説明

フィルム転写シート及び中間転写記録媒体

【課題】 熱転写による最終的に得られる画像形成物で、偽造防止性が高く、着色された熱転写画像の上や、被転写体の転写される側の表面における着色状態により、目立ち、意匠性に優れたものが得られるフィルム転写シート及び中間転写記録媒体を提供する。
【解決手段】 樹脂層3、剥離層4を設けたシート基材2と、接着層7を設けた透明シート5が積層され、該剥離層4と透明シート5の間で剥離して、被転写体20へ接着層付きの透明シートが転写されるフィルム転写シート1において、該透明シート5と接着層7との間に、パール顔料を含有する層6が設けられ、かつ該接着層7、パール顔料含有層6を含めて透明シート部9にハーフカット処理が施されていることを特徴としている。これにより、熱転写画像が形成された被転写体20の画像上に、接着層7、パール顔料含有層6を介して、透明シート5が保護する形態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム転写シート及び中間転写記録媒体に関し、特に、熱転写による最終的に得られる画像形成物において、偽造防止性が高く、着色された熱転写画像の上や、被転写体の転写される側の表面における着色状態により、目立つものとして、意匠性に優れたものが得られるフィルム転写シート及び中間転写記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の熱転写方法が知られているが、この方法は、基材シート上に着色転写層を形成した熱転写シートにおいて、その背面からサーマルヘッド等により、画像状に加熱して、上記の着色転写層を熱転写受像シートの表面に熱転写して、画像形成するものである。この熱転写方法は、その着色転写層の構成によって、昇華転写型と熱溶融転写型の二方式に大別される。両方式ともに、フルカラー画像の形成が可能であり、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンさらに必要に応じて、ブラックの三色ないし四色の熱転写シートを用意し、同一の熱転写受像シートの表面に各色の画像を重ねて熱転写して、フルカラー画像を形成できるものである。マルチメディアに関連した様々なハードおよびソフトの発達により、この熱転写方法は、コンピューターグラフィックス、衛星通信による静止画像そしてCD−ROMその他に代表されるデジタル画像およびビデオ等のアナログ画像のフルカラーハードコピーシステムとして、その市場を拡大している。
【0003】
この熱転写方法による熱転写受像シートの具体的な用途は、多岐にわたっている。代表的なものとしては、印刷の校正刷り、画像の出力、CAD/CAMなどの設計およびデザインなどの出力、CTスキャンや内視鏡カメラなどの各種医療用分析機器、測定機器の出力用途そしてインスタント写真の代替として、また身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類への顔写真などの出力、さらに遊園地、ゲームセンター、博物館、水族館などのアミューズメント施設における合成写真、記念写真としての用途などをあげることができる。
【0004】
ところが、溶融転写型の熱転写シートで画像を形成した場合、耐摩擦性の耐久性に欠ける弱点があり、昇華転写型の熱転写シートで画像形成した場合は、顔写真等の階調性画像を精密に形成することができるが、通常の印刷インキによる画像とは異なり、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性に欠ける弱点がある。その解決策として、熱転写画像上に熱転写性樹脂層を有する保護層熱転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドや加熱ロール等を用いて、透明性を有する熱転写性樹脂層を転写させ、画像上に保護層を形成することが行われている。例えば、特許文献1、2に挙げられるような熱転写画像の上に、保護層熱転写シートを用いて、保護層を転写形成することが提案されている。
【0005】
上記の熱転写受像シートの用途の多様化に伴い、任意の対象物に熱転写画像を形成する要求が高まっている。通常は、熱転写画像を形成する対象物として、基材上に受容層を設けた専用の熱転写受像シートを用いているが、基材等に制約があり、特許文献3等に示されるような受容層が基材上に剥離可能に設けられた中間転写記録媒体で、その受容層に染料層を有する熱転写シートを用いて、染料を転写して画像を形成し、その後に中間転写記録媒体を加熱して、受容層を任意の被転写体上に転写する方法が提案されている。
【0006】
また、上記の中間転写記録媒体を用いた方式においても、最終的に得られる画像形成物は、上記で説明した画像の耐久性に欠ける点が残っている。それに対し、特許文献4、5は、受容層を設けた透明基材と、樹脂層を介してシート基材が剥離可能に積層した中間転写記録媒体において、該受容層に画像形成後に、透明基材ごと被転写体に、画像面と被転写体とを接触させて、画像を転写する、耐久性の高い中間転写記録媒体を提案している。
