説明

フィルムカバー並びにラミネートフィルム

【課題】 片面が接着面とされたフィルムの正確な位置決め状態での接着作業の簡素化を有利に実現可能としたフィルムカバーとラミネートフィルムとを提供する。
【解決手段】 フィルム12の片面側の接着面20に対して、該接着面20の全面を覆うフィルム状の第一のカバー14を仮接着せしめる一方、該フィルム12の非接着面22に対して、該非接着面22を覆うフィルム状の第二のカバー16を仮接着せしめた。また、該第二のカバー16における一方の面の中央部分に、該フィルム12の非接着面22に接着せしめられる接着域34を形成すると共に、その両サイドの二つの部分に、該フィルム10に対する接着状態下で、該フィルム10からはみ出して位置せしめられる非接着域30,32をそれぞれ形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムカバー並びにラミネートフィルムに係り、特に、一方の面が接着面とされて、かかる接着面において所定の物品に接着せしめられるフィルムを覆うフィルムカバーの改良された構造と、そのようなフィルムとフィルムカバーとが積層されてなる新規なラミネートフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の物品の表面保護のために、樹脂製のフィルム等が、一般に使用されている。例えば、CRTやLCD等のディスプレイの画面上には、多くの場合、帯電防止や、汚れ防止、擦過防止等を目的として、樹脂製の透明な保護フィルムが、接着されており、また、建材や家具、或いは書籍等にも、同様な保護フィルムが接着されることがある。そして、かかる保護フィルムには、上記の如き物品への接着作業の効率化を図るために、一方の面が、予め接着剤層が設けられた接着面とされる一方、それとは反対側の面が外部に露呈せしめられる非接着面とされたフィルムが、有利に使用されているのである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、このような片面が接着面とされたフィルムは、接着されるべき被接着物品への接着前の未使用の状態では、通常、かかるフィルムの接着面の全面を覆い得る大きさを有するフィルムカバーが、接着面の全面に対して容易に剥離可能に仮接着されて、積層されたラミネートフィルムとして取り扱われる。このようなラミネートフィルムにあっては、フィルム接着面の他部材への無用な接着による取扱性の低下や、かかる接着面への塵や埃の付着による接着力の低減等が、未然に防止され得るのである。
【0004】
ところが、フィルムを被接着物品に接着せしめる作業を行う際には、ラミネートフィルムからフィルムカバーが剥離されて、フィルム接着面の全面が剥き出しの状態とされるため、例えば、フィルム接着面を、被接着物品に接触せしめた状態で、フィルムの位置を少しずつずらして微調整しながら、フィルムを所望の位置に位置決めすることが困難であった。それ故、フィルムと物品とを離間させた、極めて不安定な状態で、フィルムの位置決めを行わなければならなかった。
【0005】
従って、片面が接着面とされたフィルムを、被接着物品の予め定められた位置に正確に接着するためには、細心の注意と習熟した技術が必要であって、それが、かかるフィルムの接着作業を行う者にとって極めて大きな負担となっていたのである。
【0006】
【特許文献1】特開2003−53919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、片面が接着面とされたフィルムに積層され、かかるフィルムを所定の物品の予め定められた位置に正確に位置決めして接着する作業に利用されて、その接着作業の簡素化を有利に実現し得るように改良されたフィルムカバーを提供することにある。また、本発明にあっては、そのようなフィルムとフィルムカバーとが積層されてなる新規な構造のラミネートフィルムを提供することをも、その解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、前記せるフィルムカバーに係る課題の解決のために、本発明の第一の態様とするところは、一方の面が、接着剤層が設けられた接着面とされる一方、他方の面が非接着面とされたフィルムに積層されて、該フィルムを覆うフィルムカバーにおいて、(a)前記フィルムと同じか又はそれよりも大きなフィルム状形態を有し、該フィルムの前記接着面に対して容易に剥離可能に仮接着されて、該接着面の全面を覆うように積層される第一のカバーと、(b)前記フィルムよりも大きなフィルム状形態を有し、一方の面の中央部分が、接着剤層が形成されてなる接着域とされると共に、該一方の面における該接着域の両サイドの二つの端部部分がそれぞれ非接着域とされて、それら二つの非接着域を該フィルムからそれぞれはみ出させた状態で、該接着域において、該フィルムの前記非接着面に対して容易に剥離可能に仮接着されて、積層される第二のカバーとにて構成されていることを特徴とするフィルムカバーにある。
