説明

フィルム光導波路の製造方法

図4に示すような基を含むウレタンモノマー及びウレタンオリゴマーと重合開始剤との混合物であって、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下となるエラストマーの前駆体をクラッド材料として用いる。基板の上にこのクラッド材料を塗布し、上からスタンパで押えてクラッド材料を薄く押し広げる。このクラッド材料が硬化して下クラッド層が形成された後、下クラッド層の上にコアを形成する。ついで、下クラッド層の上に上記クラッド材料を塗布し、上からスタンパで押えてクラッド材料を薄く押し広げ、このクラッド材料を硬化させて上クラッド層を得る。最後に、基板を除去して小さな曲率半径でまげることのできるフィルム光導波路を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム光導波路及びその製造方法に関する。また、本発明は、前記フィルム光導波路を用いた電子機器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、高速で大容量のデータ通信が可能な光通信技術の進歩が著しく、その光通信網も拡大を続けている。光通信技術は、国土を横断するような長距離通信や地域内での中距離通信にも用いられるが、通信距離の短いところでは、機器内部や機器間での光信号伝送などにも用いられている。
【0003】
携帯用機器や小型機器などにおいては、各種部品が密に配置されているので、部品間の狭い隙間を縫うようにして配線しなければならない。そのため、電気配線としてはフレキシブルプリント配線基板が広く用いられている。同様に、機器内部や機器間などの短距離で光信号を伝送するためには、フレキシブルなフィルム光導波路が望まれている。特に、携帯用小型機器の内部に光導波路を配線する場合には、省スペース化のために部品表面を這わせるようにして配線する場合も多く、小さな曲率半径で屈曲可能な、ポリマーフィルム光導波路が求められている。
【0004】
一方、高い屈曲性能を持ち、変形が容易な材料としては、エラストマー(elastomer)が挙げられる。エラストマーとは、常温でゴム状弾性を持つ高分子材料の総称であって、一般に、ゴム類のように曲げ弾性率が低いものをいう。ここで、エラストマーの曲げ弾性率が低い理由について述べる。エラストマーは、ガラス転移温度が低く、室温では、そのポリマー分子はブラウン運動を起こしている。つまり、エラストマーは、流動性を呈している。一方、エラストマーを構成するポリマー分子は、その分子鎖どうしが化学的に架橋されているので、流動性を呈するもののその流動性は部分的である。よって、エラストマーは、固体でありながら容易に屈曲可能というゴム状の性質を有している。
【0005】
エラストマーは、その前駆体であるモノマーやオリゴマーを、エネルギー照射によって硬化させることにより得られる。エラストマーは、モノマーやオリゴマーが親水基どうしの水素結合で結ばれて架橋しているものが多く、その前駆体も分子中に親水基を含むものが多い。前駆体の混合物は、その親水基どうしが水素結合するため流動性が低くなり、高粘度という性質を呈する。そして、この前駆体の混合物が、エネルギー照射されて硬化すると、曲げ弾性の小さなゴム状のエラストマーとなるのである。
【0006】
よって、エラストマーを用いれば、小さな曲率半径で屈曲可能なフィルム光導波路を製造できると考えられる。図1(a)〜図1(g)は、従来提案されているフィルム光導波路の製造方法を説明する概略断面図である。この製造方法では、まず図1(a)に示すように、基板11の上にクラッド材料12を滴下する。このクラッド材料12は、低屈折率のエラストマーの前駆体であるモノマーやオリゴマーである。ついで、図1(b)に示すように、基板11の上のクラッド材料12をスピンコータにより薄く伸ばし、エネルギー照射によりクラッド材料12を硬化させて下クラッド層13を得る。この後、図1(c)に示すように、下クラッド層13の表面をパターニングして凹溝14を形成し、ついで、図1(d)に示すように、凹溝14内に下クラッド層13より屈折率の高いコア材料15を充填させる。このコア材料15は、下クラッド層13よりも屈折率の高いポリマーの前駆体であるモノマーやオリゴマーである。このコア材料15にエネルギーを照射すると、図1(e)に示すように、コア材料15が硬化して凹溝14内に下クラッド層13よりも屈折率の高いコア16が形成される。ついで、図1(f)に示すように、下クラッド層13及びコア16の上に、下クラッド層13と同じクラッド材料12(エラストマーの前駆体)を滴下し、これをスピンコートにより薄く広げた後、クラッド材料12にエネルギーを照射することによって硬化させ、図1(g)に示すようにクラッド材料12からなる上クラッド層17を形成してフィルム光導波路18を製造する。
【0007】
小さな曲率半径で曲げることのできるフィルム光導波路としては、曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーを用いることが望ましい。しかし、このようなエラストマーの前駆体では、粘度が1,000cP(=10Pa・s)程度と高くなるため、かかるエラストマーを上クラッド層17や下クラッド層13に用いた場合には、スピンコートによって得られるクラッド層の膜厚はせいぜい600μm程度までしか薄くすることができず、厚みが1,200μm以下の薄いフィルム光導波路を得ることは困難であった。そのため、曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーを用いたとしても、その厚みのために小さな曲率半径で曲げることはできなかった。
【0008】
一方、エラストマーの前駆体の粘度を小さくすれば、スピンコートによって得られるクラッド層の膜厚を薄くすることができる。しかし、エラストマーの前駆体の粘度を小さくすると、硬化後のエラストマー(クラッド層)の曲げ弾性率が大きくなり、結局、小さな曲率半径で曲げることのできるフィルム光導波路を得ることは困難であった。
【0009】
よって、スピンコート法を用いる従来のフィルム光導波路の製造方法では、前駆体の粘度が大きなエラストマーを用いると、クラッド層の膜厚を薄くすることができず、逆に、前駆体の粘度が小さなエラストマーを用いると、クラッド層の曲げ弾性率が大きくなる。そのため、いずれにしても曲率半径が数mm程度の小さな曲率半径で曲げることのできるフィルム光導波路を製作することはできなかった。
【0010】
このような製造方法で、あえて薄いフィルム光導波路18を得ようとすれば、下クラッド層13の硬化後や上クラッド層17の硬化後に、下クラッド層13や上クラッド層17を研磨などで薄片化するしか方法がなく、薄いフィルム光導波路18を得るために多くの工程が必要となり、生産性に問題があった。
【0011】
なお、特許文献1には、コア材料としてウレタン系紫外線硬化樹脂を用いたものが開示されているが、この光導波路では一方のクラッド基板の厚みだけでも1.5mmあり、小さな曲率半径で曲げることは期待できない。
【0012】
【特許文献1】特開平10−90532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小さな曲率半径で曲げることのできるフィルム光導波路とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかるフィルム光導波路は、曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーにより下クラッド層と上クラッド層のうち少なくとも一方の層が形成され、上クラッド層と下クラッド層の膜厚の和が300μm以下であることを特徴としている。
