説明

フィルムガイド装置及びPTP包装機

【課題】 包装機本体側の振動の影響を可及的に抑制し、容器フィルムのポケット部内に収納される錠剤等の検査を正しく行えるようにすること
【解決手段】 容器フィルム1の搬送路を構成するガイドレール21に設けられた開口部21a,21bに、第1,第2下側フィルムガイド板23,24を配置し、各下側フィルムガイド板をガイドレール21に対して防振ゴム30を介して支持する。下側フィルムガイド板は、容器フィルムの下面に接触してそれを支えるので、包装機側から伝わるガイドレールの振動は、下側フィルムガイド板にはそのまま伝わることはなく、容器フィルムひいてはポケット部内の錠剤が暴れるのが抑制される。下側フィルムガイド板の所定位置に設けた窓孔23b,23c,24b〜24dで露出するポケット部・錠剤をカメラ装置で撮像できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTP包装機における容器フィルムのポケット部内に供給された錠剤やカプセル等の被包装物を撮像して検査する際に用いられるフィルムガイド装置及びPTP包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PTP包装機は、PP製の透明な帯状の容器フィルムを連続して引き出して搬送し、その搬送途中でその容器フィルムの所定位置に下に凸の凹状のポケット部を多数成型し、ポケット部内に錠剤、カプセルなどの被包装物を供給し、その後、その容器フィルムの上にアルミシートからなる蓋フィルムを被せると共に、熱シールして両フィルムを一体化してポケット部で形成される空間を閉塞し、さらにそれら一体化したフィルムの所定位置をカットすることでPTP包装体を製造するようになっている。
【0003】
この種のPTP包装機では、被包装物がポケット部内に正しく収納されているか、つまり、飛び出し錠やダブル錠(二重錠)等の発生の有無を検知する光電センサを利用した検知装置が設置される。この検知装置の一例として、特許文献1に開示された装置がある。この特許文献1には、ポケット部の通過する箇所に案内溝が形成されたガイドレール(容器フィルムの搬送路を形成している)の上に、容器フィルムの搬送方向と直交する方向に延びるガイドブロックを配置している。そして、ガイドブロックの下面には、搬送方向と直交する方向に延びるように光路用の溝を設けるとともに、その光路用の溝に光が通るように光電センサを一体に取り付ける。錠剤の一部または全部がポケット部から飛び出ている(容器フィルムの上面より上方に突出する)場合には、その錠剤が光路用の溝を通る光電センサの光を遮断するので、飛び出し等の異常を検知できる。
【0004】
さらに、このガイドブロックが容器フィルムに対する重しの役割を発揮し、容器フィルムのカール・反り等を生じている場合に、それを抑え一時的にフラットに矯正するようになっている。これにより、容器フィルムが光電センサによる光を遮断することが無くなり、当該容器フィルムの反りなどともなう誤動作を防止し、錠剤の飛び出し等を正確に検知できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平3−3441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
容器フィルムの搬送途中で行う検査の一つとして、ポケット部内に供給された錠剤の欠けや割れなどの有無を検査する外観検査がある。この外観検査は、錠剤を含む所定エリアを撮像して得られた画像データに対して画像処理を行い、異常の有無を判断するようになっている。このとき、ポケット部内で錠剤が揺れていると、正確な検査を行うことが難しい。特にPTP包装機は、帯状の平坦な容器フィルムを間欠移動させ、一時停止時に成型装置にて上下から成型ボックスで挟み込んで加熱・吸引等してポケット部を形成するため、係る成型時や、間欠移動の搬送に伴う一時停止・移動開始時などにおいて、装置全体が振動する。そして、係る振動は、搬送面を構成するガイドレールにも伝わり、ひいては容器フィルムに伝わる。
【0007】