【0009】
すなわち、本発明に従うフィルムカバーの第一の態様においては、フィルムの接着面に仮接着されて、積層される第一のカバーによって、フィルムの取扱性の向上とその接着面の接着力の低下を防止するフィルムカバーとしての従来機能が発揮され得るように構成されている。そして、そのような第一のカバーがフィルムの接着面から剥離されて、その接着面の全面が剥き出しの状態とされた際に、フィルムの非接着面に積層される第二のカバーにおける二つの非接着域が、フィルムの接着面から側方にはみ出した状態で、位置せしめられ得るようになっている。
【0010】
それ故、かかる第一の態様によれば、フィルムを所定の物品に接着せしめる作業を行う際に、第二のカバーのみをフィルムの非接着面に積層させておくことにより、例えば、フィルムの接着面を被接着面から離間させて、第二のカバーにおける二つの非接着部位のうちの一方の非接着部位のみを物品の被接着面に接触させた、安定な状態で、それらのうちの他方の非接着部位を把持しながら、フィルム全体を、第二のカバーと共に、物品の被接着面上を自由に移動させることが出来る。そして、それによって、フィルムを、物品の被接着面における所望の位置に、正確に且つ容易に位置決めすることが可能となるといった優れた特徴が発揮される。
【0011】
なお、このような本発明に従うフィルムカバーの第二の態様においては、前記第二のカバーにおける前記二つ非接着域のうちの一方を有する端部が、前記フィルムを所定の部材の予め定められた位置に接着し得るように、該フィルムの位置決めを行うための位置決め手段を備えた位置決め部とされる一方、該二つの非接着域のうちの他方を有する端部が、手指にて把持され得る大きさを備えた把持部とされる。
【0012】
また、本発明に従うフィルムカバーの第三の態様では、前記位置決め部が有する前記位置決め手段が、該位置決め部の少なくとも一部分に付与された所定の目印又は形状によって構成されることとなる。
【0013】
さらに、本発明に従うフィルムカバーの第四の態様では、前記第二のカバーにおける前記位置決め部と前記把持部とが、使用者に対して、それらを互いに区別して認識せしめるための判別手段を更に有して、構成される。
【0014】
更にまた、本発明に従うフィルムカバーの第五の態様においては、前記第二のカバーにおける前記一方の面の全面に、前記接着剤層が形成されると共に、該一方の面における一方向の両側に位置する二つの端部部分に対して、少なくとも一方の面が非接着面とされたテープが、該一方の非接着面とは反対側の面においてそれぞれ接着されることにより、該第二のカバーにおける該一方の面の二つの端部部分が、各々、前記非接着域とされる一方、それら二つの端部部分の間に挟まれた該一方の面の中央部分が前記接着域とされる。
【0015】
また、本発明に従うフィルムカバーの第六の態様では、前記フィルムが、ディスプレイの画面上に接着せしめられて、該画面を保護する保護フィルムにて構成される。
【0016】
そして、前記せるラミネートフィルムに係る課題の解決のために、本発明の第七の態様とするところは、(a)一方の面が、接着剤層が設けられた接着面とされる一方、他方の面が非接着面とされたベースフィルムと、(b)前記ベースフィルムと同じか又はそれよりも大なる大きさを有し、該ベースフィルムの前記接着面に対して容易に剥離可能に仮接着されて、該接着面の全面を覆うように積層される第一のカバーフィルムと、(c)前記ベースフィルムよりも大なる大きさを有し、一方の面の中央部分が、接着剤層が形成されてなる接着域とされると共に、該一方の面における該接着域の両サイドの二つの端部部分がそれぞれ非接着域とされて、それら二つの非接着域を該ベースフィルムからそれぞれはみ出させた状態で、該接着域において、該ベースフィルムの前記非接着面に対して容易に剥離可能に仮接着されて、積層される第二のカバーフィルムとにて構成されていることを特徴とするラミネートフィルムにある。