【0015】
本発明のフィルム光導波路にあっては、上クラッド層又は下クラッド層の少なくとも一方が、曲げ弾性率1,000MPa以下のエラストマーによって形成されており、しかも、上下クラッド層の膜厚の和が300μm以下に薄くなっているので、フィルム光導波路を小さな曲率半径(例えば、数mm以下)で曲げることが可能になる。よって、携帯用小型機器内などにおいて、フィルム光導波路を部品の表面に沿って、あるいは、部品の隙間を縫って配線することが可能になる。
【0016】
本発明のフィルム光導波路のある実施態様においては、前記下クラッド層と前記上クラッド層の間に、両クラッド層よりも屈折率が高く、曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーによりコアが形成されていてもよい。コアの曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーによって形成されていると、コアも曲がり易くなるので、フィルム光導波路をより小さな曲率半径で曲げることが可能になる。
【0017】
本発明のフィルム光導波路の別な実施態様においては、前記コアの曲げ弾性率が前記上クラッド層及び前記下クラッド層の曲げ弾性率よりも大きくなっている。かかる実施態様では、コアの曲げ弾性率が上クラッド層及び下クラッド層の曲げ弾性率よりも大きくなっているので、フィルム光導波路が伸びたり捻れたりしたときでも、コアの変形を小さく抑えることができ、コアを伝搬する光の損失を小さくすることができる。
【0018】
本発明の第1のフィルム光導波路の製造方法は、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を基板に供給する工程と、前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、前記エラストマーの前駆体を硬化させて下クラッド層を形成する工程と、前記下クラッド層の上にコアを形成する工程と、前記下クラッド層及びコアの上に上クラッド層を形成する工程とを備えたことを特徴としている。なお、基板は下クラッド層を成形するためのガラス基板等に限らず、下クラッド層を成形するための装置の定盤などでもよい。この基板は最後にフィルム光導波路から除去するのが望ましい。
【0019】
曲げ弾性率1,000MPa以下のエラストマーを用いると、エラストマーの前駆体の粘度が比較的大きくなり、エラストマーによって形成されたクラッド層の厚みを薄くすることが困難になる。しかし、本発明の第1のフィルム光導波路の製造方法においては、曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーを用いながらも、エラストマーの前駆体をスタンパで押圧して薄くすることで、薄い膜厚(例えば、150μm以下の膜厚)の下クラッド層を得ることができる。従って、本発明によれば、曲げ弾性率が1,000MPa以下で、かつ、厚みの薄い下クラッド層を得ることができ、小さな曲率半径で曲げることのできるフィルム光導波路を製造することができる。
【0020】
本発明の第2のフィルム光導波路の製造方法は、下クラッド層を形成する工程と、前記下クラッド層の上にコアを形成する工程と、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を前記下クラッド層及び前記コアの上に供給する工程と、前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、前記エラストマーの前駆体を硬化させて上クラッド層を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
【0021】
本発明の第2のフィルム光導波路の製造方法においては、曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーを用いながらも、エラストマーの前駆体をスタンパで押圧して薄くすることで、薄い膜厚(例えば、150μm以下の膜厚)の上クラッド層を得ることができる。従って、本発明によれば、曲げ弾性率が1,000MPa以下で、かつ、厚みの薄い上クラッド層を得ることができ、小さな曲率半径で曲げることのできるフィルム光導波路を製造することができる。
【0022】
本発明の第3のフィルム光導波路の製造方法は、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を第1の基板に供給する工程と、前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、前記スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、前記エラストマーの前駆体を硬化させて下クラッド層を形成する工程と、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を第2の基板に供給する工程と、第2の基板に供給された前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、前記スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、第2の基板に供給された前記エラストマーの前駆体を硬化させて上クラッド層を形成する工程と、前記下クラッド層又は前記上クラッド層に形成されたコアを挟みこむようにして、前記下クラッド層と前記上クラッド層を貼り合わせる工程とを備えたことを特徴としている。なお、基板は上クラッド層や下クラッド層を成形するためのガラス基板等に限らず、上クラッド層や下クラッド層を成形するための装置の定盤などでもよい。この基板は最後にフィルム光導波路から除去するのが望ましい。
【0023】
本発明の第3のフィルム光導波路の製造方法においては、曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーを用いながらも、エラストマーの前駆体をスタンパで押圧して薄くすることで、薄い膜厚(例えば、150μm以下の膜厚)の上クラッド層及び下クラッド層を得ることができる。従って、本発明によれば、曲げ弾性率が1,000MPa以下で、かつ、厚みの薄い上クラッド層及び下クラッド層を得ることができ、小さな曲率半径で曲げることのできるフィルム光導波路を製造することができる。
【0024】
また、上クラッド層や下クラッド層を成形する際には、スタンパからの圧力によって発生する内部応力により上クラッド層や下クラッド層に反りが発生するが、第3のフィルム光導波路の製造方法によれば、スタンパで押圧して上クラッド層と下クラッド層をそれぞれ成形した後、上クラッド層を上下反転させて下クラッド層の上に貼り合わせているので、上クラッド層と下クラッド層の反りを相殺し、フィルム光導波路に反りが発生するのを抑制することができる。
【0025】