【0007】
しかし、上記の特許文献4、5に示すような中間転写記録媒体を用いて、受容層に熱転写画像を形成し、その後に、被転写体に受容層付きで透明基材を転写して得られる画像形成物は、耐久性の高いものではあるが、中間転写記録媒体の被転写体へ転写させる部分(透明基材、受容層等)にパール顔料を含有させるような提案はされていない。
【0008】
【特許文献1】特開2000−80844号公報
【特許文献2】特開2000−71626号公報
【特許文献3】特開昭62−238791号公報
【特許文献4】特開2000−238439号公報
【特許文献5】特開2002−337457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、熱転写による最終的に得られる画像形成物において、偽造防止性が高く、着色された熱転写画像の上や、被転写体の転写される側の表面における着色状態により、目立つものとして、意匠性に優れたものが得られるフィルム転写シート及び中間転写記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフィルム転写シートは、請求項1として、樹脂層、剥離層を設けたシート基材と、接着層を設けた透明シートが積層され、該剥離層と透明シートの間で剥離して、被転写体へ接着層付きの透明シートが転写されるフィルム転写シートにおいて、該透明シートと接着層との間に、パール顔料を含有する層が設けられ、かつ該接着層、パール顔料含有層を含めて透明シート部にハーフカット処理が施されていることを特徴としている。これにより、熱転写画像が形成された被転写体の画像上に、接着層、パール顔料含有層を介して、透明シートが保護する形態となる。プラスチックフィルムである透明シートで保護され、塗工された薄膜の保護層とは異なり、プラスチックフィルムである透明シートが強固な保護シートとして機能し、画像の耐久性に極めて優れたものとなる。また、最終的に得られる画像形成物は、パール顔料含有層におけるパール顔料の干渉色により、偽造防止性が高いものとなる。また、転写されたパール顔料含有層の下側の着色状態で、パール顔料の反射光を目立たすことができ、意匠性に優れた画像形成物が得られる。
【0011】
本発明の中間転写記録媒体は、請求項2として、樹脂層、剥離層を設けたシート基材と、染料受容層を設けた透明シートが積層され、該剥離層と透明シートの間で剥離して、被転写体へ染料受容層付きの透明シートが転写される中間転写記録媒体において、該透明シートと染料受容層との間に、パール顔料を含有する層が設けられ、かつ該染料受容層、パール顔料含有層を含めて透明シート部にハーフカット処理が施されていることを特徴としている。これにより、被転写体上に、熱転写画像が形成された染料受容層、パール顔料含有層、透明シートが積層された形態となり、被転写体上の熱転写画像が、プラスチックフィルムである透明シートで保護され、塗工された薄膜の保護層とは異なり、プラスチックフィルムである透明シートが、強固な保護シートとして機能し、画像の耐久性に極めて優れたものとなる。また、最終的に得られる画像形成物は、パール顔料含有層におけるパール顔料の干渉色により、偽造防止性が高いものとなる。また、転写されたパール顔料含有層の下側の着色状態で、パール顔料の反射光を目立たすことができ、意匠性に優れた画像形成物が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記構成のフィルム転写シートは、熱転写画像が形成された被転写体の画像上に、接着層、パール顔料含有層を介して、透明シートが保護する形態をとることができる。プラスチックフィルムである透明シートで保護され、塗工された薄膜の保護層とは異なり、プラスチックフィルムである透明シートが強固な保護シートとして機能し、画像の耐久性に極めて優れたものとなる。また、最終的に得られる画像形成物は、パール顔料含有層におけるパール顔料の干渉色により、偽造防止性が高く、また、転写されたパール顔料含有層の下側の着色状態で、パール顔料の反射光を目立たすことができ、意匠性に優れた画像形成物が得られる。
【0013】
また、本発明の上記構成の中間転写記録媒体は、被転写体上に、熱転写画像が形成された染料受容層、パール顔料含有層、透明シートが積層された形態をとることができる。被転写体上の熱転写画像が、プラスチックフィルムである透明シートで保護され、塗工された薄膜の保護層とは異なり、プラスチックフィルムである透明シートが、強固な保護シートとして機能し、画像の耐久性に極めて優れたものとなる。また、最終的に得られる画像形成物は、パール顔料含有層におけるパール顔料の干渉色により、偽造防止性が高く、また、転写されたパール顔料含有層の下側の着色状態で、パール顔料の反射光を目立たすことができ、意匠性に優れた画像形成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明のフィルム転写シート1の一つの実施形態を示す概略断面図であり、シート基材2の一方の面に、樹脂層3、剥離層4、透明シート5、パール顔料含有層6、接着層7の順に積層した構成である。(図1の左上に示す)この構成から、被覆する熱転写画像のサイズに応じて、接着層7及びパール顔料含有層6付きの透明シート5に、すなわち透明シート部9にハーフカット8による加工を施して、外枠の不要な部分を剥離して除去する。(図1の右上に示す)また、図示はしていないが、フィルム転写シートに、場合によっては熱転写プリンター内で転写位置を制御するための検知マークが印刷されていても良い。