【0017】
この本発明に従うラミネートフィルムの第七の態様にあっては、例えば、ベースフィルムを所定の物品に接着せしめる際に、ベースフィルムの接着面から第一のカバーフィルムを剥離する一方、その非接着面に第二のカバーフィルムを積層させた状態とすれば、前記第一の実施形態において発揮される優れた特徴が、同様に発揮され得るようになる。
【発明の効果】
【0018】
そして、かくの如き本発明に従うフィルムカバーの第一の態様にあっては、前述の如き優れた特徴が発揮されることによって、フィルムを所定の物品の予め定められた位置に正確に位置決めして接着する作業において有効に利用され得ることとなり、以て、所定の物品に対するフィルムの接着作業の簡略化と作業時間の短縮化とを有利に図ることが出来る。そして、その結果として、かかる作業における作業者の負担の軽減化を、極めて効果的に達成することが可能となるのである。
【0019】
また、本発明に従うフィルムカバーの第二及び第三の態様によれば、第二のカバーをフィルムの非接着面に接着せしめたままの状態で、フィルムの位置決め作業が、より容易に且つ確実に行われ得る。
【0020】
さらに、本発明に従うフィルムカバーの第四の態様においては、第二のカバーをフィルムの非接着面に接着せしめたままでのフィルムの位置決め作業に際して、たとえ、その作業を初めて行う者であっても、かかる第二のカバーにおける二つの非接着部位のうちで、手指にて把持する部位と、接着されるべき物品の被接着面に接触させる部位とを間違えるようなことが有利に防止され得て、フィルムの位置決め作業、ひいては所定の物品へのフィルムの接着作業が、より一層スムーズに実施され得ることとなる。
【0021】
更にまた、本発明に従うフィルムカバーの第五の態様によれば、第二のカバーにおける一方の面の両端部に接着せしめられるテープの幅に応じて、かかる一方の面に、接着域と非接着域とを、それぞれ所望の幅をもって容易に形成することが出来る。
【0022】
また、本発明に従うフィルムカバーの第六の態様によれば、ディスプレイの画面上の所望の部位に、保護フィルムを、簡略な作業で、正確に位置決めしつつ、有利に接着することが可能となる。
【0023】
そして、本発明に従うラミネートフィルムの第七の態様にあっては、前述の如き特徴が発揮されることによって、ベースフィルムを所定の物品に接着する際に、容易且つ正確な位置決め作業に基づく接着作業の簡略化と効率化とが、共に有利に図られ得ることとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係るフィルムカバー及びラミネートフィルムの構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0025】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構成を備えたラミネートフィルムの一実施形態として、ディスプレイの画面上に接着されて、かかる画面の表面を保護する保護フィルムを含むラミネートフィルムが、その縦断面形態と上面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態のラミネートフィルム10は、ベースフィルム12と、それを間に挟んで、その一方の面側と他方の面側とにそれぞれ積層された第一のカバーフィルム14と第二のカバーフィルム16とからなっている。なお、かかる図1及び図2、更には後述する図3乃至図6では、各フィルム12,14,16の構成の理解を容易とするために、それらの長さや幅に比して、厚さが、実際よりも極端に大きく、誇張されて示されていることが、理解されるべきである。
【0026】
より具体的には、ベースフィルム12は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂材料からなる、可撓性を備えた長手矩形状の透明な樹脂フィルムからなっており、前述せる如きディスプレイの画面上に接着せしめられる保護フィルムとして、構成されている。そして、このベースフィルム12の一方の面(図1における下面)の全面には、公知の感圧性接着剤からなる接着剤層18が、所定の厚さをもって形成されている。これによって、ベースフィルム12の一方の面が、ディスプレイの画面上に接着せしめられる接着面20とされている一方、他方の面(図1における上面)が、かかる画面への接着状態下で、外部に露呈せしめられる非接着面22とされている。