本発明の第4のフィルム光導波路の製造方法は、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を第1の基板に供給する工程と、前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、前記スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、前記エラストマーの前駆体を硬化させて下クラッド層を形成する工程と、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を第2の基板に供給する工程と、第2の基板に供給された前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、前記スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、第2の基板に供給された前記エラストマーの前駆体を硬化させて上クラッド層を形成する工程と、前記下クラッド層と前記上クラッド層とをコア材料で貼り合わせると共に、前記下クラッド層と前記上クラッド層の間に前記コア材料によりコアを形成する工程とを備えたことを特徴としている。
【0026】
本発明の第4のフィルム光導波路の製造方法においては、曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーを用いながらも、エラストマーの前駆体をスタンパで押圧して薄くすることで、薄い膜厚(例えば、150μm以下の膜厚)の上クラッド層及び下クラッド層を得ることができる。従って、本発明によれば、曲げ弾性率が1,000MPa以下で、かつ、厚みの薄い上クラッド層及び下クラッド層を得ることができ、小さな曲率半径で曲げることのできるフィルム光導波路を製造することができる。
【0027】
また、第4のフィルム光導波路の製造方法によれば、下クラッド層と上クラッド層をコア材料で貼り合わせることにより、同時に、コア材料によりコアを成形しているので、コア材料によるコアの成形と、コア材料による上下クラッド層の接合作業とを一度に行なうことができ、フィルム光導波路の製造工程を減らし、製造工程を合理化することができる。
【0028】
本発明にかかるフィルム光導波路モジュールは、本発明にかかるフィルム光導波路と投光素子又は受光素子とを光学的に結合するように配置して一体化させたことを特徴としている。
【0029】
本発明にかかるフィルム光導波路モジュールによれば、光導波路部分の厚みが薄くて屈曲性能に優れたフィルム光導波路モジュールを得ることができるので、かかるフィルム光導波路モジュールを、ヒンジ部のような回動部分を有する装置内に組み込んだ場合、回動部分を繰り返し回動させても光導波路部分が破損しにくくなり、当該装置の耐久性を向上させることができる。
【0030】
本発明にかかる第1の電子機器装置は、回動部分によって一方の部材と他方の部材とを回動自在に連結された折り畳み式の電子機器装置において、前記回動部分を通過させて一方の部材と他方の部材との間に本発明にかかるフィルム光導波路を配線したことを特徴としている。
【0031】
本発明にかかる電子機器装置によれば、厚みが薄くて屈曲性能に優れたフィルム光導波路を得ることができるので、かかる光導波路装置を、ヒンジ部のような回動部分を有する電子機器装置に用いた場合、回動部分を繰り返し回動させてもフィルム光導波路が破損しにくくなり、電子機器装置の耐久性を向上させることができる。
【0032】
本発明にかかる第2の光導波路装置は、機器本体に移動部を備えた電子機器装置において、前記移動部と前記機器本体とを請求項1又は2に記載のフィルム光導波路により光学的に結合させたことを特徴としている。
【0033】
本発明にかかるフィルム光導波路によれば、厚みが薄くて屈曲性能に優れたフィルム光導波路を得ることができるので、かかる光導波路装置を、移動部を有する電子機器装置に用いた場合、移動部の動きに伴ってフィルム光導波路が繰り返し変形させられても破損しにくくなり、電子機器装置の耐久性を向上させることができる。
【0034】
なお、本発明の以上説明した構成要素は、可能な限り任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1(a)〜図1(g)は、従来例によるフィルム光導波路の製造方法を説明する概略断面図である。
【図2】図2(a)〜図2(d)は、本発明の実施例1によるフィルム光導波路の製造工程を順次説明した概略断面図である。
【図3】図3(a)〜図3(e)は、図2(a)〜図2(d)の後に続く工程を説明した概略断面図である。
【図4】図4は、クラッド材料に用いられているエラストマーの前駆体のモノマー及びオリゴマーに含まれる基の一部を示す化学式である。
【図5】図5(a)〜図5(d)は、本発明の実施例2における上クラッド層の製造工程を示す概略断面図である。
【図6】図6(a)〜図6(e)は、本発明の実施例2において、基板の上に形成された下クラッド層と、別な基板の上に形成された上クラッド層とを積層してフィルム光導波路を製造する工程を説明する概略断面図である。
【図7】図7(a)〜図7(e)は、本発明の実施例3において、基板の上に形成された下クラッド層と、別な基板の上に形成された上クラッド層とを積層してフィルム光導波路を製造する工程を説明する概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の変形例を説明する概略断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例4による片方向通信用のフィルム光導波路モジュールを示す平面図である。
【図10】図10は、図9に示したフィルム光導波路モジュールの一部を拡大して示す概略断面図である。
【図11】図11(a)は引っ張り力によりコアが変形したフィルム光導波路を模式的に表わした図であり、図11(b)は引っ張り力によるコアの変形が小さくなったフィルム光導波路を模式的に表わした図である。
【図12】図12は、本発明の実施例4による双方向通信用のフィルム光導波路モジュールを示す平面図である。
【図13】図13は、本発明の実施例5である携帯電話機の斜視図である。
【図14】図14は、同上の携帯電話機の回路構成を示す概略図である。
【図15】図15は、同上の携帯電話機の表示部側と操作部側とをフィルム光導波路で結んでいる様子を模式的に表わした斜視図である。
【図16】図16は、本発明の実施例5による別な携帯電話機の構造を示す概略図である。
【図17】図17(a)は携帯電話機内のフィルム光導波路が捻れている様子を示す図、図17(b)は図17(a)のX−X線に沿った断面を拡大して示す図である。
【図18】図18は、フィルム光導波路の捻れた領域の長さαWを示す説明図である。
【図19】図19は、フィルム光導波路の幅に対する捻れた領域の長さの比αと、要求される弾性率の限界値との関係を示す図である。
【図20】図20(a)及び図20(b)は本発明の実施例5によるさらに別な携帯電話機の構造を示す概略図であって、図20(a)は2つに折り畳まれた状態を示す図、図20(b)は広げられた状態を示す図である。
【図21】図21は、本発明の実施例6であるプリンタの斜視図である。
【図22】図22は、同上のプリンタの回路構成を示す概略図である。
【図23】図23(a)及び図23(b)は、プリンタの印字ヘッドが移動したときのフィルム光導波路の変形する様子を示す斜視図である。
【図24】図24は、本発明の実施例7である、ハードディスク装置の斜視図である。
【図25】図25は、電子回路基板へのフィルム光導波路の接続形態の一例を示す図である。
【図26】図26は、電子回路基板へのフィルム光導波路の接続形態の他例を示す図である。