そのため、従来の装置では、上述したようにポケット部内で錠剤が揺れてしまい、画像処理において振動による影響を除去する補正を行うことが必須となり、係る補正アルゴリズムを設定するのが煩雑である。さらに、画像処理により振動による影響を除去するためには、元々ある画像情報の一部が消えたり、変更されるので、補正が正しく行われないと、正しい判定が行えない。特に振動は、その動きが不定であるので、画像処理による補正がしにくく、さらに錠剤の動く量が大きくなると、画像処理による補正だけでは対応できなくなる。よって、錠剤の欠け等の外観検査が正しくできないおそれがあるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、(1)搬送する帯状の容器フィルムに形成されたポケット部内に供給された被包装物(錠剤・カプセル等)を撮像して検査するためのフィルムガイド装置であって、前記容器フィルムの搬送路を構成するベース部材に設けられた開口部位に、移動可能に設置される下側フィルムガイド板と、その下側フィルムガイド板を前記ベース部材に対して防振部材を介して支持する支持機構と、を備え、前記下側フィルムガイド板は、前記容器フィルムの下面に接触して支持するものとした。ベース部材は、実施形態のガイドレール21に対応する。
【0009】
下側フィルムガイド板は防振ゴム等の防振部材を介して支持されているので、包装機(搬送装置)で振動が生じたとしても、その振動は防振部材で吸収・減衰されるので、下側フィルムガイド板側までは伝わらないか、伝わるにしても僅かとなる。よって、その下側フィルムガイド板で支えられている容器フィルムも振動が抑制されるため、ポケット部内に収納されている被包装物も暴れることが可及的に抑制できるか、仮に揺れたとしても簡単な画像処理による補正が可能となる。その結果、被包装物を撮像した画像データに基づく検査が、正確・迅速に行える。
【0010】
(2)前記下側フィルムガイド板の上面は、前記ベース部材の上面より上方に位置させるとよい。上下方向に振動した場合、下側フィルムガイド板の揺れが無いとすると相対的にベース部材が上下移動することになる。その場合でも、基本姿勢において下側フィルムガイド板の上面の方が高い位置に設定しておくことで、下側フィルムガイド板の上面がベース部材の上面よりも下に位置して容器フィルムを支持できなくなる事態が発生せず、常時安定して容器フィルムを支えることができる。
【0011】
(3)前記下側フィルムガイド板の上方に、上側抑え板を昇降移動可能に配置し、前記容器フィルムは、前記上側抑え板と前記下側フィルムガイド板とにより挟まれた状態で搬送されるようにするとよい。上側抑え板を設けることで、容器フィルムをより確実に抑えることができる。また、上側抑え板を昇降移動可能にしているので、仮に容器フィルムの反り等が大きい場合には、上側抑え板が下側フィルムガイドに対して相対的に上昇して逃げることで、容器フィルムの搬送を許容することができる。
【0012】
(4)前記下側フィルムガイド板には、上下に貫通する窓孔を備え、その窓孔を介して露出する前記ポケット部内の前記被包装物を撮像するようにするとよい。また、(3)の発明のように上側抑え板を設ける場合、その上側抑え板の適宜位置に窓孔を設けるとさらによい。窓孔を設けることで、搬送路(下側フィルムガイド板)の下方に撮像装置を配置し、被包装物の下面を撮像して検査することが容易に行える。もちろん、検査を上面のみする場合には、窓孔は必ずしも必須ではない。また、仮に下方に撮像装置を配置する場合でも、下側フィルムガイド板を光学的に(撮像装置にとって)透明な材質で構成すれば窓孔は設ける必要はない。また、下側フィルムガイド板を前後に所定距離だけ離して複数設け、その前後の下側フィルムガイド板の間に形成される空間を利用して所定の空間から露出する部位を撮像するようにしてもよい。係る場合にも窓孔は設けない構成を採ることができる。
【0013】
本発明によれば、窓孔の部分や、前後に配置した下側フィルムガイドの間の空間部分で、容器フィルムを宙に浮かした状態にし、その浮かした部分は、防振部材+下側フィルムガイド板により周囲(包装機本体)からの振動の影響を受けないようにすることができる。
【0014】