【0015】
次に、予め画像が形成された被転写体20に対し、その画像と接着層7が接するように、被転写体20とフィルム転写シート1とを重ね合わせ、加熱及び加圧し、剥離層4と透明シート5の間で剥離して、被転写体20へ接着層7及びパール顔料含有層6付きの透明シート5、すなわち透明シート部19が転写される。
【0016】
図2は、本発明の中間転写記録媒体10の一つの実施形態を示す概略断面図であり、シート基材11の一方の面に、樹脂層12、剥離層13、透明シート14、パール顔料含有層15、染料受容層16の順に積層した構成である。(図2の左上に示す)この構成から、被覆する熱転写画像のサイズに応じて、染料受容層16及びパール顔料含有層15付きの透明シート14に、すなわち透明シート部19にハーフカット17による加工を施して、外枠の不要な部分を剥離して除去する。(図2の右上に示す)
【0017】
次に、中間転写記録媒体10の染料受容層16に昇華転写型の熱転写シートで画像を形成し、熱転写画像が形成された染料受容層16と被転写体20が接するように、被転写体20と中間転写記録媒体10とを重ね合わせ、加熱及び加圧し、剥離層13と透明シート14の間で剥離して、被転写体20へ染料受容層16、パール顔料含有層15付きの透明シート14、すなわち透明シート部19が転写される。上記の場合は、樹脂層と透明シートの間で剥離して、被転写体へ染料受容層及びパール顔料含有層付きの透明シートが転写される。
【0018】
以下、本発明のフィルム転写シートを構成する各層について、詳細に説明する。
(シート基材)
本発明で用いるフィルム転写シートのシート基材2としては、特に限定されるものでなく、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられる。
【0019】
シート基材は10μm〜100μmの厚みのものが好ましく、シート基材が薄すぎると得られるフィルム転写シートのいわゆるコシがなくなり、熱転写プリンターで搬送できなかったり、フィルム転写シートにカールやシワが発生したりする。一方、シート基材が厚すぎると、得られるフィルム転写シートが厚くなりすぎ、熱転写プリンターで搬送駆動させる力が大きくなりすぎて、プリンターに故障が生じたり、正常に搬送できなかったりする。
【0020】
(樹脂層)
上記のシート基材上に設ける樹脂層3は、粘着剤層や簡易接着層やエクストルージョンコーティング層(EC)により形成することができる。粘着剤層は、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤を用いて形成することができる。粘着剤として、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムなどが挙げられる。粘着剤層の塗工量は、約8〜30g/m2(固形分)が一般的であり、従来公知の方法、すなわち、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、コンマコート、ダイコート等の方法で、基材上に塗布し、乾燥して粘着剤層を形成する。また、粘着剤層の粘着力は、透明シートと粘着剤層との剥離強度で、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、5〜1,000gf/inch程度の範囲にすることが望ましい。以上の如き粘着剤の種類や、塗工量は、前記シート基材上に粘着剤層を形成する際に、その剥離強度が前記範囲になるように、選択して使用することが好ましい。また、シート基材上に粘着剤層を設け、透明シートと粘着剤層を積層するには、粘着剤層のドライラミネーションやホットメルトラミネーション等の方法が採用できる。
【0021】
簡易接着層は、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)やポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂のラテックスや、ゴム系レジン、ワックス類及びそれらの混合物を用いて、シート基材上に、従来公知の塗工方式で形成し、透明シートと簡易接着層とを加熱しながらドライラミネーションして積層することが、好ましく行われる。そして、透明シートとシート基材を剥がした後の簡易接着層は、粘着性が低下し、再度、透明シートとシート基材を貼り合わせることはできない。このような簡易接着層を用いる場合、シート基材と簡易接着層との間にプライマー層を設けてもよい。