【図27】図27は、電子回路基板へのフィルム光導波路の接続形態のさらに他例を示す図である。
【図28】図28は、本発明にかかるフィルム光導波路の別な使用方法を示す斜視図である。
【図29】図29は、本発明にかかるフィルム光導波路とフレキシブルプリント配線基板を重ね合わせたフレキシブル複合伝送路を示す側面図である。
【符号の説明】
【0036】
21 基板
22 クラッド材料
23 スタンパ
24 凸型パターン
25 凹溝
26 下クラッド層
27 コア材料
28 コア
29 スタンパ
30 上クラッド層
31 フィルム光導波路
32 基板
33 スタンパ
34 接着樹脂
35 フィルム光導波路
36 フィルム光導波路
37 スタンパ
51 フィルム光導波路
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【実施例1】
【0038】
図2及び図3は本発明の実施例1によるフィルム光導波路の製造方法を説明する概略断面図である。本発明にかかかるフィルム光導波路の製造にあたっては、まずガラス基板等の透光性を有する平坦な基板21を準備する。この基板21の上には、図2(a)に示すように、クラッド材料22が塗布される。この実施例1で用いるクラッド材料22は、図4に示すような基を含むウレタンモノマー及びウレタンオリゴマーと、重合開始剤との混合物であって、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下となるエラストマーの前駆体である。また、このクラッド材料22は、紫外線硬化型となっている。
【0039】
ついで、図2(b)に示すように、スタンパ(成形型)23を上からクラッド材料22に押し当て、スタンパ23に圧力を掛けて基板21とスタンパ23との間にクラッド材料22を薄く押し広げ、クラッド材料22の膜厚を薄くする。スタンパ23の下面には、下クラッド層に凹溝を形成するための凸型パターン24が形成されているので、スタンパ23により押圧されているクラッド材料22の上面には、凹溝25ができる。そして、図2(c)に示すように、基板21を通して下面からクラッド材料22に紫外線エネルギーを照射してクラッド材料22を硬化させる。
【0040】
クラッド材料22が硬化して下クラッド層26が成形されたら、図2(d)に示すように、下クラッド層26からスタンパ23を分離させる。スタンパ23を分離すると、下クラッド層26の上面には、凸型パターン24によって凹溝25が成形されている。
【0041】
ついで、図3(a)に示すように、下クラッド層26の凹溝25内にコア材料27を充填させる。このコア材料27は、下クラッド層26より屈折率の高いポリマーの前駆体であるモノマーやオリゴマーからなるものであって、紫外線硬化型のポリマーの前駆体である。もちろん、このコア材料としては、下クラッド層26よりも屈折率が高く、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下となるエラストマーの前駆体を用いてもよい。凹溝25にコア材料27を充填し、適宜方法によりコア材料27の表面を平滑に均した後、図3(b)に示すように、コア材料27に紫外線エネルギーを照射してコア材料27を硬化させ、コア材料27によってコア28を凹溝25内に成形する。
【0042】
この後、図3(c)に示すように、下クラッド層26及びコア28の上に、下クラッド層26の場合に用いたのと同じクラッド材料22を塗布し、図3(d)に示すように、クラッド材料22の上からスタンパ29を押し当てて圧力を加えてクラッド材料22の膜厚を薄くする。ついで、クラッド材料22に紫外線エネルギーを照射することによってクラッド材料22を硬化させて上クラッド層30を成形する。そして、スタンパ29を上クラッド層30から分離すると共に、基板21を下クラッド層26から剥がしてフィルム化し、図3(e)のようなフィルム光導波路31を得る。
【0043】
クラッド層の膜厚を薄くするためには、クラッド材料22の粘度は低いほうが望ましい。しかし、このフィルム光導波路31では、下クラッド層26や上クラッド層30の曲げ弾性率が1,000MPaと小さいので、そのエラストマーの前駆体の粘度が高くなる。しかし、実施例1では、スタンパ23でクラッド材料22を押さえて加圧しているので、クラッド材料22の膜厚を強制的に薄く広げることができ、粘度が30,000cP程度あっても膜厚を150μm以下にすることができる。よって、フィルム光導波路31の厚みは、300μm以下になり、フィルム光導波路31を小さな曲率半径で曲げることが可能になる。
【0044】
実際、曲げ弾性率が1,000MPaのエラストマーを用いた実施例1のフィルム光導波路31では、前駆体の粘度が30,000cP以下のエラストマーを使用した場合でも、フィルム光導波路31の厚みは250mm程度に薄くすることができた。この結果、フィルム光導波路31をその厚み方向に曲げた場合の最小曲率半径は、3mm程度となった。なお、これよりも小さな曲率半径となるように曲げると、フィルム光導波路は折れ曲がった。
【0045】
また、曲げ弾性率が500MPa以下のエラストマーを用いた場合には、得られたフィルム光導波路は、曲率半径が2mm程度となるまで屈曲させることができた。さらに、曲げ弾性率が200MPa以下のエラストマーを用いた場合には、得られたフィルム光導波路は、曲率半径が1mm程度となるまで屈曲させることができた。
【0046】
なお、上記実施例1では、基板21の上に供給されたクラッド材料22や下クラッド層26の上に供給されたクラッド材料22を、直ちにスタンパ23、29で押圧したが、供給されたクラッド材料22をスピンコータによって薄くした後にスタンパ23、29で押さえて薄くしてもよい。スピンコータを併用すれば、上下クラッド層30、26の厚みをより薄くできるので、フィルム光導波路の最小曲げ曲率をより小さくすることができる。
【0047】
また、上記実施例1では、上クラッド層30と下クラッド層26の双方を曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーによって形成したが、上クラッド層30と下クラッド層26のうちいずれか一方だけを曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーによって形成してもよい。その場合、エラストマーを用いていない側のクラッド層は、曲げ弾性率が1,000MPa以下の変性アクリレート樹脂などを用いることができる。
【実施例2】
【0048】
図5及び図6は本発明の実施例2によるフィルム光導波路の製造方法を説明する図である。図6(a)に示す下クラッド層26は、実施例1の図2(a)〜図3(b)と同一の工程により、基板21の上に製作された下クラッド層26であって、その上面にはコア28が形成されている。
【0049】
図6(b)に示す上クラッド層30は、図5(a)〜図5(d)に示す工程により、基板32の上に製作されたものである。即ち、ガラス基板等の透光性を有する平坦な基板32の上に、図5(a)に示すように、クラッド材料22を塗布する。このクラッド材料22は、図4に示すような基を含むウレタンモノマー及びウレタンオリゴマーと、重合開始剤との混合物であって、硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下となるエラストマーの前駆体である。ついで、図5(b)に示すように、平板状のスタンパ33をクラッド材料22に押し当て、スタンパ33に圧力を掛けて基板32とスタンパ33との間にクラッド材料22を薄く押し広げて膜厚を薄くする。そして、図5(c)に示すように、基板32を通してクラッド材料22に紫外線エネルギーを照射してクラッド材料22を硬化させる。クラッド材料22が硬化して上クラッド層30が成形されたら、図2(d)に示すように、上クラッド層30からスタンパ33を分離させる。スタンパ33を分離すると、基板32の上には、上面が平坦な上クラッド層30が成形される。