(5)本発明のPTP包装機は、搬送する帯状の容器フィルムに形成されたポケット部内に対し、被包装物を供給する供給装置と、前記供給装置の下流側に設けられた前記被包装物を撮像する撮像装置と、前記撮像装置の下流側に設けられ、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに蓋フィルムを重ねた状態でそれら容器フィルムと蓋フィルムとをシールして密封するシール装置と、そのシール装置の下流側に設けられ、前記容器フィルムと蓋フィルムの所定位置を切断する切断装置と、を備えたPTP包装機であって、前記撮像装置で撮像する区間を含む領域に(1)から(4)のいずれかに記載のフィルムガイド装置を設け、前記下側フィルムガイド板で前記容器フィルムを支えた状態で前記撮像装置で撮像した画像データに基づいて検査を行うように構成した。
【発明の効果】
【0015】
防振部材+下側フィルムガイド板で容器フィルムを支えることで、周囲(包装機本体)からの振動の影響を受けないようにすることができる。その結果、容器フィルムのポケット部内に収納される錠剤等の検査を簡単な画像処理で正しく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のPTP包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。
【図2】容器フィルムを示す図である。
【図3】検査装置の一例を示す図である。
【図4】本発明のフィルムガイド装置の好適な実施形態を示す平面図である。
【図5】その正面図である。
【図6】その側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に係るPTP包装機の好適な一実施形態を示している。同図に示すように、PP製の容器フィルム1が巻き取られた原反ロール2が装置の上流側に回転自在にセットされる。この原反ロール2から連続して容器フィルム1が引き出され、複数のローラ3に掛け渡されて成型部4に導かれる。成型部4では、容器フィルム1の所定位置に、図2(a),(b)に示すような凹状のポケット部1aを多数成型する。この成型部4は、容器フィルム1を上下から挟み込んで凹状のポケット部1aを成型する成型装置と、その成型装置の上流側に設けられ容器フィルム1の所定部位(ポケット部1aの形成領域)を加熱する加熱装置と、成型したポケット部1aを含むフィルム領域を冷却する冷却装置とを備える。冷却装置で容器フィルム1の温度を降下させてPPの急冷による再結晶化による促進を図るとともにポケット部1aの形状を固定化する。なお本形態では、ポケット部1aの平面領域の形状を円形としている。
【0018】
成型部4を通過したポケット部付きの容器フィルム1は、アイドルローラ5に掛け渡されて所定の経路で搬送される。この容器フィルム1の搬送経路の上方所定位置には錠剤供給装置6が設置され、この錠剤供給装置6から、各ポケット部1aに対して錠剤10が供給される(図1参照)。図2(c)に示すように、錠剤10は、平面が円形状で上面・下面のいずれも中央が膨らんだ外形状を採る。よって、ポケット部1a内に正しい姿勢で供給された場合、錠剤10は、下面の中央(最下点)がポケット部1aの底に接触し、外周縁10aが水平な姿勢をとる。また、ポケット部1aに供給された錠剤10のなかには、図中左から3番目に示すように、斜めに傾いた状態となるものもある。なお、この傾斜角度がさらに大きくなると、錠剤10の一部が容器フィルム1の上面よりも上方に突出する状態となる。また、図中左から4番目に示すように、ポケット部1a内の錠剤10のさらに上に別の錠剤が乗った二重錠となるおそれもある。なお、この二重錠の状態では、その後に蓋フィルムを被せることができないので、上に乗った錠剤は破棄する必要がある。
【0019】
錠剤供給装置6の下流側には、外観検査装置15を構成する3Dカメラ装置16や通常のカメラ装置(2D)17,18が配置される。本実施形態では、反射型の3Dカメラ装置16,カラーカメラ装置17は、容器フィルム1の搬送路の上下両側に配置し、それぞれの側から撮像することで、ポケット部1aに供給された錠剤10の上面と下面のそれぞれの面についての良否等の検査が行える。さらに、透過型のモノクロカメラ装置18は、容器フィルム1の搬送路の上側に配置し、その搬送路の下側に配置した光照射手段たる透過用LED照明から出射された光を、モノクロカメラ装置18で撮像した画像に基づいて容器フィルム1の良否等の検査が行える。
【0020】
さらに3Dカメラ装置16並びに通常のカメラ装置17,18の下流側にはシール装置11が配置されており、錠剤10の供給を受けた容器フィルム1がそのシール装置11に導かれる。
