説明

フィルタ装置を有する照明装置

【課題】フィルタ装置を有する照明装置において制御可能な光変調器を用いる場合、フィルタアパーチャの可変制御を可能にさせる。
【解決手段】フィルタ装置は、対応するアドレスにより生成されるフィルタアパーチャ(FO)を有する光学的にアドレス可能な空間光変調器(SLM2)を備え、フーリエ面(FE)内の前記フィルタアパーチャ(FO)の位置及びサイズのいずれかは、制御ユニット(CU)により制御され、前記フーリエ面(FE)における前記フィルタアパーチャの位置と駆動された光源の中間画像の位置が一致するとともに、結像された中間画像の位置が観測面(BE)における検出された位置に一致し、前記フィルタアパーチャ(FO)のサイズが電気的にアドレス可能な空間光変調器(SLM1)により回折された光の極大の1つの回折次数により決定されるように、前記光変調器(SLM2)がアドレスされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的にアドレス可能な空間光変調器を照射する光源アレイと、光源アレイの少なくとも1つの駆動された光源を、中間画像として電気的にアドレス可能な空間変調器のフーリエ面に結像し、当該中間画像を観測面において検出された位置に結像する結像手段と、フーリエ面に配置されたフィルタ装置と、光源と光変調器とフィルタ装置とを制御する制御ユニットと、を備える照明装置に関する。本発明はさらに、本発明に係る照明装置を備えるホログラム投影ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の応用分野は、3次元シーンのホログラム再現をみることができる観測者ウィンドウを有するホログラム投影ディスプレイを含む。観測者ウィンドウは、空間光変調器(SLM:spatial light modulator)に書き込まれたホログラムのフーリエ変換として生成され、当該観測者ウィンドウは、用いられた変換の1つの周波数区間に位置する。
【0003】
光変調手段として、電気的にアドレス可能な空間光変調器(EASLM:electrically addressable spatial light modulator)を有するホログラム投影ディスプレイにおいて、1つの眼と他の眼について生成されたホログラム再現のクロストークを避けるために、高次の回折次数コヒーレント光をできるだけ圧縮または最小化することへの課題が存在する。高次の回折次数は、コヒーレント光がEASLMのピクセルマトリックスにおける回折により変調された場合に生成される。このことは、生成されたホログラム再現の品質を損なう。
【0004】
高次の回折次数は、例えばフィルタ面におけるフィルタにより除去されうる。このフィルタリングは、光路において固定されたシャッタを有するフィルタ装置、あるいは変化可能なフィルタアパーチャを有するシャッタにより実現されうる。
【0005】
固定されたシャッタは、例えばアパーチャを有するアパーチャマスクであってよい。アパーチャは、入射光の定義された回折次数あるいはその少なくとも一部がフィルタ面において除去されて伝送されるように次元化(dimensioned)される。アパーチャの外側のアパーチャマスクに入射した光は、生成される観測者ウィンドウの中間画像のサイズに一致するように次元化される。アパーチャは、フィルタリングが常にその位置で生じるように固定位置を有する。
【0006】
ディスプレイの前に位置する観測者の、変化した位置に観測者ウィンドウを追跡するために、例えば光源追跡は、即ち駆動された光源のパターンが変更されることにより実現できる。このように設計されたホログラム投影ディスプレイは、出願人により出願された独国特許出願公開第10 2005 023 743号明細書に開示されている。
【0007】
しかしながら、光源の位置が変更された場合に、フィルタ面における観測者ウィンドウの中間画像が置き換えられるあるいは部分的に除去されうるため、光源追跡は高次の回折次数の静的フィルタと組み合わせることができない。さらに、正確なフィルタリングには、フィルタ面より手前に変更不可能な光路を必要とするが、当該追跡は光路に影響を及ぼす。
【0008】
光の高次の回折次数の軽減は、高次の回折次数が2つの結像手段、及び当該二つの結像手段の間の焦点面におけるフィルタを用いてフィルタリングされることにより、公知のフーリエフィルタリングや4fフィルタリングと同様に可能である。4fフィルタリングは、例えば出願人により出願された独国特許出願公開第10 2007 019 277号明細書に開示されている。当該明細書によれば、直視型ディスプレイにおいてフィルタとして機能する、ピクセルで構成された電気的シャッタパネルによりフィルタリングは実現される。フィルタ装置は、それぞれのレンズがフィルタアパーチャアレイの1つのフィルタアパーチャに割り当てられたレンズアレイに基づく。観測者ウィンドウを追跡する場合、1ピクセルずつシャッタが透過モードを切り替えることにより、フィルタリングは実現される。しかしながら、この装置はホログラム投影ディスプレイには使用できない。アパーチャがピクセルのサイズとなるため、シャッタパネルは非常に大きいピクセルを有さねばならず、アパーチャの置き換えは非常に多くの工程によってのみ可能となる。さらに、ピクセルで構成されたシャッタの構造は、新たな高次の回折次数の発生を再び引き起こす。
【0009】
またさらに、ピクセルマトリックスの光変調器は、ずれを有する傾向にある。定義されたアパーチャの位置を実現するためには、ピクセルは正確に光源アレイに位置あわせされなければならない。
【0010】
4fフィルタリングは、フィルタ面の後に第2の結像手段として1つの鏡のみを有する投影ディスプレイに使用されるべきである。2つの結像手段の焦点距離は異ならせなければならない。
【0011】
さらに、ファーらの写真・光学計測技術者協会(SPIE)の論文6487 64870E-1「アゾ色素ドープ液晶フィルムに基づく空間フィルタ(Spatial filter based on azo-dye-doped liquid crystal films)」に示されるような液晶層を有する光学的にアドレス可能な光変調器(OASLM:optically addressable spatial light modulator)は、フィルタとして用いられることもできる。このOASLMにおいて、OASLMの1つ側面に入射した光により、液晶(LC)分子は定義された空間分布、即ち均一な優先方位が得られる。このことは、制御手段により制御されたものとして、OASLMに入射した光の強度または偏光についての変更により実現される。