【0027】
また、第一のカバーフィルム14と第二のカバーフィルム16も、ベースフィルム12と同様に、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂材料からなる、可撓性を備えた透明な樹脂フィルムにて、構成されている。そして、それらのカバーフィルム14,16のうち、第一のカバーフィルム14は、ベースフィルム12の幅よりも少しだけ大きな幅と、その長さよりも十分に長い長さとを有する長手矩形状を呈している。即ち、第一のカバーフィルム14にあっては、その面積が、ベースフィルム12の面積よりも十分に大きくされている。
【0028】
そして、このような第一のカバーフィルム14が、その一方の面の略中央部分において、ベースフィルム12の接着面20の全面に仮接着されている。換言すれば、第一のカバーフィルム14が、その一方の面の中央部分にて、ベースフィルム12の接着面20の全面を覆い、且つその外周部分を、ベースフィルム12の接着面20から幅方向と長さ方向とにそれぞれはみ出させた状態で、ベースフィルム12に対して、容易に剥離可能に積層されているのである。
【0029】
これによって、ディスプレイの画面に接着される前の未使用のベースフィルム12が、その接着面20において、他部材に対して無用に接着せしめられて、取扱性が低下するようなことや、接着面20に塵や埃が付着して、その接着力が低減せしめられるようなことが、有利に防止され得るようになっている。なお、ここでは、そのようなベースフィルム12と第一のカバーフィルム14との積層状態下において、第一のカバーフィルム14の長さ方向の一方側(図1及び図2中、左側)の端部が、その他方側(図1及び図2中、右側)の端部よりも大きな寸法において、ベースフィルム12の接着面20からはみ出させられている。そして、そのような第一のカバーフィルム14におけるベースフィルム12からのはみ出し幅の小さな端部が、狭幅側端部19とされる一方、それとは反対側のはみ出し幅の大きな端部が、広幅側端部21とされている。
【0030】
一方、第二のカバーフィルム16は、ベースフィルム12の幅よりも僅かに大きな幅と、その長さよりも十分に長い長さとを有する長手矩形状を呈している。即ち、第二のカバーフィルム16も、第一のカバーフィルム14と同様に、ベースフィルム12の接着面20よりも大なる面積を有している。なお、この第二のカバーフィルム16の全体の大きさは、第一のカバーフィルム14の全体の大きさよりも一周り小さくされている。
【0031】
そして、この第二のカバーフィルム16にあっては、特に、一方の面(図1における下面)の全面に、ベースフィルム12の接着剤層18を構成する接着剤と同様な感圧性接着剤からなる接着剤層24が、所定の厚さをもって形成されており、また、かかる接着剤層24の形成面上には、その長さ方向の両端部に、一方の面(図1における下面)の全面が互いに異なる色、例えば赤と青に着色された赤テープ26と青テープ28とが、それぞれ、着色側とは反対側の面の全面において、接着されている。
【0032】
これら赤テープ26と青テープ28は、何れも、例えば、ベースフィルム12を与える樹脂フィルムと同じ材質の樹脂フィルムにて、構成されている。そして、かかるベースフィルム12とは異なって、着色側とその反対側の両面の何れに対しても接着剤層が何等設けられておらず、それら両面が、何れも非接着面とされている。また、それら赤テープ26と青テープ28にあっては、その厚さが、ベースフィルム12よりも薄くされており、更に、それぞれの長さが、何れも、第二のカバーフィルム16の幅寸法と同じ大きさとされている。また、それぞれの幅については、赤テープ26が青テープ28よりも小さくされている。
【0033】
かくして、第二のカバーフィルム16にあっては、その長さ方向一方側の端部が、接着剤層24を介して狭幅の赤テープ26が接着された狭幅の赤テープ接着部27とされている一方、その他方側の端部が、接着剤層24を介して広幅の青テープ28が接着された広幅の青テープ接着部29とされている。そして、このような第二のカバーフィルム16における接着剤層24の形成面のうち、赤テープ接着部27側の端部部分が、赤テープ26の非接着面からなる狭幅の赤テープ側非接着域30とされている一方、青テープ接着部29側の端部部分が、青テープ28の非接着面からなる広幅の青テープ側非接着域32とされており、また、それら赤テープ側非接着域30と青テープ側非接着域32とにて挟まれた長さ方向の中間部分(中央部分)が、接着剤層24が露呈せしめられた接着域34とされている。