【0021】
一方、アルミシートからなる蓋フィルム7が巻き取られた原反ロール8は、PTP包装機の搬出端側近傍に回転自在に設置される。その原反ロール8から引き出された蓋フィルム7は、複数のローラ9に掛け渡されて所定の経路を通り、シール装置11に導かれる。そして、このシール装置11にて、蓋フィルム7が容器フィルム1の上面を覆うように被覆されるとともに、両フィルムの接触部位(容器フィルム1のポケット部1aの未形成領域)が熱シールされて密封される。
【0022】
シール装置11は、ヒータを内蔵するシールローラ11aと、表面に容器フィルム1に形成されたポケット部に符合する凹部を有するシール受けローラ11bとを備えている。そして、シール受けローラ11bに形成する凹部の縦横の間隔は、容器フィルム1に形成されるポケット部1aの縦横の間隔と一致させている。これにより、容器フィルム1は、形成されたポケット部をシール受けローラ11bに設けた凹部内に符合するように位置合わせをした状態で掛け渡される。よって、シール受けローラ11bの回転にともない、容器フィルム1も搬送されることになる。そして、その容器フィルム1と蓋フィルム7とが重ね合わされた状態でシールローラ11aとシール受けローラ11b間を通過することにより、その通過時に両ローラで挟まれ、加熱状態で加圧されることにより、ポケット部未形成領域が密着してシールされ、ポケット部内の被包装物が密封される。
【0023】
さらに、このシール装置11の下流側には、フィルムに対して製造年月日等を印刷する刻印装置12,フィルムの所定位置をハーフカットしてポケット部1aの周囲に切断容易線を形成するスリッター装置13、打ち抜き装置14の順に配置される。打ち抜き装置14は、シールされて一体化された容器フィルム1と蓋フィルム7の所定位置を打ち抜いて、n×m個のポケット部1aを備えたPTP包装体を製造するものである。上記した各構成は、基本的に従来のPTP包装機と同様であるのでその詳細な説明を省略する。
【0024】
図3は、外観検査装置15の概略構成を示している。図示するように、3Dカメラ装置16、カラーカメラ装置17及びモノクロカメラ装置18で撮像した画像データを処理装置19に取り込み、そこにおいて各画像データに対して前処理・解析・判定を行い、異常の有無を判断する。この処理装置19は、汎用のパーソナルコンピュータや専用のコンピュータで構成される。
【0025】
3Dカメラ装置16は、対象物(錠剤)をスキャンし、対象物の表面の高さ情報をプロファイル画像として出力するものである。すなわち、3Dカメラ装置16は、対象物に対してレーザー光を照射する光照射手段(レーザーラインプロジェクタ等)、対象物からの反射光を撮像するCCDカメラ、CCDカメラで撮像したデータから対象物の表面の高さ情報(表面形状)を算出する演算手段(制御手段)等を備える。具体的には、光照射手段から出射されるレーザー光にて、対象物である錠剤に線状の像を投影する。CCDカメラは、投影面に対し所定の角度を持った光軸をもち、錠剤の表面の線状の投影を撮像する。そして、演算手段は、三角測量の原理に基づき、線上の各地点の高さ情報を求める。対象物の表面に照射する線状のレーザー光の位置を順次ずらしていき、それぞれのずらした位置における各地点の高さ情報を求める処理を繰り返し行うことで、対象物の全面(1シート分)について高さ情報を求め、これを画像(プロファイル画像)として出力する。このプロファイル画像は、濃淡画像であり、高い位置ほど輝度が大きい値(白・明るい)になり、輝度が低い位置ほど小さい値(黒・暗い)になる。
【0026】
反射型のカラーカメラ装置17は、対象物に反射用のLED照明を照射し、その反射光を2Dのカラーカメラ装置17で撮像して得たカラー画像を出力する。そこで、処理装置19は、係るカラーカメラ装置17から出力された画像データを受け取ると共に、その画像データに基づいて錠剤10の異常の有無や、係る錠剤10がポケット部1a内の正しい位置・姿勢で収納されているかなどの各種の判定を行う。さらに処理装置19は、透過型のモノクロカメラ装置18で撮像して得られたモノクロ濃淡画像に基づき、容器フィルム1(ポケット部1a)の状態・異物の有無等を検査する。このモノクロカメラ装置18は、透過型であるため、透過型用のLED照明は、搬送路を挟んでモノクロカメラ装置18と対向する下側に配置する。