【0050】
この後、図6(c)に示すように、下クラッド層26及びコア28の上に、コア材料27よりも屈折率の低いポリマーの前駆体であるモノマーやオリゴマーからなる紫外線硬化型の接着樹脂34を塗布し、基板32と共に上クラッド層30を上下反転させて接着樹脂34の上に重ね、下クラッド層26と上クラッド層30の間に接着樹脂34を挟みこんで薄く押し広げる。
【0051】
ついで、図6(d)に示すように、基板21又は32を通して接着樹脂34に紫外線エネルギーを照射し、接着樹脂34を硬化させ、接着樹脂34によって上クラッド層30と下クラッド層26とを接合させる。最後に、表裏の基板32、21をそれぞれ上クラッド層30、下クラッド層26から剥がしてフィルム化し、図6(e)のようなフィルム光導波路35を得る。
【0052】
スタンパで加圧して膜厚を薄くした図6(a)のような下クラッド層26や、図6(b)のような上クラッド層30では、圧力が常に同一方向から働くため、それぞれ図6(a)及び図6(b)に矢印で示すような内部応力(もしくは残留モーメント)が発生する。そのため、下クラッド層26及び上クラッド層30には、図6(a)及び図6(b)の上面側で凹となる向きに反りが発生する。この下クラッド層26と上クラッド層30を、図6(c)に示すように上クラッド層30を上下反転させて貼り合わせると、上クラッド層30に発生している内部応力と下クラッド層26の内部応力とが互いに打ち消し合うので、貼合せ体であるフィルム光導波路35に反りが発生しにくくなる。
【実施例3】
【0053】
図7は本発明の実施例3によるフィルム光導波路の製造方法を説明する図である。図7(a)に示す下クラッド層26は、実施例1の図2(a)〜図2(d)と同一の工程により、基板21の上に製作された下クラッド層26であって、その上面には凹溝25が形成されている。図7(b)に示す上クラッド層30は、実施例2の図5(a)〜図5(d)と同一の工程により、基板32の上に製作された上クラッド層30である。
【0054】
実施例3においては、図7(c)に示すように、図7(a)の下クラッド層26の上面の凹溝25の領域にコア材料27を塗布する。このコア材料27は、下クラッド層26及び上クラッド層30よりも屈折率の高いポリマーの前駆体であるモノマーやオリゴマーであって、紫外線硬化型樹脂となっている。ついで、基板32と共に上クラッド層30を上下反転させてコア材料27の上に重ね、下クラッド層26と上クラッド層30の間にコア材料27を挟み込み、コア材料27を凹溝25内に充填させると共にコア材料27を上下クラッド層30、26間の全体に薄く押し広げる。
【0055】
ついで、図7(d)に示すように、基板21又は32を通してコア材料27に紫外線エネルギーを照射し、コア材料27を硬化させ、コア材料27によって凹溝25内にコア28を形成すると共に上クラッド層30と下クラッド層26とを接合させる。最後に、表裏の基板32、21をそれぞれ上クラッド層30、下クラッド層26から剥がしてフィルム化し、図7(e)のようなフィルム光導波路36を得る。
【0056】
実施例3によれば、コア材料27によるコア28の成形と、コア材料27による上クラッド層30と下クラッド層26の接合作業とを一度に行なうことができるので、フィルム光導波路36の製造工程を減らすことができる。よって、実施例3によれば、フィルム光導波路36の製造工程を合理化することができる。
【0057】
なお、実施例1〜3の場合においては、図8に示すように、下クラッド層26に設けた凹溝25の少なくとも片側に、コア材料27を逃がすための窪み37を設けてもよい。下クラッド層26の凹溝25内にコア材料27を供給した後、コア材料27をスタンパ38又は上クラッド層30で押さえて凹溝25内にコア28を成形する場合、凹溝25内の余剰のコア材料27が凹溝25から押し出される。このとき、押し出されたコア材料27が下クラッド層26の上面とスタンパ38等の間で厚い樹脂膜となると、この樹脂膜を通じてコア28内の光信号が漏れ、フィルム光導波路の信頼性が低下する。
【0058】
図8に示すように、凹溝25の近傍に窪み37を設けていると、余剰のコア材料27は速やかに凹溝25から押し出されて窪み37へ逃げることができるので、下クラッド層26の上面とスタンパ38との間の樹脂膜を短時間の加圧により十分に薄くすることができ、フィルム光導波路の信頼性を向上させることができる。
【0059】
なお、コア材料を逃がすための窪みを設ける箇所は、下クラッド層26の上面に限らず、スタンパ38や上クラッド層であっても差し支えない。
【0060】
また、上記各実施例において、エラストマーにより作製された下クラッド層26と界面を接する上クラッド層30もしくはコア28に、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基といった水素結合基を含む変性アクリレート樹脂を用いれば、下クラッド層26と接する界面の密着力を向上させることができる。同じように、エラストマーにより作製された上クラッド層30と界面を接する下クラッド層26もしくはコア28に、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基といった水素結合基を含む樹脂を用いれば、上クラッド層30と接する界面の密着力を向上させることができる。
【実施例4】
【0061】
図9は本発明の実施例4による片方向通信用のフィルム光導波路モジュールを示す平面図、図10はその一部分を拡大して示す概略断面図である。このフィルム光導波路モジュール91は、一方の配線基板92の上に実装された投光素子93と他方の配線基板94の上に実装された受光素子95に本発明にかかるフィルム光導波路96の両端を接続することにより、フィルム光導波路96で両配線基板92、94どうしをつないだものである。
【0062】
送信側の配線基板92の上には駆動用IC97とVCSELのような面発光型の投光素子93とが実装されている。投光素子93の光出射方向は、配線基板92の上面とほぼ垂直な方向となっている。フィルム光導波路96の一方端部は、図10に示すように45°の角度にカットされており、フィルム光導波路96の当該端部が配線基板92と平行となるようにして、かつ、45°にカットされた面100が斜め上方を向くようにして支持台98の上に固定されている。しかも、コア28の45°にカットされた面100は、投光素子93から出射される光線の光軸上に位置している。
【0063】
また、受信側の配線基板94の上には増幅用IC99と受光素子95とが実装されている。フィルム光導波路96の他方端部も45°の角度にカットされており、フィルム光導波路96の当該端部が配線基板94と平行となるようにして、かつ、45°にカットされた面が斜め上方を向くようにして支持台(図示せず)の上に固定されている。受光素子95は、コア28の45°にカットされた面の真下に位置している。
【0064】