【0012】
OASLMのLCレイヤは、アゾ色素分子を有するドープ塗料が塗布される。このようなOASLMに光が入射した場合、色素分子の主軸は光の偏光方向に直角をなすように配置される。
【0013】
入射光度がある値に至る場合、ねじれネマティック(TN)構造がセルにおいて生成されうる。このTN構造は、あるLCレイヤの適切な厚さで、入射光の偏光を90度回転しうる。この回転は、入射光度が十分高いOASLMの領域においてのみ生じうる。OASLMの他の領域は、偏光方向を変えることなく入射光を伝送する。
【0014】
入射光は書き込み用の光として言及されてもよい。同一波長の光は、書き込み用及び読み出し用両方の光として用いられる。
【0015】
本明細書文脈において、OASLMという言葉は、一般的に、光方向においてある変調特性を呈しうる、全ての種類の制御可能な空間光変調器を対象とするべきである。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、照明装置において制御可能な光変調器を用いた場合に生じる上述した背景技術において説明した課題を解決することである。特に、フィルタ装置は、フィルタアパーチャの可変制御を可能にするように提供されるべきである。
【0017】
照明装置は、フィルタ装置を用いて明記可能な観測面の位置において、ホログラム投影ディスプレイにおける少なくとも2つの方向の観測者ウィンドウの追跡を実現し、それぞれの観測者の右眼及び左眼に対応する観測者ウィンドウの逐次生成を簡略化するべきである。
【0018】
解決は、電気的にアドレス可能な空間光変調器を照射する光源アレイと、光源アレイの少なくとも1つの駆動された光源を、中間画像として電気的にアドレス可能な空間光変調器のフーリエ面に結像し、中間画像を観測面において検出された位置に結像する結像手段と、フーリエ面に配置されたフィルタ装置と、少なくとも光源、光変調器、及びフィルタ装置を制御する制御ユニットと、を有する照明装置に基づく。
【0019】
本発明に係る目的は以下により解決される。
【0020】
フィルタ装置は、対応するアドレスにより生成されるフィルタアパーチャを有する、光学的にアドレス可能な空間光変調器を備え、
フーリエ面内のフィルタアパーチャの位置及びサイズの少なくともいずれかは、制御ユニットにより制御され、フーリエ面におけるフィルタアパーチャの位置と駆動された光源の中間画像の位置が一致するとともに、同時に結像された中間画像の位置が観測面における検出された位置に一致し、フィルタアパーチャのサイズが、電気的にアドレス可能な空間光変調器により回折された光の極大の1つの回折次数により決定されるように、光学的にアドレス可能な空間光変調器はアドレスされる。
【0021】
発明の1つの実施形態によれば、結像手段は少なくとも1つの駆動された光源を、中間画像としてフーリエ面に結像する第1の結像手段と、観測者ウィンドウとして機能するように、中間画像を観測面における検出された位置に結像する第2の結像手段と、をさらに備える。
【0022】
光学的にアドレス可能な空間光変調器は、電気的にアドレス可能な空間光変調器にホログラムの形式で書き込まれた、定義された強度分布を有する電気的にアドレス可能な空間光変調器によりアドレスされることが好ましい。
【0023】
有色表現の照明装置の実施形態は、赤、緑、及び青の光源の光源アレイを備え、フィルタアパーチャのサイズは、駆動された青の光源から放射され、電気的にアドレス可能な空間光変調器により回折された、光の1つの回折次数に一致するように好ましくは制御される。
【0024】
光学的にアドレス可能な空間光変調器は、書き込み用の光の偏光あるいは強度を変更することにより変化しうる透過率を示す。フィルタアパーチャの位置及びサイズは、好ましくは、書き込み用の入射光の偏光あるいは強度の空間的勾配により、光学的にアドレス可能な空間光変調器に書き込まれうる。
【0025】
書き込み用の光を提供するために、追加の光源を用いることも可能である。また光学的にアドレス可能な空間光変調器は、異なる波長を有する追加の光を有する、光学的にアドレス可能な空間光変調器を制御ユニットが制御するようにアドレスされうる。しかしながら、少なくともいくつかの光源により放射された光は、光源アレイを可能な限り単純化するように、書き込み用の光と読み出し用の光の両方として用いられ得る。
【0026】
本発明によれば、新たなフィルタアパーチャの位置及びサイズの少なくともいずれかは、予め符号化されたフィルタアパーチャの削除の後に書き込まれうる。電気的にアドレス可能な空間光変調器がいかなる情報も提示していない期間に、光学的にアドレス可能な空間光変調器の全領域に対して共通の電圧を特定の時間だけ印加することにより、削除は実行される。
【0027】
本発明の更なる実施形態によれば、シャッタパネルは、照明装置の光路上において、中間画像面及び第2の結像手段の間に配置され、シャッタパネルは書き込み動作及び削除動作の少なくともいずれかの間に最小の透過率となり、読み出し動作の間に最大透過率となるように切り替え可能である。
【0028】
さらに、光学的にアドレス可能な空間光変調器は、最大透過率及び最小透過率をバイナリで切り替え可能であり、最大透過率は所定の閾値より上の強度を有する書き込み用の光により引き起こされ、最小透過率は削除動作の間に実現される。最大透過率を有する領域の位置及びサイズは、光学的にアドレス可能な空間光変調器においてフィルタアパーチャを決定する。透過率の値は、制御ユニットにより制御される。
【0029】
透過率勾配は、フィルタアパーチャの位置及びサイズにおける最小透過率以外の、様々な透過率の値を設定することにより、フィルタアパーチャに渡って実現されうる。
【0030】
振幅及び位相の少なくともいずれかの値は、光学的にアドレス可能な空間光変調器にフィルタアパーチャを書き込むために、これらの振幅及び位相の少なくともいずれかの値のフーリエ変換が定義された強度分布に近似するように、少なくとも1つの光源により放射された書き込み用の光を変調する電気的にアドレス可能な空間光変調器に書き込まれる。
【0031】
照明装置の他の実施形態によれば、光学的にアドレス可能な空間光変調器は、色素ドープ液晶レイヤを備え、当該色素ドープ液晶レイヤにおいて、液晶分子が書き込み用の光の強度閾値以上に再び方向付けられるように、色素モジュールは書き込み用の光により方向付けられうる。
【0032】