【0027】
図4〜図6は、本発明のフィルムガイド装置の好適な一実施形態を示している。本実施形態では、このフィルムガイド装置20は、3Dカメラ装置16や、カラーカメラ装置17や、モノクロカメラ装置18の視野内を搬送される容器フィルム1を抑えるもので、上下に配置されたで各カメラ装置間に設置される。
【0028】
つまり、容器フィルム1の搬送面を構成するガイドレール21の所定位置に、第1開口部21aと第2開口部21bを形成する。ガイドレール21の基本構成は、その上面に搬送方向に延びる多数の案内溝21cを備える。案内溝21cは、容器フィルム1に形成されるポケット部1aの直径よりも幅広で、かつ、その案内溝21cの深さは、ポケット部1aの深さ(高さ)よりも大きい設定としている。隣接する案内溝21cの配置ピッチは、そのポケット部1aの横方向の配置ピッチと一致させている。これにより、容器フィルム1のポケット部1aの未形成領域は、ガイドレール21の上面に接触し、ポケット部1aは案内溝21c内を通過して搬送される。
【0029】
第1開口部21aと第2開口部21bは、容器フィルム1の搬送方向に沿って前後に配置される。第1,第2開口部21a,21bは、共に、ガイドレール21を上下方向に開口するもので、容器フィルム1の搬送方向と直交する方向に延びる略矩形状としている。そして、その第1,第2開口部21a,21bの横幅は、全ての案内溝21cに臨むようにして、一端側の案内溝21cから他端側の案内溝21cまでの距離よりも長くしている。さらに、本実施形態では、第1開口部21aの前後長よりも、第2開口部21bの前後長の方を長くしている。
【0030】
第1開口部21aには、その第1開口部21aの内周面形状に対し一回り小さい外周面形状からなる平板状の第1下側フィルムガイド板23を挿入配置する。同様に第2開口部21bには、その第2開口部21bの内周面形状に対し一回り小さい外周面形状からなる平板状の第2下側フィルムガイド板24を挿入配置する。
【0031】
それら第1下側フィルムガイド板23と第2下側フィルムガイド板24は、共にその上面の所定位置に、短手方向(容器フィルム1の搬送方向)に延びる複数の案内溝23a,24aが平行に配置される。この案内溝23a,24aは、ガイドレール21に形成した案内溝21cの延長線上に配置され、その幅や深さ等の寸法形状は、案内溝21cとほぼ一致させている。よって、ガイドレール21の案内溝21cを通ってきたポケット部1aは、そのまま第1下側フィルムガイド板23の案内溝23aや第2下側フィルムガイド板24の案内溝24a内を通過する。
【0032】
第1下側フィルムガイド板23には、搬送方向と直交する方向に延びる所定幅の窓孔を設ける。より具体的には、第1下側フィルムガイド板23には、搬送方向に沿って前後に第1窓孔23bと第2窓孔23cを設けている。第1窓孔23bは、上方に設置された3Dカメラ装置16に対向する位置に設けてあり、その3Dカメラ装置16から出射されたレーザー光が錠剤10に照射されずに容器フィルム1を透過してきたものが、そのまま第1窓孔23bを通って下方へ逃げるようにしている。
【0033】
また第2窓孔23cは、下方に設置されたカラーカメラ装置17に対向する位置に設けてあり、この第2窓孔23cに位置している容器フィルム1のフィルム部位並びにポケット部1a内の錠剤10の下面を、そのカラーカメラ装置17で撮像可能としている。本実施形態では、カラーカメラ装置17は、LED照明を2個用意するとともに搬送方向の前後に配置し、やや斜めから中央に向けて照射し、陰が生じないようにしている。さらに、この第2窓孔23cの内面は、LEDの光の光路に合わせて傾斜させた傾斜面23c′とし、第1下側フィルムガイド板23の上面の開口面積を抑えつつ、LEDの光の干渉を回避している。
【0034】
なお、このLED照明の入射角度に比べると、3Dカメラ装置16におけるレーザー光の入射角度の方が大きくて斜めから照射しているので、第1窓孔23bの前後方向の幅の方が、第2窓孔23cの前後方向の幅よりも大きく設定している。
【0035】