【0034】
なお、ここでは、青テープ28と青テープ接着部29のそれぞれの幅が、手指にて摘み得る大きさとされている。また、赤テープ26の幅が、後述するように、ベースフィルム12が接着せしめられるディスプレイ画面(38)の四方を取り囲む枠体(40)の幅よりも所定寸法小さくされていると共に、かかる赤テープ26と赤テープ接着部27の辺縁部31が、枠体(40)の外側辺縁部と同様に、第二のカバーフィルム16の長さ方向に対して直角な方向において一直線に延びる直線形状とされている。更に、接着域34は、ベースフィルム12の非接着面22よりも僅かに大きな幅と長さとを有する、大なる面積の長手矩形形状とされている(図4参照)。
【0035】
そして、このような第二のカバーフィルム16が、その接着域34において、ベースフィルム12の非接着面22の全面に仮接着されている。換言すれば、第二のカバーフィルム16が、接着域34にて、ベースフィルム12の非接着面22の全面を覆い、且つ赤テープ側非接着域30(赤テープ接着部27)と青テープ側非接着域32(青テープ接着部29)とを、ベースフィルム12の非接着面22から長さ方向の両側にそれぞれはみ出させた状態で、ベースフィルム12における第一カバーフィルム14の積層側とは反対側の非接着面22に対して、容易に剥離可能に積層されている。
【0036】
これによって、ベースフィルム12の接着面20と非接着面22とに対して、第一のカバーフィルム14と第二のカバーフィルム16とが、それぞれ、容易に剥離可能に積層されて、ベースフィルム12の全面が、それら第一及び第二のカバーフィルム14,16とにて覆われてなるラミネートフィルム10が構成されているのである。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、第一のカバーフィルム14にて、第一のカバーが構成されていると共に、第二のカバーフィルム16にて、第二のカバーが構成され、そして、それら第一及び第二のカバーフィルム14,16にて、フィルムカバーが構成されている。
【0037】
また、かかるラミネートフィルム10では、狭幅の赤テープ接着部27が、第一のカバーフィルム14における狭幅側端部19と対向位置せしめられると共に、広幅の青テープ接着部29が、第一のカバーフィルム14における広幅側端部21と対向位置せしめられていることで、第一のカバーフィルム14における狭幅側及び広幅側端部19,21の末端部位(外側縁部)が、第二のカバーフィルム16における赤テープ及び青テープ接着部27,29の外側縁部よりも側方にはみ出して、位置せしめられている。
【0038】
ところで、このような構造とされたラミネートフィルム10を用いて、その一部を構成するベースフィルム12をディスプレイの画面上に接着せしめる際には、その作業が、例えば、以下のようにして、進められることとなる。
【0039】
すなわち、先ず、図3に示されるように、第一のカバーフィルム14をベースフィルム12の接着面20から剥離して、ベースフィルム12と、その非接着面22に第二のカバーフィルム16が積層されてなる二層フィルム36を得る。この作業は、例えば、第二のカバーフィルム16における赤テープ及び青テープ接着部27,29の外側縁部から側方にはみ出した第一のカバーフィルム14における狭幅側端部19や広幅側端部21の末端部位を摘んで、第一のカバーフィルム14を剥離することによって、容易に行われる。
【0040】
次に、図4に示される如く、二層フィルム36における第二のカバーフィルム16の赤テープ側非接着域30の表面を、ディスプレイ画面38を取り囲む枠体40の表面上に接触させた状態で、第二のカバーフィルム16における赤テープ接着部27を、一方の手の指で枠体40側に押し付ける一方、第二のカバーフィルム16における青テープ接着部27と青テープ28とを、他方の手の指で摘んで、ベースフィルム12の接着面18が、ディスプレイ画面38の表面に接触しないように、二層フィルム36を屈曲させて、傾ける。
【0041】