さらに、本発明に係る照明装置は、再現された3次元シーンを、観測者ウィンドウを介して観測者に見せられる、ホログラム投影ディスプレイにおいて実現されうる。
【0033】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の照明装置を有するホログラム投影ディスプレイであって、照明装置はフィルタ面と、観測面と、を備え、観測者ウィンドウは少なくとも1つの駆動された光源、及び照明装置の電気的にアドレス可能な空間光変調器において符号化されたホログラムを結像することにより、観測面に生成されることが可能であり、回折次数は、観測面における駆動された光源の中間画像の位置に依存して、フィルタ面においてフィルタリングされ、投影ディスプレイは、少なくとも光源、光変調器及びフィルタ装置を制御する制御ユニットを含む。
【0034】
発明は、添付の図面とともに以下の実施形態を用いて、より詳細に説明されうる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】、
【図1B】制御可能な光変調器のフーリエ面に、制御可能なフィルタアパーチャを有するフィルタ装置を備える、本発明に係る照明装置を示した概略図である。
【図2A】、
【図2B】高次の回折次数のフィルタリング前後のグラフィック再現の強度分布である。
【図3】コヒーレント光を用いてSLMにフィルタアパーチャを書き込む(書き込み処理)実施形態を示した概略図である。
【図4】SLMにおける、コヒーレント光を用いたフィルタアパーチャの読み出し動作を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は以下の原理に基づく。SLMの照射に加え、本発明の照明装置は光路における使用されたコヒーレント光の高次の回折次数を同時にフィルタリングするものとする。1つの定義された回折次数は、画像面における位置に伝送されるものである。当該画像面における位置は、少なくとも2次元において変更可能である。
【0037】
光源アレイの少なくとも1つの駆動された光源は、電気的にアドレス可能な空間光変調器(EASLM)を照射し、第1の結像手段により中間画像面に中間画像として結像される。EASLMのピクセル構造における回折は、光の高次の回折次数の周期的な連続を伴い、駆動された光源の中間画像を当該画像面に提示させる。周期的な連続の2つのインスタンス間の距離は、回折次数のサイズを表す。高次の回折次数は、フィルタ装置によりその画像面において除去されうる。フィルタアパーチャは、極大の1つの回折次数が第2の画像面で生じるように、第2の結像手段により当該第2の画像面に結像される。
【0038】
ここでは、除去(filtering out)とは、ある光のある回折次数がフィルタアパーチャを介して伝送されないようにすることを意味する。フィルタ装置は、フィルタ面におけるこれらの回折次数の光を抑制し、1つの定義された回折次数のみを通過させる。
【0039】
本発明によれば、光学的にアドレス可能な空間光変調器(OASLM)は、フィルタ面においてフィルタ装置として機能する。当該フィルタ面では、光源画像の位置における変化に追従するように、OASLM上のフィルタアパーチャの位置を置き換えることができる。
【0040】
図1A及び1Bは、本発明の第1の実施形態に係る制御可能な光変調器のフーリエ面において、フィルタ装置を有する本発明に係る照明装置の概略的な配置を、上面図として示している。
【0041】
図1Aを参照すると、フィルタ装置は、ピクセルで構成された、電気的にアドレス可能な空間光変調器SLM1のフーリエ面FEに配置される。光変調器SLM1は、1つの光源LQが駆動された、光源アレイLQA(図では3つの光源を有する1つの行のみが示されている)により照射される。光路において、光変調器SLM1のすぐ後にレンズ状の第1の結像手段L1が続く。また、光変調器SLM1のフーリエ面FEは、第1の結像面、及びフィルタ装置のフィルタ面として機能する。後者は、光学的にアドレス可能な空間光変調器SLM2である。光変調器SLM2のフィルタ装置FOの位置及びサイズの両方は、フィルタ面において変更されうる。
【0042】
制御ユニットCUは少なくとも、光源LQの選択及び切り替え、光変調器SLM1の符号化、及び光変調器SLM2の透過モードへの切り替え、を制御する。駆動された光源の中間画像を第2の画像面に結像するために、光変調器SLM2の後に第2の結像手段L2が続く。
【0043】
フーリエ面FEへの駆動された光源LQについての周期的な連続の結像は、図において点線で示される。光変調器SLM2では、定義された1つの回折次数のみがフィルタアパーチャFOを追加しうる。駆動された光源LQの中間画像は、フーリエ面FEに現れる。
【0044】
図1Bを参照すると、個々の構成要素の配置は、図1Aと同様であるが、光源アレイLQAの異なる光源LQが駆動されている。光源LQの中間画像、及び高次の回折次数状の中間画像の連続は、図1Aに示されるような状況と比較して、中間画像面あるいはフーリエ面FEにおいて異なる位置に移動している。従って、光変調器SLM2において、フィルタアパーチャFOの位置も変化している。このことは、極大の1つの回折次数のみが伝送されるとともに他の全ての回折次数がフィルタアパーチャFOにより遮られる、他の光源LQの中間画像の位置に対応した光変調器SLM2の新たな位置において、フィルタアパーチャFOが生成されることを意味する。フィルタアパーチャFOのサイズは、伝送される回折次数により決定される。
【0045】
フィルタアパーチャFOは、例えば長方形状を呈しうる。水平方向のサイズは、光変調器SLM1の1つの水平回折次数よりも大きくなく、垂直方向のサイズは、光変調器SLM1の1つの垂直回折次数よりも大きくない。
【0046】
本発明の1つの実施形態によれば、フィルタアパーチャFOは、書き込み用のコヒーレント光とともにアドレスすることにより光変調器SLM2において符号化される。制御ユニットCUは、光変調器SLM2のサブ領域が透明になるとともに、残りの領域が光に対して最小透過率の状態を示すように、光変調器SLM2を制御する。光変調器SLM2の透明なサブリージョンの透過率の設定は、残りの領域の最大透過率より大きくなる。その後、フィルタ処理は、上述したように生成されたフィルタアパーチャにより、コヒーレント光を用いる読み出し動作において実行される。
【0047】