従って、駆動用IC97に入力された電気信号が光信号(変調光)に変換されて投光素子93から光信号が出射されると、投光素子93から出た光はフィルム光導波路96の下面からコア28内に進入する。コア28に進入した光信号は、コア28の45°にカットされた面で全反射することによりコア28の長さ方向とほぼ平行な方向に進行方向を曲げられ、コア28と結合させられる。
【0065】
こうして、フィルム光導波路96の一端に結合した光信号はコア28内を伝搬し、フィルム光導波路96の他端に達する。フィルム光導波路96の他端に達した光は、コア28の45°にカットされた面で全反射され、フィルム光導波路96の他端から下方へ向けて出射され、受光素子95で受光される。受光素子95で受光された光信号は電気信号に変換され、電気信号は増幅用IC99で増幅された後、配線基板94から外部へ出力される。
【0066】
このようなフィルム光導波路モジュール91では、必ずしも配線基板92と配線基板94は同一平面に設置される訳ではないが、配線基板92及び94が任意の平面に設置されてもフィルム光導波路96が柔軟に曲がることにより配線基板92側から配線基板94側へ光信号を伝達させることができる。
【0067】
しかし、このようにフィルム光導波路96を介して接続された配線基板92と配線基板94を別々に設置するときには、フィルム光導波路96に機械的な引っ張り力が加わることがある。本発明のフィルム光導波路モジュール91では、上下クラッド層30、26の曲げ弾性率が1,000MPa以下というように小さいので、図11(a)に示すように少しの引っ張り力が加わるだけでフィルム光導波路モジュール91が伸びてフィルム光導波路モジュール91の幅が狭くなる。このときコア28の曲げ弾性率と上下クラッド層30、26の曲げ弾性係数が等しいと、同じようにコア28も伸びてそのコア径が細くなったり、コア断面が変形したりしてコア28を伝搬する光信号のモードが変化し、光信号の伝送特性が劣化する。
【0068】
そのためこのフィルム光導波路モジュール91では、コア28の曲げ弾性率を上下クラッド層30、26の曲げ弾性率よりも大きくしている。すなわち、上下クラッド層30、26の曲げ弾性率を1,000MPa以下にすると共に、コア28の曲げ弾性率を上下クラッド層30、26の曲げ弾性率よりも大きくしている。この結果、上下クラッド層30、26の剛性がコア28よりも低くなり、しかも、コア28は配線基板92、94に直接固定されていないので、フィルム光導波路96に機械的な引っ張り力などが加わっても、図11(b)に示すように引っ張り力は上下クラッド層30、26で吸収される。よって、コア28の変形を小さくすることができ、フィルム光導波路96の伝送特性の劣化を抑制することができる。
【0069】
また、フィルム光導波路96が捻れた場合にも、コア径やコア断面形状によりフィルム光導波路96の伝送特性の劣化を招くが、この点については携帯電話機との関連において後述する。
【0070】
なお、上記実施例では、片方向通信用のフィルム光導波路モジュール91について説明したが、双方向通信用のフィルム光導波路モジュールであってもよい。例えば、図12に示す双方向通信用のフィルム光導波路モジュール101は、両配線基板92、94がいずれも、駆動用IC及び増幅用ICの機能を備えた駆動兼増幅用IC102と、投光素子93と、受光素子95とを実装している。そして、フィルム光導波路として2芯のフィルム光導波路103を用いて、一方のコア28で配線基板92の投光素子93と配線基板94の受光素子95をつなぎ、他方のコアで配線基板94の投光素子93と配線基板92の受光素子95をつないでいる。よって、このフィルム光導波路モジュール101によれば、いずれか一方の配線基板92又は94に入力された電気信号は、フィルム光導波路モジュール101を介して光信号として伝搬され、他方の配線基板94又は92から電気信号に復元されて出力される。
【0071】
また、上記実施例では、発光素子と受光素子とをフィルム光導波路でつないだフィルム光導波路モジュールについて説明したが、回路基板に実装した光コネクタに両端を接続することによって回路基板どうしをつなぐようにしたものであってもよい。
【実施例5】
【0072】
次に、本発明にかかるフィルム光導波路を用いた応用例(実施例5)を説明する。以下で用いられるフィルム光導波路51は、これまでに図示したように1本のコアを有するものに限らず、複数本のコアを平行に配線したものや、コアが分岐したものであってもよい。図13は2つ折りに折り畳み可能となった折り畳み式の携帯電話機41を示す斜視図、図14はその概略構成図である。携帯電話機41は、液晶表示パネル42とデジタルカメラ43を備えた表示部44と、テンキー等のキーパネル45やアンテナ46を備えた操作部47とを、ヒンジ部48によって回動自在に連結させた構造となっている。デジタルカメラ43は、液晶表示パネル42の裏面側に設けられている。また、表示部44内には、外部メモリ49が搭載されており、操作部47内には通信機能やキーパネル45からの入力を受け付けて各機能を実行させるための集積回路(LSI)50が搭載されている。
【0073】
従って、操作部47内の集積回路50と、表示部44内の液晶表示パネル42やデジタルカメラ43、表示部44との間で信号の送受信を行なわせる必要がある。本実施例5の携帯電話機41では、図14に示すように、操作部47側と表示部44側とを結ぶために本発明にかかるフィルム光導波路51を用いている。すなわち、操作部47内の集積回路50と、表示部44内の液晶表示パネル42、デジタルカメラ43、外部メモリ49とをフィルム光導波路51で接続し、光信号をもって送受信を行なわせるようにしている。
【0074】
このような構造を実現するためには、フィルム光導波路51がヒンジ部48を通過する必要がある。この実施例5では、そのための構造として、図15に示すように、ヒンジ部48においてフィルム光導波路51をスパイラル状に屈曲させたものを用いている。このようなフィルム光導波路51を製作するには、フラットなフィルム光導波路51を製造した後、フラットなフィルム光導波路51を指示棒等に巻き付けて巻き癖を付けてやればよい。本発明にかかるフィルム光導波路51は、小さな曲率半径となるように曲げることができるので、このようにしてスパイラル状に賦形してもフィルム光導波路51が破損する恐れがない。
【0075】
しかして、このような実施例5によれば、携帯電話機41内の限られた空間で高速、大容量通信を実現することができる。また、本発明のフィルム光導波路51は屈曲性能が高いので、繰り返し携帯電話機41を開閉してもフィルム光導波路51が破損する恐れは小さい。さらに、フィルム光導波路51をヒンジ部48においてスパイラル状に形成しているので、携帯電話機41を開閉してもヒンジ部48でフィルム光導波路51に大きな負荷が掛かりにくく、フィルム光導波路51の耐久性がより一層向上する。
【0076】
なお、携帯電話機41は、表示部44と操作部47が二つ折りになったものに限らず、操作部47と平行な面内で表示部44が回動するようになっていて折り畳まれるものであってもよい。
【0077】
図16に示すものは、携帯電話機111の異なる例を示す概略図である。この携帯電話機111は2軸回転型の携帯電話機となっている。すなわち、表示部44と操作部47とは、ヒンジ部48によって二つ折りに畳んだり広げたりできるようになっている。さらに、表示部44は、そのヒンジ部112により、ヒンジ部48の軸方向と直交する軸線方向の回りでも回動できるようになっている。
