説明

フィルム移動速度制御装置、コーティング装置、画像形成装置およびフィルム移動速度制御方法

【課題】フィルムの移動速度と搬送ローラの周速とを一致させることができるフィルム移動速度制御装置を提供する。
【解決手段】フィルム移動速度制御装置300は、フィルム310、送り出しローラ320、巻き取りローラ330、駆動モータ340、搬送ローラ350、当接ローラ360、エンコーダ370およびCPUを備える。当接ローラ360は、送り出しローラ320および巻き取りローラ330の少なくとも一方に対向して配置され、対向するローラの中心軸に向けてフィルム310に当接し、フィルム310の移動に伴って従動回転する。エンコーダ370は、当接ローラ360の中心軸361の回転速度を検出する。CPUは、エンコーダ370の検出結果に基づいてフィルム310の搬送速度と搬送ローラ350の周速とを一致させるように駆動モータ340の駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムの移動速度を一定にするために駆動源を制御するフィルム移動速度制御装置、このフィルム移動速度制御装置を備えるコーティング装置、このコーティング装置を備える画像形成装置およびフィルムの移動速度を一定にするために駆動源を制御するフィルム移動速度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カセットテープ等のテープ巻き取り装置は、送り出しローラに一定の長さのテープを巻いている。このテープ巻き取り装置は、巻き取りローラと送り出しローラとを回転することによって、巻き取りローラのみを回転駆動する装置に比べて優れた効果を奏する。その効果とは、両方のローラを回転させるので、高速に、かつ、テープテンションを正確に制御してテープを巻き取りローラに巻くことができることである。
【0003】
このようなテープ巻き取り装置は、いかにしてテープの傷付を低減して巻き取りローラに巻くことができるかが重要である。
【0004】
そこで、テープにテンションをかけるためのテンションローラを少なくしてテープの傷付を防止できるテープ巻き取り装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02−058783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィルムを搬送するための装置において巻き取りローラと送り出しローラとを有する構成では、巻き取りローラの回転速度を一定にすると、フィルムの巻き取りが進むほどフィルムの巻き取り速度が速くなっていく。また、当該装置において、搬送ローラによって搬送される用紙に対してフィルムを熱転写してコーティング処理を施す場合、用紙の搬送速度とフィルムの移動速度とを一致させる必要がある。この課題は、上記特許文献1では解決できないものである。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、フィルムの移動速度と搬送ローラの周速とを一致させることができるフィルム移動速度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフィルム移動速度制御装置は、フィルム、送り出しローラ、巻き取りローラ、駆動源、搬送ローラ、当接ローラ、速度検出部および制御部を備える。
【0009】
フィルムは、用紙にコーティング処理を施す。送り出しローラは、フィルムを収納し、そのフィルムを送り出す。巻き取りローラは、送り出しローラから送り出されたフィルムを巻き取る。駆動源は、巻き取りローラを駆動回転させる。搬送ローラは、送り出しローラと巻き取りローラとの間に配置され、用紙を搬送するために駆動回転する。
【0010】
当接ローラは、送り出しローラおよび巻き取りローラの少なくとも一方に対向して配置され、対向するローラの中心軸に向けてフィルムに当接し、フィルムの移動に伴って従動回転する。速度検出部は、当接ローラの中心軸の回転速度を検出する。制御部は、速度検出部の検出結果に基づいてフィルムの搬送速度と搬送ローラの周速とを一致させるように駆動源の駆動を制御する。
【0011】
この構成では、搬送ローラの周速は常に一定である。したがって、フィルムの搬送速度と搬送ローラの周速とを一致させることにより、フィルムの搬送速度を一定にすることができる。
【0012】
また、この構成では、フィルムの搬送速度と搬送ローラの周速とを一致させることができるため、フィルムの搬送速度と用紙の搬送速度とを一致させることができる。したがって、用紙にコーティング処理をするための適した状態を設定することができる。
【0013】
さらに、この構成では、巻き取りローラの回転速度を徐々に落としていく制御をするため、この制御内容に基づいて、送り出しローラに収納されたフィルムのニアエンド検知をすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明におけるフィルム移動速度制御装置は、フィルムの移動速度と搬送ローラの周速とを一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るフィルム移動速度制御装置を含むコーティング装置を備える画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】フィルム移動速度制御装置の構成を示す図である。
【図3】フィルム移動速度制御装置の制御系のブロック図である。
【図4】エンコーダの具体的構成を示す図である。
【図5】図4に示すエンコーダの構成を矢印374方向から見た図である。
【図6】CPUの制御内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るフィルム移動速度制御装置の構成を示す図である。
【図8】CPUの制御内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係る移動速度制御装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るフィルム移動速度制御装置を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