図2Aは、照明装置の光路に配置されたOASLM内のフィルタアパーチャによりフィルタリングされる前の、書き込み用の光の相対的な空間強度分布を示している。本例では、強度分布はおおよそ(sin(x)/x)に一致している。ここで、xはフィルタアパーチャの位置を表す。
【0048】
フィルタ装置は、ここでは光変調器SLM2として例えばLC型OASLMであってよい。これはバイナリ特性を示す。LC型OASLMの1つの側面に入射する、書き込み用の光のある強度閾値を超えると、LC分子はLC型OASLMの面の透明度を切り替えるあるいは置き換えることにより再び方向付けられる。OASLMの実現可能な分解能は、書き込み用の光の強度あるいは偏光が、いかに精密に、空間的に変更されうるかによる。
【0049】
故に、LC分子の適用可能な方向により、OASLMは入射光(読み出し用の光)自身の振幅及び位相の少なくともいずれかを変調する。書き込み用の光の波長は通常、読み出し用の光の波長とは異なる。LC分子の方向は、ある波長範囲の光によってのみ影響を受ける。その結果、LC型OASLMは、異なる波長範囲の光を変調するために用いられうる。
【0050】
本実施形態は、例えば閾値以上の高い強度を有する回折次数、及び閾値以下の低い強度の回折次数をフィルタリング可能である。
【0051】
グラフでは、閾値は、書き込み用の光の最大強度の約0.57倍である。このことは、書き込み用の光の強度曲線とx軸に平行な直線の交点の間にある区域によりサイズが定義された、LC型OASLMにフィルタアパーチャが書き込まれることを意味している。
【0052】
図2Aを参照すると、LC型OASLMの符号化のために設定する必要がある、書き込み用の光の空間的な強度分布は、単一の駆動された光源の光源画像の強度分布とは通常異なっている。
【0053】
複数の光源を用いる、あるいは書き込み用の光及び読み出し用の光について異なる光源を用いる照明装置において、例えば光源アレイの複数の隣接した光源は、書き込み用の光を提供するために駆動される。フィルタ面において実現される強度プロフィールは、光源画像の重ね合わせに起因する。このような場合、書き込み動作のために非干渉性の光源を用いることができる。
【0054】
図2Bは、同一の書き込み用及び読み出し用の光、即ち、書き込み用及び読み出し用の光の両方を提供するために駆動される同一の光源LQを用いる、別の実施形態に係るフィルタアパーチャによってフィルタリングされた光の強度分布を示している。フィルタアパーチャを書き込むために用いられる同一の光は、フィルタアパーチャによりフィルタリングもされる。閾値以下の強度分布を有する光は圧縮されている。
【0055】
図3は、本発明に係る照明装置を示しており、光変調器においてフィルタアパーチャを符号化するためにコヒーレント光を用いる書き込み動作を概略的に図示している。
【0056】
照明装置の更なる実施形態によれば、光源LQが書き込み用のコヒーレント光を放射する光源アレイLQAとともに、光変調器SLM1は用いられる。図3には、図1A及び1Bにおいて示されて説明された構成要素も示されている。加えて、シャッタパネルSは、光変調器SLM2及びレンズ状の結像手段L2の間に配置されている。制御ユニットCUはここでは、例えば光源アレイLQAの1つの光源LQの選択及び切り替え、光変調器SLM1の符号化、及び光変調器SLM2のサブ領域の透過モードへの切り替えを制御する。
【0057】
第1の結像手段L1は、強度分布Iを有する駆動された光源LQを、第1の画像面、即ち光変調器SLM2上に結像する。この強度分布は光路において光変調器SLM2の前で呈される。この画像面は、光変調器SLM1のフィルタ面及びフーリエ面と一致するため、振幅値及び位相値の少なくともいずれかは、書き込み動作のホログラムの状態で光変調器SLM1に書き込まれうる。書き込み用の光の強度分布Iは、フーリエ変換の振幅の二乗に比例し、光変調器SLM2のフィルタアパーチャFOを生成する強度分布の値のフーリエ変換により特徴付けられる。
本発明の別の実施形態によれば、書き込み及び読み出し動作は、照明装置において互いに独立して実行される。書き込み用及び読み出し用の光は同一ではなく、書き込み用の光の波長は読み出し用の光の波長と異なっている。書き込み動作は、例えばUV光を含みうる。このことは、光源アレイが書き込み動作にのみ用いられ得る追加の光源を含むことを意味する。
【0058】
UV光が書き込みに用いられる場合、例えば当該光は図3に示すような光路におけるシャッタパネルSにより遮られうる。このため、シャッタパネルSは書き込み動作及び削除動作の少なくともいずれかの間は最小透過率となり、読み出し動作の間は最大透過率となるように制御手段CUにより切り替えられうる。UV光は、第2の結像面には届かない。その結果、読み出し動作は可視光を用いる。書き込み用のコヒーレント光及び非干渉性の光源の両方が用いられうる。
【0059】
別の実施形態によれば、電圧が印加されている場合、または電圧が印加されていない場合いずれかの場合のみ、書き込み用の光を用いた書き込み動作が実行可能となるように制御ユニットCUにより印加された電圧によって、光変調器SLM2への書き込み動作は影響を受けうる。その結果、例えば書き込み用及び読み出し用の光の両方を適用するために、同一の光源を用いることが可能になる。このため、第1のホログラムは書き込み用の光の分布を生成するために光変調器SLM2に書き込まれ、アパーチャ関数(aperture function)を書き込むために光変調器SLM2に電圧が印加される。その後、読み出し用の光の強度分布とは異なる強度分布を生成する別のホログラムが光変調器SLM1に書き込まれるため、読み出し動作は実行されうる。光変調器SLM2に印加された電圧は停止され、読み出し用の光の強度分布は、フィルタ装置において、アパーチャにおける妨害となるいかなる変動も生じないようにフィルタリングされる。
【0060】
一般的に、光変調器SLM1に書き込まれたホログラムは、光源アレイLQAの複数の光源LQを与えうる。
【0061】
例えば観測者ウィンドウを有するホログラムディスプレイの構成要素である照明装置において、光変調器SLM2上の中間画像の位置も変化するように、駆動された光源の位置が変化する場合、ある強度分布を有する、対応するアパーチャ関数を書き込み用の光が書き込みうる光変調器SLM2における領域が常に自動的に生じうる。中間画像の位置は、観測者の一編かの結果として、あるいはサブ観測者ウィンドウの時分割多重により変化しうる。その結果、光度分布は関連領域において閾値以上となる。これは、光変調器SLM2の光源の位置への同期化が必要ない、さらには光変調器SLM2が横方向においてそれほど高い正確性で整列されなくてもよい点のいずれかによるものである。
