に対して螺合させることによって動作位置まで移動された場合に、通常の閉鎖位置から開放位置にまで、バルブ装置55を制御する。制御装置は、ネジ状連結部53内において、同心状の突出部79の形態としての制御体を有し、該突出部79は、流路81(図5)を有する中空体を形成する。シール体57に面している突出部79の端部上に、ボール83が配置されている。このボール83は、ネジ状連結部73を台座連結部51に対して螺合させた場合に、この螺合による力を、シール体57の凹状ボール台座85に対する作動力に変換する。この作動力により、シール体57を、螺旋バネ61、63の力に反して、弁座60から離れるように移動させる。これにより、図2および図3に示されている動作状態となり、その結果、流路53が要素受け部13によって開放される。
【0027】
フィルタ要素9と要素受け部13との間の連結が、フィルタ要素9の端部キャップ17のネジ状連結部73を、要素受け部13の台座連結部51に対して螺合させることによって実行されるので、バルブ装置55を作動するための制御装置に対して、ネジ状連結部73が螺合挿入されたときに、大きな作動力が得られる。そして、この作動力が、シール体57を、ボール83を介して、閉鎖力に反して移動させる。このことは、バルブ装置55を開放させようとする台座連結部51内の圧力の差が大きい場合においても、シール体57が閉鎖位置に留まるように、螺旋バネ61および63からなるバネ組み立て体を構成することを可能とする。このことは、以下のことを保証する。すなわち、動作システム圧力が、バルブ装置55の閉鎖を解除するのに不十分であるので、フィルタ要素9が、不意にフィルタハウジング1内に挿入されていなかった場合において、フィルタ装置を操作することができる。のみならず、このようなフィルタ装置に典型的に設けられている詰まりインジケータ87と協働して、インジケータ信号を有利に生成することもできる。図2は、フィルタ1の底部5に、このような詰まりインジケータ87を示している。この詰まりインジケータ87は、汚染側25と繋がるチャネル89と、外部と繋がるチャネル91との間の特定の圧力差により、電気的インジケータ信号を生成する。特定の信号生成圧力差は、流体流入口43における所定の背圧の増加が発信されるように、選択される。ここで、所定の背圧の増加とは、フィルタ要素9が詰まっている状態に相当し、このときに、フィルタ要素を交換する必要がある。前述した、バルブ装置55の開放のために得ることのできる大きな差動力により、バルブ装置のバネの付勢力は、詰まりインジケータ87が反応する圧力差が生じている場合であっても、バルブ装置55が閉鎖状態を維持するように、選択され得る。このように、バルブ装置55は、フィルタが挿入されていない状態、または、バルブ装置55を開放する制御装置を含まない「不適正な」フィルタが挿入された状態での要素装置の動作を妨げる。のみならず、追加機能としての詰まりインジケータ87を介して、許容不可能な動作状態を発信することもできる。
【0028】
図6〜図9に示された第2の例示的実施形態は、第1の例示的実施形態と、以下の点で異なっている。すなわち、バルブ装置55が、プレート状バルブの形態として構成されているのではなく、スプールバルブの形態として構成されている。第1の実施形態と同様に、要素受け部13の台座連結部51は、バルブ体のためのバルブハウジングを形成しており、該バルブ体は、バルブスプール58の形態で、バルブハウジング内部に配置されている。図7および図8は、スプールバルブの詳細を示している。図9は、ネジ状連結部73の構成を示しており、ネジ状連結部73の構成は、図5と比べて、フィルタ要素9の端部キャップ17において変更されている。上記に説明した例示的実施形態と異なって、ネジ状連結部73は、雌ネジ74を有し、要素受け部13上の台座連結部51に、雄ネジ75が設けられている。上記と同様に、ネジ状連結部73の内部において、軸方向に突出する制御体が、端部ボール83を含む突出部79の形態として、設けられており、該突出部79に、流路81が形成されている。最初に説明した実施例とは異なって、端部においてフィルタ要素9に面する台座連結部51は、開口されておらず、端部プレート70を有している。この端部プレート70の下方において、流体流入口72が、図8に示すように、バルブ装置が開放状態となっているときに、台座連結部51の内部への流体の流入を可能とする。このとき、バルブスプール58は、バネ61の力に反して、押し下げられる。ネジ状連結部73上の突出部79と相互作用した、この変位移動のために、バルブスプール58は、端部プレート70を貫通して延びるシャフト76を有する。図7は、スプールバルブの閉鎖位置を示しており、このとき、バルブスプール58の閉鎖端部78は、端部プレート70の内側と当接している。これにより、流体は、横方向の流入口72を通って流入することができない。図8に示すように、適切なフィルタ要素9が台座連結部51に対して螺合されるにつれて、バルブスプール58が端部プレート70から離れるように移動されると、流入口72を介して流入する流体は、バルブスプール58の流路64を通過して、台座連結部51の内部に流れ込む。これにより、バルブ装置55が開放される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の軸(11)を規定する少なくとも1つのフィルタ要素(9)を、フィルタカートリッジの形態で収容するフィルタハウジング(1)を備え、
前記フィルタ要素(9)は、少なくとも一端部上において、フィルタ材料(23、35)の関連する端部のための囲いを形成する端部キャップ(17)を有し、
前記端部キャップ(17)は、要素受け部(13)上に固定され、
前記要素受け部(13)は、前記フィルタ要素(9)の位置を、その機能的位置に固定するために、前記フィルタハウジング(1)の底部(5)と相互作用するとともに、フィルタ要素(9)のフィルタキャビティ(19)から流れる清浄流体のための流路を形成する、流体用のフィルタ装置であって、
前記要素受け部(13)は、流路(35)を閉鎖するバルブ装置(55)を有し、
前記フィルタ要素(9)の前記端部キャップ(17)上の動作位置において、前記バルブ装置(55)を開放する制御装置(79、83)が設けられ、
前記端部キャップ(17)は、前記要素受け部(13)上に固定されることを特徴とする、フィルタ装置。
【請求項2】
前記清浄流体のための流路(53)を形成する前記要素受け部(13)は、台座連結部(51)を有し、