【0078】
携帯電話機111の内部においては、操作部47内に納められた配線基板113に光コネクタ114が設けられ、表示部44内に納められた配線基板115に光コネクタ116が設けられている。フィルム光導波路51の一端に設けられた光コネクタ117は光コネクタ114に結合され、フィルム光導波路51の他端に設けられた光コネクタ118は光コネクタ116に結合されており、フィルム光導波路51を介して操作部47の配線基板113と表示部44の配線基板115が接続されている。そして、表示部44と操作部47を開いた状態では、フィルム光導波路51は配線基板113と配線基板115の間をほぼ真っ直ぐに結んでいる。
【0079】
しかして、この携帯電話機111では表示部44と操作部47を二つ折りに畳むとフィルム光導波路51が湾曲して曲がり、また、ヒンジ部112により表示部44を回動させるとフィルム光導波路51が捻れる。ここで、フィルム光導波路51の上下クラッド層30、26の曲げ弾性率は1,000MPa以下となっているので、フィルム光導波路51は小さな外力で容易に曲がったり、捻れたりする。
【0080】
しかし、コア28の曲げ弾性率は上下クラッド層30、26の曲げ弾性率よりも大きくなっているので、フィルム光導波路51が引っ張られたり、捻られたりしても、コア径やコア形状が変化しにくく、フィルム光導波路51の伝送特性は劣化しにくい。すなわち、フィルム光導波路51が図17(a)のように捻られると、図17(b)に示すようにフィルム光導波路51に変形が生じ、コア28も変形し、それによってフィルム光導波路51の伝送特性が劣化する恐れがある。しかし、コア28の曲げ弾性率が上下クラッド層30、26の曲げ弾性率よりも大きくなっていると、フィルム光導波路51が捻れてもコア形状が変化しにくくなるので、フィルム光導波路51の伝送特性が劣化しにくくなる(フィルム光導波路51が引っ張られる場合のコア形状の変形等による伝送特性の劣化ついては既に説明したとおりである。)。
【0081】
図18に示すような捻れたフィルム光導波路51を考え、フィルム光導波路51の幅をW、フィルム光導波路51の全長のうち捻れの生じている部分の長さをα×Wとする。携帯電話機111内における配線スペースを考えると、αの値はできるだけ小さいことが望ましい。しかし、αの値がほぼ1よりも小さくなると、捻れているフィルム光導波路51の形状が歪み、その伝送特性が劣化することが分かっている。従って、できるだけαの値が1に近くなるようにしてフィルム光導波路51の占める配線スペースを小さくすることが望まれる。
【0082】
αの値と上下クラッド層30、26に要求される曲げ弾性率の限界値との間には、図19に示すような関係がある。従って、αの値を1に近くするためには、上下クラッド層30、26の曲げ弾性率をほぼ250MPa以下にすればよいことが分かる。
【0083】
一方、αの値を小さくすると捻りの反発力が大きくなり、これによって両端のコネクタ117、118が引っ張られて配線基板113の光コネクタ114や配線基板115の光コネクタ116から外れる恐れがある。通常光コネクタ等においては、0.5kgf以上の負荷を掛けないことが求められており、そのためにはフィルム光導波路51の曲げ弾性率を250MPa以下にしておけば充分である。よって、フィルム光導波路51の上下クラッド層30、26の曲げ弾性率を250MPa以下にすることにより、光コネクタ117、118の接続不良を発生させずにαの値を1に近づけて小さくできる。
【0084】
なお、光ケーブルの捻れによる応力を小さくするためには、光ケーブルに余長部を設けておく方法もある。しかし、余長部を設けると、ヒンジ部に余長部を納めるための空間が必要になるので、ヒンジ部が大きくなり、ひいては携帯電話機の小型化が妨げられる問題がある。これに対し、この携帯電話機111のような構造であれば、フィルム光導波路51がヒンジ部112内で捻れるようにしても、ヒンジ部112が太くならない。
【0085】
また、フィルム光導波路51がスパイラル状に巻かれておらず、しかも2軸回転型でない携帯電話機の場合では、図20(a)及び図20(b)に示すようにヒンジ部48をより小さくすることができる。このような携帯電話機では、図20(b)のように表示部44と操作部47とを広げた状態のときには、フィルム光導波路51は弛みのない自然な長さとなっているが、図20(a)のように表示部44を畳んだときにはフィルム光導波路51がヒンジ部48に巻き付くことによってフィルム光導波路51に引っ張り力が加わる。しかし、この場合にも、コア28の曲げ弾性率を上下クラッド層30、26の曲げ弾性率よりも小さくしておけば、図11(a)及び図11(b)の箇所において説明したように、コア28の変形を小さくしてフィルム光導波路51の伝送特性の劣化を小さくすることができる。
【実施例6】
【0086】
図21は本発明の実施例6である、プリンタ61の斜視図である。インクジェット方式のプリンタやドット・インパクト方式のプリンタでは、印字ヘッド62は支持部65の上に固定されており、支持部65はガイドバー63に沿って左右に走行するようになっている。また、印字ヘッド62にはプリンタ本体64から印字情報が送られるようになっている。
【0087】
この実施例6では、プリンタ本体64から印字ヘッド62に印字情報を送信するため、図22に示すように、プリンタ本体64内の制御部66と印字ヘッド62を本発明にかかるフィルム光導波路51で結んでいる。プリンタの印字品質が向上してドット密度(dpi)が大きくなり、また印字速度が高速になると、プリンタ本体64から印字ヘッド62へ送信する信号量も急送に増大するが、フィルム光導波路51を用いることにより印字ヘッド62へ高速で大容量の信号を送信することができる。
【0088】
また、図23(a)及び図23(b)に示すように、印字ヘッド62が左右に高速で走行すると、それに伴ってフィルム光導波路51は折れ曲がっている箇所が移動し、大きな負荷が加わるが、本発明のフィルム光導波路51では屈曲性能が高いためにフィルム光導波路51の耐久性を高くすることができる。
【実施例7】
【0089】
図24は本発明の実施例7である、ハードディスク装置71の斜視図である。このハードディスク装置71においては、ハードディスク72の近傍にデータ読み取りヘッド駆動装置73が設置されており、データ読み取りヘッド駆動装置73から延出された読取りヘッド74の先端がハードディスク72の表面と対向している。また、制御回路を搭載された回路基板75にはフィルム光導波路51の一端が接続され、フィルム光導波路51の他端部は読取りヘッド74の基部を通って読取りヘッド74の先端の光学素子に接続されている。このフィルム光導波路51には、ハードディスク72に記憶されたデータを読み取る際、あるいは書き込む際に、回路基板75と読取りヘッド74との間でそのデータ(光信号)を伝送する機能を有している。
【0090】
ハードディスク装置71に記憶されるデータは大容量化が進んでいる。その一方で、従来データ伝送路として用いられていたフレキシブルプリント基板では、伝送密度に限界があり、大容量化するハードディスク装置のデータ伝送路に用いるためにはフレキシブルプリント基板の枚数を増やすか、大型化するかしか手段がなく、そのため屈曲性能やサイズに問題があった。ところが、フィルム光導波路51を用いれば、屈曲性を有し、しかも小型で大容量のデータ伝送路を実現することが可能になる。
【実施例8】
【0091】