【0062】
一般的に、単一のOASLMあるいは単一のシャッタパネルは、透過モードにおいて入射光の100%伝送しないものではなく、低い透過率を示す。OASLMとシャッタパネルの組み合わせは、最大透過率及び最小透過率が実現されることを可能にする。
【0063】
故に、OASLMのフィルタアパーチャは、最大透過率がフィルタアパーチャの内側に設けられ、最小透過率がフィルタアパーチャの外側に設けられることにより実現される。
【0064】
図4は、図3に上述した装置における読み出し動作を示している。光変調器SLM1は、図3に示したものとは異なる振幅値及び位相値を用いて符号化される。即ち、それらはフィルタアパーチャFOに対して異なる強度分布I’を生成する。
【0065】
本照明装置が観測者ウィンドウを有するホログラム投影ディスプレイの一部である場合、3次元シーンのホログラムは読み出し動作のために光変調器SLM1に書き込まれる。その結果、中間画像面において生成された強度分布I’は、観測者ウィンドウBFが生成される中間画像の強度分布と一致する。
【0066】
光変調器SLM2内のフィルタアパーチャFOは、図3を用いてなされた説明と同様に生成される。この場合、シャッタパネルSは、フィルタアパーチャFOが妨害なしに、強度分布I’’を有して第2の画像面に結像されうるように、透過モードに切り替えられる。
【0067】
以下、光変調器SLM2において、どのように制御ユニットCUがフィルタアパーチャを書き込みまたは削除するかを説明する。
【0068】
図3及び4を参照すると、光変調器SLM2は、例えば書き込み用の光のある強度閾値以上である場合に、現在の状態が閾値以下に変化しないようにしつつ、定義された状態を実現するよう、LC分子が方向付けられうるように設計される。書き込み用の光の強度が閾値以上である光変調器SLM2のサブ領域は、最大透過率を示すように制御されうる。当該強度閾値以下の光変調器SLM2のサブ領域は、黒、即ち最小透過率の状態にとどまりうる。
【0069】
この場合、強度が位置とともに連続的に変化する書き込み用の光はまた、光変調器SLM2において明確な境界(sharp boundary)とともにフィルタアパーチャFOを符号化しうる。
【0070】
加えて、符号化されたフィルタアパーチャFOが再び削除されうるように、光変調器SLM2は最小透過率なるようにパネルの全面を設定するための削除機能を有する。フィルタアパーチャFOの位置及びサイズの少なくともいずれかは、1つのフィルタアパーチャFOが削除され、続いて新たなフィルタアパーチャが書き込まれることにより変更されうる。
【0071】
削除機能は、光変調器SLM2の全面を最小透過率となるように切り替えるために一定間隔で印加される共通の電圧により実現されうる。また光変調器SLM2は、書き込み用の光の強度がある期間閾値以下となった場合に、最小透過率の状態に自動的に戻すように設計される。
【0072】
別の実施形態によれば、有色の情報を提示可能な照明装置において、有色光が生成される。光源アレイは、例えば赤色光、緑色光、及び青色光の異なる波長の光を放射する光源を備える。青色光は、例えばフィルタアパーチャの書き込み及び読み出しの両方に用いられてもよい。他の2つの波長の光は、読み出し用にのみ用いられる。
【0073】
このような形式の照明装置は、ホログラムディスプレイ装置において有色のホログラム再現を生成するために用いられ得る。赤色光、緑色光、及び青色光の回折次数はサイズが異なる。青色光の全回折次数のサイズ、それ以外は赤色光及び緑色光の全回折次数のサイズの一部に一致するように観測者ウィンドウのサイズを選択することは理にかなっている。絶対的には、これは、三色全てについて観測者ウィンドウのサイズが同一となる結果をもたらす。
【0074】
書き込み用の光として青色光が用いられる場合、当該書き込み用の光はフィルタアパーチャのサイズも定義する。そして赤色光及び緑色光は、青色光に対するフィルタアパーチャと同一のサイズを有するフィルタアパーチャを介すことによりフィルタリングされうる。
【0075】
OASLMに書き込まれたフィルタアパーチャの形状は、フィルタリングが、1次元あるいは2次元において選択的に実行されるように設計されうる。特に、スロット形状のアパーチャは1次元において回折次数のフィルタリングを実現し、円形状あるいは矩形状のアパーチャは2次元において回折次数のフィルタリングを実現する。
【0076】
例えば、正方グリッドではない矩形状に配置されたピクセルを有するEASLMにおいて、水平方向の回折次数のサイズは、垂直方向とは異なる。2次元におけるフィルタリングが要求される場合、OASLMにおける矩形状のフィルタアパーチャが好ましい。
【0077】
更なる実施形態によれば、バイナリ形式を示す代わりに、OASLMは書き込み用の入射光の強度により、段階的あるいは連続的に変更可能な透過率を示しうる。このことは、最小透過率よりは高く、最大透過率よりは小さい、少なくとも1つの更なる透過率の値が設定されうることを意味する。これは特に、鋭敏な境界を示さないが、段階的あるいは連続的に変更可能な輝度勾配を示すフィルタアパーチャを書き込むものとして機能する。当該輝度勾配を有するフィルタアパーチャは、アパーチャの限界において光を部分的に伝送し得、一方、他の部分は既に除去されている。
【0078】
照明装置において、結像手段、EASLM、及びOASLMの少なくともいずれかは透過あるいは反射型のいずれかであってよい。曲面鏡は、反射結像手段の一例として機能する。
【0079】
フィルタアパーチャは、光がフィルタアパーチャの領域で反射されるように、反射OASLMに書き込まれる。フィルタアパーチャの外側では、入射光は吸収あるいは伝送される。
【0080】
以下、OASLMを用いたフィルタリングの機能原理は、2つの実施形態を例示してさらに詳細に説明される。
【0081】
第1の実施形態によれば、照明装置は、観測者ウィンドウを有するホログラムとうていディスプレイの一部である。観測者ウィンドウは、観測面であり、より正確には位置検出システムが観測者の眼を検出した位置である、第2の画像面に結像される。
【0082】
ホログラム再現を生成するように、照明装置のEASLMにより変調されたコヒーレント光は、書き込み用の光及び読み出し用の光の両方に用いられる。
【0083】