同様に、第2下側フィルムガイド板24にも、所定位置に長手方向に延びる矩形状の窓孔を設けている。第2下側フィルムガイド板24の設置位置には、搬送方向の上流側から順に、上方に反射型のカラーカメラ装置17,下方に反射型の3Dカメラ装置16,上方に透過型のモノクロカメラ装置18を配置しているので、窓孔も、上流から順に第1窓孔24b,第2窓孔24c,第3窓孔24dの3個を平行に設けている。
【0036】
第1窓孔24bは、カラーカメラ装置17に対向する位置に設けられ、カラーカメラ装置17で撮像している画像の背景が抜けるようにしている。また、第2窓孔24cは、3Dカメラ装置16に対向する位置に設けられ、この第2窓孔24cに位置している容器フィルム1のポケット部1a内の錠剤10の下面を、その3Dカメラ装置16で撮像可能としている。そして、そのカメラ用のレーザー光は入射角度が大きく斜めに照射されるので、そのレーザー光の光路を遮らないように、大きく開口させている。さらに、この第2窓孔24cの内面は、レーザー光の入射側を斜めに傾斜させた傾斜面24c′とし、第2下側フィルムガイド板24の上面の開口面積を抑えつつ、レーザー光の干渉を回避している。
【0037】
さらに、第3窓孔24dは、透過型のモノクロカメラ装置18に対向する位置に設けている。そして、下方に設置したLED照明から出射された光が、その第3窓孔24d内を通過して、その第3窓孔24dに対向する位置にある容器フィルム1に照射されるようにしている。
【0038】
さらに第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24は、その長手方向両端(搬送方向と直交する方向の左右両端)において、ガイドレール21に対して防振部材たる防振ゴム30を介して吊り下げるように連結している。すなわち、第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24の長手方向の両側他面にL字プレート31の一端31aを取り付ける。このL字プレート31は、上下を逆さまにすると共に、上方位置にて折れ曲がった他端31bが外側に向くように配置する。そして、この他端31bは、ガイドレール21の第1,第2開口部21a,21bの未形成領域の上方に至るので、その他端31bと、ガイドレール21の上面に設けた取付台32とをボルトナット33で連結する。ボルトナット33は、前後2箇所に設ける。このとき、取付台32の上面と、L字プレート31の他端31bの下面との間に防振ゴム30を介在させる。これにより、L字プレート31ひいては第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24は、片側で前後2箇所の合計4箇所で、防振ゴム30を介してガイドレール21に支持される。
【0039】
よって、ガイドレール21が振動したとしても、その振動は防振ゴム30で吸収されるため、第1下側フィルムガイド板23や第2下側フィルムガイド板24には伝わらないか、仮に伝わるとしてもその振動は減少するため、それら第1下側フィルムガイド板23や第2下側フィルムガイド板24は、水平状態の姿勢並びに高さ位置を維持する。その結果、それらの第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24の上面に接触している容器フィルム1のフィルム部位も、揺れたりすることなく水平状態にピンと張った状態のままとなる。
【0040】
さらに、本実施形態では、第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24の上面位置を、ガイドレール21の上面位置よりも高い位置にしている。これにより、ガイドレール21が振動して、ガイドレール21と第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24の相対位置関係が上下したとしても、第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24の上面位置がガイドレール21の上面位置よりも下に来ないようになり、振動の有無にかかわらず、第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24の上面が、容器フィルム1に接触して保持できるようにしている。
【0041】