最初に、本発明の第1実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係るフィルム移動速度制御装置300を含むコーティング装置200を備える画像形成装置の構成を示す図である。
【0019】
画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定の用紙に対して多色または単色の画像を形成するものである。画像形成装置100は、原稿処理装置120、給紙部80、画像形成部110および排紙部90から構成されている。
【0020】
原稿処理装置120は、原稿載置台121、原稿搬送装置122および原稿読取部123を有する。原稿載置台121は、透明ガラスからなり、原稿が載置可能な構成となっている。原稿搬送装置122は、原稿トレイに積載された原稿を1枚ずつ搬送する。また、原稿搬送装置122は、矢印124方向に回動自在に構成され、原稿載置台121の上を開放することにより原稿載置台121に原稿を置くことができるようになっている。原稿読取部123は、原稿搬送装置122で搬送中の原稿または原稿載置台122に載置された原稿を読み取る。
【0021】
給紙部80は、給紙カセット81、手差し給紙カセット82、ピックアップローラ83およびピックアップローラ84が設けられている。給紙カセット81は、定形用紙を蓄積しておくためのトレイである。手差し給紙カセット82は、不定形用紙を載置することができるトレイである。ピックアップローラ83は、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。同様にピックアップローラ84は、手差し給紙カセット82の端部近傍に設けられ、手差し給紙カセット82から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。
【0022】
画像形成部110は、画像形成ステーション31,32,33,34、露光ユニット30、中間転写ベルトユニット50および定着ユニット70から構成されている。画像形成ステーション31,32,33,34は、それぞれ感光体ドラム10、帯電器20、現像器40およびクリーナユニット60が設けられており、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。本実施形態では、画像形成ステーション31について説明する。
【0023】
感光体ドラム10は、画像形成時に回転し、現像剤像を担持するためのものである。感光体ドラム10の周囲には、回転方向上流から帯電器20、露光ユニット30、現像器40、中間転写ベルトユニット50、クリーナユニット60の順に配置されている。定着ユニット70は、搬送路101上において画像形成部110の最も下流に位置する。
【0024】
帯電器20は、感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0025】
露光ユニット30は、帯電された感光体ドラム10を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。露光ユニット30は、レーザ射出部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット30は、レーザ光を走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム10に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。露光ユニット30としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書き込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0026】
現像器40は、感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナーにより顕像化するものである。
【0027】
中間転写ベルトユニット50は、中間転写ベルト51、中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53、中間転写ローラ54および中間転写ベルトクリーニングユニット55を備えている。
【0028】
中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53および中間転写ローラ54は、中間転写ベルト51を張架して回転駆動させる。また、中間転写ローラ54は、感光体ドラム10のトナー像を、中間転写ベルト51上に転写するための転写バイアスを与える。
【0029】
中間転写ベルト51は、感光体ドラム10に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム10に形成されたトナー像を中間転写ベルト51に転写することによって、中間転写ベルト51上にトナー像を形成する機能を有している。中間転写ベルト51は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0030】
感光体ドラム10から中間転写ベルト51へのトナー像の転写は、中間転写ベルト51の裏側に接触している中間転写ローラ54によって行われる。中間転写ローラ54には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ54は、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト51に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0031】