検出された観測者の位置に従って、制御ユニットは光源アレイの少なくとも1つの光源を選択して駆動する。また、既に駆動されていた光源は、観測面である第2の画像面における当該少なくとも1つの駆動された光源の画像が検出された観測者の眼球位置と一致するように置き換えられる。
【0084】
さらに、駆動された光源のフィルタ面における中間画像の位置が検出される。制御ユニットは、フィルタアパーチャとして機能するようにOASLMのサブ領域が透過モードに切り替えられるように、フィルタ装置のOASLMにアパーチャ関数を書き込む。当該サブ領域は、極大の1つの回折次数が伝送され、かつ他の回折次数が除去されるような、少なくとも1つの駆動された光源のサイズを有する。
【0085】
この手順のために、ホログラムは観測者ウィンドウが第2の画像面に生成され、かつ観測者ウィンドウの中間画像が、駆動された光源の中間画像面として同時に機能する第1の画像面に生成されるように、光とともにEASLMに書き込まれる。観測者ウィンドウは、水平及び垂直方向の両方において、1つの回折次数のサイズ以下のサイズを有しうる。
【0086】
高次の回折次数は、EASLMのフーリエ面においてフィルタリングされる。高次の回折次数は、生成される観測者ウィンドウの周期的な連続を示す。EASLMのピクセル化された構造に起因して、回折次数が増加するほど、強度が減少する。このことは、EASLMの単一のピクセルの回折パターンとともに符号化されたホログラムのフーリエ変換の数学的乗算と、光学的に共通する。領域に渡る一定の透過率を有する矩形のピクセルについて、強度の降下は、例えば図2Aにおいて示された曲線と同様に、(sin(x)/x)で示されうる。
【0087】
しかしながら、ホログラム投影ディスプレイにおいて、瞳が観測者ウィンドウ内で動いている観測者が一定の輝度で3次元シーンを知覚するように、観測者ウィンドウの小さい領域に渡る空間平均値において強度が一定であることが要求される。その強度が他の眼あるいは他の観測者への妨害を生じる、観測者ウィンドウの外側の観測面の光は、EASLMと観測者の間に配置されたフィルタ装置により除去される。
【0088】
フィルタアパーチャは、OASLMにより実現され、ディスプレイの前で例えばX方向及びZ方向2次元的な観測者の位置の変化、及び観測者ウィンドウの変化された位置に適応しうる。
【0089】
3次元シーンのホログラムが、振幅値及び位相値がほぼ乱雑に分布されるEASLMにおいて符号化される場合、フィルタ面における強度分布は単一のピクセルの回折パターンと類似する。
【0090】
その結果、OASLMにおける反応のトリガとなる書き込み用の光の強度閾値は、図2Aに例示されるような、(sin(x)/x)関数のメインピークの勾配上にあるように、制御ユニットにより設定される必要がある。図2Aは、メインピーク、左右に第1のサイドピークを有する(sin(x)/x)関数が示されている。示された0.57の閾値は、メインピークの急勾配と交差している。
【0091】
書き込み用の光は、光度が透過モードに切り替えるための閾値を超える、OASLMのサブ領域(フーリエ面に配置されている)を生じる。回折パターンの中心領域は、OASLMが当該位置で透過を呈する場合、OASLMにより伝送されうる。低い強度を有する隣接した回折次数は、強度がOASLMを透過モードに切り替えるための閾値以下であるため伝送されない。このことは図2Bに示されている。本グラフは、フィルタ装置を通過する図2Aの光の一部を示している。図2Aと2Bの曲線間の差は、除去された部分的な光である。
【0092】
OASLMの閾値は、第2の画像面に生成される観測者ウィンドウの内側では強度が当該閾値を超え、観測者ウィンドウの外側では閾値以下となるように定義される必要がある。これは、光源の強度の合計を変更することにより実現される。図2Aは、相対的な強度曲線のみが示されている。閾値は、例えば光源の強度の増加により、当該曲線の上側あるいは下側に平行移動されてもよい。
【0093】
フィルタ装置における、例えば他の光源への切り替えによる回折パターンの置き換えは、フィルタアパーチャもOASLMの異なる位置に移動するように、フィルタ面における光度のシフトを自動的に生じさせる。
【0094】
また本実施形態において、3次元シーンのコンテンツの変化は、観測者ウィンドウあるいはフィルタ面における強度の合計の違いを含む、EASLMに書き込まれたホログラムが異なっており、観測者ウィンドウの縁において強度が変わっていることを意味する。
OASLMを透過モードに切り替えるために要求される強度閾値が変更可能であるため、本実施形態のフィルタ装置は、必ずしも全ての高次の回折次数が正確に除去可能にするとは限らない。
【0095】
しかし、このことは以下に説明する、光源の一時的な強度変調により回避されうる。
【0096】
フィルタアパーチャを書き込むための第1の期間T1において、駆動された光源の強度は、定義された強度分布がフィルタ面において実現されるように変調される。第2の期間では、観測者が正確な輝度で3次元シーンの再現を知覚するように、制御ユニットにより強度は変更される。
【0097】
また光源の代わりに、第1の期間ではシャッタが最大透過率に切り替えられ、第2の期間では最小透過率に切り替えられるように、観測者が3次元シーンを知覚するべき輝度を制御するために、図3及び4に係るシャッタパネルSは用いられうる。
【0098】
観測者ウィンドウを有するホログラム投影ディスプレイの第2の実施形態によれば、ESALMのホログラムが符号化された光源とは異なる、同一の駆動された光源が、書き込み動作及び読み出し動作のために用いられる。特に、固定ホログラム(fix hologram)は書き込み動作に常に用いられる。当該ホログラムは、フィルタ面において生成される定義された強度分布を生じさせるものである。しかしながら、強度分布の位置は、光源が駆動されたことにより変更可能である。読み出し動作のホログラムは、3次元シーンのコンテンツによって変化しうる。書き込み動作のホログラム及び読み出し動作のホログラムは、同一の光源が駆動されたままであるEASLMで次々に符号化される。このことは、図3及び4に示された装置のタイミングにおおよそ一致する。
【0099】
上述したフィルタ装置は、観測者ウィンドウを追跡可能なだけでなく、観測者の左眼及び右眼用の観測者ウィンドウにおいて、情報の連続的な提示を単純化することができる。
【0100】
2つの観測者ウィンドウ、即ち一方は左眼用でもう一方は右眼用の観測者ウィンドウ、あるいは2人の観測者の特定の眼のそれぞれ(即ち、2つの左眼あるいは2つの右眼の全て)の観測者ウィンドウは、例えば異なる光源が駆動され、異なるフィルタアパーチャがそれぞれの観測者ウィンドウのフィルタ装置に書き込まれるように、次々に生成されうる。