前記台座連結部(51)は、前記ハウジングの底部(5)から、動作位置にあるフィルタ要素(9)の方向に軸方向に突出し、前記バルブ装置(55)を収容することを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記端部キャップ(17)は、ネジ状連結部(73)を有し、
前記ネジ状連結部(73)は、濾過プロセスにおいて、洗浄側を形成する前記フィルタ要素(9)のフィルタキャビティ(19)からの流体の流出口を形成し、且つ、前記台座連結部(51)に螺合され、
前記ネジ状連結部(73)上の前記バルブ装置(55)のための前記制御装置は、前記台座連結部(51)に螺合される間に、前記バルブ装置(55)を開放するように該バルブ装置(55)に対して作用する制御体(79、83)であることを特徴とする、請求項2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記バルブ装置(55)は、バルブ体(57、58)を有し、
前記バルブ体(57、58)は、前記台座連結部(51)の内壁上において軸方向に移動可能であるとともに、バネ構造(61、63)によって、前記端部キャップ(17)の方向に、閉鎖位置に向けて予圧が掛けられていることを特徴とする、請求項3に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記ネジ状連結部(73)上の前記制御体は、軸方向に延びる突出部(79)を形成し、
前記突出部(79)は、螺合連結プロセスの間に前記バルブ体(57、58)に作用し、前記バルブ体(57、58)を、前記バネ構造(61、63)の力に反して、閉鎖位置から移動させることを特徴とする、請求項4に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記バルブ装置(55)は、リング体(59)を有し、
前記リング体(59)は、前記台座連結部(51)の内壁から突出し、プレート状のバルブ体(57)のための弁座(60)を形成することを特徴とする、請求項5に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記ネジ状連結部(73)は、雄ネジ(75)を有し、前記台座連結部(51)に配置された雌ネジ(74)に螺合されることを特徴とする、請求項6に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
前記バルブ装置(55)のバルブ体は、軸方向の流路を含むバルブスプール(58)によって形成され、
前記台座連結部(51)は、閉鎖位置において前記スプール(58)の流路(64)を閉鎖する端部プレート(70)を有することを特徴とする、請求項5に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記端部キャップ(17)の前記ネジ状連結部(73)は、雌ネジ(74)を有し、前記台座連結部(51)に配置された雄ネジ(75)に螺合されることを特徴とする、請求項8に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記バルブ装置(55)は、バネカップ(65)を有し、
前記バネカップ(65)は、流路(69)を含み、且つ、圧縮バネユニット(61、63)を支持するために、前記台座連結部(51)において前記ハウジングの底部(5)と面する端部領域に取り付けられ、
前記圧縮バネユニット(61、63)は、その一方が前記バルブ体(57、58)上にて支持されることを特徴とする、請求項4〜9のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
前記バネカップ(65)は、中央中空ピン(67)を含み、
前記中央中空ピン(67)は、シール体(57)の方向に突出するとともに、螺旋状のバネ構造(61、63)のためのガイドを形成し、
前記バネ構造(61、63)は、前記中央中空ピン(67)を環囲することを特徴とする、請求項10に記載のフィルタ装置。
【請求項12】
前記螺旋状のバネ構造は、2つの螺旋バネ(61、63)の組み立て体によって形成され、
前記2つの螺旋バネ(61、63)は、互いに同心状に配置されることを特徴とする、請求項10または11に記載のフィルタ装置。
【請求項13】
前記フィルタハウジング(1)の汚染側(25)上において、背圧が規定された閾値を超えたときに、インジケータ信号を生成する詰まりインジケータ(87)を備え、
前記バルブ装置(55)における前記バネ構造(61、63)の閉鎖力は、シール体(57)を開放させるように該シール体(57)上に作用する流圧が、前記インジケータ信号を生成する閾値よりも高いとき、前記バルブ装置が閉鎖位置に留まるように設定されることを特徴とする、請求項4〜12のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のフィルタ装置に用いられるフィルタ要素(9)であって、
少なくとも一端部上において、フィルタ材料(23、35)の関連する端部のための囲いを形成する端部キャップ(17)を備え、
前記端部キャップ(17)は、要素受け部(13)上に固定され。
前記要素受け部(13)は、機能的位置に前記フィルタ要素(9)を固定するために、関連するフィルタハウジング(1)の底部(5)と相互作用する、フィルタ要素(9)において、
前記端部キャップ(17)は、軸方向に突出するネジ状連結部(73)を有し、
前記ネジ状連結部(73)は、濾過プロセスにおいて、洗浄側を形成するフィルタキャビティ(19)からの流体の流出口を形成し、前記要素受け部(13)に螺合され、且つ、制御装置(79、83)を有し、
前記制御装置(79、83)は、螺合連結の間に、バルブ装置(55)を開放するように該バルブ装置(55)に対して作用し、
前記バルブ装置(55)は、通常、前記要素受け部(13)を通過する流路(53)を閉鎖することを特徴とする、フィルタ要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−516303(P2013−516303A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546372(P2012−546372)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006292
【国際公開番号】WO2011/079884
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(511004689)ハイダック フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】