上述のように感光体ドラム10上で顕像化された静電潜像は中間転写ベルト51で積層される。このように積層された画像情報は、中間転写ベルト51の回転によって、用紙と中間転写ベルト51との接触位置に配置される転写ローラ56によって用紙上に転写される。
【0032】
このとき、中間転写ベルト51と転写ローラ56は所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ56にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ56は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ56もしくは中間転写ベルト駆動ローラ52のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0033】
また、上記のように、感光体ドラム10に接触することにより中間転写ベルト51に付着したトナーもしくは転写ローラ56によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト51上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット55によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット55には、中間転写ベルト51に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト51は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ53で支持されている。
【0034】
クリーナユニット60は、現像・画像転写後における感光体ドラム10上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0035】
定着ユニット70は、加熱ローラ71および加圧ローラ72を備えており、加熱ローラ71および加圧ローラ72は、用紙を挟んで回転するようになっている。また加熱ローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーを用紙に熱圧着することにより、用紙に転写されたトナー像を溶融・混合・圧接し、用紙に対して熱定着させる機能を有している。また、加熱ローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0036】
定着ユニット70を通過した用紙は、排紙ローラ92を経てコーティング装置200に到達する。コーティング装置200は、フィルム移動速度制御装置300とフィルム移動速度制御装置300によって所定の移動速度に制御されたフィルム310を用紙に熱転写するためのサーマルヘッド210とを備える。サーマルヘッド210は、本発明の熱転写部に相当する。フィルム移動速度制御装置300については後述する。
【0037】
上記のように、コーティング装置200は、フィルム310を用紙に熱転写することで、用紙にコーティング処理を施す。コーティング処理された用紙は、光沢等が付加され、見栄えがよくなる。
【0038】
コーティング装置200を通過した用紙は、排紙トレイ91に排出される。排紙トレイ91は、印刷済みの用紙を集積するためのトレイである。
【0039】
また、両面印字要求のときは、上記のように片面印字が終了し定着ユニット70を通過した用紙の後端が排紙ローラ92で把持されたときに、排紙ローラ92が逆回転することによって用紙を搬送ローラ102,103に導く。そしてその後レジストローラ104を経て用紙裏面に印字が行われた後に用紙が排紙トレイ91に排出される。
【0040】
図2は、フィルム移動速度制御装置300の構成を示す図である。図3は、フィルム移動速度制御装置300の制御系のブロック図である。
【0041】
フィルム移動速度制御装置300は、フィルム310、送り出しローラ320、巻き取りローラ330、駆動モータ340、搬送ローラ350、当接ローラ360、エンコーダ370およびCPU380を備える。駆動モータ340は、本発明の駆動源に相当する。エンコーダ370は、本発明の速度検出部に相当する。CPU380は、本発明の制御部に相当する。
【0042】
フィルム310は、用紙にコーティング処理を施すためのものである。送り出しローラ320は、フィルム310を収納し、フィルム310を送り出す。巻き取りローラ330は、送り出しローラ320から送り出されたフィルム310を巻き取る。駆動モータ340は、巻き取りローラ330を駆動回転させる。搬送ローラ350は、送り出しローラ320と巻き取りローラ330との間に配置され、用紙を搬送するために駆動回転する。
【0043】
当接ローラ360は、巻き取りローラ330に対向して配置され、巻き取りローラ330の中心軸331に向けてフィルム310に当接し、かつ、フィルム310の移動に伴って従動回転する。エンコーダ370は、当接ローラ360の中心軸361の回転速度を検出する。CPU380は、エンコーダ370の検出結果に基づいてフィルム310の移動速度と搬送ローラ350の周速とを一致させるように駆動モータ340の駆動を制御する。
【0044】
CPU380は、ROM410、RAM420、駆動モータ340およびエンコーダ370と接続している。CPU380は、ROM410に記録された制御プログラムを読みだし、RAM420をワーキングエリアとして活用して、当該制御プログラムを実行する。CPU380は、エンコーダ370から検出結果を受信し、これに基づいて駆動モータ340の駆動を制御するために駆動モータ340のドライバに対して制御信号を送信する。
【0045】
また、フィルム移動速度制御装置300は、ガイドローラ391,392、ガイド393,394および圧縮バネ395を備える。ガイドローラ391,392は、フィルム310をサーマルヘッド210と搬送ローラ350との間に適切に搬送させ、フィルム310の面を搬送される用紙に当接させる機能を有する。ガイド393,394は、その上面を通過する用紙を安定して搬送させる機能を有する。
【0046】