【0101】
2つ(左眼用及び右眼用のそれぞれ)の観測者ウィンドウの代わりに、大きな観測者ウィンドウが複数の小さな観測者ウィンドウで構成され、互いに非干渉のサブ観測者ウィンドウが本フィルタリング処理において生成されることも可能である。
【0102】
異なる光源が駆動され、OASLMにおいて異なるフィルタアパーチャ(アパーチャ関数)を生成するための異なるホログラムがEASLMに書き込まれるように、これらのサブ観測者ウィンドウは眼球位置が検出されると次々に生成される。
【0103】
個々のサブ観測者ウィンドウ間の相互クロストークは、サブ観測者ウィンドウの位置に従って、フィルタ面におけるフィルタアパーチャの位置を変更することにより回避されうる。ここで、サブ観測者ウィンドウは観測面にフィルタアパーチャとして次々に結像され、回折次数の妨害は除外される。
【0104】
EASLMピクセルのサイズと非干渉の観測者ウィンドウのサイズの間には、数学的な固定関係が存在する。任意のピクセルピッチを有する十分速いEASLMが用いられる場合、観測者ウィンドウの全ては、通常、複数の互いに非癇性なサブ干渉ウィンドウが速いペースで次々に生成されるように、拡大されうる。その結果、観測者はこれらのサブ観測者ウィンドウのそれぞれにおいて、3次元シーンの再現をみる。
【0105】
第3の実施形態によれば、異なる光源は照明装置において異なる目的のために作用する。コヒーレント光を放射する光源アレイは、EASLMの照射及び3次元シーンの再現に要求される。追加の光源は、OASLMをアドレスするための書き込み用の光を放射するためのみに要求される。
【0106】
これらの追加の光源は、フィルタ面における書き込み用の光源の中間画像が隣接した読み出し用の光源の中間画像の位置とほぼ一致し、読み出し用の光を提供する光源の間に配置されるようにマトリックス上に配置されることが好ましい。
【0107】
これらの分離した書き込み用の光源は、フィルタ面におけるフィルタアパーチャの生成として機能する光度を生成するために、EASLMにおける書き込み動作のためのホログラムの符号化と組み合わされうる。光源アレイの書き込み用の光源と読み出し用の光源との間の横方向のオフセットが補正される場合、書き込み動作のためのホログラムは、フィルタアパーチャが読み出し用の光源の中間画像と同軸に配置されるように、EASLMにおいて符号化される。
【0108】
以下の処理は、本処理において繰り返し実行される。まず、OASLMの定義されたサブ領域は、書き込み用の光源を用いて、要求された位置で透過モードに切り替えられる。そして、読み出し用の光源より放射され、ホログラム再現を生成するために光変調器で変調された光は、フーリエ面においてOASLMによりフィルタリングされる。その後、OASLMにおいて符号化されたフィルタアパーチャは削除される。
【0109】
書き込み及び読み出し動作は、図3及び4を用いて説明されたものと同様である。しかしながらこの場合、図3のシャッタパネルは、例えば書き込み用の光を遮り、読み出し用の光を伝送する波長感受性フィルタ等の受動フィルタに置き換えられうる。
【0110】
観測者ウィンドウの追跡のために、両方の光源アレイ、即ち書き込み用の光源アレイ及び読み出し用の光源アレイは、例えば同じ方法で制御ユニットにより制御されうる。さらに、少なくとも1つの光源アレイは実質的に作られうる。
【0111】
有色表現のホログラム投影ディスプレイにおいて、観測者ウィンドウは通常、例えば赤色光、緑色光、及び青色光等の異なる波長の観測者ウィンドウの重ね合わせにより作られる。
【0112】
回折次数のサイズは、個々の波長で異なる。観測者ウィンドウは、使用される最小の波長の回折次数のサイズに従って選択されることが好ましい。
【0113】
フィルタリングについて、フィルタアパーチャは、均一なサイズの観測者ウィンドウが第2の画像面に生成されるように、全ての波長のサイズが等しくなるように選択される。このため、光源アレイは、複数の波長の光源を備える。光源アレイは、隣接して配置された、個々の波長についての光源の組み合わせを有する。組み合わせは、赤色光、緑色光、及び青色光の、使用される波長それぞれについて1つの光源が含まれることが好ましい。
【0114】
実施形態を参照すると、第3の実施形態において説明したように、書き込み動作は有色表現には用いられない追加の波長とは独立に実行されうる、
あるいは第1及び第2の実施形態において説明したように、1つの波長が書き込み及び読み出しの両方に用いられ、他の波長が読み出しに単独に用いられる。
【0115】
第2の実施形態によれば、フィルタアパーチャを生成するための書き込み動作は、まず青色光を用いて実行され、それから青色光、緑色光及び赤色光の異なる回折次数は、生成されたフィルタアパーチャにより次々にフィルタリングされうる。削除は、同一のフィルタアパーチャを有するフィルタ処理が3つの波長全てについて完了した場合にのみ、開始されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的にアドレス可能な空間光変調器を照射する光源アレイと、
前記光源アレイの少なくとも1つの駆動された光源を、中間画像として前記電気的にアドレス可能な空間光変調器のフーリエ面に結像し、前記中間画像を観測面において検出された位置に結像する結像手段と、
前記フーリエ面に配置されたフィルタ装置と、
少なくとも光源、光変調器、及びフィルタ装置を制御する制御ユニットと、を備える照明装置であって、
前記フィルタ装置は、対応するアドレスにより生成されるフィルタアパーチャ(FO)を有する、光学的にアドレス可能な空間光変調器(SLM2)を備え、
前記フーリエ面(FE)内の前記フィルタアパーチャ(FO)の位置及びサイズの少なくともいずれかは、前記制御ユニット(CU)により制御され、
前記フーリエ面(FE)における前記フィルタアパーチャ(FO)の位置と前記駆動された光源の中間画像の位置が一致するとともに、同時に前記結像された中間画像の位置が前記観測面(BE)における前記検出された位置に一致し、前記フィルタアパーチャ(FO)のサイズが、前記電気的にアドレス可能な空間光変調器(SLM1)により回折された光の極大の1つの回折次数により決定されるように、前記光変調器(SLM2)はアドレスされる