【0022】
また、本発明の樹脂層として、シート基材上にEC層を設けることができる。EC層を形成する熱可塑性樹脂は透明シートに本質的に接着せず、エクストルージョン(押し出し)加工特性のある樹脂であれば特に限定されないが、透明シートに一般的に利用されるPETフィルムに対して、本質的な接着性を有さず加工性も優れる、ポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。具体的には、LDPE、MDPE、HDPE、PP樹脂等を使用でき、これらの樹脂を押し出しコーティングする際に冷却ロールとしてマットロールを使用することにより、EC層表面にそのマット面を転写して、微細な凹凸形状を賦形することができ、該EC層に不透明性を付与することができる。また、上記のポリオレフィン系樹脂に炭酸カルシウム、酸化チタン等の白色顔料を練り混んで、不透明のEC層を形成することができる。該EC層は単層である必要はなく、2層以上から形成されても良い。透明シートからの剥離強度は、押し出し加工時の加工温度、樹脂種によって調整することができる。このように、シート基材上にEC層を押し出し加工と同時に、いわゆるECラミネーションでシート基材と透明シートをEC層を介して積層させることができる。
【0023】
上記のシート基材上に樹脂層を設ける際に、シート基材表面にプライマー層を設けて、シート基材と樹脂層の接着性を向上させることができる。また、そのプライマー層の代わりに、シート基材表面にコロナ放電処理を施すことも可能である。プライマー層は、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等を溶剤に溶解ないし分散させた塗工液を用意し、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、コンマコート、ダイコート等の方法で、シート基材上に塗布し、乾燥してプライマーを形成することができる。プライマー層の厚さは、乾燥状態で0.1〜5g/m2程度である。尚、上記のプライマー層はパール顔料含有層と接着層あるいは染料受容層との間にも同様に形成することができる。
【0024】
(剥離層)
上記の樹脂層の上に設ける剥離層4は、透明シートと樹脂層との加熱時の剥離性を高めるものである。剥離層はバインダー樹脂により構成される。そのバインダー樹脂としては、この分野で使用されている公知の熱可塑性樹脂及び熱硬化型樹脂を広く使用できる。
【0025】
上記の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂;エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロース・アセテート・プロピオネート、セルロース・アセテート・ブチレート等のセルロース誘導体等が挙げられる。また、熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミノアルキッド樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で又は2種以上混合して使用してもよい。これらのバインダー樹脂の中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
【0026】
剥離層は、バインダー樹脂と共にワックスを含んでいてもよい。ワックスが含まれると、剥離層の耐擦過性及び箔切れ性が向上する。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリエステルワックス、ポリスチレン系パウダー、オレフィン系パウダー、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることができる。ワックスは、剥離層中に、通常0.1〜30質量%程度、好ましくは0.1〜10質量%程度含有されているのがよい。剥離層の形成手段は、上記のプライマー層の場合と同様の方法が採用でき、剥離層の塗工量は、約0.5〜5g/m2(固形分)であり、好ましくは1.0〜2.5g/m2(固形分)である。
【0027】
(透明シート)
本発明のフィルム転写シートで使用する透明シート5は、ハーフカット処理された部分を境界にして、透明シート部(接着層及びパール顔料含有層付き透明シート)が切断され、熱転写画像が形成された被転写体の画像形成部の上に、透明シートが覆う形態で、保護層として機能する。透明性と、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性を有するものであれば、いずれのものでも良く、例えば、0.5〜100μm、好ましくは10〜40μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。
【0028】
(パール顔料含有層)