そして、そのような状態下で、二層フィルム36の全体を枠体40の表面上において移動させて、例えば、赤テープ26及び赤テープ接着部27の直線形状を呈する辺縁部31を、枠体40の直線状に延びる外側辺縁部42と一致させることにより、ベースフィルム12が、ディスプレイ画面38の全面を覆う所望の位置に位置せしめられるように、ベースフィルム12の位置決めを行う。
【0042】
なお、このことから明らかなように、ここでは、第二のカバーフィルム16における青テープ側非接着域32の形成部位からなる青テープ28と青テープ接着部29とにて、把持部が構成されており、また、直線形状を呈する辺縁部31を形成する赤テープ26及び赤テープ接着部27、即ち第二のカバーフィルムにおける赤テープ側非接着域30の形成部位にて、位置決め部が構成され、更に、かかる辺縁部31にて、位置決め手段が構成されている。
【0043】
また、二層フィルム36では、上記の如き把持部を構成する第二のカバーフィルム16の青テープ側非接着域32形成部位が、青テープ28にて青く着色されている一方、上記の位置決め部を構成する第二のカバーフィルム16の赤テープ側非接着域30形成部位が、赤テープ26にて赤く着色されている。このため、本位置決め操作では、第二のカバーフィルム16の二つの端部のうち、手指にて把持すべき端部と、枠体40に接触せしめるべき端部とを、色にて判別することが出来、それによって、第二のカバーフィルムにおける赤テープ側非接着域30の形成部位の辺縁部31を、枠体41の外側辺縁部42に対して、間違いなく位置合せすることが出来る。そして、その結果として、ベースフィルム12の位置決め操作が、より正確に容易に行われ得ることとなる。このことから明らかなように、本実施形態においては、赤テープ26と青テープ28とにて、判別手段が構成されている。
【0044】
そして、かくの如きベースフィルム12の位置決め操作の終了後、図5に示されるように、二層フィルム36を、ベースフィルム12の接着面20において、ディスプレイ画面38の表面に接着する。このとき、前記せる位置決め操作により、ベースフィルム12の接着面20における所定の部分が、ディスプレイ画面38の表面に接着されて、ディスプレイ画面38の表面の全面が、ベースフィルム12の中央部分にて覆われるようになる。また、本接着操作が、ベースフィルム12の非接着面22に第二のカバーフィルム16が接着せしめられたままで行われるため、ベースフィルム12に対して、汚れや作業者の指紋等が付着されるようなことが有利に防止され得る。
【0045】
その後、図6に示される如く、第二のカバーフィルム16が、ベースフィルム12から剥離される。これによって、ベースフィルム12が、非接着面22を外部に露呈せしめた状態で、接着面20において、ディスプレイ画面38の表面上に接着せしめられ、以て、ディスプレイ画面38の表面保護フィルムとして機能せしめられるようになるのである。
【0046】
このように、本実施形態においては、ベースフィルム12をディスプレイ画面38に接着せしめる際に、第二のカバーフィルム16を利用することによって、ベースフィルム12のディスプレイ画面38に対する予め定められた位置への位置決めが、正確に且つ容易に行われ得る。
【0047】
従って、かかる本実施形態によれば、ベースフィルム12が、極めて容易で且つ短時間の作業にて、ディスプレイ画面38の所望の位置に対して正確に接着され得る。そして、その結果として、かかる接着作業を行う作業者の負担が、効果的に軽減され得ることとなるのである。
【0048】
また、本実施形態においては、第二のカバーフィルム16の長さ方向の二つの端部のうち、作業者が容易に判別可能とされた青テープ側非接着域32形成側の端部を把持して、それとは反対側の赤テープ側非接着域30形成側の端部の辺縁部31を、それと同一形状とされた枠体40の外側辺縁部42に位置合せするだけの容易な操作により、ベースフィルム12の位置決めが確実に且つ正確に行われ得るところから、ディスプレイ画面38の所望の位置に対するベースフィルム12の正確な接着操作が、より容易に且つ効率的に行われ得る。
【0049】
さらに、本実施形態では、ベースフィルム12の位置決め操作において、第二のカバーフィルム16の把持されるべき部分と枠体40に接触せしめられるべき部分とをそれぞれ構成する非接着域30,32が、第二のカバーフィルム16の全面に接着剤層24が設けられた一方の面の長さ方向両端部に対して、それぞれ赤テープ26と青テープ28とを単に接着せしめるだけで形成されているため、例えば、カバーフィルム16の一方の面の所定の領域だけに接着剤層24を形成することにより、それらの非接着域30,32を形成する場合に比して、かかる非接着域30,32の形成作業が簡略化され得るといった利点がある。