圧縮バネ395は、当接ローラ360の軸方向両端部に設けられ、当接ローラ360の軸受362を巻き取りローラ330の中心軸331に向けて押圧する。このように、巻き取りローラ330の中心軸331に向けて、圧縮バネ395が当接ローラ360を押圧することにより、フィルム310の伸び縮みを防止することができる。したがって、エンコーダ370は、フィルム310の伸び縮みに影響されることがないため、フィルム310の移動速度を正確に検出することができる。
【0047】
図4は、エンコーダ370の具体的構成を示す図である。図5は、図4に示すエンコーダ370の構成を矢印374方向から見た図である。
【0048】
エンコーダ370は、ホイール371、検出センサ372およびセンサ取り付け部材373を備える。ホイール371は、当接ローラ360の中心軸361に取り付けられており、当該中心軸361の回転に伴って回転する。また、ホイール371は、スリット374を有する。検出センサ372は、一例として透過型センサから構成され、ホイール371のスリット374を検出する。センサ取り付け部材373は、一例として軸受362と一体的に構成され、検出センサ372を保持する。
【0049】
この構成により、巻き取りローラ330に巻き取られたフィルム310の量の変化に応じて変位する当接ローラ360とともに、エンコーダ370が変位する。したがって、エンコーダ370は、当接ローラ360の中心軸361の回転速度、すなわち、フィルム310の移動速度を常時検出することができる。
【0050】
図6は、CPU380の制御内容を示すフローチャートである。
【0051】
CPU380は、駆動開始命令がくるまで待機する(S10のN)。駆動開始命令は、一例として、印刷命令のことである。CPU380は、駆動開始命令がきたと判断すると(S10のY)、駆動モータ340の駆動を開始し(S20)、エンコーダ370からの速度検出信号を受け取る(S30)。
【0052】
CPU380は、当接ローラ360の中心軸361の回転速度が第1所定速度以上であるとエンコーダ370が検出するまで待機する(S40のN)。第1所定速度は、搬送ローラ350の周速+Nmm/secのことである。CPU380は、当接ローラ360の中心軸361の回転速度が第1所定速度以上であるとエンコーダ370が検出していると判断すると(S40のY)、駆動モータ340の駆動速度を減速するように制御する(S50)。
【0053】
その後、CPU380は、駆動モータ340の駆動速度を所定以上減速させたか否かを判断する(S60)。CPU380は、駆動モータ340の駆動速度を所定以上減速させていないと判断すると(S60のN)、S40の処理に移行する。一方、CPU380は、駆動モータ340の駆動速度を所定以上減速させたと判断すると(S60のY)、送り出しローラ320に収納されたフィルム310が残り少ないと判断してニアエンドを報知し(S70)、本実施形態の制御フローを終了する。
【0054】
この構成では、搬送ローラ350の周速は常に一定である。したがって、フィルム310の搬送速度と搬送ローラ350の周速とを一致させることにより、フィルム310の搬送速度を一定にすることができる。
【0055】
また、この構成では、フィルム310の搬送速度と搬送ローラ350の周速とを一致させることができるため、フィルム310の搬送速度と用紙の搬送速度とを一致させることができる。したがって、用紙にコーティング処理をするための適した状態を設定することができる。
【0056】
さらに、この構成では、巻き取りローラ330の回転速度を徐々に落としていく制御をするため、この制御内容に基づいて、送り出しローラ320に収納されたフィルム310のニアエンド検知をすることができる。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態以降の各実施形態においては、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0058】
図7は、本発明の第2実施形態に係るフィルム移動速度制御装置300の構成を示す図である。
【0059】
本実施形態では、当接ローラ360は、送り出しローラ320に対向して配置される。この構成においても、エンコーダ370が当接ローラ360の回転軸361の回転速度を検出している。したがって、送り出しローラ320に収納されているフィルム310がなくなった場合、送り出しローラ320の回転が止まり、これに伴って当接ローラ360の回転も止まるので、送り出しローラ320に収納されているフィルム310のエンド検知をすることができる。
【0060】
図8は、CPU380の制御内容を示すフローチャートである。
【0061】
図8において、送り出しローラ320に収納されているフィルム310のエンド検知に係る制御を説明する。CPU380は、フィルム310のニアエンドを報知した後(S70)、駆動モータ340の駆動制御(減速制御)を適宜実行する(S80)。CPU380は、当接ローラ360の中心軸361の回転速度が第2所定速度以下か否かを判断する(S90)。第2所定速度は、搬送ローラ350の周速−Nmm/secのことである。
【0062】
CPU380は、当接ローラ360の中心軸361の回転速度が第2所定速度以下ではないと判断すると(S90のN)、S80の処理に移行する。一方、CPU380は、当接ローラ360の中心軸361の回転速度が第2所定速度以下であると判断すると(S90のY)、送り出しローラ320に収納されたフィルム310がなくなったと判断してエンドを報知し(S100)、本実施形態の制御フローを終了する。
【0063】
この構成では、送り出しローラ320に収納されているフィルム310がなくなった場合、送り出しローラ320の回転が止まり、これに伴って当接ローラ360の回転も止まるので、フィルム310のエンド検知をすることができる。
【0064】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0065】
図9は、本発明の第3実施形態に係る移動速度制御装置300の構成を示す図である。
【0066】