本発明で用いられるパール顔料含有層6は、フィルム転写シートにおいては、透明シートと接着層との間に形成される。パール顔料含有層は、パール顔料とバインダーを主成分として構成され、そのパール顔料含有層が転写された画像形成物の偽造防止性を高め、また、転写されたパール顔料含有層の下側の着色状態で、パール顔料の反射光を目立たすことにより、高い意匠性をもたせるものである。またパール顔料含有層は、転写された後に、下に位置する着色層を観察する際に支障がないように、透明性、平滑性を有するものである。
【0029】
このパール顔料含有層を構成するバインダーとして、例えば、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコーン樹脂、弗素樹脂、シリコーン或は弗素で変性した各種の樹脂等の単独又は混合物、共重合物、が使用できる。特に剥離性、解像性といった点で、剥離性の高いTgが100℃以上の上記バインダー樹脂と、解像性や基材フィルムとの接着性を調整するためのTgが60〜100℃程度の上記バインダー樹脂を混合する系が好ましい。例えばTgが100℃以上アクリル樹脂を主体に、Tgが60〜100℃程度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を混合した系等が透明性の点でも好ましい。
【0030】
パール顔料含有層に、含有するパール顔料は、天然パールエッセンス、塩化水銀、塩基性炭酸鉛、酸塩化ビスマス、雲母等の従来から用いられているものが使用でき、特に屈折率の低い天然マイカ(雲母)の表面を、屈折率の高い金属酸化物で被覆したものが好ましく、天然マイカと金属酸化物の屈折率の差を利用して反射した光がパール光沢をもたらす。その金属酸化物は、光沢性および屈折率から酸化チタン、酸化鉄が好ましく用いられる。パール顔料としては鱗片状のもので、粒径が0.01〜500μm、粒子厚が0.05〜1.0μmのものが用いられ、好ましくは、粒径が1.0〜25μmの範囲が用いられる。
【0031】
パール顔料含有層において、固形分の条件で、パール顔料が10〜90質量%、好ましくは30〜70質量%、バインダー樹脂が90〜10質量%、好ましくは70〜30質量%の割合で、構成されることが、上記の機能を発揮する上で好ましい。また、上記のパール顔料含有層は、上記に挙げた必要な材料を溶剤に溶解ないし分散させた塗工液を用意し、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、コンマコート、ダイコート等の方法で、シート基材上に塗布し、乾燥して形成することができる。パール顔料含有層の厚さは、固形分で0.1〜5g/m2、好ましくは固形分で0.1〜3g/m2である。パール顔料含有層の厚さが0.1g/m2未満であると、上記の偽造防止性、意匠性の機能が十分に発揮できなくなり、また一方で、その厚さが5g/m2より多くなると、透明性が無くなり、熱転写による最終的に得られる画像形成物において、下の画像が見えにくくなるので好ましくないという問題がある。
【0032】
パール顔料含有層は、透明シートの全面にベタとして、形成するだけでなく、任意のパターンで形成することができ、画像形成物の意匠性、偽造防止性をより高めることができる。
【0033】
(接着層)
接着層7は、上記の透明シートを被転写体と強固に接着させるためのものであり、その材質は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂等の従来の接着剤として既知のものが広く使用できる。接着層の形成手段は、上記の樹脂層の場合と同様の方法が採用でき、接着層の塗工量は、約0.5〜10g/m2(固形分)であり、好ましくは2.0〜3.0g/m2(固形分)である。
【0034】
以下、本発明の中間転写記録媒体を構成する各層について、詳細に説明する。但し、シート基材11、樹脂層12、剥離層13、透明シート14、パール顔料含有層15に関しては、上記のフィルム転写シートを構成するシート基材2、樹脂層3、剥離層4、透明シート5、パール顔料含有層6で説明した通りである。
【0035】
(染料受容層)
上記の透明シート上に、パール顔料含有層を間にして、染料受容層16が形成される。染料受容層は、加熱により熱転写シートから転写される色材を受容する働きを有するもので、特に昇華性染料の場合には、それを受容し、発色させると同時に、一旦受容した染料を再昇華させないことが望まれる。中間転写記録媒体を使用して、染料受容層に転写画像を形成し、該画像形成された部分のみを被転写体へ再転写して画像を形成するものであり、本発明の染料受容層には透明性をもたせて、被転写体に転写された画像を上から鮮明に観察できるようにすることが一般的である。但し、作為的に染料受容層を濁らせたり、薄く着色させたりして、再転写画像を特徴づけることも可能ではある。
【0036】
染料受容層は、一般に熱可塑性樹脂を主体として構成される。染料受容層を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、中でも特に好ましいものはポリエステル系樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びそれらの混合物である。