【0050】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0051】
例えば、ベースフィルム12の形状や大きさは、例示のものに何等限定されるものではなく、ディスプレイ画面38等、接着せしめられるべき物品の形状や大きさによって、適宜に変更され得るものである。
【0052】
また、第一及び第二のカバーフィルム14,16の形状や大きさも、かかるベースフィルムの形状や大きさに応じて適宜に変更されるところではあるが、第一のカバーフィルム14は、ベースフィルム12の全面を覆い得るように、その大きさが、ベースフィルム12と同じかそれよりも大きくされる。一方、第二のカバーフィルム16は、ベースフィルム12の全面を覆い且つ、両端部に非接着域30,32が形成されるように、その大きさが、ベースフィルム12よりも大きくされている必要がある。
【0053】
さらに、第二のカバーフィルム16の一方の面において、その両側端部部分を除く中間部分のみに接着剤層24を形成することにより、かかる接着剤層24の形成部分を接着域として構成する一方、接着剤層24が形成されていない両側端部部分を非接着域として構成することも、勿論可能である。
【0054】
更にまた、第二のカバーフィルム16の両側端部部分に設けられる二つの非接着域30,32の幅を互いに異ならしめることのみにより、或いはそれら二つの非接着域30,32に互いに異なる適当な目印を付与することのみによって、更には、二つの非接着域30,32の形状を互いに異ならしめることによって、それら二つの非接着域30,32を判別し得るように構成しても良い。即ち、位置決め部や把持部を構成する二つの非接着域に設けられる判別手段の構成は、例示のものに、特に限定されるものではないのである。
【0055】
また、前記実施形態では、第二のカバーフィルム16における赤テープ側非接着域30形成部分の辺縁部31が、枠体40の外側辺縁部42の形状に対応した形状とされることで、かかる辺縁部31にて位置決め手段が構成されていたが、例えば、接着せしめられるべき物品に対して何等かの目印が付与されている場合等では、位置決め部としての非接着域に、かかる被接着物品の目印に対応した目印を形成し、この目印にて、位置決め手段を構成することも、可能である。
【0056】
加えて、前記実施形態では、ディスプレイの画面上に接着されて、かかる画面の表面を保護する保護フィルムとしてのベースフィルムを覆って積層されるフィルムカバーと、そのようなフィルムとフィルムカバーとが積層されたラミネートフィルムに対して、本発明を適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、ディスプレイ画面以外の各種の物品の表面保護を目的として、或いはそれ以外の目的において、様々な物品に接着されるべきフィルムを覆って積層されるフィルムカバーと、そのようなフィルムとフィルムカバーとが積層されたラミネートフィルムの何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0057】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に従うラミネートフィルムの一実施形態を示す縦断面説明図である。
【図2】図1におけるII矢視説明図である。
【図3】図1に示されたラミネートフィルムの一部を構成するベースフィルムをディスプレイ画面に接着せしめる工程の一例を示す説明図であって、ベースフィルムから第一のカバーフィルムを剥離した状態を示している。
【図4】図3に示された工程に続く工程例を示す説明図であって、ベースフィルムを、ディスプレイ画面に対して位置決めした状態を示している。
【図5】図4に示された工程に続く工程例を示す説明図であって、ベースフィルムを、第二のカバーフィルムが接着されたままの状態で、ディスプレイ画面に接着せしめた状態を示している。
【図6】図5に示された工程に続く工程例を示す説明図であって、ベースフィルムから第二のカバーフィルムを剥離した状態を示している。
【符号の説明】
【0059】