一方、第1下側フィルムガイド板23の上方には、略同一平面形状からなる第1上側抑え板25を被せるように配置し、第2下側フィルムガイド板24の上方には、略同一平面形状からなる第2上側抑え板26を被せるように配置している。このとき、第1上側抑え板25,第2上側抑え板26の長手方向両側面には、縦方向に延びるガイド溝25b,26bが形成される。このガイド溝25b,26bは、上下に貫通している。そして、このガイド溝25b,26bは、L字プレート31に取り付けたガイドプレート31dに対し昇降移動可能に装着される。これにより、第1上側抑え板25,第2上側抑え板26は、それぞれが装着された第1下側フィルムガイド板23、第2下側フィルムガイド板24に対して相対的に昇降移動可能となり、その昇降移動は、ガイドプレート31dとガイド溝25b,26bに案内されて真っ直ぐに移動できる。
【0042】
そして、第1上側抑え板25,第2上側抑え板26は、自重により常時下方に付勢されるので、第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24との間で容器フィルム1を挟み込み、その容器フィルム1がばたつくのを抑制したり、容器フィルム1のポケット部1aの未形成領域を平坦に延ばすようにし、各カメラ装置にて、きれいに撮像できるようにしている。さらに、仮に容器フィルム1に大きな反り等があり、第1上側抑え板25や第2上側抑え板26の自重による矯正では対応できない場合には、その反り等に応じて第1上側抑え板25や第2上側抑え板26が第1下側フィルムガイド板23や第2下側フィルムガイド板24に対して相対的に昇降移動し、容器フィルム1に対して過度な荷重をかけることなくスムーズな搬送を確保できる。
【0043】
さらに本実施形態では、ガイド溝25b,26bが上下に貫通するようにしているため、第1上側抑え板25や第2上側抑え板26を上方に引き上げると、ガイド溝25b,26bがガイドプレート31dから離脱し、第1上側抑え板25等を取り外すことができる。このように取り外すことで、運転開始時や、メンテナンス時等において容器フィルム1のセット等が容易に行える。また、容器フィルム1は軽量であるので、運転中は特に離脱防止機構をとらなくても第1上側抑え板25や第2上側抑え板26が離脱することはない。
【0044】
さらに、第1上側抑え板25と第2上側抑え板26は、共にその下面に凹状の逃げ溝25a,26aを短手方向に延びるように設けている。この逃げ溝25a,26aは、第1,第2下側フィルムガイド板23,24に設けた案内溝23a,24aに対向する位置に設けている。通常であれば、ポケット部1aに個々の錠剤10が1つずつ綺麗に水平となった姿勢で供給されるので問題ないが、例えば、錠剤10が、ポケット部1a内に斜めに収納されたり、2個重ねて供給されたりすること等により、容器フィルム1の搬送面より上方に突出することがある。係る場合に、突出した部分が逃げ溝25a,26a内に位置することで、第1上側抑え板25や第2上側抑え板26に接触して進行が阻止されることなく搬送することができる。
【0045】
そして、第1上側抑え板25には、第1下側フィルムガイド板23に設けた第1窓孔23b,第2窓孔23cに対向する位置に、それぞれ第1窓孔25c,第2窓孔25dを設けている。これにより、第1上側抑え板25の上方に設置された3Dカメラ装置16からのレーザー光は、第1上側抑え板25の第1窓孔25c内を通過して対象物である錠剤に斜めに照射されてその反射光はCCDカメラで撮像し、錠剤に照射されなかった光はそのまま容器フィルム1を通過し、第1下側フィルムガイド板23の第1窓孔23bから下方に抜ける。第2窓孔25dを設けることで、下方に設置したカラーカメラ装置17で撮像している画像の背景が抜けるようになる。
【0046】
また、第2上側抑え板26には、第2下側フィルムガイド板24に設けた第1窓孔24b,第2窓孔24c、第3窓孔24dに対向する位置に、それぞれ第1窓孔26c,第2窓孔26d,第3窓孔26cを設けている。これにより、第2上側抑え板26の上方に設置されたカラーカメラ装置17は、第2上側抑え板26の第2窓孔26dを介して露出する容器フィルム1のフィルム部位並び錠剤10を撮像することができる。また、下方に設置した3Dカメラ装置16から出射されたレーザー光のうち、錠剤10の下面に照射されずに容器フィルム1を透過した光は、第2窓孔26d内を通過して上方に抜ける。さらに、第3窓孔26eを介して露出する容器フィルム1のフィルム部位等は、第3窓孔26eの上方に設置したモノクロカメラ装置18で撮像することができる。