【0037】
画像形成時において、着色転写層を有する熱転写シートと、中間転写記録媒体の染料受容層との融着若しくは印画感度の低下等を防ぐ目的で、昇華転写記録では、染料受容層に離型剤を混合することができる。混合して使用する好ましい離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、中でもシリコーンオイルが望ましい。そのシリコーンオイルとしては、エポキシ変性、ビニル変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが望ましい。
【0038】
離型剤は1種若しくは2種以上のものが使用される。また、離型剤の添加量は染料受容層形成用樹脂100質量部に対し、0.5〜10質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、昇華型熱転写シートと中間転写記録媒体の染料受容層との融着若しくは被転写体への転写感度の低下等の問題が生じる場合がある。このような離型剤を染料受容層に添加することによって、転写後の染料受容層の表面に離型剤がブリードアウトして離型層が形成される。また、これらの離型剤は染料受容層に添加せず、染料受容層上に別途塗工してもよい。染料受容層は、透明シートの上に上記の如き樹脂に離型剤等の必要な添加剤を加えたものを適当な有機溶剤に溶解したり、或いは有機溶剤や水に分散した分散体をグラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の形成手段により、塗布し、乾燥して、形成される。上記染料受容層の形成に際しては、染料受容層は任意の塗工量でよいが、一般的には乾燥状態で1〜50g/m2である。また、このような染料受容層は連続被覆であるのが好ましいが、樹脂エマルジョン若しくは水溶性樹脂や樹脂分散液を使用して、不連続の被覆として形成してもよい。更に、熱転写プリンターの搬送安定化を図るために染料受容層の上に帯電防止剤を塗工してもよい。
【実施例】
【0039】
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部又は%は質量基準である。
(実施例1)
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)の透明シートの一方の面に、下記組成でパール顔料含有層を固形分で1.5g/m2の厚さで設け、そのパール顔料含有層の上に、下記組成で接着層を乾燥状態で1.5g/m2の厚さで設けて、該接着層、パール顔料含有層の設けられた反対面の透明シートに、下記組成で剥離層を乾燥状態で1.5g/m2の厚さで設け、更に該剥離層の上に下記組成で樹脂層を乾燥状態で4.0g/m2の厚さで設けて、ドライラミネーションにより、38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)を合わせて積層した。さらに、上記の積層体であるフィルム転写シートに対して、図1に示すように、接着層7及びパール顔料含有層6付きの透明シート部にカッター刃を取り付けた上型と台座とのプレス方式でハーフカット(8)処理を行い、実施例1のフィルム転写シートを用意した。上記のパール顔料含有層、接着層、剥離層、樹脂層は、全てグラビアコーティングにて塗工した。尚、上記のフィルム転写シートは、剥離層と透明シートの間で剥離するものである。
【0040】
(パール顔料含有層用塗工液組成)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 21部
(ユニオンカーバイド社製、VYLF−X)
パール顔料 21部
(メルクジャパン社製、Iriodin/Afflair 223)
トルエン 29部
メチルエチルケトン 29部
【0041】
(接着層用塗工液組成)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂
(日信化学社製、SOLBIN CNL) 30部
酢酸エチル 20部
トルエン 50部
【0042】
(剥離層用塗工液組成)
アクリル樹脂(綜研化学社製 LP−45M) 50部
メチルエチルケトン 25部
トルエン 25部
【0043】
(樹脂層用塗工液組成)
ポリエステル系感圧接着剤(大日精化工業(株)製、セイカボンドE295/イソシアネート架橋剤C55=混合比 9/0.25) 20部
酢酸エチル 80部
【0044】
(実施例2)
上記の実施例1のフィルム転写シートにおいて、パール顔料含有層用塗工液を下記組成に変更し、固形分で2.0g/m2の厚さで設けた以外は、実施例1と同様にして実施例2のフィルム転写シートを作製した。
(パール顔料含有層用塗工液組成)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 21部