10 ラミネートフィルム 12 ベースフィルム
14 第一のカバーフィルム 16 第二のカバーフィルム
18,24 接着剤層 20 接着面
22 非接着面 26 赤テープ
28 青テープ 30 赤テープ側非接着域
32 青テープ側非接着域 34 接着域
38 ディスプレイ画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が、接着剤層が設けられた接着面とされる一方、他方の面が非接着面とされたフィルムに積層されて、該フィルムを覆うフィルムカバーにして、
前記フィルムと同じか又はそれよりも大きなフィルム状形態を有し、該フィルムの前記接着面に対して容易に剥離可能に仮接着されて、該接着面の全面を覆うように積層される第一のカバーと、
前記フィルムよりも大きなフィルム状形態を有し、一方の面の中央部分が、接着剤層が形成されてなる接着域とされると共に、該一方の面における該接着域の両サイドの二つの端部部分がそれぞれ非接着域とされて、それら二つの非接着域を該フィルムからそれぞれはみ出させた状態で、該接着域において、該フィルムの前記非接着面に対して容易に剥離可能に仮接着されて、積層される第二のカバーと、
にて構成されていることを特徴とするフィルムカバー。
【請求項2】
前記第二のカバーにおける前記二つ非接着域のうちの一方を有する端部が、前記フィルムを所定の部材の予め定められた位置に接着し得るように、該フィルムの位置決めを行うための位置決め手段を備えた位置決め部とされる一方、該二つの非接着域のうちの他方を有する端部が、手指にて把持され得る大きさを備えた把持部とされている請求項1に記載のフィルムカバー。
【請求項3】
前記位置決め部が有する前記位置決め手段が、該位置決め部の少なくとも一部分に付与された所定の目印又は形状によって構成されている請求項2に記載のフィルムカバー。
【請求項4】
前記第二のカバーにおける前記位置決め部と前記把持部とが、使用者に対して、それらを互いに区別して認識せしめるための判別手段を更に有している請求項2又は請求項3に記載のフィルムカバー。
【請求項5】
前記第二のカバーにおける前記一方の面の全面に、前記接着剤層が形成されると共に、該一方の面における一方向の両側に位置する二つの端部部分に対して、少なくとも一方の面が非接着面とされたテープが、該一方の非接着面とは反対側の面においてそれぞれ接着されることにより、該第二のカバーにおける該一方の面の二つの端部部分が、各々、前記非接着域とされる一方、それら二つの端部部分の間に挟まれた該一方の面の中央部分が前記接着域とされている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載のフィルムカバー。
【請求項6】
前記フィルムが、ディスプレイの画面上に接着せしめられて、該画面を保護する保護フィルムである請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載のフィルムカバー。
【請求項7】
一方の面が、接着剤層が設けられた接着面とされる一方、他方の面が非接着面とされたベースフィルムと、
前記ベースフィルムと同じか又はそれよりも大なる大きさを有し、該ベースフィルムの前記接着面に対して容易に剥離可能に仮接着されて、該接着面の全面を覆うように積層される第一のカバーフィルムと、
前記ベースフィルムよりも大なる大きさを有し、一方の面の中央部分が、接着剤層が形成されてなる接着域とされると共に、該一方の面における該接着域の両サイドの二つの端部部分がそれぞれ非接着域とされて、それら二つの非接着域を該ベースフィルムからそれぞれはみ出させた状態で、該接着域において、該ベースフィルムの前記非接着面に対して容易に剥離可能に仮接着されて、積層される第二のカバーフィルムと、
にて構成されていることを特徴とするラミネートフィルム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−150880(P2006−150880A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348212(P2004−348212)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(503363909)大和グランド株式会社 (12)
【出願人】(593067099)
【Fターム(参考)】