図25〜図27に示すものは、電子回路基板へのフィルム光導波路51の接続形態を示す実施例である。すなわち、図25に示す形態では、フィルム光導波路51を屈曲させて機器81内の別々の電子回路基板82、83間を結んでいる。また、図26に示す形態では、電子回路基板82の表裏をフィルム光導波路51で結んでいる。図27に示す形態では、電子回路基板82とコネクタ84とをフィルム光導波路51で結んでいる。これらのいずれの接続形態においても、限られた空間内に位置する電子回路基板間の高速、大容量通信を実現できる。
【実施例9】
【0092】
図28は本発明にかかるフィルム光導波路51の別な使用方法を示す実施例である。この実施例9では、フィルム光導波路51を凹凸部85を有する電子回路基板86、例えば電子部品等を実装されて凹凸部85を形成された電子回路基板86において、凹凸部85の表面に沿わせてフィルム光導波路51を設置している。かかる形態によれば、電子部品が実装された電子回路基板内を結ぶ伝送路などに用いることができ、電子回路基板内の高速、大容量通信を実現できる。
【実施例10】
【0093】
図29は本発明にかかるフィルム光導波路51のさらに別な使用方法を示す実施例である。この実施例10では、フィルム光導波路51をフレキシブルな電子回路基板86の上に重ね合わせている。このような形態によれば、フレキシブルな電子回路基板86の上に重ね合わせている。このような形態によれば、フレキシブルな電子回路基板86による電力伝送や演算機能を有し、かつ、高速、大容量通信機能を有するフレキシブル複合伝送路を実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーにより下クラッド層と上クラッド層のうち少なくとも一方の層が形成され、上クラッド層と下クラッド層の膜厚の和が300μm以下であることを特徴とするフィルム光導波路。
【請求項2】
前記下クラッド層と前記上クラッド層の間に、両クラッド層よりも屈折率が高く、曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーによりコアが形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム光導波路。
【請求項3】
前記コアの曲げ弾性率が前記上クラッド層及び前記下クラッド層の曲げ弾性率よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のフィルム光導波路。
【請求項4】
硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を基板に供給する工程と、
前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、
前記エラストマーの前駆体を硬化させて下クラッド層を形成する工程と、
前記下クラッド層の上にコアを形成する工程と、
前記下クラッド層及びコアの上に上クラッド層を形成する工程と、
を備えたフィルム光導波路の製造方法。
【請求項5】
下クラッド層を形成する工程と、
前記下クラッド層の上にコアを形成する工程と、
硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を前記下クラッド層及び前記コアの上に供給する工程と、
前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、
前記エラストマーの前駆体を硬化させて上クラッド層を形成する工程と、
を備えたフィルム光導波路の製造方法。
【請求項6】
硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を第1の基板に供給する工程と、
前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、前記スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、
前記エラストマーの前駆体を硬化させて下クラッド層を形成する工程と、
硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を第2の基板に供給する工程と、
第2の基板に供給された前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、前記スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、
第2の基板に供給された前記エラストマーの前駆体を硬化させて上クラッド層を形成する工程と、
前記下クラッド層又は前記上クラッド層に形成されたコアを挟みこむようにして、前記下クラッド層と前記上クラッド層を貼り合わせる工程と、
を備えたフィルム光導波路の製造方法。
【請求項7】
硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を第1の基板に供給する工程と、
前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、前記スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、
前記エラストマーの前駆体を硬化させて下クラッド層を形成する工程と、
硬化後の曲げ弾性率が1,000MPa以下のエラストマーの、モノマー又はオリゴマーからなる前駆体を第2の基板に供給する工程と、
第2の基板に供給された前記エラストマーの前駆体にスタンパを押し当て、前記スタンパによってエラストマーの前駆体に圧力を加えてエラストマーの前駆体の膜厚を薄くする工程と、
第2の基板に供給された前記エラストマーの前駆体を硬化させて上クラッド層を形成する工程と、
前記下クラッド層と前記上クラッド層とをコア材料で貼り合わせると共に、前記下クラッド層と前記上クラッド層の間に前記コア材料によりコアを形成する工程と、
を備えたフィルム光導波路の製造方法。
【請求項8】
請求項1、2又は3に記載したフィルム光導波路と投光素子又は受光素子とを光学的に結合するように配置して一体化させたことを特徴とするフィルム光導波路モジュール。
【請求項9】
回動部分によって一方の部材と他方の部材とを回動自在に連結された折り畳み式の電子機器装置において、
前記回動部分を通過させて一方の部材と他方の部材との間に請求項1、2又は3に記載のフィルム光導波路を配線したことを特徴とする電子機器装置。
【請求項10】
機器本体に移動部を備えた電子機器装置において、
前記移動部と前記機器本体とを請求項1、2又は3に記載のフィルム光導波路により光学的に結合させたことを特徴とする電子機器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【国際公開番号】WO2006/001434
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【発行日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523764(P2006−523764)
【国際出願番号】PCT/JP2005/011771
【国際出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【特許番号】特許第3906870号(P3906870)
【特許公報発行日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】