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記前記少なくとも1つの駆動された光源(LQ)を、前記中間画像として前記フーリエ面(FE)に結像する第1の結像手段(L1)と、
観測者ウィンドウ(BF)として機能するように、前記中間画像を前記観測面(BE)における前記検出された位置に結像する第2の結像手段(L2)と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光学的にアドレス可能な空間光変調器(SLM2)は、前記電気的にアドレス可能な空間光変調器(SLM1)にホログラムの形式で書き込まれた、定義された強度分布を有する前記電気的にアドレス可能な空間光変調器(SLM1)によりアドレスされることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源アレイは、赤、緑、及び青の光源を備え、
前記フィルタアパーチャ(FO)のサイズは、駆動された青の光源から放射され、前記電気的にアドレス可能な空間光変調器(SLM1)により回折された、前記光の1つの回折次数に一致するように制御される
ことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記フィルタアパーチャ(FO)の位置及びサイズは、前記光学的にアドレス可能な空間光変調器(SLM2)における透過率を変更するために、書き込み用の入射光の偏光の空間的勾配の形式、あるいは書き込み用の入射光の空間的強度勾配の形式で符号化されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
追加の光源が書き込み用の光を供給するために用いられることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光源の少なくとも一部の光は、書き込み用の光及び読み出し用の光の両方として機能するように制御されることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項8】
新たなフィルタアパーチャ(FO)の位置及びサイズの少なくともいずれかは、予め符号化されたフィルタアパーチャ(FO)の削除の後に書き込まれることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項9】
前記電気的にアドレス可能な空間光変調器(SLM1)がいかなる情報も提示していない期間に、前記光学的にアドレス可能な空間光変調器(SLM2)の全領域に対して共通の電圧を特定の時間印加することにより、前記削除が実行されることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
シャッタパネル(S)は、前記照明装置の光路上において、中間画像面及び前記第2の結像手段(L2)の間に配置され、
前記シャッタパネル(S)は書き込み動作及び削除動作の少なくともいずれかの間に最小の透過率となり、読み出し動作の間に最大透過率となるように切り替え可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項11】
前記光学的にアドレス可能な空間光変調器(SLM2)は、最大透過率及び最小透過率をバイナリで切り替え可能であり、
前記最大透過率は、所定の閾値より上の強度を有する書き込み用の光により引き起こされ、
前記最小透過率は、削除動作の間に実現され、
前記最大透過率を有する領域の位置及びサイズは、前記フィルタアパーチャ(FO)を定義する
ことを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項12】
振幅及び位相の少なくともいずれかの値は、前記光学的にアドレス可能な空間光変調器(SLM2)に前記フィルタアパーチャ(FO)を書き込むために、これらの振幅及び位相の少なくともいずれかの値のフーリエ変換が定義された強度分布に近似するように、少なくとも1つの光源(LQ)により放射された書き込み用の光を変調する前記電気的にアドレス可能な空間光変調器(SLM1)に書き込まれることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項13】
前記光学的にアドレス可能な空間光変調器(SLM2)は、色素ドープ液晶レイヤを備え、
当該色素ドープ液晶レイヤにおいて、液晶分子が書き込み用の光の強度閾値以上に再び方向付けられるように、色素モジュールは書き込み用の光により方向付けられる
ことを特徴とする請求項11に記載の照明装置。
【請求項14】
前記光学的にアドレス可能な空間光変調器(SLM2)のフィルタアパーチャ(FO)は、段階的あるいは継続的に変化可能な輝度勾配を示すことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の照明装置を有するホログラム投影ディスプレイであって、
フィルタ面(FE)と、
観測面(BE)と、を備え、
観測者ウィンドウ(BF)は少なくとも1つの駆動された光源(LQ)、及び前記照明装置の電気的にアドレス可能な空間光変調器(SLM1)において符号化されたホログラムを結像することにより、前記観測面(BE)に生成されることが可能であり、
回折次数は、前記観測面(BE)における前記駆動された光源(LQ)の中間画像の位置に依存して、前記フィルタ面(FE)においてフィルタリングされ、
前記投影ディスプレイは、少なくとも光源、光変調器及びフィルタ装置を制御する制御ユニットを含む
ことを特徴とするホログラム投影ディスプレイ。
【請求項16】
前記観測者ウィンドウ(BF)は、前記観測面(BE)において隣り合って位置する、連続的に生成されたサブ観測者ウィンドウから構成され、
前記回折次数のフィルタリングは、個々の前記サブ観測者ウィンドウについて連続的に実行される
ことを特徴とする請求項15に記載のホログラム投影ディスプレイ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−150326(P2011−150326A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−285157(P2010−285157)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(507230267)シーリアル テクノロジーズ ソシエテ アノニム (89)
【氏名又は名称原語表記】SEEREAL TECHNOLOGIES S.A.
【Fターム(参考)】