(ユニオンカーバイド社製、VYLF−X)
パール顔料 21部
(メルクジャパン社製、Iriodin/Afflair 201)
トルエン 29部
メチルエチルケトン 29部
【0045】
(実施例3)
上記の実施例1のフィルム転写シートにおいて、パール顔料含有層用塗工液を実施例1では、透明シートにベタでパール顔料含有層を設けたが、星型を散らばせたパターンに変更し、また剥離層塗工液を下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3のフィルム転写シートを作製した。
(剥離層用塗工液組成)
セルロース・アセテート・プロピオネート(数平均分子量25,000、イーストマン・ケミカル社製、商品名CAP−482−0.5) 10部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 45部
【0046】
(実施例4)
上記の実施例1のフィルム転写シートにおいて、透明シートに、パール顔料含有層及び接着層を設けた条件から、透明シート上に、パール顔料含有層を実施例1の場合の条件と同様にして、形成し、そのパール顔料含有層の上に、下記条件で染料受容層を形成して、実施例4の中間転写記録媒体を作製した。但し、その他の条件は実施例1の通りである。
下記組成で染料受容層を乾燥状態で2.5g/m2の厚さで設けた。染料受容層は、グラビアコーティングにて塗工して形成した。尚、上記の中間転写記録媒体は、剥離層と透明シートの間で剥離するものである。
【0047】
(染料受容層用塗工液組成)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂
(日信化学工業(株)製、ソルバインC) 100.0部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、X−22−3000T) 5.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 400.0部
【0048】
(実施例5)
上記の実施例2のフィルム転写シートにおいて、透明シートに、パール顔料含有層及び接着層を設けた条件から、透明シート上に、パール顔料含有層を実施例2の場合の条件と同様にして、形成し、そのパール顔料含有層の上に、実施例4の染料受容層と同様の条件で、形成して、実施例5の中間転写記録媒体を作製した。但し、その他の条件は実施例2の通りである。
【0049】
(実施例6)
上記の実施例3のフィルム転写シートにおいて、透明シートに、パール顔料含有層及び接着層を設けた条件から、透明シート上に、パール顔料含有層を実施例3(実施例1)の場合の条件と同様にして、形成し、そのパール顔料含有層の上に、実施例4の染料受容層と同様の条件で、形成して、実施例6の中間転写記録媒体を作製した。但し、その他の条件は実施例3の通りである。
【0050】
(比較例1)
上記の実施例1のフィルム転写シートにおいて、パール顔料含有層を設けない条件で、その他の条件は実施例1の通りで、比較例1のフィルム転写シートを作製した。
【0051】
(比較例2)
上記の実施例2のフィルム転写シートにおいて、パール顔料含有層を設けない条件で、その他の条件は実施例2の通りで、比較例2のフィルム転写シートを作製した。
【0052】
(比較例3)
上記の実施例3のフィルム転写シートにおいて、パール顔料含有層を設けない条件で、その他の条件は実施例3の通りで、比較例3のフィルム転写シートを作製した。
【0053】
(比較例4)
上記の実施例4の中間転写記録媒体において、パール顔料含有層を設けない条件で、その他の条件は実施例4の通りで、比較例4の中間転写記録媒体を作製した。
【0054】
(比較例5)
上記の実施例5の中間転写記録媒体において、パール顔料含有層を設けない条件で、その他の条件は実施例5の通りで、比較例5の中間転写記録媒体を作製した。
【0055】
(比較例6)
上記の実施例6の中間転写記録媒体において、パール顔料含有層を設けない条件で、その他の条件は実施例6の通りで、比較例6の中間転写記録媒体を作製した。
【0056】
上記の作製した各例のフィルム転写シートあるいは中間転写記録媒体を用いて、以下の方法により、偽造防止性及び意匠性の評価を行なった。
【0057】
まず、被転写体として、以下のカード基材を用意した。安定剤等の添加剤を約10%含有するポリ塩化ビニル(重合度800)コンパウンド100部、白色顔料(酸化チタン)10部及び可塑剤(DOP)0.5部からなるカード基材を用意した。このカード基材の表面は、染料受容性を有するもので、カード基材自体が熱転写受像シートとして利用できる。
【0058】
上記の実施例4、5、6及び比較例4、5、6で作製した中間転写記録媒体をHDP600(FARGO社製)の中間転写カードプリンタとHDP600用熱転写インクリボンを用いて、染料受容層に画像形成し、ヒートローラーの表面温度190℃、速度3sec/inchの条件で上記のカードへ、染料受容層、(パール顔料含有層)、透明シートを転写した。その結果、得られた画像形成物を目視により観察し、偽造防止性及び意匠性を調べた。