本実施形態では、当接ローラ360Aは、送り出しローラ320に対向して配置され、当接ローラ360Bは、巻き取りローラ330に対向して配置される。また、当接ローラ360A,Bは、移動不可能に固定される。さらに、送り出しローラ320は、当接ローラ360Aの中心軸361Aに向けて移動可能であり、巻き取りローラ330は、当接ローラ360Bの中心軸361Bに向けて移動可能である。
【0067】
なお、本実施形態では、一例として、送り出しローラ320は、その自重により、当接ローラ360Aの中心軸361Aに向けて移動可能であり、巻き取りローラ330は、その自重により、当接ローラ360Bの中心軸361Bに向けて移動可能である。他の例として、送り出しローラ320を当接ローラ360Aの中心軸361Aに向けて圧接するための圧縮バネを送り出しローラ320の軸方向両端部に設けてもよいし、また、巻き取りローラ330を当接ローラ360Bの中心軸361Bに向けて圧接するための圧縮バネを巻き取りローラ330の軸方向両端部設けてもよい。
【0068】
この構成では、送り出しローラ320から用紙に向かうフィルム310の進入角度が送り出しローラ320に収納されているフィルム310の巻き数にかかわらず変化しない。したがって、用紙に向けて進入する際のフィルム310が撓むことを防止できる。
【0069】
また、この構成では、用紙から巻き取りローラ330に向かうフィルム310の剥離角度が巻き取りローラ330に巻き取られたフィルム310の巻き数にかかわらず変化しない。したがって、フィルム310の用紙からの剥離精度を均一に保つことができる。
【0070】
さらに、他の実施形態として、巻き取りローラ330の駆動回転開始の際に、当接ローラ360を駆動回転させてもよい。この構成は、送り出しローラ320に収納されているフィルム310の重量が多い場合に、フィルム310の重量による起動トルク変動に対して安定してフィルム310を移動させることができる。
【0071】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
100 −画像形成装置
110 −画像形成部
200 −コーティング装置
210 −サーマルヘッド
300 −フィルム移動速度制御装置
310 −フィルム
320 −送り出しローラ
321 −中心軸
330 −巻き取りローラ
331 −中心軸
340 −駆動モータ
350 −搬送ローラ
360 −当接ローラ
360A−当接ローラ
360B−当接ローラ
361 −中心軸
361A−中心軸
361B−中心軸
370 −エンコーダ
371 −ホイール
372 −検出センサ
374 −スリット
380 −CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙にコーティング処理を施すためのフィルムと、
前記フィルムを収納し、該フィルムを送り出す送り出しローラと、
前記送り出しローラから送り出された前記フィルムを巻き取る巻き取りローラと、
前記巻き取りローラを駆動回転させる駆動源と、
前記送り出しローラと前記巻き取りローラとの間に配置され、用紙を搬送するために駆動回転する搬送ローラと、
前記送り出しローラおよび前記巻き取りローラの少なくとも一方に対向して配置され、対向するローラの中心軸に向けて前記フィルムに当接する当接ローラであって前記フィルムの移動に伴って従動回転する当接ローラと、
前記当接ローラの中心軸の回転速度を検出する速度検出部と、
前記速度検出部の検出結果に基づいて前記フィルムの移動速度と前記搬送ローラの周速とを一致させるように前記駆動源の駆動を制御する制御部と、
を備えるフィルム移動速度制御装置。
【請求項2】
前記当接ローラは、前記送り出しローラに対向して配置され、かつ、移動不可能に固定され、
前記送り出しローラは、前記当接ローラの中心軸に向けて移動可能である
請求項1に記載のフィルム移動速度制御装置。
【請求項3】
前記速度検出部は、エンコーダである
請求項1または2に記載のフィルム移動速度制御装置。
【請求項4】
前記エンコーダは、スリットを有するホイールおよび前記スリットを検出する検出センサから構成される
請求項3に記載のフィルム移動速度制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム移動速度制御装置と、
前記フィルム移動速度制御装置によって所定の移動速度に制御されたフィルムを用紙に熱転写するための熱転写部と、
を備えるコーティング装置。
【請求項6】
画像形成部と、
前記画像形成部を通過した用紙にコーティング処理を施す請求項5に記載のコーティング装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
用紙にコーティング処理を施すためのフィルムを収納した送り出しローラからフィルムを送り出し、この送り出したフィルムを巻き取りローラによって巻き取るフィルム巻き取り制御と、
前記送り出しローラと前記巻き取りローラとの間に配置される搬送ローラを駆動することにより前記用紙を前記フィルムに重なった状態で搬送する用紙搬送制御と、
前記送り出しローラおよび前記巻き取りローラの少なくとも一方に対向し、かつ、前記フィルムに当接するように配置される当接ローラの中心軸の回転速度を、前記フィルムの巻き取り中に検出する速度検出制御と、
前記当接ローラの中心軸の回転速度に基づいて前記フィルムの移動速度と前記搬送ローラの周速とが一致するように前記巻き取りローラの駆動を制御する巻き取りローラ制御と、
を行うことにより、フィルムの移動速度と用紙の搬送速度を常時一致させるようにしたフィルム移動速度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−246097(P2012−246097A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118917(P2011−118917)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】