【0047】
このように各カメラ装置にて、それぞれの窓孔を介して露出する部位を撮像することができる。そして、上述したように、第1下側フィルムガイド板23,第2下側フィルムガイド板24が、防振ゴム30を介してガイドレール21に連結されて振動するのを抑制されるため、各カメラ装置で撮像して得られた画像データも、ぶれたりすることなく、きれいにとることができ、正確な判定処理が行える。
【0048】
なお、カメラ装置の設置位置並びに設置数並びにカメラの種類は上述したものに限られることはなく、カメラ装置の設置レイアウト等に応じて窓孔の形状や、形成位置並びに設置数を適宜変更する。
【符号の説明】
【0049】
1 容器フィルム
1a ポケット部
10 錠剤(被包装物)
15 外観検査装置
16 3Dカメラ装置
17 カメラ装置
19 処理装置
20 フィルムガイド装置
21 ガイドレール
21a 第1開口部(開口部位)
21b 第2開口部(開口部位)
23 第1下側フィルムガイド板
23b 第1窓孔
23c 第2窓孔
24 第2下側フィルムガイド板
24b 第1窓孔
24c 第2窓孔
24d 第3窓孔
25 第1上側抑え板
26 第2上側抑え板
30 防振ゴム
31 L字プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送する帯状の容器フィルムに形成されたポケット部内に供給された被包装物(錠剤)を撮像して検査するためのフィルムガイド装置であって、
前記容器フィルムの搬送路を構成するベース部材に設けられた開口部位に、移動可能に設置される下側フィルムガイド板と、
その下側フィルムガイド板を前記ベース部材に対して防振部材を介して支持する支持機構と、
を備え
前記下側フィルムガイド板は、前記容器フィルムの下面に接触して支持するものであることを特徴とするフィルムガイド装置。
【請求項2】
前記下側フィルムガイド板の上面は、前記ベース部材の上面より上方に位置させることを特徴とする請求項1に記載のフィルムガイド装置。
【請求項3】
前記下側フィルムガイド板の上方に、上側抑え板を昇降移動可能に配置し、
前記容器フィルムは、前記上側抑え板と前記下側フィルムガイド板とにより挟まれた状態で搬送されることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムガイド装置。
【請求項4】
前記下側フィルムガイド板には、上下に貫通する窓孔を備え、
その窓孔を介して露出する前記ポケット部内の前記被包装物を撮像するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルムガイド装置。
【請求項5】
搬送する帯状の容器フィルムに形成されたポケット部内に対し、被包装物を供給する供給装置と、
前記供給装置の下流側に設けられた前記被包装物を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の下流側に設けられ、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに蓋フィルムを重ねた状態でそれら容器フィルムと蓋フィルムとをシールして密封するシール装置と、
そのシール装置の下流側に設けられ、前記容器フィルムと蓋フィルムの所定位置を切断する切断装置と、
を備えたPTP包装機であって、
前記撮像装置で撮像する区間を含む領域に請求項1から4のいずれかに記載のフィルムガイド装置を設け、
前記下側フィルムガイド板で前記容器フィルムを支えた状態で前記撮像装置で撮像した画像データに基づいて検査を行うように構成したことを特徴とするPTP包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−86859(P2012−86859A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233600(P2010−233600)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】