【0059】
また、上記の実施例1、2、3及び比較例1、2、3で作製したフィルム転写シートの場合は、各例のフィルム転写シートと予め画像形成された被転写体であるカード基材とを、HDP600(FARGO社製)の中間転写カードプリンタを用いて、カードへの転写のみをおこなうモードにし、ヒートローラーの表面温度190℃、速度3sec/inchの条件で、上記のカードの画像形成面に、接着層、(パール顔料含有層)、透明シートを転写した。その結果、得られた画像形成物を、上記の中間転写記録媒体の場合と同様に、目視により観察し、偽造防止性及び意匠性を調べた。
【0060】
実施例1、2、3のフィルム転写シートを用いて得られた画像形成物は、パール顔料含有層におけるパール顔料の干渉色により、見る角度により、パール顔料が虹色に変化して、非常に偽造防止性が高く、また、転写されたパール顔料含有層の下側のカードの画像形成された着色状態で、特に濃色の着色部の上で、パール顔料の反射光が非常に目立ち、意匠性に優れたものであった。特に、実施例3で得られた画像形成物は、偽造防止性及び意匠性がより高いものであった。それに対して、比較例1、2、3のフィルム転写シートを用いて得られた画像形成物は、見る角度を変えても、特別に変化するものもなく、偽造防止性が乏しいものであった。また、カードの画像形成された着色部において、カード単独で観察した場合と、接着層付きの透明シートが転写された場合であまり変化がなく、意匠性はないものであった。尚、実施例1、2、3及び比較例1、2、3の画像形成物は、全てプラスチックフィルムである透明シートで保護されているので、画像の耐久性に優れていた。
【0061】
実施例4、5、6の中間転写記録媒体を用いて得られた画像形成物は、パール顔料含有層におけるパール顔料の干渉色により、見る角度により、パール顔料が虹色に変化して、非常に偽造防止性が高く、また、転写されたパール顔料含有層の下側のカードの画像形成された着色状態で、特に濃色の着色部の上で、パール顔料の反射光が非常に目立ち、意匠性に優れたものであった。特に、実施例6で得られた画像形成物は、偽造防止性及び意匠性がより高いものであった。それに対して、比較例4、5、6の中間転写記録媒体を用いて得られた画像形成物は、見る角度を変えても、特別に変化するものもなく、偽造防止性が乏しいものであった。また、上記の比較例4、5、6で得られた画像形成物におけるカードの画像形成された着色状態で、パール顔料の反射光が目立ち、意匠性を有するようなものでは、全くなかった。尚、実施例4、5、6及び比較例4、5、6の画像形成物は、全てプラスチックフィルムである透明シートで保護されているので、画像の耐久性に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のフィルム転写シートの一つの実施形態を示す概略断面図であり、またそのフィルム転写シートの使用される方法の概略説明図である。
【図2】本発明の中間転写記録媒体の一つの実施形態を示す概略断面図であり、またその中間転写記録媒体の使用される方法の概略説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 フィルム転写シート
2、11 シート基材
3、12 樹脂層
4、13 剥離層
5、14 透明シート
6、15 パール顔料含有層
7 接着層
8、17 ハーフカット
9、19 透明シート部
10 中間転写記録媒体
16 染料受容層
20 被転写体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層、剥離層を設けたシート基材と、接着層を設けた透明シートが積層され、該剥離層と透明シートの間で剥離して、被転写体へ接着層付きの透明シートが転写されるフィルム転写シートにおいて、該透明シートと接着層との間に、パール顔料を含有する層が設けられ、かつ該接着層、パール顔料含有層を含めて透明シート部にハーフカット処理が施されていることを特徴とするフィルム転写シート。
【請求項2】
樹脂層、剥離層を設けたシート基材と、染料受容層を設けた透明シートが積層され、該剥離層と透明シートの間で剥離して、被転写体へ染料受容層付きの透明シートが転写される中間転写記録媒体において、該透明シートと染料受容層との間に、パール顔料を含有する層が設けられ、かつ該染料受容層、パール顔料含有層を含めて透明シート部にハーフカット処理が施されていることを特徴とする中間転写記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−241353(P2009−241353A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89502(P2008−89502)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】